カテゴリー: 休業損害

妻が交通事故に遭い,入院しました。私は,仕事を休んで病院で妻の付添いをしました。私の減収に関し,休業損害の賠償を受けることはできますか?

2017年10月11日
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妻が交通事故に遭い,入院しました。私は,仕事を休んで病院で妻の付添いをしました。私の減収に関し,休業損害の賠償を受けることはできますか?

この場合,付添看護費用と休業損害のどちらか高い方が支払われます。ただし,休業損害が支払われる場合には,職業付添人費用が限度となります。付添看護の必要性が認められることが前提です。




 近親者の付添看護:休業損害 



◆入院付添費用について


交通事故に遭い,被害者が負傷したとき,入院治療が必要になることも多いです。

この場合,誰かが付添看護を行う必要性があり,実際に付添看護がなされることがあります。

このときに付添看護をするのは,近親者やプロの付添看護人です。すると,付添看護費用が発生します。また,近親者が仕事を休んで付添看護を行った場合には,その休業損害が問題となります。




近親者が仕事を休んで付添看護をしたら,付添看護費用と休業損害の両方を請求することができるのでしょうか?

この点,両方を受けとることは難しいです。

法律的な考え方では,近親者が仕事を休んで付添看護を行った場合,「休業損害の金額と,近親者の付添看護費用のどちらか高い方によって賠償を行うべき」とされているためです。

そこで,ご相談のケースでは,休業損害の方が付添看護費用より高額であれば,休業損害が賠償の対象となります。







◆職業付添人の実費程度が上限


近親者が付添看護を行う場合の入院付添看護費用は,1日6500円程度です。

それでは,近親者の休業損害がどれだけ高額でも,1日6500円を超える限り,賠償の対象となるものなのでしょうか?

付添人の休業損害には上限が設けられています。




具体的には,職業付添人を雇った場合の一般的な実費相当額が上限とされています。
それを超える場合には,職業付添人を雇い,近親者は仕事を行った方が良いと考えられるためです。

そこで,本件でも,近親者の収入が高額で,1日あたりの基礎収入が高額になると,休業損害の全額の支払いを受けられなくなる可能性があります。







◆職業付添人による代替ができないケース


一般的な事案では,休業損害の金額が一般的な職業付添人の実費の金額を超えて認められることはありません。

しかし,近親者による付添が必須で,職業付添人による代替が不可能な場合には,「職業付添人を雇って近親者は仕事に行った方が良い」という前提が崩れます。

たとえば,子どもが被害者となって重度の傷害を負った場合で,親による入院付添看護が不可欠なケースが考えられます。そこで,そのような場合には,たとえ高額になっても近親者の休業損害が全額認められることがあります。




以上のように,近親者が付添看護をしたときの休業損害は,ケースによって計算方法を検討する必要があります。弁護士に相談してみてください。




▼参考記事
・交通事故の知識「通院』付添費」
・主婦の入通院付添費は,どのように計算されますか?
・当事務所の解決事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

会社役員をしていますが,会社役員でも休業損害は補償されますか?

2017年07月03日
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会社役員をしていますが,会社役員でも休業損害は補償されますか?

会社役員でも休業損害が補償されることは多いですが、その金額や計算方法は事案によって異なります。




 会社役員 休業損害 


◆会社役員には休業損害が認められにくい理由


交通事故前に仕事をしていた人の場合,交通事故によって怪我をすると働けない期間が発します。

この場合,その期間に得られたはずの収入を得られなくなるので,損害が発生します。この損害のことを休業損害と言います。

そこで,事故前に働いて収入があった人は,事故によって休業した期間に応じて相手に対し,休業損害の請求ができます。
休業損害の計算方法は,事故前の基礎収入を基準として,「1日あたりの基礎収入×休業日数」によって算出します。


しかし,会社役員の場合には,当然に休業損害が認められるとは限りません。
会社役員は,労働の対価としてお金をもらっているのではなく,事故に遭ったとしてもそれとは無関係に収入を得られる立場にあるから,休業による損害が発生しないと考えられるからです。



そこで,会社役員が交通事故に遭うと,サラリーマンや個人事業主などと比べて休業損害が認められにくくなってしまいます。







◆会社役員の休業損害


会社役員のケースで休業損害が認められにくいと言っても,全く認められないわけではありません。
特に日本では,会社役員とは言っても実質的に従業員と同じような働きをしており,それに対する対価をもらっていることも多いです。


そこで,会社役員のもらっている給与は,「役員報酬部分」と「労務対価部分」の2種類に分けて考えられます。

役員報酬部分は,役員として経営に関わることによって支払われる報酬なので,事故とは無関係に支給されます。
労務対価部分とは,役員が実際に会社に労務を提供することによって支払われる給与で,サラリーマンなどと同様のものです。




そこで,役員報酬部分については,労働とは無関係に支給されるものなので休業損害の基礎収入とはなりませんが,労務対価部分については基礎収入として休業損害を請求することができます。







◆役員報酬部分と労務対価部分の計算方法


そうなると,役員報酬部分と労務対価部分をどのようにして計算するかが問題になります。
この場合,職務内容や他の役員や従業員の給与などを参考にして,事案ごとに個別に判断します。


通常は,報酬全額が認められることはなく,割合的に算定されますが,小さい会社などで実質的に役員が労働者と同じ立場であるようなケースでは,100%の役員報酬が基礎収入とされることもあります。

反対に,社外取締役や社外監査役の場合には,労務対価部分を観念できないのでその割合は0%となり,休業損害は認められないことが多いです。




このように,会社役員でも休業損害が認められる可能性はあります。保険会社から支払いが出来ないと言われて困っている場合には,一度弁護士に相談することをおすすめします。




▼参考記事
・解決事例:095 会社役員の休業損害・逸失利益を認定
・交通事故HP:休業損害・会社役員について(裁判基準)
・注目の裁判例:会社代表者の逸失利益




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故当時,無職でしたが,そのような場合でも休業損害が出ますか?

2017年06月30日
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交通事故当時,無職でしたが,そのような場合でも休業損害が出ますか?

無職でも就労の可能性があり,就労意欲と能力があった場合には,休業損害が認められるケースがあります。




 休業損害 無職 


◆休業損害は無職者には認められない


交通事故に遭って怪我をした場合,被害者が有職者であって事故前に収入を得ていたケースでは,休業損害を請求することができます。

休業損害とは,交通事故によって仕事を休んだため,得られなくなった収入に相当する損害のことです。




たとえば,サラリーマンや自営業者,アルバイトの人などに認められます。

これに対し,無職者は,事故で怪我をしても「働けなくなった」ということにはなりませんし,それによって得られなくなった収入もありません。

そこで,無職者には基本的には休業損害は認められません。
収入がある人でも,不動産収入などの不労所得の場合には,やはり休業損害は認められません。







◆失業中でも休業損害が認められるケース


無職者には休業損害が認められないとしても,失業中で事故当時無職だっただけであれば,休業損害が認められるケースがあります。


無職者が休業損害を請求するためには,実際に仕事に就ける可能性があり,かつそのことを書面で証明できることが必要です。

具体的には,以下の要件が必要です。

・事故前に仕事ができる可能性があったこと 
 →たとえば,就職が内定していた場合などです。

・事故前に仕事をする意欲を持っていたこと 
 →本人に働く意欲があり,就職活動などをしていた必要があります。

・事故前に仕事をする能力を持っていたこと 
 →実際に終業後,仕事を継続していける能力を持っていたことも必要です。


これらのことを書面で証明するためには,内定通知書や雇用契約書などの書面が必要です。就職活動をしていた場合には,就職活動のために作成していた履歴書や企業とのやり取りの記録などが資料となります。

このようにして,就業の可能性があったことが証明できれば,事故時に失業していた人でも休業損害を請求できます。







◆失業中の休業損害計算方法


交通事故時に失業していた場合には,どのようにして基礎収入を計算すべきかが問題です。
仕事をしていた人なら実収入を基礎収入としますが,失業中の場合には実際の収入がないからです。


この場合,ケースによって採用される基礎収入が異なります。

内定していて得られる給料がはっきり決まっていた場合には,その給与額を基準にしますし,まだ給与額がはっきりしていなかったケースでは,学歴別や年齢別の賃金センサスの平均賃金を使うことが多いです。

就職活動中に事故に遭った場合には,失業前の実収入を基準にするか,賃金センサスの平均賃金を基準にして基礎収入を算定します。




▼参考記事
・解決事例:091 右手関節に可動域制限があるとして第12級6号(失業中の休業損害)
・解決事例:無職の方の交通事故の解決事例
・よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」:休業損害・逸失利益について




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

個人事業主をしていますが,確定申告書上は赤字です。このような場合も交通事故での休業損害は認められるのでしょうか?

2017年06月29日
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個人事業主をしていますが,確定申告書上は赤字です。このような場合も交通事故での休業損害は認められるのでしょうか?

個人事業主が赤字の場合であっても,休業損害が認められる可能性はあります。認められるかどうかや計算方法は,事案によって異なります。




 個人事業主 休業損害 


◆休業損害の計算方法



交通事故前に働いていて収入があった人の場合,交通事故によって負傷すると働けなくなることがあります。

特に個人事業主の場合には,働けなくなった日数分の収入がそのままなくなってしまうので,非常に影響が大きいです。

このように,交通事故によって働けない期間が発生すると,休業損害が発生します。


休業損害とは,働けなかったために得られなくなった収入分を相手に支払い請求できる損害のこと
です。

休業損害を計算するときには,「1日あたりの基礎収入×休業日数」となります。
1日あたりの基礎収入は,基本的には事故前の実収入によります。それに,実際に休んだ日数をかけて休業損害を計算します。







◆個人事業主の基礎収入


それでは,個人事業主の基礎収入はどのようにして計算するのでしょうか?
これについては,確定申告書の記載内容を基準にして計算します。




具体的には,申告所得額を基準にして,固定経費の支出があったら,その金額を足す計算をしています。確定申告書は1年分の収入なので,これを365日(うるう年なら366日)で割って1日あたりの基礎収入を算出します。

そうなると,個人事業主が前年度赤字になっていた場合には,基礎収入が0になってしまうので,休業損害が認められないと言うことになりそうです。







◆固定経費を基礎収入とする


個人事業主が前年度赤字であったとしても,実際には働いて収入があるわけですから,休業損害が全く発生しないというのは不合理なケースがあります。


そこで,個別の事情により実際に収入があったと認められる場合には,相当分の休業損害が認められます。たとえば,固定経費の支払い分が基礎収入として計算するケースがあります。固定経費は必ず支払うものなので,少なくともその分の収入はあったはずだという考え方によります。





◆平均賃金を基礎収入とする


もう1つの考え方は,平均賃金を採用する考え方です。

たとえば過少申告などで,確定申告書の記載内容と実際の収入があっていないことがありますし,実際に入金があって収入があったことが明らかであるケースもあります。

このような場合には,被害者と同業種の平均賃金を使って基礎収入とすることが多いです。

たとえば大阪地裁平成18年6月14日判決では,個人事業主が赤字申告をしていた事案において,各種商品小売業者全労働者の平均賃金の7割程度の収入が得られる蓋然性が高いとして,321万3840円を基礎収入としました。この事案は逸失利益の基礎収入計算の事例でしたが,休業損害の基礎収入計算でも同じことが言えます。




▼参考記事
・解決事例:自営業の方の交通事故の解決事例
・交通事故HP:休業損害・事業所得者について(裁判基準)
・よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」:後遺症(14級9号・12級13号)における逸失利益




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

パートをしている兼業主婦の場合,交通事故に遭い怪我で休んだパート代しか補償されないのですか?

2017年06月28日
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パートをしている兼業主婦の場合,交通事故に遭い怪我で休んだパート代しか補償されないのですか?

パートをしている兼業主婦の場合には,基本的に賃金センサスの女性の平均賃金によって保証を受けることができます。それを超える収入がある場合には,実収入が基準となります。




 兼業主婦 休業損害



◆兼業主婦でも休業損害が補償される




交通事故に遭うと,怪我をして働けなくなることが良くあります。

そうなると,事故がなかったら得られたはずの収入が得られなくなって損害が発生します。この損害のことを,休業損害と言います。




休業損害は,基本的に事故前に働いていた人に認められるので,典型的なケースはサラリーマンや個人事業者などの場合に認められます。反対に,事故前に働いていなかった人には休業損害は認められません。


ただ,主婦の場合には,実際に事故前に収入が無くても休業損害が認められています。
それは,主婦の家事労働には経済的な価値があると考えられているからです。

このことは,パートをしている兼業主婦の場合でも同じです。兼業主婦の場合にも、休業損害が認められること自体に問題はありません。







◆パート代を基準にすると不都合がある


兼業主婦の場合,基礎収入の考え方について問題が起こります。

休業損害は,基本的に「1日あたりの基礎収入×休業日数」によって計算されます。1日あたりの基礎収入については,基本的に事故前の実収入を使って計算します。




たとえば,アルバイトの人の場合には,アルバイト収入を基準にして計算することになります。
そうなると,兼業主婦の場合にはパート代で計算することになりそうです。



しかし,兼業主婦のパート代は非常に少ないことが多いです。たとえば月6万円のパート代の人の場合,1日あたりの基礎収入は2000円になってしまいます。

また,兼業主婦はパートだけではなく家事労働もしていますが,パート代だけを基準にすると,家事労働の部分が無視されてしまうことになります。


しかも,専業主婦との不均衡も起こります。専業主婦の場合には,1日あたりの基礎収入は,賃金センサスの全年齢の女性の平均賃金となるので,1日あたりだいたい1万円になります。
ところが,パートに出ているがために1日あたり2000円になってしまうのは不合理です。







◆パートの主婦の場合の基礎収入


以上のような問題があるため,兼業主婦の基礎収入は,実収入を基準にしません。


この場合には,基本的には専業主婦と同じように,賃金センサスの全年齢の女性の平均賃金を採用します。ですので,兼業主婦の基礎収入も,1日あたり1万円弱となります。




しかし,兼業主婦で全年齢の女性平均賃金を超える収入がある人の場合には,実収入を基準にします。
このように,兼業主婦だからといってパート代で休業損害を計算されてしまうことはないので,覚えておきましょう。






▼参考記事
・交通事故HP:主婦の交通事故の解決
・解決事例:兼業主婦の交通事故の解決事例
・よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」:主婦としての休業損害


(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

交通事故に遭い,休業しています。サラリーマンの休業損害の計算方法はありますか?

2017年06月27日
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交通事故に遭い,休業しています。サラリーマンの休業損害の計算方法はありますか?

休業損害の計算方法は,自賠責基準と裁判所・弁護士基準があります。それぞれ計算方法が異なります。




 休業損害 計算方法 



◆休業損害とは



休業損害とは,交通事故によって休業期間が発生したときに,そのことによって得られなくなった収入分の損害のことです。

交通事故で休業した際,その人が事故以前に働いていて収入があった場合には,相手に対して休業損害を請求することができます。




ただし,休業損害が認められるのは,事故以前に働いていた人だけです。サラリーマンの場合には,会社から給料をもらって収入を得ていたので,問題なく休業損害が認められます。







◆自賠責基準による計算方法


次に,休業損害の計算方法をご説明します。
交通事故の賠償金の計算方法は,自賠責基準と裁判所・弁護士基準で異なります。


自賠責基準とは,自賠責保険の計算をするときに利用される計算方法です。
これによると,休業損害の金額は,「5700円×休業日数」となります。




自賠責の場合の基礎収入は,事故前の実収入とは無関係に一律となります。
ただ,事故前の収入を証明できる場合には、実収入を基準とすることができます。その場合,1日あたりの限度額が19000円です。休業日数は,実際に仕事を休んだ日数です。

たとえば,事故で10日間会社を休んだ場合には,5700円×10日=57000円が休業損害の金額となるので,自賠責保険から57000円の休業損害の支払いを受け取ることができます。








◆裁判所・弁護士基準による計算方法


裁判所・弁護士基準とは,弁護士が交通事故損害賠償金の示談交渉をするときや,裁判をするときに採用される基準です。
これによると,休業損害は、1日あたりの基礎収入×休業日数となります。




(1)1日あたりの基礎収入
1日あたりの基礎収入は,実際の事故前の収入を基準にするので,それぞれの被害者によって異なります。
サラリーマンの場合には,事故前の3ヶ月分の給料の平均値を使って,1日あたりの収入を計算します。毎月の給料の変動が激しい仕事などのケースでは,事故前6ヶ月分や1年分の給料の平均をとることもあります。

たとえば,事故前3ヶ月分の給料を平均する場合の具体例を見てみましょう。事故前の3ヶ月間(90日)の給料が20万円,23万円,22万円であった場合には,合計64万円です。これを90日で割るので,基礎収入は7111円となります。




(2)休業日数
休業日数は,実際に仕事を休んだ日数です。

サラリーマンの場合,有給休暇を使用して通院や療養などに充てたときも休業日数とされています。
休業日数を証明するためには、勤務先で休業損害証明書を作成してもらう必要があります。

休業損害証明書は、保険会社に書式があるので利用すると良いですが、休業日数と給料額を書く欄があります。




(3)計算例
たとえば,基礎収入が7111円のサラリーマンで,休業日数が合計15日のケースであれば、休業損害の金額は7111円×15日=10万6665円となります。




▼参考記事
・よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」:休業損害・逸失利益について
・交通事故HP:損害賠償額の計算方法
・解決事例:会社役員の休業損害・逸失利益を認定




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

サラリーマンが交通事故に遭って休業した場合,どのような補償をしてもらえますか?

2016年10月14日
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私はサラリーマンですが,交通事故によって負った怪我のため,会社を休まざるを得なくなりました。会社を休んだ場合,休まなければ得られたはずの給料を支払ってもらえるのでしょうか?

交通事故によって負った怪我を原因として会社を休んだ場合,休業損害という補償が受けられる可能性が高いです。



【休業損害について】



◆休業損害



交通事故によって負った怪我を原因として休業した場合で,怪我の治癒/症状固定の時期までに本来仕事を休まなければ得られるはずであった給料を得られなかった損害のことを休業損害といいます。


◆休業損害が認められる場合


事故によって負った怪我を原因として仕事を欠勤,遅刻,早退した場合や,労働能力の低下により減給になった場合に,その減収分が休業損害として補償の対象となります。


通院のために欠勤した場合も休業損害の対象になります(ただし事故からだいぶ日数が経っている場合などは損害に含まれるのか争いになる場合があるので注意が必要です)。



◆有給休暇を使用しても休業損害の対象になる




欠勤,遅刻,早退をする場合に,有給休暇を取得した結果,実際の減収がない場合もあります。
その場合でも,本来であれば自由に取得できるはずの有給休暇を,事故による怪我のために消化していることになるので,休業損害の対象となるのです。


この点,保険会社の担当者は「有給休暇を使った場合には給料が出ているから休業損害は支払えません」と言ってくることが多いのですが,本来なら支払われますので,このような言葉に惑わされないように注意しましょう。





◆休業損害の計算方法



一般的には,
事故前3か月間の給与総額÷事故前3カ月の就業日数=1日当たりの平均賃金
1日当たりの平均賃金×休業日数


で計算することが多いです。休業損害の計算に当たっては,住民税・社会保険料などを控除しない給与総額で計算します。
なお,保険会社によっては,上記の計算において,

事故前3カ月間の給与総額÷90日=1日当たりの平均賃金
1日当たりの平均賃金×休業日数=休業損害


として計算してくる場合もありますが,この計算方法によると,1日当たりの平均賃金の算出にあたり,給与総額を就業日数ではなく90日(3カ月)で割っています。
つまり,就業していない休みの日も含めた1日当たりの平均賃金の算出方法になっています。




この1日当たりの平均賃金に,単に休業日数を掛けると,1日当たりの平均賃金が低く計算されてしまい,休業損害全体が低く計算されることとなります。そのため,1日当たりの平均賃金の算出方法において,きちんと就業日数で割られているかしっかりと確認する必要があります。




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 前原 彩)






交通事故の被害者が主婦の場合,休業損害はいくらもらえますか?

2016年06月16日
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交通事故の被害者が主婦の場合,休業損害はいくらもらえますか
 女性の平均賃金額をもとに計算した金額を,交通事故が原因で家事労働ができなかった期間について請求することができます

【主婦の休業損害】



■主婦の休業損害の計算方法
交通事故による怪我が原因で休業し,収入が減少した場合,
その現実の収入減を加害者に請求することができます。
会社員であれば,実際に収入が減少した金額を請求することになります。
家事従事者については,家事労働を休業した場合に,休業損害の賠償請求をすることができます。家事従事者とは,性別に関係なく(主夫も含みます),実際に家事労働をしている人のことをいいます。
現在の裁判例では,家事従事者の休業損害は,賃金センサスの女性平均賃金を基礎に損害額を計算することになります。
たとえば,交通事故の怪我が原因で3カ月間家事労働が全くできなかった場合,平成26年の賃金センサスを用いると,1日あたり9976円の3か月分にあたる89万7830円を請求することになります。

■保険会社の提示金額
加害者側の保険会社が最初に提示してくる休業損害の金額は,低額であることが多いです。
被害者側に弁護士がついていない事案ですと,保険会社の提示は,@1日あたりの休業損害額が低い,あるいはA休業損害が支払われる期間が短いことが多いです。たとえば,主婦の方の休業損害について,休業1日につき5700円で計算した金額を提示してきたりします(自賠責保険基準は休業1日につき5700円ですが,裁判基準よりも低い基準です。)。
そのため,休業損害については,しっかりと相手保険会社と交渉をして,適正な金額まで引き上げる必要があります。

■兼業主婦の休業損害
家事労働者でパートやアルバイトをしている方の場合(いわゆる兼業主婦の場合)でも,休業損害を請求することができます。
現在の裁判例では,仕事の現実収入が女性の平均賃金を超えるときは仕事の現実収入を,女性の平均賃金を下回るときは女性の平均賃金を,それぞれ基礎として休業損害を計算するのが一般的です。

■休業期間
休業損害の補償が受けられる休業期間はケースバイケースで,一概に何カ月と決まっているわけではありません。
実際に家事労働をできなかった期間を判断することは難しく,家事労働の状況,傷害の内容,回復具合,通院状況等の諸事情を考慮して休業期間を決めていくことになります。裁判例によっては,たとえば,入院期間中は100%,退院した後の通院期間中は70%の休業損害を認めるなど,段階的に休業損害の金額を算定することがあります。

(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 今村 公治)

休業損害打ち切りへの対抗方法

2016年05月12日
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 休業損害打ち切りに対抗する方法を教えてください。
 様々な方法があります。任意保険会社に休業損害延長を要請する方法や,他の保険に請求する方法があります。後遺障害申請を行う方法もあります。



◆休業損害について
事故当初休業損害の支払が加害者側任意保険会社からされている場合,事故から数か月すると休業損害の打切りを保険会社がいってくることがあります。休業損害の妥当な期間というのは最終的には裁判所で裁判官が決めることにはなりますが,まだ治療中の段階の場合には現実的な対応としていくつかの対応があります。

◆加害者側任意保険会社への要請
加害者側任意保険会社に要請をして期間延長をする方法があります。(1)医師の診断書,(2)職場が就業しないよう命令していることがわかる書類などがあると延長が認められやすくなるでしょう。あと1ヶ月,あと2ヶ月と期間を限定しての交渉だと加害者側任意保険会社も交渉に応じやすくなります。
なお,医師の診断書は,「休業の必要性あり」という趣旨の記載まであれば理想ですが,そこまでいかなくても,仕事ができない理由,仕事をできない症状があることなどを何らかの形で記載していただければよいかと思います。

◆労災保険への申請
通勤中の事故,勤務中の事故の場合には労災保険への申請をすることが可能です。一般には,加害者側任意保険会社よりも労災の方がより緩やかに休業損害(休業補償給付)を認定してくれることが多いです。職場の協力も必要となりますので難しいこともあるかもしれませんが,労災保険への申請も1つの方法です。

◆人身傷害保険への申請
自らが加入している保険に人身傷害保険特約がある場合には,人身傷害保険へ休業損害の請求をする方法もあります。加害者側任意保険会社と同様の判断のこともありますが,加害者側任意保険会社よりも緩やかに休業損害を認めてくれることもあります。

◆休業を続けて後日裁判等で請求
支払われないリスクはありますが,休業を続けた上で後日裁判などで未払い分の休業損害を請求する方法があります。この方法の場合,当面の生活費の確保が難しくなることも十分にありえますので慎重な配慮が必要です。

◆後遺障害申請
事故後6ヶ月を経過しているような場合には,仕事の開始が可能であれば,仕事は開始した上で後遺障害申請をする方法もあります。後遺障害が認められれば,認められた後遺障害に応じた逸失利益が認められます。この逸失利益は数十万円のこともありますが,後遺障害が重い場合には何千万という金額になることもあります。

(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)
プロフィール
弁護士法人よつば総合法律事務所
地域最大級の弁護士14名が所属しております。事務所名の「よつば」は事務所に関わる人が皆幸せになるようにとの思いから名付けました。お気軽にご相談ください。
柏事務所:千葉県柏市(柏駅徒歩3分)
千葉事務所:千葉市(千葉駅徒歩3分)

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