交通事故のニュースで聞く,危険運転致死傷罪の一類型である高速度運転致死傷とはどのような犯罪なのでしょうか?

2017年03月17日
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交通事故のニュースで聞く,危険運転致死傷罪の一類型である高速度運転致死傷とはどのような犯罪なのでしょうか?

「その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為」と規定されています。




▼対象となる交通事故のニュース
「運転手に懲役3年6月 鳥取トンネル3人死傷事故で京都地裁 「制御困難な高速度認識あった」」

  危険運転致死傷罪


平成26年7月13日午前6時半ごろ、鳥取県智頭町のトンネル内で車を時速約140キロで走行させ、対向車線に出て防護柵などに衝突,3人を死傷させる交通事故がありました。

自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)の罪に問われた京都市の会社員(25)の裁判員裁判で、京都地裁は、懲役3年6月(求刑懲役6年)の判決を言い渡しました。
 

では、危険運転致死傷罪の一類型である高速度運転致死傷とはどのような犯罪なのでしょうか。





◆そもそも危険運転致死傷罪とは


危険運転致死傷罪とは,酩酊運転など類型的に高い危険性を帯びた運転行為により人を死傷させた場合に適用されます。

危険な運転行為に故意があり,死傷の結果については故意がないことが前提になっています。自動車の運転により人を死傷させる行為等に関する法律により,人を負傷させた場合は15年以下の懲役,人を死亡させた場合は1年以上の有期懲役と定められています。







◆高速度運転致死傷とは


自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条第2号は,「その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為」と規定しています。


「進行を制御することが困難な高速度」とは,速度が速すぎるため,自車を進路に沿って走行させることが困難な速度,当該速度で走行を続ければ,ハンドルやブレーキの操作のわずかなミスによって自車を進路から逸脱させて事故を発生させることになると認められる速度のことを言います。

進行制御が困難かどうかは,道路の状態・状況のほか,車両の走行性能,貨物の積載状況なども考慮して判断されます。なお,客観的事情に照らして判断すべきであり,運転時における運転者の心身の状態等の個人的事情については考慮しないとした裁判例があります(千葉地判平16・5・7)。






◆本件についてみると


本件事故現場は,最高速度が時速50キロメートルに規制されており,黄色のセンターラインで区分された片側1車線の対面通行道路であり,トンネルの出口手前で緩やかな左カーブとなっていました。




事故当日には強い雨が降っており,トンネル内の路面も湿潤していました。そして,トンネル内で車(ニッサンスカイライン)の速度を急激に上げ,事故で停止する10秒前には時速144.2キロメートルで走行し,ブレーキを踏んだことにより,車がスリップして右側対向車線にはみ出し,右前方に暴走して道路右側の歩道に衝突する結果を起こしたことから,「進行を制御することが困難な高速度」であったと裁判所は認定したようです。










◆終わりに


危険運転致死傷罪に該当する類型は,人の生命身体にとって高い危険性を帯びており,重大な結果を発生させます。運転手の方には,くれぐれも安全運転を心がけていただきたいと思います。




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 根來 真一郎)

玉突き事故に巻き込まれてしまいました。私は誰に損害賠償を請求すれば良いのでしょうか?

2017年03月15日
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玉突き事故に巻き込まれてしまいました。私は誰に損害賠償を請求すれば良いのでしょうか?

基本的には,玉突き事故の原因となった車(玉突きの最後尾の車)の運転手に賠償請求することになります。ただし,他の運転手に急ブレーキ等の過失がある場合には,その運転手に対しても賠償請求をすることができます。




▼対象となる交通事故のニュース
「車5台絡む事故、1人死亡1人重体 熊本の九州道」

  玉突き事故:損害賠償 



◆はじめに


高速道路等での玉突き事故は,数多く起きています。今年の2月28日にも,熊本県の高速道路で,車5台が絡む玉突き事故が起きています。1人が死亡,1人が重体,7人が怪我をするという,非常に痛ましい事故でした。




もし玉突き事故に巻き込まれてしまった場合,いったい誰に対して損害賠償を請求すれば良いのでしょうか。

ここでは,場面を分けてお話をしたいと思います。







◆追突した車のみに過失があった場合


例えば,道路が渋滞していた,信号が赤だった,といった理由で停止していたにも関わらず,後ろから車両が追突してきて,玉突き事故が起きたような場合を想定してみましょう。

完全に停止している車に追突した場合,追突した車の運転手に100%の過失があるので,その運転手が損害賠償責任を負うこととなります。

したがって,追突された車の運転者や,玉突き事故に巻き込まれた車の運転者は,追突した車の運転者に対し,損害賠償請求をすることになります。




この図の例だと,Aさん,Bさんは,Cに対して損害賠償請求をすることになります。








◆追突された車(後ろから二番目の車等)にも過失があった場合


例えば,上の図のB車が,前方に停車しているA車に直前で気づき(前方不注意),急ブレーキをかけたことにより,C車がB車に追突し,その結果,玉突き事故が起こってしまった場合を想定してみましょう。

この場合には,追突されたB車の運転手にも一定の過失(通常,一般道路だと3割,高速道路だと5割の過失があるとされます)があるので,Bも損害賠償責任を負うこととなります。したがって,Aさんは,Cだけでなく,Bに対しても損害賠償請求をすることができます。




なお,賠償金の両取りはできませんが,Aさんは,B・Cの両方に対して請求することはできます。この場合,B・Cは,2人で連帯して,Aさんに対して賠償金を支払うこととなります(簡単に言うと,賠償金が支払われないリスクが半減するイメージです。)。






◆おわりに


このように,玉突き事故に巻き込まれてしまった場合,基本的には玉突き事故の原因となった車(玉突きの最後尾の車)の運転手に対して損害賠償請求をすることになりますが,追突された車(後ろから二番目の車等)にも過失がある場合には,その運転手に対しても賠償請求をすることができます。


玉突き事故を起こしてしまった加害者側から考えると,被害車両のすべてに賠償をしなければならない(=被害者が多数存在する)ので,非常に高額な賠償責任を負う可能性が高いと言えます(任意保険に入っていても,対人賠償保険に上限を定めていた場合,その上限を超えてしまう可能性もあります。)。


▼参考記事
・交通事故ブログ
「弁護士が交通事故の被害にあうとどうなるのか その1【まさかの追突事故?!編】」
・解決事例005
「非該当でも弁護士費用特約使用により保険金の増額をした事例」




(弁護士法人よつば総合法律事務所  弁護士 村岡 つばさ )

危険運転致死傷罪の一類型である信号無視運転致死とは,どのような犯罪なのでしょうか?

2017年03月08日
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危険運転致死傷罪の一類型である信号無視運転致死とは,どのような犯罪なのでしょうか?

危険運転致死傷罪とは,酩酊運転など類型的に高い危険性を帯びた運転行為により人を死傷させた場合に適用されます。




▼対象となる交通事故
「女子高生がトラックにはねられ死亡、運転手の男を現行犯逮捕」

  危険運転致死傷罪


2017年2月2日,大阪市西淀川区の交差点で,自転車に乗っていた高校生(16)がトラックにはねられ、頭を強く打って死亡しました。
警察は,トラック運転手が赤信号を意図的に無視したとして,危険運転致死罪の疑いで送検しました。





◆そもそも危険運転致死傷罪とは

危険運転致死傷罪とは,酩酊運転など類型的に高い危険性を帯びた運転行為により人を死傷させた場合に適用されます。危険な運転行為に故意があり,死傷の結果については故意がないことが前提になっています。

自動車の運転により人を死傷させる行為等に関する法律により,を負傷させた場合は15年以下の懲役,人を死亡させた場合は1年以上の有期懲役と定められています。







◆信号無視運転致死とは


自動車の運転により,人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条第5号は,「赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し,かつ,重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為」と規定しています。


「赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視」とは,およそ赤色信号に従う意思のないことを意味します。赤色信号であることの確定的な認識がない場合であっても,信号の規制自体に従うつもりがないため,その表示を意に介することなく,たとえ赤色信号であったとしてもこれを無視する意思で進行する行為も含まれます(最決平20・10・16)。

「重大な交通の危険を生じさせる速度」か否かは,交差する道路や対向車線を信号表示に従って進行する車両,あるいは,道路を信号表示に従って横断する歩行者の存在等も加味して判断されます。判例では,赤色信号を無視して時速20kmで交差点内に進入した事案について,「重大な交通の危険を生じさせる速度」であったと認定したものがあります(最決平18・3・14刑集60巻3号363頁)。 









◆本件についてみると,


現場は信号機と横断歩道がある交差点だったようです。


そして,防犯カメラの映像などから,トラックが交差点に進入するかなり前に信号が赤に変わっていたことが判明しました。そのため警察は,トラック運転手が「赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視」したと判断したようです。
また,具体的なスピードなどの詳細な事実は記事には記載されておりませんが,「重大な交通の危険を生じさせる速度」であったと,警察が総合的に判断したものと思われます。






◆終わりに


危険運転致死傷罪に該当する類型は,人の生命身体にとって高い危険性を帯びており,重大な結果を発生させます。運転手の方には,くれぐれも安全運転を心がけていただきたいと思います。




▼参考記事
「死亡事故被害者の救済」
解決事例064「横断歩道上で発生した死亡事故について裁判で7000万円」

(弁護士法人よつば総合法律事務所  弁護士 根來真一郎 )


お酒を飲んでも,一晩寝れば,翌朝に運転しても大丈夫でしょうか?

2017年03月03日
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お酒を飲んでも,一晩寝れば,翌朝に運転しても大丈夫でしょうか?

飲んだお酒の量・睡眠時間・体質等にもよりますが,お酒を飲んだ翌朝の運転が飲酒運転に当たるとして処罰されたケースもあるので,注意が必要です。



▼対象となる交通事故
「酒気帯び運転で車に追突 県教委、男性教諭を免職「寝たので大丈夫」」

 一度寝たのに飲酒運転? 飲酒翌日の運転に要注意


◆飲酒運転


昨年の8月,埼玉県で61歳の男性が,酒気帯び運転で事故を起こしたとして逮捕されました。
事故を起こした男性は,「一度寝ているので,事故を起こさなければ大丈夫だろう」と考え,車を運転したと供述しています。

事故を起こしたお酒を飲んでから,身体からアルコールが抜けるまでには,一定の時間がかかります。

どれくらいの時間が経てば車を運転して良いのかという点は,飲んだお酒の量や個人差(性別・体格・お酒の強さ等)にもよるので,明確に申し上げることはできません。


一般には,体重約60sの成人男性が,アルコール1単位(ビール中瓶1本程度)を飲んだ場合,アルコールが抜けるまで,約3時間〜4時間かかると言われています。







◆事案


ここでは,実際に沖縄で起きた事件を紹介したいと思います。
この事件は,お酒を飲んでから12時間程度経過していたにも関わらず,基準値を超えるアルコール量を体内に保持していたとして,酒気帯び運転として処罰された(懲役8ヵ月,執行猶予3年)という事件です。


時系列は以下の通りです。
【事件前日 PM19:00〜22:00頃】
Aは,事件前日の19時頃から,350ミリリットル入りの缶ビールを4本と,大きめのグラスに泡盛と水の割合が,7:3から8:2程度の泡盛の水割りを1杯飲み,22時過ぎに就寝した。

【事件当日 AM5:00頃】
Aは午前5時頃起床し,入浴等した後,午前6時30分過ぎ頃に,自動車を運転して勤務先に向かった。

【事件当日 AM8:00頃】 
Aは,午前8時頃,勤務先での打ち合わせを終え,勤務先から建築工事現場に行くため再度自動車を運転したところ,午前9時23分頃,車両との追突事故を起こした。

【事件当日 AM10:21頃】
現場に到着した警察官がAに飲酒検知を行ったところ,Aから,呼気1リットルにつき0.39ミリグラムのアルコールが検知された。


酒気帯び運転として処罰されるのは,呼気1リットルあたり0.15mg以上もしくは血液1ミリリットルあたり0.3mg以上のアルコールを保有した状態で車両を運転した場合です。

Aさんから出た0.39mgという数値は,この基準を大きく上回る数値であることからも,お酒が抜けるまでにかなりの時間がかかることが分かると思います。







◆法的責任


飲酒運転をしてしまった場合の法的責任については,以前,このブログで記事を書いていますので,そちらをご参考ください。「飲酒運転の加害者は,その後どんな処分が科されるのですか?」

上の事案のように,お酒を飲んでからかなりの時間が経過していたにも関わらず,酒気帯び運転とされたケースもあるので,お酒を飲んだ翌朝の運転は,注意が必要です。通勤などで必要な方も多いと思われますが,お酒を飲んだ翌日,特に翌朝の運転は控えるようにしましょう。







(弁護士法人よつば総合法律事務所  弁護士 村岡 つばさ)

千葉県は全国と比較して,交通事故が多いのでしょうか?

2017年03月01日
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千葉県は全国と比較して,交通事故が多いのでしょうか?

千葉県の交通事故死者数は,平成28年度で愛知県の212人に次いで全国ワースト2位となっています。




 千葉県:交通事故発生状況 



◆千葉の交通事故死185人 全国ワースト2位


皆さんは,千葉県が交通事故の発生件数が多い都道府県であることをご存知でしょうか?

千葉県警は,平成29年1月16日に,平成28年に千葉県内で起きた交通事故の発生状況のデータを発表しました。千葉県の交通事故死者数は,前年から5人増えて185人となり,愛知県の212人に次いで全国ワースト2位となっています。




今回は,そんな交通死亡事故の多い千葉県において,どのような交通死亡事故が多く発生しているのかをご紹介していきます。

今後わたしたちが悲惨な交通事故に遭わないためには,どのように注意をしたらいいのでしょうか?








◆高齢者の道路横断中の事故が多発


平成28年中の交通事故死者数185人のうち,高齢者は99人で,全体の53.5%を占めています。年齢層別死者数は,以下の通りです。

  ・子ども:3人(1.6%)     ・40歳代:12人(6.5%)
  ・高校生:2人(1.1%)     ・50歳代:21人(11.4%)
  ・29歳以下:23人(12.5%) ・60〜64歳:13人(7%)
  ・30歳代:12人(6.5%)


また,高齢者の状態については,99人中,歩行者が60人,自転車利用者14人,二輪車乗車中5人,四輪車乗車中20人となっています。高齢歩行者の死者60人中41人が道路横断中の事故となっています。

千葉県警のホームページによると,夜間,道路横断中の事故が大変目立っているとのことです。
歩いて外出される際には,明るい色の服を着用したり,反射シール等を身につけるなど,ドライバーから発見されやすい服装を心掛けるとともに,道路を横断する際には左右の安全確認をしっかり行うことが重要です。

また,ドライバーの方も,夜間,運転される際には速度を控え,横断歩道以外でも道路横断者がいることに十分注意するなど,安全運転を心がけましょう。




 




◆18時,20時ころに交通死亡事故が多発


交通死亡事故の発生時間帯は,日没周辺が多い傾向があります。平成28年も,18時台の死亡事故が13件を数えました。20時台も10件発生しています。


薄暮時から夜間にかけて歩行者等を早期発見し,交通事故を防止するためにも,前照灯をハイビームに切り替えることを心掛けましょう。対向車や先行車のいないところでは,ハイビームに切り替えることが基本であり,こまめな切り替えをすることが重要です。
※ただ,平成28年は,午前10時台にも14件の交通死亡事故が発生しており,千葉県警は原因を分析しています。



 



◆原因は前方不注意が最も多い


千葉県警は,交通死亡事故を起こした原因についてもデータを発表しています。1位は,前方不注意54件(29.7%)でした。2位は,運転操作ミス32件(17.6%),3位は,安全不確認31件(17%)と続いています。


交通事故は,被害者になっても加害者になっても大変な思いをすることになってしまいます。日ごろから十分に注意をして,事故防止を心掛けていきましょう。




▼参考記事
当事務所の交通事故解決事例
・よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」

「千葉で交通事故被害者の救済活動をするということ」

(弁護士法人よつば総合法律事務所  弁護士 大友 竜亮 )

車線変更の交通事故の過失割合は,どのような割合になりますか?

2017年02月27日
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車線変更の交通事故の過失割合は,どのような割合になりますか?

基本的には車線変更をする車の過失割合が高くなりますが,ケースごとの修正要素に応じて,後ろの車の過失割合が高くなることもあります。




 車線変更:過失割合と修正要素  



◆基本の過失割合と修正要素


交通事故では,過失割合が重要な問題となります。自分の過失割合が高いと,その分相手に請求できる損害賠償金が減ってしまうからです。

そして,交通事故の過失割合には,基本の過失割合と修正要素があります。基本の過失割合とは,そのケースの類型において,修正要素がなければ基本的に認定すべき過失割合のことです。




これに対し,修正要素とは,基本の過失割合以上に特殊な事情がある場合,その事情を考慮して過失割合を増減することです。たとえば,一方の自動車に著しい過失があるケースなどでは,その自動車の過失割合が基本の過失割合よりも5%〜15%程度上がります。







◆車線変更の交通事故の基本の過失割合


それでは,車線変更の際に事故が発生した場合,基本の過失割合はどのようになるのでしょうか?

これについては,基本的に車線変更をする車の過失割合が高くなりますが,後ろの車も0にはなりません。具体的には,基本の過失割合が,進路変更をした車:後ろの車=70:30となります。



単純な追突事故のケースでは,基本の過失割合が,前の車:後ろの車=0:100となるのと比較しますと,車線変更の場合には進路変更をする前の車にとって,かなり厳しい見方をされていることがわかります。
それは,進路変更をする際には,進路変更後の後続車の速度や方向を急に変更させるようなことはしてはならないという注意義務が課されているからです。






◆修正要素


車線変更の事故には,修正要素もあります。
まずは,進路変更をする前の車の加算要素を見てましょう。

進路変更禁止場所の場合  +20%
進路変更の合図無し    +20%
後ろの車に初心者マークあり +10%
進路変更車に著しい過失あり +10%
進路変更車に重過失あり   +20%


次に後ろの車の加算要素を見てみましょう。

時速15q以上の速度違反 +10%
時速30q以上の速度違反 +20%
後ろの車がゼブラゾーンを走行していた +10〜20%
後ろの車に著しい過失あり +10%
後ろの車に重過失あり   +20%


以上のように,車線変更の交通事故の場合,基本的には車線変更をする車の側の過失割合が高くなりますが,ケースごとの修正要素に応じて,後ろの車の過失割合が高くなることもあります。

もちろん,修正要素があるかないか自体が争いになることもあります。
話合いで解決できなければ,最終的には裁判所に持ち込み,証拠で判断されることになります。ドライブレコーダーの証拠力が強くなってくることもあります。

過失割合の修正要素の多くは,交通ルール違反があったことを内容とするものです。ですから,自動車を運転する場合には、くれぐれも交通ルールをしっかり守ることが重要です。

また,相手との示談交渉において,保険会社から提示された過失割合に納得ができない場合には,弁護士に相談すると妥当と思われる過失割合を教えてもらうことができます。今,車線変更の事故に遭って過失割合の問題で悩んでいるなら,一度弁護士に相談してみると良いでしょう。




▼参考事例紹介
当事務所の解決事例 No.029
「過失2割でも14級9号により591万円を獲得した事例」

(弁護士法人よつば総合法律事務所)


玉突き事故の過失割合は,どのような割合になりますか?

2017年02月20日
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玉突き事故の過失割合は,どのような割合になりますか?

原則として追突した一番後ろの車の過失割合が高くなりますが,ケースごとの判断が必要になります。




 玉突き事故:過失割合 



◆追突事故の過失割合


交通事故が起こって示談交渉を進めるとき,過失割合が争いの原因になることが多いです。

交通事故では自分の過失割合が高いと,相手に請求できる賠償金の金額を減額されてしまうので,互いに自分の過失割合を低くしようとするからです。




過失割合は,過失割合の認定基準表によって定められていますが,玉突き事故の場合,それぞれの自動車の過失割合はどのようになるのかが問題です。

玉突き事故は,3台以上の車が当事者になる場合の追突事故なので,追突事故の過失割合の考え方が基本になります。

そして追突事故の場合,基本的に追突した自動車の過失割合が100%となります。
これは、追突した車が一方的に悪いということです。







◆玉突き事故でも,基本的に追突した自動車の過失が高くなる


それでは,3台以上の自動車が当事者となる場合には,それぞれの過失割合はどのようになるのでしょうか?この場合も,原則として追突した一番後ろの車の過失割合が高くなります。



一番前の車がA車,二番目の車がB車,一番後ろの車がC車だとして,玉突き事故が起こってC車がB車にぶつかり,その衝撃でB車がA車にぶつかったとしましょう。このときの過失割合は,C車が最も高く、次にB車,A車となります。具体的な事故の状況にもよりますが,C車の過失割合が100%となることもあります。







◆前の車が急ブレーキを踏んだケース


2台の車の追突事故の場合,前の車が急ブレーキを踏んだケースなどでは,前の車にも過失割合が認められます。具体的には,前の車:後ろの車=30:70となります。

前の車が急ブレーキを踏んだとしても,後ろの車が十分な車間距離をとっていなかったことが問題だという判断があるので,この場合でも後ろの車の過失割合の方が大きくなってしまうのです。







◆玉突き事故で前の車の過失割合が高くなるケース


玉突き事故でも,追突事故の場合と同様,前の車の過失割合が高くなるケースがあります。
追突事故と同様,前の車が急ブレーキを踏んだ場合などです。

また,二番目の車の場合には,前の車との車間距離を充分にとっていたかなども問題となります。
たとえば,二番目の車が車間距離を充分にとっておらず,一番目の車が急ブレーキを踏んで玉突き事故が起こったケースでは,一番目の車や二番目の車にもそれなりに大きな過失割合が割り振られる可能性が高いです。




このように玉突き事故の過失割合は,ケースごとの判断が必要になってくるので,相手の保険会社と示談交渉していると,疑問に感じることが多いです。わからないことや納得できないことがあったら,弁護士に相談することをおすすめします。




▼参考事例紹介
当事務所の交通事故解決事例 No,005
「非該当でも弁護士費用特約使用により保険金の増額をした事例」

交通事故ブログ
「弁護士が交通事故の被害にあうとどうなるのか その1【まさかの追突事故?!編】」




(弁護士法人よつば総合法律事務所)

過失割合の「修正要素」とは何ですか?

2017年02月15日
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過失割合の「修正要素」とは何ですか?

その事故の特殊性を考慮して,基本の過失割合を修正する要素のことを言います。




 修正要素 



◆基本の過失割合


交通事故が起こった場合,過失割合が争点になることが多いです。
自分の過失割合の分は,相手に請求できる金額から減らされてしまうため,お互いに自分の過失割合を減らそうとして争いが起こることも多いです。

過失割合にはケースごとの基準があり,ここでは「基本の過失割合」と「修正要素」が定められています。

基本の過失割合とは,ケースごとの基本となる過失割合です。これに対し修正要素とは,その事故の特殊性を考慮して,基本の過失割合を修正する要素のことです。

たとえば,信号機のある交差点で直進車同士が衝突した事故が発生したとき,交差点進入時の信号表示が双方とも赤色だった場合は,基本の過失割合が50:50となります。
しかし,どちらかの自動車に「相当のスピード違反」や「飲酒運転」などの問題行為がある場合などには,修正要素が適用されて,それらの問題行為がある方の自動車の過失割合を上げることを検討します。







◆修正要素の具体例


それでは,過失割合の修正要素にはどのようなものがあるのでしょうか?
以下で具体的に見てみましょう。


@自動車の修正要素

まず,自動車の修正要素を見てみましょう。
自動車の修正要素としては,徐行義務違反や右折禁止違反,進路変更する際の合図をしなかった場合,15q以上の速度違反,その他の著しい過失や重過失などが加算要素となります。

著しい過失とは,通常想定されている程度の過失を超える大きな過失のことです。
たとえば,著しい前方不注視があったり酒気帯び運転があったりすると,著しい過失があったと評価される可能性があります。
重過失とは,故意に近いほどの重大な過失のことです。たとえば,無免許運転や酒酔い運転のケースなどでは重過失が認められる可能性が出てきます。

これらの修正要素が適用される場合には,その程度に応じて自動車の過失割合が5%〜20%程度上がります。




A自転車の修正要素

自転車にも過失割合の修正要素があります。
自転車と自動車との事故を例にとると,たとえば,自転車の運転者が高齢者や児童などであれば過失割合が下がります。
夜間の事故の場合,自転車側の過失割合が上がる方向で修正されます。
これら以外の著しい過失や重過失などによる加重については,自動車の場合と同じです。




B歩行者の修正要素

歩行者の場合にも過失割合の修正要素があります。

歩行者と自動車との事故を例にしますと,歩行者が高齢者や児童、障害者や幼児であれば過失割合が下がりますし、事故現場が住宅地や商業地なら過失割合が下がります。
歩行者が集団で移動していた場合には、歩行者側の過失割合が下がります。

事故現場が幹線道路であったり夜間の事故であったりするケースでは、歩行者側の過失割合が上がります。

このように、過失割合にはたくさんの修正要素があるので、それぞれのケースについて正確に判断する必要があります。わからないときには、弁護士に聞いてみると良いでしょう。




▼参考事例紹介
当事務所の交通事故解決事例No,025 
「控訴審において当方に有利な過失割合が認められた事例(14級9号)」

(弁護士法人よつば総合法律事務所)

過失割合における「認定基準表」とは何ですか?

2017年02月10日
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過失割合における「認定基準表」とは何ですか?

過失割合は,細かくケースごとに基準が決められていますが,これについては「認定基準表」という表が作られて一覧になっています。




 認定基準表



◆過失割合とは


交通事故では,過失割合が重要です。過失割合とは,交通事故の結果について,事故の当事者のどちらにどれだけの責任があるかという割合のことです。

自分の過失割合が高いと,その分相手に請求できる損害賠償金額が減額されてしまうので,過失割合はが少ない方が有利です。


交通事故の示談交渉において,相手の任意保険会社との間で争いになることも非常に多いです。







◆過失割合の決まり方


相手に請求できる賠償金額に大きな影響を持つ過失割合ですが,これはどのようにして決まるのでしょうか?過失割合は,現在までに積み重ねられた判例によって,ケースごとに基準が定められています。

たとえば,自動車同士が信号機のある交差点で衝突した事故の場合,どちらの信号が何色だったかなどによって細かく過失割合が定められています。
自動車同士の事故だけでは無く,自動車とバイクの事故,自動車と自転車の事故,自動車と歩行者の事故などのケースでも,同じように過失割合の基準があります。




弁護士が相手の保険会社と示談交渉をする場合や,裁判によって過失割合を決める場合には,この過失割合の算定基準によって決定されるので,同じような事故の場合には同じような過失割合になり,公平性が保たれています。









◆認定基準表とは


過失割合は,細かくケースごとに基準が決められていますが,これについては「認定基準表」という表が作られて一覧になっています。




交通事故が起こったら,この認定基準表を確認することによって,自分のケースでどのくらいの過失割合になるのかを知ることができます。
弁護士や裁判所が過失割合を確認するときにも,認定基準表を見て妥当な過失割合を考慮しています。
被害者が自分で過失割合を調べたい場合にも,認定基準表が役立ちます。










◆認定基準表の確認方法


被害者が自分で認定基準表を確認したい場合には,どのようにすれば良いのでしょうか?

これについては,いくつかの方法があります。

まずは,別冊判例タイムズ38号という法律雑誌を見ると,その中に認定基準表が掲載されているので確認できます。
また,日弁連交通事故相談センターが発行している「交通事故損害賠償額算定基準(青本)や,「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(赤い本)」という本にも認定基準表が掲載されているので,確認することができます。




これらの本は,一般人であっても書店で注文したり,インターネット上で注文したりすることができ,かかる費用は数千円です。
なお,弁護士であれば通常はこれらの本を持っているので,弁護士に相談をしたら認定基準表を見せてもらえますし,自分のケースでどの程度の過失割合になるのかも教えてもらうことができます。
自分で認定基準表を見てもどの表を用いるべきかわからないこともあるので,困ったときには弁護士に相談すると良いでしょう。







(弁護士法人よつば総合法律事務所)

交通事故での過失割合における「判例タイムズ」とは何ですか?

2017年02月07日
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交通事故での過失割合における「判例タイムズ」とは何ですか?

交通事故の過失割合の算定基準が掲載されている法律雑誌の1つです。交通事故では過失割合がいくらかというのは,非常に重要なポイントになります。




 過失割合と判例タイムズ 



◆判例タイムズとは


判例タイムズは,法律雑誌の1つでして,判例タイムズ社という会社が発行しています。
主に弁護士や裁判官,検察官などに向けたもので,全国の裁判所での主要な判例などを掲載しています。



月に一回刊行されていて,定期購読している実務家も多いです。一般の人でも入手することができて,全国の本屋で注文することが可能ですし,インターネットを通じても購入できます。

また,判例タイムズには,いわゆる増刊号のようなものもあります。「別冊判例タイムズ」というものです。その別冊判例タイムズの中には,交通事故の過失割合の算定基準が掲載されているものがあります。交通事故問題を取り扱う際によく使われます。










◆過失割合とは


交通事故の過失割合とは,その交通事故において,当事者のそれぞれにどのくらいの責任があるかという割合のことです。交通事故では,過失割合が高いほど相手に請求できる賠償金の金額が減ってしまいます。

たとえば,過失割合が30:70で,自分の過失割合が30の場合には,相手から受けるべき賠償金の金額が3割減になってしまいます。そこで交通事故では,過失割合がいくらになるかということが非常に重要な争点になることが多いです。










◆過失割合の認定基準


交通事故で問題になりがちな過失割合ですが,これをどのようにして決めるのかが問題になります。

被害者が自分で相手の任意保険会社と交渉する場合には,手の任意保険会社が妥当だと考える過失割合を決めて被害者側に提示してきます。

裁判をする場合には,過失割合の算定基準によって過失割合が判断されています。




過失割合の算定基準とは,これまでの裁判例の積み重ねによって,ケースに応じた過失割合を定めた基準のことす。

たとえば,自動車同士の事故,自動車とバイクの事故,自動車と自転車の事故,自動車と歩行者の事故等の類型に分けて,それぞれ交差点上の事故であれば信号機のありなし,優先道路のあるなし,信号表示の状況,一時停止義務のあるなしなどの細かい場合分けをして,それぞれのケースにおける基本の過失割合が定められています。

裁判実務や弁護士が相手の保険会社と示談交渉する場面では,この過失割合の算定基準によって過失割合を決定しています。










◆判例タイムズと過失割合認定基準の関係


過失割合の認定基準は,「別冊判例タイムズ」の38号に掲載されており,これが一番よく用いられます。

そこで,ケースごとの過失割合を知りたい場合には,上記の別冊判例タイムズを入手すればよい,ということになります。
交通事故に遭って,相手の保険会社から提示された過失割合に納得できない場合には,別冊判例タイムズ38号を入手して,自分のケースで適用される過失割合を確かめてみると良いでしょう。




なお,弁護士は過失割合の算定基準表を持っているので,弁護士に相談したら自分で判例タイムズを入手しなくても,同書に掲載されている過失割合の基準を知ることができます。







(弁護士法人よつば総合法律事務所)
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