80代女性の専業主婦の死亡事故で、3650万円を裁判で獲得した事例
最終更新日:2023年04月17日

- 監修者
- よつば総合法律事務所
- 弁護士
- 佐藤 寿康

- 病名・被害
- 死亡
- 最終獲得金額
- 3650万円
- 事例の特徴
- 死亡事故
事故の状況
宮里さん(仮名)は道路を歩いて横断していました。すると、車とぶつかる被害にあいました。
ご相談内容
宮里さんは車の下敷きになります。残念ながらお亡くなりになってしまいました。
事故の2日後に宮里さんの家族は弁護士に相談します。次のようなことが心配だったからです。
- 宮里さんには借金があったので、今後の借金の扱い
- 交通事故の手続きの今後のこと
死亡事故という重大事故でもあることから、宮里さんの家族は弁護士に頼むことにしました。
弁護士の対応と結果
債務の調査
まずは宮里さんの債務の調査です。ご遺族と弁護士で宮里さんの債務を調査しました。
小口の債務はいろいろありました。もっとも、大きな債務は税金の滞納でした。トータルで数千万円の債務があります。
交通事故の損害賠償の手続きを進めることを選択
宮里さんの債務は数千万円です。他方、交通事故の損害賠償の手続きでは3000万円を超える金額をもらえる見通しがありました。
もらえる金額の方が多そうだったので、相続放棄はせずに、損害賠償の手続きを進めることにしました。
自賠責保険に請求して3000万円を獲得
弁護士は自賠責保険に請求をします。その結果、自賠責保険の死亡事故の上限額である3000万円を自賠責保険会社から先にもらうことができました。
自賠責保険金3000万円を使って債務を返済
債務は放置しておくと利息や損害金が増えていきます。そこで、自賠責保険3000万円を使って、宮里さんの家族は債務を返済しました。無事に債務はなくなりました。
任意保険会社との交渉は決裂
弁護士は任意保険会社との交渉をスタートします。
しかし、交渉はうまく進みません。
宮里さんの相続人には相続放棄をした人がいました。そして、保険会社の回答としては、相続人全員一致の意見でないと交渉での解決はできないということでした。
そのため、任意保険会社との交渉は決裂します。
裁判を起こして追加で650万円を獲得
交渉での解決はできなかったため、宮里さんの家族と相談のうえ、弁護士は裁判を起こします。
過失割合や逸失利益などが争いとなりましたが、650万円を受け取る合意が裁判所でまとまりました。
先に3000万円を受け取っていたので、トータルで3650万円を受け取る解決となりました。
注 裁判期日は複数回開かれます。
注 証人尋問とは当事者が裁判所で話す手続です。行われる場合と行われない場合があります。
解決のポイント
1. 債務の返済資金の調達
弁護士は自賠責保険に請求をすることにより、先に3000万円の保険金を受け取りました。
宮里さんが滞納していた税金には年14.5%の延滞税がかかります。延滞税だけでも相当な金額となるものでした。
そのため、先にもらった3000万円を使って滞納していた税金を返済することにより、延滞税がどんどん増えていくことを防げました。
2. 過失割合を95対5で合意
宮里さんは横断歩道ではないところを横断していました。そのため、一定の過失割合が宮里さんにもありました。
保険会社は、高齢者が横断歩道ではないところを横断していたときの標準的な割合である85対15を主張します。
しかし、実況見分調書などの刑事記録を元に弁護士は反論します。
その結果、過失割合は95対5と宮里さんに10%有利になりました。
3. 70歳以上の女性の平均賃金を元にして逸失利益を計算
宮里さんは80代の専業主婦です。専業主婦でも逸失利益を請求できます。
保険会社の主張する逸失利益は、70代以上の女性の平均賃金の20%を基礎とするものでした。あまりに低いものでした。
宮里さんの家事の実態などをまとめて、弁護士は裁判で主張を続けます。
その結果、70歳以上の女性の平均賃金を元にして逸失利益を計算することとなりました。大幅に逸失利益が増える結果となりました。
ご依頼者様の感想
突然のことで、何から手を付けてよいか分かりませんでした。そこを整理していただいて助かりました。
(東京都足立区・80代・女性・専業主婦のご家族)
本事案は実際のお取り扱い案件ですが、プライバシー保護のため、事案の趣旨を損なわない範囲で一部内容を変更や省略していることがあります。写真はイメージ画像であり実際のお客様とは異なります。記載内容は当事務所のPRを含みます。
本事例へのよくある質問
- Q死亡事故の場合、先に自賠責保険に請求するメリットは何ですか?
-
先に自賠責保険に請求すると、次のようなメリットがあります。
- 最終的な示談前にまとまったお金を受け取ることができます。
- 過失相殺があるときは、自賠責保険を先に請求した方が受領できる金額が多くなることがあります。
- Q高齢者の逸失利益の請求で注意すべき点は何ですか?
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基礎収入(年収)を低めにされないようにしましょう。また、死亡事故だと年金部分の逸失利益が認められます。示談のときに漏らさないようにしましょう。

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