交通事故によりけがをしました。そのために勤務先を退職したり解雇されたりしたとき,休業損害や逸失利益はどうなりますか?

2018年09月14日
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交通事故によりけがをしました。そのために勤務先を退職したり解雇されたりしたとき,休業損害や逸失利益はどうなりますか?

交通事故が原因で退職したり解雇されたりした場合,その後の休業損害や逸失利益が認められるケースがあります。そのためには,交通事故がなければ退職・解雇されることがなかったという因果関係が必要です。




 退職・解雇後の休業損害,逸失利益 




◆退職・解雇された場合にも休業損害が認められる




交通事故で怪我をすると,働けなくなって自主的に退職したり,解雇されてしまったりすることがあります。そのようなとき,退職や解雇後の休業損害を加害者に請求できるのでしょうか。

休業損害は,怪我の治療のために仕事を休まなければならないときに得られなくなってしまった収入です。そうであれば,休業損害が認められるのは,仕事を辞めるまでの間になるはずです。辞めてしまったら「本来収入を得られた」という前提がなくなるからです。

しかし,退職や解雇が交通事故のせいでなされたケースでは,話が違ってきます。その場合,交通事故がなかったら仕事を辞めることはなく,そのまま収入を得られたはずだといえるからです。

そこで,交通事故のせいでやむなく退職に追い込まれた場合や解雇されてしまった場合には,退職や解雇後の休業損害が認められます。



ただし,交通事故後の退職や解雇であっても,それが本人自身の判断や責任による場合には,休業損害は認められません。その場合,交通事故が原因とはいえないからです。

たとえば,上司とトラブルになって辞めたとか,条件が悪いので辞めたなどの理由では,退職後の休業損害請求ができません。









◆退職・解雇された場合に休業損害が支払われる期間




退職や解雇された後休業損害を計上できる期間は,再就職するまでにかかる相当な期間とする余地があります。

通常,休業損害が計上できるのは,症状固定までに発生した分ですが,退職・解雇に至ったときは,症状固定後直ちに就職出来るとは限りません。症状固定後数か月間の休業損害が認められた裁判例があります。









◆退職・解雇後の逸失利益について




それでは,交通事故が原因で退職・解雇されたときの逸失利益はどうなるのでしょうか?

逸失利益は,後遺障害によって労働能力が低下したことによる将来の減収です。

その場合の逸失利益の金額は,事故前の収入を基礎として,就労可能年数分(通常は67歳になるまでの分)を計算します。労働能力喪失率は,通常,後遺障害等級に応じて決められます。



以上のように,交通事故のせいで退職・解雇された場合には,休業損害も逸失利益も計上できます。「交通事故のせいで」といえるかどうかは,事案によって変わってきます。

「交通事故のせいで」といえるかどうかは,簡単に判断がつく問題ではなく,大いに問題となりえます。その前に,対応に迷われたときには,お気軽に弁護士までご相談下さい。





▼参考記事
・交通事故に遭い,療養や通院のため有給休暇を取得したとき,休業損害になることがあると聞きました。療養や通院のために病気休暇を取得したときも休業損害として賠償の対象となりますか?
・交通事故に遭った際の基礎収入について質問です。休業損害を算出する際と後遺障害逸失利益を算出する際の基礎収入は同じですか?
・交通事故と慰謝料のすべて

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(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

交通事故で重度後遺障害が残った被害者の近親者の慰謝料について教えてください。

2018年09月12日
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交通事故で重度後遺障害が残った被害者の近親者の慰謝料について教えてください。

重度の後遺障害が残った場合,一定の範囲の近親者には固有の慰謝料が認められます。固有の慰謝料は,本人の慰謝料とは別に認められるので,合計すると慰謝料の金額が全体的に高額になる可能性があります。




 交通事故 : 近親者の慰謝料 




◆近親者固有の慰謝料が認められる基本的なケース




交通事故が発生したとき,被害者本人ではなく,近親者にも固有の慰謝料が認められるケースがあります。

交通事故で死亡などの重大な結果が発生すると,本人だけではなく近親者も大きな精神的苦痛を受けるからです。

交通事故は1種の不法行為ですが,民法は,被害者が死亡したときに親や子ども,配偶者に固有の慰謝料請求権を認めています(民法711条)。


条文上,近親者に固有の慰謝料が認められるのは,被害者が死亡したケースであり,固有の慰謝料が認められる近親者は,父母や配偶者,子どもとされています。









◆重度後遺障害の場合にも近親者に慰謝料が認められる



民法が条文上,親族固有の慰謝料を認めているのは,被害者が死亡した場合のみであり,重大な後遺障害が残ったケースはこれに含まれていません。

しかし,たとえば被害者が植物状態になってしまったり全身が麻痺してしまったり,自分では何もできない状態になってしまったりしたら,親族は死亡したのと同じように強い精神的苦痛を感じるでしょう。

そこで,実際には被害者に重大な後遺障害が残った場合にも,近親者固有の慰謝料が認められると考えられています。

具体的には,後遺障害の等級が1級や2級に相当するケースではほとんどのケースで親族固有の慰謝料が認められます。

3級の場合でも,親族に介護の負担がかかるケースなどでは近親者の慰謝料が認められやすいです。









◆重度後遺障害で固有の慰謝料が認められる「近親者」の範囲



それでは,固有の慰謝料が認められる「近親者」とは,具体的にどのような人なのでしょうか?

条文上は,「親と子ども,配偶者」とされています。

ただ,実際にはこれら以外の人であっても被害者の受傷によって精神的苦痛を受けることがあるので,内縁の配偶者や兄弟姉妹,祖父母などにも固有の慰謝料が認められる可能性があります。









◆後遺障害慰謝料の金額について




近親者固有の慰謝料が認められる場合,その金額はいくらくらいになるのでしょうか?

近親者と被害者の関係や介護の状況,被害者に残った後遺障害の内容や程度によっても異なりますが,50万〜数百万円程度になることが多いです。


これらの慰謝料は,本人の慰謝料とは別途認められるので,遺族固有の慰謝料が認められる場合,本人のみに慰謝料が認められる場合よりも慰謝料が全体的に高額になる可能性が高まります。




交通事故で被害者に重大な後遺障害が残ったら,近親者は非常に辛い思いをするものです。お困りの場合,弁護士がサポートいたしますので,お気軽にご相談下さい。





▼参考記事
・交通事故の慰謝料が増額される場合は,どのような場合ですか?
・交通事故で,入通院したことに対する慰謝料はいくらもらえますか?
・弁護士が入ると賠償額が上がる!

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個人事業主ですが,交通事故前までずっと赤字でした。交通事故の休業損害や後遺障害逸失利益の基礎収入についてはどうなりますか?

2018年09月11日
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個人事業主ですが,交通事故前までずっと赤字でした。交通事故の休業損害や後遺障害逸失利益の基礎収入についてはどうなりますか?

この場合,固定費を考慮して基礎収入を算定したり,平均賃金やそれを割合的に減額した金額を基礎収入としたりします。




 交通事故 : 赤字の個人事業者の基礎収入 




◆個人事業者の基礎収入の基本的な考え方




個人事業者が交通事故に遭った場合,怪我の治療のために働けない期間が発生することが多いですし,後遺障害が残ったら労働能力が低下して減収が発生する可能性もあります。

休業損害や逸失利益を計算する際の「基礎収入」が問題となります。

基礎収入とは,事故前に現実に得ていた収入のことです。個人事業主の場合,一般的には事故の前年度の確定申告書に記載された所得を基準とします。

申告内容が赤字であれば,所得はマイナスになるので,原則論でいうと基礎収入が0以下となり,休業損害や逸失利益が認められなくなってしまいます。









◆赤字の場合の基礎収入について




それでは,赤字の個人事業者の場合には,休業損害や逸失利益を請求できないのでしょうか?

実際には,赤字であっても本人は生活をしているわけですから,何らかの収入はあるはずであり、逸失利益が全く認められないのは不合理とも考えられます。


このようなときには,以下のような方法で基礎収入を算定することが考えられます。



【固定費を基礎収入とする方法(休業損害)】

まずは,休業損害の算定において,固定費を基礎収入として算定する方法があります。

事業としては赤字であっても,最低限毎月固定費は支払っているはずなので,その分の収入(売上げ)はあるはずだという考え方です。

たとえば以下のような費用を固定費として,合計した金額を「基礎収入」とすることが考えられます。

・テナントの賃料
・保険料
・駐車場代,地代
・専従者給与,
・個人事業税,自動車税などの税金

ただし,個人事業を営んでいる場合,「毎月固定費を支払う分の売上げしかない」というわけではないでしょう。

変動費の支払もしてきていたことや自分や家族が生活するために必要な費用も得てきていたはずであることを前提とすれば,この考え方は補償として不十分といえます。




【平均賃金を使う方法】

もう1つの方法は,賃金センサスの平均賃金を利用するものです。

賃金センサスとは,政府が毎年集計している国民の賃金に関する統計データです。

個人事業主の基礎収入を算定するときには,学歴別,年齢別,男女別などの平均賃金を使って算定します。

ただし,平均賃金がそのまま採用されるとは限りません。現にそれだけの収入を得られる蓋然性が小さい場合には,平均賃金を割合的に減額した数値が採用されます。



以上のように,交通事故に遭った個人事業主が赤字の場合でも,休業損害や逸失利益を請求できる余地はあります。一度弁護士に相談してみて下さい。





▼参考記事
・療養や通院のために病気休暇を取得したときも休業損害として賠償の対象となりますか?
・交通事故に遭った際の基礎収入について質問です。休業損害を算出する際と後遺障害逸失利益を算出する際の基礎収入は同じですか?
・逸失利益・基礎収入について(裁判基準)

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交通事故で歯牙障害が後遺障害として残ったときの後遺障害逸失利益と後遺障害慰謝料について教えてください。

2018年09月10日
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交通事故で歯牙障害が後遺障害として残ったときの後遺障害逸失利益と後遺障害慰謝料について教えてください。

歯牙障害が残った場合,後遺障害逸失利益が否定されることがありますが,職業によっては逸失利益が認められるケースもあります。また,逸失利益が否定されたり減額されたりする分,後遺障害慰謝料が認められることも多いです。




 交通事故 : 歯牙障害 




◆歯牙障害とは




交通事故の後遺障害の一つとして「歯牙障害」があります。歯牙障害とは,歯が失われる後遺障害です。

ただ,歯がなくなっても,通常は入れ歯やインプラント,クラウンなどによって補修します(このことを「歯科補綴」といいます)。

そして,交通事故の後遺障害は,このように「適切に治療して歯科補綴した歯の本数」に応じて認められます。歯がなくなって修復しようがないから後遺障害とするわけではありません。

つまり,歯牙障害が残った場合,歯は治療によって一応形が整えられており,食べたり飲んだり話したりすることに支障が無い状態となっているのです。









◆歯牙障害と後遺障害逸失利益



このように,歯牙障害が残った場合,歯は一見して元通りになっていますし,日常生活にも仕事にも大きな影響を及ぼすことはありません。

そうだとすると,労働能力に影響を及ぼさないので,後遺障害逸失利益を認めるべきではない,という考えが出てきます。後遺障害逸失利益は,労働能力が低下したことによる将来の減収分だからです。

歯牙障害が残っても,現実に労働能力が低下したり減収が発生したりすることは少ないでしょう。


実際に,交通事故で歯牙障害が残ったケースでは,後遺障害逸失利益が否定されるケースが多いです。

ただし,スポーツ選手や肉体労働をする方などで,歯を食いしばる必要がある方の場合や,料理人などで歯ざわりが味覚に直結するため歯牙障害によって仕事が困難になってしまった場合などには,正確な発音をしにくくなった場合などに準じ,実際の労働能力低下が認められて後遺障害逸失利益が認定される可能性もあります。






◆歯牙障害と後遺障害慰謝料




歯牙障害で後遺障害逸失利益が否定された場合には,その分後遺障害慰謝料が増額されるケースが多いです。

慰謝料には「補完作用」があるとされています。
補完作用とは,逸失利益が否定されたときに,慰謝料を増額することによってある程度まで補完することです。

ただし,後遺障害慰謝料が増額されるとはいっても,数十万円程度であることも多く,後遺障害逸失利益が認められるのと同程度の増額が見込めるわけではありません。


以上のように,歯牙障害が残った場合には,後遺障害慰謝料や逸失利益の算定の際に特別な考慮が必要になります。対応に迷われたときには,まずは弁護士までご相談下さい。





▼参考記事
・手・肩・肘ではどのような後遺障害の可能性が交通事故ではありますか。
・足・股・膝ではどのような後遺障害の可能性が交通事故ではありますか。
・交通事故による後遺障害の解説

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チャイルドシートの装着義務と不装着のときの交通事故の過失割合について教えて下さい。

2018年09月07日
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チャイルドシートの装着義務と不装着のときの交通事故の過失割合について教えて下さい。

子どもが6歳未満の幼児であれば,チャイルドシートの装着が義務となっています。チャイルドシートを装着させずに交通事故に遭って被害が拡大した場合には,被害者側の事情として,被害者の過失割合が5〜10%程度,加算される可能性があります。




 交通事故 : チャイルドシート装着義務 




◆チャイルドシート装着義務とは




子どもを車に乗せるとき,基本的にはチャイルドシートを装着することが義務となっています。

道路交通法71条の3第3項には,「自動車の運転者は,幼児用補助装置(チャイルドシート)を使用しないで幼児を自動車に乗せて運転してはならない」と定めています。


道路交通法上「幼児」は6歳未満の子どもを指すので,子どもが5歳以下の場合,チャイルドシートを利用しないと道路交通法違反となります。


ただし,病気のためにチャイルドシートを利用できない場合や,その他のやむを得ない事情がある場合には,チャイルドシートを利用しないで子どもを車に乗せることも許されます。

チャイルドシート装着義務が免除されるのは,以下のような場合です。

・車の座席の構造から,チャイルドシートを固定できない場合
・定員内の乗車人員だが,幼児全員分のチャイルドシートを置くと,
 全員が乗車できなくなる場合
・幼児が病気や怪我をしており,チャイルドシートが療養上や健康上不適当な場合
・著しい肥満のケースなど,幼児の身体の関係で,チャイルドシートを適切に利用できない場合
・チャイルドシートを使ったままでは,授乳などの必要な世話を実施できない場合
・バスやタクシーに乗車する場合
・道路運送法によって特別に許可された自家用運送車に乗せる場合
・負傷した子どもを病院へ運ぶ場合,迷子になった子どもを警察に連れていく場合


上記のような例外的なケース以外では,チャイルドシート装着が義務であり,違反すると,運転者の免許の点数も1点加算されます。









◆過失割合について




チャイルドシート装着は道路交通法に基づく義務ですから,チャイルドシート不装着に伴って損害が拡大した場合,被害者側に過失があるといえます。

そこで,チャイルドシート不装着で事故に遭い,幼児が怪我をしたり死亡したりすると,被害者の過失割合が上がります。

幼児自身には過失はありませんが,父母がチャイルドシートを装着させていなかったなどのことが多いと思われます。そうであれば,被害者側の過失として,過失相殺の対象となります。

裁判例では,5〜10%程度,過失割合が加算されるケースが多いです。





以上のように,チャイルドシートをきちんと装着していないと,運転免許の点数が加算されますし,損害賠償金も減額される可能性もあります。何より危険です。
子どもを車に乗せるときには必ずチャイルドシートを使用しましょう。






▼参考記事
・子どもが交通事故に遭って遷延性意識障害になりました。私に万一のことがあったとき,この子の将来についてできることはありますか?
・交通事故に遭った被害者本人だけではなく,家族の慰謝料が認められる場合はありますか?
・交通事故ご相談実例

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交通事故の被害者が会社員や公務員であるとき,交通事故の後遺障害が残っても,減収がない場合も多いです。このようなとき,後遺障害逸失利益は損害として計上できませんか?

2018年09月05日
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交通事故の被害者が会社員や公務員であるとき,交通事故の後遺障害が残っても,減収がない場合も多いです。このようなとき,後遺障害逸失利益は損害として計上できませんか?

実際の減収がなくても,被害者の特別の努力によって事故後の収入が維持されている場合などには,後遺障害逸失利益が認められる可能性があります.





 交通事故 : 後遺障害逸失利益 




◆減収がない場合の後遺障害逸失利益




後遺障害逸失利益とは,被害者に後遺障害が残ったことにより,得られなくなってしまった将来の収入のことです。

交通事故の被害者に後遺障害が残ると,被害者は事故前に比べて身体が利かなくなるので,事故前に比較して労働能力が一定程度落ちると考えるのが一般的です。

そうなると,本来得られるはずだった収入を得られなくなると考えられるので,減収分を逸失利益として,加害者に請求することが認められるのです。


ただ,後遺障害逸失利益は,事故後に減収が発生することを前提としています。

事故後も事故前と同様の年収を維持していたり,事故前よりも年収が上がっていたりすると,後遺障害によっても減収が発生していないことになるため,後遺障害逸失利益を請求できない可能性が出てきます。



実際,任意保険会社と示談交渉を進めるとき,実際の減収が発生していないことが判明したとき,保険会社が後遺障害逸失利益を否定してくることがあります。









◆減収がなくても後遺障害逸失利益が認められるケース




それでは,交通事故後減収が発生していない会社員や公務員などの場合,後遺障害が残っても逸失利益を請求できないのでしょうか?

たしかに後遺障害逸失利益は減収を前提としたものですが,減収が発生していないのは,本人が特別に努力や工夫を重ねているからという場合もありますし,今すぐには減収が発生していなくても,将来転職が難しくなったり昇進・昇給の際に不利益を受けたりするおそれもあります。

そこで,判例では,以下のような場合には,たとえ実際の減収がなくても後遺障害逸失利益を認めるとしています(最高裁昭和56年12月22日)。


・減収を発生させないように,本人が特別の努力をしていて,もしそういった努力などがなかったら減収となっているはずのケース
・職業の性質により,将来の昇給や昇進,転職などの場面で不利益な取扱いをさける可能性があるケース




そこで,特に会社員の場合には,公務員のように定期昇給していくものでもなく将来の転職も充分考えられるので,減収が発生していなくても後遺障害逸失利益を請求できる可能性が高いです。


加害者の保険会社との示談交渉において逸失利益を否定されても,裁判をすれば逸失利益が認められるケースがあります。後遺障害が残って逸失利益を支払ってもらえない場合も,一度弁護士までご相談下さい。







▼参考記事
・交通事故の後遺障害認定手続きの事前認定と被害者請求の違いは何ですか?
・交通事故の逸失利益はどのような計算式で算出されるのでしょうか?
・むちうちで14級9号が認定されるポイントを教えてください

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交通事故による高次脳機能障害と診断された方の事例を教えてください。

2018年09月03日
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交通事故による高次脳機能障害と診断された方の事例を教えてください。

高次脳機能障害で仕事を辞めたが、病気に理解のある彼がリハビリを勧めてくれて自分に自信がついた上、彼にプロポーズされ結婚することになりました。





 高次脳機能障害に理解がある人と結婚 




◆物覚えが悪くなったのがつらかった




(28歳女性)
買い物帰りに車にはねられて頭を打ったのが原因で高次脳機能障害になりました。

この病気の原因は、交通事故が一番多いのだそうですね。
高次脳機能障害は、どこも怪我したように見えないのに、頭の中では脳の組織が破壊されて、いろんな後遺症が出る病気です。

見た目は健康そのものなのに思い後遺症を伴う病気ということで、周囲から理解されにくいのが悩みでした。

特に、記憶力が悪くなり、忘れっぽくなったため、生活する上で困りました。

人との約束を忘れる、買い物にでかけても、何を買うために店に来たのかわからない、初対面の人の名前を覚えられない・・一つひとつの悩みは小さいようでも、それが度重なると困り果てることがしばしばで、生きづらさを感じました。








◆高次脳機能障害に関する理解が広がることを望んで



以前は、服飾販売会社の店員をしていましたが、高次脳機能障害になってからは、とても仕事をこなす自信がなく、退院後、仕事を再開せずそのまま退職しました。

販売員の仕事が好きだったし、職場でかわいがられていたので、本当は仕事を辞めたくなかったのですがやむを得ません。


家で、これからどうやって生活するか考えながら過ごしていたら、会社で別の部署の同期だった男性がたずねてきました。

私が突然退職したのでどうしているか心配だったので来たというのです。

会社で働いていた頃は、同期なので顔見しりでしたが、別の部署に配属されてから顔を合わすことも少なく、時折会話を交わす程度でしたが、こうやって私の心配をしてくれる人がいるということが、涙が出るほどうれしかったです。


彼に、私が高次脳機能障害であると伝え、後遺症のせいで以前のように仕事ができないので会社を辞めたと言うと、とても驚いた様子でした。



その後、メールや電話で連絡を取るようになり、彼との距離がぐっと縮まりました。

彼は、自分なりに高次脳機能障害について勉強し、リハビリで症状が緩和することを知って、私にリハビリを勧めました。


私は、人生に投げやりになりかけていましたが、彼が熱心に私にリハビリをした方が良いと言うので、思い切って病院を訪れ、後遺症が改善するならリハビリをしたいと希望を伝えました。
現在、週に3回リハビリに通っていますが、記憶力について少し改善が見られたように思えます。

先月、私の誕生日に彼からプロポーズされ、夢のような気持ちでした。
結婚式は来年2月です。
高次脳機能障害に理解のある彼と幸せな家庭を築きたいです。









▼参考記事
・交通事故で高次脳機能障害になった人の症状が千差万別なのは,どうしてですか?
・交通事故による高次脳機能障害が完治しない理由は何ですか?
・交通事故で高次脳機能障害になりました。「高次」が意味するものとは何ですか?

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交通事故に遭い,高次脳機能障害の後遺症で人と話をするのが苦手になりました。仕事を変えたいときどうしたらよいでしょうか?

2018年08月31日
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交通事故に遭い,高次脳機能障害の後遺症で人と話をするのが苦手になりました。仕事を変えたいときどうしたらよいでしょうか?

障害者職業センターで仕事の適性を検査してもらい、自分に合った仕事を見つける方法があります。





 高次脳機能障害と障害者職業センター 




◆退院後、もとの職場で働けそうにないと自覚した




(33歳男性)
私は、交通事故で頭を強く打ったことが原因で高次脳機能障害になりました。

怪我をして入院した頃は、時間が経てば元気になって元通り仕事ができると信じ切っていました。

ところが、高次脳機能障害と診断されてから、気持ちが滅入ることが多く、一日中何もぜずにぼーっとしている時間が増えました。

人としゃべるのも面倒で、対人関係が煩わしく感じられます。

私は、営業畑一筋でずっと仕事をしてきて、営業成績には自信がありましたが、これでは営業などとてもできません。

これも高次脳機能障害による後遺症の一つだと、医師から処方された薬を飲んで仕事を頑張ろうとしましたが、内心、営業で頑張ることはもうできないと悲鳴を上げている自分の気持ちにも気付いていました。


結局、復職後3カ月経たないうちに会社に辞表を出したのです。








◆どんな仕事をしたいか自分に問いかけた



高次脳機能障害になる前と後では、自分の性格が変わったことを自覚した私は、どんな仕事をしたいか、考えてみました。

その結果、多くの人と会って会話をかわすような仕事は避けたい、一人で黙々とこなす仕事の方が望ましい、という結論を出しました。

でも、そんな自分にばかり都合の良い職場などあるものだろうか?

不安を抱え、貯えを取り崩しながら職探しをしていた時に出会ったのが、自宅から電車で30分のところにある東京都障害者職業センターです。

どんな仕事が向いているかという検査や就労に関する相談に乗ってくれたので、とても心強かったです。
ハローワークと連携しているので、求人している企業に関する情報も簡単に手に入れることができました。





私は、障害者職業センターを利用して2カ月めに、就職先が見つかりました。

もっとも、始めの間は使用期間で、トライアル雇用といって、障害者の受け入れに関して企業側に持慣れてもらう期間が設けられています。

知らない会社でいきなり働き始めて、高次脳機能障害に関する無理解に苦労するような事態は避けたいと思っていましたが、トライアル期間中に会社側が高次脳機能障害に関する理解を深め、どのようにしたら働きやすい環境を整備して私の能力を引き出せるか考えてくれるので心強かったです。




私は、トライアル雇用の後、本採用が決定し、今は物流会社の総務部で働いています。

職場の同僚も私の後遺症に理解があり、働きやすい職場環境に満足しています。






▼参考記事
・交通事故による高次脳機能障害と診断されました。障碍者手帳は取得できるのでしょうか?
・高次脳機能障害と気付かず,復職して苦労しました。復職する前に何かできる事はあったのでしょうか?
・交通事故の高次脳機能障害で,記憶障害でも仕事をする事は可能ですか?

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交通事故で高次脳機能障害になり、仕事に就けずに悩んでいるのですがどうしたらよいでしょうか?

2018年08月30日
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交通事故で高次脳機能障害になり、仕事に就けずに悩んでいるのですがどうしたらよいでしょうか?

交通事故で高次脳機能障害になり、仕事に就けずに悩んでいる方は、障害者トライアル雇用を利用しましょう。





 交通事故による高次脳機能障害と障害者トライアル雇用 




◆障害者トライアル雇用とは




雇用者と労働者が雇用契約を結ぶ雇用関係は、いったん適正を誤って就労すると、働き初めてすぐに、仕事が自分に合っていないのでやめたいと思うようになり、すぐ仕事を辞めて仕事探しにばかり時間をとられ、お金をなかなか稼げないという悪循環に陥りがちです。

まして、交通事故などで高次脳機能障害になった人が、新たに仕事を探す場合、職場が高次脳機能障害に理解を持って雇ってくれなければ、就職したあとで困難な状況に陥ることが考えられます。

障害者をすぐに本採用するのではなく、試行期間を設けて雇用するのが、障害者トライアル雇用です。

高次脳機能障害などの障害を持った人が、なにが得意か、どんなことができるかといった適性を良く調べて継続雇用に移行することができるのが障害者トライアル雇用の特徴です。
職場で仕事をきちんとこなせるだろうか?

高次脳機能障害による後遺症を理解して接してくれるだろうかといった不安も、障害者トライアル事業を活用すれば、解消することが可能でしょう。









◆障害者トライアル雇用を用いる労働者の条件




障害者雇用促進法に規定する障害者のうち、次のいずれかに該当する人は、障害者トライアル雇用を用いて就労することができます。


・紹介日において就労の経験のない職業に就くことを希望する者
・紹介日において就労の経験のない職業に就くことを希望する者
・紹介日前2年以内に、離職が2回以上または転職が2回以上ある者
・紹介日前において離職している期間が6か月を超えている者
・重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者


高次脳機能障害による後遺障害は、精神障害とみなされるので、障害者トライアル事業を活用した就労が可能です。









◆障害者トライアル雇用を用いた雇用者の条件




障害者トライアル雇用は、雇用保険適用事業所が対象なので多くの企業が活用できるサービスです。

それだけ多くの会社が、高次脳機能障害などの障害を持った人が就労するための窓口を持っているということです。


障害者トライアル雇用を利用するにはいくつかの条件があります。

まず,ハローワークもしくは民間の職業紹介事業者などの紹介を経て雇用しなければなりません。

つぎに、障害者トライアル雇用または障害者短時間トライアル雇用をしなければなりません。

そして、障害者トライアル雇用等の期間は、雇用保険被保険者資格取得の届出がなされている必要があります。



これらの条件を満たしている企業は、障害者トライアル雇用を利用できます。



高次脳機能障害で就業に悩んでいる方は、トライアルで雇用してもらった上で、雇用者と労働者の双方がお互いを理解して納得した上で本就労する障害者トライアル雇用の利用を検討してはいかがでしょうか?






▼参考記事
・交通事故が原因で支給を受けられるに至った遺族基礎年金・遺族厚生年金,障害基礎年金・障害厚生年金の支給要件や損害賠償との関係について教えてください。
・交通事故による高次脳機能障害で,障害年金を申請する際に注意すべきことは何かありますか?
・交通事故による後遺障害の解説

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交通事故により高次脳機能障害と診断されました。地域障害者職業センターについて教えてもらえますか?

2018年08月29日
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交通事故により高次脳機能障害と診断されました。地域障害者職業センターについて教えてもらえますか?

地域障害者職業センターは、交通事故で高次脳機能障害になった人などが働きたい場合に、職業評価や職業相談を行っています。





 交通事故による高次脳機能障害と地域障害者職業センター 




◆地域障害者職業センターは都道府県ごとに設置されている




交通事故やスポーツ外傷などが原因で脳に怪我をしたことが原因で発症する高次脳機能障害は、さまざまな後遺症を伴い、以前と同じ仕事を続けることが困難な場合があります。

そのような方には、ぜひ独立行政法人が運営している地域障害者職業センターの存在を知ってほしいと思います。

地域障害者職業センターは、基本的に都道府県ごとに設置されており、東京都に関しては、上野に本所、多摩に支所があります。

地域障害者職業センターは、他の機関と連携を取って障害者の就業を支援しているので、ハローワークで求職するよりも、その人ごとに、適性や障害の程度に応じた職業を紹介することができます。

以下に、地域障害者職業センターが行っている職業支援の具体的な内容を紹介します。








◆職業評価と職業相談



職業評価では、就労を希望する高次脳機能障害などの障害者の方に、さまざまな検査を実施したり、作業を行ってもらって、どのような健康状態でどのようなスキルが現存しているかを確認します。

職業に関する希望を聞き、その人に応じた支援内容について検討するのが、職業相談です。

能力にふさわしい仕事でなければ、せっかく仕事を始めても、職場でミスを多発する、同僚や上司と意思疎通がうまくいかず、職場で孤立するなどの問題が起こる可能性があります。
就職しても、すぐ仕事を辞めては意味ありません。
高次脳機能障害の人は、一人ひとり症状が違います。

職業相談をする目的は、その人ごとにふさわしい職業をともに検討するためです。








◆ジョブコーチ



地域障害者職業センターは、ジョブコーチの派遣を行っています。

ジョブコーチは、日本語で職場適応援助者と言い、高次脳機能障害などの障害がある人が就労した職場に派遣されます。

ジョブコーチは、障害のある就労者と事業者の両方に援助を行います。
ジョブコーチの派遣は、就労後だけでなく、就労前の職業実習時、就労時、就労後と、3つの段階でそれぞれサービスを利用できます。

障害の特性に応じて、どのように仕事をすれば良いかを専門家の視点から援助するので、事業者にとっても、障害のある人を雇用する上で活用する価値のあるサービスです。







◆職業訓練と専門的なリハビリテーション



地域障害者職業センターは、国立職業リハビリテーションセンターおよび国立吉備高原職業リハビリテーションセンターと連携しています。

高次脳機能障害の方が、職業訓練をする上で特別な支援が必要で、より専門的なリハビリテーションを行えば就労が可能という場合、専門性の高い医療リハビリテーションを上記の施設で受けることができます。






▼参考サイト,参考記事
・東京障害者職業センター
・家族が交通事故に遭いました。高次脳機能障害とコミュニケーション障害について教えてもらえますか?
・専業主婦が脳挫傷後の高次脳機能障害により2級1号の認定を受け約4810万円を獲得した事例

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(よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)
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