交通事故の加害者が刑事裁判になりました。検察官から被害者参加の希望があるかと質問されました。これはどういうことなのでしょうか?

 
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故の加害者が刑事裁判になりました。
検察官から被害者参加の希望があるかと質問されました。これはどういうことなのでしょうか?

一部の犯罪の被害者は,加害者の刑事裁判に参加できることがあります。
その制度のことを被害者参加制度といいます。
被害者参加制度では,被害者が加害者の刑事裁判に参加して意見を述べたり証人尋問や被告人尋問をしたりすることができます。




 被害者参加制度 



◆被害者参加制度とは


被害者参加制度とは,犯罪の被害者が加害者の刑事裁判に参加することができる制度です。

刑事裁判は,基本的に国家機関が被告人を裁く手続です。
民事的な問題を解決するための手続ではないので,基本的に被害者は関与しません。




ところが,被害者は加害者の裁判に関心を持っていることが多く,被害者保護の観点からも,被害者を蚊帳の外にしている刑事裁判の制度が問題視されるようになりました。

そこで,平成20年12月1日から,被害者参加制度が導入されて,一部の犯罪について,被害者が加害者の裁判に参加できるようになりました。







◆被害者参加制度が適用される犯罪


被害者参加制度が適用される犯罪は,以下のとおりです。

・殺人,傷害,傷害致死,危険運転致死傷,強盗致死傷など,故意に人を死傷させた犯罪
・強姦(強制性交等罪),強制わいせつなどの性犯罪
・逮捕・監禁の罪,誘拐や人身売買の犯罪
・過失運転致死傷罪,危険運転致死傷罪などの犯罪


そこで,交通事故を起こした加害者に過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪が適用されると,被害者は被害者参加をすることができるのです。







◆被害者参加するかどうかは選択出来る


被害者参加ができるケースでも,実際に加害者の刑事裁判に参加するかどうかは被害者の自由です。
関わりたくない場合には,無理に被害者参加する必要はありません。







◆被害者参加制度で被害者ができること


被害者参加制度では,被害者は以下のような行為をすることができます。


(1)在廷権
被害者には在廷権が認められますので,公判期日に出席できます。
傍聴席ではなく,当事者として検察官の隣の席に座ることが認められます。

(2)検察官に対する説明請求権
被害者は,検察官の権限行使に対して意見を言うことができますし,意見を実現できないとき,被害者は検察官に理由説明を要求することができます。

(3)証人尋問
被害者は,刑事裁判の情状証人に対し,自ら尋問を行うことができます。

(4)被告人質問
被告人本人に対し,情状や犯罪事実について,直接質問をすることが認められます。

(5)最終意見陳述(被害者論告)
被告人の罪や刑罰について意見を述べて,求刑することができます。








◆被害者参加制度で弁護士を利用できる


被害者が1人で被害者参加制度を利用することには不安を感じる方が多いです。
どのように進めて良いかわからないこともあるでしょう。

被害者参加制度では,被害者側も弁護士をつけることができます。
対応に迷ったときには,被害者支援に力を入れている弁護士に依頼することをお勧めします。




▼参考記事
・被害者参加人の代理人として,刑事裁判に参加
・被害者参加手続と交通事故について
・刑事裁判の被害者参加制度に関与し,民事の損害賠償請求の裁判をし,ご遺族に適正な賠償がなされた解決事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

破産手続準備中に交通事故に遭いました。破産しても,賠償してもらうことはできますか?

 
このエントリーをはてなブックマークに追加

破産手続準備中に交通事故に遭いました。破産しても,賠償してもらうことはできますか?

破産してしまったら,賠償をしてもらうことはできません。




 破産手続き中の交通事故 



◆破産の効果


借金がかさんで返済が苦しい場合には,自己破産の手続をして免責が許可されれば借金の支払いをしなくてよくなります。


基本的にすべての債務の支払義務がなくなる
からです。ただし,破産をすると,財産もなくなってしまうことが問題です。


すべての財産がなくなるわけではありませんが,生活に最低限必要な財産以外は失います。

具体的には,個別の財産項目で20万円を超える財産があると,その財産は現金に換価されて債権者に配当されてしまいます。交通事故による損害賠償請求権などの権利も同様です。

この場合,管財人が損害賠償請求権を行使して,回収した金額を債権者に配当することになります。







◆賠償金の金額と借金の金額を比較して対応を決定する


それでは,破産手続準備中に交通事故に遭った場合には,どのように対応したら良いのでしょうか?

この場合には,損害賠償金額と借金の金額の兼ね合いで,対応を決めると良いです。




【損害賠償金額が20万円以下の場合】
破産をしても影響はなく,全額受け取ることができます。
この場合,管財人も選任されないので,簡単な同時廃止の手続で破産することもできます。




【借金額が損害賠償金額より明らかに大きい場合】
自己破産すると良いです。
この場合,破産をせずに,自力で損害賠償金を回収しても,結局は借金支払いに消えてしまうので,自己破産によって清算されてしまっても損にはならないからです。




【損害賠償金額が借金額より明らかに大きい場合】
自己破産する必要がありません。
この場合,自己破産をしなくても,回収した賠償金によって借金を支払うことができますし,返済して残った分は自分の手元に残すことができるからです。




このように,自己破産するかどうか迷ったら,損害賠償金額と借金額の大きさを比較して対応を決定すると良いでしょう。(交通事故の点を除けば,管財人が選任される事案ではないという前提でお書きしました。)







◆交通事故を隠して破産してはいけない


自己破産をすると損害賠償ができなくなるので,自己破産するときに交通事故のことを隠して手続しようとする人がいます。

しかし,このようなことは,絶対にしてはいけません。
損害賠償請求権も財産なので,交通事故を隠して破産することは財産隠しに該当します。

自己破産では,財産隠しをすると,免責不許可事由に該当して,免責を受けられなくなってしまう恐れがあります。そうなると,借金を免除してもらうことができなくなってしまい,自己破産をする意味がなくなってしまうからです。




破産手続準備中に交通事故に遭ったときには,自己破産を続けるべきか賠償金回収手続を進めるべきか,迷ってしまうことが多いです。必ず弁護士に相談して下さい。




▼参考記事
・当事務所の交通事故解決事例
・2016年ご相談事例
・他事務所の引継案件・セカンドオピニオン無料相談実施中




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

父が交通事故に遭い死亡しました。父の相続人は子である私だけです。父の遺品を整理していましたら,父宛ての数千万円もの金額の請求書が見つかりました。 ですが,もう15年以上前に借り入れたもののようで,時効なのではないかと思います。初めから相続放棄すると賠償に影響が出るそうなので,消滅時効の通知を出してしまい,時効じゃないと分かったら相続放棄しようと思います。この方法で大丈夫ですか?

 
このエントリーをはてなブックマークに追加

父が交通事故に遭い死亡しました。父の相続人は子である私だけです。父の遺品を整理していましたら,父宛ての数千万円もの金額の請求書が見つかりました。

ですが,もう15年以上前に借り入れたもののようで,時効なのではないかと思います。初めから相続放棄すると賠償に影響が出るそうなので,消滅時効の通知を出してしまい,時効じゃないと分かったら相続放棄しようと思います。この方法で大丈夫ですか?




この方法は危険です。借金を相続しないことを確実にするためには,時効援用をする前に限定承認をしておくのが望ましいと考えます。




 法定単純承認と時効援用 



◆法定単純承認とは


相続放棄をすると,その人ははじめから相続人ではなかったことになるので,借金を相続する必要がなくなります。

ただ,相続放棄をすると権利も相続することができないので,父親の損害賠償請求権も相続することができません。

そこで,本件のように消滅時効を援用してから相続放棄をすることができるのかが問題です。

ここで問題になるのが「法定単純承認事由」です
法定単純承認事由とは,その事由があると当然に単純承認が成立してしまい,相続放棄ができなくなってしまうことです。

単純承認が成立すると,一切の条件をつけずにすべての権利義務を相続することになるので,借金も相続することになります。







◆法定単純承認が成立する場合


法定単純承認が成立するのは,以下のようなケースです。

(1)相続財産を処分した場合
相続財産を処分すると,法定単純承認が成立します。たとえば相続財産を壊したり売却したりした場合です。ただし,財産の価値を保全するための保存行為であれば,法定単純承認は成立しません。

したがって,消滅時効の援用が保存行為に当たるのであれば,御質問のような方法も視野に入ってきます。後でお書きします。

(2)背信行為をした場合
相続財産を隠したり,限定承認をするときに財産目録に虚偽の記載をしたりなどの背信的行為をした場合にも,法定単純承認が成立します。

(3)熟慮期間が経過した場合
熟慮期間の3か月が経過すると,相続を単純承認したものとみなされ,相続放棄や限定承認ができなくなります。







◆時効援用が財産の処分行為に該当するおそれがある


借金を相続したときに,消滅時効の援用をすると,それが「財産の処分行為」とみなされる可能性があります。
時効援用は相続を前提とする行為だからです。

そこで,時効援用通知を送って実は時効が成立していなかったことがわかったとしても,すでに法定単純承認が成立しており,相続放棄をすることが認められない可能性が高くなります。

一方,時効の援用は保存行為に当たるとする見解も存在します。
ただし,戦前の判例ですが,時効の援用は保存行為ではなく処分行為であるとするものもあります(大審院判決大正8年6月24日民録25輯1095頁)。




法律の世界では,このように幾つかの見解が存在するのは珍しいことではありません。その中で最高裁判所の判例が示されれば,それに従っていけばよいことになります。

「消滅時効の援用は保存行為に当たるか,したがって単純承認事由に当たらないか。」について最高裁判所が判断したことはないと思われます。

したがって,時効の援用が処分行為に当たるとされ,法定単純承認事由に当たる(もはや相続放棄も限定承認もできない。)と判断されるリスクを考慮する必要があると考えます。




本件では,まずは消滅時効を援用してから後に相続放棄をしようと思っても,認められないおそれがあるため,借金を確実に免れたいなら,初めから相続放棄をすべきです。ただし,この借金は時効になっている可能性もありますから,限定承認をしておくのが望ましいです。

相続放棄をしてしまうと,損害賠償請求権も相続できなくなることが確定してしまうからです。

もし,相続するか相続放棄するか限定承認するかどうか決められないなら,熟慮期間伸長の申立てをして3か月より長く延ばしてもらい,その間に相続放棄や限定承認するかどうかを決定しましょう。




▼参考記事
・故人に借金がある場合,相続手続きはどのようになりますか?
・死亡された方の解決事例
・死亡事故と弁護士




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故に遭い,家族が遷延性意識障害になりました。どうして何度も転院しなければならないのですか? また,転院先はどのようにして見つけたり選んだりするのが良いですか?

 
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故に遭い,家族が遷延性意識障害になりました。どうして何度も転院しなければならないのですか?
また,転院先はどのようにして見つけたり選んだりするのが良いですか?


遷延性意識障害になると,症状改善のための治療ができないので寝たきりになることが多く,病院でもなすべき処置がなくなるので,転院を促されることがあります。

また,入院後3ヶ月が経過すると保険の点数が減ってしまうため,転院を促されます。良い転院先を見つけるには,弁護士に相談したりソーシャルワーカーに相談したりすると良いでしょう。




 遷延性意識障害:転院 



◆病院が転院を促してくる理由



交通事故で被害者が遷延性意識障害になったら,入院治療するのが通常です。

ところが,入院から3ヶ月くらい経とうというころ,病院側から転院を促されることが多いです。被害者の家族が次の病院を探しても,3ヶ月くらい経ったらまた転院を促されることが多いです。

このように遷延性意識障害の患者が何度も転院を促されるのは,どうしてなのでしょうか?





まずは,病院に入院していても,なすべき処置がなくなることが問題です。

遷延性意識障害になると,寝たきりの状態になって回復する見込みが乏しくなってしまいます。特に症状固定をすると,あとは生命維持だけが目的となります。すると,リハビリ型ではない病院の場合,対応していないからという理由で転院を促されます。




次に,保険の点数の問題があります。

患者が入院して3ヶ月(90日)が経過すると,保険の点数が下がってしまうのです。3ヶ月を超えて同じ患者を受け入れていると病院の収入が下がります。そこで,3ヶ月を過ぎた頃に,転院を促される例が多いです。次の病院に行っても,やはり3ヶ月が経とうという頃に転院を促されることになります。


このように,病院を転々とする遷延性意識障害の患者やご家族の方はとてもたくさんおられます。







◆良い転院先の探し方


それでは,3ヶ月での転院を迫らず,長期間患者を診てくれる理解のある病院はないのでしょうか?

そういった病院は,あります。
ただ,探すのは大変です。探しても,順番待ちだったりすることもあります。

転院先を探すためには,いくつかの方法が考えられます。




まずは,交通事故問題に強い弁護士に相談をすることが役立ちます。弁護士は,多くの遷延性意識障害の案件を扱っているので,そうした患者を受け入れてくれる病院についても詳しくなっているからです。




また,自治体の保健センターや福祉課などに相談に行くこともできます。ソーシャルワーカーや,今入院している病院の医師に相談して,情報を聞くことも考えられます。ソーシャルワーカーは地域医療との連携関係を持っているので,市内や都道府県内の病院に転院先がないか,調べてくれることがあります。





さらに,遷延性意識障害の家族の会などで,他の患者の家族に相談してみるのも1つの方法です。
今まで実際に転院を繰り返した経験があることが多いので,確実性の高い情報を得ることを期待できます。




▼参考記事
・病院選びはどのようにしたらよいですか。
・交通事故にあってしまった場合,どこの病院へ行けばよいのでしょうか?
・遷延性意識障害になってしまった方の解決事例

(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故の間接損害,反射損害とは何ですか?

 
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故の間接損害,反射損害とは何ですか?




間接損害とは,事故の直接の被害者ではない者に発生した損害のことです。
間接損害は,固有損害と反射損害に大きく分けられます。
固有損害は,たとえば,会社の代表取締役が被害者となった場合に会社が被る損失などが典型例となります。
反射損害とは,交通事故の被害に遭った役員や従業員が働けなかった期間,会社が給料等を支払ったため企業に発生した損害です。





 間接損害・反射損害 



◆間接損害とは


交通事故が起こったとき,損害を受けるのは直接の被害者だけではありません。

たとえば,会社の代表者や役員などが交通事故に遭って仕事ができなかったために,契約締結の機会などを逃して会社に減収が発生することなどもあります。




このように,直接の被害者ではないものに発生する損害のことを,間接損害といいます。







◆反射損害とは


代表者や役員,従業員などが交通事故に遭ったときであっても,会社としてはそれらの被害者に対し,給料や報酬を支払う義務を負います。しかし,実際には被害者は会社のために働いていません。
そこで,このような給料や報酬等の支払自体を損害と考えます。これが,反射損害です。

反射損害は,間接損害の1種です。

ただ,間接損害という場合には,「被害があったことによる会社の利益減少分」も含むので(これは反射損害には含まれない),反射損害より間接損害の方が広い概念となります。

反射損害に含まれない「会社の利益減少分」のことを,固有損害ともいいます。







◆間接損害や反射損害は,どこまで認められるのか?


それでは,企業に間接損害や反射損害が発生した場合,相手に請求することができるのでしょうか?

この点,反射損害については,被害者本人に休業の必要性が肯定できる限り,原則的に認められるものと考えられています。これに対し,間接損害の中でも固有損害については,簡単には認められません。

固有損害の請求が認められるかどうかについては,被害者と会社が経済的に一体であるかどうかという観点から判断されます。経済的に一体の場合には,被害者個人の損害と会社に発生した損害を同視しやすいからです。

経済的一体性があるかどうかについては,会社の資本金額や売上高,従業員数等の企業規模,被害者の地位や業務内容,権限や会社財産と個人財産の関係,株主総会・取締役会の開催状況などを総合的に考慮して判断します。




たとえば,法人とはいっても1人会社で,社長の個人営業と変わらない場合などには間接損害が認められやすいです。反対に,被害者が会社の単なる一従業員であった場合には,基本的に間接損害(固有損害)は認められにくくなります。




以上のように,交通事故の損害は,直接の被害者以外に発生することもあります。
弁護士のアドバイスを求めるのも良いと思います。





▼参考記事
・妥協しない〜間接損害〜
・弁護士は本音で本当のことを書いた事務所の選び方
・当事務所の解決事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故の後遺障害認定,身体障害者認定,障害年金支給認定とは何ですか?

 
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故の後遺障害認定,身体障害者認定,障害年金支給認定とは何ですか?




交通事故において,後遺障害認定は,損害保険料率算定機構という機関で審査して判断しています。
身体障害者認定は,都道府県,政令指定都市,中核市に申請をして認定してもらいます(市町村役場が窓口になっていることが多いです。)。
障害年金は,年金事務所に請求をして認定してもらいます。それぞれ,取り扱っている機関が異なり全く違う制度です。





 後遺障害認定・身体障害者認定・障害年金支給認定 



◆後遺障害認定とは



交通事故でけがをすると,さまざまな症状が残ってしまうことがあります。
その残った症状については,後遺障害認定がされるかどうかが問題となります。

後遺障害認定を受けると,損害として後遺障害慰謝料と逸失利益を算定することができます。


後遺障害には1級から14級までの等級があり,いずれに該当するかによって,慰謝料や逸失利益の金額が異なりま
す。


後遺障害の認定を受けるためには,相手の自賠責保険に対し,「後遺障害の等級認定請求」をします。
認定請求をすると,損害保険料率算定機構という機関で,調査が行われて後遺障害の認定の是非と等級が決定されます。










◆身体障害者認定とは


事故で後遺症が残った場合,「身体障害者」の認定を受けられる可能性もあります。

身体障害者には,1級から7級があり,どの級に該当するかによって受けられるサービスが異なります。
1級から6級までの認定を受けたときには,身体障害者手帳が交付されます。




身体障害者認定は,視覚や聴覚,肢体不自由に関する制度です。

頭部外傷で器質性の精神障害(高次脳機能障害,遷延性意識障害)が残ったときは,精神障害者保健福祉手帳の取得が考えられます。等級は1級から3級まであります。







◆障害年金支給認定とは


事故の影響で身体に後遺症が残ったら,障害年金の支給を受けられる可能性もあります。

障害年金は,自治体の身体障害者の認定制度とは異なり,年金事務所が運営している制度です。

障害年金にも1級から3級があり,どの級に認定されるかによって受け取ることができる金額が異なります。また,国民年金,厚生年金や共済年金のどの年金に加入している(していた)かによっても,支給金額や条件が異なります。




障害年金の支給を受けたいときには,管轄の年金事務所宛に申請を行います。
認定されたときは,年金事務所から通知が来て,その後は2ヶ月に1度のペースで決まった年金の支給が行われます。

以上のように,交通事故で後遺障害が残った場合,さまざまな手続を行う必要があります。
漏れがあるといけません。弁護士に相談してみてください。




▼参考記事
・後遺障害等級について
・当事務所が依頼をうけて,後遺障害申請をし認定され損害額が増額して解決した方のインタビュー
・逸失利益と後遺障害




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

死亡事故における生活費控除について教えてください。

 
このエントリーをはてなブックマークに追加

死亡事故における生活費控除について教えてください。

生活費控除とは,被害者が死亡したことによって生活費がかからなくなるので,その分を逸失利益から控除することです。




 生活費控除 



◆死亡逸失利益とは


生活費控除というのは,死亡逸失利益に関して問題になるものです。

死亡逸失利益とは,被害者が死亡したことによって得られなくなった将来の減収のことです。




交通事故で被害者が死亡すると,その後働くことができなくなります。そうすると,本来得られたはずの収入が得られなくなるということになります。また,年金を受給していた方が交通事故で死亡すると,年金の支給がストップします。交通事故にあわなければ,支給され続けたはずです。

これらは,交通事故によって発生した損害です。
そこで,被害者が死亡すると,死亡逸失利益が損害として発生することになります。




死亡逸失利益のうち労働分を計算するときには,被害者の事故前の年収を基準にします。そして,将来の収入は,労働ができる年数分だけ発生するはずですから,請求できる年数は,就労可能年数分です。

一般的に,就労可能年齢は67歳とされているので,死亡逸失利益として,67歳までの減収分を算定できることになります(事案によって異なりますので,常に67歳までというわけではありません。以下も同様です。)。

死亡逸失利益の年金分を計算するときは,被害者の年齢における平均余命までの年金を計算します。逸失利益の対象となる年金とならない年金がありますが,ここでは割愛します。







◆生活費控除とは


被害者が御存命であれば,収入が得られたはずである一方,生活費も必要となります。したがいまして,得られた収入がすべて手元に残るわけではありません。

そのため,死亡逸失利益を算定するとき,67歳までの収入や平均余命までの年金を全て計上した後,生活費を控除することになります。

生活費を控除せずに全額の逸失利益を損害として賠償させると,被害者遺族が根拠なく利得することになるという理由で,このようなことが行われています。

このように死亡逸失利益算定の場面で生活費を控除することを,生活費控除といっています。




さて,一口に生活費を控除するといっても,実際に被害者のかたが御存命であれば,どの程度の生活費が必要であったのかを具体的に算定するのは無理というものです。そこで,生活費控除を行うときには,生活費控除率という割合を用いているのが実情です。

生活費控除率は,被害者の性別や被扶養者の有無などにより,異なってきます。










◆生活費控除の割合


それでは,具体的な生活費控除率の割合はどのくらいになるのでしょうか?

裁判の基準では,以下のとおりとされていますが,具体的事案で異なって判断されています。

●被扶養者が1人の場合     :40%
●被扶養者が2人以上いる場合  :30%
●被扶養者がいない場合    :@女性の場合 30% A男性の場合 50%


なお,死亡逸失利益(年金分)を算定する際は,これらより生活費控除率を高くすることが多いです。死亡逸失利益は,67歳までの収入や平均余命までの年金額に(1−生活費控除率)を乗じて算定します。

ただ,被害者遺族が任意保険会社と示談交渉をするときには,生活費控除率が上げられてしまうかもしれません。適正な生活費控除を行うためには弁護士に相談しなければならないことがあります。弁護士に相談してみて下さい。




▼参考記事
・逸失利益・生活費控除率について(裁判基準)
・死亡事故の場合における生活費控除率
・死亡された方の解決事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故で自宅介護を前提とした損害賠償が認められないのは,どのような場合ですか?

 
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故で自宅介護を前提とした損害賠償が認められないのは,どのような場合ですか?

施設に入所しているほうが適切な処置を受けられるケース,家に問題があるケース,家族による介護が期待できないケース,病院と連携できていないケースなどです。




 損害賠償:自宅介護 



◆自宅介護と施設介護


交通事故が原因で重大な後遺障害が残った場合,将来にわたって介護が必要になることがあります。
たとえば遷延性意識障害や全身麻痺が残ったような場合です。

このように,全面的な介護が必要になったとき,被害者のその後の生活を,自宅で行うのか施設で行うのかを選択しなければなりません。

一般的に,自宅で介護をする方が,賠償金の金額は高額になります。
この場合,自宅改造費用なども認められるので,1億円を超えることも多くなってきます。







◆自宅介護が認められないケース


ただ,介護が必要になったとしても,自宅介護(を前提とした賠償)が認められるとは限りません。
保険会社だけでなく,裁判をしたときに裁判所から自宅介護(を前提とした賠償)を否定されることもあります。

自宅介護が争われるのは,被害者が現在は施設入所中で,ゆくゆくは施設を退所して在宅介護に移行する予定であると被害者側が主張しているときが多いです。




自宅介護が認められないのは,以下のようなケースです。

(1)施設に入所しているほうが適切なケース

自宅よりも施設にいるほうが,適切な処置や治療を受けられる場合が挙げられます。

被害者の状態によっては,急に危篤状態に陥ったり肺炎が起きる危険性が高かったりすることもあります。こういった問題が起こったとき,病院でないとすぐに対処することができません。

そこで,施設に入所している方が適切であり,自宅介護(を前提とした賠償)が認められにくくなります。




(2)家に問題があるケース

次に,家に問題があるケースもあります。

たとえば,賃貸住宅に居住している場合には,自宅を介護に適した形に改造することは難しいです。
自宅であっても,たとえばマンションの一室に住んでいる場合には,大規模な改装をすることは難しいでしょう。

また,家が古すぎて,改造のために費用がかかりすぎる場合もあります。このような場合には,自宅介護が適していないと判断されます。




(3)家族による適切な介護が期待できないケース

介護をする家族に問題があるケースも考えられます。

介護は,「やる気」だけで行えるものではありません。重労働ですし,相応の技術や知識を備えることも必要です。また,職業介護人を雇うとしても,家族自身が亡くなってしまっては介護をする人がいなくなってしまいます。

たとえば家族が高齢の親一人しかいない場合などには,親自身が介護することが難しいと判断されることがありますし,また親が亡くなった後,誰が介護をするのかという問題があります。家族に介護への理解が足りない場合などにも,自宅介護(を前提とした賠償)は認められにくいです。




(4)病院と連携できていないケース

病院との連携が取れていないケースでも,自宅介護を否定されやすいです。

定期的に往診に来てくれる病院や,緊急時にすぐに受け入れてくれる入院先が確保されないと,何かあったときに不安なので,自宅介護を認めてもらいにくいです。




▼参考記事
・高次脳機能障害で将来介護費の金額はいくら認められますか?
・将来介護費について
・交通事故で遷延性意識障害になり,裁判で将来介護費について請求を行い解決した事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故の被害があったとき,家族に対する慰謝料は認められますか?

 
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故の被害があったとき,家族に対する慰謝料は認められますか?

被害者が死亡した場合や重大な後遺障害が残った場合には,遺族に慰謝料が認められる可能性があります。




 近親者の慰謝料 



◆被害者が死亡した場合の近親者の慰謝料


(1)配偶者と親子

交通事故で被害者が死亡した場合,死亡した被害者本人には死亡慰謝料が発生します。

ただ,被害者に遺族がいる場合,遺族も精神的苦痛を被るものです。

そこで,民法では,不法行為によって被害者が死亡したときには,近親者も固有の慰謝料請求をすることができると定めています(民法711条)条文上は,被害者の配偶者と親,子どもに近親者固有の慰謝料請求権が認められています。

そこで,死亡事故の場合,これらの遺族がいたら,遺族が相手に対し,慰謝料請求することができます。




(2)祖父母や兄弟姉妹,内縁の妻など

それでは,民法711条に記載されていない親族は,慰謝料請求をすることはできないのでしょうか?

この点,一定の親族については,慰謝料請求が認められる場合があります。

具体的には,内縁の配偶者や祖父母,兄弟姉妹などに固有の慰謝料が認められた例があります。被害者が死亡したとき,これらの者に精神的苦痛が発生することはないなどといえるはずがありません。

ただ,民法711条の条文に記載されている以外の親族については,必ず慰謝料が認められるというわけではありません。

たとえば,祖父母が,孫が交通事故に遭うところを間近で見ていたなど,精神的苦痛が大きいと考えられる事案においては慰謝料が認められやすくなります。







◆被害者に重大な後遺障害が残った場合の近親者の慰謝料


次に,被害者が死亡しなかった場合にも,家族に慰謝料が認められるのかどうかを考えてみましょう。
法律の条文では,親族の固有の慰謝料が認められているのは,民法711条の「被害者が死亡した場合」のみです。

ただ,被害者に重大な後遺障害が残った場合には,家族も多大な精神的苦痛を被るものです。
たとえば,子どもが交通事故で意識不明になり,遷延性意識障害になったケースなどがあります。

このように,被害者が重大な傷害を負い,被害者が死亡したのと同じくらいの精神的苦痛を被ったと考えられる場合には,民法711条を類推して,近親者にも固有の慰謝料が認められると考えられています(最高裁判所昭和33年8月5日判決)。




近親者の慰謝料請求が認められるのは,要介護の1級,2級の重大な後遺障害が残ったケースが多いですが,それには限りません。それ以外の後遺障害が認定されたときにも近親者の固有の慰謝料が認められたケースがあります。

以上のように家族にも慰謝料が認められる可能性があります。弁護士に相談してみてください。




▼参考記事
・交通事故で被害者が死亡。交渉の結果,残されたご家族の慰謝料も一部認められた解決事例
・交通事故で被害者に重度の後遺障害が残り,当事務所が遺族の気持ちを記載した書面を裁判所に提出し,ご家族の慰謝料が認められた解決事例
・被害に遭われた方々の将来を考える(よつば交通事故への想いとこだわり)




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)
| 慰謝料 |

交通事故の被害に遭い,遷延性意識障害で別表第一の介護を要する後遺障害に認定されました。示談交渉をしていましたが,示談前に事故とは別の原因で被害者が死亡してしまいました。将来治療費や将来介護費についても交渉していたのですが,これらはどうなりますか?

 
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故の被害に遭い,遷延性意識障害で別表第一の介護を要する後遺障害に認定されました。

示談交渉をしていましたが,示談前に事故とは別の原因で被害者が死亡してしまいました。将来治療費や将来介護費についても交渉していたのですが,これらはどうなりますか?




将来治療費や将来介護費用については,死亡時までの分に限定されることになります。




 将来治療費・将来介護費 



◆将来治療費が認められる場合


後遺障害が残った場合,そもそも症状固定後の治療費(将来治療費)を請求できるのかが問題となります。


交通事故が原因でかかった治療費は,症状固定までの分が認められるのが通例です。原則として,症状固定後の将来治療費については,賠償の対象となりません。




ただし,例外もあります。
症状固定後も症状の悪化の防止のために治療やリハビリの継続の必要性が認められるときは,その医療費は賠償の対象となります。治療を継続しないと症状が悪化してしまうケースなどで,将来治療費が認められます。

遷延性意識障害の場合にも,こうした必要性が認められたら将来治療費は損害として認められます。







◆将来介護費用の原則的な算定方法


遷延性意識障害になると,自分では日常生活に必要な行動をすることができなくなるので,介護が必要となります。示談成立後もずっと介護が必要ですから,将来介護費用は賠償の対象となります。

このとき,基本的には症状固定時の年齢を基準として,平均余命までの将来介護費の計算をするのが通例です。







◆示談前に死亡した場合の将来治療費と将来介護費用


それでは,示談前に被害者が死亡した場合,将来の治療費や将来介護費用はどのように考えるのでしょうか?

これらについては,死亡時までの分しか認められなくなります。




まず将来介護費用について述べますと,死亡時までの分しか認められないとした最高裁判所の判決があります(平成11年12月20日)。

将来介護費用は,被害者を介護することによって実際に発生する費用(積極損害といいます。)です。
被害者が死亡すると,支払が不要になるものだからです。実際に支払をしない費用を被害者や被害者の相続人に支払うと,被害者やその遺族に根拠のない利得を与えることになることが指摘されています。


次に将来治療費ですが,やはり積極損害です。将来介護費と同様の考え方になります。




以上のように,将来治療費や将来介護費用は,実際に支払が必要になる積極損害なので,死亡時までの分しか認められません。消極損害である後遺障害逸失利益が就労可能年齢の分まで認められるのと取扱いが異なっています。




▼参考記事
・将来の介護費について
・症状固定後の治療費について
・交通事故で重度の障害を負われた方の将来介護費について,弁護士2名体制でサポートし,裁判を行わず高水準で解決できた事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)
| 慰謝料 |
< 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 >
プロフィール
よつば総合法律事務所
千葉県最大級の法律事務所。弁護士16名が所属しております。事務所名の「よつば」は事務所に関わる人が皆幸せになるようにとの思いから名付けました。お気軽にご相談ください。
柏事務所:千葉県柏市(柏駅徒歩3分)
千葉事務所:千葉市(千葉駅徒歩3分)

2018年 02月 >>
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28      
最新記事