交通事故で高次脳機能障害になった際の仕事のやり方について一例を教えてください。

2018年10月05日
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交通事故で高次脳機能障害になった際の仕事のやり方について一例を教えてください。

高次脳機能障害で記憶障害を発症して仕事上の約束を守れませんでしたが、自分なりに工夫したメモを作り約束を守れるようになりました。





 高次脳機能障害だが自分なりのメモで約束が守れるようになった事例 




◆退院後すぐに仕事を再開



(28歳女性イラストレーター)
交通事故に遭い、頭を打ったのが原因で高次脳機能障害になりました。

入院しましたが、意識ははっきりしているし、手足を骨折したわけでもないので、じき退院してもとの生活に戻れると思っていました。

高次脳機能障害という病気については、お医者さんから説明がありましたが、自覚症状は特にないので、軽く済んで良かったと胸をなでおろしたくらいです。

2週間の入院で退院し、自宅に戻って仕事を再開しました。

私はイラストレーターで、普段は家で仕事をしています。
クライアントとの打ち合わせで外出したり、資料をあさりにイベントや展覧会を回ることもあります。
フリーで仕事をしている者にとっては、一日休めばそれだけ収入が減るので、ともかくすぐに仕事を始めたかったのです。

退院する時にリハビリテーションに通うように指導を受けましたが、その時間がもったいなくて、退院後、数回通っただけでリハビリテーションは中断してしまいました。








◆物忘れがひどく仕事でクレームの嵐




仕事を再開してから、大きな失敗を繰り返すようになりました。
イラストは以前と同じように描けるのですが、約束事を守れなくなったのです。

守れないというか、忘れてしまってすっぽかすという方が正しいでしょうか。
受注した仕事の納期を忘れて、納期を守れないことが繰り返されました。

雑誌出版社と打合せをする約束があったのですが、その約束を忘れて決められた時間と場所に行きませんでした。
出版社はあきれかえるし、納品が遅れてしまった相手先は激怒するし、消え入りたいほど恥ずかしかったです。



これまでは、納期に遅れたことはないのが自慢でしたし、約束の時間の30分前には現地に到着するように心がけていた性格です。

どうしてこんな風になってしまったのか・・原因は高次脳機能障害でした。
中断していたリハビリテーションを再開し、仕事で曹禺している困難な状況を訴えたところ、記憶障害を指摘されました。




病院で勧められたのが、自分なりに工夫したメモを部屋に貼ることです。

私の部屋は、イラストレーターという仕事柄、紙が多いので、小さなメモでは周囲の風景に紛れて目立ちません。

そこで、要らなくなった大判の紙で特大のメモを作ることにしました。

まず、ベッドサイドに、油絵を描くときなどに使うイーゼルを起きました。
そして、イーゼルに必要事項を6月22日(火)11時○○出版社訪問などと書いた紙を立てかけるのです。メモは、ベッドに横になった時に良く見える場所に置きました。

寝る前も、起きた時も、メモの内容が目に飛び込んできます。
おかげで、約束を忘れることはなくなりました。




高次脳機能障害の人は、生きづらさを抱えていることも多いと思いますが、自分なりの工夫でその生きづらさを和らげることができると思います。






▼参考記事
・高次脳機能障害ブログ
・交通事故による後遺障害の解説
・当事務所の交通事故解決事例

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(よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故で高次脳機能障害になった人への支援について教えてもらえますか?

2018年10月04日
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交通事故で高次脳機能障害になった人への支援について教えてもらえますか?

高次脳機能障害の人は抽象的な話が苦手なので、会話をする時は具体的に話しましょう。





 交通事故で高次脳機能障害になった人の支援(3) 




◆高次脳機能障害の人は抽象的な話は苦手




交通事故が原因で高次脳機能障害を発症した人に起こる後遺症の一つに失認(しつにん)があります。

失認とは、見る、聞く、触るといった感覚による認知がうまくできなくなることです。

顔や風景を認識できない、体の部位を認識できないといった症状が現れることもあります。



顔を認識できない相貌失認(そうぼうしつにん)になると、良く知っている人と会っても、相手が誰だかわかりません。

こんにちは、今度うちに来てご飯を食べませんか?などと声をかけても、相手が誰だかわからないので困ってしまうのが相貌失認の患者さんです。
このような症状を発症していることをあらかじめ聞いていたら、○○中学校同級生の□□です。と、まず自分と相手の関係を理解してもらってから会話を進めましょう。



なお、今度うちに来ない?の今度という表現は、いつなのか?という意味でとてもあいまいで、高次脳機能障害の人がもっとも苦手とする表現のひとつです。

上記の会話を、高次脳機能障害が理解しやすいように表現するならばこのように話すと良いでしょう。

こんにちは、○○中学校同級生の□□です。来週10月1日の水曜日にうちに来て夕ご飯を食べませんか?









◆名称と実物を結び付けるように支援する




失認のなかでも物体失認になると、良く知っているものを見てもそれが何か、どのように使うのかわからなくなります。

しかし、知能が衰えているわけではなく、その物体に触ると何かわかるのです。

絵カードを見せて物の名前を覚えさせる訓練が行われますが、実物を見ると、平面の絵と立体では印象が違うこともあり、理解できないこともあります。

しかし、繰り返し行うことで認知度が上がっていくので、支援する人は、根気よく訓練を続けていくことが求められます。




視覚失認になった高次脳機能障害の人は、調理器具の使い方はおろか、その名称すら見ただけではわからなくなります。

そんな時、家族の人は、こんなこともわからないのかと嘆いたりせず、ひとつひとつ、物に触れさせて名称を教えてあげてください。









◆状況把握ができないことを認めさせる




失認の症状の一つに病態失認(びょうたいしつにん)があります。


病態失認の人は、自分の病状を認識できません。
まだ十分に歩行機能が回復していないのに、来週から復職します、なんでも自分でできるし、日常生活で問題ありません、などと言うのが、病態失認の人の特徴です。


病状が十分回復していないのに職場復帰したら、周囲に迷惑をかけ、本人も嫌な思いをするでしょう。

高次脳機能障害で病態失認になった人には、頭ごなしに否定せずに、できることとできないことを理解してもらうように努めましょう。






▼参考記事
・交通事故に遭って高次脳機能障害になった場合,右脳と左脳が関係すると聞きました。どのような後遺症になりますか?
・交通事故で高次脳機能障害になったら何故リハビリテーションが必要なのでしょうか?
・交通事故の注目の裁判例

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(よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

妻が交通事故で高次脳機能障害になりました。どのような支援をすればよいでしょうか?

2018年10月03日
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妻が交通事故で高次脳機能障害になりました。どのような支援をすればよいでしょうか?

交通事故で高次脳機能障害になり遂行機能障害を発症した人の支援では、依頼事を一度に出さず、一つの課題をクリアしたら次の課題を与えるようにしましょう。





 交通事故で高次脳機能障害になった人の支援(2) 




◆複数の指示を理解して遂行するのは困難なことも



高次脳機能障害は、頭部外傷で脳を損傷した人がかかる病気で、交通事故やスポーツ外傷が主な原因となっています。

高次脳機能障害はさまざまな後遺症を伴う病気ですが、その一つに遂行機能障害があります。

遂行機能とは、ある目的を持って順序立てて活動するために必要な能力のことです。


今日は天気が良いので洗濯物が良く乾きそうだ、布団も干そうと思えば、朝から洗濯機を回し、布団を干すでしょう。

天気が良い・濡れた衣類が良く乾く・洗濯するのに適した気候だ・洗濯しよう・布団も干そう・夕方には洗濯や布団を取り込む作業が待っている・その後は洗濯物を畳まなければ・・・私たちはこれらの活動を、ごく当たり前のように結び付けてこなしていますが、遂行機能障害になると、こういった作業が困難になります。

つまり、計画が立てられず、課題を正しい方法で続けることができないのです。
もし、なにか課題を与えてやらせてうまくできなくても、結果に無頓着な場合もあります。


高次脳機能障害という病気を理解していなければ、こんな簡単なこともできないのか?とか、前はできたことがなぜできないのか?とか、誤った結果になって反省しないのか?と、患者さんを責めたくなるかもしれません。

しかし、これら一連の動作や反応は、遂行機能障害が原因なのですから、患者さんが混乱せずに課題をこなせるように周囲が気を配るべきです。





そのためには、複数の指示を同時に出さないようにすることが大事です。

外出するならスーパーマーケットでティッシュペーパーを買ってきてほしいけど、天気予報では夕方から雨なので、雨が降ってきたら荷物になるから買ってこなくてもいいです、それと、もし衣類用洗剤がバーゲンでお買い得になっていたら買ってきて、などという頼み事は、遂行機能障害の人がもっとも苦手とする指示です。

遂行機能障害の人は、知能が低下したわけではありませんが、指示を一つひとつバラバラに与えなければ混乱してしまうのです。









◆一つの課題をクリアしたら次の課題へ




高次脳機能障害で遂行機能障害を発症した人に頼み事をする場合は、1つ1つ明確に分けて行いましょう。

上記の依頼事でしたら、スーパーマーケットでティッシュペーパーを買ってきてください、という指示だけで終わりにします。

指示を簡潔にして、それを達成したら、また別の課題を与えるようにするようにして、支援していきましょう。







▼参考記事
・家族が交通事故に遭いました。高次脳機能障害の遂行機能障害の可能性があるとの診断でしたが,どのような障害なのでしょうか?
・交通事故で高次脳機能障害になった際,早期にリハビリテーションしたほうが良い理由はなぜですか?
・交通事故専門チームによるご相談

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(よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故で高次脳機能障害になった時の支援について教えてください。

2018年10月01日
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交通事故で高次脳機能障害になった時の支援について教えてください。

交通事故などが原因で発症する高次脳機能障害は完治が難しい病気ですが、環境を整え、適切な支援をすることで症状が緩和します。







 交通事故で高次脳機能障害になった人の支援(1) 




◆完治しない病気だからこそ支援が必要




交通事故などによる頭部外傷が原因で発症する高次脳機能障害は、完治しない病気と言われています。

そう聞いただけで、患者さんは絶望的な気持ちになってしまうかもしれません。
さらに、高次脳機能障害の特徴として挙げられるのは、発症直後の症状が一番重く、それより病状が進むことはないということです。

つまり、症状が消えることはないが、病気になってしばらくすると症状が安定するのです。


そう聞くと、それならば、特別な看護はしなくても、じっとして症状が落ち着くのを待てば良いと思うかもしれませんが、そうではありません。

専門的な知識を持った医療従事者が、適切な支援をすることこそが、高次脳機能障害の症状を緩和することにつながるということを、ぜひ知っておいてほしいのです。

医師や看護師、理学療法士や作業療法士などの専門家が行う看護や治療は、完治を目的とするというよりも、症状を和らげ、もとの生活の戻るための支援と考えても良いでしょう。









◆患者を支援する方法



医療従事者が高次脳機能障害の患者さんを支援するには次のような方法があります。


【生活環境を整える】

高次脳機能障害の人は、与えられたミッションを達成する能力があるにもかかわらず、ちょっとしたことで興奮したり、精神的に不安定になって、本来はできることができなくなったり、他者との人間関係が悪化します。

そのため、生活環境を整え、能力を引き出し、確実にできることを増やしていきます。

たとえば、日にちや時間がわからなくなる症状がある人は、カレンダーを目立つ場所に貼り、予定を書くようにします。

リハビリテーションの予定などを書くことは、予測や準備といった時間に対する概念の鍛錬になります。





【視覚的刺激の活用】

人間の記憶には限界があります。
健康な人でも、人の名前や約束の時間を忘れることがあります。
皆さんも、大事な約束を手帳にメモすることがあるでしょう。

高次脳機能障害の後遺症の一つに、物忘れがはなはだしく、新しい経験ほど覚えていない記憶障害があります。

そこで活用したいのが視覚的な刺激です。

メモを取っても、メモしたことすら忘れている可能性があるので、大事な約束を付箋に書いて壁に貼るなどして、記憶を呼び起こすようにします。
トイレなどの毎日必ず通る場所に予定表を貼るのも良いでしょう。


物の名前と用途が一致しない記憶障害もあります。

ハサミ、歯ブラシなど良く使うツールのイラストとその名称を書いた絵カードを身近に置いて名称と使用方法を確認する訓練を行うこともあります。








▼参考記事
・交通事故で高次脳機能障害になった際,早期にリハビリテーションしたほうが良い理由はなぜですか?
・交通事故ブログ:高次脳機能障害
・頭(脳)に怪我を負われた方の解決事例

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(よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

私に過失があると言われて保険会社が交通事故の治療費の対応をしてくれません,どういうことですか?

2018年09月28日
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私に過失があると言われて保険会社が交通事故の治療費の対応をしてくれません,どういうことですか?

被害者であるあなたの過失割合が高いと保険会社が負担すべき賠償金額が低くなるので,保険会社は治療費を出し渋っていると考えられます。そのようなときには,自賠責保険に対して直接治療費などの保険金を請求しましょう。




 交通事故 : 過失割合 




◆過失割合が高いと治療費を支払ってもらえない




交通事故で被害に遭うと,一般的には任意保険会社が病院に直接治療費を支払ってくれます。しかし被害者の過失割合が高い場合,任意保険会社が治療費の支払を拒絶することがあります。

被害者の過失割合が高いと,過失相殺によって任意保険会社が負担すべき賠償金額が低くなるからです。

たとえば300万円の損害が発生していても,被害者の過失割合が70%であれば,被害者に支払われる賠償金は全体として90万円にしかなりません。

そうすると,保険会社が先に治療費を全額支払ってしまったら,治療費だけで90万円を超えてしまい,過払いになってしまう可能性も発生します。

そこで,被害者の過失割合が高い事案では,任意保険会社が治療費を支払わないことが多くなるのです。









◆自賠責保険に直接請求する




任意保険が治療費を支払ってくれない場合には,自賠責保険に対して直接保険金請求をする対応が考えられます。

自賠責保険では,被害者に7割以上の過失がある場合「重過失減額」が行われますが,その減額割合は不法行為に適用される過失相殺より低いからです。
たとえば被害者に7割の過失割合がある場合でも,自賠責保険の重過失減額では2割が減額されるのみです。

そうなると,任意保険よりも自賠責保険の方が,多くの保険金を出してくれる可能性があるのです。

被害者請求の方法で,必要書類を集めて自賠責の保険金を請求しましょう。









◆示談交渉や訴訟で過失割合を争う




また,任意保険の主張している過失割合が間違っている可能性も考えられます。

前提となっている事故状況の認識に誤りがあるケースもありますし,あてはめている過失割合の基準が間違っている場合もあります。

そのような場合には,適正な過失割合をあてはめることにより,任意保険会社に治療費やその他の賠償金を支払わせることも考えられます。

被害者が自分で交渉をしても任意保険会社の態度が変わらない場合,弁護士が対応することによって状況が改善されることも多いです。


交通事故では,過失割合や治療費に関してトラブルになるケースが非常に多いです。
お困りの場合には,一度弁護士までご相談下さい。






▼参考記事
・交通事故における過失割合は,なかなか100対0にはならないといわれていますが,100対0になるのは,どのような交通事故なのでしょうか?
・交通事故の過失相殺とは
・損害賠償額の計算方法

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(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

交通事故に遭い,任意保険会社の提案を了承して示談書を取り交わしましたが,やはり撤回したいと思い,担当者にその旨を告げました。しかし,担当者は応じないと言ってきています。撤回することはできますか?

2018年09月26日
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交通事故に遭い,任意保険会社の提案を了承して示談書を取り交わしましたが,やはり撤回したいと思い,担当者にその旨を告げました。しかし,担当者は応じないと言ってきています。撤回することはできますか?

いったん示談書を取り交わしたのであれば,原則的に撤回はできません。
撤回が認められるのは,相手の詐欺や強迫にもとづく場合,錯誤があった場合,示談後に当時は予測できなかったような損害が発生した場合などの限定されたケースのみです。





 交通事故 : 示談書 




◆示談書を作成する意味



交通事故で,いったん相手と示談をして示談書を交わしてしまったら,基本的にやり直しは不可能です。

示談書を取り交わしたということは,被害者と加害者がその示談内容に合意をして,損害賠償についての契約を締結したのと同じだからです。

いったん契約が成立している以上,一方の意思によって破棄することは認められません。


そこで,示談書に署名押印するときには,「本当にそれでよいのか」しっかりと検討し,後悔しないようにじっくり考えてからにすべきです。

自分で判断できないときには,弁護士に相談しましょう。









◆示談を撤回できるケース




示談書を取り交わした後,例外的に撤回できるケースがあります。


【相手による詐欺,強迫】

まず,相手によって詐欺や強迫行為があった場合には,「取消」が認められます。
そこで,相手からだまされたり脅されたりして無理矢理示談書に署名押印させられた場合,取消権を行使して,示談を無効にすることができます。



【錯誤】

契約の重要部分となる要素について錯誤があった場合には,表意者に重過失がない限り意思表示が無効になります。

そこで,示談の前提となる事実について勘違いをしていた場合には,錯誤無効を主張して示談書の効果を否定することが可能です。



【公序良俗違反】

示談内容が暴利になっていたり,反対に被害者が明らかに不利な内容となっていたりして,公序良俗に反する程度に至っている場合には,やはり示談は無効になります。


ただ,保険会社を相手に示談した場合,上記のような理由によって示談を撤回することは基本的に難しいでしょう。









◆示談後の損害賠償が可能なケース




示談した後にも,追加で損害賠償請求できるケースはあります。

それは,示談当時に予想できなかった後遺症による損害が後に明らかになった場合です。

この場合,後の後遺症による損害は示談の前提となっていないので,示談の内容に含まれず,追加で請求できると考えられるのです。
そこで,このような特殊事情があれば,本件でも相手に追加で賠償金を請求できる可能性があります。




以上のように,示談書を撤回できるケースは極めて限定されています。後で「しまった」と思わないように,示談書に署名押印するときには慎重に対応しましょう。





▼参考記事
・よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」
・当事務所の交通事故解決事例
・交通事故の注目の裁判例

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(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

営業で出かけているときに交通事故に遭って怪我をしました。会社は,「交通事故だから加害者に賠償させるべき。」と言って労災の手続に協力してくれません。会社の協力がなければ労災は使えないですか。何か方法はありますか?

2018年09月25日
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営業で出かけているときに交通事故に遭って怪我をしました。会社は,「交通事故だから加害者に賠償させるべき。」と言って労災の手続に協力してくれません。会社の協力がなければ労災は使えないですか。何か方法はありますか?

労災は,会社の協力がなくても申請・利用できます。労災の請求書に「会社が手続きに協力しない」ことを書いて提出すれば受け付けてもらえます。




 交通事故 : 労災 




◆労災とは




交通事故が「労災」に該当するケースがあります。労災とは,業務に起因して労働者が怪我をしたり病気になったりすることです。


労災が発生すると,労働者は「労災保険」により,さまざまな給付金を受け取ることができます。


たとえば,療養補償給付(治療費),休業補償給付,障害補償給付(後遺障害の逸失利益),介護補償給付などが支給されますし,労働者が死亡したときには葬祭料,遺族補償給付が支給されます。










◆労災の申請方法




労災保険を適用してもらうためには,労働基準監督署に対して労災給付の請求を行い,労災として認定されなければなりません。

労災給付の請求書には,会社が記名押印して,記載内容を証明する欄が設けられています。

ところが,会社が労災申請に非協力的な場合には,労災の請求書への記名押印を拒絶することがあります。
そうすると,労災の請求書が完成しないので,労働基準監督署へ提出できないと考えてしまう労働者の方が多数おられます。








◆会社が協力しない場合の対処方法




実は,労災の請求書は,会社の協力がなくても作成できます。
確かに会社による記名押印による証明部分がありますが,この欄については記入が必須ではないからです。

会社が協力しないことが多々あることは行政側も理解しているので,会社が記入を拒絶した場合には,その旨記載しておけば,そのまま申請書を受け付けてもらえます。

その場合にも,通常通り症状や労災の状況についての調査が進み,きちんと労災であることが証明されれば労災認定されますし,労災給付金も支給されます。

労災が認定されても雇用者が給付金を支払うわけではないので雇用者は労災申請を嫌う理由はないはずですが,労働時間の管理や健康管理などがきちんとできていない企業では,労基署の目に触れることをおそれて労災申請に消極的なケースがあります。

そのようなときでも,交通事故が労災に該当するなら,労働者には権利があるのできちんと労災給付金の支給を受けましょう。



弁護士が労災申請の代行を行うことも可能なので,業務中や通退勤の途中で交通事故に遭われた場合,是非とも一度,ご相談下さい。





▼参考記事
・交通事故の労災(業務災害・通勤災害)の後遺障害等級認定手続について教えてください。誰がどのように認定しているのですか?
・交通事故の労災保険の時効は何年ですか?
・交通事故に遭いました。労災の費目拘束と過失割合は,どんな関係がありますか?

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(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

交通事故で傷跡が後遺障害として残ったときの後遺障害逸失利益と後遺障害慰謝料について教えてください。

2018年09月21日
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交通事故で傷跡が後遺障害として残ったときの後遺障害逸失利益と後遺障害慰謝料について教えてください。

傷跡が後遺障害になるケースには,外貌醜状や上肢,下肢の醜状痕の障害などがあります。
これらの後遺障害が残っても労働能力が低下しないので逸失利益が否定される可能性がありますが,その分慰謝料が増額されるケースが多いです。





 交通事故 : 傷跡の後遺障害 




◆醜状痕の後遺障害とは



交通事故で,傷跡が後遺障害として認定されるケースがあります。

傷跡の後遺障害は,外貌醜状その他の醜状痕に分けられます。



外貌醜状とは,頭や顔,首の露出する部分に傷跡やアザ,組織陥没などが残る後遺障害です。
外貌醜状以外の醜状痕は,上肢や下肢,腹部や背中部,胸部やお尻に傷跡が残った場合の後遺障害です。


外貌醜状の場合,7級,9級,12級のうちいずれかに認定され,その他の醜状痕の場合には12級または14級が認定されます。









◆後遺障害逸失利益が否定・減額される




一般的に,交通事故で後遺障害が残った場合には,加害者に対して「逸失利益」を請求できます。

逸失利益とは,後遺障害が残って労働能力が低下したために,得られなくなってしまった将来の収入です。

後遺障害が残ると,一般的には身体が不自由になって,それまでのようには働けなくなるので,将来の減収分が発生して,相手に損害賠償を求めることができるのです。

ところが外貌醜状や醜状痕の場合,身体は不自由にはなりません。単に見た目で傷跡が残っているだけです。

そこで,労働能力は低下しないと考えられて,逸失利益を否定されるケースが多いです。

また,認めてもらえたとしても,基準の労働能力喪失率よりも低い割合で計算をされて,標準的な逸失利益の金額より減額される可能性が高いです。









◆後遺障害慰謝料が増額される



それでは,外貌醜状や醜状痕障害の場合,逸失利益が否定されたらそのまま受け入れるしかないのでしょうか?

実は,このようなとき「慰謝料の補完作用」が働きます。

慰謝料の補完作用とは,逸失利益などの他の損害が認められなかったり減額されたりした場合に,補完的に慰謝料が増額されることにより,全体としての賠償金額を調整する機能です。

外貌醜状や醜状痕の場合,たとえ身体が不自由にはならなくとも,本人は大きな精神的苦痛を受け,外に出たり人前に出るのが嫌になったりする方もたくさんおられます。そこで,慰謝料の補完作用として,一般的なケースよりも慰謝料が増額されるのです。



醜状障害で保険会社と示談交渉をするときには,逸失利益を否定されることが多数です。そのような場合,反論して逸失利益を一部認めさせることができるケースもありますし,それができなくても慰謝料を増額させられる可能性が高いです。


交通事故で外貌醜状や醜状痕の障害に悩まれている場合,一度弁護士までご相談下さい。





▼参考記事
・交通事故の醜状障害と後遺障害逸失利益について教えてください。
・後遺障害等級について
・交通事故と慰謝料のすべて

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(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

交通事故時の胎児の損害賠償請求権があると聞きました。詳しく教えてください。

2018年09月19日
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交通事故時の胎児の損害賠償請求権があると聞きました。詳しく教えてください。

交通事故時に胎児でも,その後無事に生まれてきたら損害賠償請求ができますが,流産や中絶によって生まれてこられなかった場合,損害賠償請求はできません。




 交通事故 : 胎児の損害賠償請求 




◆胎児の損害賠償請求について




交通事故で損害賠償請求ができるのは,交通事故が「不法行為」になるからです。

そして法律上,不法行為にもとづいて損害賠償請求ができるのは「人」であると理解されています。ところが胎児は,生まれる前の段階であり,まだ「人」にはなっていないと考えられています。

そこで,胎児自身が不法行為にもとづく損害賠償請求をすることはできません。

ただし,民法は「胎児は,損害賠償請求については,既に生まれたものとみなす」(民法721条)と規定しています。

つまり,不法行為時に胎児の状態であっても,生まれたものと同じ扱いにしてもらえて,「人」として,損害賠償請求ができる可能性があるということです。










◆胎児が生まれてきた場合



交通事故後,胎児が無事に成長して生まれてきた場合には,何の問題もありません。
胎児自身に損害賠償請求権が認められ,加害者に賠償を求めることができます。

たとえば交通事故により,胎児自身に後遺障害が残った場合には,後遺障害慰謝料や逸失利益などを請求できる可能性があります。









◆胎児が流産,中絶,死産になった場合



これに対し,流産したり中絶したり,死産となって胎児が無事に生まれてこなかったケースも考えられます。

これらの場合には,胎児は,民法721条によっても,生まれたものとみなしてもらえません。
生まれたとみなしてもらえるのは,後に実際に生まれたことを前提とするものであり,生まれなかったものまでも,「生まれた扱いにする」わけではないからです。


妊婦さんは交通事故のショックで流産したり死産したりすることもありますし,治療のためにやむなく中絶することも頻繁にありますが,そのような場合,胎児の損害賠償請求は認められません。









◆母親の慰謝料増額事由となる




それでは,胎児が流産したり中絶,死産によって生まれてこられなかったりした場合,加害者には何らの責任もないのでしょうか?

確かに,胎児は生まれていない以上,胎児自身の損害を観念することはできません。


しかしこのような場合,母親は大変な精神的苦痛を受けるものです。そこで,母親の慰謝料を増額することにより,胎児が失われた損害が一定程度填補されます。

ただし胎児は人ではないので,増額される慰謝料の金額は,人の死亡慰謝料ほどの金額には到底及びません。



交通事故当時妊娠していた場合,その後の治療方法や胎児の取扱いなどについて,さまざまな問題が発生しやすいです。迷われた際には,お気軽に弁護士にご相談下さい。





▼参考記事
・交通事故の損害賠償の基準がいくつかあると聞きました。具体的に教えてください。
・交通事故による後遺障害の解説
・千葉 弁護士による交通事故の無料相談

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交通事故に遭いました。加害者の刑事裁判の被害者参加について教えてください。また,加害者が未成年者だったときについてはどうなりますか?

2018年09月18日
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交通事故に遭いました。加害者の刑事裁判の被害者参加について教えてください。また,加害者が未成年者だったときについてはどうなりますか?

交通事故の被害者は,加害者の刑事裁判に「被害者参加」をして,さまざまな形で加害者の裁判に関わることができます。加害者が未成年者の場合にはそもそも裁判が開かれないので被害者参加できませんが,被害者保護のための制度が用意されています。




 交通事故 : 加害者の刑事裁判の被害者参加 




◆被害者参加制度とは




人身事故を起こした場合,加害者には過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪が成立するので,起訴されて,刑事裁判で裁かれる可能性があります。

その場合,被害者は加害者の刑事裁判に「被害者参加」できます。





被害者参加する場合,被害者は以下のような形で加害者の刑事裁判に関与することが認められます。

【検察官の権限行使に対する意見の申述】
被害者参加人は検察官に対し,その事件で検察官が権限を行使する方法について意見を述べ,説明を求めることができます。

【証人尋問】
被害者参加人は,被告人が申請した情状証人に対し,証人尋問をすることができます。尋問内容は情状に関する事実に限られます。

【被告人質問】
被害者参加人は,被告人に対して尋問できます。このときには,犯罪事実についても尋ねることができます。

【心情意見陳述】
被害者参加人が裁判官やその他の関係者に対し,自分の心情を申述することです。
意見陳述の内容は証拠にはなりませんが,量刑判断の資料になります。

【被害者論告】
被害者参加人は,裁判官に対して事実や法律の適用についての意見を述べることもできます。この場合には,単なる心情だけではなく,具体的な求刑などについての希望を述べることができます。









◆被害者が少年審判に関わる方法




以上に対し,加害者が未成年の場合には,刑事裁判にはなりません。秘匿性の高い少年審判の手続きが開かれるので,被害者参加は認められていません。


ただし,被害者保護のため,以下のような手続きがもうけられています。

まず,被害者はその事件の記録を閲覧したりコピーして入手したりすることができます。

また,被害者として,家庭裁判所に対して意見を述べることも可能です。意見陳述の方法には,以下の3種類があります。

・審判の場で審判官に対して述べる
・審判以外の場で審判官に対して述べる
・審判以外の場で調査官に対して述べる



さらに,審判結果の通知を受けることが可能です。
通知される内容は,以下のとおりです。

・加害少年と法定代理人(親など)の氏名と住居
・審判の年月日
・審判による処分内容
・審判理由の要旨


これらの被害者保護の制度を利用するためには,家庭裁判所への申出が必要です。





交通事故に遭ったとき,加害者の処分に対しても関心が高まるものです。弁護士が被害者参加のお手伝いをすることも可能なので,よろしければ一度ご相談下さい。









▼参考記事
・交通事故の加害者が不起訴になりましたが,納得できません。加害者が罰金の略式命令を受けたことが納得できないときは何か方法はありますか?
・交通事故の加害者が逃げてしまいました。加害者が誰であるか分かりません。何か方法はありますか?
・よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」

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(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)
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