カテゴリー: 高次脳機能障害

交通事故で高次脳機能障害になったら,直後の対応が大事と聞きました。何故ですか?

2017年11月20日
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交通事故で高次脳機能障害になったら,直後の対応が大事と聞きました。何故ですか?

頭部の打撲は受傷直後のケアがその後の人生の質を左右します。本人が病状を説明できないことも多いので,家族や身近な人が症状を観察して意思に伝えましょう。




 高次脳機能障害 : 直後の対応の重要性 



◆頭部の打撲は受傷直後のケアがその後の人生を左右


愛する人が交通事故に遭って怪我をしたとなると,家族が取り乱し,混乱状態に陥っても不思議ではありません。

しかし,不運にも重大事故により入院治療を余儀なくされた場合,その後の家族の苦労は察して余りあります。




特に,脳を損傷して事故以前とは意識レベルが低下した場合は,搬送先された病院における治療が,患者さんのクオリティオブライフ(いかに良い人生を送ることができるか)を左右するといっても過言ではありません。







◆被害者の代わりになる人の必要


高次脳機能障害のように脳が正常に働かなくなると,自分の置かれている状況を患者さんが医師に対して説明することが困難になります。

高次脳機能障害になった方が,家族と暮らしていた場合や,一人暮らしであっても親しくしていた兄弟姉妹や友人がいる場合は,診療の場に同席してもらうことをお勧めします。

なぜなら,日頃日常生活で長い時間を共に過ごしている人だけが知っているふるまいやものの言いよう,感情の起伏などを主治医に説明できるのは,日常生活で長い時間を共に過ごしている人だけができることだからです。




応急措置を搬送された病院で行ったのち,ほどなくして転院した場合はどのような検査をしたか,検査結果を含めてすべての情報を転院先の病院に引き継ぎしてもらいましょう。

さいわい,昨今都市部では転院する際のカルテ情報の共有は,ネットワークを構築してスムーズに行われつつあります。

高次脳機能障害になった方の家族は,他の病気にも増して,病気を治すためにより力強い存在となりうることがおわかりでしょうか?







◆救急搬送された病院から,転院すべきか悩んだら?


脳の状態を観察するための検査を実施できるか,適切な治療を受けて可能な限り早い時期にリハビリテーションを開始できるかなどが問われます。

頭部を強打して一刻を争い救急搬送するような場合,受け入れ先の病院に専門の治療環境が整っていることが求められますが,救急搬送の段階では,理想的な受け入れ施設に物理的または人員的に空きがなく,救急患者に対応できない場合もあります。

命を救ってくれた救急病院に対する恩義を感じる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし,高次脳機能障害の治療という長期的な医療方針を考えたら,脳外科,脳血管内科,脳神経科などの医療科目が充実している病院への転院も視野に入れることも選択肢の一つです。




▼参考記事
・病院選びはどのようにしたらよいですか。
・高次脳機能障害になり,早期に専門医のいる病院を当事務所でご紹介し,転院後,専門的な検査・リハビリをうけ症状の改善につながり,後遺障害の認定をスムーズに受けて解決した事例
・今通っている病院とは別の病院に通いたい場合には,どのようにすればよいですか。




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故以外で,高次脳機能障害を発症する原因はなんですか?

2017年11月17日
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交通事故以外で,高次脳機能障害を発症する原因はなんですか?

高次脳機能障害の原因は3つあります。交通事故などによる外傷性脳損傷,脳血管障害,脳症など他の病気によるものです。




 高次脳機能障害の原因 



◆原因はさまざま


脳の一部を損傷したことが原因で,健康な時と比較して認知のレベルが低下するのが高次脳機能障害です。


脳の重さは,人間の体重の約1割あります。
体重60キログラムの成人男性であれば,脳の重さは6キログラム。




しかし,高次脳機能障害はこれほど巨大な組織のごく一部,ときには数十グラムの組織を損傷したことが原因で発症することがあるのです。







◆3つの原因とその特徴



【外傷性脳損傷】

交通事故のように,外部から非常に強い衝撃が頭部に加わったことによる脳の損傷です。

外傷性の脳損傷は,年齢に関係なく乳幼児から高齢者まで,誰でも発症するリスクがあります。

アクシデントにより高次脳機能障害になる可能性がある,つまり,自分で健康管理をしっかりしていても避けられないこともあるのが,外傷性脳損傷による高次脳機能障害なのです。

外出して交通事故に遭わなければ,外傷性脳損傷になる危険を避けられると思われるかもしれませんが,風呂場やベッドから置きあがろうとした時に転倒することが原因で,外傷性脳損傷になる人も多いのです。




しかし,なんといっても交通事故が,外傷性脳損傷による高次脳機能障害の原因第一位に挙げられます。他に,職場における転落事故や,スポーツ中の外傷などが原因で外傷性脳損傷による高次脳機能障害になることがあります。

とはいえ,そのような環境で働いたり,危険を伴うスポーツをする人は,それほど多くはないでしょう。

それにひきかえ,交通事故による外傷性脳損傷による高次脳機能障害は,いつ,誰が事故に遭い,被害をこうむるかもしれないのです。

外傷性脳損傷は、わたしたち誰もが、いつなんどき発症するかもしれないということは覚えていてほしいと思います。





【脳血管障害】

脳出血や脳梗塞,クモ膜下出血などが起きたことが原因で,脳の血管が詰まるなどして脳の機能が正常に働かなくなることが原因で発症すると,高次脳機能障害によるさまざまな症状が現れます。

脳梗塞などの脳の病気は,血管が老化して動脈硬化といっ,血管の内壁が固くなって血液が流れにくくなるため,脳内に張りめぐらされている血管内の血液循環が悪くなるのが原因です。

血管の老化は壮年期から増加する傾向にあるため,脳血管障害による高次脳機能障害を発病するのは,おもに高齢者です。





【他の病気による誘発】

脳炎や低酸素脳症などが原因で,高次脳機能障害になることがあります。

低酸素脳症は,脳に酸素が送られないままでいると脳の組織が壊れてしまい,復元できなくなる病気です。誰もが知っている言葉に置き換えれば酸欠です。

酸素なくして脳は活動できず,酸素が不足すると脳の組織は取り返しのつかないダメージを受けてしまうのです。

日頃から脳に十分な酸素を送るように,部屋の換気に気を配り,仕事で疲れたら深呼吸するなどして,体内に十分な酸素を送り込みましょう。




▼参考記事
・高次脳機能障害を負われた方の解決事例
・交通事故のよくある質問
・事故直後・症状固定前から相談可




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故に遭って,気付かないうちに高次脳機能障害になっていることもあるのでしょうか?

2017年11月16日
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交通事故に遭って,気付かないうちに高次脳機能障害になっていることもあるのでしょうか?

交通事故に遭い,高次脳機能障害を発症していながら本人や周囲が気付かずにいることがあります。時には発症して半年後にようやく高次脳機能障害とわかる場合もあるのです。




 高次脳機能障害 : 発症〜発見・自覚まで 



◆高次脳機能障害は診断がむずかしい病気


交通事故やスポーツ,仕事中の事故などで頭を強打して発症する高次脳機能障害は,誰にでも突発的に起こりうる病気です。

頭を打つということは,病巣は脳であるわけですが,脳は大脳,中脳,小脳,脳幹その他の部位に分かれており,損傷した部位によって高次脳機能障害の症状が異なります。




ごく軽度の損傷の場合,高次脳機能障害を発症していても発見がむずかしい可能性があります。

しかし,事故の衝撃は,確実に脳の組織にダメージを与えており,脳の組織は再生しないため,健康な状態の脳に戻ることは不可能なのです。







◆見た目は事故前と変わらない,,,でも事故前のような生活ができない





高次脳機能障害は「見た目は健常者と変わらない」という点も,周囲の人の理解を得にくいものにしています。

「事故に遭って入院していたと聞いたけど,退院後は以前と変わらない元気なご様子でよかったですね」などと言われ,家族も本人もそのつもり,,,でも,実は脳の損傷のために,じわじわと異変が起きている可能性があるのです。




病院での生活と,退院後の暮らしを比べてください。

病室では,自分にできないことは看護師さんや病院のスタッフが滞りなく行ってくれます。
入院中,日常生活になにも支障はないと思っていても,実は病院スタッフの手厚いケアあっての賜物だったかもしれません。

退院後,自宅で暮らし,会社で仕事を再開したら・・基本的に自分のことは自分で行わなければなりません。周囲との人間関係構築にも気を使わなければなりませんし,仕事に専念しなければなりません。

やがて気づく違和感・・新しいことを覚えられない,大事な約束を忘れる,同僚と言い争うことが増えた。何も病歴がなければ,単に資質や性格の問題と片付けられてしまうことでしょうが,上記のようなトラブルは,高次脳機能障害が原因とみなすのが自然です。




病気が原因で社会生活に支障を来たしているのに,自分自身で病気に気付かない・・それが,高次脳機能障害の持つ恐い一面です。しかも,自分の言動に違和感を覚え始めるのが,脳に損傷を負ってから半年後という事例もあるのです。

つまり,高次脳機能障害は怪我と病気の因果関係を自覚しにくいということです。
頭部を強打したら,その時は何でもなくても,精密検査を受けることがいかに重要かお分かりいただけると思います。

高次脳機能障害の症状は,頭部強打のほかに統合失調症,アルツハイマー病,パーキンソン病,うつ病,発達障害などでも現れることがあります。

正しい診断を受け,適切な治療で症状を緩和させるためには,高次脳機能障害に詳しい専門員の診断が不可欠です。




▼参考記事
・高次脳機能障害の症状に気付くには,どのようにすればよいですか。
・被害者のご家族から被害者のご様子が事故前と変わったとお話があり,当事務所で高次脳機能障害の検査を推奨し,発症している事が分かり,適正な後遺症等級が認められ解決した事例
・高次脳機能障害と家族の会




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

高次脳機能障害に対する就労支援は,どのようなものがありますか?

2017年11月15日
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高次脳機能障害に対する就労支援は,どのようなものがありますか?

高次脳機能障害になり,もとの職場で働くことが困難な場合,就労支援事業や,就労継続A型・B型などの支援を通じて働くことができます。




 高次脳機能障害 : 就労支援 



◆高次脳機能障害でも働きたい!


交通事故などが原因で,高次脳機能障害を発症すると,対人関係がうまく構築できない,感情の起伏が激しい,最近のできごとを記憶できない,発話が困難になるなどの症状が現れます。

高次脳機能障害の症状は,損傷した脳の部位によって異なるため,上記に挙げた症状をすべて発症することもあれば,それ以外の症状が現れることもあります。

いずれにせよ,このような症状が顕著に現れた場合,一般企業での就労は困難を伴うことは想像に難くありません。




高次脳機能障害の方に典型的な症状の一つに,感情爆発があります。

周囲の空気を読まずに,自分が思っていることをズバッと言ってしまうのです。それが正論ではあっても,周囲の雰囲気とそぐわない言動であれば,あの人は変わっている・・と煙たがられてしまうでしょう。

そのような症状がある場合,高次脳機能障害を発症する前の職場に戻ることは困難といわざるを得ないでしょう。

怪我が治って退院した後,職場復帰を希望してもかなわない失望感は想像して余りあります。かといって,仕事に就かずに家でぶらぶらしていても,社会から自分が阻害されたように思えて精神的に落ち込みがちになります。

仕事に就いて充実した日々を送りたいが,高次脳機能障害のために働く場が見つからないという方に,公的な就労支援について説明いたします。







◆就労移行支援事業


障害者総合支援法(旧 障害者自立支援法)に定められた就労支援事業で,一般企業に就職を希望する高次脳機能障害などの障害がある人に対して,働くために必要な訓練や就職活動の支援などを行って,就労に必要な知識や能力の向上をめざします。

就労移行支援事業の対象になる人は,障害のある人で,一般企業で雇用されることが可能と見込まれる人です。

各地に設立されている就労移行支援事業所で学びながら,スキルアップし,一般企業への就職をゴールとします。

通所型の福祉サービスですが,障害者手帳を持っていなくても,地方自治体の判断または医師の診断などによって,就労移行支援事業所への通所が可能になります。

企業の探し方,ハローワークへの登録などの支援を行うほか,履歴書作成や企業の面接をサポート,就職後も職場に定着するように、企業へ訪問して実習生をサポートします。

なお,就労支援事業所の支援は,おおむね2年間で,その間に就職先を決めるという流れになっています。就労支援事業所に通所する間,賃金は支払われず,収入に応じて規程の料金を納める決まりです。







◆就労継続A型


高次脳機能障害が重度であり,一般企業で働くことが困難な場合は,就労継続A型の支援を検討すると良いでしょう。

就労支援A型では,事業者と障害者が雇用契約を結び,国が定めた最低賃金が支払われます。
社会保険に加入するので,社会的な地位を確立することができます。

就労継続A型に該当するのは,就労移行支援事業を利用したが就職できなかった人,特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが就職できなかった人,企業を離職し,現在雇用関係にない人などです。







◆就労継続B型


就労継続A型の仕事に就くことがむずかしい場合は,就労継続B型で働くことを検討します。

就労継続B型は,雇用契約を結ばないので,社会保険への加入はありません。
労働への対価は,工賃として支払われます。




▼参考記事
・高次脳機能障害の就労支援機関には,どのようなものがありますか?
・社会復帰のために誰に相談すればよいでしょうか?
・交通事故で高次脳機能障害を発症したものの,本人の努力と勤務先の配慮もあり職場復帰をし,将来治療費・労働能力喪失率を認められる形で解決した事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故で高次脳機能障害になった人の日常生活能力の基準は何ですか?

2017年11月14日
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交通事故で高次脳機能障害になった人の日常生活能力の基準は何ですか?

交通事故で高次脳機能障害になった人の日常生活能力の判断基準は,障害年金の申請にあたって提出する精神疾患診断書の,日常生活能力の判定欄で判断します。

具体的にどのような生活能力を判定するのか,解説いたします。





 高次脳機能障害 : 日常生活能力の判断基準 



◆働いていることと,完全な社会復帰は分けて考えよう


交通事故で高次脳機能障害になった方が障害年金の申請をする場合,働いていれば,それだけ日常生活能力があると判断されます。


むろん,事故に遭う前に勤めていた会社で仕事を再開し,立派に職務をこなしている方もいらっしゃるでしょう。

しかし,障害年金の申請をする方は,働いていても違和感を覚えたり,職場の同僚や上司と人間関係をうまく築けず悩んでいるのではないでしょうか?




高次脳機能障害の患者さんにとって,働くことがすなわち社会復帰ではなく,社会復帰のためのトレーニングと考えた方が良い場合もあります。

仕事を持ち,働いていたら障害年金を受け取る資格はないとあきらめることはありません。

完全に社会復帰するためのリハビリテーションとして,現在の仕事を行っているならば,高次脳機能障害であるがゆえの精神疾患を理由に,障害年金を申請できます。







◆診断のかなめ 日常生活能力とは?


障害年金の申請にあたって提出する精神疾患診断書には,日常生活能力の判定欄があります。
具体的にどのような生活能力を判定するのか,解説いたします。


以下の診断項目は,いずれも「助言や指導がなくてもできる」,「時には助言や指導が必要である」,「一人ではできないが助言や指導があればできる」,「助言や指導があってもできない」といったランクで障害の程度を判断します。


【適切な食事ができるかどうかをチェック】

与えられた食事を食べるだけでなく,配膳などの準備ができる,適切な量を摂る,バランスの良い食事を摂れるなどの点を審査します。

【身体や身の周りを清潔に保持できるか?】
洗面や入浴,洗髪などを自分で行って身体を清潔に保ち,着替えができ,自分の部屋の片づけや掃除ができるかどうかを審査します。

【他人と意思の伝達ができるか,集団行動ができるかなどをチェック】

【規則的に通院や服薬を行っているか,自分の病状等を主治医に伝えることができるかをチェック】

【金銭管理と買い物が適切かをチェック】
自分でお金を適切に管理してやりくりがほぼできるかどうかを審査します。
買い物に関しては,一人で買い物ができ,かつ計画的に買い物ができるかどうかが審査のポイントです。

【社会性についてチェック】
たとえば,公共施設を一人で利用できるか,社会生活に必要な手続きを一人でできるかなどが審査されます。

【身辺の安全を保ち,危機に直面した時は状況に応じて対応できるかがチェック】
たとえば,危険を感じた時に周囲の人に援助を求めるなどの対応も審査の対象です。


なお,この欄に記述された内容だけを根拠に,障害年金の申し立てが受理もしくは不受理になることはありません。

▼参考
http://www.nenkin-seisin.jp/14068510572378




▼参考記事
・自賠責における高次脳機能障害認定の入口の3要件
・高次脳機能障害について
・高次脳機能障害と相談




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)


交通事故による高次脳機能障害で,障害年金を申請する際に注意すべきことは何かありますか?

2017年11月13日
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交通事故による高次脳機能障害で,障害年金を申請する際に注意すべきことは何かありますか?

交通事故で高次脳機能障害になり障害年金を申請する場合は,日常生活でどのような支障がでているか医師に書面などで伝え,充実した後遺障害診断書を書いてもらいましょう。




 高次脳機能障害 : 障害年金申請手続き 



◆障害年金の申請はむずかしい?



障害年金の申請は手続きが複雑で,ようやく書類を提出しても不受理の場合も多いと言われています。

なぜ,障害年金は受給がむずかしいと思われがちなのでしょうか?

障害年金受給資格の審査は,ほぼ書類のみで行われますが,年金の制度が複雑であることと,提出種類が多いこととから,申し立てをしても書類が差し戻されることが珍しくありません。また,書類が整って審査をした結果,年金が支給されない事例も比較的多いのです。

つまり,年金制度の複雑さ,提出する書類の煩雑さゆえに障害年金の申請は敷居が高いと思われがちなのです。




実際に,交通事故で高次脳機能障害になった方およびそのご家族で,障害年金の申請をためらっている方も多いのではないでしょうか?

さらに高次脳機能障害の場合は,障害年金を受給する理由が精神障害であるということも,年金受給の敷居を高くしています。

事故に遭うまでは普通の生活をしていた家族が,たとえ高次脳機能障害という病気のせいではあっても,精神障害者であると認めたくないという気持ちも理解できます。

しかし,障害年金は国が制定した公的年金制度であり,生涯に渡って受けとることができるのですから,高次脳機能障害で受給資格がある方は,年金申請の手続きを行いましょう。







◆診断書作成は入念に


高次脳機能障害の人が障害年金を受給する場合,その根拠は「症状性を含む器質性精神障害」と認定されたということです。

なんとなくわかったようなわからないような表現ですが,精神疾患はどの程度の障害があるか,IQ(知能指数)を除いては数値などで客観的に判断できません。




そこで,高次脳機能障害の人の障害年金の審査にあたって,認定するかどうかの判断にもっとも大きな影響を与えるのが診断書です。

診断書の裏面には,「日常生活能力の判定欄」と,「日常生活能力の程度欄」があります。むろん,障害年金の申請者やその家族が書くのではなく、医師が記入します。しかし,主治医であれ,精神疾患の専門医であれ,患者さんの日常のふるまいをことこまかに観察しているわけではありません。




そこで重要なのは,家族による意見書の提出です。

感情的にならず,日常生活でどのような行動を取っているかを客観的に書面にしたため,提出しましょう。
食事は適切に摂っているか,気候に応じて適切な衣服を選び,身の周りを清潔に保っているか,家族と意思の疎通ができるか,感情の起伏,危険を回避できるなどについて,医師に書面で伝えます。

私たちは,日頃歯を磨く,顔を洗うなど,何の苦労もせずに何気なく日常の動作をこなしていますが,高次脳機能障害の人にとっては,それらの事ができない,もしくは本人ができていると思っていても,はたから見るとまったく違う動作になっていることがあります。

そのような日常生活の能力について,もっとも良く知っているのは家族です。
診断書の作成にあたっては,高次脳機能障害の人の日常を良く観察して,診断書を書く医師に正しく伝えてください。




▼参考記事
・医師などの外部専門家との連携体制充実 〜障害年金に特化した社会保険労務士との連携〜
・兼業主婦が高次脳機能障害になり,保険会社提示額0円から7600万円獲得した事例 〜高次脳機能障害の専門医をご紹介〜
・弁護士が本音で本当のことを書いた事務所の選び方




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故に遭い,後遺障害になりました。障害年金とはなんですか?

2017年11月10日
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交通事故に遭い,後遺障害になりました。障害年金とはなんですか?

交通事故で高次脳機能障害になった場合,障害の程度によって障害年金が支給されます。発症時に加入していた年金の相談窓口に問い合わせましょう。




 高次脳機能障害 : 障害年金 



◆障害年金について知ろう


交通事故で頭部を強打したことが原因で発症する高次脳機能障害は,完治しない病気,すなわち生涯に渡り後遺症が残る病気なので,医療費や介護費用の負担が患者さんに重くのしかかります。

事故の被害者だった場合,加害者に損害賠償金を請求し,そのお金を医療費に充てることが考えられます。

症状によっては,後遺障害等級を申請し,申請が認められれば,等級に応じた保険金を受け取ることができます。




ところで,もう一つ,高次脳機能障害の人が公的な支援金を受け取る方法があるのをご存知ですか?

それは,障害年金です。

年金というと,高齢者向けの給付金というイメージがあるので,家族が高次脳機能障害を発症しても,障害年金の受給資格があるかどうか調べずに,受給しない人がいるのは残念です。

では,どのような場合に高次脳機能障害の患者さんが障害年金を受け取れるか,解説します。










◆障害年金を受給できる条件


怪我をして高次脳機能障害を発症してから1年半が経過した時点で,障害等級1級から3級までの障害がある場合,「精神障害」を理由に障害年金を受給する資格があります。

障害等級による受給資格は,発病当時に加入していた年金の種類によって異なります。




【国民年金】

障害等級1級と2級の方に受給資格があります。

年金の種類は「障害基礎年金」で,支給額は平成29年4月に改定されました。
支給年額は,障害基礎年金1級が974,125円,障害基礎年金2級が779,300円 です。

18歳の年度末である3月31日を過ぎていない子どもがいる場合は,子どもの人数に応じて年金が加算されます。子どもに1級または2級に該当する障害がある場合は,20歳まで加算されます。




【厚生年金】

高次脳機能障害を発症した時に厚生年金もしくは共済年金に加入していて,国民年金・厚生年金保険障害等級表1,2,3級に相当する後遺障害傷害が残った場合は,障害基礎年金および障害厚生年金または障害共済年金の対象になります。

なお,障害等級が3級に満たない場合でも「障害手当金」が支給される場合があるので,厚生年金の事務所に問い合わせてください。

また,受傷時に公的年金に加入していなかった20歳未満の人に対する救済制度として,年金未加入でも障害基礎年金の受給資格が認められています。該当する方は,お住まいの市町村役場の国民年金課に問い合わせてください。




障害年金受給開始後に結婚した場合は,配偶者や子どもも年金加算対象となるので,忘れずに申請しましょう。




▼参考記事
・高次脳機能障害と法律事務所Q&A
・高次脳機能障害を負われた方の解決事例
・交通事故ご相談事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故で高次脳機能障害になりました。これからどうやって資料費を払っていけばいいのでしょうか?

2017年10月10日
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交通事故で高次脳機能障害になりました。これからどうやって治療費を払っていけばいいのでしょうか?

高次脳機能障害の治療費が高額になったら,高額療養費助成制度を申請する,後遺障害等級認定を受けて保険金を受け取るなどして生活の糧にしましょう。




 高次脳機能障害 : 治療費負担を軽減する方法 



◆高次脳機能障害にかかる医療費負担を軽減する方法は?


もし難病にかかった時は高額な医療費がかかるから,保険に入っておくと安心といった広告を目にすることがあります。

頭を打つなどして発症する高次脳機能障害は,完治しないといわれる病気ですから,難病と言って良いでしょう。

しかも,治る見込みがないということは,生涯に渡って治療費を払い続けなければならず,病気が原因で仕事を失ったら,どうやって医療費を払えばよいか途方に暮れるのではないかと不安に思われるでしょう。




確かに医療にはお金がかかります。

しかし,安心して下さい。
国の支援制度や保険制度により,患者さんの負担が軽減できる
のです。







◆後遺障害等級を申請する


高次脳機能障害の人の後遺障害等級は,軽度のものから重度のものまで多岐に渡します。




もっとも軽い等級は,通常の労務に服することはできるが,高次脳機能障害のため,多少の障害を残すものを認定する12級12号です。

もっとも重度の等級は,生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが,高次脳機能障害のため,労務に服することができないものとされる3級3号です。

他の部位にも重傷を負い,別の後遺障害等級を申請して認められた場合は,等級併合で3級より上位の等級になる場合もあります。




自賠責保険における後遺障害12級に対する保険金上限は224万円、3級に対する保険金上限は2219万円です。







◆交通事故の被害者の場合は損害賠償金を請求する


自賠責保険や労災保険の保険金は,後遺障害等級に基づいて金額が厳密に決まっていますが事故の加害者に請求する損害賠償金は,話し合いによって金額が変わります。

すなわち,交渉によって金額が多くもなれば少なくもなるということです。




これから高次脳機能障害に関する医療費を払っていくことを踏まえれば,十分な賠償金を得たいと思うのは当然であり,交渉を順当に進めるためにも,弁護士を代理人に指定して話し合いをすることをお勧めします。







◆高額療養費助成制度・限度額適用認定の適用を受ける


高次脳機能障害の治療のために,高額な医療費を払った場合は,高額療養費助成制度を申請できます。


限度額までは自己負担で,限度額を超えて医療費を支払った場合は,限度額適用認定を受けて助成金を受け取れます。
所得によって助成の内容が異なるので,お住まいの市町村にお問い合わせください。







◆傷病手当金を申請する


高次脳機能障害を発病したために会社を休んだが,事業主から十分な報酬が支払われなかった場合は,傷病手当金の支給を申請できます。

支給期間は1年半で,3日間連続して休んだ上で,4日目以降の休んだ日に対して支給されます。




▼参考記事
・入通院慰謝料
・入院2か月,通院1年の高次脳機能障害のご依頼者様が,保険会社提示金約660万円から弁護士介入で約2840万円を獲得した解決事例

・後遺障害等級について







(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故で高次脳機能障害を発症し,職場復帰が困難になりました。職探しはどのようにしたらよいでしょうか?

2017年10月06日
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交通事故で高次脳機能障害を発症し,職場復帰が困難になりました。職探しはどのようにしたらよいでしょうか?

高次脳機能障害が原因で職場復帰できなかったら,障害者就労支援センターなどで職探しができます。




 高次脳機能障害 : 職場復帰と職探し 



◆もとの仕事に戻りたいのに戻れなかったら?


高次脳機能障害は,交通事故などで頭部を強く打ったり脳内出血により,脳の組織の一部が壊れて起こる病気です。

人間の知能,感情,意識,行動などは,すべて脳がコントロールしていますから,脳の一部が少し壊れただけでも,その人の性格やものの考え方,五感などに変化が現れます。




日常生活を送るのに差支えない程度の軽度な脳の損傷なら,発病する前に就いていた仕事に戻ることが可能かもしれません。

むしろ,患者さん本人が,もうすっかりもと通り元気になった,この程度の後遺症なら十分働けるなど,自分の健康状態に自信を持って退院することも多いのです。




しかし,患者さん本人が気が付いていないことが良くありますが,高次脳機能障害の人は,短期記憶といって最近のものごとを覚えられなくなることがあり,仕事で重大なミスをする危険をはらんでいるのです。

対人関係を構築するのが苦手になる場合もあります。
いわゆる空気を読まない性格になり,相手が上司であろうと得意先であろうと,言いたいことをズバズバ言って嫌われてしまいます。

そうなると,仕事を続けることはもはや困難,違った働き場所を探さざるを得なくなります。仕事をする理由は,むろん対価として報酬を得るということがありますが,それ以外に,社会とつながることができるというメリットもあります。

仕事に復帰できないからといって家に閉じこもっていたら,気持ちも滅入りますし,自分自身の存在価値を見出せなくなってふさぎ込むかもしれません。

高次脳機能障害を発症したために,以前の職場で仕事を再開できなくても,新たな仕事を見つけてみませんか?
そのための支援制度が用意されています。










◆障害者の就労をサポートする機関を利用しよう


仕事探しというとハローワークを思い浮かべる人も多いでしょうが,高次脳機能障害の人が仕事を探す場合は,後遺障害に理解があり,積極的に支援をしてくれる他の機関があります。

支援機関は,地方自治体によって名称が異なりますが,障害者就労支援室,障害者就労支援センター,障害者就労促進協会,障害者就労・生活支援センターなどの名称で活動を行っています。




これらの機関で求職活動を行う利点は,高次脳機能障害に理解のある担当者が話を聞いてくれることです。

高次脳機能障害は,その人ごとに症状が異なるので,相談者を理解して,就労可能な職場を探すことを手伝ってくれます。




▼参考記事
・高次脳機能障害の就労支援機関にはどのようなものがありますか。
・社会復帰のために誰に相談すればよいでしょうか。
・仕事を再度始めたいと考えていますが,どのように始めればよいですか。




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

息子が交通事故に遭い,高次脳機能障害になりました。看護する家族側を支援する制度はありますか?

2017年10月05日
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息子が交通事故に遭い,高次脳機能障害になりました。看護する家族側を支援する制度はありますか?

高次脳機能障害の家族の看護に疲れたら,レスパイトケアと呼ばれる短期入院サービスを利用して家族がリフレッシュすることを考えみませんか?




 高次脳機能障害 : 看護する家族の休息 



◆高次脳機能障害は本人も家族も大変


交通事故などが原因で高次脳機能障害を発症した場合,一番つらいのは病気をわずらう本人ですが,それにおとらず家族も大変な思いをします。

というのは,患者さん本人が病気であることを自覚しないことがありがちなのです。

病気を自覚していないにもかかわらず,以前と同じ動作ができない,知見も低い,言動がおかしい,感情の起伏が激しくなる,家族に暴言を吐く・・たとえ病気が原因であるとはいえ,退院後,以前とは違う家族の姿に困惑し,世話をするのは,並大抵のことではありません。

しかも,高次脳機能障害は完治が望めない病気なので,いったん家族が発病したら,一生その世話をし続けなければならず,家族の感じる重圧感は相当なものでしょう。







◆レスパイトで元気を取り戻そう


このように,家族が大きな負担を強いられて疲労を蓄積させていくことは,重い病気だけでなく,介護,育児などの分野でもよくあることです。

そこで,最近になって,医療の分野では「レスパイトケア」という考え方が定着し始めました。レスパイト(respite)とは、英語で休息という意味です。

乳幼児や高齢者,障害者などを自宅でケアしている家族が休みを取ってリフレッシュするのがレスパイトケアです。




考えてみてください!
高次脳機能障害の家族は,365日後遺症のある家族の面倒を見なければならず,息抜きをする暇がないのです。

しかし,レスパイトケアをするには,高次脳機能障害の患者さんをいずれかの施設に預けなければなりません。単なるホテルへの宿泊では,万一のときに医療サービスを受けられず心配ですし,全額個人負担で費用もかさみます。

レスパイトケアを提供している医療機関は,使用できる日数に上限を設けていますが,健康保険や介護保険の利用が可能なため,低額でサービスを利用できます。

レスパイトケアは,1〜2泊と短期間であり,すぐ家に戻って来られることを患者さんに理解してもらうよう努めましょう。なぜ患者さんが短期入所することになるのか,本人が納得すれば,レスパイトケアは成功と言って良いでしょう。




患者さん自身にとっても,毎日家で単調な暮らしをしていたところ,短期入所によって生活に変化が訪れたことが良い刺激になる場合もあります。レスパイトケアは,障害者支援施設などが積極的に行っています。




高次脳機能障害の家族との暮らしにちょっと疲れたら,レスパイトケアの利用を考えてみるのも良いのではないでしょうか?




▼参考記事
・高次脳機能障害者の家族を支援する制度にはどのようなものがありますか。
・高次脳機能障害と家族の会
・高次脳機能障害を負われた方の解決事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)
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