2016年09月

交通事故でペットが負傷した場合,どのような補償をしてもらえますか?

2016年09月27日
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交通事故に遭ったのですが,同乗していた私のペットも怪我をしました。
しかし,相手方保険会社は,どんなに譲歩してもペットを購入した際の価額までしか,ペットの治療費は出せないと言います。これっておかしくないですか?

ペットは法律上「財物」として扱われることが原則ですが,近年のペットに対する社会的な認識を反映して,必要な治療費を認めた判例もあります。




【交通事故:ペットの治療費】



■法律上のルール



法律上の原則として,ペットは人ではなく財物としての扱いを受けるルールとなっています。
すなわち,ペットが負傷した場合,民事上はペットの価値に応じた賠償が問題となり,刑事上は器物損壊罪(刑法261条)が適用されます。


ペットが不幸にして交通事故に遭った場合も,その経済的価値が問題となり,経済的価値での賠償が原則となります。治療費がかかった場合であっても,治療費は時価額までしか支出しないと主張されることがあるようです。
財物であるとすれば,これに対する慰謝料も原則認められないということになります。









■現代社会におけるペットの存在


しかし,現代の私たちの生活には,ペットが密接にかかわり,かけがえのない存在になっているという実態があります。

動物の愛護及び管理に関する法律の第2条では「動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない」とうたわれております。



例えば,車両であれば経済的全損のように,修理価額が時価額を上回るから修理を断念するということがあっても,ペットについて治療費が経済的価値を上回るから治療をしないという選択は出来ないはずです。


このように,ペットの賠償についても,全て自動車等の「モノ」と同等に考えていいのかという点については,大いに疑問のあるところです。








■ペットについての賠償の例外



この点,例えば名古屋高等裁判所は(名古屋高判平成20年9月30日),「近時,犬などの愛玩動物は,飼い主との間の交流を通じて,家族の一員であるかのように,飼い主にとってかけがえのない存在になっていることが少なくないし,このような事態は,広く世上に知られているところでもある(公知の事実)。」と指摘しました。



そして,「そのような動物が不法行為により重い傷害を負ったことにより,死亡した場合に近い精神的苦痛を飼い主が受けたときには,飼い主のかかる精神的苦痛は,主観的な感情にとどまらず,社会通念上,合理的な一般人の被る精神的な損害であるということができ,また,このような場合には,財産的損害の賠償によっては慰謝されることのできない精神的苦痛があるものと見るべきであるから,財産的損害に対する損害賠償のほかに,慰謝料を請求することができるとするのが相当である。」と判断し,ペットが負傷した場合の慰謝料を認めました。




また,この判例では,ペットの治療費についても,「生命を持つ動物の性質上,必ずしも当該動物の時価相当額に限られるとするべきではなく,当面の治療や,その生命の確保,維持に必要不可欠なものについては,時価相当額を念頭に置いた上で,社会通念上,相当と認められる限度において,不法行為との間に因果関係のある損害に当たるものと解するのが相当である」と判断しており,非常に参考になります。









■まとめ



以上ペットは法律上,原則財物としての扱いを受けますが,例外的に慰謝料や,治療費を時価額を超えて認められるケースがあります。


これらを主張するためには,ペットとの関係性(家族の構成,子供の有無等),負傷の態様,負傷後の飼い主の介護の必要性等を具体的に加味して検討する必要があるでしょう。




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 粟津 正博)

交通事故による高次脳機能障害で,知能はどう変化してしまいますか?

2016年09月16日
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交通事故による高次脳機能障害で,知能はどう変化してしまいますか?

高次脳機能障害の急性期に,知能テストなどで知能の低下が確認されても,
リハビリテーションをすると新しいネットワークができて,ある程度知能が回復することが知られています。




【知能障害】




■知能とは?


あなたがこの文章を読みその内容を理解しているのは,ヒトに備わっている優れた知能を用いているからです。
交通事故で高次脳機能障害を発症すると,人間の素晴らしい知能の一部が元通りに機能しなくなり,さまざまな障害が起きます。




知能とは,学習する能力や,抽象的な思考能力,環境に対する適応力などの総称です。
私たちを取り囲む環境は一定ではありません。




日が昇って室内の気温が上昇すれば窓を開ける,道を歩いていて知っている人に会えば挨拶をするなどの動作をごく自然に行いますが,これらも環境に適応するために,人間に備わった知能を使っているのです。




この説明から,知能と記憶力は違うということがおわかりいただけると思います。
知能は,頭の良し悪しに関わらず,すべての人間が持っている能力なのです。






■高次脳機能障害と知能障害


交通事故後に高次脳機能障害を発症してから間もない急性期には,知能検査で知能の低下が認められることがあります。




しかし,高次脳機能障害は進行的に悪くなる病気ではないので,急性期から時間が経つにつれ,さらに症状が進行することはありません。むしろ,脳の神経回路が,失ったネットワークを取り戻すために新しいネットワークを作ろうとして,損傷した神経回路をカバーすることが知られています。

これが「脳の可塑性」です。
つまり,急性期に起こった知能障害は,後にはある程度改善することがありうるのです。




むろん,交通事故による脳の損傷の度合いが激しい場合は,回復期になっても記憶障害や感情障害が強く現れ,改善されないこともあります。
しかし,できるだけ早い時期にリハビリテーションを開始して,脳の神経回路に刺激を与え,新しいネットワークを作るよう努力することが,大事であると考えられています。






■高次脳機能障害と認知症


誰もが,認知症という形をともなって知能の低下を経験するリスクがありますが,高次脳機能障害の人は認知症になる確率が高いのかという問題があります。




日本で行った統計はありませんが,アメリカ合衆国で行った調査では,外傷性脳損傷は認知症のリスクを2倍にするという結果を得ました。

高次脳機能障害を発症したからといって家に閉じこもらず、リハビリテーションにでかける、友達とおしゃべりする、趣味を持つなど、いろいろなものに興味を持って脳を活性化させ、認知症を予防しましょう。
残された脳機能を保護するために、脳卒中をおこさないよう血圧管理も重要になります。







(弁護士法人よつば総合法律事務所)

高次脳機能障害による失認の検査とリハビリテーションとは,どんな事をするのですか?

2016年09月14日
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高次脳機能障害による失認の検査とリハビリテーションとは,どんな事をするのですか?

高次脳機能障害による失認の検査は,感覚器に異常がないことを確認してから行います。リハビリテーションは,繰り返し物を示して名前を言うなどの訓練を行います。





【失認の検査とリハビリテーション】



■失認検査はまず感覚器の検査から

失認は,感覚器から入ってくる情報をうまく処理できないために起こります。
つまり,感覚器自体には障害は起きておらず,ネットワークが問題なのです。

そこで,失認を疑う症状が現れた場合は,まず視覚、聴覚など感覚器の検査をします。
その他,交通事故が原因で発症する高次脳機能障害に現れやすい失語,記憶障害などについても調べた上で,他の障害による影響を否定した場合に,失認であると結論づけます。



・視覚失認の検査

実物を見せて呼称を答えさせる,物の絵を見せて呼称を答えさせるなどの検査を行います。
相貌失認の検査は,人の顔の写真を用いて顔を認識できるかテストします。

「標準高次視知覚検査(VPTA)」は,失認の検査に良く用いられるテスト方法です。VPTAは,7つの項目から構成されていて,115枚の図を用いて検査します。


・聴覚失認の検査

聴覚失認は,人の会話が聞き取れない,環境雑音が意味するものがわからない,音楽がわからないなどの症状を伴います。
昇格失認の検査では,語音の認知,環境音認知,音楽認知を行い,どのような障害が現れているかテストします。


・身体失認 病態失認の検査

身体失認の検査は,身体の部位を言い,患者さんが自分の体でその部位を指してもらったり,身体を描いた図を患者さんの前に置いて該当する部位を示してもらいます。






■視覚失認のリハビリテーション

視覚失認のリハビリテーションは,おもに物品を反復してみせることでその物品を覚えてもらいます。

絵カードにその物品が描いてあると何か言えるが,実物を見るとそれが何かわからない。
物を見る向きが変わると何だかわからないという症状が現れる場合もあります。

視覚失認のリハビリテーションは,繰り返しさまざまな条件で視覚的認知を強化する必要があります。
日常生活では,持ち物を決まった場所に置く,自分も持ち物の色は統一するなどの方法で,物の認知が向上することもあります。







■身体失認のリハビリテーション

身体失認のリハビリテーションは,腕に注意を向けさせて触らせる,目で見て確認させるなどの方法で行います。

なお,高次脳機能障害を発症した直後は,自分の腕を自分の手ではなく赤ちゃんの手だと答えるなど,身体パラフレニーの症状が現れていたが,やがて症状が現れなくなるというように,身体失認は急性期で消えることが良くあります。

病態失認は,注意力の向上を目的としたリハビリテーションを行うことにより症状が改善することが知られています。







(弁護士法人よつば総合法律事務所)

交通事故による高次脳機能障害と失認とは,どんな症状ですか?

2016年09月13日
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交通事故による高次脳機能障害の失認とは,どんな症状ですか?

交通事故による高次脳機能障害で,失認を発症することがあります。
感覚器に異常はないが情報処理に問題があって,見たものや聞いたことを正しく認識できなくなるのが失認です。




【失認の症状】



■失認とは?

交通事故による高次脳機能障害の後遺症で,視覚や聴覚などの感覚を通して物を認識できなくなる障害を,「失認(しつにん)」と言います。失認により,物の認識だけでなく,人の顔や街並み,体や病態などの認知ができなくなることもあります。

失認は,感覚器の障害ではなく,情報処理に問題があるために起こります。




・視覚失認

たとえば,万年筆を見たとき,それが何かわかりませんが,手に取って持ったら万年筆だとわかるのが,失認の症状です。

目に見えているものを1つのまとまった形にできない「統覚型(とうかくがた)視覚失認」と,形はわかるが意味がわからない「連合型視覚失認」があります。

目に見えているものが何かわかるが,名前が言えなのは視覚失語です。


・聴覚失認

聴覚失認になると,聴覚に異常はないのに,聴覚に関する情報処理に問題があるため,人の話や環境で発する音,音楽などを聞いても内容がわからなくなります。人との会話が困難になるなど,日常生活に支障が出ます。









■特定のものに対する失認




・相貌失認

人の顔を覚えるのが苦手という人がたまにいますが,そうではなく,人の顔の区別ができなくなるのが「相貌(そうぼう)失認」です。
相貌失認になると,良く知っている人に会っても,それが誰かわからなくなります。
相貌失認の人は,人の顔は皆同じように見えたり,顔の部分だけぼやけて見えたりするので,知っている人でもわからないのです。


・街並失認

何度も通ったことのある街並を見ても,そこがどこかわからなくなります。
建物を認識することができ,道順はわかるのに,目的とする建物がわからずたどりつけません。
街並失認になると,良く知っている見慣れた町の風景も,初めて見るように感じます。
新しい場所の地図や見取り図を書くことは困難になりますが,知っている場所の地図や見取り図は書けます。



街並失認は,右側の海馬の傍回の損傷が原因となって,視覚による認知と記憶の回路が絶たれたために起こると考えられています。





・身体失認

身体失認は,まるで体の片側がないように無視する「片側身体失認」,自分の体の半分がどこにあるかわからない「定位困難」など,さまざまな症状が現れます。


身体部位の失認のうち,手指の認識が困難である手指失認は,左右失認,失書,失算と合わせた4つの症状を伴うことが多いのが特徴で,これらの症状は「ゲルストマン症候群」と呼ばれています。


麻痺している手足を自分のものではないと主張するのは「身体パラフレニー」です。(パラフレニーとは、情緒面の障害の影響を受けない妄想や幻覚のことです)








(弁護士法人よつば総合法律事務所)

高次脳機能障害による失行のリハビリテーションとは,どんな内容ですか?

2016年09月12日
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高次脳機能障害による失行のリハビリテーションとは,どんな内容ですか?

高次脳機能障害による失行のリハビリテーションは,道具を使った動作の反復訓練が中心となります。




【失行のリハビリテーション】



■失行は他の障害を伴うことが多い

交通事故に遭ったことにより高次脳機能障害で失行を発症した人は,失行だけでなく,右片麻痺を伴うことがしばしばあります。


右利きの人が右半側麻痺になったら,利き腕でない左手で道具を使ったり文字を書いたりしなければなりません。失行を発症していなくても,利き腕でない手で道具を扱うのは大変であり、自分が不器用になったように感じるでしょう。

ですから,片麻痺で失行の症状がある人は,リハビリテーションに並々ならぬ苦労を伴うことになります。
高次脳機能障害による影響でコミュニケーション能力が低下していれば,リハビリテーションの必要性を理解してもらうことも困難です。



このような状況のなか,以下のような種類のリハビリテーションをプログラムに取り入れて,動作の改善に努めます。

・機能改善型治療
低下した機能を,ひたすら反復訓練を行うことによって回復させます。


・能力補填(ほてん)型治療

特別な道具を使って失われた機能の回復をめざします。


・環境調整型治療

動作の手順を写真や絵カードにして,正しい動作をうながします。


・行動変容型治療

一連の動作を分解して,パートごとに少しずつ動作ができるように訓練します。


・能力代償型治療

発話に問題がない場合は,自分が行おうとする動作を口にしながら訓練を行います。







■生活の質を上げるためのリハビリテーション


「交通事故による高次脳機能障害の失行とは,どんな症状でしょうか?」で述べたように,失行のなかでも,観念性失行は,日常的に良く使う道具を使えなくなるので,生活の質が低下し、さまざまな不自由が強いられます。
そのため,観念性失行の患者さんに対するリハビリテーションは,日常的に良く行っている動作を中心に反復訓練を行います。





例えば,顔を洗ってタオルで拭く,髪をブラシでとかす,歯ブラシで歯を磨くなどの動作がスムーズにできるよう訓練します。

使い慣れた道具の方がリハビリテーションの効果が出やすいことがあるので,家から愛用の道具を持ってきてもらい訓練に使用することもあります。


訓練を実際に担当するのは作業療法士ですが,
歩行などの動作にも失行がある場合は,理学療法士による訓練に参加します。





道具を使ったリハビリテーションは,最初は単純な動作のものから始まり,徐々に複雑な動作を伴うものに移行します。トイレに入って服を下げて用を足し,服を上げて出てくるといった一連の動作は,動作を区切って訓練していき,だんだんできることを増やしていきます。







(弁護士法人よつば総合法律事務所)

交通事故による高次脳機能障害の失行とは,どんな症状でしょうか?

2016年09月09日
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交通事故による高次脳機能障害の失行とは,どんな症状でしょうか?

高次脳機能障害の後遺症の一つに失行があります。
失行を発症すると,麻痺がないのに特定の動作ができない,道具をうまく使えないなどの症状が現れます。




【高次脳機能障害 〜失行〜】



■失行とは?

交通事故などが原因で高次脳機能障害になると,体に麻痺があるわけでもなく,指示されたことを理解しているにも関わらず,以前はできていた行動をうまくできなくなるという症状が現れることがあります。
これを「失行(しっこう)」と言います。



例えば,歩くという行為は乳児以外,誰でも無意識に行える動作ですが,交通事故によって,歩行失行を発症するとうまく歩けなくなります。

この他,口や顔の動きのみに障害が現れる「口顔面失行」,着替えがうまくできない「着衣失行」,手足の動きがうまくできない「肢節(しせつ)失行」などがあります。

着衣失行は,手足の動きに問題はないのに服の上下や表裏の区別ができず,ボタンをかけることができないなどの症状が現れます。

もっともよく現れる失行は,肢節失行です。
肢節失行は,さらに「観念運動性失行」,「観念性失行」,「肢節運動失行」の3種類に分類されます。







■観念運動性失行

観念運動性失行になると,ある動作をしようとしてもできない,指示された動作ができないなどの症状が現れます。
例えば,ピースサインを出してくださいと言ってもできないなどの症状が観念運動性失行です。

観念運動性失行は,空間や時間の運動イメージが前頭前野に伝わらないことが原因でおこるとされています。
脳の損傷部位は,左頭頂葉の縁上回(えんじょうかい)あたりであると考えられています。
具体的には,頭のてっぺんよりやや後ろよりで、少し内側に入ったあたりです。






■観念性失行

観念性失行になると,物の扱いがうまくできなくなります。
はさみの使い方がわからない,テレビのリモコンが使えないなど,歯ブラシで歯を磨こうと思っても歯ブラシの使い方がわかならないなど,日常生活で当たり前のように使っていた生活道具をうまく扱えないので,生活に支障が出ます。



■肢節運動失行

肢節運動失行になると,熟練運動や巧緻運動ができなくなります。
例えば,机の上の硬貨をつまみあげることができないといった症状が現れます。

肢節運動失行の原因となる脳の損傷部位は,中心前回(ぜんかい)と,その傍の運動前野,中心後回(こうかい)などではないかと考えられています。






■失行の検査



・観念性失行と観念運動性失行の検査
指示した動作がうまくできるか,バイバイをするなど簡単な動作をしてもらいます。
道具を持たずに,ハンマーでたたくなどの動作などをしてもらいます。
実際に道具を持ってもらい,道具を使えるかどうか検査します。

・肢節運動失行の検査
ポケットに手を入れる,ボタンをかける,机の上の硬貨とつまむなどの動作をしてもらいます。
予備検査として,筋力や握力の確認を行い麻痺がないことを確認した上で,これらの動作がうまくできなければ肢節運動失行を疑います。







(弁護士法人よつば総合法律事務所)

交通事故による高次脳機能障害は感情や行動に障害が起きることがありますか?

2016年09月08日
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交通事故による高次脳機能障害は感情や行動に障害が起きることがありますか?

交通事故で高次脳機能障害を発症すると、意欲の低下や抑うつ、怒りっぽくなる、感情の抑制ができないなど、感情や行動に障害が起きることがあります。




【高次脳機能障害の障害 〜感情・行動〜】




■感情や行動の後遺症とは?

交通事故で高次脳機能障害を発症すると、感情や行動における障害が現れる場合があります。
感情と行動における障害とは、以下のような症状です。


・意欲の低下
何事にも意欲を持つことができず、生活意欲が減退して漫然とした時間を過ごすようになります。
症状が重いと、本当に何もしない「無感情状態」になります。
意欲の低下は、前頭葉の損傷が原因で起こると考えられています。


・脱抑制

私たちは、社会生活を営む上で、適切な行動や態度を無意識に判断して生きていますが、脱抑制の症状が現れると、感情のコントロールができなくなり、その場にそぐわない感情の露出を平気で行うようになり、思ったことを平気で言ったり、すぐ感情がたかぶったりします。



・易怒性(いどせい)

交通事故に遭う前と比べると別人のように怒りっぽくなります。
起こる対象は家族だけに限らず、町で交通ルールを守らずに走っている自転車の運転者に怒鳴りつけるなどの行動が現れます。


・抑うつ

うつ症状があらわれ、ふさぎ込みます。


・暴力行為

人に対する暴力とは限らず、物を破壊する行動がしばしばみられます。







■なぜ精神的面の障害が現れるのか?

高次脳機能障害になると精神や行動の障害が現れる原因は、次のように考えられています。




・脳の右半球を損傷した場合の精神・行動の障害

しばしば左半側空間失識を発症しますが、その他、飽きっぽくなる、せっかちになる、細かいことが気になるなどの症状が現れることがあります。特定のことが気になって同じ行動を何度も繰り返すこともあります。

同じく、右半球を損傷すると、多弁の症状が現れることがあります。
しゃべり続けますが、内容はどんどん変わり、深みのないとりとめのない会話が続きます。
相手の声の調子から相手の感情を読み取ることができなくなります。





・脳の左半球を損傷した場合の精神・行動の障害

脳の左半球を損傷すると、しばしば失語症や失行症を発症します。
会話はなくても比較的温和な性格が保たれます。

思い込みが強くなり、行動が自己中心的になる傾向があります。
リハビリテーションをしている最中に与えられた課題ができないと感情を抑制できなくなることがあります。




・両側性の脳損傷における精神・行動の障害

脳の両側を損傷すると、感情失禁の症状がしばしば現れます。
喜怒哀楽のコントロールができなくなり、ちょっとしたことですぐ泣いたり、おかしくない時に笑いだしたりと、社会的にそぐわない態度が目立ちます。







(弁護士法人よつば総合法律事務所)

交通事故による高次脳機能障害の診断には家族が同席した方が良いでしょうか?

2016年09月07日
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交通事故による高次脳機能障害の診断には家族が同席した方が良いでしょうか?

交通事故による高次脳機能障害で受診する場合,家で現れる症状が診察室では現れないこともあるので、できるかぎり家族が同席しましょう。




【診断〜家族の同席〜】



■病院に行って医師の診断を受けるという行為に,ある程度のストレスを感じない人はいないでしょう。




高次脳機能障害の人が診断を受ける場合は、家族が同席して本人の緊張を軽減してあげてください。
交通事故で高次脳機能障害を発症しても、本人に自覚がないことがあります。

たとえば、高次脳機能障害になると、「失行」といって本人は指示された内容が分かっているのに、指示通りの動作や行動ができないという症状が現れることがあります。

うちわを渡して仰いでくださいと言うと、さかさまに持つといった具合です。




しかし、本人は言われたことを理解しており、自分が間違ったことをしているという自覚はありません。
なぜ受診しなければならないのか、病院に行くのは嫌だと抵抗することもあるでしょうが、受診の必要性を根気よく説明してください。







■記憶障害を発症している場合は,家族の説明が必要になることも


高次脳機能障害における典型的な後遺症の一つに「記憶障害」があります。
会話に出てくる過去に体験したことの順番がおかしい、実際にはなかったことをあたかも本当にあったことのように話すなどの症状が現れます。

記憶障害でこのような症状が現れた場合、初対面の医師は、発話が事実なのか、それとも記憶障害による作話(さくわ)なのか判断がつきかねますのが、家族が同席していれば、どこまでが事実か、体験したことの順番などについて、医師に伝えることができます。









■自宅と病院で症状が変わることがある


高次脳機能障害の影響で、性格が激変することがあります。

たとえば、以前は穏やかな性格だったのに、怒りっぽくなった、イライラしやすいなどの症状が現れ、同居する家族が困るようなことも起きます。

しかし、患者さんが一人で病院に行っても、病室では感情面を抑制し、特に問題となる症状が見つからないことがあります。患者本人も、特に困っていることはないと答えたりします。

しかし、実際には後遺症により人格に変化が起きているのですから、治療が必要です。

高次脳機能障害による後遺症が原因で,感情面・行動面に問題が生じたら、家族も受診に同席して交通事故後、家ではどのような状態か、医師に説明して治療の相談をしてください。









■問診でわかることは?


専門医は、患者さんと対面して顔を見たり質問することによって、高次脳機能障害の後遺症のうち,どの障害が現れているか判断します。

たとえば、向かい合って座っているのに、医師と視線を合わせずに横の方ばかり見ている場合は、半側区間無視の症状が現れていると診断します。質問に対して適切な答えが返ってこない場合は失語症を疑います。




(弁護士法人よつば総合法律事務所)

家族の理解と協力は、交通事故による高次脳機能障害の回復に関係してますか?

2016年09月06日
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家族の理解と協力は,交通事故による高次脳機能障害の回復に関係してますか?

交通事故による高次脳機能障害の回復にはリハビリテーションが欠かせませんが,本人がリハビリテーションの必要性を自覚しないことがあるので,家族の理解と協力が重要です。




【リハビリテーションと家族の協力】



■リハビリテーションを拒む患者さんもいる


交通事故による高次脳機能障害の症状は実にさまざまです。
手足の動きが不自由であるといった物理的な障害は,本人が自覚しやすいですが,発語やものの形の認知,感情のコントロールなどは,明らかな症状が現れているにもかかわらず,患者さん本人が自覚しないことも珍しくありません。

そのため,患者さん自身が交通事故後リハビリテーションの必要性をなかなか自覚できず,リハビリテーションを行うことを嫌がったり,回復訓練に真剣に取り組まないなどの問題が起きます。

患者さん自身が,自分におかしなところはないと思っているのに,単調な訓練を繰り返し行うように言われたら,リハビリテーションに取り組む意欲が失せるのも当然です。

そこで重要になるのが,家族の協力です。
交通事故による高次脳機能障害に自覚はなくても,後遺症があること,それを治すにはリハビリテーションが欠かせないことを,根気よく説明し,患者さんに理解してもらいましょう。







■リハビリテーションスタッフと信頼関係を結ぶ


リハビリテーションは、医師の指導のもとに,看護師,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,ソーシャルワーカーなどがチームを作って行います。
それぞれのスタッフは,専門領域のリハビリテーションを行い,理学療法士が作業療法を行うことはありません。

高次脳機能障害による後遺症は多岐に渡るので,リハビリテーションプログラムは,理学療法,作業療法,言語聴覚療法を組み合わせて行うのが一般的です。

すなわち,大勢のスタッフが情報を交換しながら1人の患者さんを支えて効果的なリハビリテーションを行っていくことになります。患者の家族は,リハビリテーションスタッフを信頼して良い関係を築くことが,リハビリテーションを成功に導きます。




病院内でのリハビリテーションが良い結果を結び,退院できる見通しが付いても,即退院というわけにはいきません。
帰宅した後で重要になるのは社会復帰です。


たとえ,リハビリテーションにより体の機能がある程度回復したにせよ,高次脳機能障害であることに変わりはないので,体の状態に応じた社会復帰について計画を立てなければいけません。
復職するのか,別の仕事に就くか,通勤はどうするか,家庭で療養する場合はどこでどのようなリハビリテーションを受けるか・・退院する前に考えることはたくさんあります。




退院に向けて患者が抱える問題点を分析し,一緒に解決方法を考えてくれるのがソーシャルワーカーです。
退院後に受けることができる福祉制度や申請の方法など,なんでも相談しましょう。





(弁護士法人よつば総合法律事務所)

交通事故で高次脳機能障害になったら,リハビリテーションは必要ですか?

2016年09月05日
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交通事故で高次脳機能障害になったら,リハビリテーションは必要ですか?

交通事故で高次脳機能障害になった人の機能回復にはリハビリが重要です。
 できるだけ早い時期に開始し、退院してからも継続しましょう。





【リハビリテーション】



■失われた機能を取り戻したかったらリハビリに力をいれよう


突然の交通事故で高次脳機能障害になったら、できるだけ早い時期からリハビリテーションに取り組みましょう。
なにも、不自由な体にむち打って無理やり体を動かせというのではありません。

脳を損傷するほどの怪我をしたら、病院で治療を受けることになりますが、治療を担当する医療チームが、受傷直後から症状を把握してリハビリテーションプログラムについて検討します。




もちろん、受傷してから間もない時は、投薬による治療も必要になることがあります。
しかし、高次脳機能障害は薬だけで治る病気ではありません。

薬はあくまでも、神経を穏やかにするなど、おもに感情面におけるコントロールに用いられ、体の失われた機能を服薬で取り戻すことはできないと思ってください。






■脳の可塑性を信じてリハビリテーションをしよう


「交通事故で高次脳機能障害になった脳の機能を補えますか?」で述べたように、脳には「可塑性(かそせい)」という素晴らしい機能があります。高次脳機能障害によってある動作ができなくなっても、他の神経回路が、できなくなった動作を補うようになり、結果的に症状が回復するのです。


壊れた神経回路がもとに戻らなくても、それを補う新しい神経回路が生まれる!
人間の脳は、なんと素晴らしい仕組みを備えているのでしょう。

リハビリテーションは、脳の可塑性という働きを最大限に活用した治療方法です。


高次脳機能障害を発症したら、できるだけ早くリハビリテーションを始めることが重要ですが、期間を区切って、はい、おしまいというのではありません。


急性期の病院から回復期の病院に移ってもリハビリテーションは必要です。

その後、退院して自宅療養になった場合でも、リハビリテーションを怠らずに続けることで、新しく生まれた神経回路が、より確実に、そして高度な役割を担えるようになるのです。






■リハビリテーションと公的保険の適用


高次脳機能障害の人が退院後にリハビリテーションを受ける場合、以下のような条件の方は、公的保険が適用されます。

・介護保険は、65歳以上の人が対象です。

・40〜64歳の人は、脳血血管疾患など、特定疾病と認定されると介護保険のサービスを受けられ、高次脳機能障害の場合も適用になる場合があります。

・40〜64歳で特定疾病に該当しない人、40歳以下の人は、自立支援法に基づくサービスの利用ができます。

・障害等級認定を受けて身体障碍者手帳を取得した場合は、身体障碍者手帳福祉制度が利用できます。







(弁護士法人よつば総合法律事務所)
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