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2018年07月

私の父が交通事故で亡くなりました。加害者は,危険ドラッグを使用して,意識が混濁している状態で車を運転して,歩行中の父をはねたそうなのです。このような場合,通常の場合よりも慰謝料は増額しますか?

2018年07月02日
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私の父が交通事故で亡くなりました。加害者は,危険ドラッグを使用して,意識が混濁している状態で車を運転して,歩行中の父をはねたそうなのです。このような場合,通常の場合よりも慰謝料は増額しますか?

本件のように交通事故の態様が悪質な場合には,慰謝料が増額される可能性があります。






 交通事故 : 相手が悪質な場合の慰謝料 




◆慰謝料の基準




交通事故で被害者が死亡すると,遺族は加害者に対して「死亡慰謝料」を請求することができます。
死亡慰謝料とは,被害者が死亡したことによって発生する慰謝料です。


死亡慰謝料には基準となる数値があります。

慰謝料は,被害者が受けた精神的苦痛に対する賠償金ですが,被害者がどのような方であっても死亡によって受ける精神的苦痛は大きくは変わらないはずです。そこで,死亡慰謝料は,被害者の年齢や性別,仕事内容や収入などには無関係に一律で計算されます。


ただし,被害者に遺族や被扶養者がいた場合には,そういった方の精神的苦痛も斟酌されるので,慰謝料が高めになります。


死亡慰謝料の基準の数値は以下の通りです。

●一家の支柱 2800万円程度
●配偶者,母親 2400万円程度
●独身者,未成年者 2000~2200万円程度









◆慰謝料の増額事由




それでは,死亡事故ではどのようなケースでも上記で紹介した程度の慰謝料しか発生しないのでしょうか?

たとえば本件のご相談のように,相手が危険ドラッグを服用していて意識混濁状態で運転した場合など,交通事故の態様が非常に悪質なケースでも通常の事故と同じ程度の慰謝料しか認められないのかが問題です。


過去にも,以下のような裁判例があります。
加害者が飲酒運転をしており,高速道路を逆走して交通事故を起こした事案において,3600万円の死亡慰謝料が認定されました。(東京地裁平成15年3月27日交通事故民事裁判例集36巻2号439頁)。

飲酒運転で対向車線に入り,被害者に衝突して死亡させた事案で,加害者は救護活動もしませんでした。

このケースでは,被害者本人の慰謝料2600万円と妻と母親の慰謝料をそれぞれ500万円として,合計3600万円の死亡慰謝料が認められています(東京地裁平成16年2月25日自保ジャーナル1556号13頁)。



以上のように,交通事故の態様が悪質である事案では,3000万円を超える死亡慰謝料が認められたケースもあります。特に近年では危険運転に対する社会の目も厳しくなっており,慰謝料が高額になりやすい傾向があります。




交通事故の相手が悪質で,提示された慰謝料の金額に納得できないケースでは,示談に応じる前に弁護士に相談してみて下さい。





▼参考記事
・交通事故の慰謝料が増額される場合は,どのような場合ですか?
・歩行中の被害者が遷延性意識障害により1級1号の認定を受け約1億1000万円を獲得した事例
・横断歩道上で発生した死亡事故について裁判で3320万円の賠償が認められた事例

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(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

交通事故に遭って高次脳機能障害になった場合,右脳と左脳が関係すると聞きました。どのような後遺症になりますか?

2018年07月10日
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交通事故に遭って高次脳機能障害になった場合,右脳と左脳が関係すると聞きました。どのような後遺症になりますか?

交通事故による高次脳機能障害は、右脳を傷つけると起きる左半側無視など、右脳と左脳の働きの違いによる後遺症を発症することがあります。





 交通事故による高次脳機能障害:右脳と左脳のお話 




◆脳神経が交差しているから体は反対側の脳の命令を聞く




高次脳機能障害は、交通事故やスポーツ中の事故などで脳を損傷したことが原因で発症しますが、その後遺症の一つである半側空間無視(はんそくくうかんんむし)は、右半球と左半球に分かれている大脳の片側を傷つけたことが原因で、傷ついた脳の反対側にあるものを無視するようになります。

脳神経は、頭から体に向かって伸びていますが、延髄(えんずい)と脊髄(せきずい)の境い目でいったん左右交叉(さゆうこうさ)します。

つまり,大脳の右半球から出た脳神経は体の左側へ、大脳の左半球から出た脳神経は体の右側へと伸びているのです。

この神経交叉があるために,大脳の左右の半球は、それぞれ反対側の半身の行動や感覚を支配することになります。

脳の右半球に怪我をした高次脳機能障害の人が左側にあるものを認識できなくなることがあるのは、そのような理由からです。









◆左脳が言語をコントロールしているが例外もある




左脳は言語的で観念的であり、右脳は非言語的と言われています。
言語と言えば、高次脳機能障害で良く見られる後遺症の一つに失語症があります。

失語症になると、言語障害が起きて、発話がうまくできない、流暢にしゃべるが、話す内容にとりとめがない、文法的に誤った言語を話すなどの症状が現れます。
その反対に発話が極端に少なくなることもあります。


左脳が損傷すると失語症になる可能性があるのは、脳のなかの言語をつかさどるエリアが傷付くためなのです。



一方では、脳の右半球に言語機能がある人や、右脳と左脳の両方に言語機能がある人も存在します。

特に、言語機能が右脳と左右の両方にある人は、女性に多い傾向があります。
高次脳機能障害で失語症を発症した患者のうち、男性より女性の方が言語機能を取り戻すことが比較的たやすいと言われるのはそのためではないかという説があります。

つまり,右脳と左脳、いずれの大脳半球を損傷しても、反対側の大脳半球が言語機能を補うことで、失語症からの回復が早いというわけです。
自分の脳はどちら側の大脳半球が言語機能をコントロールしているか想像するのも面白いですね。



なお、左脳は部分的、観念的であり、右脳は全体的、唯物的であると言われます。

人間は、ある時は部分的にものごとをとらえ、必要ならば全体的にものごとを考えます。
同じく、時に応じて観念的に考えることもあれば、冷静に唯物的に考える時もあります。

左脳派、右脳派という言い方を良く聞きますが、人は、右脳だけ、左右だけで生きているわけではありません。

右と左、両方の大脳半球がそれぞれの役目を果たした結果、その人なりの性格が生まれるのです。









▼参考記事
・家族が交通事故に遭いました。高次脳機能障害とコミュニケーション障害について教えてもらえますか?
・頭(脳)に怪我を負われた方の解決事例
・左利きと脳

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(よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故の高次脳機能障害の半側空間無視とはどのようなものでしょうか?

2018年07月17日
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交通事故の高次脳機能障害の半側空間無視とはどのようなものでしょうか?

交通事故で高次脳機能障害になると半側空間無視になることがあります。半側空間無視は、脳の広い範囲の障害によるものと考えられています。





 交通事故による高次脳機能障害:半側空間無視はなぜ起きる? 




◆半側空間無視で困ること




交通事故で高次脳機能障害になると、半側空間無視(はんそくくうかんむし)が起きることがあります。

左半側空間無視の患者さんが、右半側空間無視の患者さんより多く見られます。

半側空間無視になると、、自分の片側にあるものがまるで存在しないように行動します。

視覚に問題が起きたわけではないので障害物が見えないはずはないのですが、体の片側にある障害物を無視して歩くので、ものにぶつかったりして危険です。

左半側無視の人は、食卓で自分の左側に置かれたおかずが、あたかもないもののようにふるまって、自分の右側にあるおかずしか食べません。
左半側無視の人に左側から声をかけると、あきらかに聞こえているのに、まるで聞こえていないように無視されることもあります。

このように、半側無視の人は日常生活を送る上でさまざまな不便を感じることになります。








◆半側空間無視のメカニズム



高次脳機能障害の後遺症の一つである半側無視は、損傷した大脳半球の反対側に現れますが、脳の病巣は脳の狭い範囲に限ったものではないという考えが一般的です。



つまり、もっと広い範囲で脳の機能が低下したために半側空間無視が起きるというわけです。

さらに、半側空間無視が起きるメカニズムについては、いくつかの説があり、まだ原因が完全に究明されてはいません。

主な説を紹介します。



【空間表象説(くうかんひょうしょうせつ)】

私たちは、写真を見なくても良く知っている場所や建物などを頭のなかでイメージできます。
半側空間無視の人は、頭の中でイメージしても半側空間無視が起こります。

そして、実験の結果、建物を見る方向を変えても半側空間無視が起きていることがわかりました。

この実験の結果から、わたしたちの頭の中には,左右の空間を投影するスクリーンのような機能があって立体的な映像を認知しているのだという空間表象説が唱えられました。

例えて言えば、3D映画のスクリーンが頭の中にあるにもかかわらず、高次脳機能障害の人は、脳の障害によってスクリーンの片側だけ映らなくなってしまったというわけです。




【注意不均衡説(ちゅういふきんこうせつ)】

脳は、もともと右と左に対する注意の度合いが同じでなくアンバランスであるという仮説に基づいているのが、注意不均衡説です。

健康な人の脳では、左右の脳のアンバランスを大脳右半球と左半球がコントロールしています。

しかし、右半球に障害が起きると、右半球が左半球を抑制しきれなくなるので、左半球が右側へ強い注意を向けるようになり、左半側無視が起きるという考え方です。



【注意・覚睡障害説(ちゅうい かくすいしょうがいせつ)】

前頭葉や辺縁系(へんえんけい)、空間を認知する脳神経のネットワークなど、脳の広い部分に障害が起きて半側空間無視を発症するという説です。








▼参考記事
・交通事故に遭うと,視覚に異常が出ることがありますか?
・自転車での交通事故の解決について
・交通事故のよくある質問

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