確定申告をしていない自営業男性でも、弁護士が収入に関する証拠を集めて交渉をしたところ、休業損害と逸失利益が認められ、2200万円を獲得した事例
最終更新日:2023年03月14日

- 監修者
- よつば総合法律事務所
- 弁護士
- 粟津 正博

- 病名・被害
- 鎖骨偽関節、左母趾末節骨骨折
- けがの場所
- 鎖骨・肩甲骨・肋骨・胸骨足・股・膝
- 最終獲得金額
- 2200万円
- 後遺障害等級
- 12級
事故の状況
神尾さん(仮名)は車を運転していました。すると、反対車線からセンターラインオーバーの車が突進してきます。神尾さんは避けることができず衝突します。
センターラインオーバーの加害者は、ハンドル操作を誤ったということでした。
ご相談内容
神尾さんは、鎖骨骨折や左母趾末節骨骨折などのけがをします。
神尾さんは型枠大工の自営業でした。しかし、確定申告をしていません。
神尾さんは入院したため、休業損害を保険会社に請求しました。しかし、確定申告をしていないことを理由に、保険会社は生活ができないほど低い金額を提示してきました。そこで、神尾さんは困ってしまい、弁護士に相談しました。
弁護士の話では、確定申告をしていなくても、他の資料で収入の証明ができれば休業損害が増える可能性があるということでした。神尾さんは生活に困っていたため、弁護士に頼むことにしました。
神尾さんのご相談内容のまとめ
- 休業損害の金額が少ない。
- 事故のせいで生活に困っている。
弁護士の対応と結果
神尾さんは生活に困っていました。そのため、まずは弁護士は休業損害の請求をすることとします。
弁護士は次のような資料を集めました。
- 取引先が発行する請求書や領収書などの資料
- 神尾さんの預金通帳
- 会社の帳簿のようなメモ
資料を集めて保険会社に請求をしたところ、ある程度の休業損害を保険会社は支払いました。神尾さんは治療に専念できるようになりました。
約2年間神尾さんは治療を続けました。しかし、足の指を事故前と同じように動かせるようにはなりませんでした。
弁護士が後遺障害の申請をしたところ、「一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの」(12級12号)の後遺障害となりました。
その後、弁護士は保険会社との交渉を続けます。逸失利益などが争いとなったものの、神尾さんは2200万円を受け取ることができました。
弁護士の対応と結果のまとめ
- 休業損害の交渉により毎月の生活費を確保
- 12級の後遺障害を獲得
- 2200万円を獲得
解決のポイント
1. 確定申告書はないものの休業損害の獲得に成功
神尾さんは左足の痛みを抱えていました。現場での仕事であるため、職場に中々復帰できない状況でした。
自営業の休業損害は、確定申告書が事故前の収入を立証する資料です。もっとも、神尾さんは確定申告をしていません。そのため、生活ができないほど低い金額しか保険会社は提示しませんでした。
確定申告書がないときは、確定申告書以外の収入資料を集め、収入を裏付けることが重要です。次のような資料です。
- 請求書
- 発注書
- 領収書
- 売上台帳
- 通帳
- 経費についての資料
今回は、弁護士が代理してお願いしたところ、取引先が資料を作成してくれました。そして、通帳の入金の履歴と照合して、収入金額を粘り強く説明しました。その結果、休業期間の全期間について支払いがありました。
神尾さんは重症でした。長期の休業となりましたが、休業損害の合計額は約400万円でした。
2. 確定申告書がなくてもある程度の逸失利益の獲得に成功
逸失利益とは、後遺障害による今後の収入減への賠償です。
逸失利益は確定申告書から基礎となる収入を計算するのが原則です。しかし、確定申告書がないので計算ができません。もっとも、神尾さんはまだ20代でした。収入増や転職などによる所得増もありえます。
若年であることや今後の増収の可能性を主張したところ、保険会社は日本人男性の平均年収を元に逸失利益を計算することになりました。
その結果、確定申告書はなかったものの、ある程度の逸失利益の獲得に成功しました。
ご依頼者様の感想
3年間にわたり大変お世話になりました。本当にありがとうございました。
(茨城県神栖市・20代・男性・自営業)
本事案は実際のお取り扱い案件ですが、プライバシー保護のため、事案の趣旨を損なわない範囲で一部内容を変更や省略していることがあります。写真はイメージ画像であり実際のお客様とは異なります。記載内容は当事務所のPRを含みます。
本事例へのよくある質問
- Q確定申告をしていなくても休業損害は支払われますか?
-
仕事により収入を得ていたことが証明できれば、ある程度は支払われるでしょう。
- Q確定申告をしていなくても逸失利益は支払われますか?
-
ある程度は支払われるでしょう。

- 監修者
- よつば総合法律事務所
- 弁護士
- 粟津 正博