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高次脳機能障害の遂行機能障害

高次脳機能障害の遂行機能障害

最終更新日:2023年6月28日

監修者:よつば総合法律事務所
代表弁護士 大澤 一郎

Q高次脳機能障害の遂行機能障害とは何ですか?
A遂行機能障害とは、目的を持った一連の活動を有効に行うのに必要な機能の障害です。交通事故の高次脳機能障害で遂行機能障害があると後遺障害1~14級の可能性があります。
計画実行

高次脳機能障害とは

高次脳機能障害とは脳損傷による認知障害全般です。様々な認知障害だけではなく、行動障害や人格変化を伴うことが多いです。症状には記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などがあります。

遂行機能障害とは

遂行機能障害とは、目的を持った一連の活動を有効に行うのに必要な機能の障害です。

遂行機能には次の4つの機能があります。

  • ①目標の設定
  • ②計画の立案
  • ③目標に向かって計画を実際に行うこと
  • ④効果的に行動を行うこと

4つの機能の一部又は全部の障害が遂行機能障害です。

遂行機能は、人間が持っている脳の高度な働きのなかでも上位に位置する複雑な働きです。

しかし、複雑といっても、学校で難しいことを学んだ人だけができるとか、一生懸命練習した成果としてようやく獲得した一連の動作ということではありません。意識しなくても日常生活で当たり前のこととして行っているのが遂行機能です。

「本日の天気は曇りのち雨」という天気予報を聞けば、通勤のときに傘を持って出かけようと考えて実行します。しかし、電車に乗るのに長い傘は邪魔です。そのため、折り畳み傘を選んでカバンに入れます。

料理も遂行機能を駆使します。家にある食材を思い出しながら献立を決め、足りないものを買いに行きます。

お買い得品があれば、今日使わない食品でも保存が効くものなら買うかもしれません。もちろん、お財布と相談して買うか買わないかを決めることになるでしょう。

立案、予算編成、実行など、料理は遂行機能を駆使しなければできません。

しかし、高次脳機能障害を発症すると遂行機能に問題が生じることがあります。

遂行機能障害になると、日常的にひんぱんに起きる大小さまざまな問題を処理できなくなります。その結果、社会のなかで誤解を受けたり、孤立しがちです。

自立した生活を送ることが困難になることもあります。生活が成り立たなくなることすらあります。

遂行機能障害の原因

遂行機能障害は、前頭葉の損傷が原因で起こることが多いです。

前頭葉は頭の前の方に位置しています。交通事故で頭部を打撲したとき、もっとも受傷しやすい箇所の一つです。

前頭葉が傷付いて起こる遂行機能障害の主な症状は次のようなものです。

  • 最初に入った記憶だけが残り、後から入ってくる情報に考えを切り替えられない。
  • バスが来ると乗る必要がないのに乗ってしまうなど、行動に対する衝動を抑制できない。
  • ジャガイモの皮をむきながら子どもの話を聞くなど、複数の情報を同時に扱えない。
  • 言葉による外からの命令に従えない。
  • 言葉の発想や連想が乏しくなって、関連するものや形を思い浮かべることができない。

遂行機能障害の検査

遂行機能障害の検査は、神経心理学的検査の1つである遂行機能障害群の行動評価(BADS)で検査します。目標の設定、プランニング、計画の実行、効果的な行動を検査します。

遂行機能障害の高次脳機能障害の後遺障害等級

では、交通事故で遂行機能障害の高次脳機能障害となったとき、どのような後遺障害が認定されるでしょうか。
高次脳機能障害の後遺障害は1~14級まであります。画像所見の有無や生活への支障の程度などを考慮して後遺障害等級が決まります。

等級 認定基準
1級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
2級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
3級3号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
5級2号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
7級4号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
9級10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号 局部に神経症状を残すもの

まとめ:高次脳機能障害の遂行機能障害

遂行機能障害とは、目的を持った一連の活動を有効に行うのに必要な機能の障害です。交通事故の高次脳機能障害で遂行機能障害があると後遺障害1~14級の可能性があります。

(監修者 弁護士 大澤 一郎

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