兼業主婦女性が、脳挫傷後の症状により12級13号となり600万円を受領した事例
最終更新日:2023年02月27日

- 監修者
- よつば総合法律事務所
- 弁護士
- 粟津 正博

- 病名・被害
- 脳挫傷・外傷性くも膜下出血・急性硬膜下出血
- けがの場所
- 頭部
- 最終獲得金額
- 600万円
- 後遺障害等級
- 12級
- 事例の特徴
- 高次脳機能障害
事故の状況
今川さん(仮名)は歩道を歩いていました。歩道から道路に出たときに、今川さんの右から車がものすごいスピードで進んできます。
今川さんはよけることができず、車とぶつかりました。脳挫傷、外傷性くも膜下出血、急性硬膜下出血のけがをしました。
ご相談内容
今川さんは6カ月の治療を続けました。しかし、症状は100%は治らずに症状固定となりました。
加害者の任意保険会社経由で後遺障害の手続きをすすめたところ、頭部について「局部に頑固な神経症状を残すもの」(12級13号)となりました。
保険会社は今川さんに賠償額の提案をします。金額は約200万円でした。今川さんは200万円という提案額が低すぎるのではないかと疑問を持ち、弁護士に相談することしました。
弁護士が確認したところ、200万円という金額はかなり少ないものでした。そのため、弁護士が代理して保険会社と交渉することになりました。
今川さんのご相談内容のまとめ
- 保険会社からの提案額200万円が疑問である。
- 金額が増額できるのであれば増額したい。
弁護士の対応と結果
弁護士が代理して相手の保険会社との交渉をスタートします。休業損害と逸失利益が特に少なかったため、2点を特に重視して交渉することにしました。
今川さんは兼業主婦です。しかし、保険会社はパート収入分のみの休業損害を計上していました。保険会社の提示する休業損害は約10万円でした。
しかし、今川さんは事故後も強い頭痛などの症状があり、家事にも支障がありました。また、60代と高齢ではあったものの、通常の主婦と変わらない家事を今川さんはしていました。
結果として、保険会社は主婦としての休業損害を認め、100万円ほどを支払うこととなりました。
また、相手保険会社は当初、被害者に残った症状は将来の家事に影響がないため逸失利益はゼロと主張していました。
しかし、今川さんは事故後時間がたっても頭痛などに悩んでいました。また、今川さんの頭痛は将来の労働にも十分影響があるものでした。
結果として、保険会社は主婦としての一定の逸失利益を認め、一定額を支払うこととなりました。
最終的には保険会社は600万円を支払います。弁護士が入る前の提示額が200万円でしたので3倍に賠償額が増えました。
弁護士の対応と結果のまとめ
- 兼業主婦の休業損害を認めさせた。
- 兼業主婦の逸失利益を認めさせた。
- 200万円から600万円に賠償額を増額させた。
解決のポイント
1. 兼業主婦の休業損害の獲得
兼業主婦も主婦分の休業損害を請求できます。保険会社の提示には兼業主婦の休業損害が漏れていることが多いですので注意しましょう。
2. 兼業主婦の逸失利益の獲得
兼業主婦も主婦分の逸失利益を請求できます。主婦分の逸失利益は漏らしやすかったり、増額しやすかったりする項目ですので注意しましょう。
3. 医学的な証拠や書面に基づく主張
今川さんは、事故後からずっと頭痛などに悩んでいました。保険会社との交渉中も頭痛などに悩んでいました。今川さんの頭痛は将来の労働に十分影響がある状態でした。
しかし、後遺障害診断書には今川さんの自覚症状の記載が全くありませんでした。そのため、保険会社は後遺障害診断書の記載内容からすると症状は大したものではないと主張していました。
そこで、弁護士は次のような資料をまとめました。
- 今川さんの現在のけがの状況がわかる資料
- 今川さんの具体的な事故前後の家事の状況の比較の資料
- MRI画像に脳挫傷痕が残っていることを元にした主張に関する資料
資料をまとめて保険会社に出したところ、一定の休業損害と逸失利益が賠償の対象となりました。
今川さんの後遺障害診断書の内容は簡潔すぎて、少し問題がありました。診断書の記載ひとつで後遺障害の内容や賠償金が大きく変わることがあります。後遺障害診断書の作成前に、一度は交通事故に詳しい弁護士に相談することを強くおすすめします。
ご依頼者様の感想
こんなに増額していただいて感謝します。ありがとうございます。
(千葉県山武市・60代・女性・兼業主婦)
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本事例へのよくある質問
- Q頭部外傷はどのような後遺障害となりますか?
-
頭部外傷は次の後遺障害になることがあります。
等級 認定基準 1級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの 2級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの 3級3号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの 5級2号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの 7級4号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの 9級10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの 14級9号 局部に神経症状を残すもの
- Q脳挫傷で12級以上の後遺障害となるのはどのようなときですか?
-
画像上で脳挫傷の証拠があれば12級以上になることが多いです。

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- 弁護士
- 粟津 正博