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2018年01月15日

交通事故での減収がなくても,後遺障害逸失利益が損害として認められますか?

 
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交通事故での減収がなくても,後遺障害逸失利益が損害として認められますか?

実際の減収がなくても,減収が発生しないように本人が特別の努力をしているケースや,将来における不利益が予想されるケースなどでは,後遺障害逸失利益が認められる可能性があります。




 減収がない場合の後遺障害逸失利益



◆減収がないと,後遺障害逸失利益は認められないことが原則




後遺障害逸失利益とは,交通事故の受傷によって後遺障害が残ったときに,労働能力が低下することにより,得られなくなってしまった将来の収入のことです。

後遺障害が残ると,身体のいろいろな箇所に不調が発生するので,労働能力が低下します。
それまでとは同じように働けなくなるので,減収が発生するはずです。

その減収分のことを,後遺障害逸失利益といいます。




ところが,ケースによっては,後遺障害が残っても,減収が発生しないことがあります。

たとえば,会社員や公務員,会社役員などの場合,「労働能力が低下して仕事内容が変わっても,給料は同じ」ということも多いです。

このような場合,加害者側の保険会社からは,後遺障害逸失利益を否定されることがよくあります。

最高裁も,昭和42年11月10日の判決において,「後遺障害逸失利益は,実際の減収を前提とする」という判断をしています。







◆減収がなくても,後遺障害逸失利益が認められるケース




しかしその後,最高裁において,上記の判断に追加的な修正が加えられています。

最判昭和56年12月22日においては,後遺障害逸失利益が減収を前提とすることを踏襲しつつも,「後遺症が,被害者に経済的不利益を与えるといえる特段の事情」がある場合には,後遺障害逸失利益を認めると判断しているからです




このような特段の事情が認められるのは,具体的には,以下のようなケースです。



・減収が発生しないように,本人が特別の努力をしている場合(本人の特別の努力がなければ,実際の減収が発生している場合)

・被害者の職業の性質からして,将来の昇給や転職などに際し,不利益を受けるおそれがある場合





これをふまえて,実際の減収がないケースで後遺障害逸失利益を認める判断がたくさん出ています。



たとえば,被害者が公務員のケースで,後遺障害が残っても減給はなかったものの,将来の昇給などが期待できなくなったとして,70%の労働能力喪失を認めたケースがあります(札幌地裁平成7年10月20日)。

また,看護師の女性について,実際に現時点における減収は発生していないけれども,将来にわたって仕事を継続できない可能性があることを考慮して,20%の労働能力喪失を認めたケースもあります(大阪地裁平成11年12月2日)。





以上のように,実際には減収が発生していなくても,後遺障害逸失利益が認められるケースはあります。
相手の保険会社から逸失利益を否定されても,あきらめずにまずは弁護士にご相談下さい。




▼参考記事
・ひとりひとりに合った適切な解決方法をご提案
・逸失利益・基礎収入について(裁判基準)
・当事務所の解決事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)
プロフィール
よつば総合法律事務所
千葉県最大級の法律事務所。弁護士16名が所属しております。事務所名の「よつば」は事務所に関わる人が皆幸せになるようにとの思いから名付けました。お気軽にご相談ください。
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