カテゴリー: 慰謝料

交通事故の被害があったとき,家族に対する慰謝料は認められますか?

2017年10月18日
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交通事故の被害があったとき,家族に対する慰謝料は認められますか?

被害者が死亡した場合や重大な後遺障害が残った場合には,遺族に慰謝料が認められる可能性があります。




 近親者の慰謝料 



◆被害者が死亡した場合の近親者の慰謝料


(1)配偶者と親子

交通事故で被害者が死亡した場合,死亡した被害者本人には死亡慰謝料が発生します。

ただ,被害者に遺族がいる場合,遺族も精神的苦痛を被るものです。

そこで,民法では,不法行為によって被害者が死亡したときには,近親者も固有の慰謝料請求をすることができると定めています(民法711条)条文上は,被害者の配偶者と親,子どもに近親者固有の慰謝料請求権が認められています。

そこで,死亡事故の場合,これらの遺族がいたら,遺族が相手に対し,慰謝料請求することができます。




(2)祖父母や兄弟姉妹,内縁の妻など

それでは,民法711条に記載されていない親族は,慰謝料請求をすることはできないのでしょうか?

この点,一定の親族については,慰謝料請求が認められる場合があります。

具体的には,内縁の配偶者や祖父母,兄弟姉妹などに固有の慰謝料が認められた例があります。被害者が死亡したとき,これらの者に精神的苦痛が発生することはないなどといえるはずがありません。

ただ,民法711条の条文に記載されている以外の親族については,必ず慰謝料が認められるというわけではありません。

たとえば,祖父母が,孫が交通事故に遭うところを間近で見ていたなど,精神的苦痛が大きいと考えられる事案においては慰謝料が認められやすくなります。







◆被害者に重大な後遺障害が残った場合の近親者の慰謝料


次に,被害者が死亡しなかった場合にも,家族に慰謝料が認められるのかどうかを考えてみましょう。
法律の条文では,親族の固有の慰謝料が認められているのは,民法711条の「被害者が死亡した場合」のみです。

ただ,被害者に重大な後遺障害が残った場合には,家族も多大な精神的苦痛を被るものです。
たとえば,子どもが交通事故で意識不明になり,遷延性意識障害になったケースなどがあります。

このように,被害者が重大な傷害を負い,被害者が死亡したのと同じくらいの精神的苦痛を被ったと考えられる場合には,民法711条を類推して,近親者にも固有の慰謝料が認められると考えられています(最高裁判所昭和33年8月5日判決)。




近親者の慰謝料請求が認められるのは,要介護の1級,2級の重大な後遺障害が残ったケースが多いですが,それには限りません。それ以外の後遺障害が認定されたときにも近親者の固有の慰謝料が認められたケースがあります。

以上のように家族にも慰謝料が認められる可能性があります。弁護士に相談してみてください。




▼参考記事
・交通事故で被害者が死亡。交渉の結果,残されたご家族の慰謝料も一部認められた解決事例
・交通事故で被害者に重度の後遺障害が残り,当事務所が遺族の気持ちを記載した書面を裁判所に提出し,ご家族の慰謝料が認められた解決事例
・被害に遭われた方々の将来を考える(よつば交通事故への想いとこだわり)




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故の被害に遭い,遷延性意識障害で別表第一の介護を要する後遺障害に認定されました。示談交渉をしていましたが,示談前に事故とは別の原因で被害者が死亡してしまいました。将来治療費や将来介護費についても交渉していたのですが,これらはどうなりますか?

2017年10月17日
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交通事故の被害に遭い,遷延性意識障害で別表第一の介護を要する後遺障害に認定されました。

示談交渉をしていましたが,示談前に事故とは別の原因で被害者が死亡してしまいました。将来治療費や将来介護費についても交渉していたのですが,これらはどうなりますか?




将来治療費や将来介護費用については,死亡時までの分に限定されることになります。




 将来治療費・将来介護費 



◆将来治療費が認められる場合


後遺障害が残った場合,そもそも症状固定後の治療費(将来治療費)を請求できるのかが問題となります。


交通事故が原因でかかった治療費は,症状固定までの分が認められるのが通例です。原則として,症状固定後の将来治療費については,賠償の対象となりません。




ただし,例外もあります。
症状固定後も症状の悪化の防止のために治療やリハビリの継続の必要性が認められるときは,その医療費は賠償の対象となります。治療を継続しないと症状が悪化してしまうケースなどで,将来治療費が認められます。

遷延性意識障害の場合にも,こうした必要性が認められたら将来治療費は損害として認められます。







◆将来介護費用の原則的な算定方法


遷延性意識障害になると,自分では日常生活に必要な行動をすることができなくなるので,介護が必要となります。示談成立後もずっと介護が必要ですから,将来介護費用は賠償の対象となります。

このとき,基本的には症状固定時の年齢を基準として,平均余命までの将来介護費の計算をするのが通例です。







◆示談前に死亡した場合の将来治療費と将来介護費用


それでは,示談前に被害者が死亡した場合,将来の治療費や将来介護費用はどのように考えるのでしょうか?

これらについては,死亡時までの分しか認められなくなります。




まず将来介護費用について述べますと,死亡時までの分しか認められないとした最高裁判所の判決があります(平成11年12月20日)。

将来介護費用は,被害者を介護することによって実際に発生する費用(積極損害といいます。)です。
被害者が死亡すると,支払が不要になるものだからです。実際に支払をしない費用を被害者や被害者の相続人に支払うと,被害者やその遺族に根拠のない利得を与えることになることが指摘されています。


次に将来治療費ですが,やはり積極損害です。将来介護費と同様の考え方になります。




以上のように,将来治療費や将来介護費用は,実際に支払が必要になる積極損害なので,死亡時までの分しか認められません。消極損害である後遺障害逸失利益が就労可能年齢の分まで認められるのと取扱いが異なっています。




▼参考記事
・将来の介護費について
・症状固定後の治療費について
・交通事故で重度の障害を負われた方の将来介護費について,弁護士2名体制でサポートし,裁判を行わず高水準で解決できた事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故の示談成立後に,痛みが酷くなりました。示談のやり直しはできますか?

2017年08月28日
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交通事故の示談成立後に,痛みが酷くなりました。示談のやり直しはできますか?

単純に痛みが酷くなったというだけではやり直しができない可能性が高いです。示談時には予想できなかった後遺障害が現れた場合には,示談のやり直しをすることができます。




 示談のやり直し 


◆示談によって損害賠償金が確定する


交通事故でけがをしたら,加害者の保険会社と示談交渉をします。

話合いによってお互いが合意できたら,示談書(免責証書ということが多いです。)を作成
します。


交通事故の示談とは,交通事故の損害賠償金の支払について,お互いが話し合って決めること
です。そのため,示談が成立したということは,解決方法についてお互いが納得したということを意味します。


示談は,一種の契約
のようなものですから,示談が成立すると,お互いはその内容に拘束されます。そこで,いったん示談が成立すると,損害賠償金は,示談の内容によって確定されます。

その後,別に支払をしてほしいと言っても,認められないことになるのが原則です。







◆示談時に予想していなかった後遺障害が現れた場合


しかし,交通事故の後遺症は,早い段階で現れるものばかりではありません。ときには,示談成立後,新たに後遺障害が明らかになることもあります。

その場合には,その後遺障害についての賠償金を支払を受けられる可能性があります。
この点,判例は,下記のように判断しています。

「交通事故によるすべての損害を把握することが難しい場合において,早急に,小額の賠償金で示談が行われた場合,示談の当時に予想できなかった後遺症については,後に損害賠償請求ができる」(最高裁昭和43年3月15日)。


そこで,示談成立時に予想できなかった後遺障害が後に現れた場合には,示談成立後であってもその分の支払をしてもらえる可能性があります。

ただ,示談時に予想ができたものであれば,たとえ示談後に具体的な痛みが発生したとしても,その分の賠償金請求は難しくなります。







◆後遺障害が起こるかどうかわからない場合の示談の方法


示談時にはすべての損害が明らかにならない場合や,示談後に後遺障害が現れる可能性がある場合には,示談書の記載内容に工夫しておくことをおすすめします。

具体的には,下記のように書いておくと良いです。


「万一,本示談成立日以降において,後遺症が発生した場合,加害者は被害者に対し,本示談内容とは別に,後遺症についての治療費,休業補償,逸失利益,慰謝料などの損害賠償金を支払う」


このことにより,後日後遺障害が明らかになったとき,それについての損害賠償請求が認められやすくなります。

以上のように,交通事故の後遺障害の問題には,いろいろと難しい点があります。
困ったときや対処方法がわからないときには,弁護士に相談しましょう。




▼参考記事
・交通事故問題解決の流れ
・示談交渉のポイント
・短期間で解決した事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故の慰謝料が増額される場合は,どのような場合ですか?

2017年07月13日
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交通事故の慰謝料が増額される場合は,どのような場合ですか?

交通事故で怪我をしたら,相手に対して慰謝料を請求することができます。
交通事故の慰謝料が増額されることはありますが,増額理由はケースによってさまざまです。


また,必ずしも増額されるというものでもありませんし,増額幅も一定ではありません。以下で,どのような場合に増額されることがあるのかを見てみます。





 慰謝料の増額 


◆交通事故の慰謝料には幅がある



交通事故の慰謝料には,入通院慰謝料と後遺障害慰謝料,死亡慰謝料の3種類があります。

@入通院慰謝料とは,交通事故によって入院や通院による治療が必要になったことに対する慰謝料です。
A後遺障害慰謝料とは,事故によって後遺障害が残ったことに対する慰謝料です。
B死亡慰謝料とは,交通事故で死亡したことに対する慰謝料です。



これらの慰謝料には,算定のための基準がありますが,ある程度の幅が設けられています。


たとえば,後遺障害1級の場合の後遺障害慰謝料は,標準額は2800万円となっていますが,2600万円〜3000万円程度の幅があり,事案に応じて適切な金額が適用されます。

死亡という結果や後遺障害等級が共通する場合でも,慰謝料額が一定とは限らないということです。







◆交通事故の慰謝料が増額される要素


それでは,交通事故の慰謝料が増額される要素としては,どのようなものがあるのでしょうか?

(1)流産,中絶したケース
まずは,事故によって流産したり中絶したりしたケースです。
このような場合,母親の受けた精神的苦痛は甚大になることが多いので,母親の慰謝料が増額されやすいです。

(2)退職,廃業したケース
交通事故が原因で働けなくなり,会社員が退職を余儀なくされたり,自営業者が廃業せざるを得なくなったりするケースがあります。このような場合にも慰謝料の増額が認められやすいです。

退職したときの慰謝料増額については(事故によって退職を余儀なくされたかどうかの判断が先にされることになると考えられますが),被害者の年齢や勤続年数などが考慮されます。年齢が高く再就職が難しい場合などには,慰謝料は増額されやすいと考えられます。

会社員の場合には,昇進が遅れたり不可能になったりする場合にも慰謝料が増額されることがあります。自営業者が廃業した場合,年齢が高く再度の起業が難しい場合には慰謝料が高額になりますし,投下資本があったり事業のために借入をしていたりするようなケースでも,慰謝料が高額になる可能性があります。




(3)入学,留学できなくなったケース
さらに,子どもや学生が入学や留学できなくなったケースでも,慰謝料が増額される可能性が高いです。

(4)離婚したケース
交通事故が原因で家族関係が不和になり,離婚せざるを得なくなったケースでも,やはり慰謝料が増額されることがあります。

(5)悪質な加害者
飲酒運転,ひき逃げ,大幅なスピード違反などがあると,慰謝料増額の理由とされることがあります。

(6)危険な状態に陥った
一時生命の危険が生じるようなけがをしたときは,慰謝料増額を検討しなければなりません。




このように,慰謝料が増額される事由にはいろいろありますが,それぞれの事情があっても必ずしも慰謝料が増額されるとは限りませんし,増額される金額も一定ではありません。

慰謝料増額事由があるのに適正な解決ができなかったという事態を防ぐためには,交通事故問題に強い弁護士に相談することが大切です。




▼参考記事
・よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」:慰謝料について増額される場合
・交通事故HP:交通事故と慰謝料のすべて
・解決事例:自営業者が左肩関節痛・左肩関節可動域制限により10級10号の認定を受け,3680万円を獲得した事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故に遭った被害者本人だけではなく,家族の慰謝料が認められる場合はありますか?

2017年07月12日
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交通事故に遭った被害者本人だけではなく,家族の慰謝料が認められる場合はありますか?

家族の慰謝料が認められることはあります。死亡慰謝料の場合に認められやすいですが,重傷のケースでも家族の慰謝料が認められる可能性があります。




 家族の慰謝料 


◆交通事故の慰謝料と家族の精神的苦痛について


交通事故に遭って生命や身体に傷害が発生した場合,被害者本人には慰謝料が発生します。
交通事故の慰謝料は3種類あります。

(1)入通院慰謝料 :交通事故の怪我が原因で,入通院治療をした場合の慰謝料
(2)後遺障害慰謝料:交通事故による怪我が完治せず,後遺障害が残ったことに対する慰謝料
(3)死亡慰謝料  :交通事故が原因で死亡したことに対して,支払われる慰謝料

これら3つの慰謝料は,基本的には被害者本人のものです。
精神的苦痛を被るのは,被害者本人だからというのが,一応の理由です。

ただ,家族も精神的苦痛を被ることはあります。
特に死亡事案では,家族の精神的苦痛が強いので,家族の慰謝料が問題になることが多いです。
このような場合,一定のケースでは家族の慰謝料が認められます。







◆死亡慰謝料と家族の慰謝料


死亡事故の場合には,家族に固有の慰謝料が認められやすいです。

まず,自賠責保険の場合には,明確に家族の慰謝料が認められています。
具体的な金額は,以下になります。

・遺族が1人なら550万円,2人なら650万円,3人なら750万円
・被扶養者がいた場合には,遺族が1人なら750万円,2人なら850万円,3人なら950万円


これに対し,任意保険基準や弁護士・裁判基準の場合には,被害者本人の死亡慰謝料に基本的に家族の慰謝料も含まれると考えられています。

ただ,民法711条は,配偶者と子ども,親には固有の慰謝料を認めているため,配偶者や子ども,親の場合には,固有の慰謝料が認められ,本人の慰謝料とは別途認められるケースがあります。

また,内縁の配偶者や兄弟姉妹の場合にも,固有の慰謝料が認められることが比較的よくあります。







◆重度の後遺障害事案と家族の慰謝料


近親者の固有の慰謝料が認められるのは,基本的には死亡事案のみですが,それにとどまりません。


重度な後遺障害が残ったケースでも,家族が重大な精神的苦痛を被ることが考えられます。



たとえば,被害者の意識が回復しないままの状態になってしまったら,やはり家族は苦しむことになります。
このような場合も,家族の慰謝料が認められる可能性があります。

最高裁判所の判例は,「死亡にも匹敵するような精神的苦痛」を被った場合には,家族も慰謝料を請求しうるとしています。

被害者の意識が回復しないケース,重度な高次脳機能障害になったケース,重度な麻痺が残ったケースなど,家族による介護が必要になる事案で認められやすいです。




家族の慰謝料の金額算定においては,後遺症の等級,被害者の関係や今後予想される介護状況,被害者本人の慰謝料額等が考慮されます。慰謝料の金額としては,被害者本人に認められる慰謝料の10〜30%が目安となっているようです。




▼参考記事
・解決事例:横断歩道上で発生した死亡事故について4400万円の賠償が認められた事例(遺族固有の慰謝料の請求)
・よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」:死亡事故による慰謝料
・交通事故HP:交通事故と慰謝料のすべて




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故に遭い後遺障害等級が認定された場合,慰謝料はいくらもらえるですか?

2017年07月11日
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交通事故に遭い後遺障害等級が認定された場合,慰謝料はいくらもらえるですか?

後遺障害が認定されると,認定された等級によって後遺障害慰謝料の支払を受けることができます。
後遺障害慰謝料は,認められた等級によって金額が変わってきます。また,採用する慰謝料の基準によっても金額が変わってきます。





 後遺障害慰謝料 


◆後遺障害慰謝料とは


交通事故に遭って怪我をした場合,治療を継続しても症状が完治しないことがあります。

その場合,残ってしまった症状のことを,後遺症と呼んでいます。その後遺症が,後遺障害に認定されるかどうかが問題となるわけです。




交通事故で後遺障害が残った場合には,事故の相手に対し,後遺障害慰謝料の支払を請求することができます。後遺障害慰謝料とは,交通事故により後遺障害が残ったことで発生する精神的損害に対する賠償金のことです。

後遺障害慰謝料の金額は,認定された等級によって異なります。後遺障害には重い方から1級〜14級までの等級がありますが,後遺障害慰謝料は,1級の場合に最も高額となり,だんだんと低い金額となって,14級の場合に最も低額となります。










◆等級ごとの後遺障害慰謝料


後遺障害慰謝料の計算基準には,自賠責基準と任意保険基準,弁護士・裁判基準の3種類があります。
自賠責基準の場合には最も低額となり,任意保険基準は中間値,弁護士・裁判基準なら最も高額になります。

以下で,等級ごとで認められる後遺障害慰謝料の金額を確認しましょう。



このように,弁護士・裁判基準を採用すると,他の2つの基準を使う場合よりも大幅に後遺障害慰謝料の金額が上がります。2倍以上になることが多く,3倍以上になっていることもあります。

適正な後遺障害慰謝料を受けとるためには,弁護士・裁判基準を使って計算することが必要であることがわかります。










◆高額な後遺障害慰謝料を受けとる方法


交通事故で後遺障害が残ると,多大な精神的苦痛を被るものです。
お金を支払ってもらっても健康が戻ってくるものではありませんが,せめて適正な慰謝料を受けとることが被害者の救済となります。


交通事故で高額な後遺障害慰謝料を請求するには,弁護士・裁判基準で慰謝料を計算することが必要です。そのためには,弁護士に示談交渉を依頼する必要があります。被害者が自分で示談交渉をすると,任意保険会社は低額な任意保険基準で慰謝料を計算するので,金額を下げられてしまうからです。

交通事故で後遺障害が残ったら,適正な賠償金を受けとるために,交通事故問題に強い弁護士に相談してみてください。




▼参考記事
・交通事故HP:交通事故による後遺障害の解説
・交通事故HP:後遺症(後遺障害)
・解決事例:会社員が腰痛により8級相当の認定を受け1080万円を獲得した事例
・よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」:賠償の大きな要素 慰謝料について




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故で,入通院したことに対する慰謝料はいくらもらえますか?

2017年07月10日
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交通事故で,入通院したことに対する慰謝料はいくらもらえますか?

入通院したことに対する慰謝料を入通院慰謝料といいますが,入通院慰謝料は,入通院期間に応じて計算されます。




 入通院慰謝料 


◆入通院慰謝料とは




交通事故に遭って怪我をすると,入通院による治療が必要になることが多いです。

交通事故によって入通院した場合には,入通院慰謝料という慰謝料が発生します。

入通院慰謝料の金額は,入通院した期間によって変わってきます。入通院期間が長くなればなるほど,慰謝料の金額が上がります。
また,通院期間よりも入院期間の方が慰謝料の金額が高額になることが多いです。







◆入通院慰謝料の計算基準


では,入通院慰謝料は,具体的にどのくらい支払われるのでしょうか?

入通院慰謝料の金額の計算方法には,自賠責基準と任意保険基準,弁護士・裁判基準の3種類があり,それぞれによって計算金額が異なります。以下で,順番に見てみましょう。




【自賠責基準】
自賠責基準による入通院慰謝料は,4200円×治療日数となります。
治療日数は,以下の2つのうち,少ないほうを採用します。


・治療期間
・実通院日数×2


たとえば,治療期間が3ヶ月(90日)の場合,実通院日数が35日であれば,35日×2=70日の方が小さくなるので,こちらが治療日数として採用されます。
このケースで認められる入通院慰謝料の金額は,4200円×70日=294000円となります。







【任意保険基準】
任意保険基準による入通院慰謝料は,任意保険会社によって多少異なりますが,だいたいの相場があります。

入通院の日数に応じて入通院慰謝料が定められていて,入院の方が通院より慰謝料が高額になります。たとえば通院3ヶ月の場合には,多くの場合,378000円となるようです。







【弁護士・裁判基準】
弁護士・裁判基準による入通院慰謝料も,入通院の期間に応じて定められます。
弁護士・裁判基準の場合,むち打ち症で他覚所見がない場合等とそれ以外のケースによって,入通院慰謝料の金額が異なります。




むち打ち症で他覚所見がない場合等のほうが,それ以外のケースよりも入通院慰謝料が低額になります。しかしむち打ち症で他覚所見がない場合等においても,任意保険基準や自賠責基準より高額になります。

治療機関が長くなると慰謝料が高額になりますし,通院期間よりも入院期間のほうが,その期間が同じであれば,慰謝料の金額は上がります。弁護士・裁判基準による入通院慰謝料の金額は,表になってまとまっているので,それを確認して各事案に適用します。




たとえば通院3ヶ月の場合には,むち打ち症で他覚所見がない場合等で53万円,それ以外の場合には73万円となります。自賠責基準では294000円(実通院日数が35日の場合),任意保険基準では378000円だったので,弁護士・裁判基準にすると,大幅に慰謝料の金額が上がっていることがわかります。




交通事故で怪我をして,適正な入通院慰謝料を受けとるためには,弁護士に示談交渉を依頼して弁護士・裁判基準を適用させなければなりません。




▼参考記事
・交通事故HP:交通事故と慰謝料のすべて
・解決事例:相手保険会社と公証して示談金額を大幅に増額した事例(14級9号)
・よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」:賠償の大きな要素 慰謝料について

(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

会社役員が交通事故に遭った場合,役員報酬は賠償してもらえないって本当ですか?

2016年06月24日
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 相手方保険会社に,会社役員が交通事故に遭った場合,役員報酬は逸失利益として賠償しないと言われています。
 労務の対価としての支給部分について具体的に検討します。

【会社役員の役員報酬】


■逸失利益
後遺障害が認定された場合,将来にわたり,労働に支障を来すのものと考えられます。将来就労する際に,交通事故がなければ得られるはずであったのに,事故によって得ることができなくなった利益を逸失利益といいます。逸失利益は,基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間という計算式により求められます。
このうち基礎収入の考え方について役員報酬をどのように算定すべきかが問題となります。

■役員報酬
役員報酬は,定款に定めている場合には,定款の規定により,定めていない場合には株主総会の決議によって一定額が支給されますが(会社法第361条,387条),実際には,株主総会で支払限度額のみを決め,取締役会などに具体的な支払金額を一任することなども多く行われています。
賠償しないという保険会社の主張は,会社の形態によっては役員報酬を自由に決定できる点や,役員報酬が法人税との兼ね合いで多額であるケースがあること,実質的な利益配当部分を含むことなどを根拠としていることが多いです。
利益配当の実質を有する部分や,親族の情誼的に交付される部分,法人税の負担を軽減するための加算部分は,労務としての対価性を有しないから,将来の労務に関する逸失利益はないというものです。

■労務の対価@
当然役員報酬という名目であるからといって,これを一律に基礎収入に参入しないとすべきではありません。逸失利益の趣旨から,当該役員報酬が労務の対価としての性質を有する部分を検討すべきです。
過去の裁判例では,@会社の規模,A当該役員の地位・職務内容,B役員報酬の額,C他の役員・従業員の職務内容と報酬給料額,D事故後の当該報酬の推移などが検討されています。
 
■労務の対価A

例えば,A当該役員が実際の労務を行っていること,それが会社の利益のために必要なことは労務としての対価を有する方向に考えられます。
BC当該役員報酬の額が他の同程度の職務内容の役員従業員の報酬給料と照らして著しく高額でないことは労務としての対価を有する方向に考えられます。
D事故後に役員報酬が減額していることは労務としての対価を有する方向に考えられます。
以上のような観点から,当該役員報酬が労務としての対価としての性質を有する部分を具体的に検討すべきです。

■裁判例
実際の裁判例では,役員報酬のうち労務としての対価性がある部分をその何%としたり,賃金センサスを参照したり,同程度の職務内容の従業員の給料と同額としたものなどもあります。

■証拠となる資料
労務対価性の証拠となる資料は,確定申告書や会社の決算書類,株主総会議事録,当該役員の職務内容についての陳述書などが考えられます。

■まとめ
交通事故は,役員報酬が逸失利益として認められるか否かによって,賠償金額も大きく変わってきます。
一度は専門家に資料を検討してもらうことをお勧めします。

(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 粟津 正博)

傷害慰謝料の基準の変更(赤い本2016年)

2016年04月28日
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 2016年の赤い本で傷害慰謝料の基準はどのように変わりましたか。
 傷害慰謝料基準の別表T,別表Uの表現が変更となっています。

◆別表Tについて
従来の基準は,「通院が長期にわたり,かつ不規則である場合には実日数の3.5倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることがある」という基準でした。2016年の赤い本では「傷害慰謝料については,原則として入通院期間を基礎として別表Tを使用する。通院が長期にわたる場合は,症状,治療内容,通院頻度を踏まえて実通院日数の3.5倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることもある。」と変更されました。

◆別表Tの変更のポイント@
症状・治療内容・通院頻度という要素を実質的に考慮して判断をすることが明示されました。今までも,交渉・裁判等では症状・治療内容・通院頻度を加味した判断がなされてきていますので,その内容を明記したものとなります。

◆別表Tの変更のポイントA
「目安とすることがある」を「目安とすることもある」と変更しています。3.5倍の基準は例外的な基準であることをより明確にしたものと考えられます。

◆別表Tの変更のポイントB
「不規則」という表現を削除しています。不規則という表現の持つ意味があいまいであるために削除したものと考えられます。

◆別表Uについて
従来の基準は,「むち打ち症で他覚所見がない場合には別表Uを使用する。この場合,慰謝料算定のための通院期間は,その期間を限度として,実治療日数の3倍程度を目安とする」という基準でした。2016年の赤い本では,「むち打ち症で他覚所見がない場合等は入通院期間を基礎として別表Uを使用する。通院が長期にわたる場合は,症状,治療内容,通院頻度を踏まえ,実通院日数の3倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることもある。」と変更されました。

◆別表Uの変更のポイント@
むちうち症で他覚所見がない場合「等」という表現に変更となりました。軽度の挫傷・打撲などの場合にはむち打ち症でない場合であったとしても別表Uが使用される確率が高くなります。

◆別表Uの変更のポイントA
原則は通院期間という点がより重視されました。3倍の基準を使用するのは「通院が長期にわたる場合」との限定がされています。また,3倍という基準を「目安とすることもある」と記載して,3倍という基準が例外的であることを示しています。

◆変更についてのまとめ


  • 原則は入通院の期間があることがより強調されています。3.5倍,3倍の基準は例外的な扱いであることがより明確になっています。

  • 打撲・挫傷など,これまで「むちうちで他覚所見がない場合」に明確に当たらなかったような事案であったとしても,今後は別表Tではなく,別表Uを利用することになる機会が多くなるでしょう。



(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)
プロフィール
弁護士法人よつば総合法律事務所
地域最大級の弁護士14名が所属しております。事務所名の「よつば」は事務所に関わる人が皆幸せになるようにとの思いから名付けました。お気軽にご相談ください。
柏事務所:千葉県柏市(柏駅徒歩3分)
千葉事務所:千葉市(千葉駅徒歩3分)

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