私は交通事故の被害に遭って怪我をしましたが,自賠責が2社使えるそうです。どういうことか詳しく教えてください。 被害者請求は1社に対してしかできませんか。両方に対して被害者請求できるとして,同時にできますか。後遺障害診断書原本や画像ディスクなども同じものが2つ必要ですか?

2018年04月26日
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私は交通事故の被害に遭って怪我をしましたが,自賠責が2社使えるそうです。どういうことか詳しく教えてください。
被害者請求は1社に対してしかできませんか。両方に対して被害者請求できるとして,同時にできますか。後遺障害診断書原本や画像ディスクなども同じものが2つ必要ですか?


自賠責を2社使えるのは,加害車両が2台あったからです。この場合,被害者請求は2社に対して行うことができます。2社に請求する場合には,自賠責の限度額が2倍になりますが,受け取れる金銭が2倍になるわけではありません。
後遺障害診断書原本や画像ディスクは複数取得する必要はありません。





 交通事故 : 自賠責が2社使えるケース 




◆加害車両2台の交通事故では自賠責保険が2社使える




交通事故に遭ったとき,被害者が2社の自賠責保険に対して保険金請求できるケースがあります。


それは,加害車両が2台ある事故です。
加害車両が2台あると,それぞれの車両にかけられている自賠責保険へ被害者請求を請求することができるから
です。

たとえば,複数の自動車の交通事故に巻き込まれて怪我をしたケースや,タクシーに乗車していて運転手と相手方の両方の過失によって交通事故に遭ったケースなどには,加害車両が2台となります。自分の家族が運転する車両に同乗していたところ,その運転手と相手方の双方の過失によって生じた交通事故で怪我をしたときも,自賠責が2つ使えます。
同様に,加害車両が3台あれば,3社の自賠責保険に請求ができます。








◆2社の自賠責保険を利用するメリット




2社の自賠責保険に損害賠償金を請求する場合でも,通常の自賠責基準によって計算された保険金が支払われるので,受領金額が単純に2倍になるということにはなりません。

ただ,自賠責保険の「限度額」が2倍になるので,より多くの損害賠償金を受け取ることにつながりやすいです。

たとえば,傷害の保険金限度額は120万円ですが,2社を利用すると,240万円までの支払いを受けられます。すると,治療が長びいたケースなどでは,自賠責からだけでも十分な治療費や入通院慰謝料が支払われやすくなるのです。








◆提出資料は複数用意しなくてよい




2社の自賠責保険を利用できる場合であっても,被害者請求によって損害賠償金を請求することができます。

被害者請求とは,被害者が直接自賠責保険に対して損害賠償金を請求する方法ですが,自賠責保険が2社の場合,同時に被害者請求の手続を進めることも可能です。

自賠責保険は損害賠償金の請求を受けると「損害保険料率算出機構」の「自賠責損害調査事務所」に調査をさせます。損害調査を行う際,同一の資料が複数あっても意味はありません。
したがいまして,被害者請求する際の後遺障害診断書や画像データは1つ取得すればできます。




以上のように,交通事故といってもさまざまなパターンがあります。対応に困られた場合には,お気軽に弁護士までご相談下さい。








▼参考記事
・一緒に同棲している女性が運転する自動車に同乗しているときに,女性が自損事故を起こし,私が怪我をしてしまいました。賠償はどうなりますか?
・停車中の自動車の助手席のドアが開き,外にいた私が怪我をする交通事故に遭いました。この自動車の任意保険会社は対応してくれますか?
・よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」:被害に遭われた方々の将来を考える

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(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

交通事故の人身傷害保険と相手方損害保険との支払の順序によって違いが出ることがあると聞きました。詳しく教えてください。 その上で,相手方保険会社との間で総損害額400万円,私の過失1割で合意できそうなのですが,この段階で人身傷害保険から40万円だけを支払ってもらおうとしたら,人身傷害保険の担当者にダメと言われました。なぜですか?

2018年04月24日
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交通事故の人身傷害保険と相手方損害保険との支払の順序によって違いが出ることがあると聞きました。詳しく教えてください。
その上で,相手方保険会社との間で総損害額400万円,私の過失1割で合意できそうなのですが,この段階で人身傷害保険から40万円だけを支払ってもらおうとしたら(これまで人身傷害保険からの支払を受けたことはありません。),人身傷害保険の担当者はそんなのはだめだと言ってきました。なぜですか?



交通事故の人身傷害保険を先に受け取ると,その逆にするよりも受取金額が上がることがあります。ただ,人身傷害補償保険は,被害者の過失割合の分を補填するためのものではないので,先に受け取るのであれば,所定の計算方法によって算出した金額を請求して受け取る必要があります。
示談成立を見越して,過失割合を穴埋めするような受け取り方はさせてくれません。





 交通事故 : 人身傷害補償保険を受け取る順番 




◆人身傷害補償保険と加害者からの賠償金のどちらを先に受け取ると得になるのか?





【人身傷害補償保険を先に受け取ったケース】

交通事故の人身傷害補償保険と相手の損害保険の両方からお金を受け取れる場合,どちらから先に受け取ると得になるのでしょうか?

まず,人身傷害補償保険を先に利用するとどうなるのか,見てみましょう。
たとえば,総損害額は400万円,過失割合が1割,人身傷害補償保険の所定の計算方法によると,200万円が支払われるとします。

被害者は先に200万円を受け取り,その後加害者の保険会社に請求をします。人身傷害補償保険を先に受け取っていると,受け取った200万円は被害者の過失割合のある分に充当されます。そこで,被害者は400万円-200万円=200万円を受け取ることができます。

被害者が受け取るお金は,合計で400万円となります。



【加害者への損害賠償金を先に受け取ったケース】


これに対し,加害者への損害賠償金を先に請求すると,相手からは360万円が支払われます。

そして交通事故の人身傷害補償保険を請求しようとすると,人身傷害補償保険からは既に加害者から支払われた金額が控除されます。

つまり,200万円-360万円となるので「マイナス」になり,人身傷害補償保険からは支払いを受けられないことになります。被害者が受け取るお金は,全部で360万円です。




このように,被害者に過失割合がある場合には,人身傷害補償保険を先に受け取ったら過失割合の分も含めて満額の賠償金を受け取れるのに,相手の損害保険を先に受け取ると,受取金が減ってしまうことが多いのです。

このような結果は不合理とも思えますが,裁判所もこうした考え方を採用しています(大阪高裁平成24年6月7日)。







◆本件で,先に40万円を払ってもらえない理由



本件では,まだ示談が成立していませんが,示談成立を見越して,過失割合の40万円だけを人身傷害保険から支払ってもらいたいところです。
ですが,交通事故の人身傷害補償保険は,被害者の過失割合を穴埋めするものではありません。

保険金を受け取りたいのであれば,示談成立前に人身傷害補償保険の請求をして,所定の計算方法に従って算出された保険金を受け取る必要があります。

そして,その後に示談を成立させれば,満額の賠償金を受け取れる可能性がでてきます。




このように,人身傷害補償保険の受取りと相手の損害賠償金の受取りのタイミングは,被害者にとって重要な意味を持ちます。また,このような一筋縄ではいかない約款の人身傷害保険も出てきています。今後の参考にしてみてください。





▼参考記事
・交通事故に遭って怪我をしました。しかし,任意保険会社が,私の過失が大きいからといって治療費の対応をしてくれません。
・交通事故で相手方が任意保険無保険の場合の対応を教えてください。
・当事務所の交通事故解決事例

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(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

交通事故に遭った際の仮渡金について教えてください。これを請求する手続をすることのメリットやデメリットにはどのようなものがありますか?

2018年04月20日
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交通事故に遭った際の仮渡金について教えてください。これを請求する手続をすることのメリットやデメリットにはどのようなものがありますか?


仮渡金は,示談や損害調査の前に,被害者が自賠責保険から受けられる損害賠償金です。後日損害賠償債権に充当されるものの早期に金銭を受け取れる点がメリットです。
請求手続が面倒であり,一括対応を打ち切られる点がデメリットとなります。





 交通事故 : 仮渡金 




◆仮渡金とは




仮渡金とは,交通事故の被害者が,加害者の自賠責保険から「先渡し」してもらえる損害賠償金のことです。

交通事故では,示談交渉が成立するまでは賠償金や保険金が支払われないことが一般的ですが,それでは葬儀費用や治療費などで当面のお金が必要な被害者が救済されません。

そこで,自賠責保険は「仮渡金制度」を作り,被害者からの請求があれば,一定金額を先に支払うことにしています。

仮渡金として先に支払われた金額は損害賠償の既払いとして扱われ,後に損害賠償金から差し引かれることになります。






◆仮渡金の金額



仮渡金で受け取れる金額は,以下のとおりです。

・死亡事故の場合,遺族に290万円
・傷害事故の場合,傷害の程度に応じて5万円,20万円,40万円








◆仮渡金を受け取るメリット



仮渡金を受け取る場合,示談が成立したり損害調査が行われたりする前にお金を受け取れる点が,大きなメリットとなります。

一般的に交通事故で示談が成立するまでには長い期間がかかり,治療期間が長引いた場合などには,3年以上かかるケースなどもあります。

また,死亡事故などの場合,葬儀のためにまとまったお金が急に必要になります。
そのようなとき,仮渡金を受け取ると,そのお金で治療を受けたり葬儀費用に充てたりすることができます。








◆仮渡金を受け取るデメリット



仮渡金を受け取るためには,被害者が加害者の自賠責保険に対し,直接賠償金を請求する手続によらなければなりません。

被害者が加害者の自賠責保険に対して直接請求する手続には,かなりたくさんの書類を集めたり作成したりしないといけないので,手間がかかります。


また,仮渡金請求のために被害者請求をすると「治療費支払の一括対応」が解除されます。

「治療費支払の一括対応」とは,任意保険会社が病院に治療費を直接支払うことです。いったん解除されても治療費が仮渡金を超えれば復活させることは可能ですが,一時的に解除されるので,その間被害者は,病院に治療費を自分で支払わなければならないことになります。

このようなデメリットがあるため,仮渡金が少額の場合(5万円のケースなど),あえて請求しない方が良いこともあります。

交通事故に遭ったときには,仮渡金制度を利用することもできますが,メリットばかりではなくデメリットもあります。正しく理解して,不利益を受けないように対応しましょう。








▼参考記事
・交通事故の被害があったとき,家族に対する慰謝料は認められますか?
・交通事故の慰謝料が増額される場合は,どのような場合ですか?
・よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」:保険会社担当者について思うこと

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交通事故の家屋改造費で,サンルームを設置する費用は家屋改造費として認められますか。認められるとしたらどのような場合ですか?

2018年04月18日
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交通事故の家屋改造費で,サンルームを設置する費用は家屋改造費として認められますか。認められるとしたらどのような場合ですか?

家屋改造費としてサンルームの設置費用が認められることは,そう多くはないと考えられます。
ただし,被害者の介護や生活のために日光浴が必要なケースなどには,必要かつ相当な範囲で,費用が認められる可能性があります。





 交通事故 : 家屋改造費 




◆家屋改造費が認められる範囲



交通事故に遭ったとき,加害者に対して「家屋改造費」の請求ができるケースがあります。

家屋改造費とは,被害者の介護や生活のために,自宅の改造が必要になったときに発生する,自宅のリフォーム費用のことです。

交通事故に遭うと,さまざまな後遺障害が残る可能性がありますが,後遺障害が残ると,それまでの家で暮らすことが難しくなり,家屋の改造が必要になるケースがあります。

その場合,家屋改造費は交通事故によって発生した損害となるので,加害者に請求できるのです。

具体的な改造内容としては,自宅のバリアフリー化やホームエレベーターの設置などをすることが多いです。







◆家屋改造費が認められるケース



しかし,後遺障害が残ったとき,どのようなケースでも家屋改造費が認められることはありません。
被害者の生活や介護のための自宅のリフォームが必要であることが必要です。

その際には,以下の事情が考慮されます。

・被害者の受傷内容
・後遺症の内容と程度



認められやすいのは,以下のようなリフォーム費用です。

・バリアフリー化(段差解消)
・ホームエレベーターの設置
・浴室やトイレの改造費用
・玄関に設置するリフトの費用

サンルームの場合,そもそも被害者の介護や生活に必要かということが問題になります。
たとえば,日光浴がリハビリに役立つなどの事情があれば,認められる余地があるでしょう。






◆家屋改造費の限度額




家屋改造費が認められるとしても,全額が認められるわけではありません。

家族による利用予定なども考慮の上,必要かつ相当な範囲に金額が限定されます。
特に,サンルーム設置費用は高額になりやすいですし,同居の家族も利用できますから,全額は認められない可能性が高いです。

そこで,サンルームを設置する前に「そもそもサンルームの設置費用が賠償の対象として認められる事案か」及び「どのような設備を設置するか」という問題の検討が重要となってきます。


サンルームが補償対象となるかどうか判断しにくいケースでは,お気軽に弁護士までご相談下さい。





▼参考記事
・交通事故の怪我の影響でリフォームを考えています。家屋改造費は,どこまで損害として認められますか?
・将来介護費について教えてください。自宅介護と施設介護ではどのように異なりますか?
・家屋・自動車等改造費について(裁判基準)

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交通事故時に失業者だった被害者の休業損害について教えてください。

2018年04月17日
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交通事故時に失業者だった被害者の休業損害について教えてください。

交通事故時に失業者であっても,就労の意欲と能力があり,実際に就労する蓋然性が高ければ,休業損害が認められる可能性があります。




 交通事故 : 失業者の休業損害 




◆休業損害は,有職者に認められる



交通事故に遭ってケガをすると,被害者は入通院によって治療を受けなければなりません。その間,通院や症状のために仕事ができなくなってしまうことがあります。

その場合,被害者が働いて得られたはずの収入を「休業損害」として,加害者に請求することができます。

ただ,休業損害が認められるのは,基本的に「事故前に働いていた人」です。
働いていなかった人は,もともと収入が無いので,事故によって働けない状態となったとしても,減収が発生しないからです。


そのため,失業者が交通事故に遭った場合には,基本的には休業損害は発生しません。






◆失業者に休業損害が認められるケース



ただし,一定のケースでは,失業者であっても休業損害が認められるケースがあります。
それは,以下のような場合です。

【就労の能力がある】
まず,実際に就労するだけの能力があることが必要です。
過去に働いていた実績なども考慮されます。

【就労意思がある】
本人に就労意思があることが必要です。事故前から就職活動をしていたなどの事情が考慮されます。

【就労の蓋然性がある】
実際に就労の蓋然性があったかどうかも判断材料となります。たとえば,事故前に既に内定が出ていた場合などには,失業者でも休業損害が認められやすくなります。

また,事故前に失業していても,治療期間が長期に及ぶ場合には,その期間中に就業した蓋然性が高いと考えられて,休業損害が認められるケースもあります。






◆失業者の休業損害の立証方法



失業者が休業損害を認めてもらうためには,比較的高度な立証が必要です。
職歴,前職の内容,また失業していた理由,事故前に健康であったのかなどを,具体的に説明し,立証しなければなりません。


就職のため,具体的にどのような求職活動をしていたかも重要なポイントとなります。







◆失業者の休業損害の計算方法



具体的に就職先が決まっていた場合などには,就職先での給料額を基準として,休業損害を計算します。

そうでないケースでは,
被害者の年齢や職種などをもとにした「平均賃金」を使って基礎収入を算定したり,前職での給料を考慮の上,現実的な収入を算出したりします。

休業期間については,被害者の就業意欲や前職の就労期間,無職期間の割合などの諸事情を考慮の上,裁判所の裁量で適当な期間を認定することなどがあります。



以上のように,失業者でも休業損害が認められるケースはあります。加害者との示談交渉の際に疑問を持たれた場合には,お気軽に弁護士までご相談下さい。





▼参考記事
・会社役員をしていますが,会社役員でも休業損害は補償されますか?
・交通事故に遭い,休業しています。サラリーマンの休業損害の計算方法はありますか?
・交通事故事案に弁護士がかかわる意味

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交通事故に遭った際の基礎収入について質問です。休業損害を算出する際と後遺障害逸失利益を算出する際の基礎収入は同じですか?

2018年04月16日
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交通事故に遭った際の基礎収入について質問です。休業損害を算出する際と後遺障害逸失利益を算出する際の基礎収入は同じですか?

基本的な考え方は同じですが、計算の際には異なる要素を考慮することがあります。




 交通事故 : 休業損害と逸失利益 




◆休業損害とは




休業損害とは、交通事故で受傷したことにより、働けなくなった場合に得られなくなった収入のことです。

交通事故で入院や通院、自宅療養などをすると、働けない期間が発生します。すると、得られるはずであった収入を得られなくなるので、損害が発生します。

それが、休業損害です。

休業損害が発生するのは、症状固定するまでの間に休業した分です。

休業損害の基礎収入を計算するときには、交通事故前の1日あたりの基礎収入を算定します。

このとき計算の基礎になるのは、
事故前3か月分の収入など、比較的事故時に近い期間における収入です。
たとえば、会社員の方の場合などには、事故前の直近3か月分の給与明細書などを基準にして、休業損害を計算することが多いです。

賃金センサスの平均賃金を用いることを検討するケースは限定的です(家事従事者は別です。)。







◆逸失利益とは




逸失利益には後遺障害逸失利益と死亡逸失利益があります。

後遺障害逸失利益とは、交通事故で後遺障害が残った場合に労働能力が低下したため、将来にわたって発生する減収分のことです。

後遺障害が残ると、身体のさまざまな部分が不自由になるので、事故前のように効率的に働くことができません。
そこで、労働能力が低下した分、生涯にわたって得られる収入が低下すると考えられます。
その減収分を逸失利益として加害者に請求することができます。


また、被害者が死亡した場合にも、働いて収入を得ることができなくなるので、死亡逸失利益が発生します。

逸失利益の基礎収入は、被害者の「年収」を基準として計算します。
基本的には実収入をもとに計算しますが、被害者が主婦、子どもや学生などの場合には、賃金センサスの平均賃金を使って計算することが多いです。







◆休業損害の基礎収入と逸失利益の基礎収入の違い




それでは、休業損害の基礎収入と逸失利益の基礎収入は、どこが違うのでしょうか?

どちらも「事故前の収入」を基準にするので、基本的な考え方は同じです。

ただ、休業損害は、「事故後症状固定時期まで」にしか発生しないものであり、対象期間が限定されています。そこため、直近で短期間の実収入を基礎収入とすることが理にかなっています。
そこで、事故前3か月間の収入などが考慮要素とされます。



これに対し,逸失利益は就労可能年齢(一般的には67歳)の長期にわたって発生するものです。

そこで、基礎収入算定の際には、同じ実収入を基準にするとしても、事故前の1年間など、より長期的なスパンで検討すべきです。

また、被害者の年齢などの条件により、将来の変動可能性を踏まえて、平均賃金によって計算することが妥当となるケースもあります。
若年者が被害に遭ったときなどは,事故前年の収入が将来ずっと得られるはずだったと認定するのは不合理なこともあるからです。






交通事故に遭われたら、基礎収入を計算するときにも法律的な理解が不可欠です。ご不明なことがあれば、お気軽に弁護士までご相談下さい。




▼参考記事
・パートをしている兼業主婦の場合,交通事故に遭い怪我で休んだパート代しか補償されないのですか?
・個人事業主をしていますが,確定申告書上は赤字です。このような場合も交通事故での休業損害は認められるのでしょうか?
・よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」:後遺症(14級9号・12級13号)における逸失利益

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後遺障害診断書に症状固定日が書いてあります。症状固定日はこれで確定ですか。後で違うなどと認定されることはないですか?

2018年04月13日
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後遺障害診断書に症状固定日が書いてあります。症状固定日はこれで確定ですか。後で違うなどと認定されることはないですか?

いいえ,確定ではありません。裁判が起こった場合などには,裁判所が別の症状固定日を認定するケースがあります。




 交通事故 : 症状固定日 




◆症状固定日とは



交通事故で受傷して後遺障害が残った場合には,症状固定日が非常に重要です。

症状固定とは,それ以上治療を続けても症状が改善しなくなった状態のことです。症状固定日とは,症状固定した日にちです。

症状固定すると,それ以上治療しても状態が良くならないので,治療する意味がないと考えられ,
以後の治療費は原則として賠償の対象となりません。また,症状固定後は休業損害や入通院慰謝料も発生しません。

また,症状固定した時点で残っている症状が「後遺障害」と評価されるので,
後遺障害認定の際の判断対象となります。






◆症状固定日が変更されるケース




症状固定日を判断するのは,基本的に,治療を担当している医師です。
医師が医学的な観点から症状固定日を決定し,後遺障害診断書に記載します。
しかし,医師が決めた「症状固定日」も絶対的なものではなく,ケースによっては後に変更される可能性があります。


症状固定日が変更されるのは,裁判で時期が争いになった場合が多いです。

裁判になると,加害者が,後遺障害診断書に書かれた症状固定日より早期の症状固定時期を主張し,双方に意見の対立が起こるケースがあります。

症状固定日が早いほうが,賠償の対象となる治療費や入通院慰謝料が安くなるためです。



また,反対に,加害者が「症状固定後に可動域制限などが改善している」となどして後遺障害の該当性や等級を争い,症状固定日が後遺障害診断書記載のものより後であると主張することもあります。


このような場合,裁判所は,医師による症状固定時期の判断を踏まえたうえで,以下のようなことを検討し,症状固定日を認定します


・傷害や症状の内容
・症状の経過
・治療による改善の有無
・治療や処置の内容
・通院頻度や治療中断の有無
・検査結果(他覚的所見の有無)
・その症状で,症状固定までに通常必要な期間
・交通事故の状況


症状固定日が変更されると,加害者に請求できる賠償金の金額が変わってきますし,時効の起算点も変わります。

できれば,通院時から,後に症状固定時を変更されないよう,慎重に対応すべきです。
たとえば,症状が一進一退の状態で長く推移してきているのに,主治医の先生が「治療を継続する」といっている場合には,主治医に症状固定時期について相談することも視野に入ってくることがあります。




症状固定日が争われた事例は,当事務所のサイトの「注目の裁判例」のページにも出てきます。
当事務所の弁護士が一生懸命お書きしていますので,たまにはのぞいてみてください。





▼参考記事
・交通事故の注目の裁判例
・交通事故による後遺障害の解説
・よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」/重度の後遺障害と示談交渉について

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(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

家族が交通事故に遭いました。高次脳機能障害者とコミュニケーション障害について教えてもらえますか?

2018年04月12日
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家族が交通事故に遭いました。高次脳機能障害とコミュニケーション障害について教えてもらえますか?

高次脳機能障害で失語症と診断されなくても、他者とのコミュニケーションに問題がある場合は、コミュニケーション障害を発症している可能性があります。






 高次脳機能障害 : コミュニケーション障害 




◆失語症は、高次脳機能障害で良く見られる後遺症の一つ



意味のある発話ができなくなる、発話がほとんどないなど、失語症にはさまざまなタイプがあり、脳のどの部分がどの程度傷ついたかによって、症状の現れ方が異なります。

実は、失語症は、交通事故による高次脳機能障害で良く見られる後遺症の一つで、ごく軽度の場合は、コミュニケーション能力の低下のみが目立つこともあります。

つまり、言語能力の衰えはさほど目立たないが、会話をしても話がかみあわないという場合は、コミュニケーション障害を考えるべきでしょう。

脳の言語中枢の損傷が原因で起きるのが失語症です。
それに対して、言語中枢は健全に保たれているが、脳の他の部位が傷ついたことが起きるのが、コミュニケーション障害です。






◆損傷した部位により、コミュニケーション能力に違いが現れる




【右半球を損傷したために起きるコミュニケーション障害】
言葉を発したり、理解する能力には問題がないのですが、言語の運用で問題が起きます。

たとえば、ユーモアや比喩を理解することができなくなり、言外の意をくみ取れないので、空気が読めない人と思われてしまいます。
要点のない散漫な話し方も、特徴の一つで、一人で話し続ける症状も目立ちます。

相手の人は、話をする人の気持ちや意図を理解するのが困難に思えます。



【前頭葉の損傷によるコミュニケーション障害】
前頭葉を損傷すると、饒舌になる場合と、寡黙になる場合の両極端の症状が見られます。

あるテーマについて話していても、話題がそれてまったく関係のない話を一人で話し続ける症状が現れることもあります。



【脳外傷によるコミュニケーション障害】
右半球および前頭葉の損傷以外でも、コミュニケーション障害が現れることがあります。

話の焦点がずれて自分本位で話すこと、話にまとまりがないことなどが、発話の特徴です。








◆コミュニケーション障害はどうやって評価するか?



高次脳機能障害の人がコミュニケーション障害を発症しているかどうかを判断するには、以下のような項目を評価します。


・言語機能の評価
失語症を発症していないかどうかを検査します。

・談話を評価します。
情景を描いた絵や4コマ漫画を見せて、絵に描かれていることを説明してもらいます。
自分の生い立ちを、活動や出来事、時間の経過などと共に説明できるかどうか試すこともあります。


このような検査を行うことで、言い換えができるか、言い間違いがないか、時間の経過は正しいか、話に整合性があるか、話の始まり、展開、結末などが整っているかなどについて評価します。








▼参考記事
・交通事故に遭って,気付かないうちに高次脳機能障害になっていることもあるのでしょうか?
・交通事故が原因で,高次脳機能障害になった夫と上手く会話するコツはありますか?
・弁護士に気軽に聞いてみる

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(よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故に遭いました。世話をしてくれる人がいない高次脳機能障害者に対するサービスはありますか?

2018年04月11日
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交通事故に遭いました。世話をしてくれる人がいない高次脳機能障害者に対するサービスはありますか?

高次脳機能障害の人で、日常生活を送る上で支障があるが世話をしてくれる身近な人がいない場合はホームヘルプサービスの利用を検討しましょう。





 高次脳機能障害 : ホームヘルプサービス 




◆高次脳機能障害のために日常生活を送るのがむずかしいと感じたら?



手厚く世話をしてくれる家族が高次脳機能障害者のそばにいるとは限りません。

一人暮らしの若者が交通事故で高次脳機能障害になることもあれば、高齢者夫婦の一人が高次脳機能障害を発症したが、配偶者が要介護で面倒を見てもらえないというケースもあります。
同居している家族がいても、フルタイムで働いていて、日中は世話できないというケースも起こります。

高次脳機能障害で日常生活に支障があるのは、後遺症で精神障害が現れている場合です。
たとえば、精神障害者保健福祉手帳の等級1級と認定された人は、精神障害が原因で、誰かの援助がなければ日常生活を送るのがむずかしい状態です。

そのような場合は、精神障害者居宅生活支援事業の利用を検討できます。







◆失行、失認、遂行機能障害と日常生活



道具をうまく使えないなどの症状が現れる失行は、日常生活に大きな問題を起こします。
歯ブラシやかみそりが使えず、みだしなみを整えることができない、調理道具の使い方がわからなくなって料理ができなくなった・・など、簡単な動作のようですが、
それができなければ、生活が成り立たなくなります。


ものや風景の認知ができないことを失認と言います。
良く知っている町でも、初めて見る風景のようで道に迷い、近所に買い物に行くことすら困難になります。


遂行機能障害とは、順序立てて計画したことを実行する能力が損なわれることです。
カレーライスを食べたいので、まず玉ねぎと豚肉を買いに行き、そのあとカレールーと炒めたらカレーができるというように、順序だてて物事を考えて実現していくことは、
簡単なようでいて、実はとても高度な能力を駆使しているのです。


高次脳機能障害で遂行機能障害になると、発案、計画、実行というプロセスが困難なので、誰かに助けてもらう必要があります。








◆高次脳機能障害とホームヘルプサービス



高次脳機能障害による精神障害のため、身の周りのことを一人で行うことが困難な場合は、ホームヘルプサービスの利用を検討しましょう。

外出、食事の用意、入浴などを援助してくれるのがホームヘルプサービスです。
提供するサービスには決まりがあり、それ以外のことを頼むことはできません。
たとえば、同居家族の食事を作ることや、ペットの散歩などは、ホームヘルプサービスに含まれません。

市区町村の窓口に問い合わせれば、地元のサービス提供所を紹介してくれます。







▼参考記事
・高次脳機能障害と気付かず,復職して苦労しました。復職する前に何かできる事はあったのでしょうか?
・交通事故による高次脳機能障害で,障害年金を申請する際に注意すべきことは何かありますか?
・オーダーメイドの解決

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(よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故による高次脳機能障害と診断されました。障碍者手帳は取得できるのでしょうか?

2018年04月10日
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交通事故による高次脳機能障害と診断されました。障碍者手帳は取得できるのでしょうか?

交通事故で高次脳機能障害になった人は、後遺症の症状に応じて身体障害者手帳または精神障害者福祉手帳を取得すると、さまざまな福祉サービスを受けられます。





 高次脳機能障害 : 交通事故による高次脳機能障害と障害者手帳 




◆高次脳機能障害と介護保険




介護保険は、40歳以上の人が保険料を払い、原則として65歳以上の人が利用できる制度です。

国が定めた特定疾病(とくていしっぺい)と呼ばれる16種類の病気のいずいれかにかかっている場合は、40歳以上65歳未満の人でも介護保険によるサービスを受けられますが、

高次脳機能障害は、特定疾病に指定されていません。

そのため、交通事故などによる脳外傷が原因で高次脳機能障害を発症した65歳未満の人は、介護保険ではなく、別の福祉制度の利用を検討することになります。






◆高次脳機能障害と身体障害者認定




高次脳機能障害による後遺症で失語症になった場合は、音声・言語機能障害として、身体障害者等級認定を申請できます。

言語機能を喪失した場合は、重度の言語障害として身体障害3級に該当します。
それより少し軽い言語障害は4級です。


身体障害認定のための診断書は、障害判定の資格を持った指定医師に作成してもらわなければなりません。

指定医師のいる最寄りの病院を知りたい場合は、お住まいの市町村役場で問い合わせてください。
身体障害として認定されると、身体障害者手帳が発行され、行政サービスや税制などで優遇されます。








◆障害者手帳・福祉手帳で受けられる福祉サービス




身体障害者手帳を取得すると、医療費助成、リフォーム費用助成などのサービスを受けられます。

サービス費用の上限は、障害等級によって異なります。
所得税、住民税、自動車税などの税制面でも優遇措置があります。
就職にあたっては、一般募集だけでなく、障害者雇用枠での募集に応募できます。

精神障害者保健福祉手帳を持っていると、特定求職者雇用開発助成金、障害者トライアル奨励金、障害者雇用奨励金などの給付金の支給対象になることがあり、障害者雇用枠へ求人応募できます。







▼参考記事
・頭(脳)に怪我を負われた方の解決事例
・高次脳機能障害について
・交通事故事案に弁護士がかかわる意味

▼よつば総合法律事務所 公式サイト
▼よつば総合法律事務所 公式ブログ




(よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)
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