カテゴリー: 過失相殺

交通事故後の症状で歩行困難となっていましたが,治療中,階段で転んで落ちてしまい,怪我が重くなってしまいました。この場合,賠償はどうなりますか? 転倒したのが治療終了後のときと違いはありますか?

2017年09月22日
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交通事故後の症状で歩行困難となっていましたが,治療中,階段で転んで落ちてしまい,怪我が重くなってしまいました。この場合,賠償はどうなりますか? 転倒したのが治療終了後のときと違いはありますか?




治療中の転倒によって損害が拡大したとき,@事故との因果関係がない,またはA結果発生について被害者にも過失があったという理由で,転倒によって拡大した損害について賠償されなかったり,賠償金額が減らされたりする可能性があります。

治療終了後に転倒した場合,転倒による傷害は事故との因果関係が否定されるので賠償を受けることができませんが,相手に対する請求が減額されることはありません。




 過失相殺 (治療中,治療後) 



◆被害者側に過失があったら「過失相殺」される



交通事故の被害者は,加害者に対して賠償金の支払いを請求することができますが,必ずしも全額の支払をしてもらえるとは限りません。




交通事故には「過失相殺」という考え方があるためです。

過失相殺とは,損害の発生について被害者側に責任がある場合には,被害者の責任部分については請求金額を減額する,という考え方です。

過失相殺をするとき,通常は交通事故状況にもとづいて被害者と加害者双方の過失割合を決めて,自分の過失割合の分だけ損害額を減額することとなります。







◆治療中に悪化させる行為があっても,過失相殺の対象となる


過失相殺が行われるのは,事故時に過失があった場合だけではありません。

もともと,自分に責任のある被害者にはその分の負担をさせようという考え方ですから,事故後に被害者が損害を拡大させたときにも,同じように考えられることになります。

そこで,事故後の治療中,被害者の行動によって症状が悪化し,治療が長びいた場合には,被害者の過失が認められて過失相殺が行われ,相手に請求できる金額が減額されることがあります。

また,このように被害者の行動が介在した場合,事故と発生した損害との間の因果関係が否定されてしまう可能性もあります。




本件のご相談者の場合,転倒した状況にもよりますが,ご相談者様の不注意によって転倒して損害が拡大したのであれば,拡大した損害について過失相殺によって,賠償金額が減額される可能性がありますし,事故との因果関係がないとして賠償されないこともありえます。







◆治療後の事故の場合


それでは,もし治療終了(症状固定)後に転倒した場合であれば,異なってくるのでしょうか?

交通事故の治療費や入通院慰謝料などの賠償金は,原則として,症状固定時までの分が支払われます。
症状固定後の治療費は交通事故とは無関係なものと評価されますし,症状固定後の入通院については慰謝料も認められません。

そこで,治療終了後に転倒されたとしても,それについての損害は交通事故の損害と別扱いになりますから,相手に対して賠償請求することは基本的にできません。治療終了後の転倒事故は,交通事故とは因果関係がないということになります。




以上のように,交通事故には一般には分かりにくい色々な問題があります。また,一般論が常に妥当するとも限りません。悩んだときには、弁護士に相談してみましょう。




▼参考記事
・交通事故の過失相殺とは
・過失相殺で,当事務所の主張を立証し,解決金額が2倍になった交通事故解決事例
・過失割合について納得がいかないのですが,どうすればよいですか




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故に遭う前から既往症がありました。このような場合,過失相殺されるのでしょうか?

2017年07月14日
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交通事故に遭う前から既往症がありました。このような場合,過失相殺されるのでしょうか?

既往症の内容や程度によっては,過失相殺と同様の考え方によって賠償金額が減額される可能性があります。




 既往症と過失殺傷 


◆既往症とは



交通事故被害者が怪我をすると,慰謝料をはじめとした損害賠償金を加害者に請求することができます。

ただし,被害者に既往症がある場合には,その既往症が考慮されることがあります。

既往症とは,被害者がもともと持っていた症状や持病のことです。

たとえば,もともとヘルニアの症状があった人が交通事故に遭ってむちうちになった場合,既往症による影響があったのではないかが問題になります。

この場合,被害者の既往症によって症状が悪化しているのであれば,満額の賠償金を認めるのは不公平であり,賠償金額を減額すべきではないかということが問題となります。




そして,被害者に既往症があり,交通事故の怪我の症状に影響していると判断されると,賠償金が減額されることもあります。







◆過失相殺と素因減額


被害者に既往症がある場合には,過失相殺と同様の考え方によって賠償金が減額されます。

過失相殺とは,交通事故の被害者に過失がある場合に,その割合によって賠償金を減額することです。たとえば,過失割合が30%の場合には,賠償金額が3割減額されます。

被害者に既往症がある場合,被害者側の事情も加わって損害が発生したという点で過失相殺と同様ですので,過失相殺と同様の考え方により,賠償金を減額します。

このように,既往症を理由として賠償金を減額することを,素因減額といっています。







◆素因減額が認められる事例


それでは,素因減額はどのようなケースで認められるのでしょうか?
この点については,最高裁判所の判例があります。

まず,交通事故被害が発生したときに,被害者の疾患の態様や程度などにより,加害者に全部の賠償をさせることが不公平な場合には,過失相殺と同様の考え方で賠償金を減額できるとされています(最判平成4年6月25日)。

一方,被害者が平均的な体格や通常の体質とは異なる身体的な特徴を持っていても,それが疾患や一般人とかけ離れた身体的特徴(極端な肥満など)ではなく,単なる身体的特徴にとどまるときは,それを理由に賠償金を減額することはできないとも判断されています(最判平成8年10月29日)。


これらの判例や,さらに他の裁判例もまとめると,被害者に何らかの既往症があり,それが「疾患」等といえるほどのケースにおいては素因減額が行われますが,年齢相応の状態にとどまるときや,そもそも単なる身体的な特徴にとどまるときは,素因減額は行われません。




保険会社と示談交渉をしていると,何らかの身体的特徴があるとすぐに「既往症減額」を主張されることが多いですが,減額すべきではないケースもあります。

減額すべきケースではないのに適正な解決ができなかったという事態を防ぐためには,弁護士に相談してみてください。




▼参考記事
・よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」:医師を味方につけよう!
・交通事故HP:交通事故の過失相殺とは
・交通事故HP:交通事故と弁護士費用のすべて




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

自転車の交通事故の過失割合は,どのような割合になりますか?

2017年03月21日
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自転車の交通事故の過失割合は,どのような割合になりますか?

基本的に自動車同士の交通事故に比べて,自転車側の過失割合が低くなります。




  自転車の交通事故 


◆基本的に自転車の過失割合が少なくなる


交通事故は,自動車同士の事故ばかりではありません。自動車と自転車が当事者となる交通事故が起こることもあります。


交通事故の示談交渉を行う場合には,こうした自動車と自転車の交通事故のケースでも,やはり双方の過失割合を算定しなければなりません。



自動車と自転車の交通事故の過失割合は,自動車同士の事故とは異なる基準で過失割合が認定されます。自動車と自転車の場合、基本的に自動車同士の事故に比べて,自転車側の過失割合が低くなります。

たとえば、信号機のある交差点における直進車同士の出会い頭衝突の事故の場合、自動車同士の事故なら赤信号で交差点に進入した自動車の過失割合が100になりますが、赤信号で交差点に進入したのが自転車だったときは,自動車:自転車=20:80となります。










◆自転車事故の修正要素


自転車事故でも,過失割合の修正要素があります。
これについて,どちらかに著しい過失や重過失があった場合などにその当事者の過失割合が上がることは、自動車同士の交通事故と同じです。



これ以外に,自転車事故には特有の修正要素があります。

まず,自転車は免許制度がないことや,誰でも気軽に乗ることができるので,自動車には乗らない子どもや高齢者などでも運転することがあります。そこで,これらの運転者が事故に遭った場合,自転車側の過失割合が下がります。また,自転車が自転車横断帯や横断歩道を走行していた場合にも,自転車の過失割合が下がります。

逆に,夜間の事故の場合,自動車からは自転車を見つけにくくなるので,自転車の過失割合が上がります。







◆自転車事故の過失割合の例


以上を前提に,自転車事故の過失割合の例を見てみましょう。



信号機が設置されている交差点上の事故で,自転車も自動車も直進して交差点内に入ってきた場合を考えてみます。この場合には,交差点進入時の信号の色によって過失割合が変わります。

自転車が,自動車がの場合=0100
自転車が,自動車がの場合=1090
自転車が,自動車がの場合=6040
自転車が,自動車がの場合=8020

どちらもの場合,自転車:自動車=30:70



以上のように,基本的には自転車の過失割合が低くなっていますが,自転車が信号無視をしている場合(赤や黄色で進入してきた場合)には,自転車の過失割合のほうが上がっていることがわかります。

自転車を運転する場合であっても,くれぐれも信号無視をしないように注意が必要です。




▼参考記事
・解決事例078兼業主婦が14級9号の認定を受け420万円を獲得した事例」

(弁護士法人よつば総合法律事務所  弁護士 佐藤 寿康 )
◆弁護士 佐藤のプロフィール




交通事故でのシートベルト,チャイルドシートと過失相殺

2016年04月12日
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 交通事故の被害者が後部座席のシートベルトやチャイルドシートを装着していなかった場合,加害者に請求することができる損害賠償金にどういう影響を与えますか。
 過失相殺され,賠償額が減額される場合があります。




◆過失相殺
交通事故における損害の発生やその損害の拡大について被害者側にも過失(原因)がある場合,すべての責任を加害者に負わせることは不公平になってしまいますので,被害者側の寄与度すなわち過失の割合に応じて,被害者が加害者に請求できる損害賠償額が減額されることになります。

◆後部座席のシートベルト装着義務
平成19年に道路交通法が改正され,助手席以外の同乗者についても,運転手がシートベルトを装着させる義務が規定されることになりました。この義務は運転手を名宛人としていて,後部座席に座った人が義務を負うものではありません。

◆後部座席のシートベルト不装着の場合の判例の傾向
平成19年の道路交通法改正後からシートベルト不着用が被害者側の過失として認められるようになり,典型的なシートベルト付着用の事案においては,被害者の過失割合が5〜10%の範囲で認められることが多いです。もっとも,後部座席で横になって寝ていた事案や,両下肢麻痺の運動障害があって下肢で自分の体を支えられないのに装着しなかったような事案では,20%の過失が認められています。

◆後部座席のシートベルト不装着でも過失相殺が否定される場合
道路交通法上,疾病,負傷,障害,妊婦中などの理由からシートベルトを装着することが適当でない若しくは著しく肥満しているためにシートベルトを装着することができない者についてはシートベルトの装着義務を免除しています。このような理由で被害者がシートベルトを装着していなかった場合であれば,過失相殺を理由に賠償額を減額されない可能性があります。また,加害者居眠り運転をしていたなど,加害者に著しく大きい過失がある場合にも過失相殺が否定されることがあります。

◆チャイルドシートの装着義務
平成11年に道路交通法が改正され,運転手にチャイルドシートを装着することが義務付けられました。この義務も後部座席のシートベルトと同様運転手の義務となっています。

◆チャイルドシート不装着の場合の判例の傾向
チャイルドシート不装着の事案においては,装着するのが幼児であり,幼児自身には過失を観念することはできませんので,チャイルドシートを使用しなかった父母の過失として評価されることになります。判例の傾向としては,5〜10%の過失を認めることが多いです。

◆助手席との比較
一般的な事案では,助手席でのシートベルトの不装着の事案における被害者の過失割合は5〜20%とされていることが多く,後部座席の事案に比べて高くなっています。これは,後部座席のシートベルトの装着が助手席に比べていまだ普及していないという現状によるもので,これから後部座席のシートベルト不装着の事案における過失割合は上昇する可能性がありますので,車に乗る際は,後部座席であってもシートベルトを着用するように心がけましょう。

(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 加藤貴紀)

プロフィール
弁護士法人よつば総合法律事務所
地域最大級の弁護士14名が所属しております。事務所名の「よつば」は事務所に関わる人が皆幸せになるようにとの思いから名付けました。お気軽にご相談ください。
柏事務所:千葉県柏市(柏駅徒歩3分)
千葉事務所:千葉市(千葉駅徒歩3分)

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