事例436左鎖骨遠位端骨折・肋骨骨折
弁護士が刑事記録から被害者の過失を1割有利に修正し、主張通りの逸失利益が認められて950万円を受領
最終更新日:2023年03月01日
文責:弁護士 粟津 正博
保険会社提示額 : 提示前のご依頼
- 解決額
- 950万円
- 怪我の場所
-
- 鎖骨・肩甲骨・肋骨・胸骨
- 後遺障害等級
-
- 11級
事故発生!バイク対自動車の事故
令和元年某月、馬場健治さん(仮名・館山市在住・50代・男性・会社員)がバイクに乗って前方の自動車を左側から追い抜こうとした際、突如ウインカーを出して左折してきた車両に巻き込まれ、転倒するという事故に遭いました。
相談から解決まで
被害者は事故により、左鎖骨遠位端骨折、肋骨骨折等の重傷を負いました。特に左鎖骨の癒合状況が思わしくなく、約半年にわたり懸命に治療・リハビリを行いましたが、主治医から症状固定と判断をされ、左肩関節の可動域制限が残りました。また、左鎖骨の骨折部が偽関節化しており外から見てわかる程度の変形がありました。
これらについて、後遺障害として併合11級が認定された後、被害者は当事務所に相談に来られ、示談交渉を依頼する運びとなりました。
当事務所が代理して相手方保険会社と示談交渉を行った結果、最終的に950万円を受領する内容で解決となりました。
当事務所が関わった結果
当事務所が依頼を受け、示談交渉を行った結果950万円を受領する内容で解決をすることができました。
解決のポイントは以下の点です。
1過失割合について
当初相手方保険会社担当者は被害者の過失が2割あると主張していました。確かに本件事案を裁判所の基準に機械的に当てはめれば、そのような解釈も可能な案件でした。そこで、刑事記録を取付けて事案を詳細に検討しました。すると、加害者側車両が左折に際しあらかじめ左側に幅寄せしていない点(道路交通法25条第1項違反)、合図を交差点の30メートル手前で出していない点(道路交通法53条第1項、道路交通法施行令21条違反)が加害者の落ち度としてさらに指摘し得ることが判明しました。そこでこの点を主張したところ、最終的に被害者の過失を1割有利に修正する内容で解決をすることができました。
過失割合の決定においては裁判所の基準をもとにすることが実務上多く行われますが、このように、基準では考慮しつくされていない事実、要素によりこれを修正すべき事案もあります。安易に保険会社の主張をうのみにすることなく、刑事記録の取得をはじめとして事実関係・事故態様は徹底的に検討しなければなりません。
2逸失利益について
被害者は逸失利益における労働能力喪失率として20%(事故前と比較して20%程度労働能力を喪失したもの)と主張していました。
一方で、相手方保険会社担当者は、鎖骨の変形障害については労務に影響を与えないとして、労働能力喪失率として14%が妥当であると主張していました。確かに変形障害が労務に影響を与えるか否か、与えるとしてその程度について裁判でも争いになることは多いです。
しかし、本件では被害者が左肩の症状により仕事を辞めざるを得ないほどの影響を受けていること等をし、最終的には、当事務所が主張したとおりの労働能力喪失率が認められました。
依頼者様の感想
期待通りの内容で解決できました。ありがとうございました。
※プライバシー保護のため、地名については実際にお住まいの場所の近隣ですが実際とは異なる場所を記載してあることがあります。
文責:弁護士 粟津 正博
本事例へのよくある質問
- 刑事記録の取り寄せはどの段階でできますか?
- 通常は加害者の刑事手続きが終了した段階で取り寄せ可能となります。
- 後遺障害11級の労働能力喪失率は何パーセントになりますか?
- 通常は20%となります。
- 変形障害の場合、身体への影響が少ないということで通常の基準以下の労働能力喪失率を保険会社が主張することがあります。争った方がよいかどうかは個別の事案によるところも大きいので交通事故に詳しい弁護士に一度ご相談することをお勧めします。