交通事故で高次脳機能障害になった人は,脳のエネルギー源であるブドウ糖をたくさん摂るべきでしょうか?

 
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交通事故で高次脳機能障害になった人は,脳のエネルギー源であるブドウ糖をたくさん摂るべきでしょうか?

脳の唯一のエネルギー源がブトウ糖です。
高次脳機能障害の人は脳を活性化させるために積極的に摂りたい栄養素ですが,摂り過ぎないように気を付けましょう。




 高次脳機能障害:ブドウ糖の摂取量 



◆ブドウ糖をたくさん摂れば脳が元気になる?


脳の唯一のエネルギー源がブドウ糖です。
ブドウ糖が不足すると,やる気がなくなったり思考力が衰えます。

交通事故で高次脳機能障害になった人に限らず,誰だって脳が持てる能力を最大限に生かしたいと思うでしょう。

特に,脳の一部が損傷したため,脳の活動が阻害されてしまった高次脳機能障害の人は,集中力を維持するのが難しいことがあるので,ぜひ,ブドウ糖を摂取して脳を活発に働かせたいものです。

ブドウ糖は糖質を含む食品に含まれています。

ただし,ここで注意してほしいのが,ブドウ糖の適切な摂取量を守ることです。

糖質を含む食品を食べ過ぎると太るから健康に悪いなどという単純な話ではありません。脳の健康に良いからと,糖質を摂りすぎると体に異変が起こるのです。







◆糖質と終末糖化物質


体が必要としているより過度に多い糖質を摂り続けると,エネルギー源として必要とする量より多いブドウ糖が体内に入ってきます。

エネルギーとして燃やしきれないブドウ糖は,たんぱく質と結合して終末糖化産物(AGEs)と呼ばれるたんぱく質に変化します。強い毒性を持っている終末糖化産物は,ヒトの体の老化の原因物質であると言われています。




終末糖化産物は,一度作りだされると,その後分解されることがなく体に蓄積されていき,血管や脳細胞のたんぱく質に悪影響を及ぼし,結果的に脳の機能の低下を招いてしまうのです。

脳に酸素を送る血管が損傷すれば,脳に深刻なダメージを与えます。




しかし,だからといって糖質の過剰摂取が脳の活動を阻害する結果を招くので糖質を含む食品を食べないようにすると,脳のエネルギー不足を招いてしまうのでお勧めできません。

糖質の量をコントロールして,自分が本当に必要とする量を食事に取り入れようにすることを守れば,糖質の摂取を怖がる必要はありません。




自分が糖質を摂りすぎているかどうかを知る簡単なセルフチェックがあります。


Q.甘いものが大好きで控えようと思っても,食べたいという衝動を抑えきれずたくさん食べていませんか?

Q.食後,集中力が失せてぼうっとしませんか?

Q.午後になると眠くなりますか?



これらのうち,いずれかが当てはまる場合は,糖質の摂取が多すぎる可能性があります。むろん,適度な甘いものや糖質を含む食品は,健康に良いので積極的に摂るべきです。

高次脳機能障害で,脳に良い食事を心がけている方は,適度な量を摂ることを心がけましょう。




▼参考記事
・交通事故で怪我をした場合,いつ弁護士に相談すべきか?
・高次脳機能障害に適した病院選びは,どのようにしたらよいですか。
・高次脳機能障害を負われた方の解決事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故で高次脳機能障害になった人が,摂取した方がよい栄養素は何ですか?

 
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交通事故で高次脳機能障害になった人が,摂取した方がよい栄養素は何ですか?

交通事故で高次脳機能障害になった人は,脳が栄養不足にならないように,ブドウ糖・ビタミンB群・たんぱく質・ミネラル・コレステロールを含む食品を摂りましょう。




 高次脳機能障害に必要な栄養素 



◆脳の栄養不足に注意


交通事故による打撲は,一瞬にして人間の知的活動の根源である脳を破壊することがあります。

脳の組織は,残念ながら一度壊れると治癒しないので,壊れた脳は元通りになりません。脳の組織が壊れたことにより,さまざまな後遺症が現れる病気が高次脳機能障害です。

高次脳機能障害は,完治しない病気,つまり後遺障害の一種ですが,脳のすべての機能を失ったのではなく,その大部分は以前と同じように活動しているので,適切な治療を受ければ,社会に出て活躍することが可能です。




高次脳機能障害と診断された方は,それまで以上に自分の「脳」の存在を意識することになるでしょう。

リハビリテーションによって脳のトレーニングをすることも大事ですが,患者さん自身やその家族が毎日の生活の中でできるとても重要なことがあります。それは,脳に必要な栄養を十分摂ることです。

脳が栄養不足になったら,残された健常な脳組織を最大限に使おうとしても,脳がパワー不足で思うように働いてくれません。脳に必要な栄養素を意識して,毎日の食事に取り入れることで,脳のパワーアップを図ってください。







◆脳に必要な栄養素とは?


脳が活動するエネルギーは,ブドウ糖から作られます。

もしブドウ糖が不足すると,肝臓で脂質からケトン体が作られて,脳がエネルギー不足にならないよう補いますが,適度な量のブドウ糖を含む食品を摂取するのが一番です。

脳は睡眠中も活動していることをご存知ですか?
脳は24時間,エネルギーを必要としている組織なのです。




ブドウ糖が含まれる食品は,ご飯,パン,麺類などです。おかずだけでなく,主食にも気を配って脳にエネルギーを補給しましょう。その他,タンパク質が不足すると,神経伝達物質を作り出せず,集中力がなくなったり,無気力状態になります。

ビタミンB群も,神経伝達物質の生成に深く関わっているので,たんぱく質と一緒に摂りましょう。
豚ヒレ肉,玄米ご飯にはビタミンB1が,納豆や豚レバーにはビタミンB2が,ピーナツやカツオにはナイアシン(ビタミンB3)が含まれています。

ミネラルも,神経伝達物質を作る上で重要な役割を持っているので,ミネラルが多く含まれている海藻や貝類を食事に取り入れましょう。

脂質の一種であるコレステロールが不足すると,脳の機能が低下し,ストレスを感じやすくなります。
良質なコレステロールを含む卵や,イワシなどの魚類を食事のメニューに加えましょう。




▼参考記事
・高次脳機能障害Q&A
・高次脳機能障害と家族の会
・解決事例:兼業主婦が高次脳機能障害を発症し,保険会社提示額0円から解決金7600万円で解決した事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故のあとで,高次脳機能障害かもしれないと思ったらするべきことはどんな事がありますか?

 
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交通事故のあとで,高次脳機能障害かもしれないと思ったらするべきことはどんな事がありますか?

交通事故のあと,しばらくしてから以前できたことができなくなったと本人や家族が気づいたら,患者さんと家族が一緒に専門医を受診しましょう。




 高次脳機能障害:主な症状と初期対応 



◆このような症状が現れたら専門医に診てもらう


交通事故で頭を打ったが,頭痛やめまいなどの自覚症状はなく,そのまま退院したものの,事故の前にはできたことができなくなったら,高次脳機能障害を疑ってかかるべきです。


多岐多様の症状が現れるのが高次脳機能障害の特徴ですが,主な症状を以下に挙げますので,このなかに当てはまる症状があれば,専門医を受診しましょう。




・注意障害:そわそわして落ち着きがない,ぼうっとしている
・社会的行動障害:ささいなことで感情を抑えきれずに怒る,場違いなことを平気で言う
・失語症:うまくしゃべれない,多弁だが意味のないことをしゃべり続ける、
・記憶障害:最近の出来事を覚えられない
・左半側空間無視:自分の左側にあるものを認識できない
・遂行機能障害:手順を決めてものごとを処理することができない,やるべきことの優先順位を決められない



いずれの症状も,本人が「なんだかおかしい」と気づくよりも,同居している家族が気付くことが多いのです。
逆に言えば,高次脳機能障害の患者さんは,周囲の人が指摘しなければ,自分のふるまいや感情の表出は,以前と同じだと思いがちなのです。

ですから,あなたは高次脳機能障害の可能性があるから治療をしなければいけませんと言っても,治療を受け入れることを拒むことがよくあります。




家族など周囲の人間による症状の観察と,患者さんが治療を受けることを了承するよう説得することが,高次脳機能障害の治療のスタートと言えるでしょう。







◆患者が治療を了承したら何から始めるか?


高次脳機能障害の可能性が疑われる患者さんを家族が説得して治療を受けることを了承したら,家族と患者さんご自身が一緒に受診することをお勧めします。

身近で患者さんの言動を見聞きしている家族による症状の説明は,医師にとって非常に役立つものです。

現在では,脳のどの部分を傷付けるとどのような症状が現れるかという研究がかなり進んでいるので,問診だけでも,脳の損傷について予測ができるのです。その上で,MRIやCTなどの医療機器を使った精密検査を受ければ,効率的に治療の方針を立てられます。




治療は,投薬よりもリハビリテーションが中心となります。ただし,暴力行為などの行動障害が目立つ場合は,薬で症状を抑えることもあります。

リハビリテーションは,理学療法・作業療法などを交えて行います。リハビリテーションは,効果が現れるまで時間がかかることもありますが,継続することで,脳の機能の回復に良い効果が現れます。

患者さんがリハビリテーションに対する意欲を失わないように,家族の励ましも大切です。







▼参考記事
・高次脳機能障害の症状に気付くには,どのようにすればよいですか?
・病院選びはどのようにしたらよいですか。
・高次脳機能障害になってしまったご依頼者様から,事故後すぐに依頼を受け高次脳機能障害認定をスムーズに行い解決した事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)


交通事故のあと,高次脳機能障害に気付かず職場復帰したらどうなりますか?

 
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交通事故のあと,高次脳機能障害に気付かず職場復帰したらどうなりますか?

交通事故で頭を打って,高次脳機能障害を発症していたのに気付かず職場復帰すると,以前できたことができなくなるなど仕事に支障をきたすケースが目立ちます。




 高次脳機能障害に気付かず,職場復帰 



◆発症していることに気づかないことも多い


交通事故などによる,頭部の外傷が原因で高次脳機能障害を発症することがあります。
擦り傷・打撲・ねんざ・骨折・内臓の損傷など,複数の怪我をすることが多いのが人身事故の特徴です。


どうしても,出血や骨折など,はっきりとわかる外傷の治療が優先されがちですし,怪我をした本人にしても,頭を打ったが頭部からは出血していないし,たいしたことはないだろうと,他の怪我の手当てに意識が向いてしまいます。

しかし,高次脳機能障害は,怪我をした当初は発症していることに気付かないことがあるのです。







◆怪我をした直後に受ける治療の質が,高次脳機能障害の回復を左右する


脳に損傷を受けた場合,一刻も早く専門治療を受ける必要があります。

上記のように,頭部に目立つ外傷もなく,本人も脳の怪我を疑っていない場合,怪我をした直後に脳の検査を受けないことも少なくありません。

しかし,高次脳機能障害は,脳を損傷した直後の「急性期」と呼ばれる期間に専門治療を受けることがとても重要なのです。

というのは,高次脳機能障害は,治療を受ける一方で,できるだけ早い時期から体調に応じたリハビリテーションを行うことで,その後の回復が早まると言われているからです。




高次脳機能障害であることに気付かないままでいたら,リハビリテーションのプログラムを提案される機会もないわけですから,高次脳機能障害の症状の回復は見込めません。







◆職場復帰してから気付く違和感


高次脳機能障害を発症していたにもかかわらず,それに気付かずにいるとどうなるでしょう?

交通事故による怪我の治療を終えて退院し,職場復帰をしてから,高次脳機能障害に気付くことが多いのです。

病院内における患者さんの責任は,医療チームの指示を守って過ごすこと,つまり,患者さんは医療を施される受け身の側にいます。

しかし,社会に出れば,職場における責任,同僚や上司,部下との人間関係の構築,任務の遂行など,高度な判断を迫られることが目白押しです。つまり,病院内で過ごしていたときの脳は,車のエンジンで言えばアイドリング状態です。一方,社会に出ると脳はトップギアに入ります。




職場復帰をし,複雑な思考や決断を次々と迫られる結果,「得意だった仕事ができなくなった」,「大切な約束をすぐ忘れてしまうようになった」,「会った人の名前を覚えられない」など,以前と違う自分に気付くのです。

脳の検査を受け,高次脳機能障害を発見していれば,治療を受けたのちに体調を万全に整えて職場復帰できます。
事故で頭部を打ったのであれば,精密検査を受けて脳に損傷がないことをはっきりさせましょう。




▼参考記事
・高次脳機能障害になりましたが,仕事を再度始めたいと考えていますが,どのように始めればよいですか?
・高次脳機能障害の症状に気付くにはどのようにすればよいですか?
・高次脳機能障害を負われた方の解決事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故に遭いました。現在治療中です。物損については既に示談済みで,過失割合1対9で示談しました。過失割合について合意したのですから,人身損害についても1対9になることは既定と考えて良いのでしょうか?

 
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交通事故に遭いました。現在治療中です。物損については既に示談済みで,過失割合1対9で示談しました。

過失割合について合意したのですから,人身損害についても1対9になることは既定と考えて良いのでしょうか?




この場合,人身損害については1対9とは異なる過失割合が認定される可能性があります。




 過失割合 (物損事故と人身事故) 



◆物損部分と人身損害は,別に示談することが多い



交通事故で被害に遭ったら相手の保険会社に対して賠償金の請求を行いますが,物損と人身損害が発生していたら,その両方を支払ってもらう必要があります。

このとき,物損と人損については別々に示談を行うことが多く,物損に関する示談交渉が先行することが多いです。示談書も別に取り交わします。

ですので,通常は先に物損の示談を済ませて,後に症状固定となった後で人身損害についての示談交渉を開始します。




物損の示談と人身損害の示談は基本的に別の話合いなので,人身損害の示談における過失割合は,物損部分での示談内容に拘束されることはありません。

実際に,物損の示談時には,相手の保険会社が被害者側の過失割合を小さくしてくれても,人身損害の示談交渉をするときには,それより大きな過失割合を主張されてしまうケースはよくあります。

ただ,物損時には被害者対加害者が1対9だったものが,人損時には4対6になるなどの極端な違いが発生することは通常ありません。




物損の示談をするときにも,人身損害の示談をする場合に適用されるであろう割合を予想して,それと似通った数値を適用しますし,物損時の過失割合と人身損害時の過失割合が一致することも,もちろんありえることです。







◆保険会社が物損の過失割合を低くする理由


それでは,保険会社はどうして物損時の示談交渉をするとき,被害者の過失割合を小さくすることがあるのでしょうか?

1つには,物損の金額は人身損害に比べて少額になることが多いためです。もともとの金額が小さいので,被害者の過失割合を小さくしても,保険会社が負担する金額は大きく変化しません。

また,被害者の過失割合を小さくすると,被害者が納得して示談をしてくれやすいので,示談交渉にかける労力やコストを抑えることも可能です。




保険会社にしてみると,物損では被害者の過失割合を小さくして早期に示談を成立させ,後に高額な人身損害部分についての示談をするときには,被害者の過失割合を大きく主張して支払い額を減らすことに,合理性があるのです。







◆物損の示談における過失割合に拘束されるケース


以上に対し,物損の示談における過失割合が,人身損害の示談の過失割合を拘束する場合もあります。

それは,物損の示談書や免責証書において,人身損害部分も含めた過失割合を確認する条項が入っている場合です。

ただ,通常こうした条項が入っていることは少ないので,おそらく本件でも,人身損害の解決の際に過失割合が物損示談成立時の1対9の過失割合に拘束されることはないでしょう。




今回のご相談のように,物損の示談時には1割にしてもらえても,人身損害の示談時にはより大きな過失割合を主張されてしまう可能性があります。

逆に,物損の示談を成立させたときにはスピードを優先させたため,詳細な検討がなされずに過失割合が決められており,一方,人身損害の解決時には過失割合を詳細に検討した結果,物損解決時に合意した過失割合より被害者に有利になるという例も珍しくはありません。




対応に困ったときや納得できない場合には、弁護士に相談すると良いでしょう。




▼参考記事
・物損の示談において気を付けるべきことは何ですか?
・ポイントを見極める!その3 示談交渉のポイント
・過失割合が争点となり,早期に証拠提出し交渉した結果,賠償金0円提示から240万円を獲得した解決事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故後の症状で歩行困難となっていましたが,治療中,階段で転んで落ちてしまい,怪我が重くなってしまいました。この場合,賠償はどうなりますか? 転倒したのが治療終了後のときと違いはありますか?

 
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交通事故後の症状で歩行困難となっていましたが,治療中,階段で転んで落ちてしまい,怪我が重くなってしまいました。この場合,賠償はどうなりますか? 転倒したのが治療終了後のときと違いはありますか?




治療中の転倒によって損害が拡大したとき,@事故との因果関係がない,またはA結果発生について被害者にも過失があったという理由で,転倒によって拡大した損害について賠償されなかったり,賠償金額が減らされたりする可能性があります。

治療終了後に転倒した場合,転倒による傷害は事故との因果関係が否定されるので賠償を受けることができませんが,相手に対する請求が減額されることはありません。




 過失相殺 (治療中,治療後) 



◆被害者側に過失があったら「過失相殺」される



交通事故の被害者は,加害者に対して賠償金の支払いを請求することができますが,必ずしも全額の支払をしてもらえるとは限りません。




交通事故には「過失相殺」という考え方があるためです。

過失相殺とは,損害の発生について被害者側に責任がある場合には,被害者の責任部分については請求金額を減額する,という考え方です。

過失相殺をするとき,通常は交通事故状況にもとづいて被害者と加害者双方の過失割合を決めて,自分の過失割合の分だけ損害額を減額することとなります。







◆治療中に悪化させる行為があっても,過失相殺の対象となる


過失相殺が行われるのは,事故時に過失があった場合だけではありません。

もともと,自分に責任のある被害者にはその分の負担をさせようという考え方ですから,事故後に被害者が損害を拡大させたときにも,同じように考えられることになります。

そこで,事故後の治療中,被害者の行動によって症状が悪化し,治療が長びいた場合には,被害者の過失が認められて過失相殺が行われ,相手に請求できる金額が減額されることがあります。

また,このように被害者の行動が介在した場合,事故と発生した損害との間の因果関係が否定されてしまう可能性もあります。




本件のご相談者の場合,転倒した状況にもよりますが,ご相談者様の不注意によって転倒して損害が拡大したのであれば,拡大した損害について過失相殺によって,賠償金額が減額される可能性がありますし,事故との因果関係がないとして賠償されないこともありえます。







◆治療後の事故の場合


それでは,もし治療終了(症状固定)後に転倒した場合であれば,異なってくるのでしょうか?

交通事故の治療費や入通院慰謝料などの賠償金は,原則として,症状固定時までの分が支払われます。
症状固定後の治療費は交通事故とは無関係なものと評価されますし,症状固定後の入通院については慰謝料も認められません。

そこで,治療終了後に転倒されたとしても,それについての損害は交通事故の損害と別扱いになりますから,相手に対して賠償請求することは基本的にできません。治療終了後の転倒事故は,交通事故とは因果関係がないということになります。




以上のように,交通事故には一般には分かりにくい色々な問題があります。また,一般論が常に妥当するとも限りません。悩んだときには、弁護士に相談してみましょう。




▼参考記事
・交通事故の過失相殺とは
・過失相殺で,当事務所の主張を立証し,解決金額が2倍になった交通事故解決事例
・過失割合について納得がいかないのですが,どうすればよいですか




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

会社役員が交通事故に遭った場合,後遺障害逸失利益はどうなりますか?

 
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会社役員が交通事故に遭った場合,後遺障害逸失利益はどうなりますか?

会社役員にも後遺障害逸失利益が認められますが,基礎収入の算定が問題となります。役員報酬を「労働対価部分」と「利益配当部分」に分けて,「労働対価部分」のみを基礎収入の算定対象とします。





 会社役員 後遺障害逸失利益 



◆会社役員にも後遺障害逸失利益が認められる



後遺障害逸失利益とは,交通事故で後遺障害が残って労働能力が低下するために,本来得られるはずだったのに得られなくなってしまった収入のことです。

後遺障害逸失利益は,事故前に労働をして対価を得ていた人に認められます。そして,その計算は事故前の実際の収入を基礎とします。




そうなると,会社役員の場合にも事故前に役員の仕事をしていたのだから,当然後遺障害逸失利益が認められると考えられます。

ただ,会社役員が支給を受けているのは,労働者の「給料」とは性質が異なります。

役員報酬には,利益配当的な給付が含まれているためです。さらに,会社にお金を残さないために(法人の税務対策),あるいは同族経営の会社では人間関係から,役員報酬を高く設定するということもあります。役員報酬のうちこうした部分は労働対価とはいえないという理屈です。

しかし,会社役員であっても実際に会社に労働力を提供していることも多く,その場合には役員報酬の中に「労働対価部分」が含まれることも事実です。




そこで,会社役員の場合,役員報酬を「労働対価部分」と「利益配当部分」に分けて,「労働対価部分」についての後遺障害逸失利益を計算するというやり方が一般に行われています。







◆労働対価部分はどうやって計算するのか?


後遺障害逸失利益の計算式は,以下の通りです。
事故前の基礎収入×労働能力喪失率×就労可能年数に対応するライプニッツ係数


そこで,後遺障害逸失利益を計算するときには,被害者の事故前の基礎収入を明らかにしなければなりません。

役員報酬の場合「労働対価部分」がいくらになるのかが問題です。もちろん,会社の役員報酬規程などに「労務対価部分は●●円,利益配当部分は●●円」と書いてあるわけはありません。仮に書いてあったとしても,その記載だけで決まるとは考えられません。




これについては、個別のケースに応じて具体的に計算する必要があるのですが、以下のような要素を考慮して決定します。

会社の規模 , 同族会社か否か , 会社の利益状況 , 被害者の地位・ 職務内容 , 被害者の年齢 , 被害者の役員報酬の金額 , 他の役員や従業員の職務内容と報酬や給料の金額
同族会社の場合:親族役員と非親族役員の報酬額の差異 , 事故後の被害者と他の役員の報酬額の推移 , 類似会社における役員報酬の支給状況






◆実際の役員の後遺障害逸失利益についての裁判例


裁判例では,事故当時に63歳であった会社代表取締役の基礎収入として,事故前の月収の6割を認めたものなどがあります(大阪地裁平成13年9月18日)。

また,小規模な会社で社長が他の従業員と同様の労働をしている場合や役員が会社の中心的な研究者であった場合などには,全額を基礎収入とするものもあります。(東京地裁八王子支部平成16年3月25日、大阪地裁平成12年9月7日、東京地判平成23年3月24日など)

御質問とは離れますが,被害者が死亡したときの逸失利益については,死亡とともに役員の地位を失うわけですから,役員報酬全てを基礎収入とすべきだとの見解もあります。




以上のように,会社役員でも後遺障害逸失利益を請求できますし,減額をされないケースもあるので,弁護士に相談することをお勧めします。




▼参考記事
・会社役員の交通事故の解決事例
・逸失利益と後遺障害
・休業損害・逸失利益について




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故の相手方が,対物全損時修理差額費用特約に加入していました。この特約の内容は何ですか?

 
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交通事故の相手方が,対物全損時修理差額費用特約に加入していました。この特約の内容は何ですか?

対物全損時修理差額費用特約は,相手の車の修理費が相手の車の時価を超えるとき,50万円を限度として修理費の補償を相手方が受けることができる特約です。

相手の車が古い場合や,特殊な車両で修理費用が高額なケースなどで役に立ちます。




 対物全損時修理差額費用特約 



◆対物全損時修理費用特約とは


「対物全損時修理費用特約」と聞いたとき,あまり耳なじみがないと感じられるかもしれません。

これは,交通事故の相手の車の修理費用が車の時価額を超えるとき,その修理費用を補償してもらえる保険です。


相手の車の修理費用は,基本的には対物賠償責任保険から支払われます。
そうだとすると,これを無制限にしておいたら,対物全損時修理費用特約をつけておく必要はないとも考えられます。

しかし,対物賠償責任保険は,法律上の支払義務がある範囲までしか補償されません。


修理費が車両時価を超えるとき,対物賠償責任保険からは車両時価までの支払しかされません。そのため,相手の車が古かったり特殊な仕様であったりして,修理費用が時価を超える場合には経済的全損の扱いとなって,修理費用は認められなくなります。





このとき,加害者が対物全損時修理費用特約に加入していたら,被害者は,車両時価額に加え,実際の修理費用の差額を支払ってもらうことができます。

この場合、修理費と車両時価との差額に加害者の過失割合を乗じた額と限度額のいずれかの低いほうの金額が支払われます。

ただし,事故後一定の期間内に実際に修理をしなければならないなどの必要な条件があることがあるので,注意が必要です。







◆対物全損時修理費用特約の補償範囲


対物全損時修理費用特約をつけていても,無制限に差額が認められるものではありません。
多くの場合,限度額が30万〜50万円となります。

よって,対物全損時修理費用特約をつけていても,必ずしも修理代金の全額が補償されるわけではなく,加害者が相手方に限度額を超えて相手に支払いをする場合には,自己負担となります。

一般に,事故で自動車が損傷したとき,修理費用が車両時価を上回る場合は,被害者が納得しにくいため,トラブルが発生することが多いです。




加害者側の視点からみると,この特約があれば,被害者との示談交渉中,「加害者はここまで譲る」というカード(交渉材料)を用意することができて,円満解決に持ち込みやすくなります。

また,刑事手続の関係で早期に示談を成立させたいときは,法律的に差額の支払義務がなくても,加害者が修理費用を全額負担すると話がしやすいです。




このようなとき,対物全損時修理差額費用特約があると,その特約の範囲内ではありますが,差額を自己負担しなくて良いので助かります。対物全損時修理費用特約をつけても,年間の保険料は数百円しか上がりません。

特に頻繁に運転をする方の場合,備えとして加入しておくのが良いと考えています。




▼参考記事
・交通事故と物損Q&A
・損害賠償額の基準に注意!
・当事務所の交通事故解決事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故に遭いました。私は,搭乗者傷害保険に加入していますが,どのような補償が受けれますか?

 
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交通事故に遭いました。私は,搭乗者傷害保険に加入していますが,どのような補償が受けれますか?

搭乗者傷害保険とは,保険の契約車両に乗っていた人が交通事故で死傷したときに補償を受けられる保険です。

実際に発生した損害額に関わりなく定額が支払われることが普通であり,人身傷害保険など他の保険の支払いがあっても,減額されないので加入するメリットがあります。





 搭乗者傷害保険 



◆搭乗者傷害保険とは


搭乗者傷害保険は,任意保険に加入する際に選べる保険の1つで,交通事故に遭ったとき,契約車両に乗っていた人が補償を受けられる保険です。


交通事故に遭ったとき,事故車両に乗っていた人がケガをしたり死亡したりすると,自分が加入している自動車保険から定まった保険金の支払いを受けることができます。

相手の保険会社と示談交渉が成立しなくても,早期にまとまった補償を受けることができますし,支払いを受けた場合に自動車保険の等級が下がることもありません。

もしものときに,入っていると安心です。







◆搭乗者傷害保険で支払われる保険金


搭乗者傷害保険で支払われるのは,以下のような保険金です。(一例です)


●死亡事故

搭乗者が死亡したケースで,満額の保険金が支払われます。


●シートベルト装着者特別保険金

死亡事故で,搭乗者がシートベルトをつけていた場合,死亡保険金とは別途,その30%に相当する金額が上乗せされます。


●後遺障害が残ったケース

交通事故によって搭乗者に後遺障害が残った場合,後遺障害の程度によって保険金の4%〜100%が支払われます。


●重度後遺障害特別保険金・重度後遺障害介護費用保険金

重度の後遺障害が残り,介護が必要な場合,後遺障害保険金と別に支払われます。


●医療保険金

搭乗者が交通事故の受傷によって入通院をしたとき,定額計算で支払われます。





◆人身傷害補償保険との違い


搭乗者傷害保険は,人身傷害補償保険とよく似ていますが,以下のような違いがあります。


●補償対象が異なります。
搭乗者傷害保険:契約車両に乗車していた場合にのみ適用
人身傷害補償保険:契約者やその家族が,契約車両以外の車に乗っていた場合にも適用

●補償内容も異なります。
搭乗者傷害保険:死亡事故の場合〇円,後遺障害〇級の場合〇円,入院1日〇円などの定額計算
人身傷害補償保険:実際に発生した損害を計算


このことにより,複雑な計算が不要な搭乗者傷害保険の方が,スムーズに支払いを受けられますが,搭乗者傷害保険だけでは,補償額が不十分になる可能性があります。

また,人身傷害補償保険は損益相殺の対象になりますが,搭乗者傷害保険は対象になりません。




以上のように,搭乗者傷害保険と人身傷害補償保険は似ているけれども異なる点があり,両方加入するメリットもあります。交通事故に万全の備えをするためには、両方加入しておくのが良いです。




▼参考記事
・後遺症と保険について
・当事務所の交通事故解決事例
・動画でみる交通事故の解説




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)



交通事故に遭った時は無職でした。その場合,後遺障害逸失利益は認められますか?認められるとしたら,それはどのような場合ですか?

 
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交通事故に遭った時は無職でした。その場合,後遺障害逸失利益は認められますか?認められるとしたら,それはどのような場合ですか?

無職の場合,基本的には後遺障害逸失利益が認められませんが,労働能力と労働意欲があって,就労の蓋然性がある場合には,認められる可能性もあります。




 後遺障害逸失利益 



◆基本的には,無職の人には認められない


後遺障害逸失利益とは,交通事故の後遺障害によって労働能力が低下して,得られなくなってしまった将来の収入のことです。

後遺障害が残ると身体が不自由になるため,それまでと同じようには働けなくなり,本来得られるはずだった収入が失われてしまうという考え方です。

後遺障害逸失利益は,就労可能年齢である67歳までの分が認められるのが一般的です。




このようなことから,後遺障害逸失利益は,交通事故前に現実に働いて収入があった人に認められるのが基本です。

無職無収入の人には当然認められませんし,収入があっても株式や不動産収入だけで生活している人は,後遺障害が残って労働能力が下がったとしても,将来の減収が生じるとは考えられないので,認められません。







◆無職者でも後遺障害逸失利益が認められるケース


それでは,交通事故当時に無職だったなら,どのような場合でも後遺障害逸失利益を支払ってもらうことができないのでしょうか?

無職といっても,いろいろな状態があります。はじめから働く意欲がない人,働く能力が無い人などもいますが,たまたま失業中だったということもありますし,就職活動中であったり既に内定していたりすることもあります。




このように,「実際に就労意欲があって就労する能力がある人」についてまで,一律に「後遺障害逸失利益は認めない」とするのは不合理です。

そこで,以下のようなケースでは事故当時無職であっても,後遺障害逸失利益が認められます。

・就労意欲がある ・就労能力がある ・事故当時において、実際に就労する蓋然性があった

たとえば,たまたま失業中で就職活動中だったケース,すでに内定をもらっていたケースなどでは,無職者であっても後遺障害逸失利益を払ってもらいやすいです。





◆基礎収入の考え方


無職者が後遺障害逸失利益を請求するとき,「基礎収入」をどのように計算すべきかが問題です。実際に働いていた人であれば,事故前の実収入を基礎としますが,無職だった人にはそのような収入がないからです。

この場合,失業者であれば失業前の収入を基準としますし,そうでない場合には賃金センサスの平均賃金を用いて計算することが多いです。

また,平均賃金を使って計算するとき,就労の蓋然性の証明の程度によっては,平均賃金の100%ではなく,8割や7割などに減額されることもあります。




以上のように,無職者であっても後遺障害逸失利益が認められる可能性があります。
相手から「支払いができない」と言われて納得できないと感じているなら,弁護士に相談することをお勧めします。




▼参考記事
・失業中の交通事故。交渉の結果,休業損害が認められた解決事例
・休業損害・逸失利益について
・休業損害・無職者について(裁判基準)




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)
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