夫が交通事故で遷延性意識障害になり,現在入院して治療中です。私も頻繁に病院に赴いていますが,ソーシャルワーカーという方とお話しする機会がたまにあります。 これまではソーシャルワーカーという言葉自体知りませんでした。ソーシャルワーカーとは,どのようなことをされる方なのでしょうか?

2018年03月07日
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夫が交通事故で遷延性意識障害になり,現在入院して治療中です。私も頻繁に病院に赴いていますが,ソーシャルワーカーという方とお話しする機会がたまにあります。

これまではソーシャルワーカーという言葉自体知りませんでした。ソーシャルワーカーとは,どのようなことをされる方なのでしょうか?




ソーシャルワーカーとは,病気やケガをした人,高齢者や障害者及びその家族にさまざまな支援をする人のことです。




 ソーシャルワーカー 



◆ソーシャルワーカーとは



ソーシャルワーカーとは,病気やケガをした人,高齢者や障害者など,日常生活を送るのにさまざまな支障を抱えた方や,そのご家族をサポートする業務を行います。

ソーシャルワーカーは病院に勤務する人だけではありませんが,ここでは,病院に勤務するソーシャルワーカーについてお書きします。

ソーシャルワーカーは,医師や看護師などの医療従事者とは異なる視点から,被援助者への生活支援,社会復帰や社会参加などを支援します。

「ソーシャルワーカー」という資格があるわけではありませんが,社会福祉士や精神保健福祉士などの資格を持った人が,ソーシャルワーカーになっているケースが多いです。







◆ソーシャルワーカーの職務内容




ソーシャルワーカーの具体的な業務内容は,大きく分けると次のようなものです。

・療養中患者の社会的,精神的な問題の解決や調整,援助
・退院の援助
・患者の社会復帰援助
・患者が病院で受診するときの援助
・経済的問題の解決や調整
・地域活動






◆ソーシャルワーカーに相談できること




まず,適切な入院・転院先が見つからない場合にソーシャルワーカーに相談をして,病院を紹介してもらうことができます。

医師や看護師とうまく意思疎通ができない場合にソーシャルワーカーに間に入ってもらって,患者の希望を伝えてもらったり,医療についての説明をしてもらったりすることも可能です。

受けられる行政支援制度について調べてもらったり,ソーシャルワーカーが知っている情報を教えてもらったりすることもできます。

病院から退院するときには,今後の生活についてさまざまな心配があるものですが,ソーシャルワーカーに退院後の生活設計について相談をすることなども可能です。

交通事故で障害を負った場合にも,ソーシャルワーカーの存在は非常に大きくなります。
弁護士も,交通事故被害者の方をサポートする際,ソーシャルワーカーと連携することもあります。




▼参考記事
・社会復帰のために誰に相談すればよいでしょうか。
・困ったらすぐ相談
・当事務所の解決事例

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(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

子どもが交通事故に遭って遷延性意識障害になりました。損害賠償の点は解決しましたが,私に万一のことがあったとき,ほかに頼れる親類はいません。この子の将来についてできることはありますか?

2018年03月06日
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子どもが交通事故に遭って遷延性意識障害になりました。損害賠償の点は解決しましたが,私に万一のことがあったとき,ほかに頼れる親類はいません。この子の将来についてできることはありますか?

この場合,成年後見制度を利用したり,民事信託を利用したりすることが考えられます。




 子どもの交通事故 : 将来についての対策 



◆成年後見制度を利用する




未成年の子どもが交通事故に遭って遷延性意識障害になったときには,親(親権者)が代わりに損害賠償請求手続を進めることになります。

親は子どもの法定代理人だからです。

ですが,損害賠償の問題が解決しても,回復しない限り,その後も子どもの面倒を見なければならない状態は続きます。

親に体力や時間があるうちは継続できますが,体力に支障が生じたり,親に万一のことが生じたりしないとも限りません。




では,親が亡くなった後,子どもの面倒を見るのは誰かという問題はどうなるのでしょうか。

子どものために財産を管理したり,施設入所や介護の方法を決定したりする人が必要です。

このようなときに利用できる制度として,「成年後見制度」があります。




成年後見制度とは,判断能力が不十分な人について,本人の代わりに「成年後見人」が代わって財産管理をする制度です。

親であれば,子どもの成年後見人選任の申立てをすることができます。「成年」という言葉が使われていますが,未成年者について成年後見人を選任することも可能です。

成年後見人が選任されたら,成年後見人が子どもの代わりに子どもの財産を管理したり,身上監護を行ったりします。親が亡くなった後もその任務は継続します。

しかし,親権者が存在するのに成年後見人を選任するというのは,通常行われません。

それなので,子どもが未成年のうちは法定代理人である親が子どもの財産を管理しておいて,子どもが成人したときに,成年後見制度の利用を検討してはいかがでしょうか。




成年後見制度を申し立てると,裁判所が適切な人物を成年後見人として選任しますが,希望する人がいる場合には,候補者を立てることも可能です。親が元気なうちは,親を成年後見人とすることもできます。

親亡き後のことを具体的に考える必要がある状態になったとき,専門家に成年後見人になってもらい,財産管理や身上監護を任せられる状態にしても良いです(成年後見人は1人でなければならないということにはなっていません。)。







◆民事信託とは




民事信託を利用する方法もあります。

民事信託は,財産管理や処分を受託者に託し,受益者のために利用してもらう契約です。
委託者と受益者は同じ人でもかまいません。




たとえば,親が子どものためにお金を残し,そのお金を子どもが生きていくために有用に使ってほしいときには,民事信託により,お金の管理を受託者に任せて,受益者を子どもに設定します。すると,親の死亡後も,子どものために財産を使ってもらうことができます。

民事信託を利用するときには家族を受託者とすることが多いですが,信頼できる人がいるならば,家族以外の人を受託者とすることもできます。

障害を持つ子どものためにとりうる対策方法はいくつかあります。

お子様が遷延性意識障害や高次脳機能障害,脊髄損傷などとなって将来に不安をお感じになるようでしたら,一度ご相談下さい。




▼参考記事
・遷延性意識障害を負われた方の解決事例
・学生・幼児の交通事故の解決事例
・民事信託とは

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(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

近所の方が交通事故に遭い,遷延性意識障害になりました。この方と以前お話ししたとき,親やきょうだいといった親類がいないとおっしゃっていました。 こうした親類がいなかったり親類と疎遠だったりする人が,交通事故の被害で遷延性意識障害になったときの手続や賠償金はどうなるのでしょうか?

2018年03月05日
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近所の方が交通事故に遭い,遷延性意識障害になりました。この方と以前お話ししたとき,親やきょうだいといった親類がいないとおっしゃっていました。

こうした親類がいなかったり親類と疎遠だったりする人が,交通事故の被害で遷延性意識障害になったときの手続や賠償金はどうなるのでしょうか?




この場合,損害賠償請求を行うためには,市町村長が成年後見開始の申立てを行い,成年後見人が選任される必要があります。




 遷延性意識障害 : 親類がいない,疎遠の場合 



◆成年後見制度とは



交通事故で,被害者の方が遷延性意識障害になったときには,ご本人が自分の財産を管理処分する際に必要な判断能力を失っているため,損害賠償の手続を進めることができません。

この場合,「成年後見人」を選任する必要があります。




成年後見人とは,判断能力が低下した人の代わりに,本人の財産を管理したり,身上監護方法を決定したりする人のことです。

ご本人に親族がいる場合には,親族が家庭裁判所に成年後見人の申立てをすることにより,後見開始の審判を受けます。

選任された成年後見人が損害賠償請求の手続を進めていくことが可能になります。







◆市町村長が申立てをすることができる




それでは,後見開始の審判を申し立ててくれるような身寄りが全くない人の場合には,どのようにして手続を進めていけば良いのでしょうか?

この場合,市区町村長が後見開始の審判を申し立てることができる制度があります。

ご本人に身寄りが無く天涯孤独なケースや,親族がいても財産目当てであり,本人に害悪をもたらす可能性がある場合などに,市区町村長による申立てが利用されています。

市区町村長が成年後見開始の申立てをした場合,家庭裁判所が適切な人を後見人として選任します。選任されるのは,弁護士や司法書士,社会保険労務士などの専門家となることが通例です。

交通事故の示談交渉が必要な状態なら,弁護士を選任することが多いでしょう。







◆選任後の手続




市区町村長の申立てによって成年後見人が選任されると,その後は成年後見人が示談交渉や訴訟などによる損害賠償請求の手続を進めます。

ご本人が内容を理解することができなくても,成年後見人が本人に代わって損害賠償金を受けとることができ,管理することができます。

また,示談が成立して損害賠償金が入ってきても,後見業務は終了しません。引き続いて後見人が財産を管理し,本人が適切な福祉サービスや医療サービスを受けられるように手配していきます。

後見業務は,ご本人が死亡するか,もしくはご本人の容態が回復して後見人が不要になるまで続きます。




本件のご相談のように身寄りのない方が交通事故で遷延性意識障害になった場合には,入院先の病院と行政が連携して,市区町村長による成年後見申立ての手続が行われるよう取り計らわれます。




▼参考記事
・遷延性意識障害を負われた方の解決事例
・遷延性意識障害
・成年後見申立無料サポート

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保険会社が定期金賠償というものを提案してきました。保険会社はなぜこのような提案をしてきたのでしょうか? 被害者家族の対応として気を付けるべき点はありますか?

2018年03月02日
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保険会社が定期金賠償というものを提案してきました。保険会社はなぜこのような提案をしてきたのでしょうか? 被害者家族の対応として気を付けるべき点はありますか?

定期金賠償とは,月ごと・年ごとなど定期的に賠償金を支払う方法です。実際の損害額に近い金額の賠償になりやすく,金額算定が合理的になりやすいです。

ただし,将来保険会社の資産状態が悪化すると支払を受けられなくなるかもしれないリスクがあります。一方,一時金賠償においては,その後に事情変更が発生したときに決め直すことが難しいなどの問題があります。





 交通事故の損害賠償 : 定期金賠償と一時金賠償



◆定期金賠償と一時金賠償




交通事故の損害賠償金の支払方法として,定期金賠償と一時金賠償があります。

一時金賠償とは,示談成立時や判決時などに,将来の分もまとめて一括で賠償金を支払う方法です。

これに対し,定期金賠償は,示談成立後や判決後において,毎月や毎年など,定期的に賠償金を継続して支払い続ける方法です。




たとえば,後遺障害や死亡のケースの逸失利益や将来介護費用などについて,一時金賠償か定期金賠償のどちらを採用すべきかが問題となります。

一般的に,交通事故の賠償金支払については,一時金賠償方式が採用されています。







◆保険会社が定期金賠償を主張する理由




示談交渉時,加害者の保険会社が定期金賠償を求めてくることがあります。

それは,定期金賠償の方が,現実に発生した損害額に近い金額を支払やすいからです。




たとえば,将来介護費用を平均余命の分まで一括で支払ったとしても,その後,被害者が平均余命まで生きるとは限りません。合併症等で,平均余命に達する前に死亡してしまうこともあります。

すると,保険会社にしてみたら,本来は不要なお金を先に支払い過ぎたということになります。この場合でも,後になって「実際には不要だったから,返してほしい」と言うことはできません。

定期金賠償なら,死亡した時点からは支払義務がなくなるので,被害者が平均余命より前に死亡したときは,保険会社としては,支払を抑えることができることになります。







◆定期金賠償の注意点




定期金賠償は,現実に発生した損害額に近い金額が支払われるという意味では,被害者にとって悪い条件ではありません。

たとえば,被害者が平均余命より長く生きるケースもあり,その場合には定期金賠償の方が一時金賠償よりも賠償を受ける金額は多かったということになります。

ただし,定期金賠償にすると,将来保険会社が倒産した場合,それ以降の支払を受けられなくなるリスクがあります。

被害者が若年で,平均余命まで数十年(ときには50年以上のこともあるでしょう),というケースでは,定期金賠償にすると,不安が大きいと言えるでしょう。




被害者が拒絶しているにもかかわらず,加害者が一方的に定期金賠償を適用することはできないという最高裁判所の判例がありますが(最高裁昭和62年2月6日),近年は,被害者が一時金賠償を求めているときも裁判所が定期金賠償判決することは許されているという考え方が主流になっており,実際にそういう判決をした裁判例も複数存在します。

お独りで考えて決めてしまう前に,弁護士までお早めにご相談下さい。




▼参考記事
・交通事故における損害賠償の項目について
・保険会社担当者には裏がある
・弁護士が入ると賠償額が上がる!

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(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

交通事故の損害賠償の問題が間もなく解決しそうです。損害賠償に必要だということで成年後見制度を利用したのですが,解決したときには成年後見も終了しますか?

2018年03月01日
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交通事故の損害賠償の問題が間もなく解決しそうです。損害賠償に必要だということで成年後見制度を利用したのですが,解決したときには成年後見も終了しますか?

いいえ,終了しません。ご本人の状態が回復して後見人が不要になるか,死亡するまで継続します。




 交通事故の損害賠償 : 成年後見制度 



◆成年後見制度とは




交通事故に遭われた被害者の方に重大な後遺障害が残り,御自身で考えて判断することができなくなった場合,ご自身で損害賠償の手続を進めることができないケースがあります。

この場合には,誰か代わりのかたが損害賠償請求手続を行う必要がありますが,そのために利用されるのが「成年後見制度」です。




成年後見制度とは,本人に判断能力が欠如する場合に,適式な後見人がついて,代わりに財産管理や身上監護を行う制度です。

交通事故の中でも,以下のような後遺障害が残ったケースにおいて,利用されます。

       ・遷延性意識障害        ・重度な高次脳機能障害 


上記以外のケースでも,ご本人が賠償請求手続を進めるために必要な判断能力を失ってしまっている場合には,成年後見制度の利用を検討する必要があります。







◆交通事故賠償問題が解決しても,成年後見制度は終了しない




交通事故後に成年後見制度を利用した場合,裁判所から選任された成年後見人が本人の財産を管理・処分する権限を持ちます。

損害賠償請求の手続はその一環です。
成年後見人の判断によって示談を進め,成立させることもできますし,示談が決裂したときに訴訟を起こすことも可能です。

このように,交通事故損害賠償のために成年後見人を選任したのであれば示談が成立して不要になったら,後見は終了するのでしょうか?




実は,そういうことにはなっていません。
成年後見人は,本来は交通事故とは無関係な制度
です。

家庭裁判所により,「(交通事故問題に限らず,どのような問題についても)本人に判断能力がないので,成年後見人が必要」であると判断されて,後見開始決定が出ています。

交通事故による損害賠償請求の場面で後見人が本人の代わりに手続を遂行しているのは,たまたま交通事故損害賠償請求をするときにも,この制度が有効になっているためです。

もともと判断能力の問題があるので後見開始決定が出ているのですから,交通事故問題が解決したとしても,制度の適用が終了になるというわけではないのです。







◆成年後見制度が終了する時期




成年後見人が選任されたのは,判断能力を失ったかたの財産管理や権利行使のために必要だからです。
そこで,必要性がなくなれば,後見制度は終了します。

具体的には,本人が判断能力を回復したときか,本人が死亡するときまで後見制度は継続します。




▼参考記事
・成年後見人に関してかかった費用は,損害として認められますか。
・高次脳機能障害の場合,成年後見申立が必要ですか。
・成年後見申立無料サポート
・交通事故で極めて重症になってしまった被害者のご家族が成年後見人となり,当事務所が代理し解決した事例

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(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

交通事故後,夫が怒りっぽくなりました。高次脳機能障害が関係しているのですか?

2018年02月28日
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交通事故後,夫が怒りっぽくなりました。高次脳機能障害が関係しているのですか?

怒りっぽくなるのは,高次脳機能障害の後遺症の一つである社会的行動障害のためです。適切なリハビリテーションを受けて,感情のコントロールを心がけましょう。




 高次脳機能障害 : 事故後の変化 



◆怒りっぽくなった原因は高次脳機能障害の後遺症だった




Aさん(48歳男性)は,交通事故で怪我をして救急病院に運ばれ,2カ月間入院しました。

事故から24時間後に意識が戻り,1週間後にはベッドから起き上がれるようになりました。

完全看護の病院なので家族が夜間付き添う必要はありませんでしたが,Aさんの妻は,毎日面会時間にはAさんの病室を訪れ,献身的に世話をしました。




病室でアイスクリームが食べたいとAさんが言うのを聞いた妻は,病院の売店でアイスクリームを買ってきました。それを見るなりAさんは,「カツ丼が食べたいのにアイスクリームを食べさせようとするとはなんだ」と,血相を変えて怒鳴ったのです。

妻は,以前は優しかったAさんが理不尽な理由で激怒したことにショックを受けました。

実は,Aさんの性格が変わったのは,高次脳機能障害によるものでした。

専門用語で「社会的行動障害」と言い,自分の感情をコントロールできなくなる後遺障害です。







◆リハビリテーションで感情をコントロールできるようになった




Aさんの症状は,回復するどころか悪化する一方で,妻はAさんの暴言を恐れて何も話しかけられなくなってしまいました。

その一方で,救急病院から退院するか転院するように促され,Aさんの妻はAさんの症状を緩和するためのリハビリテーションを受けられる病院を探しました。その結果,高次脳機能障害に対する理解がある病院が見つかり,転院してすぐにリハビリテーションを開始しました。




Aさんに対するリハビリテーションは,作業療法士が行います。

Aさんが急に怒り出しても責めることはしませんが,指摘するべきことははっきり言います。

Aさんは,怒ると同時に大変な興奮状態に陥るので,そのような場合はリハビリテーションの担当者はしばらく席を外すなどして,興奮が静まってから課題を続けるようにしました。

何かをしようとする時は,まず考えてから行動に移す訓練も行いました。

Aさんは,自分の性格の変化が高次脳機能障害によるものだと自覚していないので,後遺障害に対する自覚を持つよう,病気に対する理解を深める時間も取りました。




その結果,Aさんは自分の感情をコントロールできるようになり,妻や周囲の人に感情をむき出しにすることはなくなりました。

Aさんは,社会的行動障害に適合したリハビリテーション訓練を受けたことで,高次脳機能障害の後遺症を克服し,退院後,職場に復帰できたのです。




▼参考記事
・病院選びはどのようにしたらよいですか。
・高次脳機能障害の具体的な症状には,どのような症状がありますか。
・事故後,早い段階から弁護士が関与することで,高次脳機能障害の専門的な検査や医療機関と繋がることができ,結果として症状改善につながり,後遺障害の認定をスムーズに受けることができた解決事例

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(よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

高次脳機能障害と脳しんとうの違いは何ですか?

2018年02月27日
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高次脳機能障害と脳しんとうの違いは何ですか?

高次脳機能障害は,脳に傷がついたことで起きる病気で,一時的な記憶障害などの症状が起きるが,脳の損傷はないのが脳しんとうです。




 高次脳機能障害と脳しんとう



◆高次脳機能障害と脳しんとうはどう違う?




頭を打ったら安静に。とか,頭を打ったらすぐ病院に行けなどと言われたことはありませんか?

頭を打った場合は,脳に対するダメージを心配して軽く考えずに慎重に対処します。

高次脳機能障害を起こすような重大な怪我や疾患は,まれに起こる病気ですが,脳しんとうは遊んでいる子どもや,スポーツをしている大人に起こる,さほどめずらしくない症状ですが,高次脳機能障害とどのような違いがあるかを述べます。




高次脳機能障害は,脳に器質的な変異があります。
すなわち,怪我や病気で脳に傷が付いた状態です。

いったん傷付いた脳はもとに戻らないので,高次脳機能障害は完治することなく後遺症が残ります。

それに対して,脳しんとうは頭部に激しい力がかかったために起きる,一過性の意識障害で,脳に傷が付いているわけではありません。打撲だけでなく,頭を強い力で揺さぶられた場合も,脳しんとうを起こします。

脳に傷がついているかいないかが,高次脳機能障害と脳しんとうを区別する基準です。

むろん,頭部を強く打って高次脳機能障害を発症したような場合は,事故発生時に脳しんとうを起こしている可能性があります。







◆脳しんとうは画像診断で映らない




軽い脳しんとうの症状がある人の頭部をCT撮影しても,何も悪いところは見当たりません。

なぜなら,脳しんとうは脳神経伝達物質という,細胞から細胞へ情報を伝える化学物質が過剰に放出されて起こる意識障害だからです。

通常は医師の指示に従って安静にしていれば,意識レベルはもとに戻り,もとの生活に復帰できます。しかし,だかららといって脳しんとうは,医師の診察を受けなくても安静にしていれば大丈夫だと考えてはいけません。

なぜなら,高次脳機能障害も意識がはっきりしない時期が続き,その後体調が回復する場合があるからです。

すなわち,しばらく安静にしていたら意識が戻ったから,軽い脳しんとうだったのだろうと自己判断していて,高次脳機能障害の原因となるような脳の損傷を見過ごしている可能性があるのです。




交通事故による高次脳機能障害は,あとで後遺症に気付くことがあります。

たとえば,いつも歩いていた駅までの道順が思い出せず,初めて歩く道のように思える,約束をしたことさえ忘れ,どうしても約束を守れないなどの症状は,高次脳機能障害の方に良く見られます。

頭を打ったことを深刻にとらえず専門治療を受けず,高次脳機能障害であることに気付かないまま,生きづらさを感じる日々を過ごしがちです。

脳しんとうを起こした程度の頭部打撲でも,医療機関の検査を受け脳の損傷がないことを確認して,日常生活に戻りましょう。







▼参考記事
・高次脳機能障害の症状に気付くには,どのようにすればよいですか。
・高次脳機能障害とは
・事故後,被害者の様子が変わったとご家族からお話があり,高次脳機能障害を負っている可能性があると判断し,必要な検査を受けて頂き,検査結果をもとに被害者請求を行い2級1号の後遺症が認定されて解決した事例

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(よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故で高次脳機能障害になったら,介護保険サービスを受けられますか?

2018年02月26日
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交通事故で高次脳機能障害になったら,介護保険サービスを受けられますか?

交通事故で高次脳機能障害になった場合,特定疾病に指定されていないので65歳未満だと介護保険を利用できず,難病指定になっていないので医療費助成制度の対象ではありません。




 高次脳機能障害 : 介護保険サービス 



◆介護保険の対象は65歳から




介護保険を利用できるのは,満65歳以上の人,もしくは国が指定した16種類の特定疾病にかかっている40歳以上65歳未満の患者さんです。

しかし,高次脳機能障害は特定疾病に指定されていないので,65歳未満で交通事故に遭い高次脳機能障害になった人は,他の保険を使って治療を検討しなければなりません。

高次脳機能障害になると,完治は難しく多くの場合,様々な後遺症に生涯に渡って悩まされ続けることになります。




日本人の平均寿命は,女性で約87歳,男性は約80歳で,世界一の長寿国です。

平均寿命まで生きるとして,男性が20歳で高次脳機能障害になったら,その後60年に渡って医療費を負担しなければならず,そのうち介護保険を使えるのは15年のみ,それまでの45年間,健康保険があるとはいえ,その他のサービスを利用しようとした時,すべて自己負担というのは高次脳機能障害の人に多大な出費を強いることになります。

高次脳機能障害の人が抱える問題は,後遺症に苦しむことのほかにもう一つ,医療に関する負担が挙げられるのはこうした理由です。







◆難病指定になっていない高次脳機能障害




従来,政府は56種類の治療法が確立しておらず治療が困難な病気を,指定難病として医療費を助成してきましたが,平成27年1月に「難病の患者に対する医療等に関する法律」(略称:難病法)が施行され,平成27年7月以降は,306種類の病気が指定難病となっています。

しかし,その306種類の指定難病のなかに,高次脳機能障害は含まれていません。

つまり高次脳機能障害の人は,治療が困難な病気であることが明らかであっても,難病法による支援を受けることができないのです。







◆家族会が支える高次脳機能障害者




このように,高次脳機能障害の方は,65歳未満であれば介護保険を利用できず,難病による医療費助成も受けられないため,経済的・精神的につらい思いをします。

そのような時に,高次脳機能障害の方を支えるのが家族会です。
家族会とは,高次脳機能障害の患者さんご本人やご家族によるネットワークのことです。

家族会に参加すると,医療に関する最新情報を入手できることだけでなく,同じ病気にかかっている方々の体験を知ることで,自身の生き方に対して前向きな気持ちを持つきっかけにもなります。

脳機能に関する研究は日々進歩しています。

家族会などで得た最新情報を通じて,より良い治療に出会うことを願ってやみません。




▼参考記事
・高次脳機能障害と家族の会
・高次脳機能障害の家族を支援する制度には,どのようなものがありますか。
・交通事故後,早い時点で当事務所が代理し,専門医のいる病院をご紹介し,ご家族の協力を得ながら長期のリハビリを行った結果,症状改善につながり,後遺障害の認定をスムーズに受けることができた事例

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交通事故で高次脳機能障害になりました。障害者手帳は発行して貰えるのでしょうか?

2018年02月23日
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交通事故で高次脳機能障害になりました。障害者手帳は発行して貰えるのでしょうか?

高次脳機能障害は精神障害に区分されます。交通事故で高次脳機能障害になった人は,市区町村から精神障害者保健福祉手帳を交付されると公的支援を受けられます。




 高次脳機能障害 : 障害者手帳 


◆高次脳機能障害は障害者?



交通事故で高次脳機能障害になった方の症状は千差万別で,その人ごとに症状が違うと言ってよいほどです。

発話がむずかしい人もいれば,道順を覚えるのが苦手になる人,道具の使い方を思い出せない人など,それぞれがさまざまな困難を抱えて生きていくことになります。

体がもとの状態ではないが,それ以上治る見込みがないので治療を終了した場合,身体に残っている後遺症は後遺障害と呼ばれます。




障害と名が付くと言うことは,高次脳機能障害の人は障害者なのでしょうか?

日本では,障害者を身体障害者,知的障害者,精神障害者の3種類に区分しています。それぞれ,認定を受けると,平成25年に施行された障害者総合支援法に基づいて,国が定めた支援を受けられます。

実は,障害者総合支援法が施行されるまで,障害者に対する支援や窓口は,上記3種類の障害のどの分類に当てはまるかによってばらばらでした。

障害者に対する支援の制度が充実したことにより,高次脳機能障害の患者さんも,支援サービスにアクセスしやすくなったのです。




高次脳機能障害の方のなかには,ご自分が障害者だと認めたくない方もいらっしゃるかもしれませんが,行政の診断基準では,高次脳機能障害は器質性精神障害に該当します。

つまり,精神障害者として障害者を対象とする福祉サービスの支給を申請できるのです。







◆公的支援を受けるための条件は?




高次脳機能障害の患者さんは,精神障害者であることを証明する精神障害者保健福祉手帳を取得することにより,行政による福祉サービスを受けられます。

精神障害者保健福祉手帳は,精神障害のため長期にわたって日常生活,または社会生活に制約のある人に対して精神保健福祉法に基づいて交付される手帳で,1級から3級まで3段階の等級があります。




精神障害者保健福祉手帳を取得した人は,障害年金の受給の対象となり,等級に応じた金額が支給されます。精神障害者保健福祉手帳は,2年ごとに新規申請のときと同じ書類と所有している手帳の写しを提出して更新する事が義務付けられています。

精神障害者保健福祉手帳の申請にあたっては,お住まいの市町村役場の窓口に診断書を提出する必要があります。

診断書は,高次脳機能障害の診断と治療を行った主治医に作成してもらいましょう。




行政の窓口の担当者が高次脳機能障害に対する知識に乏しい場合もあるので,厚生労働省が作成した高次脳機能障害診断基準表を提示するなどして,この病気に対する理解を得るよう心がけましょう。




▼参考記事
・市などによる障害福祉サービスには,どのようなものがありますか。
・交通事故で高次脳機能障害になり,施設での介護が必要になり,裁判をし将来介護費の大部分を認めてもらった解決事例
・高次脳機能障害の家族を支援する制度には,どのようなものがありますか。

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交通事故で高次脳機能障害になった人が知るべき国の診断基準とは,何ですか?

2018年02月22日
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交通事故で高次脳機能障害になった人が知るべき国の診断基準とは,何ですか?

交通事故で高次脳機能障害になった人は,厚生労働省が作成した高次脳機能障害の診断基準をもとに障害者福祉サービスの申請を検討しましょう。




 高次脳機能障害 : 国の診断基準




◆高次脳機能障害に対する国の診断基準があるのを知っていますか?




国は,高次脳機能障害における後遺障害傷害のうち,「記憶障害」・「注意障害」・ 「遂行機能障害」・「社会的行動障害」を,高次脳機能障害の障害として認めています。

これらの障害は,厚生労働省が作成した高次脳機能障害診断基準により評価され,診断の結果,公的な支援を受けられます。

高次脳機能障害を発症した方は,高次脳機能障害診断基準と照らし合わせて,ご自身の症状が診断基準に合致するようであれば,医療・福祉サービスの提供について市町村役場に問い合わせましょう。




なお,高次脳機能障害の後遺症で症例の多い言語障害は,身体障害に区分されるので,高次脳機能障害における障害区分に含まれていません。

高次脳機能障害の方で、主な症状が言語障害である場合は、身体障害の認定を検討するようにしてください。







◆国の診断基準の概要




【主要な症状は後天的なものであることが要件】

国が認める高次脳機能障害は,外傷によるものなど,後天的な原因が確認できなければいけません。

すなわち,先天的な疾患や,発達障害,進行性疾患に起因する記憶障害,注意障害, 遂行機能障害,社会的行動障害は,診断の対象とはならないのです。

それに対して,交通事故による高次脳機能障害は,受傷した日時や原因,場所などが明確に記録されているので,発症するにいたった原因を証明するのが容易と言えるでしょう。




【診断書や画像診断などの提出】

脳に器質的病変があることを証明しなければなりません。
器質的とは傷があるという意味で,脳に傷があるために発症したことを明らかにする必要があるのです。

すなわち,患者自身の主観的な訴えだけでは審査の対象とはならず,主治医診断書や,これまで受けた検査データなどの提出が求められます。

なお,高次脳機能障害を発症する前から現れていた症状は,高次脳機能障害によるものとは認められません。




【記憶障害,注意障害,遂行機能障害,社会的行動障害】

この診断基準は、精神障害者保健福祉手帳の取得の際に用いられます。また,障害者福祉サービスの申請の際にも利用されるので,高次脳機能障害の人にとって身近な診断基準と言えるでしょう。




なお,厚生労働省の診断基準は,急性期を脱して症状が安定した時期に診断を行うものとされていますので,早く公的支援を受けようと,病状が安定していないうちに診断を受けるようなことはせず,主治医と良く話し合って、後遺障害の申請の準備を進めてください。




▼参考記事
・自賠責における高次脳機能障害の入口の要件
・高次脳機能障害を負われた方の解決事例
・市などによる障害福祉サービスには,どのようなものがありますか。

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(よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)
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