交通事故の示談と高次脳機能障害の治療どちらを優先?

2019年02月07日
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交通事故の示談と高次脳機能障害の治療どちらを優先?


交通事故で高次脳機能障害になった場合はまず治療に専念し、後遺障害が残ったら生涯に渡って必要な医療費を損害金額に算入して示談を開始します。


高次脳機能障害 : 示談


◆示談はいつ始まるか?


交通事故の被害者になって怪我をしたり、ものが壊れたりしたら、加害者と損害賠償について示談すなわち当事者同士の話し合いを行います。


加害者に100パーセント落ち度があった場合は、損害金額の全額を加害者が支払い、被害者にも過失があった場合は、過失の割合に応じて損害賠償金が支払われます。


ものの損害は、おおむね事故の直後に決定しているので、損害賠償金額の計算はさほど難しくありません。


しかし、人に与えた損害すなわち、怪我をさせた場合は、損害賠償金額をすぐに結論付けることができません。


なぜなら、被害者の怪我が完治しない限り、医療費の支出が続くので、損害賠償金額は流動的だからです。


ただ、完治しない場合でも示談を開始できるケースがあります。
それは、事故による傷病が、完全に治る見込みのないもので、後遺症が残ると判断された場合です。


たとえば、事故で頭を打って高次脳機能障害と診断された場合、治療は長期化しますが、高次脳機能障害は脳の組織を損傷したために発症する病気であり、完治しない病気です。


リハビリテーションを継続すれば、多少症状の改善が期待できますが、いつまでもリハビリテーションを続けていれば、医療費の支出が続き、損害賠償金額が確定しないので示談を始められません。


ですから、高次脳機能障害の被害者は、ある程度症状が落ち着いたら、示談を開始する時期について検討することになるのです。




◆示談を開始した後の医療費は自腹?


事故の加害者が任意自動車保険に加入していた場合、事故が原因の傷病にかかる医療費は保険会社が支払うので、被害者に金銭的な負担はありません。


しかし、示談の開始を承諾すると、保険会社が支払っていた高次脳機能障害の医療費を、それ以降は被害者が自分で支払うことになります。


示談を始めると医療費を自分で支払うことになるので損だと思われるかもしれません。


しかし、以下の手順をきちんと踏まえていれば、損はしません。


まず、高次脳機能障害は後遺障害が残る病気なので、後遺障害診断書を作成します。
そして、専門知識を持つ弁護士に、損害賠償金を算定してもらう
のです。


後遺障害診断書の日付から後の医療費は、被害者が支払うことになるので、診断書の日付以降、生涯に渡って、医療費がいくら必要になるか計算します。


示談を開始しても、医療機関にかかることはできますし、金銭的な損失を心配することはないのです。


ただし、この時、計算に見落としがあったりおおざっぱだったりすると、被害者の損害金額が過少評価されてしまうので気を付けるべきです。


▼参考記事

(よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故による高次脳機能障害の賠償金の計算方法を教えて下さい。

2019年02月06日
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交通事故による高次脳機能障害の賠償金の計算方法を教えて下さい。


交通事故で高次脳機能障害になった場合の損害賠償金には、治療費、通院交通費、休業損害、逸失利益、後遺障害等級に応じた後遺障害慰謝料が含まれます。


高次脳機能障害 : 賠償金


◆傷病の長期化と医療費


交通事故で頭を強打すると、頭蓋骨だけでは脳を守り切れず、脳の組織が破壊される場合があります。


壊れた脳細胞は再生しないので、壊れた部分の脳は、元のように働くことができなくなり、事故の前にできたことができなくなったり、感情や知覚に変化が起こります。


これが高次脳機能障害です。


高次脳機能障害は、リハビリテーションによって他の脳細胞が代替機能を習得し、ある程度症状の緩和が期待できますが、完治できない病気ということに変わりありません。


80歳まで生きるとして、30歳で高次脳機能障害を発症したらその後50年間の医療費について考えなければいけないのです。


一般に、医療費は、治療が終了した時点で保険会社からの支払いが終了します。


しかし、後遺障害のように重い後遺症が残った場合は、治る見込みがないと判断されて症状固定をした場合でも、症状固定後の医療費を請求できます。


高次脳機能障害になったら、症状固定をした後の通院リハビリテーションや症状を緩和させるための服薬の必要性などについて考えをめぐらした上で医療費を計算しましょう。


突然ご自身またはご家族が高次脳機能障害になった場合、その後の医療費について冷静に考えることはむずかしいでしょうから、弁護士に相談なさることをお勧めします。




◆賠償金に含まれる項目


事故が原因で高次脳機能障害になった場合の損害賠償金には以下のような項目が含まれます。



後遺障害慰謝料とは、後遺症が残ったことによる精神的な苦痛に対して支払われる慰謝料です。


精神的な苦痛を数値化する手段として、認定された後遺障害等級に応じて慰謝料の基準額を決める方法が取られています。


損害賠償金の他の項目は、領収書、給与明細、源泉徴収票などで請求するべき金額を証明できますが、後遺障害慰謝料は、後遺障害等級の認定を受けることが前提です。


高次脳機能障害になると、治療やリハビリテーション、転院もしくは退院のタイミングなど、目の前に課題が山積みになり、後遺障害等級の認定について考えるのが遅れがちです。


しかし、後遺障害等級によって後遺障害慰謝料の金額が何倍にも変わってくる可能性があります。

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事故の後で、身の周りが落ち着いてきたら、高次脳機能障害による後遺障害等級の申請について、弁護士に相談するなどして専門家の意見を取り入れながら準備しましょう。


▼参考記事

(よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

好意同乗とは何ですか?

2019年02月05日
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好意同乗とは何ですか?


好意同乗とは、運転者の好意により無償で車に乗せてもらうことです。好意同乗の場合、同乗者は「無料で車に乗せてもらって利益を得ている分損害も分担すべき」という理由によって過失相殺される可能性がありますが、好意同乗による減額が適用されるケースは限定的です。


交通事故 : 好意同乗


◆好意同乗とは


交通事故では、車の運転者だけではなく同乗者もケガをするケースがあります。その場合、同乗者も運転者や事故の相手方に対して賠償金を請求できます。


しかしその際、保険会社からは「好意同乗による減額」を主張される事例があります。


好意同乗とは、運転者の好意によって無償で車に乗せてもらうことです。
たとえば、家族や友人にイベント会場や結婚式、レストラン、駅などに車で送ってもらったり迎えに来てもらったりすると「好意同乗」となります。無償であることが必要なので、タクシーを利用した場合には好意同乗になりません。


好意同乗の場合、同乗者は本来歩いて行くかバスやタクシーを使わねばならないところ、運転者の好意によって無料で車に乗って目的地に連れて行ってもらっています。


このように利益を受けているのだから、交通事故によって発生した損害についても分担すべきという「損害の公平な分担」が好意同乗減額の考え方です。法律解釈としては、「過失相殺」を類推適用しています。


このような理由により、同乗者が損害賠償を請求すると、保険会社は好意同乗を理由に賠償金額を減額してくるのです。




好意同乗でも減額されないケースが多い


しかし無償で車に乗せてもらっていたからと言って、必ずしも減額すべきとは限りません。


裁判実務で好意同乗による減額が頻繁に行われたのは、主に昭和40〜50年代頃、まだ車を所有している人が少なく、車に乗ることが特別だった時代です。


今では車は庶民の乗り物になっており、ただで乗せてもらうことも特別ではありません。そこで裁判においても、無償で同乗していただけで賠償金額を減額すべきとまでは言えないと考えられています。




好意同乗で賠償金が減額されるケース


現代において好意同乗で賠償金額が減額されるのは、以下のようなケースに限定されます。


危険関与増幅型

1つは、運転者と共同して危険を引き起こした責任のある同乗者です。たとえば運転者を煽って近隣の車と競わせてスピード違反させた場合や、運転を妨害した場合などです。


危険承知型

もう一つは、危険運転であることを了承してあえて同乗したケースです。たとえば運転者が飲酒したり薬物を服用したりしていることを知りながら同乗した場合などに減額される可能性があります。


このような事案でもない限り、単に同乗していただけならば減額を受け入れる必要はありません。




保険会社から「好意同乗」と言われても鵜呑みにせず、わからないことがありましたら弁護士までご相談下さい。


▼参考記事

(よつば総合法律事務所 弁護士 松本達也)

交通事故の裁判で勝った場合、こちらが支払った弁護士費用も相手から絶対回収できますか

2019年02月04日
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交通事故の裁判で勝った場合、こちらが支払った弁護士費用も相手から絶対回収できますか


弁護士費用を回収できるとは限りません。裁判をすると、認められた損害額の10%までは関連する弁護士費用として支払ってもらえますが、それ以外のケースでは支払われない可能性が高いです。


交通事故 : 弁護士費用


◆交通事故で発生した弁護士費用は損害の内容となる


交通事故に遭い、弁護士に示談交渉や調停、ADRや訴訟対応などを依頼すると弁護士費用がかかります。
そうすると弁護士費用が発生しますが、これは交通事故によって発生した損害と言えないのでしょうか?


交通事故がなかったら、弁護士に依頼する必要はなかったはずです。そこで弁護士費用は交通事故と因果関係のある損害と言え、本来なら損害賠償請求の対象になります。




◆示談やADR、調停、和解では支払ってもらえない


それでは、加害者の保険会社と示談をする際、保険会社から弁護士費用を支払ってもらうことができるのでしょうか?


実は、交通事故損害賠償の実務では、多くのケースで弁護士費用は損害内容として支払われません。


示談交渉をするときだけではなく、交通事故紛争処理センターなどのADRを利用するとき、裁判所の調停を利用するときにも弁護士費用は和解金に含まれません。


訴訟をしても、途中で「和解」する際には弁護士費用を賠償範囲に含めないケースが多いです。


つまり、保険会社との話し合いによって解決するときには、弁護士費用を損害賠償に含めないということです。




◆訴訟で判決が出たときにも弁護士費用が支払われる


交通事故で発生した弁護士費用を相手に支払わせるには、訴訟で「判決」してもらう必要があります。


判決で加害者に損害賠償金の支払い命令が出るとき、裁判所は相手に対し「発生した損害額の10%」を弁護士費用として認め、支払うように命じます。


保険会社も判決には従うので、支払い命令が出たらきちんと上記の弁護士費用を支払います。




◆認定される弁護士費用の金額について


判決で支払い命令が出るとき、認められる弁護士費用の金額に注意が必要です。


実際にかかった金額ではなく「認容される損害額の10%」となるからです。消費税なども認めてもらえません。


裁判所としては「10%程度であれば、通常発生する弁護士費用として交通事故との因果関係を認められる」という考えをもっています。


たとえば損害賠償金が500万円であれば50万円の弁護士費用を認めてもらえます。


交通事故の訴訟を起こすとき、個別に弁護士費用の証明をする必要はありませんが、全額の費用を認めてもらえるとは限らないので、注意しましょう。




交通事故の損害賠償の仕組みや弁護士費用についてわからないことがありましたら、ご遠慮なくご相談下さい。


▼参考記事

(よつば総合法律事務所 弁護士 松本達也)

事故に遭った車を廃車にしたいのですが、この費用はだれが負担するのですか

2019年01月31日
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事故に遭った車を廃車にしたいのですが、この費用はだれが負担するのですか


車が全損扱いとなり廃車を余儀なくされる場合には、廃車費用(法定費用と業者に払う手数料)を加害者に請求可能です。一方修理可能で廃車の必要がない場合には、廃車費用は被害者の負担となります。


交通事故 : 廃車費用


◆廃車費用も損害となる


交通事故で車が破損した場合、廃車にすることがあります。


その場合、廃車費用(法定費用と業者に依頼したときにかかる手数料)を相手に請求できるケースとできないケースがあります。


相手に請求できるのは、廃車費用が「交通事故によって発生した損害」の一内容となる場合です。


つまり「交通事故により、廃車を余儀なくされた」ならば廃車費用は交通事故によって発生した損害と言えるので、相手に請求可能です。


交通事故で車を廃車にせざるを得ないのは、以下のようなケースです。



このような場合には車が「全損」扱いとなって、その車はもはや利用継続が不可能と判断されるので、新たな車を購入するための買換費用が認められます。


以前の車はもはや使えなくなるので、廃車にかかる費用は損害の一内容となり、加害者が負担します。


なお車が全損扱いとなった場合には、廃車費用以外にも以下のようなさまざまな買換諸費用が認められます。





◆廃車費用が損害にならない場合


一方、交通事故に遭っても廃車費用が損害にならないケースがあります。それは、車を廃車にする必要がない場合です。


交通事故が起こったからと言って、必ずしも車を廃車にして買い換えないといけないわけではありません。修理すれば使えるケースも多いからです。


本当はまだ乗れるけれども、交通事故を機に被害者が自主的に車に乗るのをやめようと思い、廃車にするケースもあるでしょう。このように、被害者の都合で廃車にする場合にまで、加害者が廃車費用を負担すべきということにはなりません。


そこで、以下のような場合には廃車費用を加害者に請求することはできません。



上記のような場合には、廃車費用や買換諸費用ではなく、車の修理費用が加害者から被害者へと支払われます。また車の評価損として、損傷の部位・程度、車種、走行距離、初度登録からの期間等を総合考慮して、修理費用の1割から3割程度を上乗せして請求できるケースもあります。




以上のように物損事故でも、ケースによって発生する損害の種類が異なります。疑問を持たれた際には弁護士がお答えしますので、お気軽にご相談ください。


▼参考記事

(よつば総合法律事務所 弁護士 松本達也)

買替諸費用とはどんなものが認められるのですか、車とバイクで認められるものは同じですか

2019年01月30日
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買替諸費用とはどんなものが認められるのですか、車とバイクで認められるものは同じですか


買替諸費用とは、車が全損して買い替えが必要になったとき、本体代以外に発生する納車費用や車庫証明費、税金などの費用です。自動車とバイクではかかる税金の取扱いが異なりますし、バイクの場合には車庫証明が不要なので、買替諸費用の内容が異なる可能性があります。


交通事故 : 買替諸費用


◆買替諸費用とは


交通事故に遭うと、車が完全に破損して修理不能になるケースがあります。
また修理は可能であっても、修理すると車の時価以上に費用がかかってしまい、経済的に無駄になる場合もあります。


このようなケースでは、車を「全損」扱いとして、車の買替費用が加害者側から支払われます。買替費用として支払われるのは、車の時価が限度です。


しかし車を買い替えるとき、本体代金さえ支払えば購入できるものではありません。実際には納車費用や車庫証明の費用、ナンバープレート取得費用や各種の税金などの諸費用が発生します。こういった諸費用も交通事故がなかったら不要だったと言えるので、加害者に請求できます。


これが「買替諸費用」です。




◆買替諸費用として認められる費用


交通事故で加害者に請求できる買替諸費用(自動車の場合)は、以下のようなものです。





◆買替諸費用として認められない費用


一方、以下のようなものは買替諸費用として認められません。





◆自動車とバイクの違い


事故車が自動車かバイクかでどのような違いがあるのかもみておきましょう。


バイクの場合には、車庫証明の要否や税金の種類が自動車のケースと異なります。
まずバイクでは車庫証明が不要なので、車庫証明代を請求することはできません。


またバイクの場合、自動車税ではなく軽自動車税がかかりますが、軽自動車税には還付制度がないので、未経過分の軽自動車税も損害の一内容として請求できると考えられます。




物損事故でも諸費用の問題など、複雑な法律問題があります。迷われたときには、お気軽に弁護士までご相談ください。


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(よつば総合法律事務所 弁護士 松本達也)

後遺障害診断書に神経症状という欄がありますが、これはどういう症状を言うのですか

2019年01月29日
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後遺障害診断書に神経症状という欄がありますが、これはどういう症状を言うのですか


神経症状とは、神経が損傷されたことが原因で発症する痛みやしびれ、腫れや熱感などの症状です。むちうちや腰椎捻挫などで発症するケースが多いです。


交通事故 : 神経症状


◆神経症状とは


交通事故の後遺障害認定基準に「神経症状」があります。


神経症状とは、神経が損傷されたときに発症するさまざまな症状です。


人間の体内には中枢神経やそこから身体の各部分に伝わる末梢神経が張り巡らされています。神経は知覚や運動などの各種の機能を司っているので、神経を損傷されると、人間の身体にはさまざまな症状が出てしまいます。それが神経症状です。


交通事故の後遺障害認定基準で「神経症状」と書いてあるのは、主に末梢神経の損傷を原因とする局部の神経症状です。中枢神経やそれに近い神経損傷で重症となった場合には「神経系統の機能や精神の障害」と表記されています。




◆代表的な神経症状の例


神経症状として多いのは、以下のような症状です。


また、交通事故で神経症状が出やすいのは、以下のような傷病です。


ケースによっては激しい傷みや苦痛が続き、日常生活に大きな支障が出ることもあります。




◆神経症状で認定される後遺障害の等級


交通事故に遭って神経症状が残って治らない場合、後遺障害認定を受けられる可能性があります。


神経症状で認定される可能性のある等級は、12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」または14級9号「局部に神経症状を残すもの」です。


12級13号が認定される場合

神経症状で12級が認定されるのは、MRIやレントゲン、その他の検査によって明確な他覚所見を得られており、症状を医学的に証明できるケースです。後遺障害認定では画像検査が重視される傾向があります。


14級9号が認定される場合

神経症状で14級が認定されるのは、MRIなどの検査結果によっては症状を証明できないけれど、一貫した自覚症状が続いており、その症状が交通事故によって発生していることを合理的に説明できるケースです。


どちらの等級の場合であっても,交通事故で後遺障害認定を受けるためには、適切な検査を受けてできるだけ多くの医学的な資料を集め、症状の証明や説明をしなければなりません。




お一人で対応されると適切に資料を集められず、後遺障害認定を受けられない可能性も高くなります。不安がおありでしたら、弁護士までご相談ください。


▼参考記事

(よつば総合法律事務所 弁護士 松本達也)

後遺障害を申請したら非該当となりました。異議申し立てとはどこにどんな書類を出して行うのですか

2019年01月28日
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後遺障害を申請したら非該当となりました。異議申し立てとはどこにどんな書類を出して行うのですか


後遺障害の異議申し立ては、事前認定の際には相手の任意保険会社、被害者請求の場合には加害者の自賠責保険や共済に対して「異議申立書」を提出することによって行います。ただし異議申立書だけではなく、新たな医証(診断書や検査結果の記録、意見書など)も提出することが望ましいです。


交通事故 : 後遺障害、異議申し立て


◆後遺障害の異議申し立てとは


交通事故で後遺症が残ったとき、後遺障害認定の申請をしても等級が低くなってしまったり「非該当」になってしまったりすることがあります。そのようなときには「異議申し立て」により、認定結果を変更してもらえる可能性があります。


異議申し立ては、基本的に加害者の自賠責保険や共済が受け付けています。
申し立てをすると、自賠責保険や共済が再度後遺障害に該当するかどうか調査をして、再度判断し直します。


異議申し立てには期間制限がないので、いつでも手続きをすることが可能です。また回数制限もないので、3度目、4度目の異議申し立てもできます。


ただし調査や判断をする機関が同じなので、1度目と同じ方法で異議申し立てをしても、認定結果が変更される可能性は低くなります。




◆異議申立書について


異議申し立てをするときには「異議申立書」を作成する必要があります。


異議申立書の内容によって認定結果が変更されるかどうか変わるので、慎重に作成すべきです。1度目の認定のどこが間違っているのか、本当はどういった後遺障害が残っていて、それが何級何号に該当するのかなど、説得的に理由を付けて記載しましょう。


書き方がわからない場合、弁護士がアドバイスしたり代わりに作成したりすることも可能です。




◆異議申立書の提出先


異議申立書の提出先は、後遺障害認定の手続き方法が「事前認定」か「被害者請求」かによって異なります。


事前認定の場合、手続きを相手の任意保険会社に任せているので、異議申立書も任意保険会社に提出します。


被害者請求の場合、被害者が自分で後遺障害認定の手続きを行うので、異議申立書も直接自賠責保険や共済へ送ります。


1度目に事前認定を利用した場合でも、異議申立てを被害者請求で行うことも可能です。その場合には異議申立書をその他の被害者請求用書類とともに、自賠責保険や共済へ送ります。




◆その他の医証について


後遺障害認定結果を変更してもらいたいとき、異議申立書だけでは不足することが多いです。後遺障害診断書やMRIなどの検査結果の資料、医師による意見書など、新たな医証を用意して、1度目の変更が誤りであったことを医学的に立証する必要があります。


どのような医証が必要かはケースによっても異なるので、異議申し立てをされるときには弁護士までご相談ください。




▼参考記事

(よつば総合法律事務所 弁護士 松本達也)

医療照会とはなんですか?

2019年01月25日
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医療照会とはなんですか?


医療照会とは、病院などの医療機関に対し、患者の病状や治療経過、検査結果などについての資料を求めたり回答を求めたりすることです。交通事故で通院期間が長くなると、保険会社が医療照会をして現状を確認することがあります。また弁護士からも医療照会をして、後遺障害認定のための資料作りに役立てることがあります。


交通事故 : 医療照会


◆医療照会とは


交通事故に遭って被害者が治療を受けると、病院には治療記録(カルテ)や診断書、診療報酬明細書や検査結果などの資料がたまっていきます。これらの記録を取り寄せたり、医師に患者の状況について質問をして回答を求めたりすることが「医療照会です。


医療照会は、さまざまな目的のために行われます。


保険会社から行われるケースも多いですし、ときには弁護士から医療照会を行うこともあります。




◆保険会社が医療照会をするケース


保険会社は、被害者の通院期間が長くなってきた頃に医療照会することが多いです。


その目的は、治療の必要性を見極めて今後の予定を立てるためです。つまり「いつまで治療が必要となるのか」を調べて、不要であれば治療費の支払いを打ち切ることなどがあります。


被害者に休業損害を支払っている場合、休業の必要性を調べるために医療照会するケースもあります。


医療照会には、書面照会と医師との面談による照会の2種類の方法があり、多くのケースでは面談による照会が行われています。


休業損害が高額な場合や事故との因果関係が疑わしい場合などには、交通事故後比較的早い段階で医療照会が行われるケースもあります。




◆弁護士が医療照会をするケース


被害者側の弁護士が医療照会を利用するケースもあります。後遺障害認定に役立てる資料とするためです。


後遺障害認定を受けようとしても、MRIなどによって明確に他覚所見を得られない場合には、補足の資料が必要です。そのために医療照会を行って医師に質問状を送り、回答を書面で出してもらうことにより、後遺障害認定の資料とするのです。


回答書を作成してもらう前の段階で弁護士が医師と面談を行い、質問の意味や回答してもらいたい理由などを説明して、より適切な回答書を出してもらえるように算段することも可能です。


医療照会の書面を提出することにより、本来であれば難しかった後遺障害認定を受けられる可能性もあるので、交通事故被害者にとって非常に重要です。




医療照会するためには、被害者による同意書が必要となります。保険会社から同意書の作成を依頼されて対応に困った場合や、後遺障害認定を受けるために医療照会を利用されたい場合には、一度弁護士までご相談ください。


▼参考記事

(よつば総合法律事務所 弁護士 松本達也)

後遺障害がついた場合、逸失利益が払われると聞きました。私は定年退職後仕事をしていないのですが、逸失利益は払われないのですか?

2019年01月24日
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後遺障害がついた場合、逸失利益が払われると聞きました。私は定年退職後仕事をしていないのですが、逸失利益は払われないのですか?


定年退職後の方でも逸失利益が認められる可能性があります。認められる場合と逸失利益の計算方法をご説明します。


交通事故 : 人身傷害特約、弁護士費用特約、対物超過修理費用特約


◆定年退職後逸失利益が認められる可能性のある人


【定年退職後の場合、基本的に逸失利益が認められない】

交通事故で後遺障害が認められると、逸失利益が発生するケースがあります。逸失利益とは、後遺障害によって労働能力が低下し、得られなくなってしまった収入です。


そこで逸失利益が認められるのは、基本的に「事故前に働いていた人」であり、すでに退職して働いていなかった方の場合には逸失利益は認められません。


また、後遺障害が残っても年金は変わらず支給されるので、年金受給額を基準に逸失利益を請求することも不可能です。


ただし、定年退職後の方であっても逸失利益を請求できる可能性があります。それは以下のようなケースです。


【就労予定だった人】

1つは、事故前にたまたま失業中だっただけで、就労予定があった人のケースです。
就労予定者として逸失利益を認めてもらうには、以下の要件が必要です。



これらの3点を満たした場合、定年退職後の方でも逸失利益が認められる可能性があります。


【主婦、主夫】

定年退職して家族のために家事労働をしていた場合には、交通事故によって家事ができなくなった分の逸失利益を請求できます。




◆定年退職後の逸失利益の計算方法


【労働能力喪失期間について】

定年退職後の方(高齢者)の場合、労働能力喪失期間の計算は、以下のどちらか長い方を基準に計算します。



定年退職している方であれば、平均余命の2分の1を基準にするケースが多くなるでしょう。


【基礎収入について】

失業中の高齢者の場合の基礎収入は、従前の給料や仕事内容、予定していた就業先での給料などを考慮して、年齢別の平均賃金を基準にしたり、平均賃金から割合的に減額したりして算定することが多いです。


主婦や主夫の場合には、年齢別の女性の平均賃金を用いて計算する例が多数です。




定年退職したからといって、必ずしも逸失利益が認められないわけではありません。疑問がある場合には、お気軽に弁護士までご相談ください。


▼参考記事

(よつば総合法律事務所 弁護士 松本達也)

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よつば総合法律事務所
千葉県最大級の法律事務所。弁護士16名が所属しております。事務所名の「よつば」は事務所に関わる人が皆幸せになるようにとの思いから名付けました。お気軽にご相談ください。
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