ドライバーが引き起こす,死亡事故の特徴は何ですか?

2016年10月20日
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ドライバーが引き起こす,死亡事故の特徴は何ですか?

交通ルールを守らない事で,引き起こしている事が多いです。


【死亡事故を引き起こすドライバーの特徴】



◆近年の死亡事故状況

近年,車の技術の進歩は目覚ましいスピードで進化しています。
駐車の際は,バックモニターで確認出来たり,自動ブレーキ搭載など,交通事故が年々減少している理由の1つには自動車技術の進歩も挙げられるかもしれません。

しかし,それでも交通死亡事故は毎日どこかで発生しています。
死亡事故を引き起こすドライバー側の原因を知って,自分が運転する時,または同乗する際に意識して,事故を引き起こさないようにしていきましょう。



◆死亡事故を引き起こすドライバーの事故原因


(1)脇見運転・不注意

死亡事故の内,約90%以上がドライバーの交通ルール違反が原因です。

その中でも,前方不注意・運転操作不適・安全不確認などの安全運転義務違反の割合が,約62%と大幅に占めています。

これは,運転走行中に携帯電話を使用していたり,カーナビを見て前を見ていなかったり,脇見運転が大きな要因だと思われます。
車が停車したから,渋滞でのろのろ運転だから大丈夫と思ってとった行動が,人の命や自分の命,さらには自分の家族の命までをも犠牲にしてしまうのです。

事故なんて起こらないだろうと,楽観的な判断をせず,運転にしっかり集中して事故を防ぎましょう。




(2)シートベルト非着用

後部座席のシートベルト着用の義務化が,平成20年6月から始まりました。
最近では,タクシー乗車時にシートベルト着用のアナウンスが出ている会社もあります。

しかしながら,未だにシートベルトの非着用が多く,なんと千葉県内の死亡事故者数の内,約45%がシートベルト非着用で亡くなられています。もし,シートベルトを着用していたら,命を落とさずに済んだかもしれません。

よく自動車のCMや事故再現のテレビ番組などの,シートベルト着用非着用での実験映像を見た事がある。という方も多いと思いますが,衝突事故は,物凄い衝撃が加わります。実際にシートベルトを着用することで,車外に放り出されたり,車内で全身を強打したり,後部座席の人が前の席に突っ込んだりする危険を回避できます。


運転席・助手席に限らず,同乗者全員の命を守るという観点でも,1人でも着用していない人がいたら,声をかけるなど徹底していきましょう。





(3)飲酒運転

飲酒運転での死亡事故は,いまだに発生しています。
最近では飲食店でもアルコールを提供する際は,その後運転しないか確認されたりもしますが,それでも飲酒運転での死亡事故は後を絶ちません。

しかも,千葉県は平成27年度の飲酒運転での死亡事故がワースト1位になっています。
飲酒運転をすると,事故を引き起こすだけでなく,仕事を失う,家族がバラバラになる,多額の損害賠償を請求されるなど,世間からの非難を一斉に浴びる事になります。一瞬で人生が激変してしまう程,飲酒運転の罪は重いのです。

仲間と美味しい食事とお酒を飲む事は素敵な事ですが,お酒を飲む時は,車を使わない交通手段を選びましょう。どうしても,やむを得ない場合は,車の代行業者に頼むなど間違っても飲酒運転だけはしないようにしましょう。
一緒にお酒を飲んでいる人も,その場に車を運転する人がいたら,絶対に飲ませないように徹底して,事故を防ぐ事が重要です。

(弁護士法人よつば総合法律事務所)

交通事故はどうしたら,未然に防ぐ事ができますか?

2016年10月19日
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交通事故はどうしたら,未然に防ぐ事ができますか?

100%事故を防ぐ事は難しいかもしれませんが,交通事故の特徴や発生状況を知る事で,安全運転を心掛ける事が重要です。




【交通事故の特徴・発生状況】




◆千葉県の死亡事故の発生状況


千葉県の交通死亡事故は前年と比較して,若干ではありますが減少傾向です。

しかし,残念ながら交通事故死者数は,全国ワースト2位(H28.8月末時点)で,関東圏内ではワースト1位となっています。

特に,県内での死亡事故が多い市は,千葉市・市川市・松戸市で,死亡事故の内44.6%が幹線道路(国道・県道)で発生しています。特に,国道126号・国道16号は最も事故発生率が高いので,走行する際は注意が必要です。







◆死亡事故の特徴と改善策


1 死亡事故は,日没後1時間以内の発生率が高い


死亡事故の約60%は,夜間に発生しています。
また,その中でも日没後1時間以内での事故が多いのが特徴です。

今はハイブリット車など,エンジン音が小さく,車が近づいている事に歩行者が気づかないケースもありますので,夕暮れ時は早めにライトを点灯したり,歩行者・自転車は白や黄色などの明るい色の服を着用したり,反射材(洋服や靴に貼り付けるシール等),LEDライト等の活用をするなどして,事故への意識を高めて注意していきましょう。





2 車両 対 歩行者の死亡事故が多い

死亡事故の中で最も多いのが,車両対歩行者の事故です。
なんと,死亡事故全体の約43%を占めています。

また,その中でも道路横断中の事故が半数以上と最も多くなっており,千葉県警のデータでは,交通死亡事故者180人中78人が歩行中に被害に遭い,この内52人が道路横断中に直進してきた車と衝突しています。

車両側は,対向車がない時は,こまめにライトの上向き・下向きを切り替えたり,横断歩道以外でも道路横断者がいることに十分注意し,速度を抑えるなど安全運転を心掛けましょう。
また,歩行者も急な飛び出しをせず,なるべく横断歩道を使用し,左右の安全をしっかり確認してから横断するようにしましょう。





3 死亡事故は高齢者が多い

交通事故の死者数は減少傾向にありますが,年齢別にみると高齢者の死亡事故の割合は,増加傾向にあります。
実際に,死亡事故の過半数が高齢者(65歳以上)となっており,さらにその内の約56%が歩行中の事故になります。

高齢者が多い理由として,個人差はあるものの,歩行が遅くなる,判断力の低下,危険回避のとっさの行動が困難となる,歩行が不安定など,高齢者特有の事情もあります。
二車線道路を横断しようとして,片側車線に気を取られ,もう一車線の車両に気づかず事故に遭うなど,このような事故も多くなっています。

高齢者の方々もそうですが,運転する側も歩くスピードや歩行の不安定さなど,高齢者の特徴を理解した上で,減速したり,一時停止などして事故を未然に防げるよう対応していきましょう。

また,最近ではカーナビを搭載している車が多い事から,抜け道を使用する車も多くなっています。今までは安全な道だと思っていても,油断しないようにしましょう。







(弁護士法人よつば総合法律事務所)

サラリーマンが交通事故に遭って休業した場合,どのような補償をしてもらえますか?

2016年10月14日
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私はサラリーマンですが,交通事故によって負った怪我のため,会社を休まざるを得なくなりました。会社を休んだ場合,休まなければ得られたはずの給料を支払ってもらえるのでしょうか?

交通事故によって負った怪我を原因として会社を休んだ場合,休業損害という補償が受けられる可能性が高いです。



【休業損害について】



◆休業損害



交通事故によって負った怪我を原因として休業した場合で,怪我の治癒/症状固定の時期までに本来仕事を休まなければ得られるはずであった給料を得られなかった損害のことを休業損害といいます。


◆休業損害が認められる場合


事故によって負った怪我を原因として仕事を欠勤,遅刻,早退した場合や,労働能力の低下により減給になった場合に,その減収分が休業損害として補償の対象となります。


通院のために欠勤した場合も休業損害の対象になります(ただし事故からだいぶ日数が経っている場合などは損害に含まれるのか争いになる場合があるので注意が必要です)。



◆有給休暇を使用しても休業損害の対象になる




欠勤,遅刻,早退をする場合に,有給休暇を取得した結果,実際の減収がない場合もあります。
その場合でも,本来であれば自由に取得できるはずの有給休暇を,事故による怪我のために消化していることになるので,休業損害の対象となるのです。


この点,保険会社の担当者は「有給休暇を使った場合には給料が出ているから休業損害は支払えません」と言ってくることが多いのですが,本来なら支払われますので,このような言葉に惑わされないように注意しましょう。





◆休業損害の計算方法



一般的には,
事故前3か月間の給与総額÷事故前3カ月の就業日数=1日当たりの平均賃金
1日当たりの平均賃金×休業日数


で計算することが多いです。休業損害の計算に当たっては,住民税・社会保険料などを控除しない給与総額で計算します。
なお,保険会社によっては,上記の計算において,

事故前3カ月間の給与総額÷90日=1日当たりの平均賃金
1日当たりの平均賃金×休業日数=休業損害


として計算してくる場合もありますが,この計算方法によると,1日当たりの平均賃金の算出にあたり,給与総額を就業日数ではなく90日(3カ月)で割っています。
つまり,就業していない休みの日も含めた1日当たりの平均賃金の算出方法になっています。




この1日当たりの平均賃金に,単に休業日数を掛けると,1日当たりの平均賃金が低く計算されてしまい,休業損害全体が低く計算されることとなります。そのため,1日当たりの平均賃金の算出方法において,きちんと就業日数で割られているかしっかりと確認する必要があります。




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 前原 彩)






交通事故に遭った場合,弁護士を入れた方がいいですか。また,弁護士を入れるタイミングはいつですか?

2016年10月11日
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交通事故の被害に遭ってしまいました。
現在,私が加害者の保険会社の担当者とお話しをしているのですが,弁護士を入れた方がいいのでしょうか。弁護士を入れるタイミングについて教えてください。

弁護士費用特約に加入されている方は,事故の最初から弁護士を入れることをお勧めします。

【弁護士介入のタイミング】



◆弁護士費用特約

(1)
ご自身が加入されている任意保険に「弁護士費用特約」という特約が付いている場合があります。
この特約が付いていると,弁護士に相談・依頼した費用を保険会社から支払ってもらうことができます(上限額,使用方法に制限がある場合もあります)。

(2)

また,弁護士費用特約は,保険に入っている本人に限らず以下の方も利用できるとされているものが一般的です。

@被保険者の配偶者
A被保険者または配偶者の同居の親族(例えば,親と同居している場合など)
B被保険者または配偶者の別居の未婚の子(例えば,子どもが一人暮らしをしている場合など)
C契約自動車に同乗中の者


  そのため,ご自身が弁護士費用特約に入られていなかった場合でも,

★同居のご両親が持っている車両に弁護士費用特約が付いている場合
★配偶者が持っている車両に弁護士費用特約が付いている場合
★ひとり暮らしをしている子どもが持っている車両に弁護士費用特約が付いている場合


 など,自分の保険に弁護士費用特約が付いていなくても使える場合もありますので,ご家族の保険に弁護士費用特約がついていないか一度調査してみましょう。

 なお,特約が使える範囲は各保険会社によって異なる場合がありますので,使える範囲を詳しく知りたい場合は,ご加入の保険会社にお問い合わせください。


◆では,弁護士を入れるタイミングは?

(1)

弁護士を入れるタイミングは,「事故直後から」をお勧めします。
交通事故においては,@警察への対応,A加害者加入の保険会社への対応,B医師への対応をしなくてはなりません。

被害者は交通事故に遭い精神的・肉体的・経済的ダメージを負っているにも関わらず,事故に遭った直後から上記3点についての対応を求められます。


(2)
また,上記3点の対応は交通事故の賠償交渉を進めるにあたって重要な事項を含むことが多々あるうえ,一度対応を間違えると取り返しがつきません。
事故直後から弁護士が入っていれば,そのような事態も防ぐことができます。

そのため,事故直後から弁護士を入れることが望ましいです。


◆弁護士費用特約に入っていなかった場合は?

(1)
弁護士費用特約に入っていなかった場合には,「事故直後にまず相談」をおすすめいたします。
弁護士費用特約に入っていない場合,弁護士費用はご依頼者様が負担されることになるため,場合によっては費用分の効果が見込めないことがあります。

(2)
しかし,事故直後の警察・保険会社・医者への対応が重要であることは弁護士費用特約に入られている方と何ら変わりはありません。そのため,まず相談をおすすめします。一度相談していただければ,上記3点の対応についての注意点や今後の方針等お伝えすることができますので,後の「事故直後に○○しておけば良かった」ということを減らすことができます。

(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 前原 彩)

交通事故被害者です。車両保管料についても賠償をしてもらえますか?

2016年10月04日
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私は交通事故被害者なのですが,相手方保険会社が時価額でしか賠償できないといってきます。私は,修理費を全額払ってもらいたいと考えており,きちんと修理費を払ってもらうまで,修理をするつもりはありません。
また,その間,車を修理工場に保管してもらっているのですが,保管料も相手に請求したいと考えています。

判例で,保険金を受け取れなくても事故車の修理・処分は可能であると判断したものがあり注意が必要です。




【賠償金の対象:事故車両の保管料】




◆必要な保管料は賠償の対象となる



交通事故に遭った場合,車を一時的に保管して,修理に備えたり,買替を検討することがあります。
事故車両の修理費の見積もりを算出したり,時価額を検討するためには一定の時間を要しますので,その間,事故車両を修理工場等に保管しておいた場合,保管料がかかります。


この事故車を廃車にするか否かを考慮するのに必要な期間の保管料は,原則として加害者が賠償すべき損害として認められます。








◆必要な程度を超えた保管料は賠償の対象とならない可能性がある



もっとも,修理を判断をするのに必要な期間を超えた期間の保管料は,否定されることがあるので注意が必要です。

例えば判例で,事故車を廃車にするか否かを考慮するのに必要な相当の期間内の保管料は事故と相当因果関係があるとした上で,「原告車が全損になった旨主張している本件においては,事故と相当因果関係がある保管料として認められる範囲は,特段の事情のない限り,原告者につき,これを廃車にするか否かを考慮するのに必要な相当の期間内のものに限られるというべき」と判断したものがあります(大阪地判平成10年2月20日)。

なお,この判例では,月額3万5千円,合計45万5000円(約1年分)の保管料請求に対し,おおむね2週間程度で判断できたとして,1万7500円の保管料のみを認めました。







◆賠償金の不払いを理由とする保管




では,保険会社が保険金を支払わないことを理由として,車両を修理も買替もせず,保管していた場合はどうでしょうか。
冒頭のご質問のように,時価額などに争いがあり,保管期間が長くなってしまうケースもあると思います。


例えば判例では,保険金を支払わなくても事故車の修理・処分は可能であるとして全期間の保管料の必要を認めず,これを否定したものがあります。(東京地判平成26年3月27日)

ですので,やはり,事故車を廃車にするか否かを考慮するのに客観的に必要な相当の期間内の保管料のみが認められることが原則と言えるでしょう。


もっとも,相手方保険会社が事故車が全損か否か等について連絡を怠っていた,交渉を怠っていた等の場合には,どこまでが判断に必要な期間として考えられるのか,検討の余地があると思われます。







◆証拠保全を理由とする保管




例えば,過失割合について争いになっており,後々紛争となることが予想される場合などは,事故車両の損傷態様が極めて重要な証拠となる場合があります。

では,証拠保全を理由として,保管料を請求した場合はどうでしょうか。

この点,判例では,通常は写真をもって,車両の破損状態を保全すれば足りるとして,車両の保管料は車両自体が事案の解明に不可欠であるような特段の事情のない限り,事故と相当因果関係のある損害とは認められないとしたもの(東京地判平成13年5月29日)があります。




実際工学鑑定等を行う場合には,写真よりも事故車両そのもののほうが証拠としての価値が高い場合もあると思われます。
ですので,写真をもって,車両の破損状態を保全すれば足りると一概にはいえないような気がします。







◆まとめ



以上,保管料は,事故車を廃車にするか否かを考慮するのに必要相当な期間であれば,賠償の対象となる一方,これを超える期間のものになると否定される可能性がありますので注意が必要です。



保管の必要性の有無の判断は,難しいケースもありますので,そのような場合は専門家にお問い合わせください。




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 粟津 正博)

交通事故でペットが負傷した場合,どのような補償をしてもらえますか?

2016年09月27日
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交通事故に遭ったのですが,同乗していた私のペットも怪我をしました。
しかし,相手方保険会社は,どんなに譲歩してもペットを購入した際の価額までしか,ペットの治療費は出せないと言います。これっておかしくないですか?

ペットは法律上「財物」として扱われることが原則ですが,近年のペットに対する社会的な認識を反映して,必要な治療費を認めた判例もあります。




【交通事故:ペットの治療費】



■法律上のルール



法律上の原則として,ペットは人ではなく財物としての扱いを受けるルールとなっています。
すなわち,ペットが負傷した場合,民事上はペットの価値に応じた賠償が問題となり,刑事上は器物損壊罪(刑法261条)が適用されます。


ペットが不幸にして交通事故に遭った場合も,その経済的価値が問題となり,経済的価値での賠償が原則となります。治療費がかかった場合であっても,治療費は時価額までしか支出しないと主張されることがあるようです。
財物であるとすれば,これに対する慰謝料も原則認められないということになります。









■現代社会におけるペットの存在


しかし,現代の私たちの生活には,ペットが密接にかかわり,かけがえのない存在になっているという実態があります。

動物の愛護及び管理に関する法律の第2条では「動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない」とうたわれております。



例えば,車両であれば経済的全損のように,修理価額が時価額を上回るから修理を断念するということがあっても,ペットについて治療費が経済的価値を上回るから治療をしないという選択は出来ないはずです。


このように,ペットの賠償についても,全て自動車等の「モノ」と同等に考えていいのかという点については,大いに疑問のあるところです。








■ペットについての賠償の例外



この点,例えば名古屋高等裁判所は(名古屋高判平成20年9月30日),「近時,犬などの愛玩動物は,飼い主との間の交流を通じて,家族の一員であるかのように,飼い主にとってかけがえのない存在になっていることが少なくないし,このような事態は,広く世上に知られているところでもある(公知の事実)。」と指摘しました。



そして,「そのような動物が不法行為により重い傷害を負ったことにより,死亡した場合に近い精神的苦痛を飼い主が受けたときには,飼い主のかかる精神的苦痛は,主観的な感情にとどまらず,社会通念上,合理的な一般人の被る精神的な損害であるということができ,また,このような場合には,財産的損害の賠償によっては慰謝されることのできない精神的苦痛があるものと見るべきであるから,財産的損害に対する損害賠償のほかに,慰謝料を請求することができるとするのが相当である。」と判断し,ペットが負傷した場合の慰謝料を認めました。




また,この判例では,ペットの治療費についても,「生命を持つ動物の性質上,必ずしも当該動物の時価相当額に限られるとするべきではなく,当面の治療や,その生命の確保,維持に必要不可欠なものについては,時価相当額を念頭に置いた上で,社会通念上,相当と認められる限度において,不法行為との間に因果関係のある損害に当たるものと解するのが相当である」と判断しており,非常に参考になります。









■まとめ



以上ペットは法律上,原則財物としての扱いを受けますが,例外的に慰謝料や,治療費を時価額を超えて認められるケースがあります。


これらを主張するためには,ペットとの関係性(家族の構成,子供の有無等),負傷の態様,負傷後の飼い主の介護の必要性等を具体的に加味して検討する必要があるでしょう。




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 粟津 正博)

交通事故による高次脳機能障害で,知能はどう変化してしまいますか?

2016年09月16日
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交通事故による高次脳機能障害で,知能はどう変化してしまいますか?

高次脳機能障害の急性期に,知能テストなどで知能の低下が確認されても,
リハビリテーションをすると新しいネットワークができて,ある程度知能が回復することが知られています。




【知能障害】




■知能とは?


あなたがこの文章を読みその内容を理解しているのは,ヒトに備わっている優れた知能を用いているからです。
交通事故で高次脳機能障害を発症すると,人間の素晴らしい知能の一部が元通りに機能しなくなり,さまざまな障害が起きます。




知能とは,学習する能力や,抽象的な思考能力,環境に対する適応力などの総称です。
私たちを取り囲む環境は一定ではありません。




日が昇って室内の気温が上昇すれば窓を開ける,道を歩いていて知っている人に会えば挨拶をするなどの動作をごく自然に行いますが,これらも環境に適応するために,人間に備わった知能を使っているのです。




この説明から,知能と記憶力は違うということがおわかりいただけると思います。
知能は,頭の良し悪しに関わらず,すべての人間が持っている能力なのです。






■高次脳機能障害と知能障害


交通事故後に高次脳機能障害を発症してから間もない急性期には,知能検査で知能の低下が認められることがあります。




しかし,高次脳機能障害は進行的に悪くなる病気ではないので,急性期から時間が経つにつれ,さらに症状が進行することはありません。むしろ,脳の神経回路が,失ったネットワークを取り戻すために新しいネットワークを作ろうとして,損傷した神経回路をカバーすることが知られています。

これが「脳の可塑性」です。
つまり,急性期に起こった知能障害は,後にはある程度改善することがありうるのです。




むろん,交通事故による脳の損傷の度合いが激しい場合は,回復期になっても記憶障害や感情障害が強く現れ,改善されないこともあります。
しかし,できるだけ早い時期にリハビリテーションを開始して,脳の神経回路に刺激を与え,新しいネットワークを作るよう努力することが,大事であると考えられています。






■高次脳機能障害と認知症


誰もが,認知症という形をともなって知能の低下を経験するリスクがありますが,高次脳機能障害の人は認知症になる確率が高いのかという問題があります。




日本で行った統計はありませんが,アメリカ合衆国で行った調査では,外傷性脳損傷は認知症のリスクを2倍にするという結果を得ました。

高次脳機能障害を発症したからといって家に閉じこもらず、リハビリテーションにでかける、友達とおしゃべりする、趣味を持つなど、いろいろなものに興味を持って脳を活性化させ、認知症を予防しましょう。
残された脳機能を保護するために、脳卒中をおこさないよう血圧管理も重要になります。







(弁護士法人よつば総合法律事務所)

高次脳機能障害による失認の検査とリハビリテーションとは,どんな事をするのですか?

2016年09月14日
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高次脳機能障害による失認の検査とリハビリテーションとは,どんな事をするのですか?

高次脳機能障害による失認の検査は,感覚器に異常がないことを確認してから行います。リハビリテーションは,繰り返し物を示して名前を言うなどの訓練を行います。





【失認の検査とリハビリテーション】



■失認検査はまず感覚器の検査から

失認は,感覚器から入ってくる情報をうまく処理できないために起こります。
つまり,感覚器自体には障害は起きておらず,ネットワークが問題なのです。

そこで,失認を疑う症状が現れた場合は,まず視覚、聴覚など感覚器の検査をします。
その他,交通事故が原因で発症する高次脳機能障害に現れやすい失語,記憶障害などについても調べた上で,他の障害による影響を否定した場合に,失認であると結論づけます。



・視覚失認の検査

実物を見せて呼称を答えさせる,物の絵を見せて呼称を答えさせるなどの検査を行います。
相貌失認の検査は,人の顔の写真を用いて顔を認識できるかテストします。

「標準高次視知覚検査(VPTA)」は,失認の検査に良く用いられるテスト方法です。VPTAは,7つの項目から構成されていて,115枚の図を用いて検査します。


・聴覚失認の検査

聴覚失認は,人の会話が聞き取れない,環境雑音が意味するものがわからない,音楽がわからないなどの症状を伴います。
昇格失認の検査では,語音の認知,環境音認知,音楽認知を行い,どのような障害が現れているかテストします。


・身体失認 病態失認の検査

身体失認の検査は,身体の部位を言い,患者さんが自分の体でその部位を指してもらったり,身体を描いた図を患者さんの前に置いて該当する部位を示してもらいます。






■視覚失認のリハビリテーション

視覚失認のリハビリテーションは,おもに物品を反復してみせることでその物品を覚えてもらいます。

絵カードにその物品が描いてあると何か言えるが,実物を見るとそれが何かわからない。
物を見る向きが変わると何だかわからないという症状が現れる場合もあります。

視覚失認のリハビリテーションは,繰り返しさまざまな条件で視覚的認知を強化する必要があります。
日常生活では,持ち物を決まった場所に置く,自分も持ち物の色は統一するなどの方法で,物の認知が向上することもあります。







■身体失認のリハビリテーション

身体失認のリハビリテーションは,腕に注意を向けさせて触らせる,目で見て確認させるなどの方法で行います。

なお,高次脳機能障害を発症した直後は,自分の腕を自分の手ではなく赤ちゃんの手だと答えるなど,身体パラフレニーの症状が現れていたが,やがて症状が現れなくなるというように,身体失認は急性期で消えることが良くあります。

病態失認は,注意力の向上を目的としたリハビリテーションを行うことにより症状が改善することが知られています。







(弁護士法人よつば総合法律事務所)

交通事故による高次脳機能障害と失認とは,どんな症状ですか?

2016年09月13日
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交通事故による高次脳機能障害の失認とは,どんな症状ですか?

交通事故による高次脳機能障害で,失認を発症することがあります。
感覚器に異常はないが情報処理に問題があって,見たものや聞いたことを正しく認識できなくなるのが失認です。




【失認の症状】



■失認とは?

交通事故による高次脳機能障害の後遺症で,視覚や聴覚などの感覚を通して物を認識できなくなる障害を,「失認(しつにん)」と言います。失認により,物の認識だけでなく,人の顔や街並み,体や病態などの認知ができなくなることもあります。

失認は,感覚器の障害ではなく,情報処理に問題があるために起こります。




・視覚失認

たとえば,万年筆を見たとき,それが何かわかりませんが,手に取って持ったら万年筆だとわかるのが,失認の症状です。

目に見えているものを1つのまとまった形にできない「統覚型(とうかくがた)視覚失認」と,形はわかるが意味がわからない「連合型視覚失認」があります。

目に見えているものが何かわかるが,名前が言えなのは視覚失語です。


・聴覚失認

聴覚失認になると,聴覚に異常はないのに,聴覚に関する情報処理に問題があるため,人の話や環境で発する音,音楽などを聞いても内容がわからなくなります。人との会話が困難になるなど,日常生活に支障が出ます。









■特定のものに対する失認




・相貌失認

人の顔を覚えるのが苦手という人がたまにいますが,そうではなく,人の顔の区別ができなくなるのが「相貌(そうぼう)失認」です。
相貌失認になると,良く知っている人に会っても,それが誰かわからなくなります。
相貌失認の人は,人の顔は皆同じように見えたり,顔の部分だけぼやけて見えたりするので,知っている人でもわからないのです。


・街並失認

何度も通ったことのある街並を見ても,そこがどこかわからなくなります。
建物を認識することができ,道順はわかるのに,目的とする建物がわからずたどりつけません。
街並失認になると,良く知っている見慣れた町の風景も,初めて見るように感じます。
新しい場所の地図や見取り図を書くことは困難になりますが,知っている場所の地図や見取り図は書けます。



街並失認は,右側の海馬の傍回の損傷が原因となって,視覚による認知と記憶の回路が絶たれたために起こると考えられています。





・身体失認

身体失認は,まるで体の片側がないように無視する「片側身体失認」,自分の体の半分がどこにあるかわからない「定位困難」など,さまざまな症状が現れます。


身体部位の失認のうち,手指の認識が困難である手指失認は,左右失認,失書,失算と合わせた4つの症状を伴うことが多いのが特徴で,これらの症状は「ゲルストマン症候群」と呼ばれています。


麻痺している手足を自分のものではないと主張するのは「身体パラフレニー」です。(パラフレニーとは、情緒面の障害の影響を受けない妄想や幻覚のことです)








(弁護士法人よつば総合法律事務所)

高次脳機能障害による失行のリハビリテーションとは,どんな内容ですか?

2016年09月12日
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高次脳機能障害による失行のリハビリテーションとは,どんな内容ですか?

高次脳機能障害による失行のリハビリテーションは,道具を使った動作の反復訓練が中心となります。




【失行のリハビリテーション】



■失行は他の障害を伴うことが多い

交通事故に遭ったことにより高次脳機能障害で失行を発症した人は,失行だけでなく,右片麻痺を伴うことがしばしばあります。


右利きの人が右半側麻痺になったら,利き腕でない左手で道具を使ったり文字を書いたりしなければなりません。失行を発症していなくても,利き腕でない手で道具を扱うのは大変であり、自分が不器用になったように感じるでしょう。

ですから,片麻痺で失行の症状がある人は,リハビリテーションに並々ならぬ苦労を伴うことになります。
高次脳機能障害による影響でコミュニケーション能力が低下していれば,リハビリテーションの必要性を理解してもらうことも困難です。



このような状況のなか,以下のような種類のリハビリテーションをプログラムに取り入れて,動作の改善に努めます。

・機能改善型治療
低下した機能を,ひたすら反復訓練を行うことによって回復させます。


・能力補填(ほてん)型治療

特別な道具を使って失われた機能の回復をめざします。


・環境調整型治療

動作の手順を写真や絵カードにして,正しい動作をうながします。


・行動変容型治療

一連の動作を分解して,パートごとに少しずつ動作ができるように訓練します。


・能力代償型治療

発話に問題がない場合は,自分が行おうとする動作を口にしながら訓練を行います。







■生活の質を上げるためのリハビリテーション


「交通事故による高次脳機能障害の失行とは,どんな症状でしょうか?」で述べたように,失行のなかでも,観念性失行は,日常的に良く使う道具を使えなくなるので,生活の質が低下し、さまざまな不自由が強いられます。
そのため,観念性失行の患者さんに対するリハビリテーションは,日常的に良く行っている動作を中心に反復訓練を行います。





例えば,顔を洗ってタオルで拭く,髪をブラシでとかす,歯ブラシで歯を磨くなどの動作がスムーズにできるよう訓練します。

使い慣れた道具の方がリハビリテーションの効果が出やすいことがあるので,家から愛用の道具を持ってきてもらい訓練に使用することもあります。


訓練を実際に担当するのは作業療法士ですが,
歩行などの動作にも失行がある場合は,理学療法士による訓練に参加します。





道具を使ったリハビリテーションは,最初は単純な動作のものから始まり,徐々に複雑な動作を伴うものに移行します。トイレに入って服を下げて用を足し,服を上げて出てくるといった一連の動作は,動作を区切って訓練していき,だんだんできることを増やしていきます。







(弁護士法人よつば総合法律事務所)

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