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交通事故知識ガイド上肢及び手指

橈骨神経麻痺

橈骨神経麻痺の解説

橈骨神経麻痺

橈骨神経麻痺(とうこつしんけいまひ)は、英語では「Saturday night palsy(土曜夜の麻痺)」などとも呼ばれます。
恋人に腕枕をして眠り、夜中に腕が痺れて目が醒めます。この一過性の橈骨神経麻痺をSaturday night palsyと呼んでいます。

橈骨神経
橈骨神経麻痺

橈骨神経は頚椎から鎖骨の下を走行し、腋の下を通過して、上腕骨の周囲をぐるりと回り、外側から前腕の筋肉、伸筋に通じています。橈骨神経は手の甲の皮膚感覚をつかさどる神経です。
橈骨神経の障害が起こる部位は3つあります。具体的には、①腋の下、②上腕骨中央部、③前腕部です。交通事故では、上腕骨骨幹部骨折、上腕骨顆上骨折、モンテジア骨折等で発症し、上腕中央部の麻痺が多いのが特徴です。

参考:上腕骨顆上骨折(上腕骨遠位端骨折)の解説
参考:モンテジア骨折の解説

症状は、手の掌は何ともないのに手の甲が痺れるというものです。
特に、手の甲の親指・人差し指間が強く痺れます。
手首を反らす筋肉が正常に働かないので、手関節の背屈ができなくなり、親指と人差し指で物をうまく握れなくなり、手は、下垂手(=drop hand)変形をきたします。

橈骨神経の支配領域は、親指~薬指の手の甲側なので、橈骨神経に麻痺が生じると、この部位の感覚を失います。

診断は、上記の症状による診断や、Tinel徴候などのテストに加え、針筋電図も有効な検査です。
患部を打腱器で叩き、その先の手や足に電気が走ったような痛みを発症するかどうかの神経学的検査法をTinel徴候とかチネルサインと呼んでいます。

手背と手掌

治療ですが、圧迫による神経麻痺であれば自然に回復していきます。
手首や手指の関節の拘縮を防止する観点からリハビリでストレッチ運動を行います。
カックアップやトーマス型の装具の装用や低周波刺激、ビタミンB12の投与が行われます。

カックアップ装具

カックアップ装具

トーマス型装具

トーマス型装具

稀に、末梢神経が骨折部で完全に断裂していることがあります。
断裂が生ずると、知覚と運動は完全に麻痺し、観血的手術で神経を縫合することになります。
手術用の顕微鏡を使用し、細い神経索を縫合していくのですから、手の専門外来のある病院で手術を受けることになります。しかし、陳旧性となったものは、予後はよくありません。

橈骨神経麻痺の原因

  • 上腕骨骨幹部骨折に合併する場合、睡眠時の上腕部の圧迫による場合、注射による場合などがあります。

橈骨神経麻痺に関連する症状

手には正中神経、尺骨神経、橈骨神経があります。それぞれの神経について神経麻痺となる可能性があります。

橈骨神経麻痺の後遺障害認定のポイント

  • 橈骨神経の断裂による橈骨神経麻痺が生じ、それが陳旧化したときは、神経縫合術を行った場合、少しは改善するかもしれませんが、完全治癒の見込みは乏しいです。
  • 完全な下垂手では、手関節の背屈と掌屈が不能となり、8級6号「1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの」に認定されることが考えられます。ただし、ここまで重篤な後遺障害となる確率は低いです。
  • 不完全な下垂手が残ったときは、10級10号「1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」に認定されることが考えられます。

参考リンク