交通事故に遭い,高次脳機能障害で精神障害者保健福祉手帳を申請する際に,条件などあるのでしょうか?

2017年08月22日
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交通事故に遭い,高次脳機能障害で精神障害者保健福祉手帳を申請する際に,条件などあるのでしょうか?

高次脳機能障害で精神障害者保健福祉手帳を申請する場合は,初診日から6カ月以上経過していなければなりません。




 精神障害者保健福祉手帳の申請から認定まで 



◆精神障害者保健福祉手帳の認定を受けるまでの流れ


精神障害者保健福祉手帳の申請用紙は,市町村役場の障害福祉担当窓口にあります。

申請の際に必要なものは以下の通りです。


・精神障害者保健福祉手帳用診断書

 (初診日から6カ月以降に医療機関で作成され,作成日が申請日から3カ月以内のもの)

・精神障害による障害年金,もしくは特別障害給付金を受給している場合は年金証書の写し

・本人写真 (申請日から1年以内に撮影したもの  縦4cm横3cm)

・個人番号(マイナンバー)など身元確認のできる書類





◆精神障害者保健福祉手帳を申請する際に注意すべき点は?


・初診日に注意する


精神障害者保健福祉手帳は,初診日(精神疾患があると診断された日)から6カ月以上経過しないと申請できません。

初診日を間違えると申請をやり直さなければならないので,初診日の確認は念入りに行ってください。


・精神障害者保健福祉手帳用の診断書作成に慣れている医師に診断書を作成してもらう


高次脳機能障害,および精神疾患に関する知識が豊富な医師に,診断書作成を依頼すると良いでしょう。発病から初診,障害認定日,現在に至るまでの経緯を医師が理解していることが大事です。




交通事故で高次脳機能障害を発病してから転院した患者さんは,診断書を作成する医師にそれまでの経過をていねいに説明しましょう。就労状況の申立書には,事実に基づき、就労面での困難さを書きます。

精神障害者保健福祉手帳用の診断書作成にあたっては,どの診療科目の医師が作成するか指定はありません。一般には,精神科の医師が作成しますが,高次脳機能障害の治療に当たった脳外科,神経内科,脳神経外科,リハビリテーション担当の医師が作成することも可能です。







◆精神障害者保健福祉手帳を受けた後で注意すべき点は?


精神障害者保健福祉手帳の有効期間は2年なので,2年ごとに更新手続き
をしなければなりません。

更新手続きは,手帳の期限が切れる3カ月前からできます。
更新手続きの際には,新規申請のときと同様の書類および,現在交付されている手帳の写しが必要です。




精神障害者保健福祉手帳の有効期限内に精神障害の状態が悪化した場合は,障害等級変更の申請が可能です。障害年金の等級が変更となったりした場合も,障害等級変更を申請できます。

その反対に,精神障害の状態が改善した場合は,診断書の内容によっては,精神障害者保健福祉手帳の等級が下がる可能性があります。







◆精神障害者保健福祉手帳と障害年金どちらを先に申請すべき?


精神障害者保健福祉手帳と,障害年金のどちらを先に申請するか決まりはありません。

ただ,障害年金は65歳になった後は原則として受給資格がないので,もうすぐ65歳になる方は,障害年金の申請を先に検討すると良いでしょう。




▼参考記事
・高次脳機能障害の案件を裁判で解決するメリットは何ですか。
・市などによる障害福祉サービスにはどのようなものがありますか。
・高次脳機能障害を負われた方の解決事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故で高次脳機能障害を発症しました。精神障害者保健福祉手帳はどういう症状だと申請できますか?

2017年08月21日
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交通事故で高次脳機能障害を発症しました。精神障害者保健福祉手帳はどのような状態だと申請できるのでしょうか?

交通事故で高次脳機能障害になり,後遺症で精神症状が残った場合は,精神障害者保健福祉手帳の申請ができます。




 高次脳機能障害:精神障害者保健福祉手帳 



◆精神障害者保健福祉手帳とは?


精神障害者保健福祉手帳とは,なんらかの精神障害のために長期間,日常生活または社会生活に制約がある人に交付される手帳です。


交通事故で高次脳機能障害になり,精神疾患を発病した場合は申請が可能です。





精神障害者保健福祉手帳は1級から3級まであり,認定の条件は以下の通りです。

【1級】
精神障害であって,日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。
すなわち,認知障害,人格の変化,その他の精神神経症状が高度でかつ著明のため,常時の援助が必要な状態を指します。


【2級】

精神障害であって,日常生活が著しい制限を受けるか,又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。すなわち,認知障害,人格の変化,その他の精神神経症状のため,援助が必要な状態を指します。


【3級】

精神障害であって,日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの。すなわち,認知障害のため,労働が著しい制限を受ける場合や,その他の精神神経症状により労働が制限される状態を指します。





◆精神障害者保健福祉手帳により受けられる福祉サービス


地方自治体では,自治体が運営する交通機関の運賃減免や公共施設等の利用料減免,地方公共団体が運営する公営住宅への入居優先,地域の施設の使用割引などのサービスを行っています。


一部の民間の鉄道事業者やバス運行会社は,精神障害者保健福祉手帳による割引制度を行っています。
その他,税制上の様々な控除を受けられます。







◆精神障害者保健福祉手帳と障害年金


高次脳機能障害で精神障害がある人は,障害年金の申請ができますが,障害年金と精神障害者保健福祉手帳は別の制度なので,申請窓口が異なりますし,審査はそれぞれ別の機関が行います。

すなわち,精神障害者保健福祉手帳の等級と障害年金の等級が必ずしも一致するとは限りません。精神障害者保健福祉手帳1級はおおむね障害年金1級,精神障害者保健福祉手帳2級はおおむね障害年金2級に該当します。

障害年金受給に関しての相談は,精神障害の原因である高次脳機能障害の初診日に加入していた年金の種類によって異なります。




厚生年金加入者,国民年金被保険者第三号の方は,年金事務所または年金相談センターに相談します。
国民年金加入者は,居住地の自治体の国民年金課または年金事務所か年金相談センターに相談共済年金加入者は,共済組合に相談します。

受給資格を確認する際には,精神疾患を発症した時期,受診歴などを問われるので,ご自分で障害年金を申請する場合は,入通院の記録を持参するようにします。




▼参考記事
・市などによる障害福祉サービスにはどのようなものがありますか?
・高次脳機能障害を負われた方の解決事例
・高次脳機能障害と家族の会




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)




交通事故による高次脳機能障害で,障害者手帳は申請できますか?

2017年08月10日
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交通事故による高次脳機能障害で,障害者手帳は申請できますか?

交通事故で高次脳機能障害になり精神的面で後遺症が残った場合は、精神障害者保健福祉手帳の申請ができます。




 高次脳機能障害:障害者手帳 


◆高次脳機能障害と障害者手帳



交通事故などで脳を損傷したことが原因で発症する高次脳機能障害は,様々な後遺症を伴います。


一般に後遺症は,体の一部が不自由になる「体の問題」,性格や気質の変化など「心の問題」,知的機能の低下による「知能の問題」の3種類に大別できます。
いずれかの障害者と認定されると,行政が行っている福祉制度を受けることができます。体の問題による障害者には,身体障害者手帳心の問題による障害者には,精神障害者保健福祉手帳が発行されます。




脳が正しく機能しない場合,「心」と「知能」に問題が現れます。

知能の問題を持つ人には療育手帳が発行されますが,知的機能の障害がおおむね18歳までの発育期に現れた場合に発行される手帳なので,成人が高次脳機能障害により知能が低下しても,療育手帳の対象にはなりません。

すなわち,高次脳機能障害の患者さんに該当する障害者手帳は,精神障害者保健福祉手帳です。

ただし,高次脳機能障害を発症し,かつ交通事故の後遺症で手足が不自由になったり,視覚,聴覚,言語音声,平衡機能,内臓や免疫機能に障害が現れた場合は,身体障害者手帳の申請が可能です。

高次脳機能障害の症状のひとつである失語症によって言語の機能に障害が残る場合は,身体障害者手帳の申請を検討します。

精神障害者保健福祉手帳と身体障害者手帳を申請し,いずれの手帳も発行が認められた場合,1人で2種類の手帳を保有することになります。










◆高次脳機能障害の症状と精神障害者保健福祉手帳


高次脳機能障害による精神面の後遺症は以下に述べます。

なお,これらの症状のうちいずれかが現れたからといって,必ずしも精神障害者保健福祉手帳の発行が認められるとは限りません。

【社会的行動障害】
感情面で別人格のようになります。
怒りっぽくなる,すぐ泣き出す,感情の起伏が激しくなるケースもあれば,逆に感情の変化に乏しく周囲に無関心になるケースもあります。


【注意障害】

注意が持続しないので,行動に一貫性がなくなり,仕事を与えても長続きしません。


【遂行機能障害】

外出して必要なものを買って帰るといった複数の行動の組み合わせが困難になります。
計画を立てて実行に移すことができず,思いつきで行動します。


【記憶障害】

新しいことが覚えられない記憶障害(前向性健忘)と,昔のことが思い出せない記憶障害(逆向性健忘)があります。


本人が自覚していないが,上記のような症状が現れていることも少なくありません。

交通事故に遭い家族の性格が一変した,態度やしゃべり方がおかしいというような変化が見受けられる場合は,専門医の診察を受けることをお勧めします。




▼参考記事
・市などによる障害福祉サービスにはどのようなものがありますか?
・高次脳機能障害者の家族を支援する制度にはどのようなものがありますか?
・高次脳機能障害とは






(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故で高次脳機能障害になったことに後で気付きました。今後の生活で何か影響はでるのでしょうか?

2017年08月09日
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交通事故で高次脳機能障害になったことに後で気付きました。今後の生活で何か影響はでるのでしょうか?

交通事故で高次脳機能障害になっても、きちんと検査を受けなければ発症したことに気付かないことがあるので注意が必要です。怪我をしてからできるだけ早い時期にリハビリテーションを開始することで、その後の症状の程度が軽くなります。




 高次脳機能障害:早期発見の重要性 



◆発症していても見過ごされることがある


交通事故に遭って怪我をして,以前のような健康な体を取り戻せなければ,事故と後遺症の因果関係を認めてもらえると思いがちです。

しかし,意外にも高次脳機能障害は,発症しているにもかかわらず症状の現れ方によっては,発病に気付かず見過ごされてしまうこともあるのです。




高次脳機能障害は,脳の損傷は不可逆的でもとに戻らないため,傷つける前は正常に働いていた脳が,交通事故による衝撃で部分的に破壊され,これまでのように機能しなくなるために起こる病気です。脳のどの部分をどの程度損傷したかによって,症状の出方は変わってきます。

さらに,怪我をしてからできるだけ早い時期にリハビリテーションを開始することで,その後の症状の程度が軽くなります。

その反対に,怪我をした当初,高次脳機能障害であることを認識せず,適切なリハビリテーションを積極的に受けなかった場合は,後でさまざまな後遺障害に悩まされる可能性があります。


今回は,高次脳機能障害を発症していることに気付かなかったため,後で大変な苦労をしたケースをご紹介します。







◆体調の異変は退院後に起きた


Jさん(40歳男性)は,人身事故が原因で2週間入院し,その後職場復帰しました。

車にはねられて頭を打ち,交通事故直後は意識がもうろうとしていましたが,レントゲン検査の結果,特に異常は見つからず,退院が許可されました。Jさんは当時,大きな商談をまとめるために奔走しており体調に不安もなかったので,仕事を再開できることを喜んでいました。

交通事故で受けた損害賠償問題に時間を割かれるのが惜しくJさんは相手方の保険会社が提案する金額で和解することに同意し,あとは書類を正式に作成すれば示談が成立するところまで話が進んでいました。

しかし,仕事を再開したJさんの体に異変が起きたのです。




得意先の会社を訪問して商談後,ちょうど昼時だったので得意先の社員を昼食に招待し,おいしいと評判の焼肉ランチに行った時のことです。

Jさんは,肉の焼き方や食べ方が気になってしかたなく,いちいち「その肉は私が食べるつもりだったのに」「食べるのが遅いからあなたの分の肉が焦げてしまったじゃないか」など,終始文句のオンパレード,しかも冗談半分ではなく,叱責するかのような口調です。

これには,取引先の社員も驚きました。以前のJさんは,明朗快活な好男子で,得意先の人に命令したり文句を言うようなことはありませんでした。




実は,Jさんの性格の変化は,高次脳機能障害によるものでした。

空気を読まず言いたいことをずばっと言う,すぐ怒り出すなどの態度は,Jさんの所属する会社でもやがて評判になりました。上司がJさんに病院を再受診して精密検査を受けるよう助言し,MRI検査で詳しく調べたところ,高次脳機能障害と診断されました。

Jさんは,示談成立寸前で和解を取りやめ,治療を継続することにしました。




高次脳機能障害が疑われるときは,初期に精密検査を受けることの重要性がお分かりだと思います。




▼参考記事
・高次脳機能障害の症状に気付くにはどのようにすればよいですか?
・【交通事故における頭部外傷】その1 頭部の構造
・【交通事故における頭部外傷】その3 傷病名




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故で高次脳機能障害になった脳は回復しますか?

2017年08月08日
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交通事故で高次脳機能障害になった脳は回復しますか?

いったん損傷した脳の組織はもとに戻りませんが,リハビリテーションで適度な負荷をかけることで周辺組織が発達し,失われた脳機能がある程度回復する可能性があります。




 脳の回復 


◆高次の脳機能って何?



日本における高次脳機能障害という病気に関する認知度は,まだ低いのが現状です。


そもそも,そのような病名を知らなかったという人も多く,病名を聞いても,どのような病気かイメージできないという声が多く聞かれます。


それも無理のない話で,高次脳機能障害の症状は多種多様で,「このような症状が出たら高次脳機能障害です」と断定できるような単純な病気ではありません。



しかし,病気について理解するヒントとなる単語が病名に交じっています。

高次という言葉で,何を想像しますか?よりむずかしいこと,よりスゴイこと,,,,そうです。
通常よりもさらに上のランクのことを遂行する脳の働きが「高次脳機能」なのです。

このような脳の機能は,進化した知能の高い生き物である人間が獲得したものす。
高次脳機能は,人間が人間であるべき姿を保つ機能にほかなりません。

人間以外の生き物にも脳はあり,脳が出す指令によって生命体のホメオタシス(恒常性)を保っています。しかし,高次の脳の指令による学習,記憶,感情表現などを行うことができるのは人間だけです。

高次脳機能障害は,人間を人間たらしめる能力の一部を失いかける病気と言うこともできます。







◆脳の損傷は治る?


では,高次脳機能障害になった人は,人間性の一部を失って,もとの自分に戻ることはできないのでしょうか?

長年に渡って,脳を傷付けると,絶対に治らないと信じられてきました。確かに,破壊された脳細胞は蘇生しません。そのため,脳の一部が壊れたら,一生そのままだと長い間信じられてきました。




しかし,近年になって別の意見が生まれました。

脳の一部が損傷しても,その周辺の組織が増殖して,失われた機能を補おうとする能力が人間の脳には備わっている,そのような考えが生まれたのです。

だとすれば,交通事故などで脳の一部が傷つけられても,周辺の組織が損傷した部位の代替となれば,脳の障害は軽減します。ただ,研究によれば,失われた機能を補おうとするような代替組織ができるようになるには,脳を十分活性化しなければならない,つまりリハビリテーションによる脳のトレーニングが必要になります。

リハビリテーションというと,歩いたり腕を屈伸したりするイメージがありますが,高次脳機能障害におけるリハビリテーションは,脳のトレーニングを行います。脳に適度な負荷を与えることにより,失われた機能を補おうとするのです。

高次脳機能障害と診断されたら,できる限り早い段階でリハビリテーションを開始すると,より効果が期待できます。




頭を打つような怪我をした場合,絶対安静というイメージがありますが,長期間過ごしてからリハビリテーションを初めると,リハビリテーションの効果が十分現れないので,発病したら医療チームと相談して,できる限り早期にリハビリテーションを始めて脳に適度な負荷を与えましょう。




▼参考記事
・「臭いが分からなくなった!?」〜頭部外傷と嗅覚障害〜
・高次脳機能障害を負われた方の解決事例
・高次脳機能障害の後遺障害の認定基準




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故が原因で高次脳機能障害を発症しました。職場復帰における問題点は何ですか?

2017年08月07日
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交通事故が原因で高次脳機能障害を発症しました。職場復帰における問題点は何ですか?

高次脳機能障害の人が職場に復帰する場合は、会社側が医療チームと面談して受け入れる環境づくりをすることが求められます。




 高次脳機能障害:職場復帰の問題点 


◆病気に対する理解度が低い



高次脳機能障害は,交通事故などが原因で脳の組織の一部が物理的に傷付けられたことにより,脳が正常に機能しなくなって起こる病気です。

脳組織が損傷していることは,患者さんの外見からはわからない
ので,その人が高次脳機能障害に罹患しているかどうかを知ることは非常にむずかしく,時には病気であっても診断が付かず,高次脳機能障害であることを本人も周囲の人も知らずに過ごすことすらあります。




高次脳機能障害になると,健常時と比較して,動作がぎこちなくなる,話の仕方が普通ではない,記憶力が悪くなる,性格が変わるなどの症状が現れます。

一方,これらの症状は必ずしも高次脳機能障害に特有で必ず現れるわけではなく,症状が目立たなかったり,一部の症状だけが突出して目立つなど,個人差が大きいのが特徴です。

高次脳機能障害は,それぞれの患者さんで症状が異なる病気と言えるでしょう。
その理由は,症状の現れ方は,脳のどの部分をどの程度損傷したかによって変わってくるからです。




重篤な高次脳機能障害の場合は,はたから見て病気にかかっていることがはっきりわかりますが,軽度の障害の場合は,気質の変化,能力の低下などと間違えられてしまうことが多いのです。

それゆえ,高次脳機能障害と診断された人が,退院した後も,周囲の偏見によって社会復帰が思うようにいかないケースが少なくありません。




高次脳機能障害の人が,退院後,仕事を再開すると次のような印象を周囲に与えることがあります。

「人の意見をまったく聞こうとせず、反対意見を述べようとするとすぐ怒るようになった。」
「簡単な仕事をミスするようになり、重要な仕事を任せられない」
「仕事を頼んでも忘れてほったらかしにするので、信頼できない」
「物覚えがすこぶる悪い」
「昔のことは覚えているのに新しい顧客の名前と顔を覚えられない」


これらは高次脳機能障害に典型的な症状です。本人は,精いっぱい努力しているものの,脳の機能が変化したので,以前とはふるまいや感情,表現力,記憶力が変わっているのです。







◆職場における病気への理解が不可欠


高次脳機能障害の人が職場にいる場合は,病気に対する理解を深めなければ,組織にあつれきが生じ,仕事に支障が生じます。

会社側は,高次脳機能障害に関して理解をして,どのような環境を整えれば,高次脳機能障害であっても仕事に手腕を発揮できるか考える必要があります。

もっとも理想的なのは,会社側の担当者が治療チームと面談して,配慮すべき点や職場の環境づくりについての知識を得ることです。

ソーシャルワーカーやリハビリテーションを担当したセラピストに職場における注意事項を教えてもらい,病気の影響を最小限に留める工夫をすれば,高次脳機能障害であってもその人ならではの能力を発揮して,社会で活躍できるのです。




▼参考記事
・仕事を再度始めたいと考えていますが,どのように始めればよいですか?
・社会復帰のために誰に相談すればよいでしょうか。
・高次脳機能障害の症状に気付くには,どのようにすればよいですか。




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故の損害賠償金で,高次脳機能障害の治療に専念することはできますか?

2017年08月04日
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交通事故の損害賠償金で,高次脳機能障害の治療に専念することはできますか?

高次脳機能障害は,生涯に渡ってリハビリテーションや投薬などの費用が発生する後遺障害です。交通事故の損害賠償金は,治療費をカバーできる正当な金額を請求しましょう。




 高次脳機能障害:損害賠償金 


◆高次脳機能障害になったあとの生活は?


頭部を強打して脳を損傷したことが原因で,発症するのが高次脳機能障害です。

原因は,交通事故やスポーツ時の接触,職場における事故などが挙げられますが,交通事故による発症がずば抜けて多い病気です。


高次脳機能障害は,完治の見込みがないのでいったん罹患すると,一生病気と向き合わなければいけません。


完治しないといっても,症状を緩和するためにリハビリテーションを継続する,症状を抑えるために必要な服薬など,罹病する前は必要としなかった出費を余儀なくされます。
さらに,退院後,社会復帰できたとしても,交通事故に遭う以前に就労していた業務をこなす能力が失われ,転職を余儀なくされる場合もあります。


その結果,収入が減り,加療のための出費とあいまって生活が困窮することもあります。








◆高次脳機能障害の賠償金


交通事故に遭い,高次脳機能障害と診断された場合は,加療のために生涯に渡って様々な出費が必要になることを考慮して,賠償金の計算をする必要があります。

賠償金額の算定には,専門的な知識が必要ですが,高次脳機能障害に詳しい弁護士と相談することにより,相応の損害賠償金額が明確になり,自信を持って相手方と交渉できます。

被害者の立場になったがゆえに,生活の質を落とさざるを得ないなどとういうことがあってはなりません。

示談交渉を開始するまでは,保険会社の立て替え払いで治療費を支払い,示談交渉開始後は,被害者の健康保険を使いつつ,後遺症により今後も治療費が発生することを考慮した賠償金を提案するべき
なのです。







◆後遺症を詐病と疑われないために


一般的な病気,すなわち発熱や喘鳴,虚弱体質などと違って,高次脳機能障害は外見上は健常者と変わらないので,病に人に対する配慮を受けにくいという問題もあります。

それゆえ,保険会社と示談交渉する際,高次脳機能障害を発症していること自体,否定的にとらえられることがあります。保険会社は,後遺症がなければ支払う保険金が少なくて済みますし,後遺症があっても,より軽度の障害であれば,計算式に基づいてより安い保険金を支払うことにより,保険会社としての義務をまっとうできます。

つまり,保険会社はできれば高次脳機能障害を認めたくないのです。




被害者と利益があい反する保険会社と対抗するには,弁護士を代理人に指定して交渉を一任することをご検討ください。

被害者である患者さんご自身が交渉にあたると,ともすれば感情的にならざるを得ませんが,弁護士が交渉することにより,専門知識を駆使して話し合いを進められるので,より被害者に有利な条件での和解成立が期待できます。




▼参考記事
・被害に遭われた方々の将来を考える
・弁護士が入ると損害賠償額が上がる!
・高次脳機能障害の解決事例〜将来治療費が認定された事例〜




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

軽度の交通事故でも高次脳機能障害になることはありますか?

2017年08月03日
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軽度の交通事故でも高次脳機能障害になることはありますか?

交通事故で頭を打ったら,事故の直後は症状がなくても高次脳機能障害を発症している可能性があるので,軽く考えずに詳しい検査を受けましょう。




 軽度な交通事故でも,高次脳機能障害は発症する 


◆軽く考えていた怪我だったのに,,,


たった数秒のできごとで人生が変わる・それが交通事故です。

Uさんは,アルバイトをしている居酒屋から自転車で帰宅する途中で,車にはねられました。薄暗い住宅街の十字路で,Uさんは,一次停止の標識を無視して走ってきた車と衝突したのです。




Uさんは,倒れたまま,しばらくぼうっとしていました。頭を打ったので,意識が遠のいていたのです。

車の運転者が警察を呼び,Uさんは救急病院で診察してもらうことになりました。病院に着いた頃には,Uさんの意識ははっきりしており、記憶も正常でした。身体のどこも痛いところはありません。一応,頭部のレントゲンは撮ったものの,帰宅して良いとのことで,Uさんは入院せず家に帰ることができました。

事故に遭ったのは運が悪かったが,怪我が軽かったのは不幸中の幸い・・Uさんは,その程度にしか怪我のことを考えていませんでした。念のため,会社に連絡して翌日は会社を休むことにしました。

しかし,家で安静にしていたその日に異変が起こったのです。







◆歯ブラシの使い方がわからない


怪我をした翌日,仕事を休むとはいえ身に付いた習慣で,いつも通り朝7時に起きたUさんですが,今日はのんびり過ごそうと思っていました。

顔を洗って歯を磨いて,着替えをしたら録画していた映画でも見よう・・そう思ったUさんですが,歯ブラシを右手で持って違和感を覚えました。

どうやって使うものだったか思い出せない・・そういえば,洗面所にある品々の使い道も定かではない・・はたから見れば,ひげそり,ヘアトニック,石鹸など,ごく日常的な品々ですが,Uさんは道具や物品の使い方に関する記憶が薄れてしまったのです。




これは,高次脳機能障害に良くある典型的な記憶障害です。

ハサミという単語はわかるが,ハサミをどう使うかわからない。ヘアブラシを持つと,髪をとかさずテーブルの上をこするなど,道具を誤って使用するか,使い方がまったくわからず使用できません。

Uさんは,頭を打って脳の一部を損傷し,高次脳機能障害を発症していたのです。







◆頭を打ったら軽く考えない


頭部の打撲は,平癒することもありますが,脳の一部が損傷して重篤な後遺障害が残ることがあります。

特に,高次脳機能障害は,記憶・視覚・聴覚・読字・人格など,その人のパーソナリティを決定するあらゆる分野に影響を及ぼす後遺障害です。

Uさんは,自分の意識が正常ではないことに気づき,すぐ脳神経外科の専門病院を受診し,その日のうちに入院しました。高次脳機能障害を発症した場合,早く治療を開始するほど予後が良いため,Uさんが体調の異変に気付いてすぐ入院したのは,Uさんにとって良いことでした。


もし,入院せずにいたら,症状が悪化していた可能性があります。
頭を打ったら,時間との勝負だと思い,できる限り早く専門医の診察を受けることをお勧めします。







▼参考記事
・交通事故と治療Q&A「交通事故の数日後に痛みが出てきた場合,どうすれば良いでしょうか?」
・高次脳機能障害を負われた方の解決事例
・交通事故においての医師との関わり(よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」)




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故で高次脳機能障害を発症しました。治療と示談の板挟みで,これからどうすれば良いのでしょうか?

2017年08月02日
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交通事故で高次脳機能障害を発症しました。治療と示談の板挟みで,これからどうすれば良いのでしょうか?

交通事故により高次脳機能障害を発症すると,加療と示談交渉の板挟みで精神的に追い詰められます。弁護士に示談交渉を一任するなどして,治療に専念しましょう。




 高次脳機能障害での治療と示談 


◆その怪我は完治の見込みがない!


Dさんは,駅前の交差点で信号が青に変わるのを見て横断歩道を渡り始めましたが,黄色信号から赤信号に変わった反対車線から猛スピードで車が走ってきた車にはねられ,意識不明の状態のまま救急搬送されました。

怪我をするというだけで,精神的,肉体的に非常につらい思いをすることはむろんですが,Dさんには,さらなる試練が待ち受けていました。




Dさんは頭部を強打したことにより,脳組織の一部が損傷し,高次脳機能障害と診断されたことです。脳は,ひとたび壊れると再生しないというのが,現代医学における見解です。

つまり,Dさんの怪我は,痛みがあるなしにかかわらず,生きている限り完治する見込みがないのです。一般に治る見込みがない怪我は,後遺障害,後遺症などと呼ばれます。

足が不自由で歩行に支障をきたすような場合は,はたからみても、その人に障害があることがわかります。しかし,外見からは異常が認められないのが,高次脳機能障害の特徴です。

頭に打撲傷を受けた当時は,多少の擦過傷や出血などの外傷が認められることもありますが,やがて外傷が治れば,怪我などしていない健康な人のように見えるのです。




Dさんは,怪我の影響で記憶障害を発症し,仕事を辞めざるを得なくなりました。










◆次の難関は保険会社との交渉


完治しない病気であるにもかかわらず,見た目は健康そのもの・・高次脳機能障害になったDさんは,後遺障害があることを証明するために,非常な苦労をすることになりました。

Dさんは,人身事故の被害者として自動車保険会社の担当者と示談交渉をすることになりましたが,後遺障害を認めてもらうことがどれほど大変かということは,当事者になって初めてわかることだと思いました。




交通事故で被害者になり,相手方が任意自動車保険に加入している場合,治療にめどがついたら示談交渉を開始します。

しかし,Dさんは完治の見込みがない高次脳機能障害なので,完治を目標に治療を続けることは不可能です。

Dさんは,後遺障害の認定を受け,後遺障害が認められ,後遺障害等級を確定させることにより,障害等級に応じた損害賠償金を加害者に請求するつもりでした。

しかし,保険会社は,高次脳機能障害について否定的で,「後遺障害があると主張しているが,普通に生活している」「日常会話が滞りなくできるのに記憶障害があるとは思えない」などと,Dさんの高次脳機能障害についてことごとく反論してきます。










◆後遺障害をみとめてもらう最短・最速の方法 それは


Dさんは,自分だけで保険会社と交渉することに限界を感じ,高次脳機能障害に対する無理解に怒りを覚え,加害者との交渉を弁護士に一任することにしました。

弁護士費用は発生するものの,精神的な安堵感と交渉に費やす時間のロスを考えれば,計り知れないメリットがあります。

Dさんが全権委任した弁護士は,その後,粘り強く保険会社と交渉して,Dさんが予想していた金額を大きく上回る損害賠償金を保険会社が支払うことで和解が成立しました。

Dさんは、受け取った保険金を生活費に充てながら,社会復帰を念頭に高次脳機能障害のリハビリに専念しています。




▼参考記事
・交通事故と示談交渉のポイントについて
・弁護士に相談,依頼することのメリットを改めて考えてみると
・交通事故で怪我をした場合,いつ弁護士に相談すべきか?
・絶対失敗しない事務所の選び方




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故が原因で,高次脳機能障害になった夫と上手く会話するコツはありますか?

2017年08月01日
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交通事故が原因で,高次脳機能障害になった夫と上手く会話するコツはありますか?

高次脳機能障害の家族による理不尽な言動に困らされても,いったんは相手を肯定した上でさりげなくこちらの意見を伝えることで,人格を尊重しつつ感情爆発を防げます。




 高次脳機能障害患者と家族 


◆今までどおりの会話は通じない


夫が交通事故で頭を激しく打ったことが原因で,高次脳機能障害になりました。

それまで高次脳機能障害という病名を聞いたことがなかったので,とりあえず脳に関する病気だということだけはわかりましたが,それ以外のことは医師の説明を聞いてもなかなか理解できませんでした。




でも,一つだけはっきりしていることがありました。
それは,高次脳機能障害になる前となった後で,夫のふるまいやしゃべり方がガラッと変わったことです。

あまり無駄口を聞かず,必要なことだけしゃべっていたのに,交通事故に遭ってからというもの,やたらとペラペラしゃべります。しかも,話題が次から次へと変わって付いていくのが大変です。

その上,会話に疲れて私が黙り込むと,無視されたと怒り出すので,相手をするのが大変です。
かといって,私が問いかけると,質問に対してほとんど何も考えずに適当な答えをするのです。




後になって,これらの症状は高次脳機能障害に特有な感情の障害で,原因は前頭葉の損傷によるものだと判明しました。

夫の人格が激変したのではなく,前頭葉に傷が付いたので以前と性格が変わったのだと思うようにして,夫の今の人格を受け入れるように努めました。







◆高次脳機能障害患者の家族は心理学の達人


私が特に気を付けたのは,夫の言動に対して真向から否定的な態度を取らないということです。

何をしゃべってるのかわからないとか,話し方がおかしいよなどと,夫がすることを否定すると夫の感情が高ぶって,さらにおかしな行動を誘発しかねないということが,私が失敗を重ねた上に学んだ教訓です。

そうだね,その通りだね。と相づちを打って相手を肯定する。その後で,それならこういう考えもあるね,質問に対する答えをもっと聞かせてほしいなどと,会話をより深めていくよう努めます。

相手の言動を否定しないことで,激しい感情の起伏が起きるのを防ぐように努めたのです。




これは心理学の応用だそうですが,高次脳機能障害患者の家族は,毎日のように心理学を実践していると言えるかもしれませんね。

むろん,私もごく普通の人間ですから,時には夫の理不尽なものの言いように腹が立つこともあります。そういう時は,10・9・8・・と1まで逆に数えることで自分の気持ちをなだめました。

これは、夫が入院している時にリハビリテーションを担当していたセラピストから教わったテクニックです。

ささやかな体験ですが、高次脳機能障害がご家族にいる方の参考になれば幸いです。




▼参考記事
・高次脳機能障害と家族の会
・高次脳機能障害の後遺障害の認定基準
・高次脳機能障害を負われた方の解決事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)
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