交通事故が原因で「視覚失認」になりました。高次脳機能障害と関係はありますか?

2016年12月12日
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交通事故が原因で「視覚失認」になりました。高次脳機能障害と関係はありますか?

視覚失認は視力ではなく,脳の情報処理の問題です。高次脳機能障害でもっとも多いのは視覚失認です。




 視覚失認 



◆本人の自覚がないことが病気の発覚を遅らせる


交通事故で頭部を強打すると,脳挫傷などにより脳の組織を損傷して高次脳機能障害を発症することがあります。
高次脳機能障害は,その病名が表すように,脳の高度な活動が正常に行われなくなる病気です。

患者さん自身が病気だと思っていないことが多いことが,高次脳機能障害の特徴です。




たとえば,視覚失認といって,見えるものを正常に捉えられなくなる症状は,本人が自覚しないことが多い病気です。つまり,患者さんの訴えを待っていたら,病気の存在に誰も気づかない可能性があるのです。

高次脳機能障害の患者さんと暮らす家族の方は,視覚失認を起こしていないか,日頃の言動を注意深く観察してあげてください。







◆視覚失認とは?


1つの感覚を通した場合に,対象が何かわからないのが失認です。
たとえば,目で見てもそこにあるものが何かわからないが,触るとわかるというのが視覚失認です。
つまり,視力は正常なのに視覚を通して対象を理解できなくなる現象が起こるのです。

失認には,ほかに聴覚失認や触覚失認がありますが,高次脳機能障害でもっとも多いのは視覚失認です。眼球から入った視覚情報は,大脳の後ろの方にある後頭葉に伝えられ,その後情報が処理されて必要に応じていろいろな場所に情報伝達されます。







◆視覚失認の特徴


視覚失認の人の特徴を挙げます。

・目で見ても何かわからないが,対象に触ると何かわかり,正しくつかむことができます。

・止まっている時計は何かわからないが秒針が動いていると時計とわかるというように,動かない物は認識できないが,動く物は何かわかります。

・対象が視野のどこにあっても,わからないことに変わりありません。





◆視覚失認の発見

高次脳機能障害の人の身近にいる家族は,患者本人が自覚しない視覚失認を発見することが可能です。
以下に,視覚失認を発見するヒントを述べます。

・探し物が目の前にあってもわからず,触って確かめる。
・視力に不自由なように見えるが,障害物を避けて歩くことができる。
・ものに触る動作は,健常者と同じように自然に行う。
・患者自身が視力に不自由があると訴えることが少ない。


以上のような行動が見られる場合は,視覚失認を疑って病院を受診しましょう。
家族が患者さんに対して,物の見え方がおかしくないかたずねると,メガネが合わない,薄暗い,なんとなくぼんやりしているなど、視力の問題であるかのような返事が返ってきます。

しかし,視覚失認は視力ではなく,脳の情報処理の問題です。
患者さんの自覚を信じていると,高次脳機能障害の発症を見逃してしまう可能性があるので気を付けましょう。




(弁護士法人よつば総合法律事務所)

交通事故で高次脳機能障害になったらどのようなサービスを受けらますか?

2016年12月09日
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交通事故で高次脳機能障害になったらどのようなサービスを受けらますか?

交通事故で高次脳機能障害になった場合は,精神障害の認定を受けると各種サービスを受けられます。




 高次機能障害支援サービス 



◆高次脳機能障害の人を支援する仕組みとは?


高次脳機能障害は,脳炎や脳卒中,脳症など,脳に病巣があって発症する場合と,外傷性脳挫傷が原因で発症する場合があります。
外傷性脳挫傷を起こすきっかけでもっとも多いのは交通事故です。

もともと健康不安を抱えているわけではなく,突発的な事故により完治が困難と言われる重病を宣告されるのです。




国は,2001年より高次脳機能障害支援モデル事業を始めました。
モデル事業は2006年に終了しましたが,その後は,高次脳機能障害支援普及事業が実施され
高次脳機能障害支援普及事業による支援拠点機関は,2009年11月1日現在で全国に5カ所あります。支援拠点では,関係機関とのネットワークを通じた地域における支援や,専門的な相談を行っています。






◆サービスを利用するには?


行政によるサービスを受けたい場合,まず、高次脳機能障害の認定を受ける必要があります。
その理由は,現在の制度において,高次脳機能障害は精神障害と位置付けられているからです。

高次脳機能障害を理由とした精神疾患の診断書を発行してもらったら,精神障害の申請をします。
精神保険福祉手帳を持っている場合は,診断書を発行してもらわなくても精神障害の申請ができます。



このように,高次脳機能障害→精神障害という2段階の手順を踏むことによりサービスを受けられるようになる理由は,サービスは,2006年に施行された障害者自立支援法に基づいて提供されるからです。
行政は申請の内容を調査して,サービス利用の決定を通知します。
その後は,高次脳機能障害の人が必要とするサービスが提供されます。
高次脳機能障害に関する一般的な相談と支援は,地域包括的に市町村が行い,専門的な支援は都道府県が主体となって行います。






◆相談支援を活用しよう


東京都を例に挙げると,東京都心身障害者福祉センターは,専門性の高い相談支援の支援拠点機関という位置づけです。
支援拠点機関の活動は,相談支援・就労支援・自立支援などで,相談は高次脳機能障害の患者さんおよび家族,関係機関から受け付けています。


高次脳機能障害の症状は,患者さん本人の自覚がないこともあり,家族にも理解してもらえず苦しむ例も少なくありません。
どうぞ行政のサポート体制を活用して,生活の質を向上させてください。
申請制度に関するご不安がある場合は,高次脳機能障害に詳しい弁護士がご相談をうけたまわります。


参考
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shinsho/shien/sien4.html







(弁護士法人よつば総合法律事務所)

交通事故で将来介護費を請求したいのですが,どのような後遺障害の場合に認められますか?

2016年12月08日
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交通事故で将来介護費を請求したいのですが,どのような後遺障害の場合に認められますか?

将来介護費が認められる後遺障害の内容は限られており,症状に応じて認められることがあります。




 将来介護費が認められる症状 


◆将来介護費とは


交通事故で重い後遺障害が残った場合,将来介護費が認められるケースがあります。

後遺障害には様々なものがあり,重度のケースでは頭部外傷により意識がなくなった状態が続いたり,寝たきりになったり,認知能力が低下し,自分1人では日常生活に必要な動作ができなくなってしまうことがあります。

このように交通事故が原因で介護が必要になってしまった場合,介護にかかる費用を賠償金として請求する事が認められます。







◆将来介護費が認められる後遺障害の等級


交通事故で後遺障害が残っても,常に将来介護費が認められるわけではありません。将来介護費が認められる後遺障害の内容は限られています。
具体的には,以下の後遺障害等級の症状の場合に将来介護費が認められるとされています。


第1級(要介護)
1号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,常に介護を要するもの
2号:胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し,常に介護を要するもの


第2級(要介護)
1号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,随時介護を要するもの
2号:胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し,随時介護を要するもの


後遺障害1級や2級に該当しても,常に将来介護費が認められるものではなく,上記の症状に該当した場合にのみ認められます。なお,後遺障害3級以下のケースでも,症状に応じて将来介護費が認められることがあります。







◆将来介護費が認められる後遺障害


具体的に,将来介護費が認められるのはどのような後遺障害のケースなのでしょうか?
具体的には,重度の高次脳機能障害や遷延性意識障害,重度の脊髄損傷の場合,重度の内臓損傷を受けた場合などで認められるので,以下で個別に解説します。



@高次脳機能障害
高次脳機能障害とは,交通事故で脳に損傷を受けたため,脳の認知機能に障害が発生する症状です。
認知症と似た症状が現れますので,重度のケースでは日常生活がほとんどできなくなることがあります。

たとえば,表情や動作がなくなり,何事にも無気力になって関心を示さず,自分では着替えや食事などもできなくなるケースなどがあります。
重度の高次脳機能障害の場合,神経系統の機能または精神に著しい障害を残し,常に(随時)介護を要するものとして後遺障害1級や2級に認定され,将来介護費が認められます。




A遷延性意識障害
遷延性意識障害のケースでも,将来介護費が認められます。遷延性意識障害とは,いわゆる植物状態のことです。
自分からは意思の発言ができず寝たきりになるので,全面的な介護が必要となります。
遷延性式障害の場合,神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,常に介護を要するものとなって後遺障害1級(要介護)が認定され,将来介護費が認められます。




B脊髄損傷
脊髄損傷を受けた場合にも,将来介護費が認められるケースがあります。
たとえば半身麻痺で寝たきりになってしまったケースなどでは,要介護の後遺障害が認定されて将来介護費を請求できます。




C肺や内臓の損傷
交通事故で肺や内臓に重度の損傷を受け,自分1人では日常生活ができなくなった場合も後遺障害1級や2級が認定される可能性があります。
たとえば,肺に損傷を受けて自律呼吸ができなくなってしまった場合や,心臓や内臓に損傷を受けて日常に必要な動作に強い制限がかかる場合などには,要介護の後遺障害が認定されて,将来介護費を請求できる可能性があります。




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 前田 徹)

交通事故の損害賠償で将来介護費を請求します。 ライプニッツ係数を使って計算する方法を教えてください。

2016年12月07日
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交通事故の損害賠償で将来介護費を請求します。ライプニッツ係数を使って計算する方法を教えてください。


「1年分の介護費用×症状固定時の平均余命に対応するライプニッツ係数」に数値を当てはめて計算します。




 ライプニッツ係数 


◆将来介護費とは


交通事故の将来介護費とは,交通事故で重大な後遺障害が残って要介護状態となった場合,相手に対して請求することができる将来の介護費用のことです。

たとえば,交通事故による頭部外傷により,重度の高次脳機能障害になってしまい,日常生活に重大な支障が発生しているケースや,遷延性意識障害(植物状態)になってしまったケースなどで認められます。

このようなケースでは,家族や職業介護人に依頼して本人の介護をする必要があり,そのための費用がかかるので,加害者に対して賠償請求していきます。






◆ライプニッツ係数を用いた将来介護費の計算方法


将来介護費の計算方法には,ライプニッツ係数を使った計算方法と定期金賠償方式による計算方法の2種類があります。

一般的に多く利用されているのは,ライプニッツ係数を使った計算方法なので,以下ではその計算方法をご紹介します。




@ライプニッツ係数とは

交通事故の賠償金の請求で将来介護費を計算するとき,多くのケースで用いられるのがライプニッツ係数を用いた計算方法です。
最高裁判所をはじめとして,ほとんどの判例や裁判例において,ライプニッツ係数を用いた将来介護費の計算をしています。

ライプニッツ係数とは,将来にわたって発生するお金を一括して先払いを受ける場合,将来発生する中間利息を控除するための特殊な係数のことです。

それだけ聞いても分かりにくいと思いますので,以下具体的に説明します。

将来介護費は,本来はその都度発生するものなので,数年にわたって受け取っていくはずのものですが,交通事故で将来介護費を受け取る場合,賠償金受け取り時に一括して全額の支払いを受けることになります。

そうなると,将来受け取るべき分まで先に受け取ることになるので,その分余計な利息を受け取ることができる計算になります。
たとえば,1年先に300万円を受け取るはずだったのに,先に300万円を受け取ってしまったら,1年分の利息(年5%)である15万円を受け取り過ぎになってしまう,という考え方です。そこで,取りすぎた15万円に相応する中間利息を控除するため,特殊な係数をかけ算して金額を調整する必要があります。そのための係数が,ライプニッツ係数です。




Aライプニッツ係数を用いた将来介護費の計算式

ライプニッツ係数を利用して将来介護費を計算する際の計算式は,下記になります。

1年分の介護費用×症状固定時の平均余命に対応するライプニッツ係数


1年分の介護費用については,家族が介護する場合には,一般的に日額8,000円,職業介護人に介護を依頼する場合には実費計算(日額1万円〜3万円程度)となります。




B計算の具体例

以下では,ライプニッツ係数を用いて将来介護費を具体的に計算してみましょう。

40歳の男性が交通事故に遭い要介護1級の認定を受け,職業介護人による介護を受けているとします。
この場合,1日2万円の介護費用がかかったとすると,介護にかかる年額は730万円となります。平均余命は40.81歳ですが,小数点以下を切り捨てますので40年に対応するライプニッツ係数を見ます。すると,17.1591です。

そこで,将来介護費は
730万円×17.1591=1億2526万1430円となります。




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 前田 徹)

交通事故が原因の後遺障害で,介護が必要になりました。将来介護費の計算はどのようにすればよいですか?

2016年12月06日
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交通事故が原因の後遺障害で,介護が必要になりました。将来介護費の計算はどのようにすればよいですか?

「1年分の介護費用×症状固定時の平均余命に対応するライプニッツ係数」が基本の計算式になります。




 将来介護費


◆将来介護費とは



交通事故に遭ったとき,事故の相手に対して将来の介護費を請求することができるケースがあります。

将来介護費とは,交通事故で一定の後遺障害が残った場合に請求できる将来の介護費用のことです。

植物状態(遷延性意識障害)や脊椎損傷,高次脳機能障害になって自分では日常生活で必要なことができなくなってしまった場合に認められることが多いです。






◆将来介護費の計算方法



@基本的な計算式

将来介護費は,どのようにして計算するのでしょうか?
これについては,以下の計算式が基本となります。

1年の介護費用×症状固定時の平均余命に対応するライプニッツ係数

これについて,具体的に説明します。



A1年の介護費用

将来介護費を請求する場合,1年分の介護費用が基準となってきます。
これについては,家族などの近親者が介護する場合と職業介護人に介護を依頼する場合とで計算方法が異なります。

家族が介護する場合には,一般的には1日あたり8,000円とされているので,1年では8,000円×365日=2,920,000円となります。

職業介護人に依頼した場合には,実際にかかっている実費が基準となりますが,裁判例をみますと,1日あたり1万円〜2万円程度になることが多いようです。




B症状固定時の平均余命に対応するライプニッツ係数

将来介護費を計算する際,症状固定時の平均余命に対応するライプニッツ係数も問題になります。
これは,将来介護費を一括で受け取ることになるので,将来の中間利息を控除してもらうための特殊な係数のことです。

将来介護費は,将来にわたって発生していく費用なので,本来なら発生したらその都度受け取るべきものです。ところが,これを当初に一括して受け取ることにより,それにかかる利息を余計に受け取っていることになってしまうので,それを差し引く必要があるという考えです。

そこで,将来介護費を計算する場合には,介護費の計算期間となっている平均余命に対応する分の中間利息を控除する必要があり,ライプニッツ係数をかけて調整します。




C将来介護費の計算例

たとえば,40歳の男性が交通事故で高度脳機能障害となり,要介護の後遺障害1級が認定された場合で,家族が介護する場合の将来介護費を計算してみましょう。

このとき,家族が介護するので1日の介護費用は8,000円となり,年額は2,920,000円となります。
そして,40歳の男性の平均余命は40.81歳です。小数点以下を切り捨てますので,40年に対応するライプニッツ係数を見ると,17.1591となります。

そこで,将来介護費は
2,920,000円×17.1591=50,104,572円
となります。




D定期金賠償方式

将来介護費の計算方法には,定期金賠償方式もあります。
これは,介護費を一括で受け取るのではなく月額25万円などとして,その都度受け取る方法のことです。
これに対しては,将来の支払拒絶や支払不能に備えた履行確保の制度がないことなどを理由に,否定的な考えが多いように思われます。




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 前田 徹)

将来介護費とは何ですか?

2016年12月05日
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将来介護費とは何ですか?

交通事故による後遺障害が原因で,将来介護が必要になった場合の介護費用のことです。将来介護費は,損害賠償の内容として請求することができます。




将来介護費


◆将来介護費とは



将来介護費とは,交通事故によって一定の後遺障害が残って介護が必要になった場合の将来の介護費用のことです。

交通事故に遭った場合,重大な後遺障害が残ることがあります。意識が回復しなくなったり身体がまったく動かなくなったりして,自分一人では生活していくことが難しくなるケースがあります。

このような場合,介護が必要になりますが,介護を受けるには費用がかかるので,その将来の介護費を損害賠償の内容として請求することができるのです。






◆将来介護費が認められる場合


交通事故の中でも,将来介護費が認められるケースは限られています。
基本的には,後遺障害1級と2級に該当するケースで,その中でも一定の症状があるケースに限定されています。

1級(要介護)の場合
1号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,常に介護を要するもの
2号:胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し,常に介護を要するもの

 2級(要介護)の場合
1号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,随時介護を要するもの
2号:胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し,随時介護を要するもの


具体的な症状としては,交通事故が原因で遷延性意識障害になった場合(いわゆる植物人間状態)や高次脳機能障害が重度のケース,脊髄損傷で身体が動かなくなったケースなどで該当することが多いです。
なお,後遺障害3級以下のケースでも,症状に応じて将来介護費が認められることがあります。






◆将来介護の種類


将来介護費を理解しようとするとき,受ける介護の方法や種類のことを知っておく必要があります。
将来介護費は,受ける介護の内容によって大きく異なってきます。


まず,介護を専門職の人に依頼するか家族が自分で行うかという問題があります。
専門職の人に依頼した方が介護費用として認められる金額が高額になりますが,認められなかった場合には自己負担になってしまうので出費が大きくなってしまいます。

また,施設で介護をするか自宅で介護をするかという問題もあります。
遷延性意識障害のケースなどで自宅介護をすると,賠償金額として住宅改造費なども認められるケースがあり,将来介護費と合わせた受け取り合計金額が高くなる傾向にありますが,その分家族の負担は大きくなります。




このように,交通事故で損害賠償として将来介護費を請求する場合には,具体的にどのような方法で介護をするかということが大きな問題になるので,慎重に検討する必要があります。






◆将来介護費の金額は?


将来介護費が認められる場合,具体的にどのくらいの金額になるのでしょうか?

これについては,下記の計算方法で算出できます。


1年の介護費用×症状固定時の平均余命に対応するライプニッツ係数


1年の介護費用については,基本的には家族による介護の場合は1日8,000円となりますが,職業介護人を雇った場合には,実費となります。

実際にこれを使って計算してみると,平均余命にもよりますが,数千万円になることも珍しくありません。また,上記のように自宅で介護する場合には自宅改造費が認められるケースがあり,それと合計すると1億円以上になることもあります。




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 前田 徹)

交通事故で後遺障害になってしまいました。高齢者の場合の逸失利益は,どのように計算すればよいですか?

2016年12月02日
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交通事故で後遺障害になってしまいました。高齢者の場合の逸失利益は,どのように計算すればよいですか?

逸失利益の計算の際には,いつまで働けるかという就労可能年数が問題となりますが,高齢者の場合,これを何歳までとするかが問題になります。




 高齢者の逸失利益 


◆高齢者の逸失利益が認められにくい理由


交通事故で後遺障害が残ったり死亡したりすると,逸失利益の支払いを受けることができます。

逸失利益とは,事故によって働けなくなったことにより,得られなくなってしまった将来の収入のことで,通常は,就労可能年数である18歳から67歳までの間の分の賠償が認められます。

しかし,高齢者の場合,逸失利益が認められにくいケースがあり,また計算方法も若年者とは異なる点があります。

そもそも高齢者の場合,将来にわたって働き続けることが予定されないことが多いですし,もともと高齢ならいつまでの分を逸失利益として認めるか,という問題もあります。

そこで,高齢者が後遺障害を負ったり死亡したりしても,逸失利益が認められないケースが起こってくるのです。






◆高齢者で逸失利益が認められる場合


高齢者でも,逸失利益が認められるケースがあるので,以下ではそれがどのような事例か,具体的に見てみましょう。

まず,事故前に高齢者が実際に働いていたケースです。この場合には,実収入を基準として,高齢者の逸失利益が認められます。

これに対して,実際には働いていなかったケースでは逸失利益が認められない場合が増えてきます。
実際に働いていない高齢者に逸失利益が認められるためには,過去に就労実績があることと,今後就労する蓋然性が高いという2つの要件が必要となります。




たとえば,事故の前年度まで自営業をしていても,すでに廃業しているケースでは逸失利益は認められにくいです。これに対し,過去にサラリーマンとして働いており,技術を持っていて,具体的にある会社に就職する予定があったケースなどでは,逸失利益が認められる可能性があります。






◆高齢者の逸失利益の計算方法



高齢者の逸失利益の計算方法をご紹介します。
逸失利益の計算の際には,いつまで働けるかという就労可能年数が問題となりますが,高齢者の場合,これを何歳までとするかが問題です。

まず被害者の高齢者が67歳以上の場合には,平均余命の2分の1の期間を採用して計算します。
被害者の高齢者が67歳以下の場合には,67歳までの期間か平均余命の2分の1を比較して,長い方を採用します。

たとえば,65歳の男性の場合,平均余命は18.14歳なので,その2分の1は9.7歳です。これに対して現在の年齢と67歳との差は2歳なので,平均余命の2分の1の方が長くなり,こちらが採用されます。
小数点以下は切り捨てるので,就労可能年数は9年となります。




また,採用する基礎収入について,実際に収入がある高齢者の場合には実収入を基準としますが,そうでないケースでは,賃金センサスの男女別年齢別平均賃金を用いることが多いようです。




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 前田 徹)

交通事故に遭い,以前のように働けなくなりました。逸失利益の基礎収入は,どのように計算すれば良いのでしょうか?

2016年12月01日
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交通事故に遭い,以前のように働けなくなりました。逸失利益の基礎収入は,どのように計算すれば良いのでしょうか?

被害者の事故前の基礎収入を基準としますが,属性によって計算が異なります。




基礎収入の計算 


◆逸失利益と基礎収入


交通事故に遭ったとき,後遺障害が残ったり死亡したりした場合には,逸失利益が発生します。
逸失利益とは,事故によって働けなくなったことにより,本来得られるはずだったのに得られなくなった収入のことです。

逸失利益を計算する際には,被害者の事故前の基礎収入を基準とします。

具体的には,以下のとおりの計算方法となります。

逸失利益=事故前の基礎収入×労働能力喪失率×就労可能年数に対応したライプニッツ係数(後遺障害のケース)


そこで,逸失利益計算の際には,基礎収入をどのようにして計算すべきかが問題となります。
この点については,被害者の属性によって異なるので,以下で個別に見てみましょう。







◆基礎収入の計算方法



@サラリーマンの場合

サラリーマンや公務員などの場合,基礎収入は計算しやすいです。この場合,基本的には交通事故の前年度の実際の収入を基礎収入とします。

事故前年度の源泉徴収票の記載内容を見て,その収入額をそのまま基礎収入とします。

事案によっては,事故前3年分〜5年分などの源泉徴収票や市県民税課税証明書の記載内容を照らし合わせて,それらを平均した数値を基礎収入とすることもあります。




A自営業者の場合

自営業者の場合にも,基本的には事故の前年度の実際の収入を基礎収入とします。この場合,基本的には事故の前年度の確定申告書に記載してある申告所得の記載内容から,基礎収入を割り出します。

なお,申告額と実収入額に違いがある場合に,実収入額だと主張する金額の所得があったことを証明することができれば,実収入額を基準にしてもらうことも不可能ではありませんが,実際の裁判の場面では,ほとんど認められないと思われます。

また,事故前数年分の確定申告書の平均値をとって基礎収入とすることもあります。




B専業主婦の場合

専業主婦の場合でも逸失利益が認められるケースがあります。この場合,サラリーマンなどのケースと異なり,実際の収入がないので,実収入を基礎収入とすることができません。
そこで,賃金センサスの全年齢の女性の平均賃金を使って基礎収入とします。だいたい年収364万円くらいになります(平成26年度調査)。

兼業主婦の場合,実収入が上記の女性の平均賃金以下のケースでは専業主婦と同様,全年齢の女性平均賃金を使いますが,実収入がこれを超える場合には,実収入を基準とします。

専業主夫の場合には,女性の場合と比べて不平等とならないように,全年齢の女性の平均賃金を使って基礎収入とします。




C幼児や学生の場合

被害者が幼児や学生の場合,基礎収入は男女別の平均賃金を使います。
ただ,男女の格差を是正するため,年少の幼児の場合,女児の基礎収入には男女計の平均賃金を用いて基礎収入とすることが多いようです。




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 前田 徹)

逸失利益を算定する際に出てくる賃金センサスとは何ですか?

2016年11月30日
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逸失利益を算定する際に出てくる賃金センサスとは何ですか?

賃金センサスとは,国の厚生労働省が調査している国民の平均賃金をまとめた統計表です。




 賃金センサス 


◆賃金センサスとは


賃金センサスとは,国の厚生労働省が調査している国民の平均賃金をまとめた統計表です。

昭和23年から,毎年調査が行われていて,各事業所の地域や規模ごとに,職種,労働者の性別,学歴や雇用形態などによって分類しています。


賃金センサスには,以下のような項目が記載されています。
@労働者の年齢 A勤続年数 B労働時間数 C給与額と年間賞与額 D事業所の労働者数





◆後遺障害で賃金センサスが必要になるケース


交通事故の後遺障害の計算の際,上記の平均賃金の統計表である平均賃金が必要になるケースがあります。それは,被害者が専業主婦や幼児,学生など年収を確定することが難しい場合です。


逸失利益の計算の際には,事故前の基礎収入の額が基準となりますので,サラリーマンや自営業者などの場合には,実際の収入を基礎収入として利用することができます。

しかし,専業主婦や学生,幼児などの場合には,実際には収入がなく実収入を基準にすることができないので,賃金センサスの平均賃金を使って計算することが必要になります。






◆専業主婦の基礎収入


専業主婦の逸失利益を計算する場合には,賃金センサスを利用しますが,具体的にはどの平均賃金を利用するのでしょうか?
これについては,通常は全年齢の女性の平均賃金を用いて計算します。


兼業主婦の場合には,実際の収入が上記の平均賃金を上回るケースでのみ実収入を基準としますが,実収入がそれより低い場合には専業主婦と同様,全年齢の女性の賃金センサス平均賃金を利用します。

専業主夫のケースでも,主婦の場合と不公平にならないように,全年齢の女性の平均賃金を利用して計算します。

全年齢の女性平均賃金は364万円程度です(平成26年度調査)。






◆幼児の基礎収入


幼児や学生の場合にも,実際の収入がないので平均賃金を利用して計算します。
この場合,全年齢の男女別平均賃金を利用することが原則になります。

ただ,全年齢の女性平均賃金は364万円ですが,これに対して全年齢の男性平均賃金は536万円(平成26年度調査)となっており,同じような男女の幼児が死亡した場合であっても,女児の方が男児よりも逸失利益が少ないということになってしまうので,不公平だという問題があります。

そこで,女児の中でも年少(幼児など)の場合には,男女の全労働者の平均賃金を用いて基礎収入とすることが多いです。男女の全年齢の平均賃金は479万円(平成26年度調査)なので,これを利用すると,女児と男児の差をある程度埋めることができます。




以上のように,賃金センサスは,主に実際の収入がない人の後遺障害逸失利益を計算する際に利用する基準となるので,これを機会に覚えておきましょう。




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 前田 徹)

交通事故に遭い,後遺障害14級9号(局部の神経症状)と認定されました。 逸失利益の計算はどのようにすればよいですか?

2016年11月29日
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交通事故に遭い,後遺障害14級9号(局部の神経症状)と認定されました。逸失利益の計算はどのようにすればよいですか?


14級9号の場合の逸失利益の計算方法は,後遺障害の逸失利益計算方法に則って行います。後遺障害の等級ごとに利率の目安が定められているので,ぜひ




【逸失利益:後遺障害14級9号の場合の計算方法】



◆後遺障害14級9号で多いのは「むちうち」被害



交通事故の後遺障害14級9号の逸失利益の計算方法をご説明する前提として,後遺障害14級9号がどのような後遺障害のケースなのかを理解しておきましょう。


後遺障害14級9号は,「局部に神経症状を残すもの」という後遺障害です。
身体の一部分にしびれや痛みなどの神経症状が起こるというものです。


後遺障害14級9号に該当するパターンで最も多いのが,頚椎捻挫等のいわゆる「むちうち」です。
比較的軽い人身事故のケースでは,むちうちによって後遺障害が残ることが多くありますが,そのような場合,たいてい後遺障害の等級は14級9号となります。


そこで,14級9号の場合の逸失利益計算方法を知っておくと,交通事故に遭った際,むちうちで後遺障害が残った場合の賠償金計算方法がわかるので,ここで是非とも覚えておきましょう。






◆14級9号の後遺障害逸失利益の計算方法


14級9号の場合の逸失利益の計算方法は,後遺障害の逸失利益計算方法に則って行いますので,以下ではまず,後遺障害逸失利益の計算方法をご紹介します。

一般的な後遺障害逸失利益の計算方法は,以下のとおりです。

事故前の基礎収入×労働能力喪失率×就労可能年数に対応したライプニッツ係数


事故前の基礎収入は,交通事故前の実際の年収を基準としますが,ケースによっては賃金センサスを利用することもあります。労働能力喪失率は,後遺障害の等級ごとに目安が定められており,14級の場合には一般的には5%となります。
これに,就労可能年数である67歳までの年数に対応した中間利息のための特殊な係数であるライプニッツ係数をかけ算することで,逸失利益を求めることができます。




もっとも,被害者が未就労者,すなわち,幼児や学生の場合,18歳から,又は大学卒業時の年齢から計算します。また,被害者が高齢者であって,67歳までの期間よりも平均余命の2分の1の方が長くなる場合は,平均余命の2分の1の期間を労働能力喪失期間とします。



14級9号の場合

「事故前の基礎収入×5%×就労可能年数に対応するライプニッツ係数」が基本の計算式となりますが,むちうちによる後遺障害の場合には,「就労可能年数に対応するライプニッツ係数」は,5年に対応する4.3295が採用されることが多いです。






◆14級9号の逸失利益計算の具体例



それでは,むちうちなどで多い14級9号の逸失利益計算の具体例を見てみましょう。
事故前の年収が500万円で,事故当時40歳だったサラリーマンがむちうちで14級9号に認定されたとします。

この場合,基礎収入は500万円です。就労可能年数に対応するライプニッツ係数は,5年に対応するライプニッツ係数4.3295となります。

そこで,このケースにおける逸失利益は

500万円×5%×4.3295=1,082,375円となります。




以上のように,14級9号の軽いむちうちのケースでも,逸失利益は高額な金額となるので,きちんと計算して請求することが大切です。




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 前田 徹)

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