交通事故で高次脳機能障害になったことに後で気付きました。今後の生活で何か影響はでるのでしょうか?

 
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交通事故で高次脳機能障害になったことに後で気付きました。今後の生活で何か影響はでるのでしょうか?

交通事故で高次脳機能障害になっても、きちんと検査を受けなければ発症したことに気付かないことがあるので注意が必要です。怪我をしてからできるだけ早い時期にリハビリテーションを開始することで、その後の症状の程度が軽くなります。




 高次脳機能障害:早期発見の重要性 



◆発症していても見過ごされることがある


交通事故に遭って怪我をして,以前のような健康な体を取り戻せなければ,事故と後遺症の因果関係を認めてもらえると思いがちです。

しかし,意外にも高次脳機能障害は,発症しているにもかかわらず症状の現れ方によっては,発病に気付かず見過ごされてしまうこともあるのです。




高次脳機能障害は,脳の損傷は不可逆的でもとに戻らないため,傷つける前は正常に働いていた脳が,交通事故による衝撃で部分的に破壊され,これまでのように機能しなくなるために起こる病気です。脳のどの部分をどの程度損傷したかによって,症状の出方は変わってきます。

さらに,怪我をしてからできるだけ早い時期にリハビリテーションを開始することで,その後の症状の程度が軽くなります。

その反対に,怪我をした当初,高次脳機能障害であることを認識せず,適切なリハビリテーションを積極的に受けなかった場合は,後でさまざまな後遺障害に悩まされる可能性があります。


今回は,高次脳機能障害を発症していることに気付かなかったため,後で大変な苦労をしたケースをご紹介します。







◆体調の異変は退院後に起きた


Jさん(40歳男性)は,人身事故が原因で2週間入院し,その後職場復帰しました。

車にはねられて頭を打ち,交通事故直後は意識がもうろうとしていましたが,レントゲン検査の結果,特に異常は見つからず,退院が許可されました。Jさんは当時,大きな商談をまとめるために奔走しており体調に不安もなかったので,仕事を再開できることを喜んでいました。

交通事故で受けた損害賠償問題に時間を割かれるのが惜しくJさんは相手方の保険会社が提案する金額で和解することに同意し,あとは書類を正式に作成すれば示談が成立するところまで話が進んでいました。

しかし,仕事を再開したJさんの体に異変が起きたのです。




得意先の会社を訪問して商談後,ちょうど昼時だったので得意先の社員を昼食に招待し,おいしいと評判の焼肉ランチに行った時のことです。

Jさんは,肉の焼き方や食べ方が気になってしかたなく,いちいち「その肉は私が食べるつもりだったのに」「食べるのが遅いからあなたの分の肉が焦げてしまったじゃないか」など,終始文句のオンパレード,しかも冗談半分ではなく,叱責するかのような口調です。

これには,取引先の社員も驚きました。以前のJさんは,明朗快活な好男子で,得意先の人に命令したり文句を言うようなことはありませんでした。




実は,Jさんの性格の変化は,高次脳機能障害によるものでした。

空気を読まず言いたいことをずばっと言う,すぐ怒り出すなどの態度は,Jさんの所属する会社でもやがて評判になりました。上司がJさんに病院を再受診して精密検査を受けるよう助言し,MRI検査で詳しく調べたところ,高次脳機能障害と診断されました。

Jさんは,示談成立寸前で和解を取りやめ,治療を継続することにしました。




高次脳機能障害が疑われるときは,初期に精密検査を受けることの重要性がお分かりだと思います。




▼参考記事
・高次脳機能障害の症状に気付くにはどのようにすればよいですか?
・【交通事故における頭部外傷】その1 頭部の構造
・【交通事故における頭部外傷】その3 傷病名




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故で高次脳機能障害になった脳は回復しますか?

 
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交通事故で高次脳機能障害になった脳は回復しますか?

いったん損傷した脳の組織はもとに戻りませんが,リハビリテーションで適度な負荷をかけることで周辺組織が発達し,失われた脳機能がある程度回復する可能性があります。




 脳の回復 


◆高次の脳機能って何?



日本における高次脳機能障害という病気に関する認知度は,まだ低いのが現状です。


そもそも,そのような病名を知らなかったという人も多く,病名を聞いても,どのような病気かイメージできないという声が多く聞かれます。


それも無理のない話で,高次脳機能障害の症状は多種多様で,「このような症状が出たら高次脳機能障害です」と断定できるような単純な病気ではありません。



しかし,病気について理解するヒントとなる単語が病名に交じっています。

高次という言葉で,何を想像しますか?よりむずかしいこと,よりスゴイこと,,,,そうです。
通常よりもさらに上のランクのことを遂行する脳の働きが「高次脳機能」なのです。

このような脳の機能は,進化した知能の高い生き物である人間が獲得したものす。
高次脳機能は,人間が人間であるべき姿を保つ機能にほかなりません。

人間以外の生き物にも脳はあり,脳が出す指令によって生命体のホメオタシス(恒常性)を保っています。しかし,高次の脳の指令による学習,記憶,感情表現などを行うことができるのは人間だけです。

高次脳機能障害は,人間を人間たらしめる能力の一部を失いかける病気と言うこともできます。







◆脳の損傷は治る?


では,高次脳機能障害になった人は,人間性の一部を失って,もとの自分に戻ることはできないのでしょうか?

長年に渡って,脳を傷付けると,絶対に治らないと信じられてきました。確かに,破壊された脳細胞は蘇生しません。そのため,脳の一部が壊れたら,一生そのままだと長い間信じられてきました。




しかし,近年になって別の意見が生まれました。

脳の一部が損傷しても,その周辺の組織が増殖して,失われた機能を補おうとする能力が人間の脳には備わっている,そのような考えが生まれたのです。

だとすれば,交通事故などで脳の一部が傷つけられても,周辺の組織が損傷した部位の代替となれば,脳の障害は軽減します。ただ,研究によれば,失われた機能を補おうとするような代替組織ができるようになるには,脳を十分活性化しなければならない,つまりリハビリテーションによる脳のトレーニングが必要になります。

リハビリテーションというと,歩いたり腕を屈伸したりするイメージがありますが,高次脳機能障害におけるリハビリテーションは,脳のトレーニングを行います。脳に適度な負荷を与えることにより,失われた機能を補おうとするのです。

高次脳機能障害と診断されたら,できる限り早い段階でリハビリテーションを開始すると,より効果が期待できます。




頭を打つような怪我をした場合,絶対安静というイメージがありますが,長期間過ごしてからリハビリテーションを初めると,リハビリテーションの効果が十分現れないので,発病したら医療チームと相談して,できる限り早期にリハビリテーションを始めて脳に適度な負荷を与えましょう。




▼参考記事
・「臭いが分からなくなった!?」〜頭部外傷と嗅覚障害〜
・高次脳機能障害を負われた方の解決事例
・高次脳機能障害の後遺障害の認定基準




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故が原因で高次脳機能障害を発症しました。職場復帰における問題点は何ですか?

 
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交通事故が原因で高次脳機能障害を発症しました。職場復帰における問題点は何ですか?

高次脳機能障害の人が職場に復帰する場合は、会社側が医療チームと面談して受け入れる環境づくりをすることが求められます。




 高次脳機能障害:職場復帰の問題点 


◆病気に対する理解度が低い



高次脳機能障害は,交通事故などが原因で脳の組織の一部が物理的に傷付けられたことにより,脳が正常に機能しなくなって起こる病気です。

脳組織が損傷していることは,患者さんの外見からはわからない
ので,その人が高次脳機能障害に罹患しているかどうかを知ることは非常にむずかしく,時には病気であっても診断が付かず,高次脳機能障害であることを本人も周囲の人も知らずに過ごすことすらあります。




高次脳機能障害になると,健常時と比較して,動作がぎこちなくなる,話の仕方が普通ではない,記憶力が悪くなる,性格が変わるなどの症状が現れます。

一方,これらの症状は必ずしも高次脳機能障害に特有で必ず現れるわけではなく,症状が目立たなかったり,一部の症状だけが突出して目立つなど,個人差が大きいのが特徴です。

高次脳機能障害は,それぞれの患者さんで症状が異なる病気と言えるでしょう。
その理由は,症状の現れ方は,脳のどの部分をどの程度損傷したかによって変わってくるからです。




重篤な高次脳機能障害の場合は,はたから見て病気にかかっていることがはっきりわかりますが,軽度の障害の場合は,気質の変化,能力の低下などと間違えられてしまうことが多いのです。

それゆえ,高次脳機能障害と診断された人が,退院した後も,周囲の偏見によって社会復帰が思うようにいかないケースが少なくありません。




高次脳機能障害の人が,退院後,仕事を再開すると次のような印象を周囲に与えることがあります。

「人の意見をまったく聞こうとせず、反対意見を述べようとするとすぐ怒るようになった。」
「簡単な仕事をミスするようになり、重要な仕事を任せられない」
「仕事を頼んでも忘れてほったらかしにするので、信頼できない」
「物覚えがすこぶる悪い」
「昔のことは覚えているのに新しい顧客の名前と顔を覚えられない」


これらは高次脳機能障害に典型的な症状です。本人は,精いっぱい努力しているものの,脳の機能が変化したので,以前とはふるまいや感情,表現力,記憶力が変わっているのです。







◆職場における病気への理解が不可欠


高次脳機能障害の人が職場にいる場合は,病気に対する理解を深めなければ,組織にあつれきが生じ,仕事に支障が生じます。

会社側は,高次脳機能障害に関して理解をして,どのような環境を整えれば,高次脳機能障害であっても仕事に手腕を発揮できるか考える必要があります。

もっとも理想的なのは,会社側の担当者が治療チームと面談して,配慮すべき点や職場の環境づくりについての知識を得ることです。

ソーシャルワーカーやリハビリテーションを担当したセラピストに職場における注意事項を教えてもらい,病気の影響を最小限に留める工夫をすれば,高次脳機能障害であってもその人ならではの能力を発揮して,社会で活躍できるのです。




▼参考記事
・仕事を再度始めたいと考えていますが,どのように始めればよいですか?
・社会復帰のために誰に相談すればよいでしょうか。
・高次脳機能障害の症状に気付くには,どのようにすればよいですか。




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故の損害賠償金で,高次脳機能障害の治療に専念することはできますか?

 
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交通事故の損害賠償金で,高次脳機能障害の治療に専念することはできますか?

高次脳機能障害は,生涯に渡ってリハビリテーションや投薬などの費用が発生する後遺障害です。交通事故の損害賠償金は,治療費をカバーできる正当な金額を請求しましょう。




 高次脳機能障害:損害賠償金 


◆高次脳機能障害になったあとの生活は?


頭部を強打して脳を損傷したことが原因で,発症するのが高次脳機能障害です。

原因は,交通事故やスポーツ時の接触,職場における事故などが挙げられますが,交通事故による発症がずば抜けて多い病気です。


高次脳機能障害は,完治の見込みがないのでいったん罹患すると,一生病気と向き合わなければいけません。


完治しないといっても,症状を緩和するためにリハビリテーションを継続する,症状を抑えるために必要な服薬など,罹病する前は必要としなかった出費を余儀なくされます。
さらに,退院後,社会復帰できたとしても,交通事故に遭う以前に就労していた業務をこなす能力が失われ,転職を余儀なくされる場合もあります。


その結果,収入が減り,加療のための出費とあいまって生活が困窮することもあります。








◆高次脳機能障害の賠償金


交通事故に遭い,高次脳機能障害と診断された場合は,加療のために生涯に渡って様々な出費が必要になることを考慮して,賠償金の計算をする必要があります。

賠償金額の算定には,専門的な知識が必要ですが,高次脳機能障害に詳しい弁護士と相談することにより,相応の損害賠償金額が明確になり,自信を持って相手方と交渉できます。

被害者の立場になったがゆえに,生活の質を落とさざるを得ないなどとういうことがあってはなりません。

示談交渉を開始するまでは,保険会社の立て替え払いで治療費を支払い,示談交渉開始後は,被害者の健康保険を使いつつ,後遺症により今後も治療費が発生することを考慮した賠償金を提案するべき
なのです。







◆後遺症を詐病と疑われないために


一般的な病気,すなわち発熱や喘鳴,虚弱体質などと違って,高次脳機能障害は外見上は健常者と変わらないので,病に人に対する配慮を受けにくいという問題もあります。

それゆえ,保険会社と示談交渉する際,高次脳機能障害を発症していること自体,否定的にとらえられることがあります。保険会社は,後遺症がなければ支払う保険金が少なくて済みますし,後遺症があっても,より軽度の障害であれば,計算式に基づいてより安い保険金を支払うことにより,保険会社としての義務をまっとうできます。

つまり,保険会社はできれば高次脳機能障害を認めたくないのです。




被害者と利益があい反する保険会社と対抗するには,弁護士を代理人に指定して交渉を一任することをご検討ください。

被害者である患者さんご自身が交渉にあたると,ともすれば感情的にならざるを得ませんが,弁護士が交渉することにより,専門知識を駆使して話し合いを進められるので,より被害者に有利な条件での和解成立が期待できます。




▼参考記事
・被害に遭われた方々の将来を考える
・弁護士が入ると損害賠償額が上がる!
・高次脳機能障害の解決事例〜将来治療費が認定された事例〜




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

軽度の交通事故でも高次脳機能障害になることはありますか?

 
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軽度の交通事故でも高次脳機能障害になることはありますか?

交通事故で頭を打ったら,事故の直後は症状がなくても高次脳機能障害を発症している可能性があるので,軽く考えずに詳しい検査を受けましょう。




 軽度な交通事故でも,高次脳機能障害は発症する 


◆軽く考えていた怪我だったのに,,,


たった数秒のできごとで人生が変わる・それが交通事故です。

Uさんは,アルバイトをしている居酒屋から自転車で帰宅する途中で,車にはねられました。薄暗い住宅街の十字路で,Uさんは,一次停止の標識を無視して走ってきた車と衝突したのです。




Uさんは,倒れたまま,しばらくぼうっとしていました。頭を打ったので,意識が遠のいていたのです。

車の運転者が警察を呼び,Uさんは救急病院で診察してもらうことになりました。病院に着いた頃には,Uさんの意識ははっきりしており、記憶も正常でした。身体のどこも痛いところはありません。一応,頭部のレントゲンは撮ったものの,帰宅して良いとのことで,Uさんは入院せず家に帰ることができました。

事故に遭ったのは運が悪かったが,怪我が軽かったのは不幸中の幸い・・Uさんは,その程度にしか怪我のことを考えていませんでした。念のため,会社に連絡して翌日は会社を休むことにしました。

しかし,家で安静にしていたその日に異変が起こったのです。







◆歯ブラシの使い方がわからない


怪我をした翌日,仕事を休むとはいえ身に付いた習慣で,いつも通り朝7時に起きたUさんですが,今日はのんびり過ごそうと思っていました。

顔を洗って歯を磨いて,着替えをしたら録画していた映画でも見よう・・そう思ったUさんですが,歯ブラシを右手で持って違和感を覚えました。

どうやって使うものだったか思い出せない・・そういえば,洗面所にある品々の使い道も定かではない・・はたから見れば,ひげそり,ヘアトニック,石鹸など,ごく日常的な品々ですが,Uさんは道具や物品の使い方に関する記憶が薄れてしまったのです。




これは,高次脳機能障害に良くある典型的な記憶障害です。

ハサミという単語はわかるが,ハサミをどう使うかわからない。ヘアブラシを持つと,髪をとかさずテーブルの上をこするなど,道具を誤って使用するか,使い方がまったくわからず使用できません。

Uさんは,頭を打って脳の一部を損傷し,高次脳機能障害を発症していたのです。







◆頭を打ったら軽く考えない


頭部の打撲は,平癒することもありますが,脳の一部が損傷して重篤な後遺障害が残ることがあります。

特に,高次脳機能障害は,記憶・視覚・聴覚・読字・人格など,その人のパーソナリティを決定するあらゆる分野に影響を及ぼす後遺障害です。

Uさんは,自分の意識が正常ではないことに気づき,すぐ脳神経外科の専門病院を受診し,その日のうちに入院しました。高次脳機能障害を発症した場合,早く治療を開始するほど予後が良いため,Uさんが体調の異変に気付いてすぐ入院したのは,Uさんにとって良いことでした。


もし,入院せずにいたら,症状が悪化していた可能性があります。
頭を打ったら,時間との勝負だと思い,できる限り早く専門医の診察を受けることをお勧めします。







▼参考記事
・交通事故と治療Q&A「交通事故の数日後に痛みが出てきた場合,どうすれば良いでしょうか?」
・高次脳機能障害を負われた方の解決事例
・交通事故においての医師との関わり(よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」)




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故で高次脳機能障害を発症しました。治療と示談の板挟みで,これからどうすれば良いのでしょうか?

 
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交通事故で高次脳機能障害を発症しました。治療と示談の板挟みで,これからどうすれば良いのでしょうか?

交通事故により高次脳機能障害を発症すると,加療と示談交渉の板挟みで精神的に追い詰められます。弁護士に示談交渉を一任するなどして,治療に専念しましょう。




 高次脳機能障害での治療と示談 


◆その怪我は完治の見込みがない!


Dさんは,駅前の交差点で信号が青に変わるのを見て横断歩道を渡り始めましたが,黄色信号から赤信号に変わった反対車線から猛スピードで車が走ってきた車にはねられ,意識不明の状態のまま救急搬送されました。

怪我をするというだけで,精神的,肉体的に非常につらい思いをすることはむろんですが,Dさんには,さらなる試練が待ち受けていました。




Dさんは頭部を強打したことにより,脳組織の一部が損傷し,高次脳機能障害と診断されたことです。脳は,ひとたび壊れると再生しないというのが,現代医学における見解です。

つまり,Dさんの怪我は,痛みがあるなしにかかわらず,生きている限り完治する見込みがないのです。一般に治る見込みがない怪我は,後遺障害,後遺症などと呼ばれます。

足が不自由で歩行に支障をきたすような場合は,はたからみても、その人に障害があることがわかります。しかし,外見からは異常が認められないのが,高次脳機能障害の特徴です。

頭に打撲傷を受けた当時は,多少の擦過傷や出血などの外傷が認められることもありますが,やがて外傷が治れば,怪我などしていない健康な人のように見えるのです。




Dさんは,怪我の影響で記憶障害を発症し,仕事を辞めざるを得なくなりました。










◆次の難関は保険会社との交渉


完治しない病気であるにもかかわらず,見た目は健康そのもの・・高次脳機能障害になったDさんは,後遺障害があることを証明するために,非常な苦労をすることになりました。

Dさんは,人身事故の被害者として自動車保険会社の担当者と示談交渉をすることになりましたが,後遺障害を認めてもらうことがどれほど大変かということは,当事者になって初めてわかることだと思いました。




交通事故で被害者になり,相手方が任意自動車保険に加入している場合,治療にめどがついたら示談交渉を開始します。

しかし,Dさんは完治の見込みがない高次脳機能障害なので,完治を目標に治療を続けることは不可能です。

Dさんは,後遺障害の認定を受け,後遺障害が認められ,後遺障害等級を確定させることにより,障害等級に応じた損害賠償金を加害者に請求するつもりでした。

しかし,保険会社は,高次脳機能障害について否定的で,「後遺障害があると主張しているが,普通に生活している」「日常会話が滞りなくできるのに記憶障害があるとは思えない」などと,Dさんの高次脳機能障害についてことごとく反論してきます。










◆後遺障害をみとめてもらう最短・最速の方法 それは


Dさんは,自分だけで保険会社と交渉することに限界を感じ,高次脳機能障害に対する無理解に怒りを覚え,加害者との交渉を弁護士に一任することにしました。

弁護士費用は発生するものの,精神的な安堵感と交渉に費やす時間のロスを考えれば,計り知れないメリットがあります。

Dさんが全権委任した弁護士は,その後,粘り強く保険会社と交渉して,Dさんが予想していた金額を大きく上回る損害賠償金を保険会社が支払うことで和解が成立しました。

Dさんは、受け取った保険金を生活費に充てながら,社会復帰を念頭に高次脳機能障害のリハビリに専念しています。




▼参考記事
・交通事故と示談交渉のポイントについて
・弁護士に相談,依頼することのメリットを改めて考えてみると
・交通事故で怪我をした場合,いつ弁護士に相談すべきか?
・絶対失敗しない事務所の選び方




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故が原因で,高次脳機能障害になった夫と上手く会話するコツはありますか?

 
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交通事故が原因で,高次脳機能障害になった夫と上手く会話するコツはありますか?

高次脳機能障害の家族による理不尽な言動に困らされても,いったんは相手を肯定した上でさりげなくこちらの意見を伝えることで,人格を尊重しつつ感情爆発を防げます。




 高次脳機能障害患者と家族 


◆今までどおりの会話は通じない


夫が交通事故で頭を激しく打ったことが原因で,高次脳機能障害になりました。

それまで高次脳機能障害という病名を聞いたことがなかったので,とりあえず脳に関する病気だということだけはわかりましたが,それ以外のことは医師の説明を聞いてもなかなか理解できませんでした。




でも,一つだけはっきりしていることがありました。
それは,高次脳機能障害になる前となった後で,夫のふるまいやしゃべり方がガラッと変わったことです。

あまり無駄口を聞かず,必要なことだけしゃべっていたのに,交通事故に遭ってからというもの,やたらとペラペラしゃべります。しかも,話題が次から次へと変わって付いていくのが大変です。

その上,会話に疲れて私が黙り込むと,無視されたと怒り出すので,相手をするのが大変です。
かといって,私が問いかけると,質問に対してほとんど何も考えずに適当な答えをするのです。




後になって,これらの症状は高次脳機能障害に特有な感情の障害で,原因は前頭葉の損傷によるものだと判明しました。

夫の人格が激変したのではなく,前頭葉に傷が付いたので以前と性格が変わったのだと思うようにして,夫の今の人格を受け入れるように努めました。







◆高次脳機能障害患者の家族は心理学の達人


私が特に気を付けたのは,夫の言動に対して真向から否定的な態度を取らないということです。

何をしゃべってるのかわからないとか,話し方がおかしいよなどと,夫がすることを否定すると夫の感情が高ぶって,さらにおかしな行動を誘発しかねないということが,私が失敗を重ねた上に学んだ教訓です。

そうだね,その通りだね。と相づちを打って相手を肯定する。その後で,それならこういう考えもあるね,質問に対する答えをもっと聞かせてほしいなどと,会話をより深めていくよう努めます。

相手の言動を否定しないことで,激しい感情の起伏が起きるのを防ぐように努めたのです。




これは心理学の応用だそうですが,高次脳機能障害患者の家族は,毎日のように心理学を実践していると言えるかもしれませんね。

むろん,私もごく普通の人間ですから,時には夫の理不尽なものの言いように腹が立つこともあります。そういう時は,10・9・8・・と1まで逆に数えることで自分の気持ちをなだめました。

これは、夫が入院している時にリハビリテーションを担当していたセラピストから教わったテクニックです。

ささやかな体験ですが、高次脳機能障害がご家族にいる方の参考になれば幸いです。




▼参考記事
・高次脳機能障害と家族の会
・高次脳機能障害の後遺障害の認定基準
・高次脳機能障害を負われた方の解決事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故で高次脳機能障害を発症しました。急性期のリハビリテーションが重要と言われましたが,なぜですか?

 
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交通事故で高次脳機能障害を発症しました。急性期のリハビリテーションが重要と言われましたが,なぜですか?

高次脳機能障害は発病直後がもっとも症状が重いという特徴がありますが,可能な限り早い時期に適切なリハビリテーションを始めることで,症状の改善が期待できます。




 高次脳機能障害:急性期 



◆一番具合が悪いのはいつ?


高次脳機能障害は,交通事故などで頭部に強い衝撃を受けて脳の組織が傷つけられたことで発症する病気で,発病の原因となった強い衝撃を受けた直後が,もっとも症状が重いという特徴があります。


がんのような病気は,がん細胞が増殖し,そのままにしておけば症状が進行して悪化します。

それと比較すると,高次脳機能障害は「病気になった時が一番悪いときで,その後は安定した状態に向かう病気」なのです。




高次脳機能障害にかかったら,一生病気と付き合わなければならないと,暗い気持ちでいるとしたら,気持ちを切り替えましょう。

今より悪くはならない,いや,むしろ症状が改善する可能性がある病気なのだと思えば,これまでよりも高次脳機能障害の治療に対して,より積極的な気持ちを持てるのではないでしょうか?

昨日より今日,今日より明日は症状が良くなっていく・・そう思えば,徐々に体を蝕む病気になったのとは違うのだという希望を持つことができるでしょう。

もっとも,漠然と日々過ごしているだけで回復に向かうわけではありません。
高次脳機能障害になったにもかかわらず,症状が改善して社会復帰できた人には,ある一つの共通点があります。







◆できるだけ早い時期にリハビリテーションを始める


頭を打ったら,体を動かさず安静にすることと教わりませんでしたか?でも,頭を打ったことが原因で高次脳機能障害になった人は,考え方を変えてください。

高次脳機能障害は,可能な限り早い時期にリハビリテーションを開始した方が,より速やかな回復が期待できるのです。


入院して間もない時期は病名を受け入れることすら辛く,リハビリテーションプログラムを組まれても,参加する意欲がわかないかもしれません。しかし,早い時期に無理のないリハビリテーションをすることで,高次脳機能障害の症状が緩和されるというのが、専門家の意見です。

怪我をしたから,病気だからと,安静にして何もしないでいると,脳への刺激が少なくなり,損傷した脳が行っていた活動を補おうとする他の部位の活動が不活発になります。




健康な人でも,一日中外に出ないで家の中で何もしないでいると,頭がぼうっとしてきたり,十分睡眠を取ったのに眠くなったりするでしょう?

脳は,仕事を見つけて活発に活動するほど,その能力をいかんなく発揮するのです。高次脳機能障害で脳の一部を損傷したとはいえ,脳細胞の大部分は残っていてこれまで通り活動しています。

リハビリテーションは身体に負荷をかける作業で,時として単調で苦痛を伴うことがあるかもしれません。

でも,それを続けていくことで慢性期に入った頃,見違えるほど高次脳機能障害の症状が緩和されている自分に気付くことができるとすれば,リハビリテーションをするモチベーションを持ち続けることができるのではないでしょうか?




▼参考記事
・交通事故問題解決の流れ(治療・リハビリについて)
・高次脳機能障害を負われた方の解決事例
・重度の後遺障害と示談交渉について(よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」)




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

高次脳機能障害の治療と交通事故の話し合いを両立させるのは大変なのでしょうか?

 
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高次脳機能障害の治療と,交通事故の話し合いを両立させるのは大変なのでしょうか?

交通事故で高次脳機能障害になった人が,病気の治療をしながら加害者と話し合いをするのは精神的な負担が多いですが,弁護士を委任すれば加害者との交渉を任せられます。




 高次脳機能障害:治療をしながら相手と交渉 



◆あれもこれも,,,やることが一杯の交通事故被害者


独身で一人暮らしの38歳OLです。
仕事に生きがいを感じている今の生活に満足していました,交通事故に遭うまでは・・。

休日にスポーツジムに行こうと近所の住宅道路を歩いていたら,ハンドル操作を誤った車にはねられて激しく転びました。



頭を強く打ったので救急病院で検査を受け,そのまま入しました。

集中治療室で治療を受ける間は,私物は不要ですが,3日後に一般病棟に移ってからは,入院に必要なこまごまとしたものを揃えるのに苦労しました。パジャマや着替え,タオル,洗面具などの用意は自分でしなければなりません。

一人暮らしなので家族に家から持ってきてもらうこともできず,気安く頼み事をできる友達もいません。結局,会社の同僚に家の鍵を預けて必要なものを持ってきてもらったり,買い物を頼みました。




人間,一人で生きているような気がしても,必ず誰かの世話になったり互いに助け合って暮らしているのですね,一人暮らしの不自由さが今回ほど身に染みたことはありません。







◆保険会社との話し合いがストレスに


頭部のCTスキャンをしたところ,損傷が疑われる箇所があったので,MRIでさらに精密な画像を撮影した結果,高次脳機能障害と診断されました。

ごく一般的な知識ですが,いったん壊れた脳細胞は再生しないので,脳を傷つけると一生そのままで,傷付いた脳が行っていた機能は失われてしまうと聞いていました。

いつまで入院すれば良いのか,退院後の生活は・・?これからのことを考えると暗澹とした気持ちになりました。




入院費用は,事故の被害者ということで健康保険を使わないため自分のお金を使わなくて良いのですが,加害者が加入していた自動車保険の事故担当者から,何度も連絡があることも精神的に疲れました。

どうやら保険会社は,できるだけ早く示談交渉を始めたいようなのです。でも,私は病気が治っていないし,治療費は今後もかかります。どこかの時点で賠償金額を決めたあとでさらに高額な治療費がかかったらと思うと,示談に応じる気にはなれません。

家族がいればこういう時に相談できるのでしょうが,相談相手がいないというのは本当に心細いものです。







◆治療に専念してくださいと弁護士に励まされ


一人で加害者と交渉しながら,高次脳機能障害の治療を続けることにほとほと疲れた私は,「私の代わりに弁護士に交渉してもらったら楽になるのでは」と思い立ちました。

なにもかも一人でやるのはもう限界です。

病室でタブレットを使って見つけた,高次脳機能障害に詳しい弁護士とメールでやり取りした結果,病室に会いに来てくれることになりました。その後,正式に委任契約を結び,事故の加害者との交渉はすべて弁護士が行うことになりました。

弁護士から「治療に専念するのがあなたの仕事,一日も早く健康を取り戻してください」という言葉に救われました。




▼参考記事
・交通事故HP:交通事故問題解決の流れ
・よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」:保険会社の思うツボにはならない!(ストレスなく治療に専念できる環境作り)
・当事務所の解決事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故で生活が一変。。まさか自分が高次脳機能障害になるとは,これからどう生活していけば良いのでしょうか?

 
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交通事故で生活が一変。。まさか自分が高次脳機能障害になるとは,これからどう生活していけば良いのでしょうか?

交通事故による高次脳機能障害は,頑張ってリハビリすれば症状を改善することができます。




 高次脳機能障害と向き合う 


◆交通事故で人生のどん底に


28歳の会社員です。
独身ゆえの身軽さで,仕事が休みの日は仲間とオートバイツーリングをしたり,婚約中の彼女とデートしたりして過ごしています。

この春に昇進して係長になり,社長の信頼も厚く,仕事もプライベートも充実した生活を送っていました。




生活が一変したのは,ツーリング中の交通事故です。
山道を走行中,センターラインをはみ出して走ってきた乗用車と衝突,オートバイから投げ出されて全身を強く打ち、そのまま救急搬送されました。

自分としては,治療のために入院している間,会社の仕事が滞ることが心配でした。
医師から高次脳機能障害という,傷病名を聞かされてもピンときません。手足の骨折のようにギプスをはめるわけではなし,数日したら退院して出社できるだろうと思っていました。




リハビリテーションが始まりましたが,医者は僕の退院を認めません。
僕は道具の使い方がわからなかったり,単語がすぐに出てこず会話がスムーズに行かないなどの症状を指摘されており,もっとリハビリテーションを続けなければ,職場に戻ってから苦労するだろうというのです。

仕事を再開するどころか,退院のめどもたたず,気持ちは落ち込みました。
僕が,歯ブラシの使い方がわからなくて逆さまに持ったり,ハサミを見て,何に使う道具だろうと考えこむのは,典型的な高次脳機能障害の症状だそうです。




なかなか症状が改善しないことに嫌気がさして,リハビリテーションに対する熱意も失せました。







◆高次脳機能障害が治ると知って気持ちが明るくなった


婚約中の彼女が,リハビリテーションをさぼりがちな僕のことを心配して,もっと一生懸命リハビリしなければ病気が治らないと僕のことをとがめます。僕は「不治の病をリハビリで治せるわけがない」と反論し,けんかになりました。




それから1週間してお見舞いに来た彼女は,たくさんの本を抱えていました。
高次脳機能障害が本当に治らない病気かどうか知りたくて,本屋さんで目に付いた医学書をかたっぱしから買って読みあさった結果,彼女は僕の病気が絶対に治ると確信したそうです。

その理由は,脳の壊れた組織はもとには戻らないけれど,訓練によって失われた機能を補うことができる柔軟性を人間の脳は持っているからだと彼女に教えてもらいました。




それからというもの,張り切ってリハビリテーションに励むようになりました。
単調な動作の繰り返し,昨日と同じ訓練・・でも,リハビリテーションにはっきりした目的意識をもっていれば,つらくありません。

彼女と共に高次脳機能障害という病気を理解した結果,誤認や錯語などの症状が改善され,退院して社会復帰するめどが付きました。高次脳機能障害という病気を正しくしり,治ると信じたことが健康回復につながったと思います。




▼参考記事
・解決事例:バイクの交通事故の解決事例
・よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」:交通事故と生命保険
・解決事例:バイクの交通事故で高次脳機能障害を発症した解決事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)
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