交通事故で生活が一変。。まさか自分が高次脳機能障害になるとは,これからどう生活していけば良いのでしょうか?

2017年07月27日
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交通事故で生活が一変。。まさか自分が高次脳機能障害になるとは,これからどう生活していけば良いのでしょうか?

交通事故による高次脳機能障害は,頑張ってリハビリすれば症状を改善することができます。




 高次脳機能障害と向き合う 


◆交通事故で人生のどん底に


28歳の会社員です。
独身ゆえの身軽さで,仕事が休みの日は仲間とオートバイツーリングをしたり,婚約中の彼女とデートしたりして過ごしています。

この春に昇進して係長になり,社長の信頼も厚く,仕事もプライベートも充実した生活を送っていました。




生活が一変したのは,ツーリング中の交通事故です。
山道を走行中,センターラインをはみ出して走ってきた乗用車と衝突,オートバイから投げ出されて全身を強く打ち、そのまま救急搬送されました。

自分としては,治療のために入院している間,会社の仕事が滞ることが心配でした。
医師から高次脳機能障害という,傷病名を聞かされてもピンときません。手足の骨折のようにギプスをはめるわけではなし,数日したら退院して出社できるだろうと思っていました。




リハビリテーションが始まりましたが,医者は僕の退院を認めません。
僕は道具の使い方がわからなかったり,単語がすぐに出てこず会話がスムーズに行かないなどの症状を指摘されており,もっとリハビリテーションを続けなければ,職場に戻ってから苦労するだろうというのです。

仕事を再開するどころか,退院のめどもたたず,気持ちは落ち込みました。
僕が,歯ブラシの使い方がわからなくて逆さまに持ったり,ハサミを見て,何に使う道具だろうと考えこむのは,典型的な高次脳機能障害の症状だそうです。




なかなか症状が改善しないことに嫌気がさして,リハビリテーションに対する熱意も失せました。







◆高次脳機能障害が治ると知って気持ちが明るくなった


婚約中の彼女が,リハビリテーションをさぼりがちな僕のことを心配して,もっと一生懸命リハビリしなければ病気が治らないと僕のことをとがめます。僕は「不治の病をリハビリで治せるわけがない」と反論し,けんかになりました。




それから1週間してお見舞いに来た彼女は,たくさんの本を抱えていました。
高次脳機能障害が本当に治らない病気かどうか知りたくて,本屋さんで目に付いた医学書をかたっぱしから買って読みあさった結果,彼女は僕の病気が絶対に治ると確信したそうです。

その理由は,脳の壊れた組織はもとには戻らないけれど,訓練によって失われた機能を補うことができる柔軟性を人間の脳は持っているからだと彼女に教えてもらいました。




それからというもの,張り切ってリハビリテーションに励むようになりました。
単調な動作の繰り返し,昨日と同じ訓練・・でも,リハビリテーションにはっきりした目的意識をもっていれば,つらくありません。

彼女と共に高次脳機能障害という病気を理解した結果,誤認や錯語などの症状が改善され,退院して社会復帰するめどが付きました。高次脳機能障害という病気を正しくしり,治ると信じたことが健康回復につながったと思います。




▼参考記事
・解決事例:バイクの交通事故の解決事例
・よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」:交通事故と生命保険
・解決事例:バイクの交通事故で高次脳機能障害を発症した解決事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

高次脳機能障害を若年性認知症と誤解されかけました。症状は似ているものなのでしょうか?

2017年07月26日
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高次脳機能障害を若年性認知症と誤解されかけました。症状は似ているものなのでしょうか?

高次脳機能障害は,記憶障害などの症状が現れると若年性認知症と間違われかねないことがあります。頭を打ったら自覚症状がなくても,MRIなどの精密検査を受けましょう。




 高次脳機能障害の症状(若年性認知症) 



◆検査で異常は見つからず,2週間で仕事再開



Rさん(45歳女性)は,仕事一筋で働いてきた独身のキャリアウーマンです。

Rさんは,夏休み中に趣味のロードバイクで走っている時,自転車を追い越したトラックに接触されて転倒し,頭を打って入院しました。

ヘルメットをかぶっていましたが,交通事故で頭に受けた衝撃はかなり強かったため,精密検査を受け入院しました。

しかし,特に目立った症状はなく,理学療法によるリハビリテーションを受ける毎日は単調で,やりかけの仕事が気になってしかたないRさんは,主治医に退院したいと訴え,2週間後に退院を許可されました。




通院によりリハビリテーションを続けることと,少しでも体調がおかしいと感じたらすぐ受診することが,退院の条件でした。






◆仕事でミスが増え再受診


Rさんは,はりきって仕事を再開しましたが,メールの返答忘れ,部下のレポート読み忘れ,回覧の回し忘れなどのうっかりミスが増えたことを,自分でも自覚していました。
ミスに気付くのは,後で同僚や部下から問い合わせがあってからで,業務をこなす自信を失いかけていました。

ある日,給湯室の前を通りかかった時,中の話し声が聞こえてきました。

「Rさん、毎日のように、今日はなん日だっけ?って聞くの」,「そうそう、同じことを何度もたずねるのよね」,「物覚えが悪くなったのは歳のせい?」,「若年性認知症だったりして」


Rさんは,自分が日付をしょっちゅう人に質問していることを意識していなかったのでショックを受けました。

それに加えて,最近増えているケアレスミス・・もしかしたら,自分は本当に若年性認知症なのかもしれないとRさんは思いました。頭を打ったことが原因で若年性認知症になるのだろうか? 




Rさんは不安を抱えて次の週末に病院を訪れました。主治医は,物忘れがひどくなったというRさんの主訴を聞いて,MRI検査を行いました。

その結果,前頭葉に小さな損傷が見つかり,高次脳機能障害による記憶障害と診断されました。
Rさんは,認知症ではないと告げられて,将来に希望を持つことができました。







◆高次脳機能障害による記憶障害に対するちょっとした工夫


Rさんのリハビリテーションを担当する作業療法士さんは,記憶障害によるトラブルを回避する方法をいろいろ提案してくれました。

トラブル回避のカギは,日常生活の決まり事をシンプルにすることだそうです。


たとえば,ビジネスランチは,食事をすることと仕事の話をすると,2つのことを同時に行わなければいけないので,どちらかがおろそかになるか,どちらもきちんとできない可能性がある。

このように,複数の物事を同時に行うような仕事の進め方は避けるようにしましょう。とアドバイスしてくれました。

Rさんは,スマートフォンのカレンダーにスケジュールを書き込み,それぞれアラームを設定して,イベント開始時刻とイベント開始1時間前の2回鳴るようにしました。
デスクのかたわらにスマートフォンを置いているので,うっかり忘れている仕事があってもアラームが鳴って画面を見るとやるべきことを思い出せます。




Rさんの仕事上のミスは激減し,周囲の評価も上々です。
高次脳機能障害と診断された後も仕事に励み,若年性認知症と間違えられそうになったのがウソのように部下の信頼も厚いRさんです。




▼参考記事
・解決事例:自転車の交通事故の解決事例
・高次脳機能障害の解決事例:被害者のリハビリテーションの努力で,症状を改善できた事例
・よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」:事故後の人生




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故に遭い,高次脳機能障害と診断されました。事故後,認知症に似た症状が現れたりすることはありますか?

2017年07月25日
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交通事故に遭い,高次脳機能障害と診断されました。事故後,認知症に似た症状が現れたりすることはありますか?

前頭葉を損傷して高次脳機能障害になると認知症に似た症状が現れ,物忘れがひどくなったり意欲が低下することがあります。




 高次脳機能障害:認知症に似た症状 



◆自分がしたことを忘れがちになる



Dさん(52歳女性)は,趣味の早朝ウォーキング中に車にぶつかって転び,頭を強く打ちました。

交通事故で頭を打ったので,脳の検査を行った結果,前頭葉に損傷があるということで,高次脳機能障害と診断され入院して,高次脳機能障害の治療をすることになりました。


Dさんは,交通事故の後,性格やふるまいが大きく変わりました。



結婚するまで高校の英語教師をしていたDさんは,知的な女性で読書家でした。しかし,事故に遭って入院してからというもの,活字を読まなくなり,夫が差し入れた本や雑誌にも無関心です。

自分がしたことを忘れがちで,朝食を食べたにも関わらず,まだ朝食が来ないとナースコールを押して看護師を呼び苦情を言う,リハビリテーションの時間は毎日午後2時からと決まっているにも関わらず,毎朝「今日のリハビリは何時からですか?」とたずねるなどします。

医師が「今日は何月何日かわかる?」とたずねても「入院していてわかるわけない」と怒ります。
Dさんは、記憶障害を発症していた
のです。







◆認知症のような症状にとまどう家族


Dさんが入院して1カ月経ったある日,
Dさんの夫が見舞にきて,「きみが親しくしていたお隣りのJさんが来月引越しするそうだよ」と話しました。
すると,DさんはJさんのことをまったく知らない様子で,「Jさんとは誰ですか?」と夫にたずねました。Dさんの夫は,Dさんが認知症になったのではと疑いました。

実は,Dさんの母親が認知症で施設療養しているので,知っているはずのことを知らないと言ったり,同じことを何度も繰り返したずねる症状に覚えがあったのです。




Dさんの夫は,主治医との面談を求め,Dさんが認知症を発症しているのではないかという不安を打ち明けました。

主治医は,脳の前頭葉は,人間が情報処理をして必要な指令を出す,まさに人間の知性の中心部ともいえるところであり,Dさんはその部分を傷つけたことによって,高次脳機能障害を発症し情報処理に問題が起きているが,認知症ではないと説明しました。




リハビリテーションについては,運動や作業療法などによる反復訓練で脳に刺激を与えることにより,脳の他の場所が,損傷した脳の失われた機能を補おうとするという,最新の医学界の見解を教えてくれました。しかも,早い時期から積極的にリハビリテーションをするほど,脳の回復は期待できるのだそうです。

Dさんの夫は,妻が認知症ではなかったことに安堵し,リハビリテーションの効果に期待を持って妻の闘病生活を支えています。




▼参考記事
・解決事例:高次脳機能障害の解決事例(前頭葉底部脳損傷)
・解決事例:歩行者の交通事故の解決事例
・交通事故HP:事故直後・症状固定前から相談可




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故による高次脳機能障害:短期記憶障害でもできる仕事はありますか?

2017年07月24日
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交通事故による高次脳機能障害:短期記憶障害でもできる仕事はありますか?

交通事故による高次脳機能障害で短期記憶障害を発症すると,ついさっき起きたことを覚えられなくなりますが,仕事の内容と周囲の理解により職場復帰が可能です。




 短期記憶障害:仕事復帰 



◆物覚えが悪くなったのは頭を打ったせい?


Gさん(54歳男性)は,早期退職優遇制度を利用して55歳で早期退職して妻と自宅カフェを開業する予定でした。

しかし,Gさんの夢は,Gさんが交通事故に遭ったことで打ち砕かれました。

休日に夫婦で散歩に出かけたところ,見通しの悪い交差点で一旦停止義務を怠り走ってきた自動車にはねられたのです。Gさんの奥さんは軽傷でしたが,Gさんは頭を強く打ち,救急車で病院に運ばれました。


Gさんは,CT検査を受けた結果,下頭頂小葉(かとうちょうしょうよう)の損傷が発見され,高次脳機能障害と診断されました。




入院後,Gさんは物覚えが悪くなったと奥さんから言われました。


たとえば,病院の売店に二人で行き,奥さんが電話をかけたいのでその間にオレンジジュースを買っておいてと頼んだのに,戻ってきたらジュースは買わずスポーツ新聞を買っていました。オレンジジュースを買っていないと奥さんが文句を言うと,Gさんは,そんなことは頼まれていないと言い返すのでした。

Gさんに起きた高次脳機能障害の後遺症は,「記憶障害」でした。
特に,最近おきたばかりの出来事を覚えることができない,短期記憶に障害が起きていました。



Gさんが損傷したことが画像診断で明らかになった下頭頂小葉は,大脳の前頭葉,側頭葉,後頭葉に接している脳の中心部です。下頭頂小葉は,さらに縁上回(えんじょうかい)と角回(かくかい)に分かれていて,このうち、縁上回は短期記憶と密接な影響があり,Gさんは,ついさっき起きたことや聞いたことを覚えられなくなってしまったのです。




医師は,Gさんの奥さんに記憶障害について説明し,物忘れがひどいのは病気のためであることを理解するよう伝えました。







◆記憶障害で職務が果たせない


Gさんは1カ月後に退院し,会社勤めを再開しました。

しかし,復職してすぐ,高次脳機能障害の影響が仕事に現れるようになりました。



Gさんの職務は電話がかかってくることが多く,他の部署や同僚への伝言をメモして回覧するのもGさんの仕事です。ところが,Gさんは電話を受けて話をしているうちに,誰からの電話でどんな要件を受けたのか覚えられず,メモを取ることもできなくなりました。

電話で話している間は,ごく普通に会話できるのに,電話を切ると何をしゃべったか全く覚えていないのです。これでは仕事になりません。




短期記憶障害により,Gさんは現在の業務遂行が困難になりました。Gさんは,上司に高次脳機能障害の後遺症があることと,電話に出なくても良い事務作業を希望しました。その結果,Gさんは退職するまでメールセンターで郵便物の仕分けを担当することになりました。


同僚には,自分から短期記憶障害の説明をして,伝言がある場合はメモでほしいと頼みました。
メモを自分のデスクに貼っておけば,記憶が失われても伝言を再確認できるからです。



会社の理解と協力により,もうじきGさんは定年退職の日を迎えます。




▼参考記事
・解決事例:会社員が高次脳機能障害になり,解決した事例(被害者の努力と勤務先の配慮もあり,減収がある程度抑えられた事例)
・よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」:重度の後遺障害と示談交渉について
・交通事故HP:交通事故と治療Q&A




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故による高次脳機能障害:左半側空間無視とリハビリテーション

2017年07月21日
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交通事故による高次脳機能障害:左半側空間無視とリハビリテーション

交通事故で頭を打ち,左半側空間無視という高次脳機能障害を発症しましたが,視線操作訓練などのリハビリテーションを行った結果,症状が改善して退院しました。




 左半側空間無視 



◆道順が覚えられない


Lさん(男性23歳)は,コンビニに買い物に行くために自転車で家を出て,交差点で自動車とぶつかり,頭を強く打って病院に運ばれました。


Lさんとその家族は,脳の画像診断を見せられて脳の一部が傷付いたことによる病気,高次脳機能障害を発症していると告げられました。



やがて,Lさんの家族はLさんの様子が交通事故に遭う前とは違うことに気付きました。

家族が面会に行くと,病室から団らん室に行きますが,団らん室は病室を出て廊下を左に曲がって15mほど行った左側にありますが,いつまでたっても団らん室への道順を覚えられないのです。病室を出ると廊下を右に曲がって,廊下を果てしなく歩き,すれ違った看護師さんが気づいて呼び止められるなどの問題が起きていたのです。

これは「道順障害」と呼ばれる脳の右半球の一部が傷付いたために起こる,高次脳機能障害の一種だったのです。




Lさんは,体の左側にあるものを無視するようになりましたが,これは右半球を損傷したことによる「左半側(はんそく)空間無視」と言う後遺症と診断されました。

Lさんは,左側に置かれた食べ物を食べ残し,新聞は右側のページしか読もうとしませんでした。
左半側空間無視により,病室を出て左側にある廊下を認知できないため,廊下を左に曲がるべきところを右に曲がってしまうので,道順障害が強く現れていました。

Lさんは,当面入院してリハビリテーションに専念することになりました。







◆リハビリテーションで症状の緩和を実感


LさんとLさんの家族は,はじめはリハビリテーションの効果について懐疑的でした。
というのは,医師から「高次脳機能障害は治らない病気」という説明を受けていたからです。

まだ20代のLさんにとって,病気が完治するかしないかは,これからの人生に大きな影響をもたらします。病気が完全に治るのなら頑張ってリハビリテーションに励むけれど,どうせ治らないのなら長期入院するよりも,早く家に戻りたいとLさんは思うのでした。




リハビリテーションスタッフは,リハビリテーションを行うことで,後遺症が完全に消えることはなくても,症状の改善が期待できること,たとえ後遺症が残っても,その症状に対してどう対処するか方法を覚えることができると,Lさんに説明してくれました。

Lさんは,理学療法士や作業療法士とリハビリテーションを開始しました。




左半側空間無視に対しては,視覚走査訓練,左側に置いたものを右側に移動するなどの作業を繰り返し行いました。「右側にエレベーターがあるから,ここを左に曲がって売店に行く」というように,声を出して自分の行動を確認するで,左側の空間を認識できないことを補いました。

道順が覚えられない道順障害は,左半側空間無視と密接な関係にあるので,左側の空間に対する注意喚起を行うリハビリテーションを繰り返し行いました。

リハビリテーションを繰り返し行った結果,道順障害の症状も徐々に緩和されていき,3カ月後,Lさんは無事退院しました。




▼参考記事
・よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」:後遺障害認定から逆算して治療中からのフォローが大事な理由
・よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」:膨大な過去事例の集積
解決事例:高次脳機能障害を負われた方の解決事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故で高次脳機能障害になったことに気が付くまで

2017年07月20日
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交通事故で高次脳機能障害になったことに気が付くまで

交通事故で頭を打ったので検査を受けても何ともなかったのに,やがて物忘れがひどくなり,1カ月後に再検査をしたところ,高次脳機能障害と診断されました。




 高次脳機能障害に気が付くまで,,, 



◆はじめは頭を打っただけだと思っていた



Pさん(男性35歳)は,休日に近所に買い物に出かけた折に,信号無視の車にはねられて転倒し,舗装道路に頭を激しくぶつけました。

意識ははっきりしており目立った外傷もありませんでしたが,打ったところが頭ということで念のために病院に行って診察をしてもらいました。


病院では,Pさんの頭部のレントゲン撮影とCT検査を行い高次脳機能障害の発病を疑うような異常な所見はないと診断されました。

Pさんは,念のために1カ月後にもう一度検査をすることと,体調に異変を感じたらすぐ受診するようにと言われ,帰宅しました。

Pさんは,会社の中間管理職で,仕事は多忙を極めています。
交通事故に遭った次の日,体調はいつも通りですし頭痛もしないので,いつも通り出社しました。







◆仕事のミスが増え,物忘れが目立つ


Pさんの仕事にミスが目立つようになったことに上司が気づいたのは,事故で頭を打って2週間後のことでした。

部内ミーティングがあることを忘れていて遅刻,レポート提出期限に気付かず準備をしていないなど,仕事の基本を守れないようになったのです。

これでは,中間管理職として部下を指導する立場として問題です。
上司はPさんを厳しく叱責しました。




一方,Pさんの奥さんも最近Pさんの物忘れがひどくなったことに気付いていました。
しかし,「あの人は昔からうっかり屋さんで,約束したことを忘れるのは今に始まったことではないから」と,さほど気にかけていませんでした。







◆致命的な仕事のミス,そして再受診


Pさんが仕事で大きなミスをしたのは,頭を打ってちょうど3週間後のことでした。

大きな商談がまとまる予定の日,得意先を午後2時に訪問する予定でしたが,Pさんは訪問予定を忘れ,別の得意先回りをしに出かけてしまったのです。約束の時間になってもPさんが現れないことに怒った得意先は,商談をなかったことにすると言い出し,会社は大混乱になりました。

ひたすら頭を下げて謝るPさんは,ようやく自分の物忘れが尋常ではないことを自覚しました。

そう言えば,病院を1カ月後に再受診するように言われていた・・Pさんは,再検査の必要性を感じ,翌日休暇を取って救急搬送された同じ病院で,頭部の再検査を受けました。




医師に物忘れがひどくなったこと,仕事でミスが多くなったことを伝えると,精密検査を勧められ,MRI検査の予約をしました。
翌週,
頭部のMRIの撮影をして,専門医が画像を診断したところ,脳の一部が損傷して高次脳機能障害を起こしていることが明らかになりました。

Pさんは会社に診断書を提出し,定期的にリハビリテーションに通っています。
病気の影響による仕事の誤りに対して会社が理解を示してくれたおかげで,Pさんは仕事と治療を両立させています。

あのまま再検査を受けずにいたら,高次脳機能障害を発症していることに気付かず,病気が進んでいただろう・・Pさんは,頭を打ったあとの再検査がいかに重要か痛感しました。




▼参考記事
・解決事例:高次脳機能障害を負われた方の解決事例
・よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」:高次脳機能障害と家族の会
・よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」:画像読影について




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故で,後遺障害等級が認められましたが,加重障害との記載がありました。 自賠責保険の加重障害とは何ですか?

2017年07月19日
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交通事故で,後遺障害等級が認められましたが,加重障害との記載がありました。 自賠責保険の加重障害とは何ですか?

加重障害とは,交通事故以前から何らかの後遺障害を負っていた場合において,事故によって後遺障害が重くなった場合の後遺障害です。加重障害と認定されると,以前の後遺障害の分は賠償金が減額されます。




 加重障害 


◆交通事故以前から後遺障害があると,どうなるのか?



交通事故で後遺障害が残ったら,その内容や程度に応じて後遺障害の等級認定を受けて,相手に対して賠償金を請求することができます。
具体的には後遺障害慰謝料と逸失利益が認められます。

ただ,被害者がもともと障害を負っていた場合には,満額の賠償金を認めるのは相当ではないという考えがあります。


もともとの障害の分は交通事故による損害ではないので,賠償金から差し引かないと不都合だということです。

このように,もともと障害があった人が交通事故に遭い,障害が悪化して後遺障害が残った場合を加重障害と言います。

ただし,もともと障害があっても,かならずしも加重障害認定が行われるわけではありません。
もともとの障害と新たな後遺障害が無関係なものであれば,加重障害とする根拠がないからです。

加重障害になるかどうかについては元々の障害と新たな後遺障害の部位によって取扱いが異なるので,以下で見てみましょう。







◆同じ部位に障害があったケース


まず,もともとの障害があった部位に後遺障害が残ったケースです。
この場合には,加重障害となります。


もともと右目の視力が0.6以下だった人が(後遺障害13級相当),事故によってさらに視力が悪化して0.1以下になった場合(後遺障害10級相当)などです。この場合には,後遺障害10級となりますが,もともとの後遺障害の分(13級相当の分)は,賠償金から減額されます。







◆同一の系列に障害があったケース


まったく同じ部位ではなくても,もともとの障害と新たな後遺障害が同一の系列であるケースがあります。この場合にも,加重障害となります。


後遺障害の等級認定では,もともとの後遺障害と新たな後遺障害をそれぞれ認定します。
たとえば,もともとの右手首の障害の等級が12級で,新たな右肘関節の後遺障害が10級の場合には,9級相当となります。


その上で,もともとあった障害の分の賠償金を差し引いて,本件の賠償金を計算します。







◆無関係な部位に後遺障害があったケース


最後に,まったく無関係な部位に後遺障害が残ったケースを考えましょう。
この場合,もともとの障害と新たな後遺障害が無関係なので,加重認定とはなりません。


たとえばもともと視力の低かった人が,右腕に後遺障害が残ったケースです。
認定された等級について賠償金の減額がされるということはありません。







▼参考記事
・よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」:後遺障害等級認定の異議申立て
・解決事例:異議申立により非該当から14級9号となった事例(過去の交通事故での後遺障害と同一部位ではない事故)
・交通事故HP:交通事故による後遺障害の解説




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故で後遺症が残ったので,等級認定申請をしたいと思っています。申請方法はどのような方法がありますか?

2017年07月18日
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交通事故で後遺症が残ったので,等級認定申請をしたいと思っています。
申請方法はどのような方法がありますか?

後遺障害の等級認定申請の方法には,事前認定の方法と被害者請求の方法があります。被害者請求のほうが,手続を自分でコントロールしやすいです。




 後遺障害等級認定申請 


◆後遺障害等級認定申請の方法は2種類



交通事故に遭って怪我をして,治療を継続したものの,その怪我が完治せず症状が残ることがあります。
その場合,残った症状に応じて後遺障害が認められます。

ただし,後遺障害として認めてもらうためには,後遺障害の等級認定を受けなければなりません。




等級認定を受けられていない状態では,相手の保険会社に対して後遺障害慰謝料や逸失利益の請求をしても,支払を受けられることはまずありません。

後遺障害の等級審査をするのは自賠責損害調査事務所ですが,そこで審査をしてもらうための方法には,事前認定と被害者請求の2種類があります。以下で,順番に確認しましょう。




(1)事前認定

事前認定とは,相手の任意保険会社に後遺障害の等級認定請求の手続をしてもらう方法です。
被害者が自分で手続を行う必要はありません。

事前認定をする場合には,被害者は通院している病院において,担当医師に「後遺障害診断書」を作成してもらうだけで済みます。それを受けとって,相手の任意保険会社に渡したら,相手の任意保険会社が必要な手続を進めてくれます。


ただし,この方法は,被害者にとって非常に重要な後遺障害の等級認定を相手に任せてしまうのですから,不安が大きいです。どのような資料を提出するかも任意保険会社が決めるなど,実際にどのような手続が行われているのかは被害者には公開されず,不透明であることも問題です。

任意保険会社が自賠責損害調査事務所に対して,低めの等級が相当であるといった意見書を提出することもあるようです。




(2)被害者請求

被害者請求とは,被害者自身が相手の自賠責保険に対して直接,後遺障害の等級認定請求を行う方法です。被害者請求をする場合には,相手の任意保険会社は関与しません。

被害者請求を行うためには,相手の自賠責保険会社に連絡を入れて,保険金請求書の書式一式を送ってもらいます。

そして,保険金請求書や事故状況発生報告書などの書類を作成し,交通事故証明書や後遺障害診断書,診療報酬明細書やレントゲン画像,CT画像などの各種の検査結果などを集めて,相手の自賠責保険会社に送付します。
追加で必要な書類があれば,収集して提出する必要もあります。


被害者請求は大変手間がかかりますが,自分で手続をするのでどのような資料を提出するかを自分で選択できますし,どのような資料が審査に用いられているか分からないという状態ではないという点で,安心感があります。







◆被害者請求を成功させる方法


確実に後遺障害の等級認定を受けたいなら,任意保険会社任せにしてしまう事前認定ではなく,被害者請求を利用して手続を自分でコントロールする方法がおすすめです。

ただ,被害者請求は専門的な手続なので,被害者本人がうまく対処出来ないこともあります。こうした場合には,弁護士に手続を依頼することが有効です。




今,交通事故の後遺障害が残って等級認定請求をしようとしている人は,一度交通事故問題に強い弁護士に相談すると良いでしょう。




▼参考記事
・よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」:後遺障害申請の準備はとっても大切!!
・解決事例:会社員が,頚椎捻挫及び腰部打撲後の疼痛により,併合14級の認定を受け,375万円を獲得した事例
・交通事故HP:交通事故による後遺障害の解説




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故に遭う前から既往症がありました。このような場合,過失相殺されるのでしょうか?

2017年07月14日
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交通事故に遭う前から既往症がありました。このような場合,過失相殺されるのでしょうか?

既往症の内容や程度によっては,過失相殺と同様の考え方によって賠償金額が減額される可能性があります。




 既往症と過失殺傷 


◆既往症とは



交通事故被害者が怪我をすると,慰謝料をはじめとした損害賠償金を加害者に請求することができます。

ただし,被害者に既往症がある場合には,その既往症が考慮されることがあります。

既往症とは,被害者がもともと持っていた症状や持病のことです。

たとえば,もともとヘルニアの症状があった人が交通事故に遭ってむちうちになった場合,既往症による影響があったのではないかが問題になります。

この場合,被害者の既往症によって症状が悪化しているのであれば,満額の賠償金を認めるのは不公平であり,賠償金額を減額すべきではないかということが問題となります。




そして,被害者に既往症があり,交通事故の怪我の症状に影響していると判断されると,賠償金が減額されることもあります。







◆過失相殺と素因減額


被害者に既往症がある場合には,過失相殺と同様の考え方によって賠償金が減額されます。

過失相殺とは,交通事故の被害者に過失がある場合に,その割合によって賠償金を減額することです。たとえば,過失割合が30%の場合には,賠償金額が3割減額されます。

被害者に既往症がある場合,被害者側の事情も加わって損害が発生したという点で過失相殺と同様ですので,過失相殺と同様の考え方により,賠償金を減額します。

このように,既往症を理由として賠償金を減額することを,素因減額といっています。







◆素因減額が認められる事例


それでは,素因減額はどのようなケースで認められるのでしょうか?
この点については,最高裁判所の判例があります。

まず,交通事故被害が発生したときに,被害者の疾患の態様や程度などにより,加害者に全部の賠償をさせることが不公平な場合には,過失相殺と同様の考え方で賠償金を減額できるとされています(最判平成4年6月25日)。

一方,被害者が平均的な体格や通常の体質とは異なる身体的な特徴を持っていても,それが疾患や一般人とかけ離れた身体的特徴(極端な肥満など)ではなく,単なる身体的特徴にとどまるときは,それを理由に賠償金を減額することはできないとも判断されています(最判平成8年10月29日)。


これらの判例や,さらに他の裁判例もまとめると,被害者に何らかの既往症があり,それが「疾患」等といえるほどのケースにおいては素因減額が行われますが,年齢相応の状態にとどまるときや,そもそも単なる身体的な特徴にとどまるときは,素因減額は行われません。




保険会社と示談交渉をしていると,何らかの身体的特徴があるとすぐに「既往症減額」を主張されることが多いですが,減額すべきではないケースもあります。

減額すべきケースではないのに適正な解決ができなかったという事態を防ぐためには,弁護士に相談してみてください。




▼参考記事
・よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」:医師を味方につけよう!
・交通事故HP:交通事故の過失相殺とは
・交通事故HP:交通事故と弁護士費用のすべて




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故の慰謝料が増額される場合は,どのような場合ですか?

2017年07月13日
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交通事故の慰謝料が増額される場合は,どのような場合ですか?

交通事故で怪我をしたら,相手に対して慰謝料を請求することができます。
交通事故の慰謝料が増額されることはありますが,増額理由はケースによってさまざまです。


また,必ずしも増額されるというものでもありませんし,増額幅も一定ではありません。以下で,どのような場合に増額されることがあるのかを見てみます。





 慰謝料の増額 


◆交通事故の慰謝料には幅がある



交通事故の慰謝料には,入通院慰謝料と後遺障害慰謝料,死亡慰謝料の3種類があります。

@入通院慰謝料とは,交通事故によって入院や通院による治療が必要になったことに対する慰謝料です。
A後遺障害慰謝料とは,事故によって後遺障害が残ったことに対する慰謝料です。
B死亡慰謝料とは,交通事故で死亡したことに対する慰謝料です。



これらの慰謝料には,算定のための基準がありますが,ある程度の幅が設けられています。


たとえば,後遺障害1級の場合の後遺障害慰謝料は,標準額は2800万円となっていますが,2600万円〜3000万円程度の幅があり,事案に応じて適切な金額が適用されます。

死亡という結果や後遺障害等級が共通する場合でも,慰謝料額が一定とは限らないということです。







◆交通事故の慰謝料が増額される要素


それでは,交通事故の慰謝料が増額される要素としては,どのようなものがあるのでしょうか?

(1)流産,中絶したケース
まずは,事故によって流産したり中絶したりしたケースです。
このような場合,母親の受けた精神的苦痛は甚大になることが多いので,母親の慰謝料が増額されやすいです。

(2)退職,廃業したケース
交通事故が原因で働けなくなり,会社員が退職を余儀なくされたり,自営業者が廃業せざるを得なくなったりするケースがあります。このような場合にも慰謝料の増額が認められやすいです。

退職したときの慰謝料増額については(事故によって退職を余儀なくされたかどうかの判断が先にされることになると考えられますが),被害者の年齢や勤続年数などが考慮されます。年齢が高く再就職が難しい場合などには,慰謝料は増額されやすいと考えられます。

会社員の場合には,昇進が遅れたり不可能になったりする場合にも慰謝料が増額されることがあります。自営業者が廃業した場合,年齢が高く再度の起業が難しい場合には慰謝料が高額になりますし,投下資本があったり事業のために借入をしていたりするようなケースでも,慰謝料が高額になる可能性があります。




(3)入学,留学できなくなったケース
さらに,子どもや学生が入学や留学できなくなったケースでも,慰謝料が増額される可能性が高いです。

(4)離婚したケース
交通事故が原因で家族関係が不和になり,離婚せざるを得なくなったケースでも,やはり慰謝料が増額されることがあります。

(5)悪質な加害者
飲酒運転,ひき逃げ,大幅なスピード違反などがあると,慰謝料増額の理由とされることがあります。

(6)危険な状態に陥った
一時生命の危険が生じるようなけがをしたときは,慰謝料増額を検討しなければなりません。




このように,慰謝料が増額される事由にはいろいろありますが,それぞれの事情があっても必ずしも慰謝料が増額されるとは限りませんし,増額される金額も一定ではありません。

慰謝料増額事由があるのに適正な解決ができなかったという事態を防ぐためには,交通事故問題に強い弁護士に相談することが大切です。




▼参考記事
・よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」:慰謝料について増額される場合
・交通事故HP:交通事故と慰謝料のすべて
・解決事例:自営業者が左肩関節痛・左肩関節可動域制限により10級10号の認定を受け,3680万円を獲得した事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)
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