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高次脳機能障害に気付かず職場復帰

高次脳機能障害に気付かず職場復帰

最終更新日:2023年7月3日

監修者:よつば総合法律事務所
代表弁護士 大澤 一郎

Q交通事故のあと、高次脳機能障害に気付かず職場復帰したらどうなりますか?
A職場になじめないこと、示談前の復職は賠償交渉に不利に働くことなどの問題があります。病院で検査を行い、しっかりと治療をしてから職場復帰をしましょう。
病院の医師と要相談

高次脳機能障害とは

高次脳機能障害とは脳損傷による認知障害全般です。様々な認知障害だけではなく、行動障害や人格変化を伴うことが多いです。症状には記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などがあります。

高次脳機能障害の復職

復職は主治医の意見を尊重して決めましょう。復職に悩んでいるときはハローワークなどの就労支援機関に相談してみましょう。

高次脳機能障害の就労支援機関

高次脳機能障害の就労支援機関には、①ハローワーク②独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構③障害者就業・生活支援センター④障がい者雇用支援センター等があります。
現在の状況に応じて利用可能なサービスを検討しましょう。

症状に気付かず職場復帰する事実上のデメリット

では、高次脳機能障害に気付かずに事故前の職場に復帰したらどうなるでしょうか?

実は、職場復帰をしてから高次脳機能障害に気付くことが多いです。

病院での患者の責任は、医療チームの指示を守って過ごすことです。つまり、患者は医療を施される受け身の側です。しかし、社会に出れば、職場における責任、人間関係の構築、任務の遂行など高度な判断を迫られます。

病院内で過ごしていたときの脳は、車のエンジンで言えばアイドリング状態です。社会に出ると脳はトップギアに入ります。

職場復帰し、複雑な思考や決断を次々と迫られる結果、「得意だった仕事ができなくなった」「大切な約束をすぐ忘れてしまうようになった」「会った人の名前を覚えられない」など以前と違う自分に気付くのです。

職場でもトラブルになってしまう可能性があります。

症状に気付かず職場復帰する法的なデメリット

では、症状に気付かずに職場復帰したときの法的なデメリットは何でしょうか?
示談前に職場復帰すると、休業損害後遺障害逸失利益で不利益となる可能性があります。

休業損害のデメリット

一度職場復帰すると、職場復帰後は休業損害が賠償対象になりません。

職場復帰後に再度休んだときも休業損害は賠償対象とならないことが多いです。「一度職場復帰したので働けるはず」と保険会社が考えることが多いためです。

後遺障害のデメリット

職場復帰すると「仕事が可能」である前提で後遺障害認定をします。実際の症状より低い後遺障害認定となることがあります。

逸失利益のデメリット

職場復帰すると「仕事が可能」である前提で逸失利益を計算します。実際の損害より低い金額しか賠償対象とならない可能性があります。

職場復帰の前にすべきこと

では、職場復帰の前にすべきことは何でしょうか?

頭部外傷による高次脳機能障害は、自覚症状がないことも多いです。事故で頭部に衝撃を受けたときは、必ず医師に伝えましょう。その上でCTやMRIの画像検査を行いましょう。

「事故後様子が変」と家族に言われたときも要注意です。本人は気付かなくても家族は高次脳機能障害に気付いていることもあります。家族から指摘を受けたときは、病院へ行きましょう。

病院で検査を行い、しっかりと治療をしてから職場復帰をしましょう。

まとめ:高次脳機能障害に気付かず職場復帰

高次脳機能障害に気付かず職場復帰すると、職場になじめなかったり、示談前の復職は賠償交渉に不利になったりという問題があります。

病院で検査を行い、しっかりと治療をしてから職場復帰をしましょう。

(監修者 弁護士 大澤 一郎

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