死亡事故における生活費控除について教えてください。

2017年10月20日
このエントリーをはてなブックマークに追加

死亡事故における生活費控除について教えてください。

生活費控除とは,被害者が死亡したことによって生活費がかからなくなるので,その分を逸失利益から控除することです。




 生活費控除 



◆死亡逸失利益とは


生活費控除というのは,死亡逸失利益に関して問題になるものです。

死亡逸失利益とは,被害者が死亡したことによって得られなくなった将来の減収のことです。




交通事故で被害者が死亡すると,その後働くことができなくなります。そうすると,本来得られたはずの収入が得られなくなるということになります。また,年金を受給していた方が交通事故で死亡すると,年金の支給がストップします。交通事故にあわなければ,支給され続けたはずです。

これらは,交通事故によって発生した損害です。
そこで,被害者が死亡すると,死亡逸失利益が損害として発生することになります。




死亡逸失利益のうち労働分を計算するときには,被害者の事故前の年収を基準にします。そして,将来の収入は,労働ができる年数分だけ発生するはずですから,請求できる年数は,就労可能年数分です。

一般的に,就労可能年齢は67歳とされているので,死亡逸失利益として,67歳までの減収分を算定できることになります(事案によって異なりますので,常に67歳までというわけではありません。以下も同様です。)。

死亡逸失利益の年金分を計算するときは,被害者の年齢における平均余命までの年金を計算します。逸失利益の対象となる年金とならない年金がありますが,ここでは割愛します。







◆生活費控除とは


被害者が御存命であれば,収入が得られたはずである一方,生活費も必要となります。したがいまして,得られた収入がすべて手元に残るわけではありません。

そのため,死亡逸失利益を算定するとき,67歳までの収入や平均余命までの年金を全て計上した後,生活費を控除することになります。

生活費を控除せずに全額の逸失利益を損害として賠償させると,被害者遺族が根拠なく利得することになるという理由で,このようなことが行われています。

このように死亡逸失利益算定の場面で生活費を控除することを,生活費控除といっています。




さて,一口に生活費を控除するといっても,実際に被害者のかたが御存命であれば,どの程度の生活費が必要であったのかを具体的に算定するのは無理というものです。そこで,生活費控除を行うときには,生活費控除率という割合を用いているのが実情です。

生活費控除率は,被害者の性別や被扶養者の有無などにより,異なってきます。










◆生活費控除の割合


それでは,具体的な生活費控除率の割合はどのくらいになるのでしょうか?

裁判の基準では,以下のとおりとされていますが,具体的事案で異なって判断されています。

●被扶養者が1人の場合     :40%
●被扶養者が2人以上いる場合  :30%
●被扶養者がいない場合    :@女性の場合 30% A男性の場合 50%


なお,死亡逸失利益(年金分)を算定する際は,これらより生活費控除率を高くすることが多いです。死亡逸失利益は,67歳までの収入や平均余命までの年金額に(1−生活費控除率)を乗じて算定します。

ただ,被害者遺族が任意保険会社と示談交渉をするときには,生活費控除率が上げられてしまうかもしれません。適正な生活費控除を行うためには弁護士に相談しなければならないことがあります。弁護士に相談してみて下さい。




▼参考記事
・逸失利益・生活費控除率について(裁判基準)
・死亡事故の場合における生活費控除率
・死亡された方の解決事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故で自宅介護を前提とした損害賠償が認められないのは,どのような場合ですか?

2017年10月19日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故で自宅介護を前提とした損害賠償が認められないのは,どのような場合ですか?

施設に入所しているほうが適切な処置を受けられるケース,家に問題があるケース,家族による介護が期待できないケース,病院と連携できていないケースなどです。




 損害賠償:自宅介護 



◆自宅介護と施設介護


交通事故が原因で重大な後遺障害が残った場合,将来にわたって介護が必要になることがあります。
たとえば遷延性意識障害や全身麻痺が残ったような場合です。

このように,全面的な介護が必要になったとき,被害者のその後の生活を,自宅で行うのか施設で行うのかを選択しなければなりません。

一般的に,自宅で介護をする方が,賠償金の金額は高額になります。
この場合,自宅改造費用なども認められるので,1億円を超えることも多くなってきます。







◆自宅介護が認められないケース


ただ,介護が必要になったとしても,自宅介護(を前提とした賠償)が認められるとは限りません。
保険会社だけでなく,裁判をしたときに裁判所から自宅介護(を前提とした賠償)を否定されることもあります。

自宅介護が争われるのは,被害者が現在は施設入所中で,ゆくゆくは施設を退所して在宅介護に移行する予定であると被害者側が主張しているときが多いです。




自宅介護が認められないのは,以下のようなケースです。

(1)施設に入所しているほうが適切なケース

自宅よりも施設にいるほうが,適切な処置や治療を受けられる場合が挙げられます。

被害者の状態によっては,急に危篤状態に陥ったり肺炎が起きる危険性が高かったりすることもあります。こういった問題が起こったとき,病院でないとすぐに対処することができません。

そこで,施設に入所している方が適切であり,自宅介護(を前提とした賠償)が認められにくくなります。




(2)家に問題があるケース

次に,家に問題があるケースもあります。

たとえば,賃貸住宅に居住している場合には,自宅を介護に適した形に改造することは難しいです。
自宅であっても,たとえばマンションの一室に住んでいる場合には,大規模な改装をすることは難しいでしょう。

また,家が古すぎて,改造のために費用がかかりすぎる場合もあります。このような場合には,自宅介護が適していないと判断されます。




(3)家族による適切な介護が期待できないケース

介護をする家族に問題があるケースも考えられます。

介護は,「やる気」だけで行えるものではありません。重労働ですし,相応の技術や知識を備えることも必要です。また,職業介護人を雇うとしても,家族自身が亡くなってしまっては介護をする人がいなくなってしまいます。

たとえば家族が高齢の親一人しかいない場合などには,親自身が介護することが難しいと判断されることがありますし,また親が亡くなった後,誰が介護をするのかという問題があります。家族に介護への理解が足りない場合などにも,自宅介護(を前提とした賠償)は認められにくいです。




(4)病院と連携できていないケース

病院との連携が取れていないケースでも,自宅介護を否定されやすいです。

定期的に往診に来てくれる病院や,緊急時にすぐに受け入れてくれる入院先が確保されないと,何かあったときに不安なので,自宅介護を認めてもらいにくいです。




▼参考記事
・高次脳機能障害で将来介護費の金額はいくら認められますか?
・将来介護費について
・交通事故で遷延性意識障害になり,裁判で将来介護費について請求を行い解決した事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故の被害があったとき,家族に対する慰謝料は認められますか?

2017年10月18日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故の被害があったとき,家族に対する慰謝料は認められますか?

被害者が死亡した場合や重大な後遺障害が残った場合には,遺族に慰謝料が認められる可能性があります。




 近親者の慰謝料 



◆被害者が死亡した場合の近親者の慰謝料


(1)配偶者と親子

交通事故で被害者が死亡した場合,死亡した被害者本人には死亡慰謝料が発生します。

ただ,被害者に遺族がいる場合,遺族も精神的苦痛を被るものです。

そこで,民法では,不法行為によって被害者が死亡したときには,近親者も固有の慰謝料請求をすることができると定めています(民法711条)条文上は,被害者の配偶者と親,子どもに近親者固有の慰謝料請求権が認められています。

そこで,死亡事故の場合,これらの遺族がいたら,遺族が相手に対し,慰謝料請求することができます。




(2)祖父母や兄弟姉妹,内縁の妻など

それでは,民法711条に記載されていない親族は,慰謝料請求をすることはできないのでしょうか?

この点,一定の親族については,慰謝料請求が認められる場合があります。

具体的には,内縁の配偶者や祖父母,兄弟姉妹などに固有の慰謝料が認められた例があります。被害者が死亡したとき,これらの者に精神的苦痛が発生することはないなどといえるはずがありません。

ただ,民法711条の条文に記載されている以外の親族については,必ず慰謝料が認められるというわけではありません。

たとえば,祖父母が,孫が交通事故に遭うところを間近で見ていたなど,精神的苦痛が大きいと考えられる事案においては慰謝料が認められやすくなります。







◆被害者に重大な後遺障害が残った場合の近親者の慰謝料


次に,被害者が死亡しなかった場合にも,家族に慰謝料が認められるのかどうかを考えてみましょう。
法律の条文では,親族の固有の慰謝料が認められているのは,民法711条の「被害者が死亡した場合」のみです。

ただ,被害者に重大な後遺障害が残った場合には,家族も多大な精神的苦痛を被るものです。
たとえば,子どもが交通事故で意識不明になり,遷延性意識障害になったケースなどがあります。

このように,被害者が重大な傷害を負い,被害者が死亡したのと同じくらいの精神的苦痛を被ったと考えられる場合には,民法711条を類推して,近親者にも固有の慰謝料が認められると考えられています(最高裁判所昭和33年8月5日判決)。




近親者の慰謝料請求が認められるのは,要介護の1級,2級の重大な後遺障害が残ったケースが多いですが,それには限りません。それ以外の後遺障害が認定されたときにも近親者の固有の慰謝料が認められたケースがあります。

以上のように家族にも慰謝料が認められる可能性があります。弁護士に相談してみてください。




▼参考記事
・交通事故で被害者が死亡。交渉の結果,残されたご家族の慰謝料も一部認められた解決事例
・交通事故で被害者に重度の後遺障害が残り,当事務所が遺族の気持ちを記載した書面を裁判所に提出し,ご家族の慰謝料が認められた解決事例
・被害に遭われた方々の将来を考える(よつば交通事故への想いとこだわり)




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故の被害に遭い,遷延性意識障害で別表第一の介護を要する後遺障害に認定されました。示談交渉をしていましたが,示談前に事故とは別の原因で被害者が死亡してしまいました。将来治療費や将来介護費についても交渉していたのですが,これらはどうなりますか?

2017年10月17日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故の被害に遭い,遷延性意識障害で別表第一の介護を要する後遺障害に認定されました。

示談交渉をしていましたが,示談前に事故とは別の原因で被害者が死亡してしまいました。将来治療費や将来介護費についても交渉していたのですが,これらはどうなりますか?




将来治療費や将来介護費用については,死亡時までの分に限定されることになります。




 将来治療費・将来介護費 



◆将来治療費が認められる場合


後遺障害が残った場合,そもそも症状固定後の治療費(将来治療費)を請求できるのかが問題となります。


交通事故が原因でかかった治療費は,症状固定までの分が認められるのが通例です。原則として,症状固定後の将来治療費については,賠償の対象となりません。




ただし,例外もあります。
症状固定後も症状の悪化の防止のために治療やリハビリの継続の必要性が認められるときは,その医療費は賠償の対象となります。治療を継続しないと症状が悪化してしまうケースなどで,将来治療費が認められます。

遷延性意識障害の場合にも,こうした必要性が認められたら将来治療費は損害として認められます。







◆将来介護費用の原則的な算定方法


遷延性意識障害になると,自分では日常生活に必要な行動をすることができなくなるので,介護が必要となります。示談成立後もずっと介護が必要ですから,将来介護費用は賠償の対象となります。

このとき,基本的には症状固定時の年齢を基準として,平均余命までの将来介護費の計算をするのが通例です。







◆示談前に死亡した場合の将来治療費と将来介護費用


それでは,示談前に被害者が死亡した場合,将来の治療費や将来介護費用はどのように考えるのでしょうか?

これらについては,死亡時までの分しか認められなくなります。




まず将来介護費用について述べますと,死亡時までの分しか認められないとした最高裁判所の判決があります(平成11年12月20日)。

将来介護費用は,被害者を介護することによって実際に発生する費用(積極損害といいます。)です。
被害者が死亡すると,支払が不要になるものだからです。実際に支払をしない費用を被害者や被害者の相続人に支払うと,被害者やその遺族に根拠のない利得を与えることになることが指摘されています。


次に将来治療費ですが,やはり積極損害です。将来介護費と同様の考え方になります。




以上のように,将来治療費や将来介護費用は,実際に支払が必要になる積極損害なので,死亡時までの分しか認められません。消極損害である後遺障害逸失利益が就労可能年齢の分まで認められるのと取扱いが異なっています。




▼参考記事
・将来の介護費について
・症状固定後の治療費について
・交通事故で重度の障害を負われた方の将来介護費について,弁護士2名体制でサポートし,裁判を行わず高水準で解決できた事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

アディーレ業務停止までの経緯と今後

2017年10月16日
このエントリーをはてなブックマークに追加

アディーレ業務停止までの経緯と今後

2017年10月11日,アディーレ法律事務所が業務停止2ヵ月の懲戒処分となりました。今回の業務停止までの経緯や過去の懲戒処分をまとめました。


(1)2017年10月11日から2か月の業務停止の懲戒処分(2017年10月11日)。
過去には,景品表示法違反(有利誤認)に当たるとして措置命令(2016年2月16日)。弁護士会の戒告処分(2010年10月5日)もあり。

(2)今後,日弁連への審査請求の申立,裁判所への訴訟提起等で処分内容について争われる。


(3)お客様への影響を抑える努力がアディーレ,弁護士会共に必要不可欠。





■アディーレに依頼済のお客様が緊急に確認すべき事項

 アディーレ業務停止までの経緯と今後 


(1) 2010年10月5日

東京弁護士会から戒告の懲戒処分がなされました。法人破産の案件に関する不適切な処理がその理由です。懲戒理由の詳細は自由と正義2011年1月号に掲載されています。



(2) 2016年2月16日

消費者庁から景品表示法違反(有利誤認)に当たるとして措置命令を受けました。内容は,過払い金返還請求の着手金を今だけ無料や割引にすると期間限定のキャンペーンのように繰り返し宣伝し,実際は5年近く続けていたという案件です。

消費者庁HP
http://www.caa.go.jp/representation/pdf/160216premiums_1.pdf



(3) 2016年12月から2017年2月ころ

東京弁護士会,札幌弁護士会,神奈川県弁護士会で懲戒審査に付す旨の決定がなされました。他方,懲戒しないという判断をした弁護士会も多数ありました。



(4) 2017年10月11日

東京弁護士会から業務停止2ヵ月の懲戒処分がなされました。元代表社員の石丸幸人会員は業務停止3ヵ月となりました。消費者庁から景品表示法の措置命令を受けたこと,日本弁護士連合会の弁護士等の業務広告に関する規定にも抵触するというのが理由です。

東京弁護士会HP
https://www.toben.or.jp/message/seimei/post-481.html



今後,上記の処分が維持されるか変更になるかは,日本弁護士連合会への審査請求,効力停止申立,裁判所での訴訟などで争われることとなるかと思われます。







◆お客様への影響を抑える努力が必要


2017年10月11日から2か月間,アディーレ法律事務所は業務停止となりました。

そのため,現在,アディーレに依頼している多数のお客様は非常に困った状態となってしまっています。というのも,業務停止中は一切の業務が原則できなくなってしまいますので,お客様の側からすると,「ある日突然弁護士と連絡がとれない」「ある日突然法律事務所と連絡がとれない」という状況になってしまうからです。




(1)各弁護士会で臨時電話相談窓口を設置
東京弁護士会では臨時電話相談窓口を設置しています。
電話番号は03−6257−1007です。受付時間は午前9時から午後5時までで土日祝日は除きます。

また,千葉県弁護士会でも相談窓口を設置する見込みです(10月14日時点での情報)





(2)各法律事務所でも案件を引き継ぎ

各法律事務所でも,困っているお客様のために案件を引き継ぐでしょう。

ただし,事案の現在の状況がどのような状況なのかなど不明な点があると案件の引継ぎがしにくいことがあるかもしれません。特に,期間制限(時効期間,控訴期間,上告期間,期限の利益喪失)には要注意です。

また,裁判事案の場合,期日に出頭しないと不利な判断をされてしまう可能性もありますので,その点も注意が必要です。





(3)弁護士費用について

アディーレに既に着手金を支払っている場合,その着手金の返還を受けられるのかどうかという点は課題が残ります。





(4)その他

いずれにしても,アディーレに依頼したお客様,現在依頼中のお客様が一番の被害者です。

アディーレも弁護士会も各弁護士も,さらなる被害拡大につながらないような配慮をすることによって,業界に対する信頼を維持・確保することに努めるべきだと考えます。




注 今回の業務停止2ヵ月の懲戒処分は弁護士法人に対するものです。そのため,仮に,懲戒処分を受けていない個人弁護士とお客様との間にも委任契約が存在する場合には,個人弁護士とお客様との間の委任契約は法人の懲戒処分によりどのような扱いとなるか,また,どのような扱いが妥当かという点は今後の議論を待つ必要があるかと思います。



▼参考記事
・アディーレ業務停止までの経緯と今後
・アディーレに依頼済のお客様が緊急に確認すべき事項




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

アディーレに依頼済のお客様が緊急に確認すべき事項

2017年10月16日
このエントリーをはてなブックマークに追加

アディーレに依頼済のお客様が緊急に確認すべき事項 

2017年10月11日,アディーレ法律事務所が業務停止2ヵ月の懲戒処分となりました。依頼済のお客様のうち,特に緊急ですべき行動をまとめました。

1 消滅時効期間に注意!
2 裁判の不服申立期間に注意!
3 分割払いの期限の利益喪失に注意!
4 被告事件の裁判の第1回に注意!





■アディーレ業務停止までの経緯と今後

 アディーレに依頼済のお客様:確認すべき事項 




◆時効期限の確認


法律上請求できる権利には消滅時効という制度があります。

一定期間が経過してしまうと権利を主張できなくなってしまいます。現在は時効ではないものの,業務停止2ヵ月の間に期間が経過してしまう可能性があります。

時効期限は微妙な問題が多いので専門家に相談した方がよいです。




以下の権利などは特に要注意です。

(1)過払い金返還請求権の消滅時効 
 一般には最終取引日から10年など

(2)交通事故の加害者への損害賠償請求権(任意保険会社への請求権)の消滅時効
 事故日から3年,症状固定日から3年など

(3)交通事故の自賠責保険への請求権の消滅時効
 事故日から3年,症状固定時から3年など

(4)残業代請求の消滅時効
 各支払日から2年など

(5)その他
 権利の種類に応じて1年,2年,3年,5年などの期間があります。また,期限内に請求書を送付済であったとしても,請求書が相手に届いた後6ヵ月を経過するとやはり権利の全部又は一部が時効となってしまうということもありますので,要注意です。





◆裁判の不服申し立て期間の確認


裁判で判決が出た事案の場合,判決文を受領してから2週間経過すると不服申立ができなくなってしまいます。

アディーレに判決文が届いている場合,お客様が判決文を受領していなくても2週間の計算がスタートしてしまいますので要注意です。

不服申し立て(控訴・上告)をするかどうかは専門家に相談して早急に決めた方がよいです。







◆分割払いの期限の利益喪失に注意


現在,アディーレで任意整理和解済の場合,分割払いの弁済代行をアディーレが行っているお客様がいるかと思います。

分割払いについて1〜2回支払いを怠ると期限の利益を喪失して一括払いとなってしまいます。

そのため,分割払いの支払い状況がどのようになっているか,詳細がわからない場合には各債権者に自ら問い合わせるなどの対応が必要かもしれません。







◆被告事件の裁判の第1回に注意


裁判を起こされた方の場合,被告事件の第1回期日に出頭せず,かつ,書面の提出もしない場合,自動的に原告の主張通りの判決がなされてしまうことがあります。

そのため,被告事件を依頼している方で第1回期日前の方は,裁判所に問い合わせをするなどして現在の状況を確認した方がよいです。




▼参考記事
・アディーレに依頼済のお客様が緊急に確認すべき事項
・アディーレ業務停止までの経緯と今後




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故で遷延性意識障害になりました。遷延性意識障害でも生活費控除が問題とされたことがあると伺いましたが,どういうことでしょうか?

2017年10月13日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故で遷延性意識障害になりました。遷延性意識障害でも生活費控除が問題とされたことがあると伺いましたが,どういうことでしょうか?




遷延性意識障害の後遺障害が残ったとき,生活費控除が行われないのが通常です。ただし,一部,生活費控除を行った裁判例が存在します。

遷延性意識障害で生活費控除を主張されても,被害者が存命中なのですから,そのような主張を受け入れるべきではありません。





 遷延性意識障害:生活費控除 



◆遷延性意識障害で認められる逸失利益とは


交通事故によって遷延性意識障害の後遺障害が残ったら,損害として後遺障害逸失利益を計上することができます。

逸失利益とは,後遺障害が残ったことにより,得られなくなってしまった将来の減収分のことです。




遷延性意識障害が残れば,当然働けなくなります。
労働能力喪失率は100%となり,症状固定時から就労可能年数分の後遺障害逸失利益を全額損害として算定できます。










◆遷延性意識障害の場合の問題点


ただ,被害者が遷延性意識障害になった場合,相手の保険会社からは「生活費控除を行うべきだ」と主張されることがあります。

生活費控除というのは,被害者に生活費が要らなくなるので,その分を逸失利益から差し引くべき,という考え方です。




通常,生活費控除が問題になるのは,死亡事故のケースです。
被害者が死亡すると,収入がなくなる一方,生活費がかからなくなります。そこで,死亡逸失利益を計算するときには,被害者にかかるはずだった生活費を控除します。


これが生活費控除の考え方です。

遷延性意識障害の場合には,被害者は死亡していませんが,単に寝ているだけだから普通の人ほど生活費がかからないだろう,などということから生活費控除を主張されるのです。







◆多くの裁判例の考え方


被害者が遷延性意識障害になっただけでも家族は相当ショックを受けますし,実際の負担も大変なものです。

それに加えて,生活費控除をすべきなどの主張をされると,まるで死亡事案と同じように扱われているようで,受け入れがたいと考えることが多いでしょう。




裁判所は,遷延性意識障害のケースで生活費控除を認めているのでしょうか?
この点,多くの裁判例では否定しています(仙台地裁平成21年11月17日,大阪地裁平成22年3月15日,神戸地裁平成16年12月20日,名古屋地裁平成14年1月28日など)。

よって,相手の保険会社が「遷延性意識障害だから,生活費控除をすべき」などと言ってきても,受け入れる必要はありません。








◆生活費控除を認めるものもある


裁判例の中には,遷延性意識障害のケースで生活費控除を行ったものもあります(東京地裁平成12年3月31日,広島地裁三次支部平成21年5月1日)。

このように,遷延性意識障害になると,法律的な議論が関わり,さらにそれが結論に大きな影響を及ぼすことが多いです弁護士によるサポートが肝要です。家族が交通事故で遷延性意識障害になってしまったら,一度,弁護士に相談してみてください。




▼参考記事
・遷延性意識障害を負われた方の解決事例
・遷延性意識障害について
・逸失利益・生活費控除について




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故の被害に遭い,後遺障害に認定されましたが,示談前に被害者が事故とは関係のない別の原因で死亡してしまいました。逸失利益に影響はありますか?

2017年10月12日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故の被害に遭い,後遺障害に認定されましたが,示談前に被害者が事故とは関係のない別の原因で死亡してしまいました。逸失利益に影響はありますか?

逸失利益には影響がなく,減額されることはありません。




 逸失利益 : 示談前に被害者が死亡した場合 



◆逸失利益は,就労可能年齢まで請求できるのが基本


交通事故で後遺障害が残り,労働能力が低下したとき,後遺障害逸失利益を請求することができます。

後遺障害逸失利益というのは,後遺障害が残ったことによって労働能力が低下したために,得られなくなってしまった将来の減収分のことです。




後遺障害逸失利益を計算するときには,いつまでの分を請求できるのかが問題となります。通常,人は一生働き続けるわけではないからです。

後遺障害逸失利益を計算するときには,「就労可能年齢」までの期間を考慮します。

一般的には67歳までが就労可能年齢とされているので,そこまでの分の後遺障害逸失利益を損害として計上することとなります(平均余命の半分までとされることもありますが,本件の議論から離れますので,以下は就労可能年数は67歳までという前提でお書きします。)。







◆事故後に別の原因で死亡しても,後遺障害逸失利益に影響しない


事故後に別の原因で死亡した場合,実際には67歳まで就労する可能性がなくなってしまったわけですから,67歳の就労可能年齢までの減収分である後遺障害逸失利益全額を損害として計上することができないのかとも考えられます。

この場合,症状固定から亡くなったときまでの分しか後遺障害逸失利益として計算できないのでしょうか?




裁判所は,そういった考え方はとっていません。

最高裁判所の平成8年4月25日の判決は,「交通事故で後遺障害が残った被害者の逸失利益を算定するとき,被害者が事故後に死亡したとしても,その事実は就労可能年数の算定に考慮すべきではない」と判断しています。


つまり,事故後示談成立前に被害者が死亡しても,その死亡した事実は無視して就労可能年数を算定し,後遺障害逸失利益を算定すべきだということです。




これは,法律上,交通事故が起こった時点において,すでに就労可能年齢までの後遺障害逸失利益が損害として発生しているので,その後に何が起こっても,すでに発生した逸失利益の金額には影響しない,という考え方があるためです。

そこで,本件でも,示談前に別原因で死亡したとしても,そのことと関わりなく,67歳までの分の逸失利益を損害として計上することができますもし,保険会社が「死亡時までの逸失利益しか支払いません。」と言ってきても,応じる必要はありません。




お読みいただいた感想はいかがでしょうか。「意外だな。」とお感じになった方もいらっしゃるかもしれません。

弁護士に相談する前に結論を決めつけてしまうのはあまりよくありません。どのようなことでも結構ですので,弁護士に相談してみてください。




▼参考記事
・死亡事故の解決事例
・死亡事故における慰謝料
・死亡事故の場合における生活費控除率




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

妻が交通事故に遭い,入院しました。私は,仕事を休んで病院で妻の付添いをしました。私の減収に関し,休業損害の賠償を受けることはできますか?

2017年10月11日
このエントリーをはてなブックマークに追加

妻が交通事故に遭い,入院しました。私は,仕事を休んで病院で妻の付添いをしました。私の減収に関し,休業損害の賠償を受けることはできますか?

この場合,付添看護費用と休業損害のどちらか高い方が支払われます。ただし,休業損害が支払われる場合には,職業付添人費用が限度となります。付添看護の必要性が認められることが前提です。




 近親者の付添看護:休業損害 



◆入院付添費用について


交通事故に遭い,被害者が負傷したとき,入院治療が必要になることも多いです。

この場合,誰かが付添看護を行う必要性があり,実際に付添看護がなされることがあります。

このときに付添看護をするのは,近親者やプロの付添看護人です。すると,付添看護費用が発生します。また,近親者が仕事を休んで付添看護を行った場合には,その休業損害が問題となります。




近親者が仕事を休んで付添看護をしたら,付添看護費用と休業損害の両方を請求することができるのでしょうか?

この点,両方を受けとることは難しいです。

法律的な考え方では,近親者が仕事を休んで付添看護を行った場合,「休業損害の金額と,近親者の付添看護費用のどちらか高い方によって賠償を行うべき」とされているためです。

そこで,ご相談のケースでは,休業損害の方が付添看護費用より高額であれば,休業損害が賠償の対象となります。







◆職業付添人の実費程度が上限


近親者が付添看護を行う場合の入院付添看護費用は,1日6500円程度です。

それでは,近親者の休業損害がどれだけ高額でも,1日6500円を超える限り,賠償の対象となるものなのでしょうか?

付添人の休業損害には上限が設けられています。




具体的には,職業付添人を雇った場合の一般的な実費相当額が上限とされています。
それを超える場合には,職業付添人を雇い,近親者は仕事を行った方が良いと考えられるためです。

そこで,本件でも,近親者の収入が高額で,1日あたりの基礎収入が高額になると,休業損害の全額の支払いを受けられなくなる可能性があります。







◆職業付添人による代替ができないケース


一般的な事案では,休業損害の金額が一般的な職業付添人の実費の金額を超えて認められることはありません。

しかし,近親者による付添が必須で,職業付添人による代替が不可能な場合には,「職業付添人を雇って近親者は仕事に行った方が良い」という前提が崩れます。

たとえば,子どもが被害者となって重度の傷害を負った場合で,親による入院付添看護が不可欠なケースが考えられます。そこで,そのような場合には,たとえ高額になっても近親者の休業損害が全額認められることがあります。




以上のように,近親者が付添看護をしたときの休業損害は,ケースによって計算方法を検討する必要があります。弁護士に相談してみてください。




▼参考記事
・交通事故の知識「通院』付添費」
・主婦の入通院付添費は,どのように計算されますか?
・当事務所の解決事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故で高次脳機能障害になりました。これからどうやって資料費を払っていけばいいのでしょうか?

2017年10月10日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故で高次脳機能障害になりました。これからどうやって治療費を払っていけばいいのでしょうか?

高次脳機能障害の治療費が高額になったら,高額療養費助成制度を申請する,後遺障害等級認定を受けて保険金を受け取るなどして生活の糧にしましょう。




 高次脳機能障害 : 治療費負担を軽減する方法 



◆高次脳機能障害にかかる医療費負担を軽減する方法は?


もし難病にかかった時は高額な医療費がかかるから,保険に入っておくと安心といった広告を目にすることがあります。

頭を打つなどして発症する高次脳機能障害は,完治しないといわれる病気ですから,難病と言って良いでしょう。

しかも,治る見込みがないということは,生涯に渡って治療費を払い続けなければならず,病気が原因で仕事を失ったら,どうやって医療費を払えばよいか途方に暮れるのではないかと不安に思われるでしょう。




確かに医療にはお金がかかります。

しかし,安心して下さい。
国の支援制度や保険制度により,患者さんの負担が軽減できる
のです。







◆後遺障害等級を申請する


高次脳機能障害の人の後遺障害等級は,軽度のものから重度のものまで多岐に渡します。




もっとも軽い等級は,通常の労務に服することはできるが,高次脳機能障害のため,多少の障害を残すものを認定する12級12号です。

もっとも重度の等級は,生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが,高次脳機能障害のため,労務に服することができないものとされる3級3号です。

他の部位にも重傷を負い,別の後遺障害等級を申請して認められた場合は,等級併合で3級より上位の等級になる場合もあります。




自賠責保険における後遺障害12級に対する保険金上限は224万円、3級に対する保険金上限は2219万円です。







◆交通事故の被害者の場合は損害賠償金を請求する


自賠責保険や労災保険の保険金は,後遺障害等級に基づいて金額が厳密に決まっていますが事故の加害者に請求する損害賠償金は,話し合いによって金額が変わります。

すなわち,交渉によって金額が多くもなれば少なくもなるということです。




これから高次脳機能障害に関する医療費を払っていくことを踏まえれば,十分な賠償金を得たいと思うのは当然であり,交渉を順当に進めるためにも,弁護士を代理人に指定して話し合いをすることをお勧めします。







◆高額療養費助成制度・限度額適用認定の適用を受ける


高次脳機能障害の治療のために,高額な医療費を払った場合は,高額療養費助成制度を申請できます。


限度額までは自己負担で,限度額を超えて医療費を支払った場合は,限度額適用認定を受けて助成金を受け取れます。
所得によって助成の内容が異なるので,お住まいの市町村にお問い合わせください。







◆傷病手当金を申請する


高次脳機能障害を発病したために会社を休んだが,事業主から十分な報酬が支払われなかった場合は,傷病手当金の支給を申請できます。

支給期間は1年半で,3日間連続して休んだ上で,4日目以降の休んだ日に対して支給されます。




▼参考記事
・入通院慰謝料
・入院2か月,通院1年の高次脳機能障害のご依頼者様が,保険会社提示金約660万円から弁護士介入で約2840万円を獲得した解決事例

・後遺障害等級について







(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)
< 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 >
プロフィール
弁護士法人よつば総合法律事務所
地域最大級の弁護士14名が所属しております。事務所名の「よつば」は事務所に関わる人が皆幸せになるようにとの思いから名付けました。お気軽にご相談ください。
柏事務所:千葉県柏市(柏駅徒歩3分)
千葉事務所:千葉市(千葉駅徒歩3分)

2017年 11月 >>
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
最新記事