事例165左肘脱臼骨折・骨盤骨折
会社員が、左肘脱臼骨折後の左肘関節痛について12級13号、骨盤骨折後の左そけい部痛・尾骨部痛の症状について14級9号の認定を受け、相手方保険会社から880万円(自賠責保険金を含む)を獲得した事例
最終更新日:2023年05月31日
文責:弁護士 粟津 正博
保険会社提示額 : 提示前のご依頼
- 解決額
- 880万円
- 怪我の場所
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- 骨盤骨
- 手・肩・肘
- 足・股・膝
- 後遺障害等級
-
- 12級
- 14級
事故発生!バイク対自動車の事故
平成27年某月、前島さん(仮名・市原市在住・50代・男性・会社員)が、自動二輪車を運転して直進中、路外から左折進入して来た四輪車に衝突されるという事故に遭いました。
相談から解決まで
被害者は、当初、左肘脱臼骨折、骨盤骨折、顔面挫傷、右距骨挫傷と診断され、左肘可動域制限、左肘関節痛、左手関節痛、左手指の脱力感、左そけい部痛、尾骨部痛、右足関節痛に悩まされました。被害者は、事故から1年と2か月治療を継続し、後遺障害として、左肘脱臼骨折後の左肘関節痛について12級13号、骨盤骨折後の左そけい部痛・尾骨部痛の症状について14級9号の併合12級の認定を受けました。
その後、相手方保険会社との賠償交渉を行った結果、自賠責保険金を含め(治療費を含まない)、880万円を受け取ることで示談をしました。
当事務所が関わった結果
当事務所が依頼を受けた結果、880万円を受け取ることで示談をしました。
解決のポイントは以下の点です。
1逸失利益(基礎収入)
本件で、被害者の給料は、毎年4月に昇給をしていました。
通常、逸失利益の算定にあたっては、事故前年の源泉徴収票を参照することが多いのですが、本件では、これによらず、昇給を加味した基礎収入を認定すべきであることを主張しました。
結果として、源泉徴収票記載額より高い基礎収入額で示談をしました。
2逸失利益(労働能力喪失期間)
本件では、後遺障害として、神経系統の機能の障害(12級13号)が認定されていました。この等級の場合、裁判上、労働能力喪失期間が10年間に限定されることが多いのですが、本件では、被害者の具体的な仕事の内容、残存する症状を主張し、これを上回る労働能力喪失期間を前提として示談をしました。
依頼者様の感想
また何かありましたらお願い致します。
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文責:弁護士 粟津 正博
本事例へのよくある質問
- 逸失利益の算定における基礎収入や労働能力喪失率はどのように考えられているのでしょうか?
- 逸失利益の算定は労働能力低下の程度、収入の変化、将来の昇進・転職・失業等の不利益の可能性、日常生活上の不便等を考慮して行うとされています。
交通事故に遭い受傷された方は、一定期間治療を行っても残念ながら後遺症が残ってしまうことがあります。そして、その後遺症の影響により、事故前まではできていた仕事が内容面や時間面等で、事故前と同じようにはできなくなってしまうことがあります。
例えば、事故前までは重い荷物等を運ぶ仕事をしていた方が、事故によって腰の後遺症が残り重い荷物を運ぶことができなくなってしまったり、複雑な計算を伴う研究を行っていた研究職の方が脳に後遺障害が残ってしまい事故前と同様の研究をすることができなくなってしまった場合等です。
また、時間面でも、例えば、事故前は家事労働として食事の準備を短時間で行っていた方が、後遺症により長時間立って作業を行うことが困難になったため、同じ料理を作ることにも事故前に比べて倍の時間がかかるようになってしまったりする場合があります。
このように後遺症が残存し労働能力が低下することで生じる損害を賠償しようとするものが逸失利益となります。 - 逸失利益算定の基礎となる収入は、原則として事故前の現実収入が基礎とされます。
具体的には、事故前の給料明細や事故前年の源泉徴収票の金額等が参照されます。ただし、将来において現実収入以上の収入を得られる可能性が高かったことの立証がなされた場合は、その金額を基礎収入として請求できる場合があります。
また、現実収入額が賃金センサスの平均賃金を下回っていても、将来平均賃金程度の収入を得られる蓋然性が認められる場合は、平均賃金を基礎収入とすることができるとされます。 このように、事故前の現実収入よりも高い収入を得られる可能性が十分あった方については、その根拠を具体的に主張していくことで、将来得られたであろう適正な収入金額に基づいて逸失利益の賠償金額を得ることが可能な場合があります。 - 労働能力喪失期間については、その始期は症状固定日とし、終期を67歳として計算されるとされています。
ただし、終期については、職種、地位、健康状態、能力等により上記原則と異なる判断がなされる場合もあります。また、むち打ち症の場合は、後遺障害等級12級で10年程度、14級で5年程度に制限される例が多くみられますが、後遺障害の具体的症状に応じて適宜判断すべきであるとされています。
そのため、労働能力喪失期間についても、その方の後遺症が労働に与える影響の程度及び期間等を具体的に主張していくことで、被害にそった逸失利益を請求していくことが可能となります。
- 逸失利益の算定は労働能力低下の程度、収入の変化、将来の昇進・転職・失業等の不利益の可能性、日常生活上の不便等を考慮して行うとされています。