交通事故で高次脳機能障害になった場合,脳への栄養補給はどうなるのですか?

2017年12月06日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故で高次脳機能障害になった場合,脳への栄養補給はどうなるのですか?

脳が必要とする栄養と酸素は動脈を流れる血液が運びます。交通事故による高次脳機能障害などで血管が一部切れても,輪状の脳大動脈のおかげで血流は保たれます。




 脳への栄養補給



◆脳の病気だからこそ脳の栄養に気を使いたい




脳は,大きな衝撃を受けると損傷して高次脳機能障害を発症することがあります。

とくに交通事故は,とんでもない方向からものすごい力で衝撃が加わるので,高次脳機能障害の原因の第一位になっています。




病気になったら,弱っている体に栄養を与えて元気になってもらいたいと思いませんか?

そもそも、脳の栄養とは何でしょう?
とくに脳の栄養を考えて食事を摂らなくても,脳はちゃんと栄養を補給しているのでしょうか?










◆脳は大食漢




脳は脳細胞と呼ばれる神経細胞の集まりで,その数は大脳だけで100億個以上と言われています。

細胞は生き物ですから,生きていくためには栄養と酸素が必要です。
つまり,これほど膨大な数の細胞が密集している脳は,大量の栄養と酸素を必要とするのです。




栄養と酸素は,脳細胞でなくても,すべての細胞にとって欠かせないものですが,なかでも脳細胞はずば抜けて酸素を大量に消費します。私たちが呼吸して体内に取り入れる酸素のうち,25パーセントが脳で消費されるのです。

しかも,筋肉組織など,人体の細胞には酸素を貯蔵できる機能を持っているものもありますが,脳細胞は酸素を貯えておくことができません。

すなわち,脳は常に酸素を送り込んでやらなければ,ダメージを受けてしまうのです。







◆脳の栄養はすべて血管で運ばれる




脳が必要とする酸素と栄養は,すべて血液で運ばれます。

つまり,脳のなかを走る血管が,脳の栄養補給を担当しているのです。

脳に血液を送りこんでいるのは,総頚動脈(そうけいどうみゃく)と鎖骨下動脈(さこつかどうみゃく)で,頭部で枝分かれして脳の隅々まで血液を供給しています。総頚動脈と鎖骨下動脈は,いずれも首を通って頭部に伸びています。

首に手のひらを当てると太い血管を感じることができるでしょう?
この血管が、脳が活発に活動するために欠かせない酸素と栄養素を運んでいるのです。







◆脳の血管がもし切れたら?




脳の動脈は,輪(わ)のような形になっていて脳の組織を取り囲む特殊な形状をしています。

これが大脳動脈輪(だいのうどうみゃくりん)で,脳を通っている動脈が切れても酸素の補給が途絶えて脳細胞が死滅しないためのシステムです。

脳の左側で動脈が壊れるたら右側の動脈が,右側の動脈が切れたら左側の動脈によって血液を補うことができるという融通性のある構造です。




高次脳機能障害になるほどの怪我をした際に,血管が切れる場合がありますが,このような血管構造のおかげで脳細胞への血液供給は保たれているのです。




▼参考記事
・自賠責における高次脳機能障害認定の入口の3要件
・当事務所の交通事故解決事例
・後遺障害等級について




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故で頭を打って高次脳機能障害を発症しました。脳は壊れやすいものなのですか?

2017年12月05日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故で頭を打って,高次脳機能障害を発症しました。脳は壊れやすいものなのですか??

神経の集合体である脳は,頭蓋骨,硬膜,クモ膜,軟膜で保護されていますが,それでも交通事故による衝撃から脳を守れなかった場合は,高次脳機能障害を発症することがあります。




 頭を打つだけで,脳は損傷する?



◆ぶつかっただけで壊れるほど脳は壊れやすい?




人間らしさとはなんでしょう?

思考力,豊かな感情,判断力,行動力,表現力などが組み合わさってその人らしさが生まれ,人間性を表すと言って良いでしょう。

人間が人間たるゆえんは,脳の働きのおかげです。

その脳が壊れてしまったら,それまで行っていた知的活動ができなくなることがあります。




たとえば,交通事故などで脳に強い衝撃を受けると,脳の組織の一部が壊れて高次脳機能障害になる場合があります。

人間の体のなかでもっとも重要な場所とも言える脳が,そんなに壊れやすいのでは心配になりませんか?本当に脳は壊れやすいのでしょうか?







◆脳は神経の集合体




心臓,肝臓,肺,腎臓・・人体にはいろいろな臓器がありますが,脳に骨はないし筋肉でもない,とすると脳も内臓の一種でしょうか?

いいえ,脳は神経の集まりです。

人間の生命活動を維持する上で絶対に欠かせない呼吸や血液の循環を担当する肺や心臓は,肋骨(ろっこつ)で守られています。野球のボールが胸に当たると,痛くても肋骨のおかげで衝撃は心臓に直接は伝わりませんし,肋骨の内側にある筋肉や皮下脂肪も心臓を守っています。

神経細胞の集合体である脳も,頭蓋骨(ずがいこつ)ですっぽり覆われて守られていますが,内臓とはまったく違う仕組みで保護されています。










◆厳重に守られている脳の組織



内臓は,筋肉や脂肪というクッションで外部の衝撃から守られています。
それに対して脳は,ゆりかごのなかでゆらゆらゆれて守られている存在です。




頭蓋骨と脳の間には,髄膜(ずいまく)という膜があり,髄膜は,頭蓋骨に近い順に硬膜(こうまく),クモ膜,軟膜(なんまく)と3層からできています。

硬膜は頭蓋骨に張り付いていて動きませんが,クモ膜と軟膜の間にはクモ膜下腔(くもまくかくう)というすき間があり,このすき間は,無色透明の脳脊髄液(のうせきずいえき)で満たされています。

つまり,脳全体は,この液体のなかにぷかぷか浮いている状態です。

ちなみに,人間の脳のクモ膜下腔には,110ミリリットルの脳脊髄液が存在します。

脳脊髄液は,1日に500ミリリットル作られ,脳室(のうしつ)とクモ膜下腔を1日に数回循環しています。ですから,生産されたばかりの新鮮な脳脊髄液で脳は守られているというわけです。




頭をぶつけると,まず頭蓋骨が,そして硬膜が衝撃から脳を守り,そしてクモ膜下腔を満たす脳脊髄液も,衝撃を吸収します。こうして,神経の集合体として柔らかいかたまりである脳は,外部からの衝撃から幾重にも保護されているのです。

ただし,このシステムでも防ぎきれないほど強い衝撃を受けた場合は,脳の神経組織が破壊されて高次脳機能障害を発症することがあります。




▼参考記事
・高次脳機能障害を負われた方の解決事例
・重度の後遺障害と示談交渉について
・交通事故における頭部外傷 頭部の構造




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故で脳がダメージを受けると高次脳機能障害になる。。。。これは人間だけの病気ですか?

2017年12月04日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故で脳がダメージを受けると高次脳機能障害になる。。。。これは人間だけの病気ですか?

人間の脳はとくに大脳が発達しており大脳皮質の細胞はその数100億個以上もありますが,交通事故などで脳がダメージを受けると高次脳機能障害になることがあります。




 高次脳機能障害 : 人間だけの病気?




◆高度な脳を持つ人間ゆえにかかる病気




交通事故などが原因で脳に強い衝撃が加わると,高次脳機能障害になることがあります。

病名に「高次」と付いているように,脳がつかさどっている思考,決定,伝達,情報の統合などの活動に問題が起こる病気です。

脳が何百万種といる生物の頂点に達するほど進化したゆえに,ひとたびその高度な脳に問題が起きると,それまでごくあたり前のように行っていた活動ができなくなってしまう,いわば人間特有の病気です。




たとえば,Aさんがスーパーマーケットに買い物に行く予定を立てます。

スーパーマーケットでは,今夜の献立は鍋料理と決めているので,白菜やネギなどかさばる野菜や肉や,お弁当用の冷凍食品を買う予定,また店に2階にあるおもちゃ売り場では,クリスマスプレゼントの下見をしたいと思っています。

先に食品を買って重たい荷物を持ち歩いたらゆっくりおもちゃを見れませんから,Aさんは2階のおもちゃ売り場に先に行きます。

そんなことはあたり前だろうですって?

いいえ,計画を立て,合理的な行動がとれるように考え,実行する。
これこそが,高次な脳の働きなのです。




ところが,高次脳機能障害になると,普段私たちがほとんど無意識に行っている思考や行動,判断などが,病気になる前と同じようにできなくなるのです。

病気を早期に発見し,専門医の治療を受けることで症状が軽くなることはあっても,完治がむずかしいのが高次脳機能障害の特徴で,病気にかかった本人が高次脳機能障害であることを自覚しないことが多いのも,この病気の特徴です。

人間が進化した脳,特にずばぬけて発達した大脳のおかげで,高度な情報処理を瞬時にこなし,普段の生活の快適さや社会生活を営むことができるのです。







◆人間以外の生き物の脳はどうなっているの?




魚類や両生類,爬虫類にもごく小さな大脳がありますが,それよりも、脳幹(のうかん)と言われる本能的な行動をつかさどる脳のほうが,はるかに発達しています。餌を捕まえたり,敵から逃げたり,交尾して子孫を残すことが本能的な行動です。

より脳が進化したのが鳥類と哺乳類で,とくに哺乳類は大脳の表面に大脳皮質(だいのうひしつ)という神経細胞が多く集まっています。

この大脳皮質が人間の知的活動のおおもとを担当していて,その数はなんと100億以上。




人間が生物の進化の頂点に君臨するのは,このように発達した脳のおかげであると同時に,ひとたび脳にダメージを受けると高次脳機能障害にかかってしまうのです。




▼参考記事
・交通事故における頭部外傷 頭部の構造
・頭(脳)に怪我を負われた方の解決事例
・専門家との協力関係




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故で頭を打って,高次脳機能障害になりました。脳血管のフィルタリングとは何ですか

2017年12月01日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故で頭を打って,高次脳機能障害になりました。脳血管のフィルタリングとは何ですか?



高次脳機能障害の方は,できるだけ脳に良い栄養を積極的に摂りたいものですが,万一脳に良くない物質を摂取しても,脳血管のフィルタリング機能で選択的に阻害することができます。




 脳血管のフィルタリング





◆脳の栄養は血管を通して運ばれる




お肌の若返りにはコラーゲン,美白にはビタミンC・・では,脳に必須の栄養とは何でしょうか?

人間が人間らしく豊かな感情を持ち,聡明であり,社会を構築する一人となるために絶えず活動している脳。




その脳に,血管を通して運ばれる血液によって必要な栄養を与えることで,交通事故などで脳に致命的な損傷を受けて高次脳機能障害になった人も,残された脳の機能をフルに使って,生活の質を向上されることができるのです。




とりわけ,高次脳機能障害などで脳の機能の一部に制限がかかってしまった方は,残されている脳の機能をこれまで以上にフル活動させて,心身ともに健全に,より良く生きたいと思うのではないでしょうか?

日頃から摂取する栄養が体に良いものであれば,高次脳機能障害からの回復もおのずと期待できるでしょう。

しかし,現代生活では知らず知らずのうちに,脳に有害な物質を食物から摂取しているかもしれません。良い食べ物と悪い食べ物を見分けるのは大変です。。。

でも大丈夫,ヒトの体には、強い自己防衛機能があるのです。それが,血管のフィルタリング機能です。









◆血管のフィルタリング機能とは?




とてもおいしいケーキ,口当たりの良い飲み物・・おいしくてつい飲食に夢中になったけれど,もしそのなかに脳に対する有害物質が入っていたら・・?




安心してください!

脳には,血液脳関門(けつえきのうかんもん)といって,脳に有害物質が入るのを防ぐバリヤーの役目を果たす血管があるのです。

脳が様々な情報を受け取ったり,それに対する指令を発する役割は,脳神経が担当していますが,血管脳関門は,脳にとって良くない物質が流入するのを阻止します。

一方,脳にとって良い物質,すなわちアミノ酸やグルコースなどの栄養素は,血管脳関門を通って脳細胞に送られます。

ただし,血管脳関門も全能ではなく,摂取する量によっては身体に悪影響を与えることのあるカフェイン,アルコール,ニコチン,抗うつ剤などは血管脳関門を通過して脳に送られます。

いわば,関所御免で素通りの状態です。




高次脳機能障害の方は,脳に栄養を与えて脳細胞を活発化させようとお考えではないでしょうか?

有害物質をフィルターにより除去してくれるという素晴らしい機能があるとはいえ,アルコールやカフェインなど,摂取量によっては有害な物質は素通りですから,食習慣を見直して,過度の飲酒やカフェインを含む飲料の摂り過ぎなどには注意を払うべきでしょう。



▼参考記事
・ 高次脳機能障害を負われた方の解決事例
・ 交通事故で怪我をした場合,いつ弁護士に相談すべきか?
・ 重度の後遺障害と示談交渉について


(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

高次脳機能障害になると脳室が変形することはありますか?

2017年11月30日
このエントリーをはてなブックマークに追加

高次脳機能障害になると脳室が変形することはありますか?


高次脳機能障害になるほどの衝撃を頭部に受けると,大脳や小脳などの脳のすき間にある脳室が変形することがあります。


 脳室の変形



◆脳室は脳と脳のすき間




ヒトの脳は,大脳,小脳というようにいくつかの部分に分かれていて,それぞれの脳の間には脳室(のうしつ)と呼ばれるすき間があります。

脳室は,単なるすき間ではなく,「交通事故で高次脳機能障害になりました。脳は元々壊れやすいのですか?」で述べたように,脳脊髄液を生産して脳を外部からの衝撃から守るという重要な役割を持っています。




それぞれ独立した組織である大脳や小脳などが,摩擦によって傷付かないようにするためにも,脳室は不可欠な存在です。

脳室は,頭の左右に1つずつある側室および第3脳室,第4脳室と合わせて4つあります。


それぞれの脳室は,脳脊髄液が流れる通路でつながっています。

脳脊髄液は,全部の脳室を合わせると100〜150mlです。
1日の産生量は約500mlなので,1日に3回から4回も,古い脳性髄液が静脈に吸収され,新しい脳脊髄液が脳室を満たしていることになります。








◆脳室の形状から読み取る高次脳機能障害




高次脳機能障害は,診断がむずかしい病気の一つですが,MRI(核磁気共鳴画像法)やCT(コンピューター断層撮影法)により,脳の損傷の部位や程度を判断することが可能です。

脳室は,脳脊髄液に満たされた空間なので,レントゲン検査では写りませんが,MRIによる撮影が可能です。MRIで撮影した脳室の形状により,異常が見つかり,高次脳機能障害の診断につながることもあります。

もともとは空間であって,そこに脳脊髄液という液体が存在するのが脳室です。
空間ということは,衝撃を受けるとたやすく変形する可能性があるということを意味します。

つまり,MRIやCTで撮影した脳室が変形していたら,脳内に血腫がある,腫瘍などの病変があるなどの可能性が否定できないということです。




たとえば,脳に血腫ができたら,脳の組織が血腫で圧迫されるので,脳室は小さくなって反対側に偏ります。一方,脳に委縮があった場合は,脳の容積が以前より減るわけですので,脳室は広がります。

脳室は,本来は左右対称形ですので,画像で側室が左右非対称に映っていれば,変形していることが容易にわかります。




このように,脳室の状態を画像診断で観察することにより,脳の組織に何が起きているかを観察することができるのです。

MRIなどの画像による脳組織の診断が画期的な進歩を遂げる以前は,脳脊髄液を穿孔により採取して組織を分析し,疾患を特定するために用いましたが,現在では画像診断が主流です。

高次脳機能障害を伴う脳室の変形の原因は,外傷,クモ膜下出血,脳内出血などです。




▼参考記事
・頭(脳)に怪我を負われた方の解決事例
・高次脳機能障害について
・交通事故事案に弁護士がかかわる意味




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故で高次脳機能障害になりました。脳は元々壊れやすいのですか?

2017年11月29日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故で高次脳機能障害になりました。脳は元々壊れやすいのですか?

ヒトの脳は幾重にも保護されていますが,交通事故などで通常あり得ないような衝撃を受けると,脳の内部までダメージを受け高次脳機能障害を発症します。




脳は損傷しやすい?




◆人間の脳は何重にも保護されている




道を歩いていたら車にはねられ,路面で頭を打ったら高次脳機能障害になった・・。

まさか,道を歩く時にヘルメットを被るわけにもいきませんから,歩行者が交通事故で転倒した際に脳を損傷するのは避けられないことなのでしょうか?

脳そのものは,非常にもろく壊れやすい器官です。




しかし,人間の活動の根幹にかかわる器官ですから,そう簡単に壊れてしまっては大変・・そこで,ヒトの体は壊れやすいデリケートな脳を保護する何重もの仕掛けを用意しています。




まず,一番外側は骨で保護します。
私たちが頭に触って,頭皮の向こう側に感じる硬いものが頭蓋骨です。

頭蓋骨の下には髄膜(ずいまく)があります。
髄膜は3つの層でできています。

頭蓋骨のすぐ下には,第1の層,硬膜(こうまく)があります。
硬膜はその名の通り硬い組織で,頭蓋骨とくっついています。

硬膜の下には第2の層,クモ膜があり,クモ膜下腔(くもまくかくう)をはさんで第3の層,軟膜(なんまく)と接しています。軟膜は,脳の表面と密着しています。脳の組織の一部は軟膜に入り込んで一体化しています。

クモ膜下腔は脳脊髄液という液体で満たされています。
つまり,脳と軟膜は,クモ膜下腔の脳脊髄液によって,ゆらゆらと揺れ動いている状態です。

脳脊髄液は,クモ膜,硬膜,頭蓋骨に守られているので漏れ出すことはありません。
頑丈な入れ物に入っている液体の中に満たされている個体は,入れ物が衝撃を受けても,液体のなかでゆらゆら動くことにより衝撃を回避します。

脳の組織は,3層の髄膜により物理的な衝撃から脳の組織を守っているのです。







◆脳脊髄液は常にリフレッシュされる




脳を衝撃から守るクッション材の役割をもつ脳脊髄液は,絶えず生産され,リフレッシュされています。

脳脊髄液は,脳室(のうしつ)と呼ばれる脳と脳の間のすき間で作られています。
各部を循環した脳脊髄液は,最終的に静脈に吸収され,新しい脳脊髄液が間隙を満たします。







◆それでも脳を損傷することがあるのはなぜ?




これほどまで厳重に幾重にも保護されているにもかかわらず,頭を何かにぶつけただけで,内部の組織が壊れて高次脳機能障害になることがあります。

なかには,外傷は見受けられないにもかかわらず,内部で脳損傷が起きていたため,怪我の発見が遅れてしまったなどということもあります。




交通事故は,通常では考えられないような角度から強い力で衝撃が加わるため,脳を保護する組織の強さの限界を超えてしまうことがあります。

さらに,物理的な衝撃によって脳と脳の間のすき間である脳室の形が変化した結果,さまざま症状を引き起こすこともあるのです。




▼参考記事
・交通事故における頭部外傷 頭部の構造
・交通事故における頭部外傷 傷病名
・高次脳機能障害を負われた方の解決事例

↓ご相談・お問い合わせはこちら↓
【お問い合わせフォーム】




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故による高次脳機能障害が完治しない理由は何ですか?

2017年11月28日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故による高次脳機能障害が完治しない理由は何ですか?


交通事故などが原因で発症する高次脳機能障害が完治しないと言われるのは,脳で電気的に情報処理を行っているニューロンが,損傷したら復元しないからです。




 高次脳機能障害 完治しない理由




◆高次脳機能障害は完治する? しない?



事故で頭部を強打して病院に運ばれ,医師から高次脳機能障害であると告げられたらどのような印象を受けますか?

多くの方は,完治するかどうかが気がかりだと思います。


なぜなら,いったん壊れた脳はもとに戻らないというのが定説だから
です。




実際には,高次脳機能障害の患者さんが積極的にリハビリテーションを行うことで,損傷した脳が行っていた仕事を他の脳細胞が補うことで,運動能力が改善することが知られています。

しかし,それはあくまでも代替作用であり,壊れた細胞が復元されるのではありません。








◆損傷した脳が再生しない理由



「交通事故による高次脳機能障害と脳のニューロンとは何ですか?」でお話ししたように,人間の高度な思考,行動,感情は,脳のニューロンと呼ばれる神経細胞によるものです。

しかし,ニューロンは,いったん壊れると元に戻りません。

これこそが,損傷した脳は元通りにならないから高次脳機能障害は完治しないと言われるゆえんです。








◆ニューロンについて知れば情報伝達の仕組みが見えてくる




ニューロンの中心にある細胞体にはいくつかの突起があり,そのなかの一つは軸索と言って長く伸び,他のニューロンとつながっています。

伸びてつながっている軸索は,シナプスと呼ばれています。
シナプスによって,1つのニューロンが孤立せずに他のニューロンとつながっているということは,Aというニューロンが持つ情報を,Bというニューロンに伝えることができるということを意味します。




いわば,ニューロンは電線,シナプスは発展した都市の電気網です。

高次脳機能障害により,脳細胞の一部が壊れるとニューロンが破壊され,軸索という電線が切れてしまいます。
いわば,脳の中で停電が起こった状態です。停電が起きた脳は混乱を極めます。

これまで楽々処理していた情報を処理しきれずに,混沌としたありさまに陥り,身体が受け取る情報を持て余してしまうのです。








◆ニューロンの情報はどういう形で伝わるか?




脳は抹消神経から届いた情報に基づき判断した結果を,電気信号にして各器官に送ります。

ニューロンから伸びている軸索は電気を伝えますが,ニューロン同士はごくわずか離れているので,電気信号は届きません。

ニューロンAからニューロンBに信号を伝えるためには,化学物質が活躍します。

ニューロンAのシナプスの端に電気信号が届くと,神経伝達物質がシナプスの間にあるすきまに放出されます。
ニューロンBのシナプスには,神経伝達物質を受け取ることができる受容体がたくさんあるので,シナプス同士がつながっていなくても,間隙に放出された神経伝達物質を受け取り,しっかり情報を次のニューロンに届けることができるのです。




ニューロンの一部が壊れる,情報伝達がうまくいかなくなって,高次脳機能障害が起こることがお分かりと思います。




▼参考記事
・ 医学知識の習得
・ 所内における勉強会
・ 高次脳機能障害を負われた方の解決事例

↓ご相談・お問い合わせはこちら↓
【お問い合わせフォーム】


(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故による高次脳機能障害と脳のニューロンとは,なんですか?

2017年11月27日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故による高次脳機能障害と脳のニューロンとは,なんですか?

交通事故などで高次脳機能障害になるのは,大脳皮質の連合野にあるニューロンという神経細胞が損なわれることが原因と考えられています。




 脳のニューロン



◆脳細胞はたったの2種類




人間の高度な知能は,様々な種類の脳細胞の存在によって成し遂げられるものと思っていませんか?

ところが,人間の脳細胞は,たったの2種類しかないのです。

1つはニューロン(神経細胞),もう一つはグリア細胞(神経膠細胞しんけいこうさいぼう)です。


脳細胞の9割はグリア細胞ですが,1割しかないニューロンこそが,高度な脳の情報処理を行っているのです。




交通事故などが原因で脳が損傷を受けて,人間らしい行動や感情が損なわれるのが高次脳機能障害で,大脳皮質の連合野(れんごうや)に問題が生じたために発症すると考えられています。

つまり,連合野のニューロンが正常に情報を伝達できなくなるということです。
連合野には,脳の他の場所から送られてくる情報を統合する役割があります。

たとえば,事故で手足を怪我したわけでもなく,運動能力が損なわれているはずはないのに,失行(しっこう)といって,これまでできた動作ができなくなるのは,高次脳機能障害で現れる典型的な症状の一つです。

連合野が情報をうまく処理できないために,服を着る,歯ブラシで歯を磨くなどの動作ができなくなるのです。




頭部を強打したとはいえ,その他の部位に特に目立った外傷がなかったにもかかわらず,行動,思考力,感情など,さまざまな面で,事故に遭う前と比べて別人かと思うほど違う様子になるのは,ニューロンに問題が起きていると考えて良いでしょう。







◆ニューロンについて知ろう




ニューロンは,中心部にある細胞体と,軸索(じくさく)と呼ばれる突起でできています。
突起は,長く伸びて他のニューロンと結合して,電気信号で情報をやりとりしています。

ヒトのニューロンの数は,大脳だけで数百億個,脳全体で1千数百億個あります。

ニューロンは,外部から受け取った情報を脳に伝え,脳が発する指令を体の末端の器官に神経を通じて伝達します。




高次脳機能障害に「高次」という名が付いているように,普段わたしたちがほとんど無意識に行っている動作は,実は高度な思考に基づきつつ,しかもそれとわからないほど素早く反応していることが多いのです。

これこそが,高次脳機能と呼ばれるゆえんです。

日常生活において,いかに複雑な思考とそれに基づく行動を頻繁に行っているかは,それができなくなってはじめて実感するといっても良いでしょう。

一例を挙げると,

今日は寒い(寒いという感覚を受け取る→ニューロンによって脳に情報伝達→脳が「上着を着て暖かくしなさい」という命令を出す→ニューロンが一連の動作をするように各器官に伝達→各器官が命令を実行する→冬物の上着を探して着る


といった具合です。

ニューロンは,ヒトがヒトとして生きていく上で最も重要な体の組織の一つなのです。




▼参考記事
・交通事故に遭った被害者様のご家族から事故後,被害者様の様子が一変したと相談を受け解決した高次脳機能障害の解決事例
・重度の後遺障害と示談交渉について
・後遺症(後遺障害)




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

高次脳機能障害と気付かず,復職して苦労しました。復職する前に何かできる事はあったのでしょうか?

2017年11月24日
このエントリーをはてなブックマークに追加

高次脳機能障害と気付かず,復職して苦労しました。復職する前に何かできる事はあったのでしょうか?

交通事故で頭を打ったことを気にせずに復職したが,以前のように仕事をこなせなくなり退職,後で高次脳機能障害を発症していると知ったという方は多いです。交通事故で頭を打ったら,まずは精密検査を受けるべきです。




交通事故で頭を打ったら,,,,,



◆自覚症状がなかったので気にかけなかった頭の怪我




大学を卒業してから一般職で就職し,8年働いていましたが,半年前に交通事故に遭い,足を骨折して1カ月入院した後に復職しました。




実は,骨折のほかに頭部打撲も診断されたのですが,特に自覚症状もなく,レントゲン検査で異常がみつからなかったので,頭部の怪我を心配することはありませんでした。






◆仕事がこなせず復職して間もなく退職




私の仕事は事務職で地味ではありますが,パソコンを駆使して大量のデータを処理する必要があるので,素早い判断とミスをしないスキルが求められます。

仕事の正確さに自信があったのですが,復職後はミスを連発するようになりました。
同僚も,初めのうちは,久しぶりだからと暖かく見守ってくれていましたが,ミスが日常茶飯事になると私に対する評価は下がる一方,冷たい目で見られるようになりました。

これまで出来たことがどうしてできなくなったのか,自分でもわけがわからず,やがて会社に居づらいような雰囲気になりました。

復職後,退職届を提出するまでの3カ月,できない仕事をできるふりをしてお給料をもらうわけにはいかないと考えた末の決断でした。




でも,なぜ,これまでできたことが全くできなくなったのか,自分の能力の低下と骨折に関係があるのかが謎でした。

そのとき,救急外来で頭部のレントゲンを撮ったことを思い出したのです。もしかして,頭を怪我して脳に変化が起きていたとしたら・・?







◆まっさきに脳の機能を調べるべきだった




ともかく,今のままでは仕事に就こうにも,まともに仕事をこなせないので,まずするべきは健康の回復だと思い,脳神経の専門病院を受診しました。

その結果,脳の組織の一部に損傷が見られ,それが原因で高次脳機能障害を発症し,これまでできたことができない遂行機能障害が現れていると診断されました。

今,私は病院に定期的に通ってリハビリテーションを受けながら,ハローワークで仕事を探しています。




失われた脳の機能は,リハビリテーションによって脳のネットワークが補うことができるそうです。
壊れたものは元通りにならないけれど,高次脳機能障害になっても他の組織が助けてくれるということを知り,リハビリテーションにも気合いが入ります。

それにしても,怪我をした時すぐ頭部の精密検査を受けていれば,もっと早く適切な治療を受けることができたのにと悔やまれます。

(32歳女性 会社員)




▼参考記事
・『交通事故と治療 Q&A』 事故直後は痛くなかったのですが,事故後数日して痛みが出てきました。どうすれば良いでしょうか。
・高次脳機能障害の就労支援機関には,どのようなものがありますか。
・交通事故で高次脳機能障害になった被害者が,リハビリで努力した結果,勤務先の配慮もあり退職せず復職できた解決事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故に遭い,退院後。。。。もしかして高次脳機能障害? どうやってチェックすればいいですか?

2017年11月22日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故に遭い,退院後。。。。もしかして高次脳機能障害? どうやってチェックすればいいですか?

あるときを境に家族の人格やふるまいが激変したら,それは高次脳機能障害のせいかもしれませんので,チェック項目に当てはまるかどうか確認してみましょう。




高次脳機能障害 チェック方法



◆もしかして高次脳機能障害かもと思ったら,,,




高次脳機能障害を発症していることに気付かず,何年間も過ごしていていた人も少なくありません。

交通事故などが原因で高次脳機能障害を発症した結果,明らかに尋常でないふるまいをする,会話が成り立たないなど,日常生活を円滑に送ることが困難であれば,周囲の人がすぐ気が付くでしょう。

家族あるいは親しい友人や会社の人が「今までとは人が変わったようだ,病気ではないか診察してもらった方が良い」と考え,受診を勧めその結果,高次脳機能障害が見つかることも珍しくありません。



むずかしいのは,ボーダーラインです。



高次脳機能障害を発症しているが,誰にでもわかるような顕著な症状が現れていないので,はたからみて病気のように思われないのです。

本人は,事故に遭うまでと変わりなくふるまっているにも関わらず,怠けている,態度が横柄だ,キレやすくなった,すぐ怒る・・などと思われ,次第に孤立していったら・・?







◆簡単チェックで高次脳機能障害かどうかの目安を付けよう




高次脳機能障害であるかどうかは,専門医による検査が不可欠です。

その一方,自分はもしかして高次脳機能障害かもしれないと漠然とした不安を抱えている方は,なかなか専門医を受診する勇気わかないかもしれません。

患者さんの家族のみが病状に気付いていて,本人は病気ではないと思っている場合も受診はむずかしいでしょう。

以下に,高次脳機能障害かどうかをチェックする目安となる質問事項を掲げますので,参考にしてください。高次脳機能障害の症状の現れ方は,それぞれのケースで異なります。




ここに挙げた症状以外のふるまいであっても,以前とはことなる言動が顕著な場合は,専門医を受診することをお勧めします。

【失語症】
なめらかに話せない,何を話しているかわからないなどの症状が現れます。

【失認症】
着衣,脱衣がうまくできません。
手足の一部がないようにふるまいます。

【失行症】
見えているのに何に使うかわかりません。
知っている人の顔がわかりません。
今まで使えたものを使うことができません。

【記憶障害】
新しいことが覚えられません。
さっき言われたことを忘れてします
昔のことは覚えているが,最近のできごとは覚えていません。

【注意障害】
落ち着きがありません。
今までやっていたことから次のことへ切り替えができません。

【社会的行動障害】
感情場のコントリールができません。
違いの発言やふるまいをします。






▼参考記事
・高次脳機能障害の具体的な症状には,どのような症状がありますか?
・高次脳機能障害の症状に気付くには,どのようにすればよいですか?
・高次脳機能障害を負われた被害者のご家族の協力により,詳細な日常生活状況の報告書を作成でき,適切な後遺障害認定がされた解決事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)
< 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 >
プロフィール
よつば総合法律事務所
千葉県最大級の法律事務所。弁護士16名が所属しております。事務所名の「よつば」は事務所に関わる人が皆幸せになるようにとの思いから名付けました。お気軽にご相談ください。
柏事務所:千葉県柏市(柏駅徒歩3分)
千葉事務所:千葉市(千葉駅徒歩3分)

千葉で交通事故に強い弁護士の無料相談サイト

メールでのお問い合わせ
2018年 04月 >>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
最新記事