脊柱の後遺障害の異議申立で14級が9級となり670万円を獲得した事例

最終更新日:2023年03月09日

監修者
よつば総合法律事務所
弁護士
根來 真一郎
当初の提示額
80万円
最終獲得金額
670万円
8.3 増額
東京都足立区・50代・男性・自営業
病名・被害
頚椎捻挫、腰椎捻挫、脊柱の障害
けがの場所
腰・背中
最終獲得金額
670万円
後遺障害等級
9級

事故の状況

西浦さん(仮名)は車を運転していました。すると、信号待ちで停止中にバックから衝突されました。

信号待ちで停車中の事故だったので、西浦さんは100%被害者です。

ご相談内容

西浦さんは頚椎捻挫腰椎捻挫と診断されました。9カ月ほど通院を続けます。しかし、首や腰にしびれや強い痛みなどが残りました。

西浦さんの後遺障害は、次の通り最初は14級になりました。

  1. 首の痛みについて「局部に神経症状を残すもの」(14級9号)
  2. 腰の痛みについて「局部に神経症状を残すもの」(14級9号)
  3. 2つをあわせて併合14級

西浦さんは後遺障害の認定結果に納得できず、弁護士に相談します。

西浦さんの症状からすると、14級という後遺障害は明らかに軽いという印象を弁護士は受けます。そこで、後遺障害への異議申し立てを含めて弁護士が代理することとなりました。

西浦さんのご相談内容のまとめ

  1. 後遺障害14級に納得できない。
  2. 後遺障害の異議申し立てできるのであればしたい。
  3. 賠償金が増えるのであれば増やしたい。

脊柱の後遺障害

弁護士の対応と結果

西浦さんの後遺障害の等級は14級です。後遺障害診断書の診断名は頚椎捻挫や腰椎捻挫でした。また、他の診断名を想起させるような記載もありませんでした。そのため、14級の認定は一見すると妥当なようにも思えました。

しかし、西浦さんの症状からすると、14級はどう考えても軽すぎるのではないかと考えざるをえませんでした。そのため、カルテを取り寄せて検討をすることとしました。

そして、カルテの分析をしたところ、後遺障害診断書には記載が一切ないものの、脊柱に障害が残っている可能性がありました。

弁護士は西浦さんと相談し、必要な書類をそろえて異議申し立てをします。すると、考えは見事に的中し「神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」(9級10号)となりました。

14級から9級への大幅な変更です。

その後、弁護士は保険会社と交渉し、最終的には670万円を獲得します。はじめの提示額が80万円だったので、約8.3倍に増えました。

今回の事案の特徴

  1. 後遺障害診断書には頚椎捻挫や腰椎捻挫の記載
  2. カルテを取り寄せしたところ、脊柱の障害がある可能性を発見
  3. 異議申し立てにより、14級が9級に変更
  4. 80万円から670万円と獲得額が8.3倍に増額

解決のポイント

1. カルテの分析に基づく異議申し立ての成功

後遺障害診断書には記載がないとしても、カルテには記載がある病名や症状があります。

今回は、カルテを取り寄せしたところ、後遺障害診断書にはない症状を見つけることができました。その結果、異議申し立てで14級が9級になりました。

異議申し立ては論より証拠です。カルテ、医師の診断書、症状固定の後の通院状況がわかる資料、車両の損傷状況など、追加の証拠の提出を検討しましょう。

2. 既往症をめぐる交渉に成功

既往症とは事故前からあった症状です。

西浦さんの後遺障害は14級から9級に変わりました。賠償額ははじめの80万円から跳ね上がるのが普通です。

しかし、西浦さんに既往症があったと保険会社は主張してきました。そして、既往症が症状の大半であると主張してきます。その結果、既に治療費を何百万円も保険会社が支払っているため、むしろ支払いすぎであると伝えてきました。

具体的には400万円以上が払いすぎになっていて、場合によっては返金の請求をするとのことでした。

たしかに、西浦さんの既往症は保険会社に主張されてもやむをえない症状ではありました。しかし、保険会社の主張は、賠償責任を免れるために深く検討せずに行っていることが明白な、余りにもおかしい主張でした。

保険会社の意見は明らかにおかしいことを弁護士は粘り強く主張します。最終的に約670万円という適正な金額で解決することができました。

マイナス400万円からの交渉開始のため、実質的には1000万円以上の増額に成功しました。

ご依頼者様の感想

ありがとうございました。

(東京都足立区・50代・男性・自営業)

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本事例へのよくある質問

Q後遺障害診断書に書いていない傷病名や自覚症状は審査の対象にならないのですか?

原則として審査の対象にはなりません。後遺障害診断書の傷病名や自覚症状の欄に漏れがあるときは、医師に加筆をお願いしてみましょう。

Q既往症とは何ですか?

過去の病気や持病などです。既往症があると、保険会社が次のような主張をしてくることがあります。

  1. 今の症状は事故とは関係がない。
  2. 今の症状は事故とは関係はあるものの、損害額を〇%減額する。

保険会社の主張が過剰である事案も多々あります。悩んだら交通事故に詳しい弁護士への相談をおすすめします。

監修者
よつば総合法律事務所
弁護士
根來 真一郎

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