胸椎圧迫骨折(8級)と肩甲骨骨折(12級)で7級の会社員の賠償額が、裁判で1600万円から6400万円に増えた事例
最終更新日:2023年03月24日

- 監修者
- よつば総合法律事務所
- 弁護士
- 大澤 一郎

- 病名・被害
- 第1腰椎・第11胸椎圧迫骨折・肩甲骨骨折
- けがの場所
- 鎖骨・肩甲骨・肋骨・胸骨腰・背中手・肩・肘
- 最終獲得金額
- 6400万円
- 後遺障害等級
- 6~8級12級
事故の状況
事故現場は信号機のない十字路交差点です。
高田さん(仮名)はオートバイに乗ってまっすぐ進んでいました。すると、高田さんの左から一時停止を無視した車がつっこんできます。
高田さんのオートバイと相手の車はぶつかりました。
ご相談内容
高田さんのけがは第1腰椎圧迫骨折、第11胸椎圧迫骨折、左肩甲骨骨折の重傷です。
重傷だったこともあり、治療を続けたものの完治することはありませんでした。
7級で1043万円を自賠責保険から受領
高田さんは自分で後遺障害の手続きをしたところ、次のとおり併合7級となりました。
- 第1腰椎圧迫骨折、第11胸椎圧迫骨折の脊柱の変形について「脊柱に中程度の変形を残すもの」(8級相当)
- 肩甲骨骨折後の肩関節の動く範囲の制限について「一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの」(12級6号)
- あわせて併合7級
7級になったので、高田さんは自賠責保険から1051万円を先に受け取りました。
任意保険会社の提示は1639万円
任意保険会社は高田さんに賠償金を提示します。金額は1639万9340円です。
高田さんは1639万円という金額が妥当かどうかわからず、弁護士にアドバイスを求めます。
弁護士費用特約はなくても弁護士に依頼
高田さんが弁護士に相談したところ、弁護士から次のようなアドバイスがありました。
- 保険会社の提示額である1639万円は明らかに少ない。
- 特に逸失利益が少ない。
- 休業損害も計算方法が少し間違っている。
- 増額する可能性が高いので、弁護士費用特約がなくても今の時点で弁護士に頼んだほうがよいかもしれない。
高田さんも弁護士に頼んでもよいと考えていたので、そのまま弁護士に頼むことにしました。
弁護士の対応と結果
弁護士と保険会社との交渉は決裂
弁護士は任意保険会社との交渉をスタートします。しかし、金額の開きが大きく交渉は決裂します。
裁判により6400万円を獲得
弁護士は高田さんと相談のうえ、裁判を起こします。
裁判では逸失利益などが大きな争いとなりましたが、おおむね弁護士の主張を前提として合意に至ります。金額は6400万円です。
高田さんは、任意保険会社から6400万円を受け取ることができました。
提示金額 | 解決金額 | |
---|---|---|
治療費 | 1,694,720円 | 1,694,720円 |
交通費 | 68,101円 | 68,101円 |
入院雑費 | 43,500円 | 43,500円 |
その他 | 64,356円 | 64,356円 |
休業損害 | 646,029円 | 922,898円 |
入通院慰謝料 | 1,830,000円 | 1,830,000円 |
後遺障害逸失利益 | 18,228,921円 | 67,063,215円 |
後遺障害慰謝料 | 10,000,000円 | 10,000,000円 |
過失相殺 | 10% | 10% |
既払い額 | 12,918,725円 | 12,918,725円 |
和解のための調整金 | 0円 | 3,341,093円 |
最終支払額 | 16,399,340円 | 64,000,000円 |
解決のポイント
1. 逸失利益の大幅な増額に成功
逸失利益とは、後遺障害により減少した労働能力への賠償です。
はじめに保険会社が提示した逸失利益は1822万8921円でした。これに対して、裁判所で合意した逸失利益は6706万3215円です。
金額が大幅に増えた理由は、証拠で次のような点を証明できたからです。
- 圧迫骨折による変形障害が仕事に与える影響
- 圧迫骨折による変形障害のみではなく、可動域制限や痛みが仕事に与える影響
- 仕事のみではなく私生活にも後遺障害が影響を及ぼしていること
2. 休業損害の増額に成功
休業損害とは、事故後により休業したことへの賠償です。
はじめに保険会社が提示した休業損害は64万29円でした。これに対して、裁判所で合意した休業損害は92万2898円です。
金額が増えた理由は次のような点です。
- 1日あたりの休業損害の計算方法について、保険会社の計算方法が間違っていることを指摘したこと
- 休業損害の期間について、職場が作成した休業損害証明書どおりの期間になったこと
ご依頼者様の感想
ありがとうございました。
(千葉県柏市・30代・男性・会社員)
本事案は実際のお取り扱い案件ですが、プライバシー保護のため、事案の趣旨を損なわない範囲で一部内容を変更や省略していることがあります。写真はイメージ画像であり実際のお客様とは異なります。記載内容は当事務所のPRを含みます。
本事例へのよくある質問
- Q脊椎の圧迫骨折の変形障害はどのような後遺障害になりますか?
-
次のような後遺障害になることがあります。
- 脊柱に著しい変形を残すもの(6級5号)
- 脊柱に中程度の変形を残すもの(8級相当)
- 脊柱に変形を残すもの(11級7号)
- Q肩甲骨骨折はどのような後遺障害になりますか?
-
次のような後遺障害になることがあります。
- 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの(8級6号)
- 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの(10級10号)
- 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの(12級6号)
- 局部に頑固な神経症状を残すもの(12級13号)
- 局部に神経症状を残すもの(14級9号)

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- 大澤 一郎