被害者の過失35%との保険会社の考えに納得できず紛争処理センターへ申立。過失20%で解決した事例

最終更新日:2023年02月08日

監修者
よつば総合法律事務所
弁護士
粟津 正博
当初の提示額
70万円
最終獲得金額
230万円
3.2 増額
千葉県流山市・70代・男性・アルバイト
病名・被害
急性硬膜下血腫、外傷性クモ膜下出血、頚椎骨折、左第1趾中足骨骨折
けがの場所
頭部
最終獲得金額
230万円
後遺障害等級
6~8級
事例の特徴
高次脳機能障害

事故の状況

吉田さん(仮名)は自転車で道路を横断していました。すると、車が右からきました。吉田さんはぶつからないよう逃げましたが、避けきれませんでした。吉田さんは車とぶつかりました。

吉田さんは、自転車ごとはねられます。頭と首を強く打ちました。急性硬膜下血腫、外傷性クモ膜下出血、頚椎骨折、左第1趾中足骨骨折等の重傷です。6カ月入院し、1年を超える通院をしました。

ご相談内容

吉田さんは入院のときに知り合いからよつば総合法律事務所のことを知りました。

吉田さんは今後のカラダのことや、お金のことが気になっていました。弁護士費用が出る保険もありましたので、事故後早いときに弁護士にお願いしました。

吉田さんのご相談内容のまとめ

  1. カラダのことが気になっている。
  2. お金のことが気になっている。

急性硬膜下血腫の診断

弁護士の対応と結果

弁護士は、事故後から吉田さんのサポートを続けました。

吉田さんには、首の骨折による首の痛み、腕のしびれなどがありました。また、物忘れをしたり、すぐに怒って声をあげるという性格に事故後なってしまいました。高次脳機能障害が疑われます。

そこで、慎重に主治医やご家族と書類を作り、弁護士がサポートして後遺障害の申請をしました。結果として、次の後遺障害となりました。

  1. 高次脳機能障害につき「神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができない程度になったもの」(7級4号)
  2. 脊柱の変形につき「脊柱に変形を残すもの」(11級7号)
  3. 左足につき「一足の第一の足指又は又は他の四の足指の用を廃したもの」(12級12号)
  4. あわせて併合6級

6級になると、自賠責保険から1296万円をもらえます。

そのあと、保険会社と弁護士は交渉しました。しかし、保険会社は吉田さんに35%の過失があると主張します。吉田さんも自転車に乗っていたとはいえ横断歩道を渡っています。35%も過失があるということに吉田さんは納得できませんでした。

吉田さんは、早めの解決のため、紛争処理センターへ申し立てをしました。

センターでは、吉田さんの主張がほぼ認められます。過失割合は20%というあっせん案が出ます。吉田さんは合意しました。追加で受け取った金額は230万円です。

あわせて、約1500万円を吉田さんはもらえました。

解決のポイント

1. 高次脳機能障害の後遺障害

高次脳機能障害の後遺障害になるケースは、脳挫傷痕があることが多いです。脳挫傷痕とは脳の損傷のきずあとです。

しかし、吉田さんのけがは、急性硬膜下血腫、外傷性クモ膜下出血といった出血はあるものの、脳実質の損傷や脳挫傷痕はありませんでした。

もっとも、吉田さんの親族は、吉田さんが事故前と比べて物忘れが多かったり、すぐに怒鳴り声をあげたりと、性格が明らかに変わったと話していました。そこで、性格の変化について主治医やご家族と事故前後の変化についての書類を作りました。

最終的には、脳挫傷痕はないものの事故後の脳室拡大や長期の入院治療により症状が出たものとして、高次脳機能障害(7級4号)となりました。

高次脳機能障害は、ご本人以外の親族などからも慎重に症状をヒアリングし、原因を特定することが重要です。書類の記載内容により等級が大きく変わることもあります。高次脳機能障害が疑われるときは、詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

2. 納得できる過失割合

過失割合は、裁判所の基準が公表されています。別冊判例タイムズ38号という本です。示談交渉や裁判でも本の基準を使うことが多いです。

もっとも、吉田さんの事故は少し変わった道路での事故でした。簡単に過失割合を出すことが難しい状況でした。

そこで、被害者が事故現場に行くまでのルートをさかのぼり、事故の状況を検討しました。そして、道路交通法や道路横断があった自転車に落ち度があるとされる理由に立ち返り、吉田さんに落ち度がないことを主張しました。

被害者の過失が35%と保険会社は主張していました。しかし、最終的には被害者の過失が20%で解決できました。

ご依頼者様の感想

入院中からお世話になりました。ありがとうございました。

(千葉県流山市・70代・男性・アルバイト)

本事案は実際のお取り扱い案件ですが、プライバシー保護のため、事案の趣旨を損なわない範囲で一部内容を変更や省略していることがあります。写真はイメージ画像であり実際のお客様とは異なります。記載内容は当事務所のPRを含みます。

本事例へのよくある質問

Q併合6級でもらえた額が230万円なのはなぜですか?

今回は過失のある事故です。そして、自賠責保険から満額の1296万円を後遺障害6級の保険金として先にもらっています。そのため、追加でもらった金額が230万円です。総額では約1500万円をもらっています。

自賠責保険は過失があっても満額もらえることが多いです。先に自賠責保険から満額もらったため、任意保険からもらえる金額が230万円だけになっています。

【計算式】

総損害額1900万円×80%-自賠責保険からの受領額1296万円≒230万円

監修者
よつば総合法律事務所
弁護士
粟津 正博

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