会社役員が、左膝靭帯損傷後の左膝動揺関節の症状について、12級7号となり、人身傷害保険金のほか、970万円を獲得した事例
最終更新日:2023年02月08日

- 監修者
- よつば総合法律事務所
- 弁護士
- 佐藤 寿康

- 病名・被害
- 左膝前十字靭帯断裂・左膝内側側副靭帯損傷
- けがの場所
- 足・股・膝
- 最終獲得金額
- 970万円
- 後遺障害等級
- 12級
事故の状況
入来さん(仮名)は自転車に乗っていました。道路をまっすぐ進んでいたところ、脇の小道から自動車が飛び出してきました。
入来さんは避けようとしましたが避けきれません。車とぶつかります。自転車は倒れ、入来さんも倒れました。
入来さんは、頭部打撲、胸部打撲、右肘靭帯損傷、左膝前十字靭帯断裂、左膝内側側副靭帯損傷、左膝内側半月板損傷などのケガをします。
満足に歩くこともできず、事故後6カ月はほぼ寝たきりでした。左膝前十字靭帯の再建手術して、可動域の確保などリハビリに励みます。しかし、左膝関節が安定しないという症状が残ってしまいました。
ご相談内容
入来さんの膝は「一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの」(12級7号)となりました。保険会社からは約515万円の示談金の提案が届きます。
入来さんは、保険会社からの提案が妥当かどうかよくわかりません。そのため、弁護士に相談することにしました。
弁護士が確認したところ、約515万円の示談金は低い金額でした。弁護士のアドバイスを聞いて、入来さんは弁護士に頼むことにしました。
入来さんのご相談内容のまとめ
- 保険会社から届いた示談金の額が妥当かよくわからない。
- もらえる保険金が増えるのであれば弁護士に頼みたい。
弁護士の対応と結果
弁護士は、加害者の任意保険会社との交渉を始めました。しかし、交渉がまとまらなかったため、交通事故紛争処理センターへ申立をします。紛争処理センターでは約970万円を受け取る合意がまとまりました。
また、過失相殺がある事故だったため、入来さんが入っている保険の特約である人身傷害保険にも請求しました。人身傷害保険からは約310万円をもらえます。
合計でもらえた金額は約1280万円でした。
入来さんが受け取った金額のまとめ
任意保険会社 | 970万円 |
---|---|
自らの保険会社 | 310万円 |
合計 | 1280万円 |
解決のポイント
1. 交通事故紛争処理センターの利用
弁護士は相手方保険会社と協議しましたが、後遺障害の逸失利益が合意できませんでした。
入来さんは会社の取締役でした。会計上は入来さんの役員報酬はゼロでした。だからといって、労働能力喪失期間が約30年である逸失利益が低額になるのはおかしいです。
そのため、交通事故紛争処理センターへ申立をしました。その後、それなりに納得できる和解案が出たため、合意することができました。
2. 人身傷害保険会社との協議
人身傷害保険とは、交通事故でケガなどしたときの損害を補償する、自らの任意保険の特約です。
入来さんは人身傷害保険に入っていました。
人身傷害保険のルールは複雑です。加害者の任意保険と人身傷害保険のどちらから先に受け取るかにより、もらえる金額が変わることもあります。
今回は、加害者の任意保険会社との交渉と、自らの人身傷害保険の交渉を並行して行いました。結果として、入来さんにも過失はありましたが、過失分は人身傷害保険からもらうことができました。
ご依頼者様の感想
ありがとうございました。
(千葉県我孫子市・30代・男性・会社役員)
本事案は実際のお取り扱い案件ですが、プライバシー保護のため、事案の趣旨を損なわない範囲で一部内容を変更や省略していることがあります。写真はイメージ画像であり実際のお客様とは異なります。記載内容は当事務所のPRを含みます。
本事例へのよくある質問
- Q会社役員の逸失利益の注意点は何ですか?
-
会社役員の逸失利益は、年収全額が賠償の対象とならないことがあります。自分の稼働と役員報酬の対価関係が明確であることを主張しましょう。
- Q人身傷害保険を使うのはどのようなときですか?
-
次のようなときは人身傷害保険を使うことが多いです。
- 単独事故のとき
- 過失がある事故のとき
- 加害者が無保険のとき
- 加害者が事故を認めないなどのとき
- 加害者の任意保険会社が治療費や休業損害を打ち切るとき
- Q交通事故紛争処理センターのメリットとデメリットは何ですか?
-
次のようなメリットとデメリットがあります。
メリット- 交渉に比べて高額の解決水準となることが多いです。
- 裁判に比べて手続きが簡単です。
- 最終的には裁定(決定)により、保険会社と合意をしないでも解決できます。
- 交渉と比べて手続きが複雑です。
- 裁判と比べて低額の解決水準となってしまうことがあります。
- 保険会社が裁判を希望して手続きが進まないことがあります。

- 監修者
- よつば総合法律事務所
- 弁護士
- 佐藤 寿康