事例406鎖骨偽関節、左母趾末節骨骨折
確定申告をしていない自営業男性でも、弁護士が収入に関する証拠を収集して交渉をした結果、休業損害と後遺障害12級が認められ、2,200万円を受領
最終更新日:2023年03月14日
文責:弁護士 粟津 正博
保険会社提示額 : 提示前のご依頼
- 解決額
- 2,200万円
- 怪我の場所
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- 鎖骨・肩甲骨・肋骨・胸骨
- 足・股・膝
- 後遺障害等級
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- 12級
事故発生!自動車対自動車の事故
平成26年某月、神尾健さん(仮名・神栖市在住・20代・男性・自営業)が自動車を運転して直進中、ハンドル操作を誤ってセンターラインをオーバーしてきた自動車に正面衝突されるという事故に遭いました。
相談から解決まで
被害者は事故により、鎖骨骨折、左母趾末節骨骨折等の傷害を負い、約2年の治療を余儀なくされました。
被害者は、型枠大工の自営業でしたが、確定申告をしていませんでした。被害者は、事故により入院を余儀なくされたため、休業損害の内払を保険会社に請求しましたが、当初保険会社は確定申告をしていないことを理由に、生活ができないほど低い金額を提示していました。そこで、弁護士が代理し、取引先に領収書・資料を再発行してもらい、被害者の通帳の履歴と併せて収入があったことを積極的に立証して交渉をしました。結果、一定の休業損害が支払われることとなり、被害者は治療に専念することができました。
その後、当事務所が代理して後遺障害の申請をおこなった結果、左母趾末節骨骨折後の可動域制限について12級12号が認定されました。
自賠責保険金224万円を受領後、相手方保険会社と交渉し計2,200万円を受領する内容で示談解決となりました。
当事務所が関わった結果
当事務所が依頼を受け、相手方保険会社と交渉を行った結果、一定の休業損害の内払を受けることができました。後遺障害が認定され、最終的に計2,200万円を受領することができました。
解決のポイントは以下の点です。
1休業損害について
被害者は左足の痛みを抱えており、現場での仕事である為、職場に中々復帰できない状況が続いておりました。原則として、自営業の方の休業損害の認定にあたっては、確定申告書が、事故前の収入を立証する資料になります。もっとも本件では、確定申告書がなかったため、当初保険会社は生活ができないほど低い金額しか支払えない旨主張していました。このようなケースでは、確定申告書以外の収入資料(請求書、発注書、領収書、売上台帳、通帳、経費に関する資料など)を収集し、収入があったことを裏付けることが重要になります。
本件でも、当事務所が代理して、取引先に資料を作成していただき、通帳の入金の履歴と照合して、被害者の主張・収入金額を粘り強く説明した結果、休業期間全期間について内払を受けることが出来ました。被害者は症状のため長期の休業を余儀なくされたのですが、内払を受けた休業損害の合計額は約400万円になりました。
2逸失利益
後遺障害が認定された場合、将来の収入の減少に伴う賠償金(逸失利益)を受領することができます。この逸失利益の算定にあたっても、確定申告書から基礎となる収入を認定することが保険会社・裁判所の考え方です。
本件では、上述のとおり確定申告がなかったものの、被害者がまだ20代と若く収入増、転職等の可能性がある旨を指摘して、日本人男性の平均年収(賃金センサス)を基礎に、逸失利益を算定する内容で示談をすることができました。
依頼者様の感想
3年間にわたり大変お世話になりました。本当にありがとうございました。
※プライバシー保護のため、地名については実際にお住まいの場所の近隣ですが実際とは異なる場所を記載してあることがあります。
文責:弁護士 粟津 正博
本事例へのよくある質問
- 確定申告をしていなくても休業損害は認められますか?
- 仕事により収入を得ていたことが証明できれば認められます。
- 確定申告をしていない場合、証拠が乏しいため、認められる休業損害額は実際の損害額より少なくなることが多いです。
- 確定申告をしていなくても逸失利益は認められますか?
- ある程度は認められるでしょう。
- 逸失利益は将来の収入減の予測分が認められることとなります。そのため、証拠が乏しくてもゼロになることはないでしょう。