保険会社が定期金賠償というものを提案してきました。保険会社はなぜこのような提案をしてきたのでしょうか? 被害者家族の対応として気を付けるべき点はありますか?

2018年03月02日
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保険会社が定期金賠償というものを提案してきました。保険会社はなぜこのような提案をしてきたのでしょうか? 被害者家族の対応として気を付けるべき点はありますか?

定期金賠償とは,月ごと・年ごとなど定期的に賠償金を支払う方法です。実際の損害額に近い金額の賠償になりやすく,金額算定が合理的になりやすいです。

ただし,将来保険会社の資産状態が悪化すると支払を受けられなくなるかもしれないリスクがあります。一方,一時金賠償においては,その後に事情変更が発生したときに決め直すことが難しいなどの問題があります。





 交通事故の損害賠償 : 定期金賠償と一時金賠償



◆定期金賠償と一時金賠償




交通事故の損害賠償金の支払方法として,定期金賠償と一時金賠償があります。

一時金賠償とは,示談成立時や判決時などに,将来の分もまとめて一括で賠償金を支払う方法です。

これに対し,定期金賠償は,示談成立後や判決後において,毎月や毎年など,定期的に賠償金を継続して支払い続ける方法です。




たとえば,後遺障害や死亡のケースの逸失利益や将来介護費用などについて,一時金賠償か定期金賠償のどちらを採用すべきかが問題となります。

一般的に,交通事故の賠償金支払については,一時金賠償方式が採用されています。







◆保険会社が定期金賠償を主張する理由




示談交渉時,加害者の保険会社が定期金賠償を求めてくることがあります。

それは,定期金賠償の方が,現実に発生した損害額に近い金額を支払やすいからです。




たとえば,将来介護費用を平均余命の分まで一括で支払ったとしても,その後,被害者が平均余命まで生きるとは限りません。合併症等で,平均余命に達する前に死亡してしまうこともあります。

すると,保険会社にしてみたら,本来は不要なお金を先に支払い過ぎたということになります。この場合でも,後になって「実際には不要だったから,返してほしい」と言うことはできません。

定期金賠償なら,死亡した時点からは支払義務がなくなるので,被害者が平均余命より前に死亡したときは,保険会社としては,支払を抑えることができることになります。







◆定期金賠償の注意点




定期金賠償は,現実に発生した損害額に近い金額が支払われるという意味では,被害者にとって悪い条件ではありません。

たとえば,被害者が平均余命より長く生きるケースもあり,その場合には定期金賠償の方が一時金賠償よりも賠償を受ける金額は多かったということになります。

ただし,定期金賠償にすると,将来保険会社が倒産した場合,それ以降の支払を受けられなくなるリスクがあります。

被害者が若年で,平均余命まで数十年(ときには50年以上のこともあるでしょう),というケースでは,定期金賠償にすると,不安が大きいと言えるでしょう。




被害者が拒絶しているにもかかわらず,加害者が一方的に定期金賠償を適用することはできないという最高裁判所の判例がありますが(最高裁昭和62年2月6日),近年は,被害者が一時金賠償を求めているときも裁判所が定期金賠償判決することは許されているという考え方が主流になっており,実際にそういう判決をした裁判例も複数存在します。

お独りで考えて決めてしまう前に,弁護士までお早めにご相談下さい。




▼参考記事
・交通事故における損害賠償の項目について
・保険会社担当者には裏がある
・弁護士が入ると賠償額が上がる!

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(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

交通事故の損害賠償の問題が間もなく解決しそうです。損害賠償に必要だということで成年後見制度を利用したのですが,解決したときには成年後見も終了しますか?

2018年03月01日
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交通事故の損害賠償の問題が間もなく解決しそうです。損害賠償に必要だということで成年後見制度を利用したのですが,解決したときには成年後見も終了しますか?

いいえ,終了しません。ご本人の状態が回復して後見人が不要になるか,死亡するまで継続します。




 交通事故の損害賠償 : 成年後見制度 



◆成年後見制度とは




交通事故に遭われた被害者の方に重大な後遺障害が残り,御自身で考えて判断することができなくなった場合,ご自身で損害賠償の手続を進めることができないケースがあります。

この場合には,誰か代わりのかたが損害賠償請求手続を行う必要がありますが,そのために利用されるのが「成年後見制度」です。




成年後見制度とは,本人に判断能力が欠如する場合に,適式な後見人がついて,代わりに財産管理や身上監護を行う制度です。

交通事故の中でも,以下のような後遺障害が残ったケースにおいて,利用されます。

       ・遷延性意識障害        ・重度な高次脳機能障害 


上記以外のケースでも,ご本人が賠償請求手続を進めるために必要な判断能力を失ってしまっている場合には,成年後見制度の利用を検討する必要があります。







◆交通事故賠償問題が解決しても,成年後見制度は終了しない




交通事故後に成年後見制度を利用した場合,裁判所から選任された成年後見人が本人の財産を管理・処分する権限を持ちます。

損害賠償請求の手続はその一環です。
成年後見人の判断によって示談を進め,成立させることもできますし,示談が決裂したときに訴訟を起こすことも可能です。

このように,交通事故損害賠償のために成年後見人を選任したのであれば示談が成立して不要になったら,後見は終了するのでしょうか?




実は,そういうことにはなっていません。
成年後見人は,本来は交通事故とは無関係な制度
です。

家庭裁判所により,「(交通事故問題に限らず,どのような問題についても)本人に判断能力がないので,成年後見人が必要」であると判断されて,後見開始決定が出ています。

交通事故による損害賠償請求の場面で後見人が本人の代わりに手続を遂行しているのは,たまたま交通事故損害賠償請求をするときにも,この制度が有効になっているためです。

もともと判断能力の問題があるので後見開始決定が出ているのですから,交通事故問題が解決したとしても,制度の適用が終了になるというわけではないのです。







◆成年後見制度が終了する時期




成年後見人が選任されたのは,判断能力を失ったかたの財産管理や権利行使のために必要だからです。
そこで,必要性がなくなれば,後見制度は終了します。

具体的には,本人が判断能力を回復したときか,本人が死亡するときまで後見制度は継続します。




▼参考記事
・成年後見人に関してかかった費用は,損害として認められますか。
・高次脳機能障害の場合,成年後見申立が必要ですか。
・成年後見申立無料サポート
・交通事故で極めて重症になってしまった被害者のご家族が成年後見人となり,当事務所が代理し解決した事例

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(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

交通事故後,夫が怒りっぽくなりました。高次脳機能障害が関係しているのですか?

2018年02月28日
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交通事故後,夫が怒りっぽくなりました。高次脳機能障害が関係しているのですか?

怒りっぽくなるのは,高次脳機能障害の後遺症の一つである社会的行動障害のためです。適切なリハビリテーションを受けて,感情のコントロールを心がけましょう。




 高次脳機能障害 : 事故後の変化 



◆怒りっぽくなった原因は高次脳機能障害の後遺症だった




Aさん(48歳男性)は,交通事故で怪我をして救急病院に運ばれ,2カ月間入院しました。

事故から24時間後に意識が戻り,1週間後にはベッドから起き上がれるようになりました。

完全看護の病院なので家族が夜間付き添う必要はありませんでしたが,Aさんの妻は,毎日面会時間にはAさんの病室を訪れ,献身的に世話をしました。




病室でアイスクリームが食べたいとAさんが言うのを聞いた妻は,病院の売店でアイスクリームを買ってきました。それを見るなりAさんは,「カツ丼が食べたいのにアイスクリームを食べさせようとするとはなんだ」と,血相を変えて怒鳴ったのです。

妻は,以前は優しかったAさんが理不尽な理由で激怒したことにショックを受けました。

実は,Aさんの性格が変わったのは,高次脳機能障害によるものでした。

専門用語で「社会的行動障害」と言い,自分の感情をコントロールできなくなる後遺障害です。







◆リハビリテーションで感情をコントロールできるようになった




Aさんの症状は,回復するどころか悪化する一方で,妻はAさんの暴言を恐れて何も話しかけられなくなってしまいました。

その一方で,救急病院から退院するか転院するように促され,Aさんの妻はAさんの症状を緩和するためのリハビリテーションを受けられる病院を探しました。その結果,高次脳機能障害に対する理解がある病院が見つかり,転院してすぐにリハビリテーションを開始しました。




Aさんに対するリハビリテーションは,作業療法士が行います。

Aさんが急に怒り出しても責めることはしませんが,指摘するべきことははっきり言います。

Aさんは,怒ると同時に大変な興奮状態に陥るので,そのような場合はリハビリテーションの担当者はしばらく席を外すなどして,興奮が静まってから課題を続けるようにしました。

何かをしようとする時は,まず考えてから行動に移す訓練も行いました。

Aさんは,自分の性格の変化が高次脳機能障害によるものだと自覚していないので,後遺障害に対する自覚を持つよう,病気に対する理解を深める時間も取りました。




その結果,Aさんは自分の感情をコントロールできるようになり,妻や周囲の人に感情をむき出しにすることはなくなりました。

Aさんは,社会的行動障害に適合したリハビリテーション訓練を受けたことで,高次脳機能障害の後遺症を克服し,退院後,職場に復帰できたのです。




▼参考記事
・病院選びはどのようにしたらよいですか。
・高次脳機能障害の具体的な症状には,どのような症状がありますか。
・事故後,早い段階から弁護士が関与することで,高次脳機能障害の専門的な検査や医療機関と繋がることができ,結果として症状改善につながり,後遺障害の認定をスムーズに受けることができた解決事例

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(よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

高次脳機能障害と脳しんとうの違いは何ですか?

2018年02月27日
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高次脳機能障害と脳しんとうの違いは何ですか?

高次脳機能障害は,脳に傷がついたことで起きる病気で,一時的な記憶障害などの症状が起きるが,脳の損傷はないのが脳しんとうです。




 高次脳機能障害と脳しんとう



◆高次脳機能障害と脳しんとうはどう違う?




頭を打ったら安静に。とか,頭を打ったらすぐ病院に行けなどと言われたことはありませんか?

頭を打った場合は,脳に対するダメージを心配して軽く考えずに慎重に対処します。

高次脳機能障害を起こすような重大な怪我や疾患は,まれに起こる病気ですが,脳しんとうは遊んでいる子どもや,スポーツをしている大人に起こる,さほどめずらしくない症状ですが,高次脳機能障害とどのような違いがあるかを述べます。




高次脳機能障害は,脳に器質的な変異があります。
すなわち,怪我や病気で脳に傷が付いた状態です。

いったん傷付いた脳はもとに戻らないので,高次脳機能障害は完治することなく後遺症が残ります。

それに対して,脳しんとうは頭部に激しい力がかかったために起きる,一過性の意識障害で,脳に傷が付いているわけではありません。打撲だけでなく,頭を強い力で揺さぶられた場合も,脳しんとうを起こします。

脳に傷がついているかいないかが,高次脳機能障害と脳しんとうを区別する基準です。

むろん,頭部を強く打って高次脳機能障害を発症したような場合は,事故発生時に脳しんとうを起こしている可能性があります。







◆脳しんとうは画像診断で映らない




軽い脳しんとうの症状がある人の頭部をCT撮影しても,何も悪いところは見当たりません。

なぜなら,脳しんとうは脳神経伝達物質という,細胞から細胞へ情報を伝える化学物質が過剰に放出されて起こる意識障害だからです。

通常は医師の指示に従って安静にしていれば,意識レベルはもとに戻り,もとの生活に復帰できます。しかし,だかららといって脳しんとうは,医師の診察を受けなくても安静にしていれば大丈夫だと考えてはいけません。

なぜなら,高次脳機能障害も意識がはっきりしない時期が続き,その後体調が回復する場合があるからです。

すなわち,しばらく安静にしていたら意識が戻ったから,軽い脳しんとうだったのだろうと自己判断していて,高次脳機能障害の原因となるような脳の損傷を見過ごしている可能性があるのです。




交通事故による高次脳機能障害は,あとで後遺症に気付くことがあります。

たとえば,いつも歩いていた駅までの道順が思い出せず,初めて歩く道のように思える,約束をしたことさえ忘れ,どうしても約束を守れないなどの症状は,高次脳機能障害の方に良く見られます。

頭を打ったことを深刻にとらえず専門治療を受けず,高次脳機能障害であることに気付かないまま,生きづらさを感じる日々を過ごしがちです。

脳しんとうを起こした程度の頭部打撲でも,医療機関の検査を受け脳の損傷がないことを確認して,日常生活に戻りましょう。







▼参考記事
・高次脳機能障害の症状に気付くには,どのようにすればよいですか。
・高次脳機能障害とは
・事故後,被害者の様子が変わったとご家族からお話があり,高次脳機能障害を負っている可能性があると判断し,必要な検査を受けて頂き,検査結果をもとに被害者請求を行い2級1号の後遺症が認定されて解決した事例

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交通事故で高次脳機能障害になったら,介護保険サービスを受けられますか?

2018年02月26日
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交通事故で高次脳機能障害になったら,介護保険サービスを受けられますか?

交通事故で高次脳機能障害になった場合,特定疾病に指定されていないので65歳未満だと介護保険を利用できず,難病指定になっていないので医療費助成制度の対象ではありません。




 高次脳機能障害 : 介護保険サービス 



◆介護保険の対象は65歳から




介護保険を利用できるのは,満65歳以上の人,もしくは国が指定した16種類の特定疾病にかかっている40歳以上65歳未満の患者さんです。

しかし,高次脳機能障害は特定疾病に指定されていないので,65歳未満で交通事故に遭い高次脳機能障害になった人は,他の保険を使って治療を検討しなければなりません。

高次脳機能障害になると,完治は難しく多くの場合,様々な後遺症に生涯に渡って悩まされ続けることになります。




日本人の平均寿命は,女性で約87歳,男性は約80歳で,世界一の長寿国です。

平均寿命まで生きるとして,男性が20歳で高次脳機能障害になったら,その後60年に渡って医療費を負担しなければならず,そのうち介護保険を使えるのは15年のみ,それまでの45年間,健康保険があるとはいえ,その他のサービスを利用しようとした時,すべて自己負担というのは高次脳機能障害の人に多大な出費を強いることになります。

高次脳機能障害の人が抱える問題は,後遺症に苦しむことのほかにもう一つ,医療に関する負担が挙げられるのはこうした理由です。







◆難病指定になっていない高次脳機能障害




従来,政府は56種類の治療法が確立しておらず治療が困難な病気を,指定難病として医療費を助成してきましたが,平成27年1月に「難病の患者に対する医療等に関する法律」(略称:難病法)が施行され,平成27年7月以降は,306種類の病気が指定難病となっています。

しかし,その306種類の指定難病のなかに,高次脳機能障害は含まれていません。

つまり高次脳機能障害の人は,治療が困難な病気であることが明らかであっても,難病法による支援を受けることができないのです。







◆家族会が支える高次脳機能障害者




このように,高次脳機能障害の方は,65歳未満であれば介護保険を利用できず,難病による医療費助成も受けられないため,経済的・精神的につらい思いをします。

そのような時に,高次脳機能障害の方を支えるのが家族会です。
家族会とは,高次脳機能障害の患者さんご本人やご家族によるネットワークのことです。

家族会に参加すると,医療に関する最新情報を入手できることだけでなく,同じ病気にかかっている方々の体験を知ることで,自身の生き方に対して前向きな気持ちを持つきっかけにもなります。

脳機能に関する研究は日々進歩しています。

家族会などで得た最新情報を通じて,より良い治療に出会うことを願ってやみません。




▼参考記事
・高次脳機能障害と家族の会
・高次脳機能障害の家族を支援する制度には,どのようなものがありますか。
・交通事故後,早い時点で当事務所が代理し,専門医のいる病院をご紹介し,ご家族の協力を得ながら長期のリハビリを行った結果,症状改善につながり,後遺障害の認定をスムーズに受けることができた事例

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交通事故で高次脳機能障害になりました。障害者手帳は発行して貰えるのでしょうか?

2018年02月23日
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交通事故で高次脳機能障害になりました。障害者手帳は発行して貰えるのでしょうか?

高次脳機能障害は精神障害に区分されます。交通事故で高次脳機能障害になった人は,市区町村から精神障害者保健福祉手帳を交付されると公的支援を受けられます。




 高次脳機能障害 : 障害者手帳 


◆高次脳機能障害は障害者?



交通事故で高次脳機能障害になった方の症状は千差万別で,その人ごとに症状が違うと言ってよいほどです。

発話がむずかしい人もいれば,道順を覚えるのが苦手になる人,道具の使い方を思い出せない人など,それぞれがさまざまな困難を抱えて生きていくことになります。

体がもとの状態ではないが,それ以上治る見込みがないので治療を終了した場合,身体に残っている後遺症は後遺障害と呼ばれます。




障害と名が付くと言うことは,高次脳機能障害の人は障害者なのでしょうか?

日本では,障害者を身体障害者,知的障害者,精神障害者の3種類に区分しています。それぞれ,認定を受けると,平成25年に施行された障害者総合支援法に基づいて,国が定めた支援を受けられます。

実は,障害者総合支援法が施行されるまで,障害者に対する支援や窓口は,上記3種類の障害のどの分類に当てはまるかによってばらばらでした。

障害者に対する支援の制度が充実したことにより,高次脳機能障害の患者さんも,支援サービスにアクセスしやすくなったのです。




高次脳機能障害の方のなかには,ご自分が障害者だと認めたくない方もいらっしゃるかもしれませんが,行政の診断基準では,高次脳機能障害は器質性精神障害に該当します。

つまり,精神障害者として障害者を対象とする福祉サービスの支給を申請できるのです。







◆公的支援を受けるための条件は?




高次脳機能障害の患者さんは,精神障害者であることを証明する精神障害者保健福祉手帳を取得することにより,行政による福祉サービスを受けられます。

精神障害者保健福祉手帳は,精神障害のため長期にわたって日常生活,または社会生活に制約のある人に対して精神保健福祉法に基づいて交付される手帳で,1級から3級まで3段階の等級があります。




精神障害者保健福祉手帳を取得した人は,障害年金の受給の対象となり,等級に応じた金額が支給されます。精神障害者保健福祉手帳は,2年ごとに新規申請のときと同じ書類と所有している手帳の写しを提出して更新する事が義務付けられています。

精神障害者保健福祉手帳の申請にあたっては,お住まいの市町村役場の窓口に診断書を提出する必要があります。

診断書は,高次脳機能障害の診断と治療を行った主治医に作成してもらいましょう。




行政の窓口の担当者が高次脳機能障害に対する知識に乏しい場合もあるので,厚生労働省が作成した高次脳機能障害診断基準表を提示するなどして,この病気に対する理解を得るよう心がけましょう。




▼参考記事
・市などによる障害福祉サービスには,どのようなものがありますか。
・交通事故で高次脳機能障害になり,施設での介護が必要になり,裁判をし将来介護費の大部分を認めてもらった解決事例
・高次脳機能障害の家族を支援する制度には,どのようなものがありますか。

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(よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故で高次脳機能障害になった人が知るべき国の診断基準とは,何ですか?

2018年02月22日
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交通事故で高次脳機能障害になった人が知るべき国の診断基準とは,何ですか?

交通事故で高次脳機能障害になった人は,厚生労働省が作成した高次脳機能障害の診断基準をもとに障害者福祉サービスの申請を検討しましょう。




 高次脳機能障害 : 国の診断基準




◆高次脳機能障害に対する国の診断基準があるのを知っていますか?




国は,高次脳機能障害における後遺障害傷害のうち,「記憶障害」・「注意障害」・ 「遂行機能障害」・「社会的行動障害」を,高次脳機能障害の障害として認めています。

これらの障害は,厚生労働省が作成した高次脳機能障害診断基準により評価され,診断の結果,公的な支援を受けられます。

高次脳機能障害を発症した方は,高次脳機能障害診断基準と照らし合わせて,ご自身の症状が診断基準に合致するようであれば,医療・福祉サービスの提供について市町村役場に問い合わせましょう。




なお,高次脳機能障害の後遺症で症例の多い言語障害は,身体障害に区分されるので,高次脳機能障害における障害区分に含まれていません。

高次脳機能障害の方で、主な症状が言語障害である場合は、身体障害の認定を検討するようにしてください。







◆国の診断基準の概要




【主要な症状は後天的なものであることが要件】

国が認める高次脳機能障害は,外傷によるものなど,後天的な原因が確認できなければいけません。

すなわち,先天的な疾患や,発達障害,進行性疾患に起因する記憶障害,注意障害, 遂行機能障害,社会的行動障害は,診断の対象とはならないのです。

それに対して,交通事故による高次脳機能障害は,受傷した日時や原因,場所などが明確に記録されているので,発症するにいたった原因を証明するのが容易と言えるでしょう。




【診断書や画像診断などの提出】

脳に器質的病変があることを証明しなければなりません。
器質的とは傷があるという意味で,脳に傷があるために発症したことを明らかにする必要があるのです。

すなわち,患者自身の主観的な訴えだけでは審査の対象とはならず,主治医診断書や,これまで受けた検査データなどの提出が求められます。

なお,高次脳機能障害を発症する前から現れていた症状は,高次脳機能障害によるものとは認められません。




【記憶障害,注意障害,遂行機能障害,社会的行動障害】

この診断基準は、精神障害者保健福祉手帳の取得の際に用いられます。また,障害者福祉サービスの申請の際にも利用されるので,高次脳機能障害の人にとって身近な診断基準と言えるでしょう。




なお,厚生労働省の診断基準は,急性期を脱して症状が安定した時期に診断を行うものとされていますので,早く公的支援を受けようと,病状が安定していないうちに診断を受けるようなことはせず,主治医と良く話し合って、後遺障害の申請の準備を進めてください。




▼参考記事
・自賠責における高次脳機能障害の入口の要件
・高次脳機能障害を負われた方の解決事例
・市などによる障害福祉サービスには,どのようなものがありますか。

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交通事故に遭い,任意保険会社の説明を受け,免責証書にサインしました。しかし,あとからよく考えると納得できないところが出てきました。改めて損害賠償請求の追加をしたいです。可能ですか?

2018年02月21日
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交通事故に遭い,任意保険会社の説明を受け,免責証書にサインしました。しかし,あとからよく考えると納得できないところが出てきました。改めて損害賠償請求の追加をしたいです。可能ですか?

このような場合,基本的に追加は認められません。ただし,免責証書作成時に予想できなかったような後遺障害の悪化や発生があった場合には,追加で損害賠償請求できる可能性があります。




 免責証書 : サイン後の追加請求について



◆免責証書とは




本件では,免責証書を作成してしまっています。

免責証書とは,損害賠償の内容を確定させて,その他の請求は今後しないということを内容とする書類です。

免責証書を作成すると,そこに書かれている内容以外の損害請求は認められなくなってしまいます。

効力としては示談書と同じものです。

免責証書と示談書の違いは,作成者の違いです。




免責証書の場合,債権者(被害者)が一方的に作成しますので,署名押印するのは被害者のみです。

これに対し,示談書は双方当事者の契約書のような書類ですから,被害者と加害者の双方が作成者となり,双方が署名押印することにより,成立します。

書類の取交しを迅速に行えることから,免責証書が多く用いられています。







◆免責証書作成の効果




免責証書を作成すると,どのような効果があるのでしょうか?

免責証書をいったん作成すると,被害者は加害者に対し,そこに書かれている内容以外の請求を行うことができなくなります。

つまり,それ以上の損害賠償請求をすることはできなくなってしまいます。

免責証書作成時に,請求漏れがあったとしても,その分は放棄したことになってしまうのです。免責証書作成後に「やっぱりこのような損害があった」と気づいても,改めて請求することはできません。

このことは示談書でも同じことで,いったん示談書を作成してしまったら,その後別途損害賠償請求することはできなくなってしまいます。







◆損害賠償の追加ができるケースとは




ただし,免責証書や示談書の作成後,改めて損害賠償請求ができるケースもあります。

たとえば,免責証書作成時には予想できなかったような損害が,後に発生した場合です。
免責証書作成後に,後遺障害が大きく悪化したような場合が典型です。

このようなケースにおいては,新たな損害は免責の対象になっていないと考えられるので,あらためて損害賠償請求することができます(最判昭和43年3月15日)。




本件でも,そのような特殊な事情があれば,免責証書作成後にもあらためて請求することができますが,基本的には,新たな請求は難しいです。少なくとも,「あとからよく考えると納得できないところが出てきた。」という理由ではいけません。

示談書や免責証書を作成するときには,慎重に対応する必要があります。




▼参考記事
・示談交渉のポイント
・交通事故問題解決の流れ
・「むちうち」と示談

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交通事故の労災保険の時効は何年ですか?

2018年02月20日
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交通事故の労災保険の時効は何年ですか?

労災保険には,2年で時効になるものと5年で時効になるものがあります。




   交通事故 : 労災保険の時効


◆交通事故で利用できる労災保険




交通事故に遭って怪我をしたとき,労災保険を利用できるケースがあります。

それは,交通事故が労働災害になるケースです。

たとえば,業務中に交通事故に遭った場合や,通勤退勤の途中で交通事故に遭った場合などには,労災を利用することができます。




労災で支払いを受けられる給付金には,以下のようなものがあります。



●療養(補償)給付
ケガの治療費(病院や薬局に支払う診療費,投薬費,検査料,手術料等)のことです。

●休業(補償)給付,休業特別支給金
業務災害が原因で仕事を休んだ場合の休業補償です。

●介護(補償)給付
業務災害が原因で介護が必要になったときの補償です。

●障害(補償)給付,障害特別支給金,障害(補償)年金
業務災害が原因で後遺障害が残った場合の補償です。

●傷病特別支給金
業務災害が原因で高度な障害が残った場合に受けられる年金です。

●遺族(補償)給付,遺族特別支給金
業務災害で本人が死亡したときに遺族に支給される給付です。

●葬祭料,葬祭給付
業務災害で本人が死亡したときに遺族に支給される葬儀費用です。





◆時効が2年の労災給付




労災保険の中でも,以下のものは,時効期間が2年となります。



●療養(補償)給付
療養に必要な治療費の支出が確定した日の翌日から起算して2年間

●休業(補償)給付
労働ができないために給料を支払われなかった日ごとに,その翌日から起算して2年間

●休業特別支給金
休業特別支給金の支給対象となった日の翌日から起算して2年間

●介護(補償)給付
介護(補償)給付を受ける対象となった月の翌月の1日から起算して2年間

●葬祭料,葬祭給付
本人が死亡した日の翌日から起算して2年間





◆時効が5年の労災給付






●障害(補償)給付
傷病が治った日の翌日から起算して5年間

●障害特別支給金
傷病が治った日の翌日から起算して5年間

●障害特別年金
障害(補償)年金の受給権者になった日の翌日から起算して5年間

●傷病特別支給金
傷病の療養開始後,1年6ヶ月が経過した日を基本として,一定の条件に該当する場合には,その日の翌日から起算して5年間

1年6ヶ月が経過した日の後に条件に該当することになった場合,該当するようになった日の翌日から起算して5年間

●遺族(補償)給付
本人の死亡日の翌日から起算して5年間

●遺族特別支給金
本人の死亡日の翌日から起算して5年間



交通事故が労働災害になる場合,労災給付を受けるとメリットが大きいですが,上記のように,労災給付申請には時効が設けられています。時効に気を付ける必要があります。




▼参考記事
・労災保険を利用して十分な治療を行い,裁判を行った結果,裁判所和解案を上回る金額の280万円で和解した事例
・労災と自賠責で後遺障害等級が異なることはありますか。
・実は奥が深い,社会保険と交通事故との関わりについて

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停車中の自動車の助手席のドアが開き,外にいた私が怪我をする交通事故に遭いました。この自動車の任意保険会社は対応してくれますか? また,自賠責保険はどうでしょうか?

2018年02月19日
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停車中の自動車の助手席のドアが開き,外にいた私が怪我をする交通事故に遭いました。この自動車の任意保険会社は対応してくれますか? また,自賠責保険はどうでしょうか?

自賠責保険は対応します。任意保険会社も対応する可能性が高いです。




 ドア開放事故 : 保険対応 



◆ドア開放事故も交通事故になる




駐停車中の自動車のドアが突然開くと,横にいた人や後ろから来た人がケガをすることがあります。
多いのは,後方から来た自転車や二輪車との事故です。

このような場合,車は走行していないので,「交通事故」にはならないとも考えられます。




しかし,実際に車がエンジンをかけて走行していなくても,自動車固有の装置であるドア開閉によって事故が生じたのであれば,交通事故は成立します。

このような態様で生じた交通事故のことを,ドア開放事故と呼んでいます。

交通事故ですから,警察を呼ぶべきですし,警察を呼んだら交通事故証明書も発行されます。







◆ドア開放事故と自賠責保険




それでは,ドア開放事故に自賠責保険の適用はあるのでしょうか?

自賠責保険が適用されるのは,「自動車の運行」に起因して人身損害が発生したケースです。
一般的には,運行とは,車を走行させることを指すと思います。

ですが,法律には定義規定があって,「『運行』とは,人又は物を運送するとしないとにかかわらず,自動車を当該装置の用い方に従い用いることをいう」とされています(自賠法2条2項)。

自動車のドアも,自動車に設置された固有の装置であり,ドアの開閉は,ドアの用法にしたがって使用することそのものです。




このような理屈で,実務上,駐停車中に生じたものであっても,ドア開放事故は,自動車の運行に起因して発生した交通事故であると認められています。助手席のドアであっても同様です。

したがいまして,ドア開放事故によって生じた人身損害について,自賠責保険は対応します。










◆ドア開放事故と任意保険




まず,対人賠償の任意保険が適用される場合について,多くの保険会社では,約款で「自動車の所有,使用,管理」に起因して損害が発生したときと定めています。

そして,駐停車中のドアの開閉は,自動車の「使用」に関して行った行為であるといえます。
そこで,ドア開放事故において,任意保険が対応することについては問題ないといえるでしょう。

被害者が怪我を負った場合には,対人賠償責任保険が適用されるので,治療費や慰謝料等について,加害者の任意保険が対応します。

もちろん,保険契約者が保険を使いたくないとの意向を示すなどの理由で,任意保険会社が対応を渋ることがありますが,それは別の問題です。




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