カテゴリー: 治療費

交通事故で病院に通院する場合,治療費は誰が支払うのでしょうか。

2016年06月10日
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交通事故で病院に通院する場合,治療費は誰が支払うのでしょうか。
加害者側の任意保険会社が支払う場合が多いですが,それ以外にもいくつか方法があります。

【治療費は誰が支払うのか】


■はじめに…
交通事故に遭われた際,まずは体を治すことが一番重要なことです。治すためには,病院へ行き,治療に専念すべきですが,治療費の支払が誰からなされるのか,支払いが円滑になされるか気になるところです。
当然加害者本人が支払うことが原則ですが,現在は保険会社や国の制度を利用して,安定的かつ迅速に支払いを受けることが可能なようになっています。

■加害者側の保険会社
加害者側の任意保険会社が支払うケースが最も多くみられます。加害者側の保険会社に病院名や連絡先を伝えることで,保険会社が支払いの手続きをとります。
もっとも,例えばこちらの過失が一定程度大きいと加害者側の保険会社が考えて一括対応を拒否される場合,治療費の一括対応の打ち切りを断行された場合(詳しくは治療費の打ち切りについての記事などをご確認ください),そもそも加害者が任意保険会社に加入していなかった場合などは,以下の方法を検討する必要があります。

■加害者側の自賠責保険
被害者が治療費を病院に支払った後,自賠責保険会社に直接請求することができます。これを16条請求ないし被害者請求といいます。自賠責保険会社に請求をする場合,自身で資料を揃える必要があるほか,一定の調査を要するので支払いまで時間がかかる場合があります。さらには,自賠責保険会社は治療費・休業損害・入通院慰謝料等を合わせて120万円までしか支払われないことに注意が必要です。

■労災保険
通勤中や仕事中に交通事故に遭った場合,労災保険を使って治療をすることができます。なお,上の自賠責保険と労災保険は併用することができないと言われています。また,国の通達では自賠責保険を労災に優先して使うこととされています。もっとも被害者としては,どちらを利用するか選択的に決めることができます。
労災を使う場合,治療費を労災が病院に直接支払ってくれることが多い(迅速な支払いがなされる),限度額がない,等のメリットがありますので,積極的に検討されるべきでしょう。また,自賠責保険では過失割合が7割を超えると補償額が減額されることが定められていますが,労災にはこのような決まりがありません。

■健康保険
通常の通院と同様に,健康保険を利用することも出来ます。この場合,利用者は一部の治療費を負担し(後日加害者等に請求することになるでしょう),健康保険組合等が残りの治療費を病院に直接支払います。

■自身の加入している保険を使う
例えば,車に追突された場合,自身の車について加入している損害保険に,治療費を支払ってもらえる特約(人身傷害補償保険等)がないか確認してみましょう。人身傷害補償保険によっても基本的に過失割合に関係なく治療費の支払いを受けることができます。

■政府保証事業
事故の相手方が無保険であった場合,国の事業を利用することもできます。

■おわりに
むち打ちなどは,事故から1か月は特に安静期,治癒期間だと言われることが多いですので,交通事故に遭った場合は,いち早く治療費の支払方法を確保した上で治療に専念できるようにしましょう。



(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 粟津 正博)

保険会社に治療費の支払いを打ち切ると言われた場合の対応を教えてください

2016年06月08日
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保険会社に治療費の支払いを打ち切ると言われた場合の対応を教えてください。
主治医に治療の見込み・必要性を確認した上で,健康保険で通院する等の方法も考えられます。

【治療費の打ち切りと言われたら…】




■治療費の一括払い
交通事故に遭い,病院に通院する場合,例えば加害者の加入する保険会社に病院名・連絡先等を伝えて,かかった治療費を保険会社が直接病院に支払う(一括対応などといいます。)ことがよくあります。被害者側にとっても治療費を立て替えて,保険会社に請求する手間が省けますし,効率的な仕組みが取られています。

■治療費の打ち切り
しかし,保険会社が治療費をこれ以上払わない,○月分までしか払わないなどと言ってくることがあります。
このように,治療費の打ち切りを打診されるケースは,通院頻度が低い場合,事故態様が軽微な場合,通院期間が一定期間を経過した場合(3ヵ月や6ヵ月などの期間が多いです。)などに多くみられるようです。

■治療終了の意味
治療の終了とは,治療の必要がないことと同義であると本来は考えられます。
ここで重要なのは,保険会社の判断に基づく,治療費打切り=治ったということではない,ということです。
保険会社も医療照会を行い,主治医に確認をしていることが通常ですが,保険会社独自の見解に基づいて打ち切りを強行してくることもあるように思います。このような場合,主治医に,今後の治療の見通しを確認するべきでしょう。治療の終了は治っていて治療の必要性がないか,あるいは治ってないが治療効果も見込めないという場合があります。後者の場合は後遺障害としての取り扱いを検討すべきです。

■治療を継続する方法
上述のように,被害者本人や主治医が治療の必要性があると考えていても,保険会社の判断で強引に一括対応を打ち切る場合が中にはあります。このような場合であっても,治癒期間は刻一刻と進行していますので,何とか早期に治療を再開・継続する方法を検討すべきでしょう。このような場合,健康保険で通院する方が多いです。自身の加入している健康保険を使い一定割合の負担で,通院をすることができます。自己負担分については示談時に保険会社に賠償を請求します。
また,労災が適用される場合であれば,労災保険を使用する方法もあります。
自身の加入する保険(人身傷害保険など)を使用する方法もあります。

■後遺障害として進める方法
治療期間が一定期間に及んでおり,治療の効果が上がらない(これを症状の固定といいます)と診断されるとき,残存している症状が後遺障害に該当するか,その申請をすることが考えられます。詳しい方法は後遺障害の記事を別途ご覧ください。

■まとめ
治療費の打ち切りを打診された場合,保険会社の見解を鵜呑みにせず,主治医に相談しましょう。
治療が必要であるのに,打ち切られた場合,健康保険,労災,人身傷害保険の利用等を考えるべきです。保険会社の考えで,治療をあきらめるべきではありません。



(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 粟津 正博)

交通事故における治療費の打切り対策

2016年05月20日
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 交通事故で治療費打切りを保険会社から言われました。どのようにすればよいですか
 様々な方法があります。任意保険会社に治療延長を要請する方法や,他の保険を使って治療する方法があります。後遺障害申請を行う方法もあります。



◆治療費を任意保険会社が病院に支払うことは保険会社の義務ではない

治療費を任意保険会社が病院に支払うことは保険会社の義務ではありません。任意保険会社はサービスとして病院へ治療費を直接支払うサービスを行っています。そのため,保険会社が一方的に病院への治療費打ち切りをしてきた場合には慎重かつ現実的な対応を取る必要があります。

◆任意保険会社への治療延長要請

任意保険会社に治療延長を要請する方法があります。この場合,あと1ヶ月,あと2ヶ月などと期間を区切って交渉をすると合意できることがあります。

◆健康保険への切り替え

交通事故による治療であることを医師が認めるのであれば,健康保険への切り替えをして治療を継続することがよいでしょう。その上で治療終了段階で被害者が窓口で支払った治療費を任意保険会社に請求します。保険会社が支払をすれば問題は解決しますし,保険会社が支払をしない場合には,最終的には裁判所において裁判官の判断を仰ぐこととなります。なお,健康保険への切り替えの場合には,第三者行為による傷病届などの書類を提出する必要がありますので医療機関や健康保険組合に手続きの問い合わせをするのがよいでしょう。

◆労災保険への切り替え

勤務中・通勤中の事故の場合には労災保険の利用が可能です。経験上加害者の任意保険会社よりも労災保険の方が治療費の支払に応じやすい傾向があります。そのため,任意保険会社からの治療費打ち切りがあった場合には,労災保険の手続きを行うのもよいでしょう。労災申請を行う際には職場の協力が必要となりますので職場に相談するのがよいでしょう。なお,職場が協力をしてくれないような場合には労働基準監督署に相談をするのがよいでしょう。

◆人身傷害保険への切り替え

被害者側で自動車保険に付帯している人身傷害保険特約に加入していることがあります。加害者側の保険よりも,被害者側の保険の方が支払が円滑なことが多いです。人身傷害保険に加入している場合は利用を検討するのがよいでしょう。
なお,原則として,人身傷害保険を利用する場合には自由診療ではなく健康保険を使った診療をすることが前提となります。

◆後遺障害申請

交通事故による治療は一度終了して,後遺障害申請を行うという方法もあります。医師が後遺障害診断書に症状固定日と記載した以降は,特段の事情がない限り,症状固定後の治療費を保険会社が支払うということはありません。そのため,後遺障害認定を受けて保険金を取得し,その後は交通事故とは別の治療ということで健康保険にての通院を継続するということになります。




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故で,近親者の入院付添費が認められる場合

2016年04月15日
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 入院中の交通事故被害者に近親者が付き添った場合,金銭的な賠償を求めることはできるのでしょうか。
付添いの必要性が認められれば,付添費として損害賠償請求をすることができます。




◆付添費が認められる場合
被害者が治療のために入院し,入院中に付添いの必要性があり,かつ,実際に付添いがされた場合には,相当な限度で付添いのための費用が事故と因果関係のある損害として認められます。一般的には,付添いの必要性は,医師の指示があれば原則認められますが,医師の指示がない場合でも,受傷の部位,程度,被害者の年齢等により,付添いの必要性が認められる事があります。

◆重篤な脳損傷や脊髄損傷の場合
重篤な脳損傷や脊髄損傷の事案においては,意識覚醒のための声掛けや,容態の変化の看視,食事や排泄等の日常生活動作の介助,問題行動の看視といった行為を付添人が行っている場合であれば,これらの行為が病院側の看護の補助行為として必要性が認められることが多いです。また,この様な場合であれば,近親者が医療上・介護上有益な行為をしていない場合でも,肉親の情誼の観点から社会通念上付添いが相当であるとして付添いの必要性が認められる場合もあります。

◆上肢・下肢の骨折の場合
手足の負傷やその治療によって行動が制限されていて,近親者等が食事,排泄,着替え,歩行などの介助を行っている場合には,付添いの必要性が認められる事があります。もっとも,骨折の部位や治療方法,治療の段階によって付添いの必要性の評価にも差があり,下肢を骨折したが車椅子や松葉杖を用いて自ら移動できる事案で付添いの必要性が否定された裁判例もあります。このような事案においては,付添費が損害として認められるためには,入院生活にどのような支障があり,近親者にどのような介助をしてもらったのかを具体的に裁判で主張する必要があります。

◆軽傷ではあるが,被害者が幼児・児童の場合
幼児・児童が入院の際には,両親等の近親者が付き添うことが社会通念上必要かつ相当であると考えられているため,多くの裁判例は,概ね小学生までの子供について,特段の事情がない限り,両親等による付添いの必要性を認めています。

◆軽傷ではあるが,被害者の受傷によって精神的に不安定になっている場合
被害者が精神的に不安定になっている事案においては,負傷が軽微で,日常生活動作も制約されていない場合であれば,付添いの必要性が認められない傾向にあります。被害者の精神面の不調が,単なる不安とかのレベルではなく,現実に具体的な不調を来すに至っている場合には付添いの必要性が認められる可能性があります。

◆危篤状態の場合
傷害の重篤さ,被害者の年齢,近親者の付添い行為の内容といった個別の事情にもよりますが,生命が危ぶまれる状況における肉親の情誼としての付添いを相当なものとして評価するかどうかという裁判官の価値判断が大きく影響するものと考えられます。

(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 加藤貴紀)

身内が交通事故に遭いました。交通事故での入院付添費の相場はいくらですか?

2016年04月13日
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 身内が交通事故に遭いました。入院付添費用はどれくらい請求することができるのですか?
 基本的に一日約6500円が基準額となります。




◆付添費の金額

原則として,1日につき約6500円が付添費として認められます。もっとも,被害者の状態が極めて重篤な場合や,被害者が少年である場合など,長時間の付添いや負担の重い濃密な介護が必要となった場合には,2000〜2500円の上乗せが認められる可能性があります。一方,被害者の身体的な制約が一部で部分的な介護しかしなかった場合や,付添時間が短かった場合,危篤状態での付添いのように肉親の情誼としての意味が強く特段医療上介護上の行為をしていない場合は,1000〜2000円ほど低くなる可能性があります。

◆期間(日数)について
入院付添費が認められる期間ないし日数については,必ずしも入院全期間というわけではなく,付添いの必要がある期間の内,実際に付き添った日数についてのみ認められます。そのため,付添費全額を得るためには付き添った日数を証拠により立証しなければなりません。その証拠としては,付添人の陳述書等の供述証拠の他,看護記録に付添いの事実が記載されている場合にはその記録,公共交通機関の利用記録,病院の駐車場の領収書などが考えられます。

◆複数の者が付き添った場合
被害者が極めて重篤な状態であるため複数の者が交代で24時間看護に当たる必要があるなど,病状の内容・程度,必要となる付添い看護の内容に鑑みて複数の者の付添いが必要かつ相当な場合には複数人分の付添費が認められる可能性があります。

◆付添いのための交通費,宿泊費
基本的には,入院付添のための通院に要した交通費や宿泊費も,相当な範囲で損害として認められる場合があります。遠方から駆けつけるなど交通費や宿泊費が高額になった場合についても,被害者の元に駆けつけることが,被害者の傷病の程度や付添人が看護にあたることの必要性など諸般の事情を考慮して社会通念上相当な場合であり,被害者がその者に交通費,宿泊費を償還すべきものであると認められた場合,通常利用される交通機関の普通運賃の限度内において損害と認められる可能性があります。

◆近親者の休業損害
有職者である近親者が被害者の付添いのために休業し,収入の減少を来すなどの損害を被った場合の取扱いについては,実務上,一般的な基準額を参考として付添費が算定されることがほとんどとなっています。入院していて看護されている状態でもなお,当該近親者が付添いをする必要性があったことを立証した場合にのみ,休業損害が認められる可能性が出てきます。もっとも,この場合であっても,付添いをした近親者が高額所得者であって,その者の休業損害が職業付添人費用を超える場合,基本的には,職業付添人の費用を超える部分については相当因果関係のある損害として認められないと考えられます。

弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 加藤貴紀)

プロフィール
弁護士法人よつば総合法律事務所
地域最大級の弁護士14名が所属しております。事務所名の「よつば」は事務所に関わる人が皆幸せになるようにとの思いから名付けました。お気軽にご相談ください。
柏事務所:千葉県柏市(柏駅徒歩3分)
千葉事務所:千葉市(千葉駅徒歩3分)

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