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2018年01月12日

交通事故で妻が遷延性意識障害になり,私が仕事をやめて在宅介護をしています。私が収入を得られなくなったことについては損害として賠償の対象になりますか?

 
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交通事故で妻が遷延性意識障害になり,私が仕事をやめて在宅介護をしています。私が収入を得られなくなったことについては損害として賠償の対象になりますか?

この場合,近親者の介護費用として日額8000円程度の費用が認められる可能性がありますが,従前の収入からの減収分を,そのまま逸失利益として認められることは難しいです。




 近親者の介護費用 



◆近親者の介護費用について




交通事故で,被害者に介護が必要になったら,介護の費用が発生します。

このとき,近親者が介護を行う場合と,職業介護人が介護を行う場合があり,どちらを選択するかによって,実際に支払う費用が変わってきます。




同じように,交通事故の損害賠償においても,近親者が介護するときと,職業介護人をつけるときとで,介護費用の計算方法が異なります。

近親者が介護をする場合には,日額8000円と基準として計算しますが,職業介護人をつけた場合には,日額1万円〜2万円くらいの金額を認めてもらうことができます。

本件では,介護を行っているのは被害者の夫であり,近親者ですから,介護費用として認められるのは,日額8000円程度となります。







◆介護のために,退職まで必要と判断されることは少ない




しかし,本件のように,夫が仕事を辞めて在宅介護に専念するようになったとき,夫の減収分についてまで,逸失利益ないし休業損害として認めてもらえるのでしょうか?

実際には,このような場合,夫の減収分についての賠償請求は,認められないことが多いです。

なぜなら,まず,夫が会社を退職してまで介護を行う必要性が,裁判所によって認められにくいですし,夫が退職するよりも,職業介護人に依頼した方が良いのではないかと考えられることが多いからです。

そこで,本件でも,夫の減収分が評価されず,日額8000円の介護費用の限度にとどめられる可能性が高いです。







◆認められるとしても,職業介護人の費用を限度とされる可能性が高い




また,夫が退職して介護する必要性が認められたとしても,減収分を全額請求できるというわけではありません。

夫の収入が職業介護人を雇ったときの費用の金額を超える場合には,職業介護人の費用の限度に抑えられてしまうことが考えられます。

減収分が職業介護人の費用を超える場合には,仕事を辞める必要がなく,収入を維持したまま職業介護人を雇えば良かった,と判断されてしまうためです。




この考え方は,近親者が仕事を休んで付添看護をしたときの,近親者の休業損害と同じものです。

ただし,こういったケースでも,どうしても近親者が付添看護をしなければならないという特殊事情がある場合には,実収入を元とした計算方法が認められているので,介護の場合にも,同様の主張が認められるかもしれません。




以上のように,介護費用の考え方には,いろいろと難しい点が多いです。また,比較的新しい問題なので,整理されていないところもあります。

交通事故の後遺障害で介護が必要になったときには,交通事故に強い弁護士にご相談下さい。







▼参考記事
・主婦の入通院付添費は,どのように計算されますか?
・交通事故で遷延性意識障害になった被害者の将来介護費について裁判で争い解決した事例
・将来介護費について




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)
プロフィール
弁護士法人よつば総合法律事務所
地域最大級の弁護士14名が所属しております。事務所名の「よつば」は事務所に関わる人が皆幸せになるようにとの思いから名付けました。お気軽にご相談ください。
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