交通事故に遭い,任意保険会社の説明を受け,免責証書にサインしました。しかし,あとからよく考えると納得できないところが出てきました。改めて損害賠償請求の追加をしたいです。可能ですか?

2018年02月21日
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交通事故に遭い,任意保険会社の説明を受け,免責証書にサインしました。しかし,あとからよく考えると納得できないところが出てきました。改めて損害賠償請求の追加をしたいです。可能ですか?

このような場合,基本的に追加は認められません。ただし,免責証書作成時に予想できなかったような後遺障害の悪化や発生があった場合には,追加で損害賠償請求できる可能性があります。




 免責証書 : サイン後の追加請求について



◆免責証書とは




本件では,免責証書を作成してしまっています。

免責証書とは,損害賠償の内容を確定させて,その他の請求は今後しないということを内容とする書類です。

免責証書を作成すると,そこに書かれている内容以外の損害請求は認められなくなってしまいます。

効力としては示談書と同じものです。

免責証書と示談書の違いは,作成者の違いです。




免責証書の場合,債権者(被害者)が一方的に作成しますので,署名押印するのは被害者のみです。

これに対し,示談書は双方当事者の契約書のような書類ですから,被害者と加害者の双方が作成者となり,双方が署名押印することにより,成立します。

書類の取交しを迅速に行えることから,免責証書が多く用いられています。







◆免責証書作成の効果




免責証書を作成すると,どのような効果があるのでしょうか?

免責証書をいったん作成すると,被害者は加害者に対し,そこに書かれている内容以外の請求を行うことができなくなります。

つまり,それ以上の損害賠償請求をすることはできなくなってしまいます。

免責証書作成時に,請求漏れがあったとしても,その分は放棄したことになってしまうのです。免責証書作成後に「やっぱりこのような損害があった」と気づいても,改めて請求することはできません。

このことは示談書でも同じことで,いったん示談書を作成してしまったら,その後別途損害賠償請求することはできなくなってしまいます。







◆損害賠償の追加ができるケースとは




ただし,免責証書や示談書の作成後,改めて損害賠償請求ができるケースもあります。

たとえば,免責証書作成時には予想できなかったような損害が,後に発生した場合です。
免責証書作成後に,後遺障害が大きく悪化したような場合が典型です。

このようなケースにおいては,新たな損害は免責の対象になっていないと考えられるので,あらためて損害賠償請求することができます(最判昭和43年3月15日)。




本件でも,そのような特殊な事情があれば,免責証書作成後にもあらためて請求することができますが,基本的には,新たな請求は難しいです。少なくとも,「あとからよく考えると納得できないところが出てきた。」という理由ではいけません。

示談書や免責証書を作成するときには,慎重に対応する必要があります。




▼参考記事
・示談交渉のポイント
・交通事故問題解決の流れ
・「むちうち」と示談

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(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

交通事故の労災保険の時効は何年ですか?

2018年02月20日
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交通事故の労災保険の時効は何年ですか?

労災保険には,2年で時効になるものと5年で時効になるものがあります。




   交通事故 : 労災保険の時効


◆交通事故で利用できる労災保険




交通事故に遭って怪我をしたとき,労災保険を利用できるケースがあります。

それは,交通事故が労働災害になるケースです。

たとえば,業務中に交通事故に遭った場合や,通勤退勤の途中で交通事故に遭った場合などには,労災を利用することができます。




労災で支払いを受けられる給付金には,以下のようなものがあります。



●療養(補償)給付
ケガの治療費(病院や薬局に支払う診療費,投薬費,検査料,手術料等)のことです。

●休業(補償)給付,休業特別支給金
業務災害が原因で仕事を休んだ場合の休業補償です。

●介護(補償)給付
業務災害が原因で介護が必要になったときの補償です。

●障害(補償)給付,障害特別支給金,障害(補償)年金
業務災害が原因で後遺障害が残った場合の補償です。

●傷病特別支給金
業務災害が原因で高度な障害が残った場合に受けられる年金です。

●遺族(補償)給付,遺族特別支給金
業務災害で本人が死亡したときに遺族に支給される給付です。

●葬祭料,葬祭給付
業務災害で本人が死亡したときに遺族に支給される葬儀費用です。





◆時効が2年の労災給付




労災保険の中でも,以下のものは,時効期間が2年となります。



●療養(補償)給付
療養に必要な治療費の支出が確定した日の翌日から起算して2年間

●休業(補償)給付
労働ができないために給料を支払われなかった日ごとに,その翌日から起算して2年間

●休業特別支給金
休業特別支給金の支給対象となった日の翌日から起算して2年間

●介護(補償)給付
介護(補償)給付を受ける対象となった月の翌月の1日から起算して2年間

●葬祭料,葬祭給付
本人が死亡した日の翌日から起算して2年間





◆時効が5年の労災給付






●障害(補償)給付
傷病が治った日の翌日から起算して5年間

●障害特別支給金
傷病が治った日の翌日から起算して5年間

●障害特別年金
障害(補償)年金の受給権者になった日の翌日から起算して5年間

●傷病特別支給金
傷病の療養開始後,1年6ヶ月が経過した日を基本として,一定の条件に該当する場合には,その日の翌日から起算して5年間

1年6ヶ月が経過した日の後に条件に該当することになった場合,該当するようになった日の翌日から起算して5年間

●遺族(補償)給付
本人の死亡日の翌日から起算して5年間

●遺族特別支給金
本人の死亡日の翌日から起算して5年間



交通事故が労働災害になる場合,労災給付を受けるとメリットが大きいですが,上記のように,労災給付申請には時効が設けられています。時効に気を付ける必要があります。




▼参考記事
・労災保険を利用して十分な治療を行い,裁判を行った結果,裁判所和解案を上回る金額の280万円で和解した事例
・労災と自賠責で後遺障害等級が異なることはありますか。
・実は奥が深い,社会保険と交通事故との関わりについて

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(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

停車中の自動車の助手席のドアが開き,外にいた私が怪我をする交通事故に遭いました。この自動車の任意保険会社は対応してくれますか? また,自賠責保険はどうでしょうか?

2018年02月19日
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停車中の自動車の助手席のドアが開き,外にいた私が怪我をする交通事故に遭いました。この自動車の任意保険会社は対応してくれますか? また,自賠責保険はどうでしょうか?

自賠責保険は対応します。任意保険会社も対応する可能性が高いです。




 ドア開放事故 : 保険対応 



◆ドア開放事故も交通事故になる




駐停車中の自動車のドアが突然開くと,横にいた人や後ろから来た人がケガをすることがあります。
多いのは,後方から来た自転車や二輪車との事故です。

このような場合,車は走行していないので,「交通事故」にはならないとも考えられます。




しかし,実際に車がエンジンをかけて走行していなくても,自動車固有の装置であるドア開閉によって事故が生じたのであれば,交通事故は成立します。

このような態様で生じた交通事故のことを,ドア開放事故と呼んでいます。

交通事故ですから,警察を呼ぶべきですし,警察を呼んだら交通事故証明書も発行されます。







◆ドア開放事故と自賠責保険




それでは,ドア開放事故に自賠責保険の適用はあるのでしょうか?

自賠責保険が適用されるのは,「自動車の運行」に起因して人身損害が発生したケースです。
一般的には,運行とは,車を走行させることを指すと思います。

ですが,法律には定義規定があって,「『運行』とは,人又は物を運送するとしないとにかかわらず,自動車を当該装置の用い方に従い用いることをいう」とされています(自賠法2条2項)。

自動車のドアも,自動車に設置された固有の装置であり,ドアの開閉は,ドアの用法にしたがって使用することそのものです。




このような理屈で,実務上,駐停車中に生じたものであっても,ドア開放事故は,自動車の運行に起因して発生した交通事故であると認められています。助手席のドアであっても同様です。

したがいまして,ドア開放事故によって生じた人身損害について,自賠責保険は対応します。










◆ドア開放事故と任意保険




まず,対人賠償の任意保険が適用される場合について,多くの保険会社では,約款で「自動車の所有,使用,管理」に起因して損害が発生したときと定めています。

そして,駐停車中のドアの開閉は,自動車の「使用」に関して行った行為であるといえます。
そこで,ドア開放事故において,任意保険が対応することについては問題ないといえるでしょう。

被害者が怪我を負った場合には,対人賠償責任保険が適用されるので,治療費や慰謝料等について,加害者の任意保険が対応します。

もちろん,保険契約者が保険を使いたくないとの意向を示すなどの理由で,任意保険会社が対応を渋ることがありますが,それは別の問題です。




▼参考記事
・誰だって初めての交通事故
・ひとりひとりに合った適切な解決方法をご提案
・当事務所の交通事故解決事例




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交通事故で骨折する被害に遭いました。抜釘をしないまま症状固定にするそうです。不安なのですが、大丈夫ですか。後遺障害には影響しませんか。将来抜釘することになったときの医療費は賠償されますか?

2018年02月16日
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交通事故で骨折する被害に遭いました。抜釘をしないまま症状固定にするそうです。不安なのですが大丈夫ですか? 後遺障害には影響しませんか? 将来抜釘することになったときの医療費は賠償されますか?




抜釘をしないまま症状固定にするということは,主治医が抜釘をする必要はないと考えたということだと思いますから,ご不安に思われることはありません。

後遺障害への影響は,抜釘を行うことが痛みなどの症状や関節可動域などにどう影響するかを考慮する必要があるでしょう。将来抜釘手術をしたときの治療費は,症状固定時に将来抜釘手術をすることが見込まれていたという事情があれば,将来治療費として損害となる可能性はあります。




 抜釘と症状固定



◆抜釘とは




交通事故に遭ったら,さまざまなケガをすることがあります。大きな衝撃が加わるために,骨折してしまうことも多いです。

骨折治療の際には,骨を固定するために,ボルトやプレートを入れることがあります。

これらのボルトやプレートは,骨が癒合したら抜き取ることができます。

このことを「抜釘(ばってい)」といいます。







◆抜釘と症状固定




一般的には,骨が癒合したら抜釘をし,症状固定とすることが多いです。

しかし,年齢の関係でしょうか,ボルトやプレートを使用した固定術を行っても骨癒合が進まないことがあります。その場合,抜釘を行わず症状固定(治療終了)とされることもあります。

ボルトやプレートを残したままで症状固定とされるわけですが,ご不安になられる必要はありません。







◆交通事故の治療費は、原則的に症状固定時までの分となる




交通事故のケガの治療に必要となった費用については,加害者に全額請求できるのが基本です。

ただ,交通事故で必要となる治療費は,基本的に症状固定時までの分とされています。症状固定してしまったら,その後は治療を継続しても状態が改善しないので,治療をする意味が無いと考えられるからです。

ですから,症状固定後に抜釘を行うことになったとき,その抜釘手術に要する医療費は賠償の対象にならないはずです。







◆例外的に将来治療費が認められるケース




とはいえ,症状固定してしまったら,その後の医療関係費は一切損害として認められないというわけではありません。

将来治療費が損害として認められるケースがあります。

それは,症状固定後であっても,改善は見込めないものの,症状悪化を防ぐために治療が必要であるときなどです。

このようなときは,将来治療費が損害として認められることがあります。




たとえば,遷延性意識障害になったときなどに,生命維持のための治療が必要になるケースがあります。

また,症状の悪化を食い止めるために治療が必要なケースもありますし,症状固定後も身体的苦痛が残っているので,苦痛を和らげるための治療が必要なケースなどもあります。







◆骨折後の抜釘費用は、将来治療費として認められるか




症状固定後の抜釘の費用についてですが,骨癒合が進まないままだったところ,今後もプレートやボルトによる固定が引き続き必要であり,しかし骨癒合はこれ以上進まない見込みと判断されて,抜釘を行わずに症状固定の判断がされたということが多いです。

そうであれば,将来抜釘を行う見込みはないはずです。

症状固定後に抜釘を行ったということでしたら,それは症状固定時期の判断が実際と異なっていたということにもなりそうです。

ですが,骨癒合が進まないまま推移し,任意保険会社から治療費の立替払の打切りの打診があったとき,それに応じる代わりに,もし今後抜釘手術を行うことになったらその手術費用は任意保険会社が負担するという合意をして症状固定に応じるという方法も考えられます。







◆抜釘と後遺障害




影響がないということはないと思います。

骨癒合が不十分なまま抜釘をしなかったのであれば,偽関節の後遺障害が考えられます。
抜釘後,痛みに影響したり抜釘後のリハビリで関節可動域制限が改善したりすることがありえます。




以上のとおり,抜釘と症状固定については,抜釘が可能なのかどうか,抜釘をする必要があるのか,抜釘したあとの改善の見込みはどうか,任意保険会社との合意をする余地があるかなど,様々な事情を考慮しなければならない場面もありえます。一度弁護士に相談してみて下さい。




▼参考記事
・症状固定後の治療費について(裁判基準)
・交通事故の影響で,約20年後に人口関節置換術の手術を受ける必要があり,診断書等でその必要性を立証し,裁判所が将来治療費約100万円を認めた解決事例
・交通事故による怪我が治らない場合は,どうしたらよいですか。

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(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

交通事故で通院している病院の医師から,手術を受けるか保存治療を継続するか選択するよう言われました。手術を受けないと,後遺障害には認定されないですか?

2018年02月15日
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交通事故で通院している病院の医師から,手術を受けるか保存治療を継続するか選択するよう言われました。手術を受けないと,後遺障害には認定されないですか?

手術を受けないと後遺障害を受けられない,ということはありません。
ただ,手術をしたら症状が改善するにもかかわらず,あえて手術をしないために症状が残っていると考えられる場合には,賠償金額が減額される可能性があります。





 後遺障害認定 : 手術か保存治療



◆手術をするかどうかは,被害者の自由




交通事故の後遺障害認定は,症状固定時に被害者の身体に残っている症状について,認定されます。

手術をするか保存療法を継続するか選択できるケースにおいて,手術をしないからといって,症状固定しないわけでもありませんし,手術していないことを理由として後遺障害が否定されることもありません。




複数の考えられる治療方法があるとき,その中のどの治療方法を選択するかは被害者の自由だからです。

もし,手術しないと後遺障害が認められないということになると,被害者に手術を強制することになってしまい,不合理です。







◆手術をしたら症状が改善する場合について




ただ,手術をしたら症状の改善が見込めるケースもあります。

それにもかかわらず,あえて被害者が手術を受けないで症状を悪化させている場合には,被害者の選択によって損害が拡大していると考えられます。

このような場合には,過失相殺を類推して,相手に請求できる賠償金を減額されてしまう可能性があります。

また,手術をしたら症状が完治するにもかかわらず手術を拒絶している場合には,症状と交通事故の因果関係が否定されて,後遺障害が認定されない可能性も出てきます。







◆減額・否定されるかどうかの判断基準




手術を受けないことで賠償金が減額されたり,因果関係を否定されたりする場合とされない場合は,どのような判断基準で分かれるのでしょうか?

被害者が手術を拒絶したことについて正当な理由がある場合には,減額や後遺障害の否定は行われにくいです。

たとえば,「手術に大きな危険が伴うので,あえて手術を受けない」という場合には,手術を受けなかったとしても賠償金の減額はないでしょう。

これに対し,手術自体のリスクは小さいにもかかわらず,「仕事が忙しい」などという理由で手術を拒絶している場合などには,賠償金を減額されやすいです。







◆手術を受けたこと自体が後遺障害の認定基準になる場合




また,後遺障害の中には,手術を受けたこと自体が認定基準となっているものもあります。

たとえば,脊柱変形の後遺障害の場合,一定の手術(脊椎固定術や,3個以上の脊椎に椎弓切除術などの椎弓形成術を施したこと)が11級の認定基準となっています。

このような場合には,手術を受けないとこの後遺障害の認定が行われません。




以上のように,手術と後遺障害の関係にも,配慮が必要なケースがあります。
御説明の可能なこともありますから,お気軽にご相談下さい。





▼参考記事
・交通事故による後遺障害の解説
・後遺障害等級について
・当事務所の交通事故解決事例

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私は勤務先の営業担当です。 この度,私が交通事故に遭い,休業せざるを得なくなりました。その結果,勤務先の売上げが30%も低下しました。勤務先が損害賠償請求することはできますか?

2018年02月14日
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私は勤務先の営業担当です。
この度,私が交通事故に遭い,休業せざるを得なくなりました。その結果,勤務先の売上げが30%も低下しました。勤務先が損害賠償請求することはできますか?


勤務先が,あなたが休んだ分も給料を減額せずに支払っていた場合や,治療費その他の費用を肩代わりしていた場合には,その分を加害者に対して請求することができます。
売上げの30%減少分については,損害の対象とするのは難しいです。





 勤務先が損害賠償請求する場合



◆間接損害とは



本件のご相談のように,会社の従業員や役員(以下,「従業員等」といいます。)が交通事故に遭って仕事ができなくなったために,会社が被った損害のことを,間接損害といいます。

会社は,交通事故の直接の被害者(当事者)ではありませんが,自社の従業員が事故に遭ったことにより,間接的に損害を受けているからです。




ただ,間接損害の請求の可否については,基本的には否定的に捉えられています。

役員や従業員が交通事故に遭ったとき,受傷したのはあくまで受傷した本人だけであり,会社は損害賠償の主体になり得ないと考えられるからです。

ただし,会社と受傷した本人を一体として評価できるような特殊なケースでは,役員等が交通事故に遭った場合に会社に発生した損害も,会社に発生した損害と同視することができます。

そこで,間接損害を加害者に請求することが認められています。







◆間接損害が認められる基準




企業による間接損害が認められるかどうかの判断基準については,最高裁判所が判決を出しており,明確になっています(最判昭和43年11月15日)。

@事故に遭った代表者に実権が集中していること
A代表者に代替性がないこと
B会社と代表者に経済的一体性があること


基本的に,上記の3つの要件を満たす場合にのみ間接損害の請求が認められています。

つまり,小規模な会社で,会社代表者個人を会社と同視しうるようなケースでのみ,間接損害が認められるということです。

この基準からすると,営業の一担当者が交通事故に遭った場合などには,会社に発生した間接損害を請求することはできないこととなります。

本件でも,売上げの30%減を請求することは難しくなります。







◆反射損害




ただ,従業員が交通事故に遭ったとき,被害者が会社を休んでも,会社が減給せずに給料を支払っているケースがあります。従業員の治療費やその他の費用を肩代わりすることもあるでしょう。

このような企業の肩代わり損害のことを,反射損害といいます。

反射損害については,企業自身に発生した損害ですから,加害者に対して請求できることに争いはありません。
そこで本件でも,勤務先が肩代わりした損害があったら,勤務先が加害者に請求することができます。




会社員が交通事故に遭ったときには,勤務先との関係でも,いろいろな問題が発生することがあります。対応に迷われたときには,お気軽に弁護士までご相談下さい。




▼参考記事
・妥協しない 〜よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」
・営業車が事故で稼働できませんでした。その分の損害の賠償は出来ますか(休車損)。
・休業損害・逸失利益について

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交通事故の加害者の任意保険が,弁護士を付けてくるのはどういうケースが多いですか?

2018年02月13日
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交通事故の加害者の任意保険が,弁護士を付けてくるのはどういうケースが多いですか?

ケースにもよりますが,たとえば被害者から激しいクレームが来ている場合や,通院があまりに長期に及んでいる場合,慰謝料の過大請求や詐病,詐欺が疑われるケースなどです。




 加害者の任意保険が弁護士をつけるケース



◆加害者の保険会社が弁護士を立ててくる理由




交通事故に遭った場合,賠償金の支払を受けるためには,相手の保険会社と示談交渉を進める必要があります。

このとき,通常は相手の保険会社の担当者が決まり,話を進めていくことになります。保険会社の担当者は,相手の保険会社の示談担当の従業員です。




ただ,一定のケースでは,相手の保険会社が弁護士を立ててくることがあります。

示談交渉の途中で弁護士を立ててくることもありますし,事故当初から弁護士に対応を依頼することもあります。

このように,保険会社が弁護士を立てる理由には,以下のようなものがあります。




(1)被害者のクレームが激しい

1つ目の理由は,クレーム対応です。

被害者の中には,保険会社の担当者に対して非常に乱暴な言葉遣いをしたり,罵倒したりする人がいます。
また,保険会社を通さずに加害者本人のもとに押しかけようとしたり,被害者の代理人と称する怖い人が現れたりすることもあります。

このような場合,保険会社の担当者では対応が困難となるため,弁護士に対応を依頼します。




(2)被害者が慰謝料の過大請求など

被害者が,慰謝料の過大請求をしたり,過少申告をしていた自営業者が本来の分の休業損害を求めてきたり,自動車の評価損を過大に請求したりなど,保険会社としては承服できない主張をしてきたときには,弁護士に対応を依頼します。

弁護士が支払を拒絶した方が,スムーズに問題を解決できるからです。




(3)詐病,詐欺など,被害者に問題があるケース

被害者が,短い期間に何度も交通事故に遭っており「当たり屋」である可能性があるケース,詐病が疑われるケースなど,被害者に問題があると考えられる場合にも,保険会社は弁護士に対応を依頼することが多いです。




(4)被害者の通院が長期に及んでいる

被害者の通院が長期に及ぶと,相手の保険会社は弁護士対応に切り替えることがあります。

通院が長期になってくると,保険会社としては,もはや通院は不要と考え,治療費の支払いを打ち切り,治療を終わらせようとします。

そのとき,弁護士に依頼して弁護士から書面で通知を送った方が,円滑に目的を達成できる可能性が高まります。そこで,通院が長びくと,弁護士対応に切り替えて治療費支払いを終了することを知らせる通知書を送ります。




(5)事故が重大なケース

すべてではありませんが,事故が重大な場合には,当初から弁護士に対応を依頼することもあります。




以上のように,相手の保険会社が弁護士を立ててくる理由はさまざまです。
相手の対応に不満や不安がある場合には,弁護士に相談してみてください。




▼参考記事
・保険会社担当者について思うこと
・交通事故と弁護士費用特約のすべて
・保険会社担当には裏がある

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交通事故の重大な過失とはどういうことですか? 四輪車同士の出会い頭の事故で,相手の運転手は一時停止の規制があったにもかかわらずこっちを全く見ていませんでした。これは重大な過失ではないのですか?

2018年02月09日
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交通事故の重大な過失とはどういうことですか?
四輪車同士の出会い頭の事故で,相手の運転手は一時停止の規制があったにもかかわらずこっちを全く見ていませんでした。これは重大な過失ではないのですか?


重大な過失とは,故意にも匹敵するほど大きな過失のことです。
重大な過失があると,その当事者の過失割合が大きく上がります。出会い頭の衝突事故は,多かれ少なかれ,左右の確認がおろそかだったからこそ生じるのですから,本件のような事故で「こっちを全く見ていなかった」点を捉えて過失割合を修正させるのは困難です。





 重大な過失とは 



◆基本の過失割合と修正要素




交通事故が起こった場合,それぞれの当事者の過失割合を決定します。

交通事故の過失割合については,個々のケースにおける基本の割合が定められています。




ただ,交通事故は,事案によってさまざまな事情があります。このように,その事情によっては,基本の過失割合が修正されます。

たとえば,相手の著しい過失や重大な過失がある場合には,相手の過失割合が加算されます。

過失割合の修正の要因となる事情のことを,過失割合の「修正要素」といいます。







◆重大な過失とは



過失割合の修正要素の1つとして,重大な過失(重過失)があります。

重過失とは,故意にも匹敵するような,非常に大きな過失のことです。

相手に重過失がある場合には,基本の過失割合にプラスして,相手の過失割合が10〜20%程度,加算されます。







◆重大な過失の例




それでは,重大な過失としては,どのようなものが挙げられるのでしょうか?

たとえば,酒や薬物の影響により,正常な運転をすることができなかった場合や居眠り運転をしていた場合,無免許運転をしていた場合などに重過失が認められます。

時速30キロメートル以上の速度違反があった場合にも重過失があると考えられています。







◆著しい過失とは




一方,重大な過失にまでは達しないものの,その事故で通常想定される程度を超えるような過失があったとき,それを著しい過失として,過失割合の修正を行うことがあります。

たとえば,脇見運転等の著しい前方不注視,携帯電話で通話または画像を注視しながらの運転,著しいハンドル・ブレーキ操作不適切,時速15キロメートル以上の速度違反や酒気帯び運転などが挙げられています。

なお,脇見運転とは,ある程度継続して運転中に前方から視線を外している状態をいいます。
ただ,重過失よりは軽いので,加算される過失割合は,5〜10%程度です。







◆今回のケースでは




本件の「一時停止義務があるのにまったくこちらを見ていなかった」というのを脇見運転に当たると主張するのは厳しいです。

出会い頭衝突が生じるのは左右の安全不確認が原因であるのが通常でして,「こちらを全く見ていなかった」というのは通常想定されるような過失に含まれていると考えられます。

交通事故では,被害者と加害者の過失割合が非常に重要です。
相手の保険会社から主張されている過失割合に納得ができない場合には,一度,弁護士までご相談下さい。




▼参考記事
・過失割合について納得がいかないのですが,どうすればいいですか。
・交通事故の過失相殺とは
・相手保険から被害者の過失2割と主張されていた事例で,加害者車両のスピードが出ていたこと,事故現場の道路状況等を丁寧に説明し交渉の結果,被害者の過失1割で認められた解決事例




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私の勤務先の定年は65歳です。就労可能年数を67歳までとすることに問題はないのですか?

2018年02月08日
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私の勤務先の定年は65歳です。就労可能年数を67歳までとすることに問題はないのですか?

定年が65歳の勤務先であっても,基本的には,67歳までの分の逸失利益を請求することができます。ただし,定年後の基礎収入については,定年時の収入を減額したり賃金センサスの平均賃金を使って計算したりすることが多いです。




 逸失利益 : 就労可能年数 



◆逸失利益の計算方法




交通事故で後遺障害が残った場合や被害者が死亡した場合には,「逸失利益」を請求することができます。




逸失利益とは,後遺障害によって労働能力が低下するために得られなくなってしまった将来の収入(減収)のことです。

そして,逸失利益については,通常就労可能年齢までの分を請求することができます。

一般的に,就労可能年齢は67歳とされているので,基本的に,逸失利益は,67歳までの分を計算して請求することができるのです。







◆定年制がある場合にも67歳までの分を請求できる




それでは,被害者の勤務先で定年制が採用されていて,67歳よりも早く退職することになっている場合には,どのような取扱いになるのでしょうか?

今回のご相談のケースでも,65歳が定年となっていますが,65歳で退職するなら,その後67歳までの収入はないことになります。

そうであれば,就労可能年齢は65歳までとして計算すべきだとも思えます。




しかし,現在は65歳が定年の会社に勤めていても,将来別の会社に転職する可能性もありますし,会社の定年制度が変更になって,定年の年齢が延長される可能性もあります。

また,定年後も嘱託社員や再任用といった形でその会社に雇用され続けることも行われています。




そもそも,逸失利益という概念そのものが,いろいろな不確定な要素を含めたフィクションの性質を持っています。

そこで,結論的には,67歳よりも早い年齢での定年制が採用されていても,基本的にそれとは無関係に67歳までの逸失利益を請求することができます。







◆基礎収入は減額されることが多い




ただし,その場合においても,基礎収入をいくらにすべきか,という問題があります。

実際に65歳での定年制が採用されている場合には,65歳以降の収入がなくなったり再雇用になって大きく減少したりすることが多いからです。

そこでこのような場合,定年までは現実の収入を元に基礎収入を算定しますが,定年後は基礎収入を減額することもあります。

具体的には,賃金センサスの年齢別の平均賃金を使って計算をしたり,退職時の収入を何割か減額した金額を使って計算したりして,調整します。




以上のように,定年が67歳未満であっても(多くの場合はそうです。),基本的に67歳までの分の逸失利益を請求することが可能です。疑問や不安がある場合には,是非とも一度,ご相談下さい。




▼参考記事
・逸失利益の計算について
・交通事故の逸失利益
・逸失利益・就労可能年数について(裁判基準)




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日本弁護士連合会交通事故相談センターの手続とは,何を行っているのですか?

2018年02月07日
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日本弁護士連合会交通事故相談センターの手続とは,何を行っているのですか?

日本弁護士連合会交通事故相談センターは,交通事故ADRの1つです。被害者と加害者の示談あっせんや審査などを行っています。




 日本弁護士連合会交通事故相談センター



◆日本弁護士連合会交通事故相談センターとは




日本弁護士連合会交通事故相談センター(日弁連交通事故相談センター)とは,日本弁護士連合会が運営する交通事故ADRです。

ADRというのは,裁判外の紛争解決機関のことです。

ADRを使うと,裁判をしなくても,被害者と加害者の調整をして交通事故の賠償問題を解決できる可能性があります。




日弁連交通事故相談センターでは,交通事故トラブルについての相談をしたり,加害者と被害者の間の示談をあっせんしたり,審査をすることによって一定の解決方法を提示したりしてくれます。

日本全国に支部があるので,都合の良い場所でサービスを利用することができます(相談所は159か所)。この点は交通事故紛争処理センターと異なります。







◆相談




日弁連交通事故相談センターでは,交通事故の民事賠償問題についての相談をすることができます。

無料で電話相談をすることもできますし,センターの支部に行って面談で相談を受けることもできます。
相談を担当するのは,弁護士会に所属する弁護士です。







◆示談あっせん




さらに,センターに示談あっせんを申し込むことができます。

示談あっせんとは,担当弁護士が被害者と加害者の話合いを仲介し,調整を行う手続きです。

人身事故の場合ならどのようなケースでも示談あっせんを利用できますが,物損事故の場合には,一部の任意保険や共済が相手のケースでのみ,手続を利用できます。




示談あっせんを利用すると,センターの担当弁護士が話合いを取り持ってくれますし,担当弁護士から示談案の提示を受けられることも多いので,被害者に知識がなくても,加害者と対等に話を進めやすいです。

双方が示談案に合意したら,その内容に従って,加害者から賠償金の支払いを受けることができます。







◆審査請求




示談あっせんを受けても合意に至ることができない場合には,審査請求という方法で,解決を図ることができます。審査請求とは,センターの審査会に,解決方法を決定してもらう手続きです。

審査決定があると,加害者側はその内容に拘束されます。被害者は,不服があったら異議を出すことができ,その場合には審査内容は効力を失います。

一部の任意共済が相手の場合には,相手方任意共済は審査の結果を尊重しなければならないことになっています。




日弁連交通事故相談センターのサービスは,相談も示談あっせんも審査請求も,すべて無料です。

日弁連の交通事故相談センターを利用すると,弁護士基準に近い基準が適用されるので,賠償金が上がることも多いです。




交通事故トラブルで加害者との示談が進まないときには,利用を検討すると良いでしょう。迷われたときには,お気軽にご相談下さい。




▼参考記事
・交通事故問題解決の流れ
・動画でみる交通事故の解説
・当事務所の交通事故解決事例




▼よつば総合法律事務所 公式サイト

(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)
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