事例108頚椎症性脊髄症
頸椎症性脊髄症により頚椎椎弓形成術を行った結果、7級4号の後遺障害が認められた事例
最終更新日:2023年03月03日
文責:弁護士 大澤 一郎
保険会社提示額 : 提示前のご依頼
- 解決額
- 2,800万円
- 病名・被害
-
- 脊髄損傷
- 怪我の場所
-
- 首
- 腰・背中
- 後遺障害等級
-
- 6~8級
事故発生!自動車対トラックの事故
平成23年冬、坂本良子様(仮名、35才、千葉県千葉市在住)は自動車を停止していたところ、後部からトラックで衝突されました。
相談から解決まで
被害者は頸椎症性脊髄症と診断され、頚椎椎弓形成術を行いました。症状があまり改善されないこともあり、後遺障害診断書を提出し、後遺障害等級認定の申請をしたところ、「神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」として後遺障害等級7級4号に認定されました。
その後、紛争処理センターへの申立を行い、総額約2,800万円での和解をすることができました。
当事務所が関わった結果
非常に難事件でしたが、当事務所が関わった結果解決をすることができました。
解決のポイントは以下の点です。
1素因について
被害者には従前の素因があったのではないかとの疑いがありました。そのため、主治医への面会や書面での照会を行ったり、医学文献を提出することなどにより素因の影響をできるだけ抑えるための活動を行いました。結果的には、素因10%という前提での和解ができました。
素因減額の保険会社の主張に対しては、主治医による回答書の作成が非常に効果的です。なお、主治医への照会をする際には一般的に以下のような注意事項があります。
- (1)そもそも、協力をしていただけるのかどうか。
- (2)協力をしていただけるとして、書面による照会がよいのか、それともお会いした方がよいのか。
- (3)照会事項について争点との関係でどのように記載すればよいか。
- (4)医師との関係を良好にするために、その他どのような点に配慮すべきか。
2後遺障害等級7級4号の妥当性について
等級の妥当性について医学的な見地から十分に検証を行いましたが、妥当であると判断しました。
3早期の解決
裁判をした場合、等級そのものが争いとなったり、また、素因減額についてさらに争いとなることが予想されました。そのため、早期の解決を重視するという趣旨で紛争処理センター申し立てという選択を行いました。
休業損害の期間や逸失利益の期間なども争点となりましたが、裁判基準に近い水準での和解ができました。
依頼者様の感想
先生が妥当と考える案なので和解しました。よかったです。
※プライバシー保護のため、地名については実際にお住まいの場所の近隣ですが実際とは異なる場所を記載してあることがあります。
文責:弁護士 大澤 一郎
本事例へのよくある質問
- 紛争処理センターとは何ですか?
- 裁判でも交渉でもない、裁判外での公的な紛争解決期間です。
参考:公益財団法人交通事故紛争処理センター
- 裁判でも交渉でもない、裁判外での公的な紛争解決期間です。
- 紛争処理センターへ申立をするのはどのような場合ですか?
- 裁判、交渉との比較となります。紛争処理センターには①交渉に比べて高額の解決水準となる確率が高い、②裁判に比べて手続きが簡単、③最終的には裁定(決定)により、保険会社と合意をしないでも解決可能、というメリットがあります。そのため、他の方法のメリットと比較検討した上で、個別の事案ごとに解決策を検討することになります。
参考:示談交渉・訴訟の流れの解説や各方法のメリット・デメリットの解説
- 裁判、交渉との比較となります。紛争処理センターには①交渉に比べて高額の解決水準となる確率が高い、②裁判に比べて手続きが簡単、③最終的には裁定(決定)により、保険会社と合意をしないでも解決可能、というメリットがあります。そのため、他の方法のメリットと比較検討した上で、個別の事案ごとに解決策を検討することになります。
- 素因減額とは何ですか?
- 元々体に病気があるような場合、賠償額を減らすという制度です。例えば、1,000万円の損害賠償で素因30%と判断されてしまった場合、賠償額は700万円となります。 計算式 1,000万円×70%=700万円
- 頚椎症性脊髄症で7級4号の後遺障害になることは多いですか?
- 一般的には少ないでしょう。
- 後遺障害等級7級4号は、「神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」です。頚椎症性脊髄症の場合、そこまで症状が重くないことが多いため、7級ではなく、14級、12級となる事案の方が多いです。