大腿骨骨折(10級)で、保険会社提示額は500万円だったものの、裁判を起こして1510万円を獲得できた自営業の60代税理士の事例
最終更新日:2023年04月17日

- 監修者
- よつば総合法律事務所
- 弁護士
- 大友 竜亮

- 病名・被害
- 右大腿骨骨折
- けがの場所
- 足・股・膝
- 最終獲得金額
- 1510万円
- 後遺障害等級
- 10級
事故の状況
山田さん(仮名)は自転車でまっすぐ進んでいました。すると、道路の外のお店の駐車場から道路に出てくる車とぶつかりました。
ご相談内容
山田さんのけがは右大腿骨骨折の重傷です。痛みや足の動く範囲の制限が生じました。1か月ほど入院し、1年5か月ほど通院を続けます。
山田さんは自営業で税理士として働いていました。仕事への影響もありました。
後遺障害は10級11号
山田さんの大腿骨骨折後の動く範囲の制限は「一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの」(10級11号)の後遺障害となりました。
保険会社の提示額は500万円
後遺障害の認定のあとは賠償金の交渉です。保険会社が提示する金額は500万円でした。
しかし、山田さんの足には動く範囲の制限があります。また、1年6か月も入院や通院を続けてきました。しかも、後遺障害は10級です。
保険会社の提示はあまりにも少ないものでした。
弁護士に金額を相談
山田さんも、保険会社が提示する金額が少ないと感じていました。そこで、山田さんは弁護士に相談します。
山田さんは弁護士から次のようなアドバイスを受けました。
- 500万円の賠償額はあまりにも少なすぎる。
- 1000万円以上になる可能性は高い。
- 弁護士に依頼をした方がよさそう。
山田さんも弁護士に頼んだ方がよいと考えていました。そこで、山田さんは弁護士に頼むことにしました。
弁護士の対応と結果
弁護士は保険会社との交渉をスタートします。
交渉で500万円から800万円までは増額
保険会社が提示する500万円は明らかにおかしいものでした。そのため、交渉にて800万円までは比較的簡単に増えました。
しかし、800万円でもまだまだ金額としては少ないものでした。
裁判で1510万円に増額
弁護士は山田さんと相談のうえで裁判を起こします。裁判では逸失利益などが争いになったものの、最後は1510万円で合意できました。
はじめの金額が500万円だったので、約3倍にもらえる金額が増えました。
注 裁判期日は複数回開かれます。
注 証人尋問とは当事者が裁判所で話す手続です。行われる場合と行われない場合があります。
解決のポイント
1. 裁判を起こすかどうかを慎重に検討
今回の事故では、はじめの保険会社の提案は500万円でした。そして、交渉で800万円まで賠償額は増えました。
もっとも、弁護士は裁判をしたときの見通しを検討します。その結果、裁判での見通しは1000~1500万円位というものでした。そのため、裁判を起こすことにしました。
裁判をすれば必ず賠償額が増えるわけではありません。裁判をすると賠償額が減ることもあります。
裁判をするときは、事前に交通事故に詳しい弁護士と相談をしてからにしましょう。
2. 納得できる税理士の逸失利益を獲得
逸失利益とは、後遺障害により生じた減収分の賠償です。
山田さんは自営業の税理士でした。裁判では、後遺障害がどのように仕事に影響するのかが争いとなりました。
保険会社は次のように逸失利益はほぼゼロと主張します。
- 税理士は机に座ってする仕事なので大腿骨骨折の影響は少ない。
- 実際にも収入は減少していない。
これに対して、入念なヒアリングのうえで、弁護士は次のような準備をして反論します。
- 後遺障害の仕事への影響をまとめた、山田さん本人作成の書面
- 山田さんの事故前後の仕事内容の変化をまとめた、山田さんの同僚作成の書面
- 収入の減少がないのは本人の頑張りや周りの協力があってのことであることをまとめた書面
最終的には、山田さん本人が十分に納得できる和解案が裁判所から出ます。大幅に逸失利益が増額して解決できました。
ご依頼者様の感想
訴訟提起をして増額できて満足しています。ありがとうございました。
(千葉県柏市・60代・男性・自営業)
本事案は実際のお取り扱い案件ですが、プライバシー保護のため、事案の趣旨を損なわない範囲で一部内容を変更や省略していることがあります。写真はイメージ画像であり実際のお客様とは異なります。記載内容は当事務所のPRを含みます。
本事例へのよくある質問
- Q大腿骨骨折後の関節の動く範囲の制限はどのような後遺障害になりますか?
-
次のような後遺障害になることがあります。
- 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの(8級7号)
- 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの(10級11号)
- 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの(12級7号)
- Q本事例の1年5カ月という通院期間は妥当な期間ですか?
-
大腿骨骨折の通院期間は症状によって異なります。
比較的重症のときは、1年半前後の通院期間となることもあります。他方、比較的軽症のときは半年程度の通院期間となることもあります。
治療費打ち切りの打診が保険会社からあったときは、①治療継続と②後遺障害申請のいずれに進むのかを慎重に検討しましょう。
- Q自営業の税理士の交通事故で問題となりやすい点は何ですか?
-
次の点が問題となりやすいです。
自営業の休業損害や逸失利益はもめやすいです。悩んだら、まずは交通事故に詳しい弁護士への相談をおすすめします。

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