HOME > 2018年02月

2018年02月

交通事故で脳を損傷していなくても,高次脳機能障害になりますか?

2018年02月01日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故で脳を損傷していなくても,高次脳機能障害になりますか?

脳の離れたエリアの情報を電気信号として伝達している神経線維を交通事故で傷つけると,高次脳機能障害になることがあります。




 高次脳機能障害 : 神経線維の損傷 



◆脳細胞が壊れなくても高次脳機能障害になる




高次脳機能障害は,交通事故やスポーツによる怪我で頭を強く打ち,脳細胞の一部が壊れて再生しないために起こるというイメージが強い病気です。

しかし,実は脳細胞が破壊されなくても,高次脳機能障害を発症することがあるのです。




その一つの例として挙げられるのが,神経線維の損傷です。
いくつも分かれている脳と脳をつないで,情報を伝達しているのが神経線維です。

たとえば,大脳は前頭葉,側頭葉,前頂葉,後頭葉の4つに分かれ,溝(こう)と呼ばれる深くて細いすき間で隔てられています。

これらの別れ別れになっている大脳同士の情報を相手に伝えるのが,神経線維です。

大脳が4つに分かれていても,ヒトがまとまりのある思考や行動を取ることができるのは,神経線維を通じて情報を共有しあっているからなのです。

このように,神経線維はきわめて重要な役割を持っていますから,傷がつけば当然脳の働きに影響が現れます。高次脳機能障害は,大脳皮質などの脳細胞が傷付いたときばかりでなく,神経線維の障害によっても起こるのです。







◆神経線維の役割




脳の中枢から体の末端の末梢神経に情報を伝えるのが,遠心性線維(えんしんせいせんい)です。

その反対に,抹消神経から中枢に情報を運ぶのが,求心性繊維(きゅうしんんせいせんい)です。

左脳と右脳に分かれている大脳をつないでいるのが,交連線維(こうれんせんい)です。

同じ側の脳の大脳皮質間で情報をやりとりする際に用いられるのが,連合線維(れんごうせんい)です。




では,神経線維はどうやって情報を伝達しているのでしょうか?

神経線維は,イオン(電気的にプラスかマイナスの電子)が細胞膜を通過することで情報を伝えます。
つまり,電気信号によって情報を伝えているのです。

神経線維は,何本も束になっているので,隣り合った神経線維が違う情報を伝えるときに互いの情報が混線しないように,神経線維は,髄鞘(ずいしょう)という絶縁物質で取り巻かれています。







◆神経線維を傷めて失語症に




同じ半球の情報を伝達する連合線維の一種に,弓状束(きゅうじょうそく)があります。

弓状束は,ブローカ野(や)と,ウェルニッケ野(や)をつないでいる長い神経線維です。

ブローカ野は,言葉をしゃべることに関する運動中枢で,ウェルニッケ野は他人の言語を理解する働きを持っています。

弓状束を損傷すると,高次脳機能障害の症状のひとつである失語症になることがあります。




▼参考記事
・交通事故における頭部外傷 その1 頭部の構造
・高次脳機能障害を負われ,当初保険会社からの提示額0円から交渉した結果,約3823万円獲得できた解決事例
・「臭いが分からなくなった!?」 〜頭部外傷と嗅覚障害〜




(よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故で頭を打ち,高次脳機能障害になりました。大脳の中の連合野を損傷したのですが,どのような症状が出るのでしょうか?

2018年02月02日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故で頭を打ち,高次脳機能障害になりました。大脳の中の連合野を損傷したのですが,どのような症状が出るのでしょうか?

連合野は,人間のもっとも高度な思考や意思決定などに関係する大脳の部分で,交通事故で高次脳機能障害になって連合野を損傷するとその人らしさが失われることがあります。




 高次脳機能障害 : 連合野の損傷



◆その人らしさがなくなるということ




頭に大怪我をして高次脳機能障害になった人の家族や友人が,高次脳機能障害の人が事故の後,まるで別人のように人柄が変わったと思うケースが少なからずあります。

たとえば,温和な人が怒りっぽくなったり,聡明な人の知能が低下したりといったケースです。




これは,大脳のなかの連合野(れんごうや)を損傷したために起きた症状です。

連合野を傷つけたことによる高次脳機能障害の特徴をひとことで言うならば,その人らしさが失われることです。

連合野は,運動野,感覚野,聴覚野,視覚野以外の大脳のエリアで,特にヒトに発達している脳の一部です。







◆総合的な思考は連合野がおこなう




運動野や感覚野は,連合野に情報を送り,連合野は受け取った情報に基づいて判断し,結果を予測したり,さらなる運動を命じたりします。

つまり,人間の高度な思考や行動は、連合野から生まれるのです。連合野は3つに分かれています。




前頭連合野(ぜんとうれんごうや)は,行動の決定,抽象的な思考,結果の予測など人間の複雑な脳の働き全般に関わっています。感情を表したり,社会性を持つことなども,前頭連合野がたずさわっています。

頭頂連合野(とうちょうれんごうや)は,空間や体の認識に関係しています。

側頭連合野(そくとうれんごうや)は,物体の認知やエピソード記憶に関係しています。
エピソード記憶とは,個人的な経験や出来事にもとづいた記憶です。







◆前頭連合野の損傷で記憶障害になったDさんの事例




Dさんは,交通事故で前頭連合野を損傷しました。

交通事故による脳の損傷部位でも特に多いのが,前頭葉の外側部分である前頭葉外側(ぜんとうようがいそく)で,Dさんも前頭葉を打ち,高次脳機能のかなめである前頭連合野の働きに問題が生じました。

Dさんの主な症状は,高次脳機能障害の症状のひとつ,記憶障害です。事故に遭う前の昔のことは覚えているのですが,最近の出来事を記憶できません。




Dさんは,現在記憶のリハビリテーションを受けています。

取るべき行動を記憶してもらい,2分後に覚えているか,5分後は・・というように繰り返しながら,覚えている時間を長くする訓練を行っています。

Dさんとその家族は,作業療法士の助言により,積極的にメモを取るようにしています。家族は,リハビリテーションに行く日は朝から何度も声かけし,Dさん自身はあちこちに外出予定のメモを貼って予定を覚える努力しているそうです。

このように,記憶障害を克服するには自分自身の努力だけでなく,周囲の理解および環境づくりが不可欠です。




▼参考記事
・高次脳機能障害を負われた方の解決事例
・高次脳機能障害の具体的な症状には,どのような症状がありますか?
・自賠責における高次脳機能障害認定の入口の3要件

▼ よつば総合法律事務所の公式サイト ▼

(よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故で頭を打ち,高次脳機能障害になりました。言語障害の症状はよくある事ですか?

2018年02月05日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故で頭を打ち,高次脳機能障害になりました。言語障害の症状はよくある事ですか?

言語をあやつる能力は脳の複数のエリアと密接な関係があるため,言語障害は高次脳機能障害の後遺症のなかでも比較的多く見られる症状です。




 高次脳機能障害 : 言語障害



◆高次脳機能障害に多い症状:言語障害




高次脳機能障害で言語能力が著しく低下する症状が現れると,言語障害と診断されます。

言語障害は,交通事故が原因の高次脳機能障害の後遺症のなかでも,比較的多く見られるものです。

言語を自由に操る能力は,あらゆる生物のなかでも人間だけが持つものです。

つまり,高度に発達した脳の働きがなければ,言語能力は維持できないのです。




しかも,言葉をしゃべるという能力は,双方向ではじめて成り立つものであり,相手の話すことを聞き理解するという能力が不可欠です。

本を音読する場合は,視覚情報との統合も必要です。暗記している詩を声に出すなら,記憶から音声にすべき情報を掘り起こします。

わたしたちがあたり前のようにしゃべり,相手の話すことを聞きとり,さらに会話を続けるという行為は,実は脳がつかさどる高次脳機能のなかでも,もっとも複雑な情報処理の一種だったのです。

ですから,わずかでも言語に関わる脳の一部が傷ついただけでも,言語能力に問題が起きて言語障害を発症する可能性が極めて高くなるのです。







◆言語に関する脳の領域はこんなにたくさんある




【ブローカ野(や)】
言葉をはっきり発音する機能と関係があります。
ブローカ―野を損傷すると,発話が困難になるブローカ野失語症になります。

片言の程度しか話せなくなったり,適切な言葉を見つけられない,目の前の物の名前をたずねられて,それが良く知っているものであっても,その名称をうまく言えないなどの症状が現れます。




【ウェルニッケ野(や)】
ウェルニッケ野は,聴覚野の近くにあります。

ウェルニッケ野を損傷したために発症するウェルニッケ失語症は,よどみなく話すことができるが,内容に乏しかったり,相手の会話とかみ合わずちぐはぐな会話しか話せない,意味のないことを話し続けるといった症状が現れますが,これはウェルニッケ野が音声認識に関する高次脳機能と関係があるためと考えられています。




【聴覚野(ちょうかくや)】
ウェルニッケ野の近くにあります。
音声に関する情報は,内耳を通して聴覚野に届き,周波数の解析などが行われます。




【角回(かくかい)】
文字情報の意味について処理するエリアです。




【一次視覚野(いちじしかくや)】
文字情報が届き,視覚刺激を解析します。




このように発話は,脳の複数のエリアが協力しあって行う複雑な作業なので,脳を損傷して高次脳機能障害になった場合,部位によってさまざまなタイプの言語障害を発症する可能性があります。




▼参考記事
・高次脳機能障害の症状に気付くには,どのようにすればよいですか。
・交通事故で高次脳機能障害になり,専門医のいる病院をご紹介し,専門的なリハビリを行い後遺障害の認定をスムーズにでき解決した事例
・交通事故専門チームによるご相談・解決




▼よつば総合法律事務所 公式サイト▼

(よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

高次脳機能障害でリハビリテーションが重要と言われる根拠はなんですか?

2018年02月06日
このエントリーをはてなブックマークに追加

高次脳機能障害でリハビリテーションが重要と言われる根拠はなんですか?

高次脳機能障害の人がリハビリテーショで失われた機能を取り戻せるのは,脳には可塑性があるからです。




 高次脳機能障害のリハビリテーション : 脳の可塑性 




◆脳の可塑性とは?




思うままに形を作れることを可塑(かそ)と言います。

たとえば,粘土は可塑性がある素材だと言えば,可塑の意味合いがイメージできると思います。

一方,高次脳機能障害で脳の組織の一部を損傷した場合,いったん死んだ脳細胞は復活しないから,脳は元通りにならないと言われることがあります。

つまり,脳には可塑性がないと言うわけです。




しかし,最近では脳の可塑性すなわち,自由な形を作ることができる能力について研究が進められており,脳の可塑性について大きな期待がかかっているのです。

脳の可塑性とは,脳の一部分が壊れても他の組織が壊れた組織になり替わって,失われた機能を補うことを意味します。

粘土は,こねて指先で押すことによって,こういう形を作りたい!という目的の形状に近づいていきます。

脳は,一部の機能を失ってしまっても,脳の他の部位が,こういう機能を補おう!と,能力をフルに発揮すれば,全体的にもとの機能に近い能力を獲得できるというのです。

脳の可塑性が真実なら,事故で高次脳機能障害になった方も,死滅した脳細胞の代わりに他の脳細胞が働くことによって,脳全体として怪我をする前の能力を取り戻せるわけです。







◆脳の可塑性はリハビリテーションにも生かされている




脳の可塑性は,いったん破壊された脳細胞が再生されるのではないということについてご理解いただけたでしょうか?

では,なぜ脳の可塑性によって,失われた機能を取り戻せるのでしょうか?

「交通事故で高次脳機能障害になった人の症状が千差万別なのは,どうしてですか?」のトピックで紹介したように,脳には詳細なマップがあり,わずかなエリアの差で,受け持つ役割が異なるというのに・・

それは,損傷した脳の周辺に新しい神経回路ができることがわかったからです。

むろん,新しい神経回路は自然にできるのではなく,リハビリテーションによって脳に覚えさせ,経験値を高めることによって生まれるのです。

たとえば,指を動かす機能。これこそが脳の可塑性なのです。







◆右脳と左脳は本当に別の働きを担当している?




左脳は言語や数字の分野,右脳は感覚の分野というのが定説ですが,右脳と左脳の仕事の分担は,はっきり解明されていないのです。

もし,高次脳機能障害で左脳にダメージを受けたら,言語や数字を操る能力が失われてしまうと思いがちですが,実際には右脳と左脳で情報を伝達し合って,失われた機能を補完しているのです。

脳の可塑性を信じるならば,高次脳機能障害の患者さんのリハビリテーションの成果についても大きな期待を寄せて良いのではないでしょうか?




▼参考記事
・交通事故で高次脳機能障害になり,事故当時は意識不明状態が続いたものの,本人のリハビリの努力もあり,かなりの症状改善がみられ,裁判を起こさず解決できた事例
・頭部の構造
・高次脳機能障害と家族の会




▼よつば総合法律事務所 公式サイト

(よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

日本弁護士連合会交通事故相談センターの手続とは,何を行っているのですか?

2018年02月07日
このエントリーをはてなブックマークに追加

日本弁護士連合会交通事故相談センターの手続とは,何を行っているのですか?

日本弁護士連合会交通事故相談センターは,交通事故ADRの1つです。被害者と加害者の示談あっせんや審査などを行っています。




 日本弁護士連合会交通事故相談センター



◆日本弁護士連合会交通事故相談センターとは




日本弁護士連合会交通事故相談センター(日弁連交通事故相談センター)とは,日本弁護士連合会が運営する交通事故ADRです。

ADRというのは,裁判外の紛争解決機関のことです。

ADRを使うと,裁判をしなくても,被害者と加害者の調整をして交通事故の賠償問題を解決できる可能性があります。




日弁連交通事故相談センターでは,交通事故トラブルについての相談をしたり,加害者と被害者の間の示談をあっせんしたり,審査をすることによって一定の解決方法を提示したりしてくれます。

日本全国に支部があるので,都合の良い場所でサービスを利用することができます(相談所は159か所)。この点は交通事故紛争処理センターと異なります。







◆相談




日弁連交通事故相談センターでは,交通事故の民事賠償問題についての相談をすることができます。

無料で電話相談をすることもできますし,センターの支部に行って面談で相談を受けることもできます。
相談を担当するのは,弁護士会に所属する弁護士です。







◆示談あっせん




さらに,センターに示談あっせんを申し込むことができます。

示談あっせんとは,担当弁護士が被害者と加害者の話合いを仲介し,調整を行う手続きです。

人身事故の場合ならどのようなケースでも示談あっせんを利用できますが,物損事故の場合には,一部の任意保険や共済が相手のケースでのみ,手続を利用できます。




示談あっせんを利用すると,センターの担当弁護士が話合いを取り持ってくれますし,担当弁護士から示談案の提示を受けられることも多いので,被害者に知識がなくても,加害者と対等に話を進めやすいです。

双方が示談案に合意したら,その内容に従って,加害者から賠償金の支払いを受けることができます。







◆審査請求




示談あっせんを受けても合意に至ることができない場合には,審査請求という方法で,解決を図ることができます。審査請求とは,センターの審査会に,解決方法を決定してもらう手続きです。

審査決定があると,加害者側はその内容に拘束されます。被害者は,不服があったら異議を出すことができ,その場合には審査内容は効力を失います。

一部の任意共済が相手の場合には,相手方任意共済は審査の結果を尊重しなければならないことになっています。




日弁連交通事故相談センターのサービスは,相談も示談あっせんも審査請求も,すべて無料です。

日弁連の交通事故相談センターを利用すると,弁護士基準に近い基準が適用されるので,賠償金が上がることも多いです。




交通事故トラブルで加害者との示談が進まないときには,利用を検討すると良いでしょう。迷われたときには,お気軽にご相談下さい。




▼参考記事
・交通事故問題解決の流れ
・動画でみる交通事故の解説
・当事務所の交通事故解決事例




▼よつば総合法律事務所 公式サイト

(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)

私の勤務先の定年は65歳です。就労可能年数を67歳までとすることに問題はないのですか?

2018年02月08日
このエントリーをはてなブックマークに追加

私の勤務先の定年は65歳です。就労可能年数を67歳までとすることに問題はないのですか?

定年が65歳の勤務先であっても,基本的には,67歳までの分の逸失利益を請求することができます。ただし,定年後の基礎収入については,定年時の収入を減額したり賃金センサスの平均賃金を使って計算したりすることが多いです。




 逸失利益 : 就労可能年数 



◆逸失利益の計算方法




交通事故で後遺障害が残った場合や被害者が死亡した場合には,「逸失利益」を請求することができます。




逸失利益とは,後遺障害によって労働能力が低下するために得られなくなってしまった将来の収入(減収)のことです。

そして,逸失利益については,通常就労可能年齢までの分を請求することができます。

一般的に,就労可能年齢は67歳とされているので,基本的に,逸失利益は,67歳までの分を計算して請求することができるのです。







◆定年制がある場合にも67歳までの分を請求できる




それでは,被害者の勤務先で定年制が採用されていて,67歳よりも早く退職することになっている場合には,どのような取扱いになるのでしょうか?

今回のご相談のケースでも,65歳が定年となっていますが,65歳で退職するなら,その後67歳までの収入はないことになります。

そうであれば,就労可能年齢は65歳までとして計算すべきだとも思えます。




しかし,現在は65歳が定年の会社に勤めていても,将来別の会社に転職する可能性もありますし,会社の定年制度が変更になって,定年の年齢が延長される可能性もあります。

また,定年後も嘱託社員や再任用といった形でその会社に雇用され続けることも行われています。




そもそも,逸失利益という概念そのものが,いろいろな不確定な要素を含めたフィクションの性質を持っています。

そこで,結論的には,67歳よりも早い年齢での定年制が採用されていても,基本的にそれとは無関係に67歳までの逸失利益を請求することができます。







◆基礎収入は減額されることが多い




ただし,その場合においても,基礎収入をいくらにすべきか,という問題があります。

実際に65歳での定年制が採用されている場合には,65歳以降の収入がなくなったり再雇用になって大きく減少したりすることが多いからです。

そこでこのような場合,定年までは現実の収入を元に基礎収入を算定しますが,定年後は基礎収入を減額することもあります。

具体的には,賃金センサスの年齢別の平均賃金を使って計算をしたり,退職時の収入を何割か減額した金額を使って計算したりして,調整します。




以上のように,定年が67歳未満であっても(多くの場合はそうです。),基本的に67歳までの分の逸失利益を請求することが可能です。疑問や不安がある場合には,是非とも一度,ご相談下さい。




▼参考記事
・逸失利益の計算について
・交通事故の逸失利益
・逸失利益・就労可能年数について(裁判基準)




▼よつば総合法律事務所 公式サイト

(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

交通事故の重大な過失とはどういうことですか? 四輪車同士の出会い頭の事故で,相手の運転手は一時停止の規制があったにもかかわらずこっちを全く見ていませんでした。これは重大な過失ではないのですか?

2018年02月09日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故の重大な過失とはどういうことですか?
四輪車同士の出会い頭の事故で,相手の運転手は一時停止の規制があったにもかかわらずこっちを全く見ていませんでした。これは重大な過失ではないのですか?


重大な過失とは,故意にも匹敵するほど大きな過失のことです。
重大な過失があると,その当事者の過失割合が大きく上がります。出会い頭の衝突事故は,多かれ少なかれ,左右の確認がおろそかだったからこそ生じるのですから,本件のような事故で「こっちを全く見ていなかった」点を捉えて過失割合を修正させるのは困難です。





 重大な過失とは 



◆基本の過失割合と修正要素




交通事故が起こった場合,それぞれの当事者の過失割合を決定します。

交通事故の過失割合については,個々のケースにおける基本の割合が定められています。




ただ,交通事故は,事案によってさまざまな事情があります。このように,その事情によっては,基本の過失割合が修正されます。

たとえば,相手の著しい過失や重大な過失がある場合には,相手の過失割合が加算されます。

過失割合の修正の要因となる事情のことを,過失割合の「修正要素」といいます。







◆重大な過失とは



過失割合の修正要素の1つとして,重大な過失(重過失)があります。

重過失とは,故意にも匹敵するような,非常に大きな過失のことです。

相手に重過失がある場合には,基本の過失割合にプラスして,相手の過失割合が10〜20%程度,加算されます。







◆重大な過失の例




それでは,重大な過失としては,どのようなものが挙げられるのでしょうか?

たとえば,酒や薬物の影響により,正常な運転をすることができなかった場合や居眠り運転をしていた場合,無免許運転をしていた場合などに重過失が認められます。

時速30キロメートル以上の速度違反があった場合にも重過失があると考えられています。







◆著しい過失とは




一方,重大な過失にまでは達しないものの,その事故で通常想定される程度を超えるような過失があったとき,それを著しい過失として,過失割合の修正を行うことがあります。

たとえば,脇見運転等の著しい前方不注視,携帯電話で通話または画像を注視しながらの運転,著しいハンドル・ブレーキ操作不適切,時速15キロメートル以上の速度違反や酒気帯び運転などが挙げられています。

なお,脇見運転とは,ある程度継続して運転中に前方から視線を外している状態をいいます。
ただ,重過失よりは軽いので,加算される過失割合は,5〜10%程度です。







◆今回のケースでは




本件の「一時停止義務があるのにまったくこちらを見ていなかった」というのを脇見運転に当たると主張するのは厳しいです。

出会い頭衝突が生じるのは左右の安全不確認が原因であるのが通常でして,「こちらを全く見ていなかった」というのは通常想定されるような過失に含まれていると考えられます。

交通事故では,被害者と加害者の過失割合が非常に重要です。
相手の保険会社から主張されている過失割合に納得ができない場合には,一度,弁護士までご相談下さい。




▼参考記事
・過失割合について納得がいかないのですが,どうすればいいですか。
・交通事故の過失相殺とは
・相手保険から被害者の過失2割と主張されていた事例で,加害者車両のスピードが出ていたこと,事故現場の道路状況等を丁寧に説明し交渉の結果,被害者の過失1割で認められた解決事例




▼よつば総合法律事務所 公式サイト

(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

交通事故の加害者の任意保険が,弁護士を付けてくるのはどういうケースが多いですか?

2018年02月13日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故の加害者の任意保険が,弁護士を付けてくるのはどういうケースが多いですか?

ケースにもよりますが,たとえば被害者から激しいクレームが来ている場合や,通院があまりに長期に及んでいる場合,慰謝料の過大請求や詐病,詐欺が疑われるケースなどです。




 加害者の任意保険が弁護士をつけるケース



◆加害者の保険会社が弁護士を立ててくる理由




交通事故に遭った場合,賠償金の支払を受けるためには,相手の保険会社と示談交渉を進める必要があります。

このとき,通常は相手の保険会社の担当者が決まり,話を進めていくことになります。保険会社の担当者は,相手の保険会社の示談担当の従業員です。




ただ,一定のケースでは,相手の保険会社が弁護士を立ててくることがあります。

示談交渉の途中で弁護士を立ててくることもありますし,事故当初から弁護士に対応を依頼することもあります。

このように,保険会社が弁護士を立てる理由には,以下のようなものがあります。




(1)被害者のクレームが激しい

1つ目の理由は,クレーム対応です。

被害者の中には,保険会社の担当者に対して非常に乱暴な言葉遣いをしたり,罵倒したりする人がいます。
また,保険会社を通さずに加害者本人のもとに押しかけようとしたり,被害者の代理人と称する怖い人が現れたりすることもあります。

このような場合,保険会社の担当者では対応が困難となるため,弁護士に対応を依頼します。




(2)被害者が慰謝料の過大請求など

被害者が,慰謝料の過大請求をしたり,過少申告をしていた自営業者が本来の分の休業損害を求めてきたり,自動車の評価損を過大に請求したりなど,保険会社としては承服できない主張をしてきたときには,弁護士に対応を依頼します。

弁護士が支払を拒絶した方が,スムーズに問題を解決できるからです。




(3)詐病,詐欺など,被害者に問題があるケース

被害者が,短い期間に何度も交通事故に遭っており「当たり屋」である可能性があるケース,詐病が疑われるケースなど,被害者に問題があると考えられる場合にも,保険会社は弁護士に対応を依頼することが多いです。




(4)被害者の通院が長期に及んでいる

被害者の通院が長期に及ぶと,相手の保険会社は弁護士対応に切り替えることがあります。

通院が長期になってくると,保険会社としては,もはや通院は不要と考え,治療費の支払いを打ち切り,治療を終わらせようとします。

そのとき,弁護士に依頼して弁護士から書面で通知を送った方が,円滑に目的を達成できる可能性が高まります。そこで,通院が長びくと,弁護士対応に切り替えて治療費支払いを終了することを知らせる通知書を送ります。




(5)事故が重大なケース

すべてではありませんが,事故が重大な場合には,当初から弁護士に対応を依頼することもあります。




以上のように,相手の保険会社が弁護士を立ててくる理由はさまざまです。
相手の対応に不満や不安がある場合には,弁護士に相談してみてください。




▼参考記事
・保険会社担当者について思うこと
・交通事故と弁護士費用特約のすべて
・保険会社担当には裏がある

▼よつば総合法律事務所 公式サイト




(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

私は勤務先の営業担当です。 この度,私が交通事故に遭い,休業せざるを得なくなりました。その結果,勤務先の売上げが30%も低下しました。勤務先が損害賠償請求することはできますか?

2018年02月14日
このエントリーをはてなブックマークに追加

私は勤務先の営業担当です。
この度,私が交通事故に遭い,休業せざるを得なくなりました。その結果,勤務先の売上げが30%も低下しました。勤務先が損害賠償請求することはできますか?


勤務先が,あなたが休んだ分も給料を減額せずに支払っていた場合や,治療費その他の費用を肩代わりしていた場合には,その分を加害者に対して請求することができます。
売上げの30%減少分については,損害の対象とするのは難しいです。





 勤務先が損害賠償請求する場合



◆間接損害とは



本件のご相談のように,会社の従業員や役員(以下,「従業員等」といいます。)が交通事故に遭って仕事ができなくなったために,会社が被った損害のことを,間接損害といいます。

会社は,交通事故の直接の被害者(当事者)ではありませんが,自社の従業員が事故に遭ったことにより,間接的に損害を受けているからです。




ただ,間接損害の請求の可否については,基本的には否定的に捉えられています。

役員や従業員が交通事故に遭ったとき,受傷したのはあくまで受傷した本人だけであり,会社は損害賠償の主体になり得ないと考えられるからです。

ただし,会社と受傷した本人を一体として評価できるような特殊なケースでは,役員等が交通事故に遭った場合に会社に発生した損害も,会社に発生した損害と同視することができます。

そこで,間接損害を加害者に請求することが認められています。







◆間接損害が認められる基準




企業による間接損害が認められるかどうかの判断基準については,最高裁判所が判決を出しており,明確になっています(最判昭和43年11月15日)。

@事故に遭った代表者に実権が集中していること
A代表者に代替性がないこと
B会社と代表者に経済的一体性があること


基本的に,上記の3つの要件を満たす場合にのみ間接損害の請求が認められています。

つまり,小規模な会社で,会社代表者個人を会社と同視しうるようなケースでのみ,間接損害が認められるということです。

この基準からすると,営業の一担当者が交通事故に遭った場合などには,会社に発生した間接損害を請求することはできないこととなります。

本件でも,売上げの30%減を請求することは難しくなります。







◆反射損害




ただ,従業員が交通事故に遭ったとき,被害者が会社を休んでも,会社が減給せずに給料を支払っているケースがあります。従業員の治療費やその他の費用を肩代わりすることもあるでしょう。

このような企業の肩代わり損害のことを,反射損害といいます。

反射損害については,企業自身に発生した損害ですから,加害者に対して請求できることに争いはありません。
そこで本件でも,勤務先が肩代わりした損害があったら,勤務先が加害者に請求することができます。




会社員が交通事故に遭ったときには,勤務先との関係でも,いろいろな問題が発生することがあります。対応に迷われたときには,お気軽に弁護士までご相談下さい。




▼参考記事
・妥協しない 〜よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」
・営業車が事故で稼働できませんでした。その分の損害の賠償は出来ますか(休車損)。
・休業損害・逸失利益について

▼よつば総合法律事務所 公式サイト




(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)

交通事故で通院している病院の医師から,手術を受けるか保存治療を継続するか選択するよう言われました。手術を受けないと,後遺障害には認定されないですか?

2018年02月15日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故で通院している病院の医師から,手術を受けるか保存治療を継続するか選択するよう言われました。手術を受けないと,後遺障害には認定されないですか?

手術を受けないと後遺障害を受けられない,ということはありません。
ただ,手術をしたら症状が改善するにもかかわらず,あえて手術をしないために症状が残っていると考えられる場合には,賠償金額が減額される可能性があります。





 後遺障害認定 : 手術か保存治療



◆手術をするかどうかは,被害者の自由




交通事故の後遺障害認定は,症状固定時に被害者の身体に残っている症状について,認定されます。

手術をするか保存療法を継続するか選択できるケースにおいて,手術をしないからといって,症状固定しないわけでもありませんし,手術していないことを理由として後遺障害が否定されることもありません。




複数の考えられる治療方法があるとき,その中のどの治療方法を選択するかは被害者の自由だからです。

もし,手術しないと後遺障害が認められないということになると,被害者に手術を強制することになってしまい,不合理です。







◆手術をしたら症状が改善する場合について




ただ,手術をしたら症状の改善が見込めるケースもあります。

それにもかかわらず,あえて被害者が手術を受けないで症状を悪化させている場合には,被害者の選択によって損害が拡大していると考えられます。

このような場合には,過失相殺を類推して,相手に請求できる賠償金を減額されてしまう可能性があります。

また,手術をしたら症状が完治するにもかかわらず手術を拒絶している場合には,症状と交通事故の因果関係が否定されて,後遺障害が認定されない可能性も出てきます。







◆減額・否定されるかどうかの判断基準




手術を受けないことで賠償金が減額されたり,因果関係を否定されたりする場合とされない場合は,どのような判断基準で分かれるのでしょうか?

被害者が手術を拒絶したことについて正当な理由がある場合には,減額や後遺障害の否定は行われにくいです。

たとえば,「手術に大きな危険が伴うので,あえて手術を受けない」という場合には,手術を受けなかったとしても賠償金の減額はないでしょう。

これに対し,手術自体のリスクは小さいにもかかわらず,「仕事が忙しい」などという理由で手術を拒絶している場合などには,賠償金を減額されやすいです。







◆手術を受けたこと自体が後遺障害の認定基準になる場合




また,後遺障害の中には,手術を受けたこと自体が認定基準となっているものもあります。

たとえば,脊柱変形の後遺障害の場合,一定の手術(脊椎固定術や,3個以上の脊椎に椎弓切除術などの椎弓形成術を施したこと)が11級の認定基準となっています。

このような場合には,手術を受けないとこの後遺障害の認定が行われません。




以上のように,手術と後遺障害の関係にも,配慮が必要なケースがあります。
御説明の可能なこともありますから,お気軽にご相談下さい。





▼参考記事
・交通事故による後遺障害の解説
・後遺障害等級について
・当事務所の交通事故解決事例

▼よつば総合法律事務所 公式サイト




(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)
プロフィール
よつば総合法律事務所
千葉県最大級の法律事務所。弁護士16名が所属しております。事務所名の「よつば」は事務所に関わる人が皆幸せになるようにとの思いから名付けました。お気軽にご相談ください。
柏事務所:千葉県柏市(柏駅徒歩3分)
千葉事務所:千葉市(千葉駅徒歩3分)

千葉で交通事故に強い弁護士の無料相談サイト

メールでのお問い合わせ
<< 2018年 02月 >>
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28      
最新記事