交通事故で脳を損傷していなくても,高次脳機能障害になりますか?

2018年02月01日
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交通事故で脳を損傷していなくても,高次脳機能障害になりますか?

脳の離れたエリアの情報を電気信号として伝達している神経線維を交通事故で傷つけると,高次脳機能障害になることがあります。




 高次脳機能障害 : 神経線維の損傷 



◆脳細胞が壊れなくても高次脳機能障害になる




高次脳機能障害は,交通事故やスポーツによる怪我で頭を強く打ち,脳細胞の一部が壊れて再生しないために起こるというイメージが強い病気です。

しかし,実は脳細胞が破壊されなくても,高次脳機能障害を発症することがあるのです。




その一つの例として挙げられるのが,神経線維の損傷です。
いくつも分かれている脳と脳をつないで,情報を伝達しているのが神経線維です。

たとえば,大脳は前頭葉,側頭葉,前頂葉,後頭葉の4つに分かれ,溝(こう)と呼ばれる深くて細いすき間で隔てられています。

これらの別れ別れになっている大脳同士の情報を相手に伝えるのが,神経線維です。

大脳が4つに分かれていても,ヒトがまとまりのある思考や行動を取ることができるのは,神経線維を通じて情報を共有しあっているからなのです。

このように,神経線維はきわめて重要な役割を持っていますから,傷がつけば当然脳の働きに影響が現れます。高次脳機能障害は,大脳皮質などの脳細胞が傷付いたときばかりでなく,神経線維の障害によっても起こるのです。







◆神経線維の役割




脳の中枢から体の末端の末梢神経に情報を伝えるのが,遠心性線維(えんしんせいせんい)です。

その反対に,抹消神経から中枢に情報を運ぶのが,求心性繊維(きゅうしんんせいせんい)です。

左脳と右脳に分かれている大脳をつないでいるのが,交連線維(こうれんせんい)です。

同じ側の脳の大脳皮質間で情報をやりとりする際に用いられるのが,連合線維(れんごうせんい)です。




では,神経線維はどうやって情報を伝達しているのでしょうか?

神経線維は,イオン(電気的にプラスかマイナスの電子)が細胞膜を通過することで情報を伝えます。
つまり,電気信号によって情報を伝えているのです。

神経線維は,何本も束になっているので,隣り合った神経線維が違う情報を伝えるときに互いの情報が混線しないように,神経線維は,髄鞘(ずいしょう)という絶縁物質で取り巻かれています。







◆神経線維を傷めて失語症に




同じ半球の情報を伝達する連合線維の一種に,弓状束(きゅうじょうそく)があります。

弓状束は,ブローカ野(や)と,ウェルニッケ野(や)をつないでいる長い神経線維です。

ブローカ野は,言葉をしゃべることに関する運動中枢で,ウェルニッケ野は他人の言語を理解する働きを持っています。

弓状束を損傷すると,高次脳機能障害の症状のひとつである失語症になることがあります。




▼参考記事
・交通事故における頭部外傷 その1 頭部の構造
・高次脳機能障害を負われ,当初保険会社からの提示額0円から交渉した結果,約3823万円獲得できた解決事例
・「臭いが分からなくなった!?」 〜頭部外傷と嗅覚障害〜




(よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故で高次脳機能障害になった人の症状が千差万別なのは,どうしてですか?

2018年01月31日
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交通事故で高次脳機能障害になった人の症状が千差万別なのは,どうしてですか?

交通事故などで高次脳機能障害になった人の症状が千差万別なのは,脳を損傷した場所がわずかに違うだけで違う領域の運動や感覚に影響するからで,これを脳のマップと言います。




 高次脳機能障害 : 脳のマップ 



◆脳のマップとは?




交通事故などによる衝撃が原因で,脳の組織が破壊されて発症する高次脳機能障害は,さまざまな症状が現れる病気です。

しかも,その症状は人によって異なることから,万人に当てはまる画一的な治療方法といったものはなく,患者さんごとにていねいに診断し,高次脳機能障害の治療経験が豊富な専門医による治療が不可欠です。




なぜ脳を損傷すると,これほど多種多様の症状が現れるのでしょうか?

それは,脳にはマップ(地図)があり,その人の行動や感情は,そのマップに示された場所ごとに分担が決められているからです。

脳のマップは,1909年にドイツのブロードマン博士が大脳皮質組織の神経細胞を染色し,組織の構造が同じ場所ごとに番号を振ったものが始まりで,大脳皮質の局所ごとの役割を52の部位に分けて示しました。

一方,カナダ人のペンフィールドは,大脳皮質に電気刺激を与えて,運動野と感覚野がエリアごとにどんな役割を果たしているかを明らかにしたペンフィールドマップを考案しました。







◆怪我をした場所のわずかな違いで症状に大きな差が




脳のマップで違う区分を傷付ければ,症状が異なります。

頭を打って高次脳機能障害と診断されたAさんの主な症状は失語症だが,同じような怪我をしたように思われたBさんは記憶障害の症状が目立つといったことが起こるのは,脳のマップで示すところの違う場所が傷ついたからなのです。

大脳皮質は,ごくわずかな場所の違いにより,役割がまったく異なることがお分かりと思います。

ペンフィールドマップによると,ヒトの大脳皮質のなかでも広いエリアを占めているのが,手や指の領域です。

これは,手や指を器用に操って生き延びてきた人類の祖先にとって,手や指の感覚を研ぎ澄ますことが必要不可欠だったためと考えられています。




ペンフィールドマップは,大脳の中心溝を中心に左右対象に並んでいます。

たとえば,マップ上で足の動きに関する領域が傷つくと,足に障害が現れます。一方,ペンフィールドマップで,膝の領域の隣りは臀部(でんぶ)そして体幹と並んでいるので,ほんのわずか傷つく場所が違ったら,足ではなく,おしりや体幹の感覚に障害が現れます。




このように,脳を傷つけた場所と症状の現れ方には,科学的に裏付けされた関連性があるのです。

アメリカ合衆国では,コンピューターによる画像解析により,脳のマップを180の区画に分けることに成功しました。今後,ヒトの脳に関する研究が進むにつれて,脳のマップがさらに精密に作成される日が来るかもしれません。




参考記事
http://tocana.jp/2016/08/post_10511_entry.html




▼参考記事
・高次機能障害を負われた方の解決事例
・高次脳機能障害の症状に気付くには,どのようにすればよいですか。
・高次脳機能障害と家族の会




(よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

治療中に交通事故と無関係に死亡しました。休業損害や後遺障害逸失利益はどうなりますか?

2018年01月30日
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治療中に交通事故と無関係に死亡しました。休業損害や後遺障害逸失利益はどうなりますか?

この場合,休業損害は,死亡時までの分に限定されます。これに対し,逸失利益については,基本的には死亡時までに限定されず,就労可能年数分を請求することが可能です。




 交通事故後,事故と無関係に被害者が死亡した場合




◆休業損害について




交通事故で受傷後,治療終了前に,事故とは別の原因で死亡してしまうケースがあります。

たとえば,別の交通事故に遭ったり,病死したりすることもあるでしょう。

そのような場合,いつまでの休業損害が認められるのでしょうか?




休業損害とは,交通事故による受傷が原因で働けなくなった場合に認められる損害賠償金です。そして,事故後別の原因で死亡したとしても,死亡時までは,事故によって働けなくなったといえます。

そこで,死亡時までの分については,基本的に,休業損害を請求することができます。

ただし,死亡後の分については,事故によって休業したとはいえないので,休業損害は認められません。







◆逸失利益について




次に,事故によって後遺障害が残ったけれども,後に別の原因で死亡した場合の逸失利益について,見てみましょう。

後遺障害逸失利益とは,後遺障害によって労働能力が低下するため,得られなくなってしまった将来の収入です。通常,就労可能年齢である67歳までの分を請求することができます。




しかし,事故後別の原因で死亡した場合には,状況が異なってきます。

もし後遺障害がなかったとしても,死亡した時点までしか働けなかったわけですから,後遺障害逸失利益は,死亡時までに限定されるべきだという考え方もできるからです。

この点について最高裁判所は,基本的に,事故後病死した事案においても,死亡時までではなく,就労可能年齢までの逸失利益を認める考え方を採用しています(最判平成8年4月25日)。事故後に別の事故で死亡したケースでも,同じです(最判平成8年5月31日)。

これらの判例が採用する理由は,以下の通りです。



交通事故が起こった場合の後遺障害逸失利益は,後遺障害が残って労働能力が失われた時点で確定します。そこで,その後発生した事情によっては影響を受けないといいうことになり,死亡時までの全額の逸失利益が認められます。





ただし,特段の事由がある場合には,逸失利益が制限される例もあり得ます。

たとえば,事故時にすでに病気の状態が酷く,就労可能年齢まで生きられる可能性がほとんどなかったようなケースでは,死亡時までに逸失利益を制限することが考えられます。







◆治療終了前に死亡したときの逸失利益について




一方,治療終了前に被害者が事故とは無関係の事情で死亡したときは,症状固定していないのですから,後遺障害が残った時点がありません。

したがいまして,後遺障害が残っていないのだから,そもそも後遺障害逸失利益は認められないのだという主張もありえます。

このような場合,治療中の状況から,症状固定したとすれば後遺障害が残ったかどうか,残ったとしてどの程度の後遺障害だったかを証明して,後遺障害逸失利益を認定することになります。

そうでないと,加害者が不相当に得することになりますが,そのような結論は受け入れがたいと考えられています。




以上のように,交通事故後,別の事故で死亡したケースや病気で死亡したケースなどにおいては,基本的に,逸失利益は死亡時までに制限されず,67歳までの分を計算して請求することができます。

事故後,別原因で死亡した場合,休業損害と逸失利益とでは考え方が異なってきます。
損害賠償金の計算方法について,判断に迷われたときには,弁護士にご相談ください。





▼参考記事
・休業損害・逸失利益について
・死亡事故被害者の救済
・当事務所の解決事例




(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故での兼業主婦(主夫)の休業損害について教えてください。平均賃金より給与収入のほうが高額であるとき,働いて得た収入は休業損害から控除されますか?

2018年01月29日
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交通事故での兼業主婦(主夫)の休業損害について教えてください。平均賃金より給与収入のほうが高額であるとき,働いて得た収入は休業損害から控除されますか?

兼業主婦の場合,基本的に,平均賃金と給与収入を比べて高い方の金額を基礎収入とします。しかし,事故後も仕事を休まなかった場合には,平均賃金から実収入を引いた金額を基礎収入とします。

家事はできていなかったけれども,仕事には出ているので,仕事の分は減収が発生していないと考えられるからです(家事労働分のみの基礎収入を算出する必要があるということです)。





 兼業主婦(主夫) : 休業損害 



◆兼業主婦の基礎収入の基本的な考え方




交通事故に遭って仕事ができない期間が発生すると,休業損害の支払を受けることができます。

そして,主婦や主夫であっても,休業損害の請求は可能です。

こうした家事従事者の場合,基本的に,女性の全年齢平均賃金を使って基礎収入を算定します。




ただ,兼業主婦の場合には,パートなどによって実収入を得ています。その場合,パート収入は全年齢の女性の平均賃金より低いことも多いです。パート代を基準にすると,専業主婦の場合と比較して不公平になります。

そこで,兼業主婦の場合,全年齢の女性の平均賃金と実収入を比較して,高い方を基礎収入として算定します。







◆実際の減収が発生していない場合




それでは,パートの女性が交通事故後,家事労働はまったくできなかったけれども,パートだけは休まなかったという場合,休業損害をどのように計算すべきなのでしょうか?

この場合,パートに減収は発生していないので,パート代の分に休業損害は認められません。
家事労働分のみの休業損害を算定する必要があります。




そこで,このような場合,全年齢の女性の平均賃金の金額から,パート代を差し引いた金額を,家事労働分の基礎収入として計算するのが主流の考え方です。

この考え方を採用する裁判例として,大阪地裁昭和61年3月25日や,横浜地裁平成21年3月21日などがあります。

この考え方からすると,兼業主婦が無理をして,仕事をがんばればがんばるほど,休業損害が低くなってしまうので,不合理な面があります。

もっとも,兼業主婦の場合,家事労働分で算定した休業損害からパート収入分を差し引かないで解決する例も多いです。ただし,裁判例には上記のようなものがあるので,注意が必要です。




そして,今回のご質問のように,実収入(給与収入)が平均賃金より高額な兼業主婦が,交通事故後も仕事を一切休まなかった場合には,休業損害を認められなくなってしまう可能性もあります。

このように,交通事故後の休業損害の計算方法については,注意すべき点があります。適切な対処方法や計算方法に疑問がある場合には,弁護士までご相談ください。




▼参考記事
・兼業主夫の場合の休業損害
・兼業主婦が交通事故に遭い,裁判を行い賠償額が保険会社提示額より220万円以上増額した解決事例
・休業損害・逸失利益について




(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

個人事業主が交通事故に遭った場合,休業損害・後遺障害逸失利益における基礎収入はどうなりますか?

2018年01月26日
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個人事業主の休業損害・後遺障害逸失利益における基礎収入について教えてください。

個人事業主の基礎収入は、基本的に前年度の確定申告書にもとづいて計算します。
ただ、実収入が確定申告書より高いケースでは実収入が認定されることがありますし、赤字の場合でも基礎収入を計算する方法があります。





 個人事業主の休業損害・後遺障害逸失利益における基礎収入



◆1、個人事業主の基本的な基礎収入計算方法




個人事業主も、事故前に働いていた以上、休業損害や逸失利益が認められます。

これらの損害を計算するためには、基礎収入を算定しなければなりません。




個人事業主の場合、基礎収入は、事故の前年度の確定申告書の記載をもとにして、計算します。


(休業損害)
売上の金額から、仕入代や地代家賃、人件費や水道高熱費等の経費を引いた所得の金額を基礎収入とします。それに、治療終了後に事業再開するために支出することが必要と認められる固定経費を加えることができます。

また、事業を維持するために外注費用などが発生した場合には、そういった費用も加えることができます。

(後遺障害逸失利益)
基礎収入は所得金額となるのが原則です。損益計算書上経費となるものであっても、被害者の所得と同視できるものは、それも基礎収入に加えます。専従者給与などが問題になることが多いです。






◆2.所得が確定申告書より高いケース




個人事業主の場合、税金を少額にしたいという思いから、所得が少な目になるようにしているケースも少なくありません。

実収入が確定申告書より高いケースでは、確定申告書の記載内容と異なる金額を基礎収入として採用できるかが問題です。

この場合、税金逃れをしていたから、実際の所得の計算を全く認めないなどという認定しかされないわけではありません。実際の所得は確定申告書と異なることを証明できれば、実際の所得を基に請求をすることも可能です。


たとえば、確定申告書の収入では生活を維持するのが難しいような不自然な内容になっている場合などには、申告書記載の金額よりも高い基礎収入を認めてもらいやすいです。





◆3.赤字のケース




個人事業者の場合、確定申告書が赤字になっていることも少なくありません。その場合、収入はないのですから、基礎収入が0となって、休業損害や逸失利益が認められないのでしょうか?

このような場合、実際には、赤字であっても生活を維持しているのですから、所得が0ということはないはずです。

そこで、確定申告書の「固定経費」を収入として計算する考え方があります。たとえ赤字であっても、固定経費は必ず支払っているはずなので、その分の収入はあると考えられるためです。もっとも、所得は0ではないのかという反論の余地はあります。

また、賃金センサスの平均賃金から数割減じた分を、基礎収入として算定する方法もあります。




以上のように、個人事業主の場合、基礎収入の考え方について、給与所得者とは異なるいろいろな問題点があります。迷われた際には、よつば総合法律事務所までご相談ください。




▼参考記事
・自営業者の基礎収入で保険会社と大きな金額の相違があった中,収入金額に固定経費等の金額を加えて基礎収入額を算定するなどの工夫をして,裁判を起こさず655万円で示談できた事例
・逸失利益・事業所得者について(裁判基準)
・逸失利益・基礎収入について(裁判基準)




(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故の怪我の影響でリフォームを考えています。家屋改造費は,どこまで損害として認められますか?

2018年01月25日
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交通事故の怪我の影響でリフォームを考えています。家屋改造費は,どこまで損害として認められますか?

家屋改造費用は,重度の後遺障害が残っているケースにおいて,必要性・相当性がある限度で認められます。




 家屋改造費用



◆家屋改造費用が認められる基準




交通事故で重大な後遺障害が残った場合,それまでと同じ自宅の構造では生活が難しくなるケースがあり,自宅の改造が必要となります。

交通事故に遭わなければ,家屋の改装費用は不要だったわけですから,家屋改装費用も交通事故にもとづく損害として認められます。




ただ,すべてのケースで全額の自宅改装費用が認められるわけではありません。当然ですが,家屋改装費用が必要な程度の重度の後遺障害が残っている必要があります。

また,改装工事の内容や改装費用の金額に,必要性と相当性が認められることも要件となります。

不相当に高級な仕様になっていたり,不要な改装が行われていたりすると,その分は交通事故と因果関係のある損害として認めてもらえなくなります。




家屋の改装費用と関連して問題になりやすいのは,以下のような点です。

(1)本当に必要な改造と言えるか(無駄に高級仕様になっていないか)

たとえば,バリアフリー化や1階と2階の間のエレベーターについては改造費用を損害として認めてもらえますが,システムキッチンを入れたり音楽室を作ったりすることは,認められません。

また,元々の家に洗面室や浴室が1個しかなく不便だった場合などには,家屋改造によって各階に1個ずつに増やしたりすることがありますが,このような場合にも,介護上必要とは言えないので,減額調整が行われることがあります。




(2)家屋改造のため,新たに土地購入をしたときの損害

もともとの家屋が改造に向いていない場合に,土地や新たな家屋を購入することがあります。
このような場合,購入費用の何割かを減じた金額を損害として認定することが多いです。




(3)家屋の改造費が認められる後遺障害の程度

どの程度の後遺障害があれば,家屋改造費用が認められるのかという問題です。
一般的には,1級や2級の要介護の後遺障害の場合に改造費用が損害として認められることが普通です。

ただ,場合によってはそれより低い等級でも,家屋改造費用を請求することができるケースがあります。たとえば,膝関節に後遺障害が残った場合において,和式トイレを使えなくなったので,洋式トイレに改造した費用が家屋改造費として認められた例などがあります。




以上のように,家屋改造費用が認められる限度については,微妙な点もあるので,素人では判断が難しいです。

交通事故で後遺障害が残ったために,これから自宅を改装しようと考えておられるなら,必要性・相当性の問題について,一度ご相談ください。




▼参考記事
・高次脳機能障害の場合,自宅改造費は損害として認められますか。
・被害者の介護のために,遠方に住んでいたご家族が自宅近くへ引っ越し,引っ越し関連費用について当事務所の主張が認められて解決した事例
・家屋・自動車等改造費について(裁判基準)




(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故で損害賠償請求の裁判を起こしたときの手続は,どのような流れになりますか?

2018年01月24日
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交通事故で損害賠償請求の裁判を起こしたときの手続は,どのような流れになりますか?

損害賠償請求訴訟を起こすと,裁判所で第一回期日が開かれます。その後,争点整理をして,証人尋問を行い,結審して判決が言い渡されます。手続中のどの段階でも和解することができます。




 損害賠償請求の裁判(訴訟)の流れ 



◆損害賠償請求訴訟とは




交通事故に遭うと,加害者や加害者の保険会社と示談交渉を進めます。

ところが,話し合いをしてもお互いに合意ができないことがあります。

そのようなときには第三者機関の利用も検討することになりますが,その一つが,損害賠償請求訴訟です。

損害賠償請求訴訟をすると,裁判所が適切な解決方法(賠償金の計算方法と金額)を決定してくれるので,紛争を最終的に解決することができます。







◆損害賠償請求訴訟の流れ




損害賠償請求訴訟の流れは,以下のとおりです。

(1)訴訟提起

まずは,訴訟提起を行います。
訴訟提起するときには,訴状を作成して,証拠をつけて裁判所に提出します。

提訴先の裁判所は,140万円以下の請求であれば簡易裁判所,それを超えるなら地方裁判所になります。




(2)第1回期日

提訴すると,第1回目の期日が開催されます。
期日には,訴状や答弁書,証拠などの確認が行われて,次回の予定が決まります。
弁護士に依頼している場合,ご本人は出頭する必要がありません。




(3)争点整理

第1回期日以降,裁判所の主導のもとで争点整理が進められます。
何度か弁論準備期日を入れて,お互いに書面によって主張や立証を展開します。
通常はご本人の出頭は必要ありません。




(4)尋問

争点整理が終わったら,尋問を行うことがあります。
交通事故の場合,被害者のみか,被害者と加害者双方の尋問を行ったり,必要があったら目撃者などに証人尋問したりすることがあります。




(5)判決

尋問が終わると,原告及び被告が最終意見を出し,それを前提にして裁判所が判決を下します。
判決には,賠償金の計算方法と最終的に決定した賠償金の金額が記載されています。

お互いに判決内容に不服がない場合,判決内容が確定します。
加害者に支払を命じる内容であれば,任意保険会社が支払を行います。




(6)控訴

判決内容に不服がある場合,当事者は控訴することができます。
被害者側はもちろんのこと,保険会社側が控訴する可能性もあります。

控訴があると,審理は高等裁判所に持ち越されます(第一審が地方裁判所の場合)。
高等裁判所では,一審の結果を踏まえて審理を行い,最終的に判決が下されます。




(7)和解について

訴訟の係属中はいつでも和解することができます。
第1回期日後でも良いですし,争点整理の最中でも,尋問前や尋問後でも和解することは可能です。控訴審でも和解できます。

和解をすると,即時に裁判が終了して,紛争を終わらせることができます。

訴訟を有利に進めるためには,弁護士によるサポートが必須です。
訴訟が必要かどうかも含めて一緒に検討しますので,お早めによつば総合法律事務所までご相談ください。





▼参考記事
・示談交渉・訴訟
・被害者が受け取った保険金より多くの損害が発生している事が判明し,裁判を行い当事務所の主張が認められ追加で160万円を受け取り和解した解決事例
・弁護士が入ると損害賠償額が上がる!




(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故の加害者が逃げてしまいました。加害者が誰であるか分かりません。何か方法はありますか?

2018年01月23日
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交通事故の加害者が逃げてしまいました。加害者が誰であるか分かりません。何か方法はありますか?

加害者が逃げて相手を特定出来ない場合,被害者が加入している自動車保険において,人身傷害補償保険や搭乗者傷害保険,無保険車保険の適用を受け,保険金を受けとることができます。  また,そういった保険に加入していない場合や適用を受けられない場合,政府保障事業による支払を受けることも可能です。




 交通事故で加害者不明の場合



◆人身傷害補償保険,搭乗者傷害保険




通常,交通事故が起こったら,加害者に対して損害賠償請求をすることができます。

加害者が保険に入っていたら加害者の保険会社から賠償金が支払われますし,保険に加入していないケースでは,原則どおり,加害者本人が賠償義務を負います。

しかし,ひき逃げ事故の場合には,加害者を特定できないので,加害者の保険会社からも加害者本人からも賠償金の支払が行われません。




このようなとき,被害者自身が人身傷害補償保険や搭乗者傷害保険に加入していたら,これらの保険から保険金を受けとることができます。

人身傷害補償保険も搭乗者傷害保険も,契約自動車に乗車していて事故に遭い,ケガをしたときに,自分が加入している自動車保険会社から保険金の支払を受けられる保険です。

契約自動車以外の別の自動車に乗車していた場合や,歩行中の事故であっても適用されるケースもあります。
ひき逃げ事故に遭ったら,まずはこうした保険の適用がないか,保険会社に問い合わせてみましょう。







◆無保険車傷害保険




ひき逃げ事故に遭ったときには,無保険車傷害保険という保険の適用を受けることもできます。

無保険車保険とは,交通事故の相手が任意保険に加入していなかったり,任意保険が適用されなかったりするケースで,自分の保険会社から損害賠償金に相当する金額の保険金を受けられるものです。

ただし,後遺障害が残った場合または死亡した場合に限られます。限度額は2億円となっており,特に大きな事故に遭った場合には助かります。

無保険車傷害保険にも,契約自動車に乗車中の場合のみ適用されるものもありますし,他の車両に乗車中のケースや歩行中の事故にも適用されるものもあります。







◆政府保障事業




記のような保険が適用されない場合には,「政府保障事業」によって,最低限の救済を受けることができます。

政府保障事業とは,ひき逃げや相手が自賠責保険にも加入していないケースにおいて,被害者に最低限度の救済を行うことを目的とした制度です。

申請をすれば,自賠責保険と同基準の「てん補金」というお金を受けとることができます。
お近くの損害保険会社が窓口になっています。


ひき逃げ事故に遭うと,十分な保障を受けられないのではないかと不安になるものです。
適切な対応方法がわからない場合,弁護士がアドバイスをいたしますので,お気軽にご相談ください。




▼参考記事
・警察や相手方との対応
・後遺症と保険について
・当事務所の解決事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故に遭い,完全看護体制の病院に入院しました。入院付添費は損害として認められないのでしょうか?

2018年01月22日
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交通事故に遭い,完全看護体制の病院に入院しました。入院付添費は損害として認められないのでしょうか?

完全看護体制の病院の場合,入院付添費が認められないことがありますが,認められる例もあるので,個別のケースによる検討が必要です。




 入院付添費 



◆入院付添費とは




交通事故の受傷が原因で入院をした場合には,入院付添費という費用を請求することができます。

入院付添費とは,親族が被害者に付き添って看護をしたときに認められる費用です。

弁護士基準の場合,入院1日について6500円程度となります。

入院すると,基本的に,入院した日数分の付添看護費用を支払ってもらうことができます。







◆完全看護体制の場合の入院付添費




ただ,入院先が完全看護体制の場合,入院付添費が認められない可能性があります。

完全看護体制ということは,病院の看護師が完全に看護をしてくれるということです。
それであれば,通常親族による看護が不要となります。

そこで,親族が看護をしても,入院付添費を認めないという扱いになります。

実際に,完全看護体制の病院に入院したケースで入院付添費を否定した裁判例もあります。
保険会社と示談交渉をするときにも,多くのケースで入院付添費の支払は拒絶されるでしょう。







◆完全看護体制でも入院付添費が認められるケース




ただし,完全看護体制だからといって,一律に入院付添費が否定されるとは限りません。

看護師がついているといっても,24時間ずっと付き添っているというわけにもいきませんし,被害者が寝たきりでほとんど動けないケースなどでは,親族による看護が必要になると言えるからです。




裁判例でも,完全看護体制の病院に入院していたケースで,入院付添費を認めているものがあります。傾向として,以下のようなケースでは,完全看護体制でも入院付添費を認めてもらいやすいです。

・被害者が低年齢(幼児や児童)
・被害者が高齢者
・被害者の怪我が重傷,危篤状態が続いている
・被害者が寝たきりなど,自力でほとんど何もすることができない



保険会社が入院付添費の支払いを否定してきても,あきらめる必要はありません。

完全看護体制の病院に入院しているときに,入院付添費を認めさせるためには,親族が具体的にどのような看護活動をしたのか,きっちり証明する必要があります。

また,親族による看護の必要性も,詳しく説明しなければなりません。
自主的に看護日誌を作って,日々の看護活動の内容を,きちんと書き留めておくようにしましょう。




このように,交通事故では,被害者本人だけではなく,看護を行う親族としても注意しておくべき点がいろいろとあるものです。適切な対応ができているか不安があるなら,お気軽に弁護士までご相談ください。




▼参考記事
・主婦の入通院付添費は,どのように計算されますか?
・入院付添費について(裁判基準)
・被害者が未成年で入院付添費,通院付添費を保険会社と争い,具体的な立証をし,請求額全額が賠償金として認められた解決事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故の労災保険の障害認定手続について教えてください。不服があるときはどうしたらよいですか?

2018年01月19日
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交通事故の労災保険の障害認定手続について教えてください。不服があるときはどうしたらよいですか?

交通事故が労災になる場合には,労働基準監督署で,労災認定の申請を行いましょう。認定結果に不服がある場合には,都道府県の労災保険審査官や東京の労災保険審査会に不服申立てをすることができます。それでも認定が覆らない場合には,行政訴訟によって争うことが可能です。




 労災保険の障害認定手続



◆交通事故が労災になるケース




交通事故が,労災になるケースがあります。

たとえば,業務中に交通事故に遭ったり,通勤中に交通事故に遭ったりした場合です。

この場合,労災保険から給付金を受けとることができます。

労災保険にも,後遺障害の認定手続があります。交通事故の自賠責保険と同様の基準で,1級から14級までの等級があり,認定されるとそれぞれ労災給付を受けることができます。

後遺障害認定を受けるためには,労働基準監督署に対し,障害認定の請求を行います。







◆労災認定に対する不服申立の方法




しかし,労災で後遺障害の認定請求をしても,必ずしも認定を受けられるとは限りません。
その場合,不服申立ての手続が用意されています。




(1)審査請求

まずは,「審査請求」という手続があります。
審査請求は,都道府県ごとにもうけられている,労災保険審査官に対して行います。

口頭または文書にて申請することが可能ですが,通常は文書によって申立を行います。
審査請求ができる期間は,不認定の通知を受けとってから3ヶ月以内です。




(2)再審査請求

審査請求をしても,やはり認定を受けられないことがあります。その場合には,「再審査請求」をすることができます。

再審査請求は,文書で行うべきとされています。また,不認定の結果を受けとってから2ヶ月以内に,東京の労働保険審査会に対して行う必要があります。

再審査請求があると,労働保険審査会は,公開にて審理を開催します。審理には,当事者や代理人が出席して,意見を述べることが可能です。有利な認定を得るためには,しっかりと準備をして臨む必要があります。




(3)行政訴訟

また,審査請求や再審査請求をしても,労災認定を受けられない場合には,行政訴訟を起こし裁判所に判断をしてもらうこともできます。

行政訴訟を起こすときには,争いの対象にする審査請求や再審査請求の決定があってから6か月以内の間に,「労災不認定処分の取消訴訟」を提起します。




交通事故で後遺障害が残ると,日常生活でも仕事でも大きな支障が発生するため,労災でもきちんと後遺障害認定を受けるべき場合があります。弁護士に相談してみて下さい。




▼参考記事
・労災と自賠責で後遺障害等級が異なることはありますか。
・通勤中の交通事故にあった被害者が労災保険を使い,裁判を行わず裁判基準に近い水準で解決した事例
・後遺障害認定結果と不服の申立て談




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)
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