交通事故で高次脳機能障害になっても本人が病気を否定したらどうしたら良いのでしょうか?

2018年04月09日
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交通事故で高次脳機能障害になっても本人が病気を否定したらどうしたら良いのでしょうか?

交通事故で高次脳機能障害になっても病気である自覚のない患者さんに対しては、家族が病気を理解して継続した治療とリハビリテーションを支援していきましょう。





 高次脳機能障害 : 本人が病気を否定 




◆患者本人の否認が障害の診断確定を妨げることもある




交通事故などの外傷で高次脳機能障害を発症した患者さん自身が、
自覚症状を訴えないことがありますが、だからといって「後遺症が残らずに治って良かった」と安心するのは早すぎます。


なぜなら、高次脳機能障害になった人は、自分が病気であると気づかないでいることが多いのです。
そのため、事故に遭った前と後で、人格が一変した、言動がおかしい、物忘れがひどくなったなどの異変に気付いてくれるような人が身近にいない場合、高次脳機能障害の診断を受けるのが遅れることがあります。



しかし、高次脳機能障害は、早期に病気を発見して治療を開始することが非常に重要なのです。

高次脳機能障害を、急性期と慢性期、維持期に分けて考えましょう。

急性期とは、病気の進行が進み、専門医による治療が必要な時期です。
逆にとらえれば、機能障害が進行する急性期に適切な治療を受ければ、後遺症が軽くて済む可能性があるのです。


急性期の患者さんが、自身の病気を否定し、治療を受けないがために重度の後遺症が残ったら、家族は悔やんでも悔やみきれないでしょう。

自覚症状が特になくても、高次脳機能障害を発症していないかどうか、早急に専門医に診断してもらいましょう。









◆病気に対する家族の理解が症状回復への鍵




高次脳機能障害を発症した本人が、なんともない、大丈夫、もうすっかり良くなったなどの発言を繰り返しても、周囲の家族が病状に気付いた場合は、メモを取るなどの記録を取って、医療機関に病状を説明できるようにしましょう。

患者さん自身から自覚症状を聞きとりできないのですから、家族の観察が、診断を手助けしてくれます。

同時に、患者さんの家族は、高次脳機能障害という病気をより深く知ることによって、以前は気付かなったわずかな異変や、もしかするとこれも病気のせいかもしれないといった日々の心身の状態変化に気付きやすくなります。




病気を否定する高次脳機能障害の患者さんを、あなたは病気ですと無理やり説得しようとしても、反発を招くばかりか、家族関係を悪化させることにもなりかねません。

家族の理解と、治療およびリハビリテーションが、患者さんの心身をより良い状態にしていくのです。



そうなるまでに、長い時間がかかるかもしれませんが、あきらめずに、地方自治体による福祉制度の活用なども検討して、治療の道を探りましょう。






▼参考記事
・高次脳機能障害でリハビリテーションが重要と言われる根拠はなんですか?
・交通事故で高次脳機能障害になった人の症状が千差万別なのは,どうしてですか?
・高次脳機能障害を負われた方の解決事例

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(よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

家族が交通事故で高次脳機能障害になりました。気持ちの整理をつけるにはどうすればよいでしょうか?

2018年04月06日
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家族が交通事故で高次脳機能障害になりました。気持ちの整理をつけるにはどうすればよいでしょうか?

交通事故で高次脳機能障害になって後遺症が残った人の家族は、ショックを受け、悲しみや怒りの時期を乗り越えて障害を受容していく道のりを歩みます。
まずは高次脳機能障害への知識を深めることが大事です。






 高次脳機能障害 : 家族の気持ち 




◆本人に病気の自覚がないために家族が感じるつらさ




高次脳機能障害になった患者さんは、自分が病気だと自覚している人と、病気であることがわからない、もしくは認めようとしない人がいます。

病気であることを患者本人が理解していないことを
「病識がない」と言います。




高次脳機能障害が原因の様々な身体機能の変化を、本人は年相応の変化だとか、以前からこうだったと思い込み、病気のせいであるとは思わない一方で、
怪我が原因で病状が現れていることが、家族からしてみれば明らかというケースがとても多いのです。




ある日、家族が交通事故で怪我をしたばかりか、完治する見込みのない高次脳機能障害というという病気を発症しているので後遺障害が残ると宣告されたら、あなたはどのような気持ちになるでしょう?

ドローターという学者は、障害者の家族の心理を5段階に分けて障害の受容を表しています。

受容とは、現実を受け入れるという意味です。
この理論は、先天性障害を持って生まれた子どもに対する親の心理的反応を分析するために表されたものですが、それにとどまらずに、障害の受け止め方のモデルとして知られています。




突然、障害を持つようになっても、その事実に冷静に対処できる人はほとんどいないと言ってよいでしょう。

むしろ、身体機能も性格も以前とは別人のようになった家族を支えていかなければいけないという重い現実を受け止めきれずに混乱します。


これが障害受容の最初の段階、「ショック期」です。




つぎに生まれる感情が悲しみと怒りです。

あの時、あの道を歩いていなければ、もう少し早く家を出ていれば、事故に遭わなかったかもしれない・・
不運に対する絶望、加害者への怒り・・

これが、ショック期の次に訪れる「悲しみと怒りの時期」です。







◆やがて訪れる適応期




悲しみや怒りの感情を乗り越えて訪れるのが、「適応」の時期です。

家族の治療やリハビリテーションを支えることにより、高次脳機能障害者の家族は、この病気のことをより深く知り、今後どのような道のりが示されているかを、模索しながら探していくことになります。

完全に治ることが期待できない病気であっても、家族会などでの交流による情報交換などは、適応の時期の支えになります。



適応の次に訪れるのが「再起」の時期です。

高次脳機能障害という病気を抱えつつも、新たな生き方を探し、それを家族が支えることは、家族の精神的な成長さえもうながします。



悲しみと怒りの時期が長く続くと、とても再起などできないという気持ちになるかもしれませんが、高次脳機能障害について深く知ることが、障害の受容につながるということを心に留めておいてください。






▼参考記事
・交通事故後,夫が怒りっぽくなりました。高次脳機能障害が関係しているのですか?
・交通事故による高次脳機能障害の専門医はありますか?
・高次脳機能障害を負われた方の解決事例

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(よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故の労災(業務災害・通勤災害)の後遺障害等級認定手続について教えてください。誰がどのように認定しているのですか?

2018年04月05日
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交通事故の労災(業務災害・通勤災害)の後遺障害等級認定手続について教えてください。誰がどのように認定しているのですか?

労災については,労働基準監督署が労働者から労災認定申請を受けて,面談を含む調査の上,認定しています。
後遺障害認定基準については,労災でも交通事故でも同じですが,運用面も同様というわけではありません。





 交通事故 : 労災申請 




◆労災の後遺障害認定の仕組み




交通事故が労働災害にも該当するとき,後遺障害認定がされた場合は,労災保険からも後遺障害に関する給付を受けることができます。

その手続は,交通事故の後遺障害認定とはかなり異なる点があります。





【労働基準監督署に申請する】

交通事故の後遺障害等級認定は加害者の自賠責保険に対して行いますが,労災の場合には,
労働基準監督署に対して申請をします。
(正確には障害(補償)給付の請求ですが,「申請」とお書きします。)。


労災の手続には専用の書式があります。

後遺障害診断書の書式も労災と自賠責とでは異なるので,労災用のものを主治医に渡して作成を依頼する必要があります。

労災の後遺障害診断書の作成を受けたら,労働基準監督署窓口に提出します。必要に応じてレントゲンやMRIなどの画像も同時に提出します。




【面接の実施】

労災の後遺障害等級認定申請をすると,労働基準監督署内で労災認定のための調査が開始されます。

このとき,被害者は,労働基準監督署の担当者と面談をしたり,「地方労災医員」と呼ばれる労災の医師による検査を受けたりしなければなりません。

自賠責保険では外貌醜状以外のケースでは面談が実施されないので,ここは労災と交通事故が大きく異なるところです。



労災認定の場面では,この面接の内容が等級認定に影響を与えることがあります。

主治医の後遺障害診断書の内容に加え,面接において被害者が述べた内容や,労災の医師が得た所見や検査結果は後遺障害等級を考慮するに当たって充分斟酌されます。


労災で後遺障害認定を受けるためには,面接や医師による検査も重視して対応を検討すべきです。

認定結果が出ると,労働基準監督署から通知されます。







◆後遺障害の判断基準




後遺障害の判断基準は,労災も自賠責保険も基本的に同じです。

もともと労災の判断基準があり,それを自賠責が準用する形をとっているからです。

ただし,運用レベルで異なる取扱いが行われることもあるので,結果として,労災による認定結果と自賠責の認定結果が異なる等級になることは珍しくありません。







◆不服申立ての回数制限と期限




労災の後遺障害認定に不服がある場合,認定結果を知った日の翌日から3ヶ月以内に審査請求をする必要があります。再審査の場合には2ヶ月以内です。

また,審査請求できる回数は,2回(審査と再審査)に限られています。その後に残された手段は行政訴訟です。

自賠責保険の場合,異議申立てに回数制限や期間制限はないので,大きく異なるところです

(時効はありますが,別問題です。)。





以上のように,交通事故で労災の後遺障害認定を受けるときには,自賠責保険とは異なる対処が必要となります。


迷われたときには,お気軽に弁護士までご相談下さい。




▼参考記事
・交通事故の労災保険の時効は何年ですか?
・交通事故に遭いました。労災の費目拘束と過失割合は,どんな関係がありますか?
・交通事故の労災保険の障害認定手続について教えてください。不服があるときはどうしたらよいですか?

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(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

交通事故が原因の遷延性意識障害患者への自治体などからの補助に関して教えてもらえますか?

2018年04月04日
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交通事故が原因の遷延性意識障害患者への自治体などからの補助に関して教えてもらえますか?

自治体の福祉課に申請をすると,介護用品購入の補助や医療費補助を受けられる可能性があります。




 交通事故:遷延性意識障害患者への自治体などからの補助 




◆自治体における遷延性意識障害の患者の支援について




交通事故が原因で被害者が遷延性意識障害になってしまったら,施設入所費用や介護費用など,いろいろな費用を要する事態が生じます。

このようなとき,自治体においても患者の支援が行われているので,利用できる制度は是非とも利用しましょう。


自治体が行っている支援は地域によってさまざまですので,御自身で自治体に照会するなどする必要がありますが,たとえば,以下のようなものがあります。







◆日常生活用具給付等事業




【日常生活用具給付事業とは】


日常生活用具給付等事業とは,介護用品等の購入費を行政が負担してくれる制度です。

平成18年に始まったものでまだ認知度は高くありませんが,
費用のうち50%を国が負担して,25%を自治体が負担します。
残りの25%を利用者に負担させるかどうかは自治体の判断に任されています。


たとえば,以下のような物品を購入するときにこの制度が適用される自治体が多いです。

・紙おむつ
・介護用ベッドなどの特殊寝台
・便器
・電気式たん吸引器などのリース代
・使い捨てチューブの費用
・車いす,ストレッチャーの費用
・人工喉頭



一般的に,世帯の収入額に応じて給付金の金額が決まり,収入の少ない人ほど多くの給付を受けられるようになっています。





【紙おむつについて】


紙おむつは日常生活用具給付等事業に含まれるものですが,多くの自治体が遷延性意識障害の患者に補助を出しています。

毎月定額が支給されることもありますし,1年ごとに領収証と引換で給付を受けられる自治体もあります。

申請を出しておけば,紙おむつを定期的に届けてくれる,現物支給の自治体もあります。







◆介護や医師によるサポート




介護保険を使えない若い患者の場合には,介護ヘルパーが利用できるようになったり,歯科医による訪問受診を受けられたりする自治体もあります。


また,家族に用事があるときのため,一時的に患者を預かってくれるショートステイの制度や,高齢で調理が困難な介護家族のため,定期的にお弁当を宅配してくれるサービスを実施している自治体もあります。





以上のように,多くの自治体では遷延性意識障害の患者に対するさまざまな援助を行っていますが,その内容は地域によってまちまちです。

収入要件が設けられていることもあります。

また,こうした支援は,患者側から申請をしない限り,受けることはできません。

現在適用を受けていないのであれば,まずはお住まいの地域の市町村役場の「福祉課」などに照会し,どのような制度があるのか聞いてみることをお勧めします。







▼参考記事
・歩行中の被害者が遷延性意識障害により1級1号の認定を受け約1億1000万円を獲得した事例
・交通事故に遭い,家族が遷延性意識障害になりました。どうして何度も転院しなければならないのですか?
・将来介護費とは何ですか?

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(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

私は個人事業主ですが交通事故に遭い,後遺障害のため事業を継続することができなくなりました。 店舗を賃借して事業を営んでいたのですが,閉店に伴う原状回復費用は賠償の対象になりますか。法人化していた場合は異なりますか?

2018年04月03日
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私は個人事業主ですが交通事故に遭い,後遺障害のため事業を継続することができなくなりました。
店舗を賃借して事業を営んでいたのですが,閉店に伴う原状回復費用は賠償の対象になりますか。法人化していた場合は異なりますか?


閉店に伴う原状回復費用は賠償の対象になります。法人化していた場合には基本的に賠償の対象になりませんが,1人会社で実質的に個人営業と同視できるようなケースであれば,賠償の範囲に含まれる可能性があります。






 交通事故 : 自営業者の場合 



◆自営業者の休業損害について



自営業者が交通事故に遭って怪我を負ったとき,仕事ができない期間が発生することがあります。
その場合の減収分は休業損害として,損害賠償の対象となります。


被害者が自営業者の場合,交通事故による怪我が原因で,事業が廃業に追い込まれることもあります。要介護等の重度の後遺障害が残ってそもそも事業継続が不可能になることもありますし,休んでいる間に客が離れてしまって事業が成り立たなくなることもあります。
(因果関係を立証しなければならないという問題がありますが,ここでは割愛します。)


このように,自営業者が廃業に追い込まれたときには,廃業に伴う損害も賠償請求することができます。


たとえば,事業所や事務所の原状回復費用,電話や複合機などの機器類のリース料の残額などが損害に含まれる可能性があります。


事業を始めて間がない場合などには,「原状回復費用」という形ではなく,事故前の「設備投資額」を基準として,そこから一定割合を引いた金額が認められることも多いです。


裁判例を見ると,自動車板金塗装業や美容師が被害者となったケースにおいて,
事業のために必要な設備や施設の費用(設備投資額)を基本として,他への転用,売却可能性や,事故が発生するまでの使用利益などを考慮して,投資額の一定割合を損害として認めるものなどがあります。








◆法人の企業損害について




それでは,被害者が自営業ではなく法人の経営者や役員などであった場合はどうでしょうか?


一般的に,法人の役員や経営者が交通事故に遭ったことで法人に売上げ・利益の低下などの損害が発生しても,それは交通事故の損害賠償の範囲に含まれません。


交通事故の損害賠償請求の主体になれるのは被害者本人だけであるところ,企業は損害を受けた本人とは別人格だからです。





ただし,以下のようなケースでは,被害者と会社(法人)を同視することができるので,法人が賠償請求できると考えられています。


・法人とはいっても,経営者による1人会社など,実質個人営業と変わらない
・経営者に代替性がない
・交通事故被害者と法人に,経済的に一体性がある



廃業に伴う損害について検討しましたが,自営業者が交通事故に遭った場合には,さまざまな問題が発生します。

対応に迷われたときには,弁護士までご相談下さい。




▼参考記事
・個人事業主が交通事故に遭った場合,休業損害・後遺障害逸失利益における基礎収入はどうなりますか?
・逸失利益・事業所得者について(裁判基準)
・逸失利益・基礎収入について(裁判基準)

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交通事故の死亡事故の被害者請求について,請求権者はどうなっていますか。相続人だけですか。 請求権者が複数いるときは,全員揃ってしなければなりませんか。請求権者の一部のみで被害者請求をしたらどうなりますか?

2018年04月02日
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交通事故の死亡事故の被害者請求について,請求権者はどうなっていますか。相続人だけですか。
請求権者が複数いるときは,全員揃ってしなければなりませんか。請求権者の一部のみで被害者請求をしたらどうなりますか?



死亡事故の場合,基本的には相続人が被害者請求の請求権者となります。ただし,遺族の慰謝料については相続人でない親族も請求権者になります。
請求は,請求権者が基本的に全員揃って行う必要があります。一部の請求権者が被害者請求をすると,受け付けられなかったり,被害者請求をしない請求権者の分が保留になったりします。






 交通事故:死亡事故の被害者請求 




◆死亡事故の被害者請求の請求権者





交通事故の被害が発生すると,加害者の自賠責保険に保険金を請求することができます。
このとき「被害者請求」という方法を利用できます。


被害者請求とは,被害者が直接加害者の自賠責保険に対して保険金を請求する方法です。


ただ,死亡事故の場合には,被害者自身が被害者請求することができません。



自賠責保険への請求権も相続の対象となるので,このようなケースでは,被害者の相続人が被害者請求の請求権を取得します。受傷から死亡までの傷害部分のほか,死亡による損害として,葬儀費,死亡逸失利益,被害者本人の慰謝料が相続の対象となります。


そのほかに,自賠責保険における遺族固有の慰謝料の請求権者が,被害者の父母,配偶者及び子ということになっています。
被害者に子がいれば父母は相続人ではありませんが,被害者請求の請求権者ではあるわけです。



また,被害者の配偶者や子が相続放棄の手続をしたときは,その人は相続人ではありませんが,遺族固有の慰謝料の請求権者でもあるので,被害者請求の請求権者になります。









◆全員揃ってしなければならない




請求権者は複数存在することが多いですが,必ずしも全員がまとまって足並みを揃えられるとは限りません。
請求権者間で連絡を取りにくかったり意見が異なったりすることもあります。


このようなときには,ある請求権者が単独で被害者請求することができるのでしょうか?



自賠責保険に被害者請求をするとき,請求権者が複数いたら,他の請求権者の委任状と印鑑登録証明書の提出を要求されることが多いです。


これを提出できないときは,他の請求権者の分は留保されて請求した人の分だけ算定して自賠責保険金支払が行われることもありますが,書類不備として受け付けられないこともあります。





死亡事故の賠償問題でお困りの場合には,弁護士までご相談下さい。






▼参考記事
・後遺障害認定:事前認定と被害者請求
・死亡された方の解決事例
・死亡事故と弁護士について

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(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

交通事故に遭った際,シートベルト未装着だったときの過失割合について教えてください。 また,運転席・助手席と後部座席とで違いはありますか?

2018年03月30日
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交通事故に遭った際,シートベルト未装着だったときの過失割合について教えてください。
また,運転席・助手席と後部座席とで違いはありますか?


シートベルトを装着していなかったために被害が拡大した場合,被害者の過失割合が高くなります。
運転席でも助手席でも後部座席でもシートベルト装着義務はありますが,過失相殺率に関しては,異なった取扱いがされることもあります。






シートベルト未装着時の過失割合




◆シートベルト装着義務とは




車両に乗車する場合,「シートベルト装着義務」があります。

道路交通法は,「車両の運転者は,シートベルトを着用しないで運転してはならない」とした上で,
すべての同乗者にシートベルトを着用させる義務」をも課しているからです(道路交通法71条の3第1項,第2項)。

つまり,原則として,車両に乗車する人は,全員シートベルトを装着しなければなりません。








◆後部座席とシートベルト装着義務




世間一般では,車両の後部座席の場合,シートベルト装着義務がないと思われていることがあります。
確かに,以前には後部座席の場合,シートベルトの装着は法的義務ではなく,努力義務であると考えられていました。

しかし,シートベルトを装着していなかったことにもとづく重大な交通事故が跡を絶たないため,
道路交通法が改正されて,現在では,後部座席を含めたすべての人に,シートベルト装着義務が課されています。


そこで,家族が運転する車やタクシーに乗車する場合など,どのようなケースであっても,車に乗るならばシートベルトを着用しなければなりません。








◆シートベルト未装着と過失割合




シートベルトを装着せずに交通事故の被害に遭い,そのために被害が拡大したといえるとき,どのような取扱いになるのでしょうか?

この場合,被害者は道路交通法による規制を守らずに危険を拡大させたことになります。
そこで,被害者にも過失を認めるべきケースといえ,被害者の損害賠償金算定時に過失相殺が行われます。

その場合の加算割合は,ケースにもよりますが,5〜20%程度です。




それでは,未装着者が運転者か助手席に乗っている人か後部座席に乗っていた人かによって,区別はあるのでしょうか?

道路交通法は,車両に乗車する人に対し,乗車位置にかかわらず,同じようにシートベルト装着義務を課しています。

かつては後部座席の人のシートベルト着用義務が努力義務であったため,後部座席の人の場合には過失相殺されない例が多かったのですが,
近年では,後部座席の人がシートベルトをしていなかった場合にも5%から10%の過失相殺を認める裁判例が出てきています。


今後は乗車位置にかかわらず,シートベルトをつけていなかったために交通事故被害が拡大したというときには,高い割合で過失相殺される流れになるかもしれません。


自分が運転するときにも人の車に乗せてもらうときにも,何より御自身の安全のため,必ずシートベルトを着用して,安全に車を利用することが大切です。








▼参考記事
・交通事故の過失相殺とは
・交通事故ブログ:過失相殺
・交通事故でのシートベルト,チャイルドシートと過失相殺

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交通事故が原因で支給を受けられるに至った遺族基礎年金・遺族厚生年金,障害基礎年金・障害厚生年金の支給要件や損害賠償との関係について教えてください。

2018年03月29日
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交通事故が原因で支給を受けられるに至った遺族基礎年金・遺族厚生年金,障害基礎年金・障害厚生年金の支給要件や損害賠償との関係について教えてください。

遺族年金や障害年金の支給要件は,以下に詳しくお書きします。既払いの遺族年金や障害年金は,交通事故損害賠償金計算において,損益相殺の対象になります。




 遺族年金・障害年金 



◆遺族年金の支給要件




遺族年金には,遺族厚生年金と遺族基礎年金があり,
それぞれ受給条件が異なります。









1,遺族厚生年金

遺族厚生年金が支給されるのは,「厚生年金に加入していた人」が死亡した場合,または厚生年金に加入している間に「初診日」がある傷病がもととなって,初診日から5年以内に死亡した場合です。
老齢基礎年金の資格期間を満たしている人が死亡した場合や,障害厚生年金を受けられる人が死亡した場合にも,遺族厚生年金が支給されます。


支給対象は,年金加入者によって生計を維持されていた人です。

配偶者や子ども,孫などが支給対象です。子どもがいない配偶者であっても支給対象となります。



2,遺族基礎年金

遺族基礎年金は,「国民年金」に加入している人が亡くなったときに支給される年金です。
支給対象となるのは,死亡した人によって生計を維持されていた「配偶者または18歳未満の子ども」です。
配偶者が支給を受ける場合,18歳未満の子どもがいる必要があります。
子どもに障害がある場合,20歳未満までが支給対象となります。








◆障害年金の支給要件




1,障害厚生年金

障害厚生年金は,厚生年金に加入している間に,病気や怪我をして,一定の障害が残ったケースにおいて支給されます。

ただし,保険料納付要件があります。

・初診日の前々月までの年金加入期間の3分の2以上の保険料納付をしていること
・初診日に65歳未満の場合,初診日月の前々月までの1年の間に保険料の未納がないこと


どちらかを満たせば,障害厚生年金が支給されます。



2,障害基礎年金

障害基礎年金は,国民年金に加入している期間や未成年のときに病気や怪我によって診療(初診)を受けた場合に支給されます。

障害厚生年金と同様,保険料納付要件がありますが,初診日に未成年者であった場合には,保険料を納付していなくても年金が支給されます。








◆損益相殺について




遺族基礎年金,遺族厚生年金,障害基礎年金,障害厚生年金については,交通事故の損害賠償金と損益相殺されます。


つまり,これらの年金のうち,受けとった分は,交通事故の賠償金から減額されるということです。
遺族年金の場合には「死亡逸失利益」から,障害年金の場合には「休業損害」と「後遺障害逸失利益」の合計額から差引計算されます。





損益相殺の対象になるとしても,交通事故の被害に遭ったときには,各種の年金申請手続も忘れてはなりません。


不安がある場合には,お気軽に弁護士までご相談ください。







▼参考記事
・交通事故に遭い,後遺障害になりました。障害年金とはなんですか?
・父が交通事故に遭い死亡しました。父には多額の借金があり相続放棄を考えているのですが,賠償はどうなりますか?
・交通事故で高次脳機能障害になりました。障害者手帳は発行して貰えるのでしょうか?

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交通事故に遭いました。NASVAの介護料支給の要件・手続と損害賠償との関係について教えてもらえますか?

2018年03月28日
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交通事故に遭いました。NASVAの介護料支給の要件・手続と損害賠償との関係について教えてもらえますか?

NASVAで介護料を支給されるのは,基本的に後遺障害1級または2級の要介護と認定されたケースです。
ただし,それ以外の場合であっても,介護料の支給を受けることができる場合があります。
NASVAの介護料は,交通事故損害賠償金の損益相殺の対象になりません。








 交通事故被害:NASVAによる介護料支給




◆NASVAとは




NASVAとは「独立行政法人 自動車事故対策機構」のことです。

交通事故の被害者の救済活動を行っており,交通事故ホットラインを開いて交通事故被害者からの相談を受け付けたり,療養施設を紹介したりしています。

重大な後遺障害が残った被害者へのサポートにも積極的に取り組んでおり,一定の後遺障害の残った交通事故被害者に対し,介護料を支給しています。








◆介護料支給要件



NASVAによって介護料が支給されるケースは,以下の3種類です。





【1.特I種(最重度)】


後遺障害がもっとも重度なケースです。

常時要介護の被害者の中でも,次の要件を満たす場合に特T種となります。


脳損傷の場合

● 自力移動が不可能

● 自力摂食が不可能

● 屎尿失禁状態

● 眼球はかろうじて物を追うことがあっても,目に映るものを認識していない

● 声を出すことがあっても,意味のある発語ができない

● 目を開けて,手を握ってなどの簡単な命令に反応することがあっても,それ以上の意思疎通ができない



脊髄損傷の場合

● 自力移動が不可能

● 自力摂食が不可能

● 屎尿失禁状態

● 人工介添呼吸が必要



後遺障害認定を受けていない場合

ただ,自損事故などのケースでは,自賠責によって後遺障害等級認定を受けられない場合があります。
また,後遺障害認定通知書を紛失してしまう例も見られます。
これらのケースでは,次の要件を満たす場合,特T種として介護料が支給されます。


● 上記と同程度の障害を受けている

● 事故後18か月以上経過して,症状固定している





【2.I種(常時要介護)】


自賠法の後遺障害認定基準において,1級1号または1級2号に該当する「常時要介護」のケースです。





【3.II種(随時要介護)】


自賠法の後遺障害認定基準において,2級1号または2級2号に該当する「随時要介護」のケースです。









◆支給される介護料の金額




NASVAによって支給される介護料の金額は,以下の通りです。


● 特T種

68,440円〜136,880円

● I種

58,570円〜108,000円

● II種

29,290円〜 54,000円








◆申請方法




NASVAによる介護料の申請をするときには,お近くのNASVAの支所で申請書や必要書類を提出する必要があります。必要書類は,以下の通りです。


● 介護料受給資格認定申請書

● 対象者の戸籍謄本

● 対象者の世帯全員の住民票の写し

● 所得証明書

● 誓約書(受給資格の喪失要件に該当していないことの誓約)

● 成年後見人の認定の写し(成年後見人が申請する場合)

● 介護保険被保険者証の写し(対象者の年齢が65歳以上の場合)

● 自賠責保険等の後遺障害等級認定通知書

● 重度後遺障害診断書

● 交通事故証明書

● 事故時の診断書

● 重度後遺障害診断書



後遺障害認定を受けているかいないかによって,また特T種の資格を受けようとするかによって,必要書類が異なってきます。







◆損益相殺の対象にならない




NASVAによる介護料の支給を受けても,交通事故損害賠償金が減額されるということはありません。損益相殺の対象にならない扱いになっています。

介護料と損害賠償金の両方を受け取ることができるので,安心しましょう。







▼参考記事
・交通事故における損害賠償の項目について
・保険会社担当者には裏がある
・弁護士が入ると賠償額が上がる!

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自宅バリアフリー化に要する費用や車両改造費は,どこまで交通事故の損害賠償として認められますか?

2018年03月27日
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自宅バリアフリー化に要する費用や車両改造費は,どこまで交通事故の損害賠償として認められますか?

自宅改造費や車両の改造費は,「実費のうち,相当額」が認められます。どの程度が相当なのかについては,ケースによっても異なります。
過度に高級仕様ではないこと,本当に必要な改造なのか,改造が必要な程度の障害に至っているのか,その改造によって被害者以外も利益を受けているかなどの観点から,改造費用の範囲が判断されています。





 後遺障害による自宅改造費の賠償 



◆自宅改造費の範囲の判断基準




交通事故で,被害者に後遺障害が残った場合,これまでと同様の自宅での生活が難しくなったり,車の運転や同乗ができなくなったりすることがあります。
そのような場合,自宅のバリアフリー化による改造費用や自動車の改造費用を加害者に対して請求できる可能性があります。


ただし,このとき,どのような内容の改造であっても全額の費用を請求できるというわけではありません。



基本的には,以下のようなものが損害として認められます。

     居宅の出入口や風呂場,トイレなどの設置や改良費用,ベッドや
    椅子などの購入費用,自動車の改造費用などのうち,「実費相当額」 




ただ,実費相当額と言っても不明確ですから,個別のケースに応じて判断しなければなりません。


判断基準は,以下のようなものとなります。


● 本当に必要な改造内容となっているか(過度に高級な仕様になっていないか)

● 自宅改造目的で土地を購入したときの損害の範囲

● 改造によって家族が便益を受けているとき,損益相殺的な調整をするのか

● 本当に必要な範囲の自動車改造費か(過度に高級な仕様になっていないか)

● 交通事故による障害の内容に対応した改造となっているか








◆自宅改造の具体例




たとえば,自宅のバリアフリー化を進める際に,1階と2階の両方にシステムキッチンを入れて食洗機を設置した場合,そういった付加的なものは介護に必要と認められない可能性が高いです。


また,エレベーターを設置すると,被害者以外の同居人も利益を受けるとの理由で,設置費用の一部のみが賠償の対象となることが多いです。


また,もともとの家を改造すると新築するより高額になってしまう場合には,新築費用相当分までしか改造費用が認められない可能性が高いです。


バリアフリー化した家を建てるために土地を購入した場合には,土地購入代金の全額が認められるのではなく,新居の何割かの数値が損害費用として認められることが多いです。








◆車両改造費の範囲について




自動車についても,相当な改造内容であることが必要です。交通事故による障害があっても運転するために必要な改造であれば認められますが,
高額なカーステレオやカーナビ,高機能すぎるドライブレコーダーなどを入れても,損害としては認められない可能性が高いです。


また,車椅子ごと乗車する必要があるが,もともと所有していた自動車では車椅子での乗車ができないというとき,新たに介護用自動車を購入する必要があります。そのような場合でも,介護用自動車の価格からその自動車の一般的な(介護用でない)仕様での価格を控除した額のみが損害とされることもあります。



自宅改造費や自動車の改造費用について,保険会社から支払ってもらえると期待していたのに実際には支払ってもらえなかったら,自己負担となってしまいます。

どの程度の範囲の賠償が受けられるか分からない場合には,事前に弁護士までご相談ください。




▼参考記事
・高次脳機能障害の場合自宅改造費は損害として認められますか。
・交通事故の入院付添費は損害として認められないのでしょうか?
・損害賠償額の基準に注意!

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