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交通事故知識ガイド各損害の損害賠償基準の詳細解説

生活費控除率

最終更新日:2023年7月5日

監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 大澤 一郎

生活費控除率
生活費控除率は死亡事故の逸失利益を算定するときの計算ルールです。逸失利益の総額から一定の割合を引きます。死亡後は生活費がかからないためです。

この記事では死亡事故の交通事故被害者にむけて、死亡事故の逸失利益の生活費控除率の計算方法を交通事故に詳しい弁護士がわかりやすく解説します。

なお気になることがある場合、交通事故に詳しい弁護士への相談をおすすめします。

生活費控除率とは

逸失利益とは事故により発生する将来の収入の減少です。死亡事故では逸失利益を請求できます。

死亡事故で逸失利益を算定するとき、計算した逸失利益の一定割合を引きます。死亡により今後の生活費が発生しないためです。この引く割合を生活費控除率と言います。

生活費控除率の基準

では自賠責保険や裁判での生活費控除率の基準はどのようなものでしょうか?
自賠責保険では自賠責保険の支払基準の告示(金融庁)があります。
裁判では赤い本と青い本という裁判の基準をまとめた本があります。

赤い本の基準

  • 一家の支柱で被扶養者1人の場合 40%
  • 一家の支柱で被扶養者2人以上の場合 30%
  • 女性(主婦独身幼児等を含む) 30%
  • なお、女子年少者の逸失利益につき、全労働者(男女計)の全年齢平均賃金を基礎収入とする場合には、その生活費控除率を40%~45%とするものが多い。
  • 男性(独身・幼児等を含む) 50%

青い本の基準

  • 一家の支柱 30%~40%
  • 女性(女児主婦を含む) 30%~40%
  • 男性単身者(男児を含む) 50%
  • 原則として、賃金センサスの平均賃金ないしは失業前の収入実績を参照して、適切な基礎収入額を認定する。

基準の解説

生活費控除率の一覧

生活費控除率は死亡時の状況で異なります。

生活費控除率
死亡時の状況 生活費控除率
一家の支柱
被扶養者1名
40%
一家の支柱
被扶養者2名以上
30%
女性 30%
男性 50%

生活費控除率の具体例

では具体例でみていきましょう。

①独身男性が死亡した具体例

独身男性が死亡し、生活費控除率を掛ける前の逸失利益が1,000万円とします。
独身男性の生活費控除率は50%ですので、最終的に受領する逸失利益は500万円です。

【計算式】 1,000万円×50%=500万円

死亡ではないときの逸失利益は1,000万円です。

しかし、死亡により今後の生活費が発生しません。独身男性の今後の生活費は50%の500万円と計算します。最終的に受領する逸失利益は500万円です。

②家族4人の男性が死亡した具体例

家族4人の男性が死亡し、生活費控除率を掛ける前の逸失利益が1,000万円とします。
家族4人の生活費控除率は30%ですので、最終的に受領する逸失利益は700万円です。

【計算式】1,000万円×(100%-30%)=700万円

独身男性より家族4人の男性は受領する逸失利益が多いです。

家族4人の男性が死亡すると、男性が家族に渡すはずだった家族分の生活費を失います。家族分の生活費を失うため、家族がいる男性の死亡事故は最終的な受領額が多くなります。

まとめ:生活費控除率

死亡事故の逸失利益の生活費控除率は次の通りです。

死亡時の状況 生活費控除率
一家の支柱
被扶養者1名
40%
一家の支柱
被扶養者2名以上
30%
女性 30%
男性 50%

(監修者 弁護士 大澤 一郎

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