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2016年12月

交通事故に遭い,以前のように働けなくなりました。逸失利益の基礎収入は,どのように計算すれば良いのでしょうか?

 
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交通事故に遭い,以前のように働けなくなりました。逸失利益の基礎収入は,どのように計算すれば良いのでしょうか?

被害者の事故前の基礎収入を基準としますが,属性によって計算が異なります。




基礎収入の計算 


◆逸失利益と基礎収入


交通事故に遭ったとき,後遺障害が残ったり死亡したりした場合には,逸失利益が発生します。
逸失利益とは,事故によって働けなくなったことにより,本来得られるはずだったのに得られなくなった収入のことです。

逸失利益を計算する際には,被害者の事故前の基礎収入を基準とします。

具体的には,以下のとおりの計算方法となります。

逸失利益=事故前の基礎収入×労働能力喪失率×就労可能年数に対応したライプニッツ係数(後遺障害のケース)


そこで,逸失利益計算の際には,基礎収入をどのようにして計算すべきかが問題となります。
この点については,被害者の属性によって異なるので,以下で個別に見てみましょう。







◆基礎収入の計算方法



@サラリーマンの場合

サラリーマンや公務員などの場合,基礎収入は計算しやすいです。この場合,基本的には交通事故の前年度の実際の収入を基礎収入とします。

事故前年度の源泉徴収票の記載内容を見て,その収入額をそのまま基礎収入とします。

事案によっては,事故前3年分〜5年分などの源泉徴収票や市県民税課税証明書の記載内容を照らし合わせて,それらを平均した数値を基礎収入とすることもあります。




A自営業者の場合

自営業者の場合にも,基本的には事故の前年度の実際の収入を基礎収入とします。この場合,基本的には事故の前年度の確定申告書に記載してある申告所得の記載内容から,基礎収入を割り出します。

なお,申告額と実収入額に違いがある場合に,実収入額だと主張する金額の所得があったことを証明することができれば,実収入額を基準にしてもらうことも不可能ではありませんが,実際の裁判の場面では,ほとんど認められないと思われます。

また,事故前数年分の確定申告書の平均値をとって基礎収入とすることもあります。




B専業主婦の場合

専業主婦の場合でも逸失利益が認められるケースがあります。この場合,サラリーマンなどのケースと異なり,実際の収入がないので,実収入を基礎収入とすることができません。
そこで,賃金センサスの全年齢の女性の平均賃金を使って基礎収入とします。だいたい年収364万円くらいになります(平成26年度調査)。

兼業主婦の場合,実収入が上記の女性の平均賃金以下のケースでは専業主婦と同様,全年齢の女性平均賃金を使いますが,実収入がこれを超える場合には,実収入を基準とします。

専業主夫の場合には,女性の場合と比べて不平等とならないように,全年齢の女性の平均賃金を使って基礎収入とします。




C幼児や学生の場合

被害者が幼児や学生の場合,基礎収入は男女別の平均賃金を使います。
ただ,男女の格差を是正するため,年少の幼児の場合,女児の基礎収入には男女計の平均賃金を用いて基礎収入とすることが多いようです。




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 前田 徹)

交通事故で後遺障害になってしまいました。高齢者の場合の逸失利益は,どのように計算すればよいですか?

 
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交通事故で後遺障害になってしまいました。高齢者の場合の逸失利益は,どのように計算すればよいですか?

逸失利益の計算の際には,いつまで働けるかという就労可能年数が問題となりますが,高齢者の場合,これを何歳までとするかが問題になります。




 高齢者の逸失利益 


◆高齢者の逸失利益が認められにくい理由


交通事故で後遺障害が残ったり死亡したりすると,逸失利益の支払いを受けることができます。

逸失利益とは,事故によって働けなくなったことにより,得られなくなってしまった将来の収入のことで,通常は,就労可能年数である18歳から67歳までの間の分の賠償が認められます。

しかし,高齢者の場合,逸失利益が認められにくいケースがあり,また計算方法も若年者とは異なる点があります。

そもそも高齢者の場合,将来にわたって働き続けることが予定されないことが多いですし,もともと高齢ならいつまでの分を逸失利益として認めるか,という問題もあります。

そこで,高齢者が後遺障害を負ったり死亡したりしても,逸失利益が認められないケースが起こってくるのです。






◆高齢者で逸失利益が認められる場合


高齢者でも,逸失利益が認められるケースがあるので,以下ではそれがどのような事例か,具体的に見てみましょう。

まず,事故前に高齢者が実際に働いていたケースです。この場合には,実収入を基準として,高齢者の逸失利益が認められます。

これに対して,実際には働いていなかったケースでは逸失利益が認められない場合が増えてきます。
実際に働いていない高齢者に逸失利益が認められるためには,過去に就労実績があることと,今後就労する蓋然性が高いという2つの要件が必要となります。




たとえば,事故の前年度まで自営業をしていても,すでに廃業しているケースでは逸失利益は認められにくいです。これに対し,過去にサラリーマンとして働いており,技術を持っていて,具体的にある会社に就職する予定があったケースなどでは,逸失利益が認められる可能性があります。






◆高齢者の逸失利益の計算方法



高齢者の逸失利益の計算方法をご紹介します。
逸失利益の計算の際には,いつまで働けるかという就労可能年数が問題となりますが,高齢者の場合,これを何歳までとするかが問題です。

まず被害者の高齢者が67歳以上の場合には,平均余命の2分の1の期間を採用して計算します。
被害者の高齢者が67歳以下の場合には,67歳までの期間か平均余命の2分の1を比較して,長い方を採用します。

たとえば,65歳の男性の場合,平均余命は18.14歳なので,その2分の1は9.7歳です。これに対して現在の年齢と67歳との差は2歳なので,平均余命の2分の1の方が長くなり,こちらが採用されます。
小数点以下は切り捨てるので,就労可能年数は9年となります。




また,採用する基礎収入について,実際に収入がある高齢者の場合には実収入を基準としますが,そうでないケースでは,賃金センサスの男女別年齢別平均賃金を用いることが多いようです。




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 前田 徹)

将来介護費とは何ですか?

 
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将来介護費とは何ですか?

交通事故による後遺障害が原因で,将来介護が必要になった場合の介護費用のことです。将来介護費は,損害賠償の内容として請求することができます。




将来介護費


◆将来介護費とは



将来介護費とは,交通事故によって一定の後遺障害が残って介護が必要になった場合の将来の介護費用のことです。

交通事故に遭った場合,重大な後遺障害が残ることがあります。意識が回復しなくなったり身体がまったく動かなくなったりして,自分一人では生活していくことが難しくなるケースがあります。

このような場合,介護が必要になりますが,介護を受けるには費用がかかるので,その将来の介護費を損害賠償の内容として請求することができるのです。






◆将来介護費が認められる場合


交通事故の中でも,将来介護費が認められるケースは限られています。
基本的には,後遺障害1級と2級に該当するケースで,その中でも一定の症状があるケースに限定されています。

1級(要介護)の場合
1号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,常に介護を要するもの
2号:胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し,常に介護を要するもの

 2級(要介護)の場合
1号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,随時介護を要するもの
2号:胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し,随時介護を要するもの


具体的な症状としては,交通事故が原因で遷延性意識障害になった場合(いわゆる植物人間状態)や高次脳機能障害が重度のケース,脊髄損傷で身体が動かなくなったケースなどで該当することが多いです。
なお,後遺障害3級以下のケースでも,症状に応じて将来介護費が認められることがあります。






◆将来介護の種類


将来介護費を理解しようとするとき,受ける介護の方法や種類のことを知っておく必要があります。
将来介護費は,受ける介護の内容によって大きく異なってきます。


まず,介護を専門職の人に依頼するか家族が自分で行うかという問題があります。
専門職の人に依頼した方が介護費用として認められる金額が高額になりますが,認められなかった場合には自己負担になってしまうので出費が大きくなってしまいます。

また,施設で介護をするか自宅で介護をするかという問題もあります。
遷延性意識障害のケースなどで自宅介護をすると,賠償金額として住宅改造費なども認められるケースがあり,将来介護費と合わせた受け取り合計金額が高くなる傾向にありますが,その分家族の負担は大きくなります。




このように,交通事故で損害賠償として将来介護費を請求する場合には,具体的にどのような方法で介護をするかということが大きな問題になるので,慎重に検討する必要があります。






◆将来介護費の金額は?


将来介護費が認められる場合,具体的にどのくらいの金額になるのでしょうか?

これについては,下記の計算方法で算出できます。


1年の介護費用×症状固定時の平均余命に対応するライプニッツ係数


1年の介護費用については,基本的には家族による介護の場合は1日8,000円となりますが,職業介護人を雇った場合には,実費となります。

実際にこれを使って計算してみると,平均余命にもよりますが,数千万円になることも珍しくありません。また,上記のように自宅で介護する場合には自宅改造費が認められるケースがあり,それと合計すると1億円以上になることもあります。




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 前田 徹)

交通事故が原因の後遺障害で,介護が必要になりました。将来介護費の計算はどのようにすればよいですか?

 
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交通事故が原因の後遺障害で,介護が必要になりました。将来介護費の計算はどのようにすればよいですか?

「1年分の介護費用×症状固定時の平均余命に対応するライプニッツ係数」が基本の計算式になります。




 将来介護費


◆将来介護費とは



交通事故に遭ったとき,事故の相手に対して将来の介護費を請求することができるケースがあります。

将来介護費とは,交通事故で一定の後遺障害が残った場合に請求できる将来の介護費用のことです。

植物状態(遷延性意識障害)や脊椎損傷,高次脳機能障害になって自分では日常生活で必要なことができなくなってしまった場合に認められることが多いです。






◆将来介護費の計算方法



@基本的な計算式

将来介護費は,どのようにして計算するのでしょうか?
これについては,以下の計算式が基本となります。

1年の介護費用×症状固定時の平均余命に対応するライプニッツ係数

これについて,具体的に説明します。



A1年の介護費用

将来介護費を請求する場合,1年分の介護費用が基準となってきます。
これについては,家族などの近親者が介護する場合と職業介護人に介護を依頼する場合とで計算方法が異なります。

家族が介護する場合には,一般的には1日あたり8,000円とされているので,1年では8,000円×365日=2,920,000円となります。

職業介護人に依頼した場合には,実際にかかっている実費が基準となりますが,裁判例をみますと,1日あたり1万円〜2万円程度になることが多いようです。




B症状固定時の平均余命に対応するライプニッツ係数

将来介護費を計算する際,症状固定時の平均余命に対応するライプニッツ係数も問題になります。
これは,将来介護費を一括で受け取ることになるので,将来の中間利息を控除してもらうための特殊な係数のことです。

将来介護費は,将来にわたって発生していく費用なので,本来なら発生したらその都度受け取るべきものです。ところが,これを当初に一括して受け取ることにより,それにかかる利息を余計に受け取っていることになってしまうので,それを差し引く必要があるという考えです。

そこで,将来介護費を計算する場合には,介護費の計算期間となっている平均余命に対応する分の中間利息を控除する必要があり,ライプニッツ係数をかけて調整します。




C将来介護費の計算例

たとえば,40歳の男性が交通事故で高度脳機能障害となり,要介護の後遺障害1級が認定された場合で,家族が介護する場合の将来介護費を計算してみましょう。

このとき,家族が介護するので1日の介護費用は8,000円となり,年額は2,920,000円となります。
そして,40歳の男性の平均余命は40.81歳です。小数点以下を切り捨てますので,40年に対応するライプニッツ係数を見ると,17.1591となります。

そこで,将来介護費は
2,920,000円×17.1591=50,104,572円
となります。




D定期金賠償方式

将来介護費の計算方法には,定期金賠償方式もあります。
これは,介護費を一括で受け取るのではなく月額25万円などとして,その都度受け取る方法のことです。
これに対しては,将来の支払拒絶や支払不能に備えた履行確保の制度がないことなどを理由に,否定的な考えが多いように思われます。




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 前田 徹)

交通事故の損害賠償で将来介護費を請求します。 ライプニッツ係数を使って計算する方法を教えてください。

 
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交通事故の損害賠償で将来介護費を請求します。ライプニッツ係数を使って計算する方法を教えてください。


「1年分の介護費用×症状固定時の平均余命に対応するライプニッツ係数」に数値を当てはめて計算します。




 ライプニッツ係数 


◆将来介護費とは


交通事故の将来介護費とは,交通事故で重大な後遺障害が残って要介護状態となった場合,相手に対して請求することができる将来の介護費用のことです。

たとえば,交通事故による頭部外傷により,重度の高次脳機能障害になってしまい,日常生活に重大な支障が発生しているケースや,遷延性意識障害(植物状態)になってしまったケースなどで認められます。

このようなケースでは,家族や職業介護人に依頼して本人の介護をする必要があり,そのための費用がかかるので,加害者に対して賠償請求していきます。






◆ライプニッツ係数を用いた将来介護費の計算方法


将来介護費の計算方法には,ライプニッツ係数を使った計算方法と定期金賠償方式による計算方法の2種類があります。

一般的に多く利用されているのは,ライプニッツ係数を使った計算方法なので,以下ではその計算方法をご紹介します。




@ライプニッツ係数とは

交通事故の賠償金の請求で将来介護費を計算するとき,多くのケースで用いられるのがライプニッツ係数を用いた計算方法です。
最高裁判所をはじめとして,ほとんどの判例や裁判例において,ライプニッツ係数を用いた将来介護費の計算をしています。

ライプニッツ係数とは,将来にわたって発生するお金を一括して先払いを受ける場合,将来発生する中間利息を控除するための特殊な係数のことです。

それだけ聞いても分かりにくいと思いますので,以下具体的に説明します。

将来介護費は,本来はその都度発生するものなので,数年にわたって受け取っていくはずのものですが,交通事故で将来介護費を受け取る場合,賠償金受け取り時に一括して全額の支払いを受けることになります。

そうなると,将来受け取るべき分まで先に受け取ることになるので,その分余計な利息を受け取ることができる計算になります。
たとえば,1年先に300万円を受け取るはずだったのに,先に300万円を受け取ってしまったら,1年分の利息(年5%)である15万円を受け取り過ぎになってしまう,という考え方です。そこで,取りすぎた15万円に相応する中間利息を控除するため,特殊な係数をかけ算して金額を調整する必要があります。そのための係数が,ライプニッツ係数です。




Aライプニッツ係数を用いた将来介護費の計算式

ライプニッツ係数を利用して将来介護費を計算する際の計算式は,下記になります。

1年分の介護費用×症状固定時の平均余命に対応するライプニッツ係数


1年分の介護費用については,家族が介護する場合には,一般的に日額8,000円,職業介護人に介護を依頼する場合には実費計算(日額1万円〜3万円程度)となります。




B計算の具体例

以下では,ライプニッツ係数を用いて将来介護費を具体的に計算してみましょう。

40歳の男性が交通事故に遭い要介護1級の認定を受け,職業介護人による介護を受けているとします。
この場合,1日2万円の介護費用がかかったとすると,介護にかかる年額は730万円となります。平均余命は40.81歳ですが,小数点以下を切り捨てますので40年に対応するライプニッツ係数を見ます。すると,17.1591です。

そこで,将来介護費は
730万円×17.1591=1億2526万1430円となります。




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 前田 徹)

交通事故で将来介護費を請求したいのですが,どのような後遺障害の場合に認められますか?

 
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交通事故で将来介護費を請求したいのですが,どのような後遺障害の場合に認められますか?

将来介護費が認められる後遺障害の内容は限られており,症状に応じて認められることがあります。




 将来介護費が認められる症状 


◆将来介護費とは


交通事故で重い後遺障害が残った場合,将来介護費が認められるケースがあります。

後遺障害には様々なものがあり,重度のケースでは頭部外傷により意識がなくなった状態が続いたり,寝たきりになったり,認知能力が低下し,自分1人では日常生活に必要な動作ができなくなってしまうことがあります。

このように交通事故が原因で介護が必要になってしまった場合,介護にかかる費用を賠償金として請求する事が認められます。







◆将来介護費が認められる後遺障害の等級


交通事故で後遺障害が残っても,常に将来介護費が認められるわけではありません。将来介護費が認められる後遺障害の内容は限られています。
具体的には,以下の後遺障害等級の症状の場合に将来介護費が認められるとされています。


第1級(要介護)
1号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,常に介護を要するもの
2号:胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し,常に介護を要するもの


第2級(要介護)
1号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,随時介護を要するもの
2号:胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し,随時介護を要するもの


後遺障害1級や2級に該当しても,常に将来介護費が認められるものではなく,上記の症状に該当した場合にのみ認められます。なお,後遺障害3級以下のケースでも,症状に応じて将来介護費が認められることがあります。







◆将来介護費が認められる後遺障害


具体的に,将来介護費が認められるのはどのような後遺障害のケースなのでしょうか?
具体的には,重度の高次脳機能障害や遷延性意識障害,重度の脊髄損傷の場合,重度の内臓損傷を受けた場合などで認められるので,以下で個別に解説します。



@高次脳機能障害
高次脳機能障害とは,交通事故で脳に損傷を受けたため,脳の認知機能に障害が発生する症状です。
認知症と似た症状が現れますので,重度のケースでは日常生活がほとんどできなくなることがあります。

たとえば,表情や動作がなくなり,何事にも無気力になって関心を示さず,自分では着替えや食事などもできなくなるケースなどがあります。
重度の高次脳機能障害の場合,神経系統の機能または精神に著しい障害を残し,常に(随時)介護を要するものとして後遺障害1級や2級に認定され,将来介護費が認められます。




A遷延性意識障害
遷延性意識障害のケースでも,将来介護費が認められます。遷延性意識障害とは,いわゆる植物状態のことです。
自分からは意思の発言ができず寝たきりになるので,全面的な介護が必要となります。
遷延性式障害の場合,神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,常に介護を要するものとなって後遺障害1級(要介護)が認定され,将来介護費が認められます。




B脊髄損傷
脊髄損傷を受けた場合にも,将来介護費が認められるケースがあります。
たとえば半身麻痺で寝たきりになってしまったケースなどでは,要介護の後遺障害が認定されて将来介護費を請求できます。




C肺や内臓の損傷
交通事故で肺や内臓に重度の損傷を受け,自分1人では日常生活ができなくなった場合も後遺障害1級や2級が認定される可能性があります。
たとえば,肺に損傷を受けて自律呼吸ができなくなってしまった場合や,心臓や内臓に損傷を受けて日常に必要な動作に強い制限がかかる場合などには,要介護の後遺障害が認定されて,将来介護費を請求できる可能性があります。




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 前田 徹)

交通事故で高次脳機能障害になったらどのようなサービスを受けらますか?

 
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交通事故で高次脳機能障害になったらどのようなサービスを受けらますか?

交通事故で高次脳機能障害になった場合は,精神障害の認定を受けると各種サービスを受けられます。




 高次機能障害支援サービス 



◆高次脳機能障害の人を支援する仕組みとは?


高次脳機能障害は,脳炎や脳卒中,脳症など,脳に病巣があって発症する場合と,外傷性脳挫傷が原因で発症する場合があります。
外傷性脳挫傷を起こすきっかけでもっとも多いのは交通事故です。

もともと健康不安を抱えているわけではなく,突発的な事故により完治が困難と言われる重病を宣告されるのです。




国は,2001年より高次脳機能障害支援モデル事業を始めました。
モデル事業は2006年に終了しましたが,その後は,高次脳機能障害支援普及事業が実施され
高次脳機能障害支援普及事業による支援拠点機関は,2009年11月1日現在で全国に5カ所あります。支援拠点では,関係機関とのネットワークを通じた地域における支援や,専門的な相談を行っています。






◆サービスを利用するには?


行政によるサービスを受けたい場合,まず、高次脳機能障害の認定を受ける必要があります。
その理由は,現在の制度において,高次脳機能障害は精神障害と位置付けられているからです。

高次脳機能障害を理由とした精神疾患の診断書を発行してもらったら,精神障害の申請をします。
精神保険福祉手帳を持っている場合は,診断書を発行してもらわなくても精神障害の申請ができます。



このように,高次脳機能障害→精神障害という2段階の手順を踏むことによりサービスを受けられるようになる理由は,サービスは,2006年に施行された障害者自立支援法に基づいて提供されるからです。
行政は申請の内容を調査して,サービス利用の決定を通知します。
その後は,高次脳機能障害の人が必要とするサービスが提供されます。
高次脳機能障害に関する一般的な相談と支援は,地域包括的に市町村が行い,専門的な支援は都道府県が主体となって行います。






◆相談支援を活用しよう


東京都を例に挙げると,東京都心身障害者福祉センターは,専門性の高い相談支援の支援拠点機関という位置づけです。
支援拠点機関の活動は,相談支援・就労支援・自立支援などで,相談は高次脳機能障害の患者さんおよび家族,関係機関から受け付けています。


高次脳機能障害の症状は,患者さん本人の自覚がないこともあり,家族にも理解してもらえず苦しむ例も少なくありません。
どうぞ行政のサポート体制を活用して,生活の質を向上させてください。
申請制度に関するご不安がある場合は,高次脳機能障害に詳しい弁護士がご相談をうけたまわります。


参考
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shinsho/shien/sien4.html







(弁護士法人よつば総合法律事務所)

交通事故が原因で「視覚失認」になりました。高次脳機能障害と関係はありますか?

 
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交通事故が原因で「視覚失認」になりました。高次脳機能障害と関係はありますか?

視覚失認は視力ではなく,脳の情報処理の問題です。高次脳機能障害でもっとも多いのは視覚失認です。




 視覚失認 



◆本人の自覚がないことが病気の発覚を遅らせる


交通事故で頭部を強打すると,脳挫傷などにより脳の組織を損傷して高次脳機能障害を発症することがあります。
高次脳機能障害は,その病名が表すように,脳の高度な活動が正常に行われなくなる病気です。

患者さん自身が病気だと思っていないことが多いことが,高次脳機能障害の特徴です。




たとえば,視覚失認といって,見えるものを正常に捉えられなくなる症状は,本人が自覚しないことが多い病気です。つまり,患者さんの訴えを待っていたら,病気の存在に誰も気づかない可能性があるのです。

高次脳機能障害の患者さんと暮らす家族の方は,視覚失認を起こしていないか,日頃の言動を注意深く観察してあげてください。







◆視覚失認とは?


1つの感覚を通した場合に,対象が何かわからないのが失認です。
たとえば,目で見てもそこにあるものが何かわからないが,触るとわかるというのが視覚失認です。
つまり,視力は正常なのに視覚を通して対象を理解できなくなる現象が起こるのです。

失認には,ほかに聴覚失認や触覚失認がありますが,高次脳機能障害でもっとも多いのは視覚失認です。眼球から入った視覚情報は,大脳の後ろの方にある後頭葉に伝えられ,その後情報が処理されて必要に応じていろいろな場所に情報伝達されます。







◆視覚失認の特徴


視覚失認の人の特徴を挙げます。

・目で見ても何かわからないが,対象に触ると何かわかり,正しくつかむことができます。

・止まっている時計は何かわからないが秒針が動いていると時計とわかるというように,動かない物は認識できないが,動く物は何かわかります。

・対象が視野のどこにあっても,わからないことに変わりありません。





◆視覚失認の発見

高次脳機能障害の人の身近にいる家族は,患者本人が自覚しない視覚失認を発見することが可能です。
以下に,視覚失認を発見するヒントを述べます。

・探し物が目の前にあってもわからず,触って確かめる。
・視力に不自由なように見えるが,障害物を避けて歩くことができる。
・ものに触る動作は,健常者と同じように自然に行う。
・患者自身が視力に不自由があると訴えることが少ない。


以上のような行動が見られる場合は,視覚失認を疑って病院を受診しましょう。
家族が患者さんに対して,物の見え方がおかしくないかたずねると,メガネが合わない,薄暗い,なんとなくぼんやりしているなど、視力の問題であるかのような返事が返ってきます。

しかし,視覚失認は視力ではなく,脳の情報処理の問題です。
患者さんの自覚を信じていると,高次脳機能障害の発症を見逃してしまう可能性があるので気を付けましょう。




(弁護士法人よつば総合法律事務所)

交通事故で高次機脳機能障害になり,失語症を発症しました。リハビリテーションは,いつから受けたら良いのでしょうか?

 
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交通事故で高次機脳機能障害になり,失語症を発症しました。リハビリテーションは,いつから受けたら良いのでしょうか?

交通事故で高次脳機能障害になり失語症を発症したら、急性期から失語症セラピーを受けることで言語機能の回復を期待できます。




 失語セラピー 



■失語セラピーとは


交通事故で頭部に大怪我をすると、脳が正常に機能しなくなり、事故に遭う前のように滑らかに話すことができなくなる失語症になる場合があります。
高次脳機能障害で失語症を発症しているとわかった場合は、専門家による失語セラピーのリハビリテーションを受けましょう。


セラピーとはセラピスト(療法士の英訳)による療法のことで、失語症のリハビリテーションは、おもに言語聴覚士が行います。
言語聴覚士は英語でSpeech-Language-Hearing Therapisと言い、頭文字を取って言語聴覚士のことをSTと呼ぶこともあります。

失語セラピーは、高次脳機能障害を発症した直後から開始するのが理想的です。
すなわち、急性期から失語セラピーを始めて、訓練機、維持期と、リハビリテーションプログラムを継続していくのです。失語セラピーは、時間のかかるリハビリテーションであるという認識が必要です。






■急性期の失語セラピー


高次脳機能障害を発症して1カ月くらいが急性期です。
急性期は、医療チームが連携して情報を集め、医療体制を整えることと環境を整備することが重要です。
急速な回復は、急性期に最も多いことからも、急性期におけるリハビリテーションの重要性がお分かりと思います。

予後が良好な患者さんは、医療従事者とコミュニケーションを取りやすく、急性期から失語セラピーを開始できます。
しかし、重症の高次脳機能障害の場合は、意識障害を伴うこともあり、そのような場合は、失語症を発症しているかどうかの見極めも困難です。


重度の高次脳機能障害の場合は、できる範囲で言語障害があるかどうかを確認するにとどめることもあります。
急性期に失語セラピーを開始する場合、病室から療法室に移動して評価等を行うことがあり、患者さんが車いすにある程度の時間座っていられることが求められます。






■回復期の失語セラピー


高次脳機能障害を発症して1カ月後から6カ月くらいまでは、回復期と呼ばれます。
回復期は、症状が安定してくるので、失語セラピーの効果をもっとも得やすい時期と言われます。
急性期と比べて、さらに詳細な評価を行い、失語症のタイプ、重症度などを検分します。

失語症は、注意障害、失行、失認、記憶障害などの後遺症を併発していることが多いので、他の症状についても詳しく観察し、必要に応じて多角的なリハビリテーションプログラムを汲みます。

失語症を発症していることを自覚していない患者さんもいます。
その場合は、家族が医療チームとの橋渡しとなって失語セラピーの必要性と持続を促しましょう。






■慢性期の失語セラピー


高次脳機能障害発症後、6カ月を過ぎると慢性期に入ります。
慢性期になると、回復の度合いが徐々に緩やかになり、場合によっては、失語セラピーによる働きかけを行っても変化が現れないこともあります。
しかし、発症してから6カ月以上経ってもリハビリテーションの効果が現れて症状が回復するケースもあります。
言語機能の改善が、高次脳機能障害になって何カ月後まで可能かは、いちがいに決めつけられないということです。
しかし、いよいよまったく言語セラピーによる改善がみられなくなったら、病状は維持期に入ったと考えます。
維持期は、その時に患者さんが持っている言語機能を保つことを主目的とします。



(弁護士法人よつば総合法律事務所)

交通事故による高次脳機能障害で失行を発症した場合,いつからリハビリテーションをするのですか?

 
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交通事故による高次脳機能障害で失行を発症した場合,いつからリハビリテーションをするのですか?

交通事故で高次脳機能障害になって失行の症状が現れた場合,急性期は廃用にならないように気を付けながら,リハビリテーションを行わなければいけません。




 失行のリハビリテーション時期



◆失行の症状は人それぞれ違う


交通事故で頭を打って脳の組織を傷つけると,高次脳機能障害になって失行という症状が現れることがあります。


失行とは,普通の人では行わないような動作をしたり,その逆に普通ならできる動作ができないことを言います。つまり,高次脳機能障害における行為障害の一種が失行です。

失行の症状は人によって異なり,同じ道具を見ても反応が異なります。


たとえば,ヘアブラシを患者さんに見せた場合,ある人は何に使う道具かわからず,またある人は,体のどの部分に当てて使うかわからないという具合です。
失行のリハビリテーションプログラムは,患者さんの反応に応じて作ることが求められます。






◆失行のほかに後遺障害はないか?


体調や他の後遺症が原因で失行の症状が悪化することがあります。

たとえば,筋力が低下していれば道具を持つことが困難ですし,聴覚に問題があればセラピストの話を聞いても理解できません。
その他,高次脳機能障害で多い左半側空間無視を発症している場合は,対話している相手が見えなかったり,指示された内容がわからないといった問題が起こります。

失行のリハビリテーションを行う場合は,後遺症を全体に渡って検査し,患者さんの全体像を理解した上で行う必要があります。






◆急性期における失行のリハビリテーション


失行の多くは,左大脳半球の損傷が原因で,右利きの人は右手にまひが現れて右手が使えなくなります。
つまり,利き手が使えない状態でリハビリテーションを行うことになるので,滑らかな動作がより難しくなります。

失語症を併発している場合は,療法士とのコミュニケーションからリハビリテーションプログラムを考えます。
失行があるかどうかを急性期に判断するにあたって,ベッド上の動作を観察することが重要です。
寝返り,枕や布団の扱い,体温計の扱い方などが不自然でないかどうかを見守ることで,失行を発見できる場合があります。

急性期,どうしてもベッド上であまり動かずに過ごすことになるので,廃用(はいよう)と言って,もともと体に備わっていた機能が低下する症状が現れやすい時期です。
廃用の防止のためには,理学療法士と連携したリハビリテーションが求められます。






◆慢性期


慢性期は,意識障害が改善する時期なので,失行の原因を特定して特徴的な症状を把握し,効果的なリハビリテーションプログラムを組める時期です。

失行のリハビリテーションの目的は,すべての動作をスムーズに行えるようになるのではなく,患者さんが日常生活を送るにあたって困らないよう,道具の扱い,食事,排泄,着脱衣などの動作を自立して行うことにあります。

高次脳機能障害になる前とまったく同じようにはできないかもしれませんが,何のために何を訓練するかをはっきりさせて,リハビリテーションを行います。




(弁護士法人よつば総合法律事務所)
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