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2017年07月24日

交通事故による高次脳機能障害:短期記憶障害でもできる仕事はありますか?

 
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交通事故による高次脳機能障害:短期記憶障害でもできる仕事はありますか?

交通事故による高次脳機能障害で短期記憶障害を発症すると,ついさっき起きたことを覚えられなくなりますが,仕事の内容と周囲の理解により職場復帰が可能です。




 短期記憶障害:仕事復帰 



◆物覚えが悪くなったのは頭を打ったせい?


Gさん(54歳男性)は,早期退職優遇制度を利用して55歳で早期退職して妻と自宅カフェを開業する予定でした。

しかし,Gさんの夢は,Gさんが交通事故に遭ったことで打ち砕かれました。

休日に夫婦で散歩に出かけたところ,見通しの悪い交差点で一旦停止義務を怠り走ってきた自動車にはねられたのです。Gさんの奥さんは軽傷でしたが,Gさんは頭を強く打ち,救急車で病院に運ばれました。


Gさんは,CT検査を受けた結果,下頭頂小葉(かとうちょうしょうよう)の損傷が発見され,高次脳機能障害と診断されました。




入院後,Gさんは物覚えが悪くなったと奥さんから言われました。


たとえば,病院の売店に二人で行き,奥さんが電話をかけたいのでその間にオレンジジュースを買っておいてと頼んだのに,戻ってきたらジュースは買わずスポーツ新聞を買っていました。オレンジジュースを買っていないと奥さんが文句を言うと,Gさんは,そんなことは頼まれていないと言い返すのでした。

Gさんに起きた高次脳機能障害の後遺症は,「記憶障害」でした。
特に,最近おきたばかりの出来事を覚えることができない,短期記憶に障害が起きていました。



Gさんが損傷したことが画像診断で明らかになった下頭頂小葉は,大脳の前頭葉,側頭葉,後頭葉に接している脳の中心部です。下頭頂小葉は,さらに縁上回(えんじょうかい)と角回(かくかい)に分かれていて,このうち、縁上回は短期記憶と密接な影響があり,Gさんは,ついさっき起きたことや聞いたことを覚えられなくなってしまったのです。




医師は,Gさんの奥さんに記憶障害について説明し,物忘れがひどいのは病気のためであることを理解するよう伝えました。







◆記憶障害で職務が果たせない


Gさんは1カ月後に退院し,会社勤めを再開しました。

しかし,復職してすぐ,高次脳機能障害の影響が仕事に現れるようになりました。



Gさんの職務は電話がかかってくることが多く,他の部署や同僚への伝言をメモして回覧するのもGさんの仕事です。ところが,Gさんは電話を受けて話をしているうちに,誰からの電話でどんな要件を受けたのか覚えられず,メモを取ることもできなくなりました。

電話で話している間は,ごく普通に会話できるのに,電話を切ると何をしゃべったか全く覚えていないのです。これでは仕事になりません。




短期記憶障害により,Gさんは現在の業務遂行が困難になりました。Gさんは,上司に高次脳機能障害の後遺症があることと,電話に出なくても良い事務作業を希望しました。その結果,Gさんは退職するまでメールセンターで郵便物の仕分けを担当することになりました。


同僚には,自分から短期記憶障害の説明をして,伝言がある場合はメモでほしいと頼みました。
メモを自分のデスクに貼っておけば,記憶が失われても伝言を再確認できるからです。



会社の理解と協力により,もうじきGさんは定年退職の日を迎えます。




▼参考記事
・解決事例:会社員が高次脳機能障害になり,解決した事例(被害者の努力と勤務先の配慮もあり,減収がある程度抑えられた事例)
・よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」:重度の後遺障害と示談交渉について
・交通事故HP:交通事故と治療Q&A




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)
プロフィール
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