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逸失利益

最終更新日:2023年4月19日

監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 大澤 一郎

逸失利益
保険会社が提示する逸失利益は適正な金額ではないことが多いです。
この記事では被害者の方に向けて、適正な金額を確認したり金額を増やしたりする方法などを、交通事故に詳しい弁護士がわかりやすくお伝えします。
なお、逸失利益の計算は難しいです。弁護士へのご相談をお勧めします。

逸失利益とは

逸失利益とは事故によって今後減少するであろう収入のことです。
事故により発生する収入減は2種類あります。休業損害と逸失利益です。
逸失利益は後遺障害が認められたときに発生します。

  • 休業損害 症状固定前に発生する収入減
  • 逸失利益 症状固定後に発生するであろう収入減

症状固定までは休業損害、症状固定後は逸失利益となります。
休業損害と逸失利益の違い

逸失利益の計算方法

逸失利益の計算方法は次の通りです。

【逸失利益の計算式】
年収×収入が減るパーセント×収入が減る年数

年収を基礎収入、収入が減るパーセントを労働能力喪失率、収入が減る年数を労働能力喪失期間といいます。

基礎収入

「基礎収入」とは何でしょうか?
基礎収入とは要するに「事故前年度の年収」のことです。たとえば、会社員であれば源泉徴収票の額面金額です。

被害者の事故時の状況により計算方法は変わります。詳細は次の記事を参考にして下さい。

被害者の事故時の状況ごとの基礎収入の解説

労働能力喪失率

「労働能力喪失率」とは何でしょうか?
労働能力喪失率とは要するに「何パーセント収入が減ったか」ということです。
もっとも、今後長期間にわたって何パーセント収入が減るかは誰にもわかりません。そのため認定された後遺障害等級に応じて標準的な割合が決まっています。たとえば、後遺障害14級に認定された場合には、今後5%収入が減るというのが標準的な割合です。

後遺障害等級と労働能力喪失率
後遺障害等級 労働能力喪失率
1級 100%
2級 100%
3級 100%
4級 92%
5級 79%
6級 67%
7級 56%
8級 45%
9級 35%
10級 27%
11級 20%
12級 14%
13級 9%
14級 5%

労働能力喪失期間

「労働能力喪失期間」とは何でしょうか?
労働能力喪失期間とは要するに「収入が減る年数」のことです。

重度の後遺障害では症状固定時から67歳までの期間収入が減るとして計算することが多いです。37歳で症状固定だとすると、30年間収入が減ると計算します。
ただし軽度の後遺障害の場合には、5~10年位の期間収入が減るとして計算することが多いです。
具体的には次の表の通りです。

被害者の状況 労働能力喪失期間
通常の場合 67歳までの年数
18歳未満の子供 49年(18歳から67歳まで)
大学生 大学卒常から67歳までの年数
67歳までの期間が短い場合 「67歳までの年数」と「平均余命の2分の1の年数」のうち長い年数
67歳を超えている場合 平均余命の2分の1の年数
むちうちの場合 14級は5年程度
12級は10年程度

※平均余命は簡易生命表(厚生労働省)を利用することが多いです。

実際には、たとえば、事故で寝たきりになり100%仕事ができなくなったとします。このような場合、補償額は「年収×30年」ではなく、「年収×15.3725(30年のライプニッツ係数)」となります。

逸失利益を増やす方法

逸失利益を増やすには次の方法があります。

  • 年収がより高いことを証明する。
  • 収入が減るパーセントがより多いことを証明する。
  • 収入が減る年数がより長いことを証明する。

年収がより高いことを証明する

自営業者、学生、無職者などでは低めの年収額を保険会社が提示していることがあります。
年収がより高いことを証明することにより、逸失利益を増やすことができます。

収入が減るパーセントがより多いことを証明する

収入が減るパーセントについて保険会社の提示が低いことがあります。
たとえば、後遺障害等級表のパーセントより少ない数字を保険会社が提示していることがあります。このような場合には後遺障害等級表のパーセントを主張しましょう。

また、後遺障害等級表より実際の減収割合がはるかに多いことがあります。このような場合には、より多い割合の減収が発生していることがわかる資料を準備しましょう。

収入が減るパーセントがより多いことを証明することにより、逸失利益を増やすことができます。

収入が減る年数がより長いことを証明する

収入が減る年数について保険会社の提示が短いことがあります。
たとえば、37歳での症状固定であれば67歳までの「30年」ではなく、「10年」「20年」などと提示がある場合です。
このような場合には、後遺障害や仕事の内容からして収入が減る年数がより長いことを説明しましょう。

収入が減る年数がより高いことを証明することにより、逸失利益を増やすことができます。

まとめ

  • 逸失利益とは事故によって今後発生するであろう収入減のことです。後遺障害が認められると補償されます。
  • 【年収×収入が減るパーセント×収入が減る年数】で逸失利益は計算します。
  • 逸失利益の計算は難しいです。弁護士へのご相談をお勧めします。

(監修者 弁護士 大澤 一郎

逸失利益の参考情報