HOME > 2018年04月16日
2018年04月16日
交通事故に遭った際の基礎収入について質問です。休業損害を算出する際と後遺障害逸失利益を算出する際の基礎収入は同じですか?
2018年04月16日



交通事故 : 休業損害と逸失利益
◆休業損害とは

交通事故で入院や通院、自宅療養などをすると、働けない期間が発生します。すると、得られるはずであった収入を得られなくなるので、損害が発生します。
それが、休業損害です。
休業損害が発生するのは、症状固定するまでの間に休業した分です。
休業損害の基礎収入を計算するときには、交通事故前の1日あたりの基礎収入を算定します。
このとき計算の基礎になるのは、
事故前3か月分の収入など、比較的事故時に近い期間における収入です。
たとえば、会社員の方の場合などには、事故前の直近3か月分の給与明細書などを基準にして、休業損害を計算することが多いです。
賃金センサスの平均賃金を用いることを検討するケースは限定的です(家事従事者は別です。)。
◆逸失利益とは
逸失利益には後遺障害逸失利益と死亡逸失利益があります。
後遺障害逸失利益とは、交通事故で後遺障害が残った場合に労働能力が低下したため、将来にわたって発生する減収分のことです。
後遺障害が残ると、身体のさまざまな部分が不自由になるので、事故前のように効率的に働くことができません。
そこで、労働能力が低下した分、生涯にわたって得られる収入が低下すると考えられます。
その減収分を逸失利益として加害者に請求することができます。
また、被害者が死亡した場合にも、働いて収入を得ることができなくなるので、死亡逸失利益が発生します。
逸失利益の基礎収入は、被害者の「年収」を基準として計算します。
基本的には実収入をもとに計算しますが、被害者が主婦、子どもや学生などの場合には、賃金センサスの平均賃金を使って計算することが多いです。
◆休業損害の基礎収入と逸失利益の基礎収入の違い
それでは、休業損害の基礎収入と逸失利益の基礎収入は、どこが違うのでしょうか?
どちらも「事故前の収入」を基準にするので、基本的な考え方は同じです。
ただ、休業損害は、「事故後症状固定時期まで」にしか発生しないものであり、対象期間が限定されています。そこため、直近で短期間の実収入を基礎収入とすることが理にかなっています。
そこで、事故前3か月間の収入などが考慮要素とされます。
これに対し,逸失利益は就労可能年齢(一般的には67歳)の長期にわたって発生するものです。
そこで、基礎収入算定の際には、同じ実収入を基準にするとしても、事故前の1年間など、より長期的なスパンで検討すべきです。
また、被害者の年齢などの条件により、将来の変動可能性を踏まえて、平均賃金によって計算することが妥当となるケースもあります。
若年者が被害に遭ったときなどは,事故前年の収入が将来ずっと得られるはずだったと認定するのは不合理なこともあるからです。
交通事故に遭われたら、基礎収入を計算するときにも法律的な理解が不可欠です。ご不明なことがあれば、お気軽に弁護士までご相談下さい。
▼参考記事
・パートをしている兼業主婦の場合,交通事故に遭い怪我で休んだパート代しか補償されないのですか?
・個人事業主をしていますが,確定申告書上は赤字です。このような場合も交通事故での休業損害は認められるのでしょうか?
・よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」:後遺症(14級9号・12級13号)における逸失利益
▼よつば総合法律事務所 公式サイト
▼よつば総合法律事務所 公式ブログ
(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)
| 休業損害
|
プロフィール
よつば総合法律事務所
千葉県最大級の法律事務所。弁護士16名が所属しております。事務所名の「よつば」は事務所に関わる人が皆幸せになるようにとの思いから名付けました。お気軽にご相談ください。
柏事務所:千葉県柏市(柏駅徒歩3分)
千葉事務所:千葉市(千葉駅徒歩3分)
千葉県最大級の法律事務所。弁護士16名が所属しております。事務所名の「よつば」は事務所に関わる人が皆幸せになるようにとの思いから名付けました。お気軽にご相談ください。
柏事務所:千葉県柏市(柏駅徒歩3分)
千葉事務所:千葉市(千葉駅徒歩3分)
2018年 04月 >> | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 |
15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 |
22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 |
29 | 30 |
最新記事
- 交通事故の人身傷害保険と相手方損害保険との支払の順序によって違いが出ることがあると聞きました。詳しく教えてください。 その上で,相手方保険会社との間で総損害額400万円,私の過失1割で合意できそうなのですが,この段階で人身傷害保険から40万円だけを支払ってもらおうとしたら,人身傷害保険の担当者にダメと言われました。なぜですか?
- 交通事故に遭った際の仮渡金について教えてください。これを請求する手続をすることのメリットやデメリットにはどのようなものがありますか?
- 交通事故の家屋改造費で,サンルームを設置する費用は家屋改造費として認められますか。認められるとしたらどのような場合ですか?
- 交通事故時に失業者だった被害者の休業損害について教えてください。
- 交通事故に遭った際の基礎収入について質問です。休業損害を算出する際と後遺障害逸失利益を算出する際の基礎収入は同じですか?
- 後遺障害診断書に症状固定日が書いてあります。症状固定日はこれで確定ですか。後で違うなどと認定されることはないですか?
- 家族が交通事故に遭いました。高次脳機能障害者とコミュニケーション障害について教えてもらえますか?
- 交通事故に遭いました。世話をしてくれる人がいない高次脳機能障害者に対するサービスはありますか?
- 交通事故による高次脳機能障害と診断されました。障碍者手帳は取得できるのでしょうか?
- 交通事故で高次脳機能障害になっても本人が病気を否定したらどうしたら良いのでしょうか?
アーカイブ
カテゴリー