交通事故での醜状障害の後遺障害慰謝料は高くなることがあると聞きました。本当にそうなのでしょうか?

2018年03月09日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故での醜状障害の後遺障害慰謝料は高くなることがあると聞きました。本当にそうなのでしょうか?

醜状障害の場合,逸失利益が認められなかったり等級の割には低額であったりするケースが比較的多いです。その場合,賠償金額の調整のために後遺障害慰謝料を増額することがあります。




 後遺障害慰謝料 : 醜状障害の場合



◆醜状障害とは




交通事故により,身体のさまざまな部位に跡が残ってしまうことがあります。

線状の傷跡が残ることがありますし,瘢痕ややけどの跡が残ることもあります。

その場合,傷跡の内容によりますが,「醜状障害」として後遺障害認定を受けることができます。




顔や頭部の露出する部分に醜状痕が残ったら,「外貌醜状」として7級,9級,12級のいずれかに認定される可能性があります。

上肢や下肢に醜状痕が残ったら,14級が認定される可能性があります。

そして,後遺障害が残ったわけですから,後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益が問題となります。







◆醜状障害で逸失利益が認められないことがある




醜状障害の後遺障害の場合には,逸失利益が制限されやすいことが問題です。

逸失利益とは,後遺障害が残ったことによって労働能力が減少し,そのため得られなくなってしまう将来の収入です。

醜状障害の場合,顔や手足に傷跡が残っているというのにとどまり,身体機能には影響がないのではないかと捉えられ,労働能力そのものには影響しないと考えられることが多いです。

事故前と変わらず働いて収入も減少しない方もたくさんおられます。

すると,減収も発生していないし,労働能力の制限もないということで,逸失利益を否定されてしまうのです。もしくは,等級に相応する労働能力喪失率より低い労働能力喪失率を用いて後遺障害逸失利益を算定することもあります。







◆後遺障害慰謝料による調整とは




そうはいっても,醜状障害の場合にも,被害者の方は,毎日辛い思いをして生活しているものであり,他の後遺障害のケースと比べて,逸失利益の分,あからさまに賠償金を減らすのは不合理です。

そこで,後遺障害慰謝料を増額することにより,賠償金の全体金額を調整することがあります。

具体的にどの程度増額されるかはケースバイケースですが,醜状障害以外のケースよりも100〜200万円程度増額することが多くなっています。結果的に後遺障害12級や14級のケースでは,後遺障害慰謝料が通常の1.5倍〜2倍程度になることもあります。




また,特に顔面などの目立つ部分に醜状障害の後遺障害が残ってしまった場合,営業などの仕事がしにくくなることもあります。そういった場合には,慰謝料とは別途逸失利益も認められる余地があります。

もちろん,モデル等の人前に出る職業などは,醜状障害が労働能力に与える影響は大きいですから,逸失利益が認められやすいです。

認められた逸失利益が等級相応であれば,後遺障害慰謝料も等級相応の金額にすることが多いです。「調整」という考え方を用いなくて良いわけですね。

醜状痕の後遺障害が残ったときも,適正な賠償金を受けとるには,まずは後遺障害等級認定を受けることが重要ですので,お一人で判断せず,一度ご相談ください。




▼参考記事
・会社員が交通事故に遭い,高次脳機能障害,顔面の傷跡,胸椎圧迫骨折により,併合6級の認定を受け,4900万円を獲得した解決事例
・若い女性が交通事故に遭い,顔に傷跡が残ってしまい,昔からの夢を諦めざるを得なかった事情があり,本人のみならずご家族等にご協力頂き,丁寧に立証活動を行い,慰謝料の増額が認められた解決事例
・交通事故による後遺障害の解説 〜傷跡(醜状痕)〜

▼よつば総合法律事務所 公式サイト
▼よつば総合法律事務所 公式ブログ




(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)
| 慰謝料 |

私は被害者で治療中ですが,生活保護を受給しています。ケースワーカーから,間もなく慰謝料が入るから生活保護は今月で打ち切りと言われました。 まだ何の支払も受けていないのに,応じなければなりませんか?また,慰謝料が入ったら,やはり打ち切られてしまうのですか?

2018年03月08日
このエントリーをはてなブックマークに追加

私は被害者で治療中ですが,生活保護を受給しています。ケースワーカーから,間もなく慰謝料が入るから生活保護は今月で打ち切りと言われました。

まだ何の支払も受けていないのに,応じなければなりませんか?また,慰謝料が入ったら,やはり打ち切られてしまうのですか?


生活保護は福祉事務所などの裁量によるところが大きいのですが,このような場合,今すぐではなく,実際に慰謝料が入金されてから保護費の支給が止められるということがあります。また,支給済みの保護費の返還を求められることも多いです。




 慰謝料と生活保護 



◆生活保護費の打ち切りについて




生活保護を受給している方が交通事故の慰謝料などの損害賠償金を受け取ると,生活保護を打ち切られるのか,という問題があります。

生活保護費は,資力がない人への扶助です。そこで,現在資力がなかったとしても,将来資力が回復したら,そのときは必然的に保護は打ち切りになります。




交通事故の損害賠償金が多額であれば被害者はそのお金を使って生活していくことができるので,生活保護を受ける必要がなくなったと考えられます。

そのようなケースでは,生活保護の打ち切りの可能性も当然出てきます。

実際に打ち切るかどうかについては,そもそも受け取る賠償金がいくらになるのか,そこからこれまでに受けとった生活保護費の返還をした後,手元にどのくらいの金額が残るのか,その他に債務があるのかなどによって総合的に判断されます。

裁量によるところが大きいです。

保護費の返還とお書きしましたが,事故日以降の生活保護費の返還を求められることが多いです。
被害に遭った時点で損害賠償請求権という資産を取得したと考えるからです。







◆保護費が打ち切られるタイミングと再支給について




生活保護支給を打ち切られるのは,実際に交通事故の賠償金が入金されてからです。

入金されるまでは,実際にいくら入ってくるのかがわかりませんし,入ってきていないお金で生活をすることはできないからです。

実際に損害賠償金の支払を受けたときは,生活保護費の支給が止められることに加え,それ以前に支給された保護費の返還を求められることもあります。

交通事故の賠償金が振り込まれたことによっていったん生活保護費の支給を打ち切られたとしても,それを生活費に使い切って再度生活に困るようになったら,生活保護の支給を再開してもらうことも可能です。

その場合,ケースワーカーに相談をして,再支給の手続を進める必要があるでしょう。




▼参考記事
・交通事故と慰謝料のすべて
・交通事故のよくある質問
・当事務所の交通事故解決事例

▼よつば総合法律事務所 公式サイト
▼よつば総合法律事務所 公式ブログ




(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)
| 慰謝料 |

夫が交通事故で遷延性意識障害になり,現在入院して治療中です。私も頻繁に病院に赴いていますが,ソーシャルワーカーという方とお話しする機会がたまにあります。 これまではソーシャルワーカーという言葉自体知りませんでした。ソーシャルワーカーとは,どのようなことをされる方なのでしょうか?

2018年03月07日
このエントリーをはてなブックマークに追加

夫が交通事故で遷延性意識障害になり,現在入院して治療中です。私も頻繁に病院に赴いていますが,ソーシャルワーカーという方とお話しする機会がたまにあります。

これまではソーシャルワーカーという言葉自体知りませんでした。ソーシャルワーカーとは,どのようなことをされる方なのでしょうか?




ソーシャルワーカーとは,病気やケガをした人,高齢者や障害者及びその家族にさまざまな支援をする人のことです。




 ソーシャルワーカー 



◆ソーシャルワーカーとは



ソーシャルワーカーとは,病気やケガをした人,高齢者や障害者など,日常生活を送るのにさまざまな支障を抱えた方や,そのご家族をサポートする業務を行います。

ソーシャルワーカーは病院に勤務する人だけではありませんが,ここでは,病院に勤務するソーシャルワーカーについてお書きします。

ソーシャルワーカーは,医師や看護師などの医療従事者とは異なる視点から,被援助者への生活支援,社会復帰や社会参加などを支援します。

「ソーシャルワーカー」という資格があるわけではありませんが,社会福祉士や精神保健福祉士などの資格を持った人が,ソーシャルワーカーになっているケースが多いです。







◆ソーシャルワーカーの職務内容




ソーシャルワーカーの具体的な業務内容は,大きく分けると次のようなものです。

・療養中患者の社会的,精神的な問題の解決や調整,援助
・退院の援助
・患者の社会復帰援助
・患者が病院で受診するときの援助
・経済的問題の解決や調整
・地域活動






◆ソーシャルワーカーに相談できること




まず,適切な入院・転院先が見つからない場合にソーシャルワーカーに相談をして,病院を紹介してもらうことができます。

医師や看護師とうまく意思疎通ができない場合にソーシャルワーカーに間に入ってもらって,患者の希望を伝えてもらったり,医療についての説明をしてもらったりすることも可能です。

受けられる行政支援制度について調べてもらったり,ソーシャルワーカーが知っている情報を教えてもらったりすることもできます。

病院から退院するときには,今後の生活についてさまざまな心配があるものですが,ソーシャルワーカーに退院後の生活設計について相談をすることなども可能です。

交通事故で障害を負った場合にも,ソーシャルワーカーの存在は非常に大きくなります。
弁護士も,交通事故被害者の方をサポートする際,ソーシャルワーカーと連携することもあります。




▼参考記事
・社会復帰のために誰に相談すればよいでしょうか。
・困ったらすぐ相談
・当事務所の解決事例

▼よつば総合法律事務所 公式サイト
▼よつば総合法律事務所 公式ブログ




(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

子どもが交通事故に遭って遷延性意識障害になりました。損害賠償の点は解決しましたが,私に万一のことがあったとき,ほかに頼れる親類はいません。この子の将来についてできることはありますか?

2018年03月06日
このエントリーをはてなブックマークに追加

子どもが交通事故に遭って遷延性意識障害になりました。損害賠償の点は解決しましたが,私に万一のことがあったとき,ほかに頼れる親類はいません。この子の将来についてできることはありますか?

この場合,成年後見制度を利用したり,民事信託を利用したりすることが考えられます。




 子どもの交通事故 : 将来についての対策 



◆成年後見制度を利用する




未成年の子どもが交通事故に遭って遷延性意識障害になったときには,親(親権者)が代わりに損害賠償請求手続を進めることになります。

親は子どもの法定代理人だからです。

ですが,損害賠償の問題が解決しても,回復しない限り,その後も子どもの面倒を見なければならない状態は続きます。

親に体力や時間があるうちは継続できますが,体力に支障が生じたり,親に万一のことが生じたりしないとも限りません。




では,親が亡くなった後,子どもの面倒を見るのは誰かという問題はどうなるのでしょうか。

子どものために財産を管理したり,施設入所や介護の方法を決定したりする人が必要です。

このようなときに利用できる制度として,「成年後見制度」があります。




成年後見制度とは,判断能力が不十分な人について,本人の代わりに「成年後見人」が代わって財産管理をする制度です。

親であれば,子どもの成年後見人選任の申立てをすることができます。「成年」という言葉が使われていますが,未成年者について成年後見人を選任することも可能です。

成年後見人が選任されたら,成年後見人が子どもの代わりに子どもの財産を管理したり,身上監護を行ったりします。親が亡くなった後もその任務は継続します。

しかし,親権者が存在するのに成年後見人を選任するというのは,通常行われません。

それなので,子どもが未成年のうちは法定代理人である親が子どもの財産を管理しておいて,子どもが成人したときに,成年後見制度の利用を検討してはいかがでしょうか。




成年後見制度を申し立てると,裁判所が適切な人物を成年後見人として選任しますが,希望する人がいる場合には,候補者を立てることも可能です。親が元気なうちは,親を成年後見人とすることもできます。

親亡き後のことを具体的に考える必要がある状態になったとき,専門家に成年後見人になってもらい,財産管理や身上監護を任せられる状態にしても良いです(成年後見人は1人でなければならないということにはなっていません。)。







◆民事信託とは




民事信託を利用する方法もあります。

民事信託は,財産管理や処分を受託者に託し,受益者のために利用してもらう契約です。
委託者と受益者は同じ人でもかまいません。




たとえば,親が子どものためにお金を残し,そのお金を子どもが生きていくために有用に使ってほしいときには,民事信託により,お金の管理を受託者に任せて,受益者を子どもに設定します。すると,親の死亡後も,子どものために財産を使ってもらうことができます。

民事信託を利用するときには家族を受託者とすることが多いですが,信頼できる人がいるならば,家族以外の人を受託者とすることもできます。

障害を持つ子どものためにとりうる対策方法はいくつかあります。

お子様が遷延性意識障害や高次脳機能障害,脊髄損傷などとなって将来に不安をお感じになるようでしたら,一度ご相談下さい。




▼参考記事
・遷延性意識障害を負われた方の解決事例
・学生・幼児の交通事故の解決事例
・民事信託とは

▼よつば総合法律事務所 公式サイト
▼よつば総合法律事務所 公式ブログ




(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

近所の方が交通事故に遭い,遷延性意識障害になりました。この方と以前お話ししたとき,親やきょうだいといった親類がいないとおっしゃっていました。 こうした親類がいなかったり親類と疎遠だったりする人が,交通事故の被害で遷延性意識障害になったときの手続や賠償金はどうなるのでしょうか?

2018年03月05日
このエントリーをはてなブックマークに追加

近所の方が交通事故に遭い,遷延性意識障害になりました。この方と以前お話ししたとき,親やきょうだいといった親類がいないとおっしゃっていました。

こうした親類がいなかったり親類と疎遠だったりする人が,交通事故の被害で遷延性意識障害になったときの手続や賠償金はどうなるのでしょうか?




この場合,損害賠償請求を行うためには,市町村長が成年後見開始の申立てを行い,成年後見人が選任される必要があります。




 遷延性意識障害 : 親類がいない,疎遠の場合 



◆成年後見制度とは



交通事故で,被害者の方が遷延性意識障害になったときには,ご本人が自分の財産を管理処分する際に必要な判断能力を失っているため,損害賠償の手続を進めることができません。

この場合,「成年後見人」を選任する必要があります。




成年後見人とは,判断能力が低下した人の代わりに,本人の財産を管理したり,身上監護方法を決定したりする人のことです。

ご本人に親族がいる場合には,親族が家庭裁判所に成年後見人の申立てをすることにより,後見開始の審判を受けます。

選任された成年後見人が損害賠償請求の手続を進めていくことが可能になります。







◆市町村長が申立てをすることができる




それでは,後見開始の審判を申し立ててくれるような身寄りが全くない人の場合には,どのようにして手続を進めていけば良いのでしょうか?

この場合,市区町村長が後見開始の審判を申し立てることができる制度があります。

ご本人に身寄りが無く天涯孤独なケースや,親族がいても財産目当てであり,本人に害悪をもたらす可能性がある場合などに,市区町村長による申立てが利用されています。

市区町村長が成年後見開始の申立てをした場合,家庭裁判所が適切な人を後見人として選任します。選任されるのは,弁護士や司法書士,社会保険労務士などの専門家となることが通例です。

交通事故の示談交渉が必要な状態なら,弁護士を選任することが多いでしょう。







◆選任後の手続




市区町村長の申立てによって成年後見人が選任されると,その後は成年後見人が示談交渉や訴訟などによる損害賠償請求の手続を進めます。

ご本人が内容を理解することができなくても,成年後見人が本人に代わって損害賠償金を受けとることができ,管理することができます。

また,示談が成立して損害賠償金が入ってきても,後見業務は終了しません。引き続いて後見人が財産を管理し,本人が適切な福祉サービスや医療サービスを受けられるように手配していきます。

後見業務は,ご本人が死亡するか,もしくはご本人の容態が回復して後見人が不要になるまで続きます。




本件のご相談のように身寄りのない方が交通事故で遷延性意識障害になった場合には,入院先の病院と行政が連携して,市区町村長による成年後見申立ての手続が行われるよう取り計らわれます。




▼参考記事
・遷延性意識障害を負われた方の解決事例
・遷延性意識障害
・成年後見申立無料サポート

▼よつば総合法律事務所 公式サイト
▼よつば総合法律事務所 公式ブログ




(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

保険会社が定期金賠償というものを提案してきました。保険会社はなぜこのような提案をしてきたのでしょうか? 被害者家族の対応として気を付けるべき点はありますか?

2018年03月02日
このエントリーをはてなブックマークに追加

保険会社が定期金賠償というものを提案してきました。保険会社はなぜこのような提案をしてきたのでしょうか? 被害者家族の対応として気を付けるべき点はありますか?

定期金賠償とは,月ごと・年ごとなど定期的に賠償金を支払う方法です。実際の損害額に近い金額の賠償になりやすく,金額算定が合理的になりやすいです。

ただし,将来保険会社の資産状態が悪化すると支払を受けられなくなるかもしれないリスクがあります。一方,一時金賠償においては,その後に事情変更が発生したときに決め直すことが難しいなどの問題があります。





 交通事故の損害賠償 : 定期金賠償と一時金賠償



◆定期金賠償と一時金賠償




交通事故の損害賠償金の支払方法として,定期金賠償と一時金賠償があります。

一時金賠償とは,示談成立時や判決時などに,将来の分もまとめて一括で賠償金を支払う方法です。

これに対し,定期金賠償は,示談成立後や判決後において,毎月や毎年など,定期的に賠償金を継続して支払い続ける方法です。




たとえば,後遺障害や死亡のケースの逸失利益や将来介護費用などについて,一時金賠償か定期金賠償のどちらを採用すべきかが問題となります。

一般的に,交通事故の賠償金支払については,一時金賠償方式が採用されています。







◆保険会社が定期金賠償を主張する理由




示談交渉時,加害者の保険会社が定期金賠償を求めてくることがあります。

それは,定期金賠償の方が,現実に発生した損害額に近い金額を支払やすいからです。




たとえば,将来介護費用を平均余命の分まで一括で支払ったとしても,その後,被害者が平均余命まで生きるとは限りません。合併症等で,平均余命に達する前に死亡してしまうこともあります。

すると,保険会社にしてみたら,本来は不要なお金を先に支払い過ぎたということになります。この場合でも,後になって「実際には不要だったから,返してほしい」と言うことはできません。

定期金賠償なら,死亡した時点からは支払義務がなくなるので,被害者が平均余命より前に死亡したときは,保険会社としては,支払を抑えることができることになります。







◆定期金賠償の注意点




定期金賠償は,現実に発生した損害額に近い金額が支払われるという意味では,被害者にとって悪い条件ではありません。

たとえば,被害者が平均余命より長く生きるケースもあり,その場合には定期金賠償の方が一時金賠償よりも賠償を受ける金額は多かったということになります。

ただし,定期金賠償にすると,将来保険会社が倒産した場合,それ以降の支払を受けられなくなるリスクがあります。

被害者が若年で,平均余命まで数十年(ときには50年以上のこともあるでしょう),というケースでは,定期金賠償にすると,不安が大きいと言えるでしょう。




被害者が拒絶しているにもかかわらず,加害者が一方的に定期金賠償を適用することはできないという最高裁判所の判例がありますが(最高裁昭和62年2月6日),近年は,被害者が一時金賠償を求めているときも裁判所が定期金賠償判決することは許されているという考え方が主流になっており,実際にそういう判決をした裁判例も複数存在します。

お独りで考えて決めてしまう前に,弁護士までお早めにご相談下さい。




▼参考記事
・交通事故における損害賠償の項目について
・保険会社担当者には裏がある
・弁護士が入ると賠償額が上がる!

▼よつば総合法律事務所 公式サイト
▼よつば総合法律事務所 公式ブログ




(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

交通事故の損害賠償の問題が間もなく解決しそうです。損害賠償に必要だということで成年後見制度を利用したのですが,解決したときには成年後見も終了しますか?

2018年03月01日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故の損害賠償の問題が間もなく解決しそうです。損害賠償に必要だということで成年後見制度を利用したのですが,解決したときには成年後見も終了しますか?

いいえ,終了しません。ご本人の状態が回復して後見人が不要になるか,死亡するまで継続します。




 交通事故の損害賠償 : 成年後見制度 



◆成年後見制度とは




交通事故に遭われた被害者の方に重大な後遺障害が残り,御自身で考えて判断することができなくなった場合,ご自身で損害賠償の手続を進めることができないケースがあります。

この場合には,誰か代わりのかたが損害賠償請求手続を行う必要がありますが,そのために利用されるのが「成年後見制度」です。




成年後見制度とは,本人に判断能力が欠如する場合に,適式な後見人がついて,代わりに財産管理や身上監護を行う制度です。

交通事故の中でも,以下のような後遺障害が残ったケースにおいて,利用されます。

       ・遷延性意識障害        ・重度な高次脳機能障害 


上記以外のケースでも,ご本人が賠償請求手続を進めるために必要な判断能力を失ってしまっている場合には,成年後見制度の利用を検討する必要があります。







◆交通事故賠償問題が解決しても,成年後見制度は終了しない




交通事故後に成年後見制度を利用した場合,裁判所から選任された成年後見人が本人の財産を管理・処分する権限を持ちます。

損害賠償請求の手続はその一環です。
成年後見人の判断によって示談を進め,成立させることもできますし,示談が決裂したときに訴訟を起こすことも可能です。

このように,交通事故損害賠償のために成年後見人を選任したのであれば示談が成立して不要になったら,後見は終了するのでしょうか?




実は,そういうことにはなっていません。
成年後見人は,本来は交通事故とは無関係な制度
です。

家庭裁判所により,「(交通事故問題に限らず,どのような問題についても)本人に判断能力がないので,成年後見人が必要」であると判断されて,後見開始決定が出ています。

交通事故による損害賠償請求の場面で後見人が本人の代わりに手続を遂行しているのは,たまたま交通事故損害賠償請求をするときにも,この制度が有効になっているためです。

もともと判断能力の問題があるので後見開始決定が出ているのですから,交通事故問題が解決したとしても,制度の適用が終了になるというわけではないのです。







◆成年後見制度が終了する時期




成年後見人が選任されたのは,判断能力を失ったかたの財産管理や権利行使のために必要だからです。
そこで,必要性がなくなれば,後見制度は終了します。

具体的には,本人が判断能力を回復したときか,本人が死亡するときまで後見制度は継続します。




▼参考記事
・成年後見人に関してかかった費用は,損害として認められますか。
・高次脳機能障害の場合,成年後見申立が必要ですか。
・成年後見申立無料サポート
・交通事故で極めて重症になってしまった被害者のご家族が成年後見人となり,当事務所が代理し解決した事例

▼よつば総合法律事務所 公式サイト
▼よつば総合法律事務所 公式ブログ




(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

交通事故後,夫が怒りっぽくなりました。高次脳機能障害が関係しているのですか?

2018年02月28日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故後,夫が怒りっぽくなりました。高次脳機能障害が関係しているのですか?

怒りっぽくなるのは,高次脳機能障害の後遺症の一つである社会的行動障害のためです。適切なリハビリテーションを受けて,感情のコントロールを心がけましょう。




 高次脳機能障害 : 事故後の変化 



◆怒りっぽくなった原因は高次脳機能障害の後遺症だった




Aさん(48歳男性)は,交通事故で怪我をして救急病院に運ばれ,2カ月間入院しました。

事故から24時間後に意識が戻り,1週間後にはベッドから起き上がれるようになりました。

完全看護の病院なので家族が夜間付き添う必要はありませんでしたが,Aさんの妻は,毎日面会時間にはAさんの病室を訪れ,献身的に世話をしました。




病室でアイスクリームが食べたいとAさんが言うのを聞いた妻は,病院の売店でアイスクリームを買ってきました。それを見るなりAさんは,「カツ丼が食べたいのにアイスクリームを食べさせようとするとはなんだ」と,血相を変えて怒鳴ったのです。

妻は,以前は優しかったAさんが理不尽な理由で激怒したことにショックを受けました。

実は,Aさんの性格が変わったのは,高次脳機能障害によるものでした。

専門用語で「社会的行動障害」と言い,自分の感情をコントロールできなくなる後遺障害です。







◆リハビリテーションで感情をコントロールできるようになった




Aさんの症状は,回復するどころか悪化する一方で,妻はAさんの暴言を恐れて何も話しかけられなくなってしまいました。

その一方で,救急病院から退院するか転院するように促され,Aさんの妻はAさんの症状を緩和するためのリハビリテーションを受けられる病院を探しました。その結果,高次脳機能障害に対する理解がある病院が見つかり,転院してすぐにリハビリテーションを開始しました。




Aさんに対するリハビリテーションは,作業療法士が行います。

Aさんが急に怒り出しても責めることはしませんが,指摘するべきことははっきり言います。

Aさんは,怒ると同時に大変な興奮状態に陥るので,そのような場合はリハビリテーションの担当者はしばらく席を外すなどして,興奮が静まってから課題を続けるようにしました。

何かをしようとする時は,まず考えてから行動に移す訓練も行いました。

Aさんは,自分の性格の変化が高次脳機能障害によるものだと自覚していないので,後遺障害に対する自覚を持つよう,病気に対する理解を深める時間も取りました。




その結果,Aさんは自分の感情をコントロールできるようになり,妻や周囲の人に感情をむき出しにすることはなくなりました。

Aさんは,社会的行動障害に適合したリハビリテーション訓練を受けたことで,高次脳機能障害の後遺症を克服し,退院後,職場に復帰できたのです。




▼参考記事
・病院選びはどのようにしたらよいですか。
・高次脳機能障害の具体的な症状には,どのような症状がありますか。
・事故後,早い段階から弁護士が関与することで,高次脳機能障害の専門的な検査や医療機関と繋がることができ,結果として症状改善につながり,後遺障害の認定をスムーズに受けることができた解決事例

▼よつば総合法律事務所 公式サイト
▼よつば総合法律事務所 公式ブログ




(よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

高次脳機能障害と脳しんとうの違いは何ですか?

2018年02月27日
このエントリーをはてなブックマークに追加

高次脳機能障害と脳しんとうの違いは何ですか?

高次脳機能障害は,脳に傷がついたことで起きる病気で,一時的な記憶障害などの症状が起きるが,脳の損傷はないのが脳しんとうです。




 高次脳機能障害と脳しんとう



◆高次脳機能障害と脳しんとうはどう違う?




頭を打ったら安静に。とか,頭を打ったらすぐ病院に行けなどと言われたことはありませんか?

頭を打った場合は,脳に対するダメージを心配して軽く考えずに慎重に対処します。

高次脳機能障害を起こすような重大な怪我や疾患は,まれに起こる病気ですが,脳しんとうは遊んでいる子どもや,スポーツをしている大人に起こる,さほどめずらしくない症状ですが,高次脳機能障害とどのような違いがあるかを述べます。




高次脳機能障害は,脳に器質的な変異があります。
すなわち,怪我や病気で脳に傷が付いた状態です。

いったん傷付いた脳はもとに戻らないので,高次脳機能障害は完治することなく後遺症が残ります。

それに対して,脳しんとうは頭部に激しい力がかかったために起きる,一過性の意識障害で,脳に傷が付いているわけではありません。打撲だけでなく,頭を強い力で揺さぶられた場合も,脳しんとうを起こします。

脳に傷がついているかいないかが,高次脳機能障害と脳しんとうを区別する基準です。

むろん,頭部を強く打って高次脳機能障害を発症したような場合は,事故発生時に脳しんとうを起こしている可能性があります。







◆脳しんとうは画像診断で映らない




軽い脳しんとうの症状がある人の頭部をCT撮影しても,何も悪いところは見当たりません。

なぜなら,脳しんとうは脳神経伝達物質という,細胞から細胞へ情報を伝える化学物質が過剰に放出されて起こる意識障害だからです。

通常は医師の指示に従って安静にしていれば,意識レベルはもとに戻り,もとの生活に復帰できます。しかし,だかららといって脳しんとうは,医師の診察を受けなくても安静にしていれば大丈夫だと考えてはいけません。

なぜなら,高次脳機能障害も意識がはっきりしない時期が続き,その後体調が回復する場合があるからです。

すなわち,しばらく安静にしていたら意識が戻ったから,軽い脳しんとうだったのだろうと自己判断していて,高次脳機能障害の原因となるような脳の損傷を見過ごしている可能性があるのです。




交通事故による高次脳機能障害は,あとで後遺症に気付くことがあります。

たとえば,いつも歩いていた駅までの道順が思い出せず,初めて歩く道のように思える,約束をしたことさえ忘れ,どうしても約束を守れないなどの症状は,高次脳機能障害の方に良く見られます。

頭を打ったことを深刻にとらえず専門治療を受けず,高次脳機能障害であることに気付かないまま,生きづらさを感じる日々を過ごしがちです。

脳しんとうを起こした程度の頭部打撲でも,医療機関の検査を受け脳の損傷がないことを確認して,日常生活に戻りましょう。







▼参考記事
・高次脳機能障害の症状に気付くには,どのようにすればよいですか。
・高次脳機能障害とは
・事故後,被害者の様子が変わったとご家族からお話があり,高次脳機能障害を負っている可能性があると判断し,必要な検査を受けて頂き,検査結果をもとに被害者請求を行い2級1号の後遺症が認定されて解決した事例

▼よつば総合法律事務所 公式サイト
▼よつば総合法律事務所 公式ブログ




(よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故で高次脳機能障害になったら,介護保険サービスを受けられますか?

2018年02月26日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故で高次脳機能障害になったら,介護保険サービスを受けられますか?

交通事故で高次脳機能障害になった場合,特定疾病に指定されていないので65歳未満だと介護保険を利用できず,難病指定になっていないので医療費助成制度の対象ではありません。




 高次脳機能障害 : 介護保険サービス 



◆介護保険の対象は65歳から




介護保険を利用できるのは,満65歳以上の人,もしくは国が指定した16種類の特定疾病にかかっている40歳以上65歳未満の患者さんです。

しかし,高次脳機能障害は特定疾病に指定されていないので,65歳未満で交通事故に遭い高次脳機能障害になった人は,他の保険を使って治療を検討しなければなりません。

高次脳機能障害になると,完治は難しく多くの場合,様々な後遺症に生涯に渡って悩まされ続けることになります。




日本人の平均寿命は,女性で約87歳,男性は約80歳で,世界一の長寿国です。

平均寿命まで生きるとして,男性が20歳で高次脳機能障害になったら,その後60年に渡って医療費を負担しなければならず,そのうち介護保険を使えるのは15年のみ,それまでの45年間,健康保険があるとはいえ,その他のサービスを利用しようとした時,すべて自己負担というのは高次脳機能障害の人に多大な出費を強いることになります。

高次脳機能障害の人が抱える問題は,後遺症に苦しむことのほかにもう一つ,医療に関する負担が挙げられるのはこうした理由です。







◆難病指定になっていない高次脳機能障害




従来,政府は56種類の治療法が確立しておらず治療が困難な病気を,指定難病として医療費を助成してきましたが,平成27年1月に「難病の患者に対する医療等に関する法律」(略称:難病法)が施行され,平成27年7月以降は,306種類の病気が指定難病となっています。

しかし,その306種類の指定難病のなかに,高次脳機能障害は含まれていません。

つまり高次脳機能障害の人は,治療が困難な病気であることが明らかであっても,難病法による支援を受けることができないのです。







◆家族会が支える高次脳機能障害者




このように,高次脳機能障害の方は,65歳未満であれば介護保険を利用できず,難病による医療費助成も受けられないため,経済的・精神的につらい思いをします。

そのような時に,高次脳機能障害の方を支えるのが家族会です。
家族会とは,高次脳機能障害の患者さんご本人やご家族によるネットワークのことです。

家族会に参加すると,医療に関する最新情報を入手できることだけでなく,同じ病気にかかっている方々の体験を知ることで,自身の生き方に対して前向きな気持ちを持つきっかけにもなります。

脳機能に関する研究は日々進歩しています。

家族会などで得た最新情報を通じて,より良い治療に出会うことを願ってやみません。




▼参考記事
・高次脳機能障害と家族の会
・高次脳機能障害の家族を支援する制度には,どのようなものがありますか。
・交通事故後,早い時点で当事務所が代理し,専門医のいる病院をご紹介し,ご家族の協力を得ながら長期のリハビリを行った結果,症状改善につながり,後遺障害の認定をスムーズに受けることができた事例

▼よつば総合法律事務所 公式サイト
▼よつば総合法律事務所 公式ブログ




(よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)
< 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 >
プロフィール
よつば総合法律事務所
千葉県最大級の法律事務所。弁護士16名が所属しております。事務所名の「よつば」は事務所に関わる人が皆幸せになるようにとの思いから名付けました。お気軽にご相談ください。
柏事務所:千葉県柏市(柏駅徒歩3分)
千葉事務所:千葉市(千葉駅徒歩3分)

千葉で交通事故に強い弁護士の無料相談サイト

メールでのお問い合わせ
2018年 06月 >>
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最新記事