2017年01月

リハビリテーションをグループで行う事は,どんな影響があるのですか?

2017年01月24日
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リハビリテーションをグループで行う事は,どんな影響があるのですか?

高次脳機能障害のリハビリテーションで行われるグループ訓練は,模範的行動を学習できるので,患者さんに良い効果をもたらします。




 グループ訓練



■グループ訓練とは?



グループ訓練とは,グループで行うリハビリテーションです。


交通事故に遭って高次脳機能障害になった人は,急性期が過ぎて回復期に入ると症状が安定してくるので,同程度の障害を持つ患者さんと一緒にリハビリテーションを受ける機会があります。



グループ訓練には,以下のような利点があります。

・他の人の模範的な行動を見ることで学習できる
・他の人とやりとりすることで,学習したことを実際に使えるようになる
・ピアカウンセリングの一面を持っている


ピアカウンセリングとは,同じような悩みを持つ人同士でおこなう相談のことです。

リハビリテーションの現場では,医療スタッフがいるので,高次脳機能障害の患者さんは心のなかで思っていることを言い出せないことがありますが,同じような悩みを持つ患者さん同士の場合は,心の垣根が取り外されて,思っていることを素直に言いやすいのです。

たとえ,話をしたことだけでは悩みを根本的に解決できなくても,同等の立場の他者と話をすることで気持ちが明るくなるなどの効果が期待できます。







■グループ訓練に参加する目的は全員同じでなくても良い


ある人は発話が少ないので,他者と会話することを訓練するためにグループ訓練に参加します。
また,ある人は注意障害があるので,45分と定められたリハビリテーション時間の間,注意をそらさず訓練に集中することが求められます。



上記の2人は,リハビリテーションの目的は異なっても,一緒にグループ訓練に参加できます。
なぜなら,患者さんの目的は異なっていても,各自の課題をリハビリテーションの場で試すことが目標だからです。







■グループ訓練に参加する人への配慮



・失語症の人への配慮

聴覚理解が同程度の人同士のグループ訓練が望ましいと言えます。
聴覚理解がいちじるしく低下している人が参加する場合は,言語を使わなくてもできる訓練を行います。


・注意障害の人への配慮

グループでの会話が難しすぎないか注意しながら訓練を行い,休憩を交えながら集中力を維持するよう努めます。



・感情コントロールがある人への配慮

トラブルがあった場合は,トラブルを起こした人を別の部屋に連れて行き,落ち着きを取り戻すようにします。
トラブルの前兆として,感情が高ぶったり,暴言が出た場合は休憩します。



・記憶障害がある人への配慮

ゆっくりと会話を進め,会話のテンポが速くならないように気を付けます。
グループ訓練の内容をホワイトボードに書くと,患者さんの理解が深まります。







(弁護士法人よつば総合法律事務所)

高次脳機能障害の家族が困ることはなんでしょうか?

2017年01月23日
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高次脳機能障害の家族が困ることはなんでしょうか?

高次脳機能障害の家族は,病気を受け入れるのが難しかったり,問題行動に対処できないため悩みますが,医療スタッフや行政の支援を受けて問題を解決していきましょう。




 高次脳機能障害の家族 


◆高次脳機能障害の家族が抱える悩みとは?


交通事故による高次脳機能障害は完治がむずかしい病気なので,患者さんの家族は様々な問題を抱えて悩みます。

以下に,高次脳機能障害の患者さんの家族が抱えることの多い問題を挙げます。









◆家族が高次脳機能障害という病気を受け入れない場合


 ・高次脳機能障害であることを認めない   ・高次脳機能障害について理解できない

患者さんの家族がこのような態度で医療スタッフに接する場合は,家族に高次脳機能障害という病気を理解してもらうことが大事です。


医療スタッフによるカウンセリングを受け,機能回復訓練を行っているところを見学させてもらうなどすることにより,将来に対する希望が芽生えます。

同じ病院に複数の高次脳機能障害患者が入院している場合は,家族向けの学習会に参加して,病気に対する理解度を深めましょう。全国に構築されている家族会に参加することも,ネットワークを通じて病気を理解する助けになります。








◆家族が高次脳機能障害を支援している場合


家族が高次脳機能障害を理解しようと努めて患者さんを支援しても,家族だけでできることには限界があるので,医療スタッフや専門家に助言を求めましょう。




・リハビリテーションについて理解しよう
急性期からリハビリテーションを始めると,患者さんが嫌がっていると異議を唱えたくなることもありますが,急性期にリハビリテーションを受けるかどうかは,予後に大きく影響します。
急性期から回復期,慢性期に及ぶリハビリテーションプログラムの概要を家族が理解することが,患者さん自身がリハビリテーションに意欲を持つことにつながります。

・症状に対する対応に苦慮している
高次脳機能障害が原因の暴言・暴力などに悩んでいる家族は,自分たちだけで悩まず,医療スタッフや関係機関に相談しましょう。

・経済的な問題で悩んでいる
一家の大黒柱が高次脳機能障害になると収入が途絶え,高次脳機能障害の治療費が家計の負担となります。
経済的に困窮している場合は,患者さんの年齢や病状に応じて利用できる福祉サービスがあります。
病院のソーシャルワーカーに相談しましょう。

・家事負担が大きく家族が疲弊している
高次脳機能障害の患者さんに対する介助負担が大きく,家族が疲れ切っている場合に利用できる福祉サービスについて,行政の窓口で相談しましょう。
区市町村役場の相談窓口以外に,各都道府県には,高次脳機能障害支援普及事業拠点機関があり,より専門的な助言を受けられます。







(弁護士法人よつば総合法律事務所)

子どもが高次脳機能障害になったら,どんな事に気をつければ良いでしょうか?

2017年01月20日
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子どもが高次脳機能障害になったら,どんな事に気をつければ良いでしょうか?

子どもが高次脳機能障害になると,復学が一つの大きな目標になります。家族だけで復学の環境を整えるのではなく,リハビリスタッフや学校の協力を求めましょう。




 高次脳機能障害の子どもの復学



◆子どもが高次脳機能障害になったら?


高次脳機能障害は,脳を損傷すれば大人だけでなく子どもでも発症する病気です。

大人は,高次脳機能障害の治療でリハビリテーションを受けるとき,社会復帰や復職,就労などを目標とします。

一方,交通事故などが原因で子どもが高次脳機能障害になった場合は,学業の継続が大きな課題となります。




しかし,高次脳機能障害による後遺症は,人間関係を変化させます。
注意障害や記憶障害,遂行機能障害などの症状がある場合,復学した後,学校の友人が病気による症状であると理解せず,孤立する可能性もあるでしょう。

さらに,長期間に渡って休学していたことによる学業の遅れを取り戻さなければならないという重圧もあります。高次脳機能障害の子どもにとって,復学は大きなプレッシャーになる可能性があるのです。



退院したからといってすぐに復学するのではなく,専門家による心理的なサポートを受けながら復学に向けて準備するのが望ましいでしょう。







◆復学支援を受けよう


高次脳機能障害の子どもが復学する際には,リハビリテーションを担当している言語聴覚士(ST)を中心に,学校や地域の教育相談担当者とチームを作って,復学の環境を整えましょう。

たとえば,復学後も,午前と午後の授業をすべて受けることはむずかしいと言語聴覚士が判断した場合,午後は保健室で休憩するなど,学校側に臨機応変の対応を求めていきます。







◆復学後もリハビリテーションを受ける機会を維持しよう


高次脳機能障害による後遺症が残っているかぎり,リハビリテーションを受けて,機能回復の期待を持つことができます。

復学すると家庭と学校の往復で,通院してリハビリテーションを受ける時間を設けることがむずかしくなりますが,できる限りリハビリテーションを継続しましょう。
リハビリテーションの達成度を定期的に評価し,次の目標を設定する作業も不可欠です。







◆学校に理解を求める


授業を受けずに保健室で休んでいる時間が長かったり,リハビリテーションを受けるために学校を早退する様子を見て,学校の友達が特別扱いされていると感じるかもしれません。

高次脳機能障害であっても,外見からはわからないことが多いので,復学する際には学校と生徒に理解を求めましょう。







◆高次脳機能障害の家族会などのネットワークを活用する




高次脳機能障害に関する悩みを一人で抱え込まず,家族会などのネットワークに参加すると,悩みを聞いてもらえたり,問題解決のヒントを得られます。




(弁護士法人よつば総合法律事務所)

高次脳機能障害のリハビリテーションでは,どんな工夫が必要ですか?

2017年01月19日
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高次脳機能障害のリハビリテーションでは,どんな工夫が必要ですか?

高次脳機能障害のリハビリテーションは時間がかかる長い道のりなので,本人の意欲を喪失させないように,できることを見つけて喜ぶといった共感を持つことが大事です。

 高次脳機能障害のリハビリテーション



◆高次脳機能障害のリハビリテーションは長い道のり


交通事故で高次脳機能障害を発症すると,完治がむずかしく後遺障害が残る病気なので,リハビリテーションは時間をかけて取り組む必要があります。

数週間リハビリテーションに精を出したからといって,すぐに効果が現れるとは限りません。



高次脳機能障害のリハビリテーションは,長い道のりであることを患者さんに理解させ,家族が協力してリハビリテーションに取り組まなくては効果は期待できません。




「高次脳機能障害の治療をこれ以上続けても病状は変わらない,または治ったようでも元の状態に戻る。」と主治医が認めて後遺障害診断書を作成すると,症状固定をしたことになり,後遺障害が残ったことが明らかになります。
つまり,その症状は固定されたままで,今後もその症状が軽くなることはありませんというのが,症状固定が意味するところです。

しかし,高次脳機能障害の患者さんは,しばしば症状固定を認めたがりません。
症状固定をした後,遺障害を回復させてもとの健康状態に戻りたい,職場復帰をしたいなど,患者さんにはそれぞれ願望があります。

高次脳機能障害の患者さんは,早い時期からリハビリテーションプログラムに沿って機能回復訓練を受けます。患者さんがそれぞれ目的を持つからこそ,モチベーションを維持してリハビリテーションを頑張ることができるのです。







◆リハビリテーションに対する意欲を引き出す


患者さんが抱く願望のなかには非現実的なものもあり,リハビリテーションを行っても,患者さんが望むような健康状態に戻ることができない可能性もあります。


医療スタッフと患者さんの家族は,患者さんのリハビリテーションに対する意欲を引き出す工夫が求められます。

たとえば,できることを見つけ,できたことを喜ぶことは,患者さんが感じる達成感を共有し,さらに一段階上の目標に挑戦する意欲を引き出します。
たとえ,目標を達成できなくても,チャレンジした過程を検証し,患者さんの努力を認めることで,患者さんがもう一度挑戦してみようという気持ちを持つことができます。










◆リハビリテーションのゴールとは?



高次脳機能障害におけるリハビリテーションは,患者さんの希望をどのように実現させるかをゴールに設定すると良いでしょう。完全な機能回復をゴールにするのは非現実的で,リハビリテーションに対する患者さんの意欲を喪失させます。

たとえば,職場復帰が患者さんの目標の場合,健康な時のように通勤して同じ仕事をこなすことはできないかもしれません。
就労で求められるコミュニケーション能力,交通機関を利用した通勤,仕事に対する集中力とスキルは十分かといったことを確認しつつ,後遺症があっても職場復帰できるように,リハビリテーションプログラムを組みます。







(弁護士法人よつば総合法律事務所)

交通事故で高次脳機能障害を発症してしまったら,家族はどんなサポートをすれば良いのでしょうか?

2017年01月18日
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交通事故で高次脳機能障害を発症してしまったら,家族はどんなサポートをすれば良いのでしょうか?

高次脳機能障害が原因の暴言,暴力などの社会的行動障害で苦しんでいる家族は,保健所や精神福祉センターなどの窓口に相談に行きましょう。




 社会的行動障害と家族の対応



◆高次脳機能障害の人が周囲を困らせる症状とは?


交通事故に遭って高次脳機能障害を発症すると,発病する前には見られなかった社会的行動障害がしばしば現れます。


社会的行動障害とは,暴言,暴力,徘徊,性的逸脱,浪費,自傷,ギャンブル,飲酒,万引きなどを指します。
これらの行動は周囲の人,特に家族を困らせ,高次脳機能障害の患者さんが孤立する原因となります。


高次脳機能障害で社会的行動障害が現れるのは,脳の損傷だけが原因とは限りません。
怪我により能力が低下したことや,高次脳機能障害になったために激変した生活を受け入れることができずにいるため,その感情のはけ口が社会的行動障害となって現れる場合もあります。

しかし多くの場合は,高次脳機能障害のために,人間関係を築く能力や問題解決能力が低下したことが原因で,社会的行動障害が現れます。さらに,日常生活における様々な技能が低下したことも,社会的行動障害を引き起きします。







◆家族は保護者か?それとも被害者か?


退院後の高次脳機能障害の患者さんは,発病前より生活圏が狭まり,自宅にこもりがちになります。
そのため,社会的行動障害の症状がある患者さんの感情のはけ口は,家族に向けられることが多くなります。



暴力や浪費癖による金銭の要求などがあっても,高次脳機能障害の患者さんを守ることができるのは家族だけだと思って,患者さんの理不尽な行動を黙認しがちです。
高次脳機能障害の患者さんの家族は,社会的行動障害の被害者であると同時に社会から守る保護者でもあるため,我慢をしてしまうのです。

しかし,家族の忍耐には限界があります。
高次脳機能障害の患者さんが,深刻なトラブルを起こさないうちに,社会的支援を求めてください。

たとえば,たえまない暴言,暴力に家族が耐えかねているような場合は,家族の心のなかには不安や不満がうっ積していることでしょう。



では,高次脳機能障害の患者を抱える家族が平温な日常を取り戻すためには,どうすれば良いのでしょうか?







◆行政の窓口に相談に行く


保健所や精神保険福祉センター,都道府県の障害福祉担当課などに,患者さんをどのようにケアしたら良いか相談し,患者さんと家族を交えた関係者会議を開催するよう行動してください。



社会的問題行動がある高次脳機能障害の患者さんは,無意識にそのような行動をするのではありません。行動をやめたくてもやめられなくて,問題を起こしてしまったときは,患者さんを非難したり叱ったりすることは避けるべきですが,患者さんが周囲の人間を困らせている症状については,周囲を困らせていることを本人が明確に知るようにするべきです。







(弁護士法人よつば総合法律事務所)

交通事故で高次脳機能障害になりました。もう仕事には就く事は難しいのでしょうか?

2017年01月17日
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交通事故で高次脳機能障害になりました。もう仕事には就く事は難しいのでしょうか?

交通事故で高次脳機能障害になっても,主治医から仕事に就いて良いと言われたら,就労準備支援プログラムなどを利用して訓練を受け,自信をもって就労しましょう。




 高次脳機能障害と就労支援制度 



◆高次脳機能障害になっても就労できる


交通事故による高次脳機能障害は,身体的,精神的な後遺症が残る病気ですが,適切な機能回復訓練を行えば,社会復帰が可能です。


医療機関では,高次脳機能障害と診断した早い段階から,機能回復訓練のためのプログラムを組んで,患者さんが退院した後,社会に出て仕事をしたり人と接したときのことを考えてリハビリテーションを行います。




病気が完全に治ってから仕事に就きたいと思っていても,高次脳機能障害は完治が困難な後遺障害であることも事実です。
もっと良くなってから仕事を再開しようと考えていると,働いていない期間が長くなり,その後の復職がさらに困難になりがちです。

高次脳機能障害の人は,病状が落ち着いたら仕事に復帰することを検討することで,より自立した生活を送る自信を持てます。







◆社会復帰できるかどうか判断するには


以下の質問項目のうち,自分にいくつ当てはまるかチェックしてみましょう。

・主治医から仕事をしても大丈夫だと言われた
・病状が安定している
・仕事をするのに十分な体力と気力がある
・職場で高次脳機能障害について理解がある
・通勤が体力的な負担にならない


高次脳機能障害による後遺症を軽減させる工夫も,仕事をスムーズにこなす上で効果があります。
たとえば,物忘れがひどくなり,その日のスケジュールを覚えられない場合は,手帳に予定表を書き込み,次の行動を逐次確認しながら仕事をするといった工夫が重要です。

むろん,やりがいを感じる仕事をすることも大事です。
仕事が大きなストレスとなるようであれば,就労したことが精神面の負担となり,後遺症を悪化させる一因となります。







◆就労支援制度を知ろう


地方自治体は,独自の就労準備支援プログラムを用意しています。

東京都を例に挙げると,5カ月の通所プログラムを利用できます。



高次脳機能障害で仕事から離れて入院生活を送っていた人が,すぐ職場復帰をするのは困難な場合もあるでしょう。そのような時は就労準備支援プログラムを申し込んで職業評価や訓練を受けることで,自信を持って仕事に就けます。

高次脳機能障害による後遺症が重い場合,復職や新規雇用で働くのは困難かもしれません。
そのような場合は,福祉施設で訓練を受けながら就労に自信をつけることも検討します。




企業の事業種は,障害者雇用率を定められており,一定の人数の障害者を採用する義務があります。
ハローワーク,障害者職業センター,障害者雇用支援センターなどは,高次脳機能障害で後遺症がある人の就労相談に応じてくれます。







(弁護士法人よつば総合法律事務所)

交通事故で高次脳機能障害になりました。利用できる保険や行政の支援など,あるのでしょうか?

2017年01月13日
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交通事故で高次脳機能障害になりました。利用できる保険や行政の支援など,あるのでしょうか?

交通事故で高次脳機能障害になったら,条件が合致すれば,介護保険制度,身体障害者福祉法または,精神保険福祉法などによる行政のサービスを受けることができます。




 高次脳機能障害:保険制度と行政支援 




◆後遺障害があることを早く発見する



交通事故で頭を強く打っても,外傷を伴わないことがあります。
病院で一通り検査をしても,特に異常は認められず,脳の後遺障害など疑いもせずにいたところ,後でさまざまな症状が出てくることがあります。



高次脳機能障害は診断が難しく怪我をしてから,後になって家族が「おかしな行動を取る」「別人のようになってしまった」などと,悩むこともしばしばです。

高次脳機能障害が疑われる事故にあったら,後遺障害の有無を徹底的に検査し,高次脳機能障害と診断されたらできるだけ早く適切な治療を開始しましょう。

高次脳機能障害の疑いがある人が受診する診療科目は,脳外科または神経内科ですが,患者さん自身が受診を嫌がったり,病気ではないからと病院に行きたがらないことも多いので,家族が説得して診療を受けさせましょう。







◆介護保険制度の利用


高次脳機能障害はさまざまな後遺症を伴う病気で,日常生活を送るうえで困難を伴うこともしばしばです。介護保険を利用できる方は,介護保険の申請を検討しましょう。



高次脳機能障害で介護保険が利用できるのは,65歳以上の人と,脳卒中などの国が定めた特定疾患が原因で高次脳機能障害になった40歳以上65歳未満の人です。

患者さんは,介護保険制度によるさまざまなサービスを一部自己負担で利用できます。
しかし,65歳未満で事故による脳外傷が原因で高次脳機能障害になった場合や,年齢が40歳未満で脳卒中が原因で高次脳機能障害になった場合は,介護保険を利用できません。








◆介護保険制度を利用できない人に対する福祉サービスは?



【身体障害者手帳の交付を受ける】

脳外傷による高次脳機能障害のため介護保険を利用できない場合は,身体障害者福祉法に基づいた支援を受けることを検討します。身体障害者福祉の支援を受けるには,身体障害の等級認定を受けて身体障害者手帳を発行してもらいます。

たとえば,失語症の後遺症がある場合は,音声・言語機能障害の等級認定申請をします。
身体障害の等級認定を申請するにあたっては,障害判定の資格を持っている医師に障害診断書を作成してもらいます。
審査の結果,失語症であれば身体障害3級または4級というように,どの程度の症状かによって等級が決定します。




【精神障害者保険福祉手帳の交付を受ける】

高次脳機能障害は,精神的な障害が現れる場合があります。
精神面の障害を理由に福祉サービスを受けられる可能性があれば,精神保険福祉法にもとづく行政のサービスを受けるために,精神障害者保険福祉手帳を申請してください。







(弁護士法人よつば総合法律事務所)

交通事故で頭を打ちました。脳を損傷した場合,精神的な変化はありますか?

2017年01月12日
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交通事故で頭を打ちました。脳を損傷した場合,精神的な変化はありますか?

交通事故が原因の高次脳機能障害は,脳の損傷部位によって精神にさまざまな変化が起こります。

 脳の損傷部位別:精神的な変化 



◆脳の損傷は精神に影響を与える



友人が交通事故で頭を強打して入院治療をし,無事退院したと聞いて会いに行ったら,まったくの別人のように性格が変わっていた・・。

それぞれの人特有の人格や精神の発露が,高次脳機能障害を発症した結果,がらりと変わってしまうことがあります


しかし,頭をどのように打っても精神の変化が同じというわけではありません。

脳の損傷部位とそれにともなう精神の変化は次のように分類できます。







◆大脳右半球損傷と精神的な変化


・飽きっぽくなる
・注意力が持続しない
・細かいことが気になる
・せっかちになる
・多弁だが話す内容に深みがない
・声の調子から相手の感情を察知できない


大脳右半球損傷は,左半側空間の失認をともなうことが多いので,空間の認識が悪くなってベッドの上にものが散乱するなどの状態も,大脳右半球損傷の特徴です。







◆大脳左半球損傷と精神的な変化


大脳左半球損傷は,失語症をともなうことが多いので発話は少なくなりますが,比較的礼儀正しく,挨拶をする,身の回りを片付けるなどの傾向が見られます。


一方では,思い込みが強くなり,リハビリテーションで与えられた課題ができないと,怒ったり泣いたり,訓練を拒否します。







◆脳幹および小脳の損傷と精神的な変化


交通事故で脳幹や小脳を損傷した患者さんは,自分本位の行動を取る,周囲に気を配らない,細かいことが気になるなどの傾向があります。







◆大脳半球の左右をいずれも損傷した場合の精神的な変化


大脳の右半球と左半球の両方を損傷すると,怒る,泣く,笑うなどの感情のコントロールができなくなります
知能はしっかりしているにもかかわらず,ちょっとしたことで泣き出したり,笑うべきでないときに大声で笑いだすので,周囲とのあつれきが生じます。






◆精神的変化に対してどのように対応するか?


交通事故に遭い,高次脳機能障害の人の精神的な変化に対して,家族や周囲の人は以下のように対応します。



怒りを爆発させる場合
話し合いや説得で怒りを抑えることは無理なので,一時的に一人にしておく,そばを離れるなどして,怒りが収まるのを待ちます

深く考えずに場当たり的な行動を取る場合
衝動的な行動を取るまでに考える時間を与えるため,「10数えてください。」というように指示を出します。

自分では何も行動を起こさない場合
声かけで行動の開始をうながすほか,行動表やチェックリストを活用して,その日の行動を確認させます
高次脳機能障害で自発性が低下するのは,本人が怠けているのではなく病状ですから,本人のやる気を引き出すために,行動するべきことを命令せず,数種類の中から本人に選ばせるなど,本人の好きなことに興味を向けるようにします。







(弁護士法人よつば総合法律事務所)

交通事故で衝突した際,頭を打ちました。前頭葉の損傷により発症する障害は,どのような症状ですか?

2017年01月11日
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交通事故で衝突した際,頭を打ちました。前頭葉の損傷により発症する障害は,どのような症状ですか?

交通事故で前頭葉を損傷すると,前頭葉性発声困難や前頭葉性パーソナリティ障害などの高次脳機能障害を発症することがあります。




 前頭葉の損傷 



◆前頭葉の損傷に特徴的な症状とは?


前頭葉は脳の前方上部にあり,交通事故で衝突した際に頭を打つと損傷しやすい箇所です。


前頭葉の損傷と遂行機能障害の関係についてコラム「交通事故で頭を強打した後,普段できてた事がスムーズに出来なくなり,行き当たりばったりな行動が増えてきました。これは何が原因なのでしょうか?」で述べましたが、それ以外にも,前頭葉を怪我したことが原因で起こるさまざまな症状があり,いずれも高次脳機能障害による後遺症に分類されます。




以下の症状は,前頭葉を損傷したことにより発症する高次脳機能障害に特徴的なものです

・把握反射
本人が意識していないのに,ものをつかんで離せなくなります。
ベッドから降りるときにベッドの手すりをつかむと,手すりを握ったままつかんだ手を離しません。

・前頭葉性発声困難
大きな声が出せなくなり,かぼそい声で話すようになります。
重傷の場合は,声がほとんど出なくなります。

・環境依存症候群
ある環境に置かれると,予定外の行動を取ります。
バス停のそばを歩いていてバスが停まると,乗る予定がないのに乗ってしまう,そばにいる人の動作をまねて同じ動作をするなどの行動が見られます。

・運動保持,運動維持困難,運動開始困難
ある運動を繰り返したり続けることができない,歩き始めがうまくいかないなどの症状が現れます。

・道具の脅迫的使用
日用品に触れたり,見たりすると,利き手でそれを使い,使わないようにと言っても使ってしまいます。利き手と反対の手が利き手の動きを止めようとしても止められません。





◆前頭葉性パーソナリティ障害


前頭葉を損傷して高次脳機能障害になった場合に,前頭葉性パーソナリティ障害発症することがあります。前頭葉性パーソナリティ障害の特徴は,いわゆる空気が読めない行動をすることです。

質問に対して考えることなく即答するが,返答が質問に対してちぐはぐでも本人は気にしません。
周囲の人がどう思うか考えることをせず,相手に注意して言い争いになったりするので、トラブルが多発します。
その結果,仕事を辞めざるを得なかったり,友人が離れていくなど,高次脳機能障害の患者さんが社会から孤立する原因になります。




前頭葉性パーソナリティ障害は,発動性が低下することもあります。
発動性の低下とは,放っておくとなにもしないことで,仕事をこなすことが困難になります。
その一方,脱抑制とは正反対に,抑えがきかなくなる脱抑制の症状が現れ,怒りっぽくなったり,やりたいことを周囲が止めてもきかずにどんどんやろうとする行動に出ます。




(弁護士法人よつば総合法律事務所)



交通事故で頭を強打した後,普段できてた事がスムーズに出来なくなり,行き当たりばったりな行動が増えてきました。これは何が原因なのでしょうか?

2017年01月06日
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交通事故で頭を強打した後,普段できてた事がスムーズに出来なくなり,行き当たりばったりな行動が増えてきました。これは何が原因なのでしょうか?

交通事故で高次脳機能障害になると,計画を立てて実行することができなくなる遂行機能障害を発症することがあります。




 遂行機能障害 



◆遂行機能とは?


遂行機能(すいこうきのう)とは,論理的に考えて計画を立て,実行し,自分の行動を分析したり評価する一連の行動のことで,脳の働きのなかでもとくに高度な脳機能を使っています。

しかし,遂行機能に従った行動をするのに,特別な才能が必要なわけではなく,日頃私たちが特に困難を感じずに無意識に行っていることも遂行機能に含まれます。

たとえば,夕食の支度をしようとして食材が足りないので買い物にでかけ,必要な食材を選び,そのかたわら,砂糖が特売になっているのを見て「ちょうど,あと少しでなくなるところだったから1袋買っておこう」と,買い物の予定になかった砂糖も購入するといった一連の行動は,遂行機能によるものです。

会社で仕事をする際の基本としてよく使われる言葉のひとつに「プラン・ドゥ・アクト」がありますが,これは、まさに遂行機能による一連の行動を表しています。
つまり遂行機能は,高次脳機能による計画・実行・行動なのです。






◆遂行機能障害の特徴


高次脳機能障害になると,遂行機能障害を発症することがあります。
遂行機能障害の患者さんは以下のような特徴があります。

・自分で計画を立てることができない。

・行動に計画性がなく,行き当たりばったりである。

・するべきことに優先順位を付けることができない。

・指示があれば行動できるが,指示がないとなにもしない。

・仕事の効率が悪い。

・決められた通りに仕事ができない。

・問題が起きたときに臨機応変に対応できない。

・複数の課題を同時にこなせない。


遂行機能障害がある人でも,日常的にやるべきことをできないわけではないので,家族や周囲の人は,患者さんが遂行機能障害であることに気付かず,本人の能力の欠如とみなされがちです。
特に,職場では与えられた仕事をこなすことができず,指示がなければなにもできないので,仕事に対する評価がいちじるしく低下します。

交通事故で頭部を強打して高次脳機能障害と診断された後,患者さんの行動や性格が事故の前と違っていることに家族が気づいたら,遂行機能障害の疑いがあります。






◆遂行機能障害が起きる原因


遂行機能障害は,前頭葉(ぜんとうよう)を損傷すると発症します。
前頭葉は,最高レベルの高次脳機能をつかさどっており,脳の司令塔と呼ばれています。


前頭葉は,外側前頭前野(がいそくぜんとうぜんや),底部前頭前野(ていぶぜんとうぜんや),内側前頭前野(ないそくぜんとうぜんや),前頭極(ぜんとうきょく)からできています。

外側前頭前野は,変化する状況をたくみに処理して,なすべき行動を選択するという,注意の転換と深く関わっています。内側前頭前野は,道徳的感情と関係があり,前頭極は、高次の決定に関与しています。







(弁護士法人よつば総合法律事務所)
プロフィール
弁護士法人よつば総合法律事務所
地域最大級の弁護士14名が所属しております。事務所名の「よつば」は事務所に関わる人が皆幸せになるようにとの思いから名付けました。お気軽にご相談ください。
柏事務所:千葉県柏市(柏駅徒歩3分)
千葉事務所:千葉市(千葉駅徒歩3分)

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