2016年08月

大脳辺縁系の働きとは,どのようなものでしょうか?

2016年08月23日
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大脳辺縁系の働きとは,どのようなものでしょうか?

海馬や偏桃体など脳の奥にある複数の領域を総称して大脳辺縁系と言います。
海馬は短期記憶を,偏桃体は感情とそれに伴う身体反応をつかさどります。




【大脳辺縁系】




■大脳辺縁系は脳の複数の領域の総称


大脳の半球内部と下部に存在する皮質辺縁系(ひしつへんえんけい)とその基底核(きていかく)の総称が,大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)です。広義では,視床下部も大脳辺縁系に含むこともあります。




コラム「大脳皮質の働きとは,どのうようなものでしょうか?」でお話したように,大脳を覆っている大脳新皮質は6層から成る円柱状の物質でできていますが,大脳辺縁系の周囲の皮質は,6層に分かれていない大脳原皮質でできています。


大脳新皮質は高度に進化した生物にのみ見られる物質であり,ヒトの知能や能力と深く関わっています。
一方,大脳原皮質は,系統樹(進化の発展を示した図)で言うとヒトより下位に位置する爬虫類などの生物にも存在します。

このことは,大脳原皮質でできている大脳周辺系は,進化の過程で古くから存在し,動物として生きて行くために必要な機能,すなわち本能を担っていることを表します。









■皮質辺縁系の働き


皮質辺縁系は,海馬(かいば),海馬傍回(かいばぼうかい),帯状回(たいじょうかい)などで構成されています。


・海馬


目,耳,鼻からの短期記憶をつかさどっています。
海馬に保存された記憶は,必要と判断されたもののみ選択されて大脳皮質に長期記憶として保存されます。

短期記憶として海馬に保存される期間は,1カ月から数カ月です。
頭部を強打するなどして海馬を損傷し高次脳機能障害になると,短期記憶を保存できないので重度の健忘症を発症します。海馬は,喜怒哀楽や情緒,性衝動などにも関与しています。




・海馬傍回

海馬傍回(かいばぼうかい)は,記憶の符号化と認知に関与していると考えられています。
海馬傍回の下部にある場所領域を損傷して高次脳機能障害を発症すると,人物や物を認識できるが地理的風景を認識できない症状が現れることがあります。




・帯状回

帯状回(たいじょうかい)は,複数の領域に分かれている大脳辺縁系を結びつける役割を持っています。
帯状回は,呼吸器の調節や感情による記憶にも関与しています。






■基底核


大脳基底核(だいのうきていかく)は,大脳皮質と視床,脳幹を結びつけています。
視床に入ってきた情報のほとんどは,大脳皮質と大脳基底核を経由してまた戻ってきます。

基底核には偏桃体(へんとうたい)という部分がありますが,偏桃体は,快不快などの本能的な感情とそれに伴う体の反応をつかさどっています。ヒトの大脳基底核は,単なる情報の経由地ではなく,運動,認知,感情,学習などの機能にも関与しているのです。




(弁護士法人よつば総合法律事務所)

神経線維の働きとは,どのようなものでしょうか?

2016年08月12日
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神経線維の働きとは,どのようなものでしょうか?

たくさんの領域に分かれている脳は,神経線維を通して各領域が情報を伝達します。
 高次脳機能障害で,弓状束という神経線維を損傷すると失語症を発症します。



【神経線維】



■いくつも分かれている大脳が情報交換できるのはなぜ?


ブロードマンという脳科学者は,大脳皮質の組織構造が異なる場所ごとに,別の色に染色して脳地図と呼ばれる図を作りました。ブロードマンの脳地図では,脳は52に分かれています。


それほど細かく分けなくても,大脳は,中央の大脳縦裂により右半球と左半球に分かれています。

右半球と左半球は奥の方ではつながっていますが,中央の溝はとても深い為,まるで独立した組織のように見えます。

さらに,右半球と左半球には,前頭葉,前頭頂葉,側頭葉,後頭葉があり,それぞれの葉(よう)の間には溝があります。



これらの脳の領域は,神経線維によって情報交換をしています。

身体の随意運動と感覚に関する情報は,右半球が体の左側,左半球が体の右側を受け持っています。
これらの情報は,神経線維を通じて右半球と左半球でやりとりされ,その結果,体の動きや感覚が統合されるのです。






■神経線維の種類と働き


神経線維にはいろいろな種類があり、それぞれが決まった働きを持っています。


・交連線維


右半球と左半球を結んでいるのが交連線維(こうれんせんい)で、右半球と左半球の情報をやりとりする際に用いられます。


・連合線維


情報を同じ半球内の他の場所に伝達する時は、連合線維(れんごうせんい)を通ります。
脳の半球は広いので、隣同士の回(かい=大脳皮質の盛り上がった部分)に情報伝達をする倍は短い連合線維、遠く離れた場所にある回に情報を伝える場合は長い連合線維を通ります。
連合線維は、最終的に大脳半球の側面から、前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉をつないで通っています。


・弓状束と失語症


高次脳機能障害により失語症を発症することがあります。
失語症は、弓状束(きゅうじょうそく)という神経の束の障害が原因で起きることがあると考えられています。
弓状束は、長い連合線維の一種で、音声情報を転送する働きを持っています。




言葉を話したり聴いたことを理解する能力は、ブローカ野とウェルニッケ野が関与していますが、この二つの領域を結んでいるのが弓状束です。
そのため、弓状野を損傷すると、音声情報を正しく伝達できなくなる「伝導性失語」を発症し、聴いたことを理解することはできても、聴いた話の復唱ができないなどの症状が現れます。
なお、すべての失語症が弓状野と関係があるのではなく、左右いずれかの半球にある言語野を損傷しても失語症になります。







(弁護士法人よつば総合法律事務所)

交通事故で脳を一部損傷し,高次脳機能障害になりました。残りの部分にも障害は広がっていきますか?

2016年08月10日
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交通事故で脳を一部損傷し,高次脳機能障害になりました。
 残りの部分にも障害は広がっていきますか?



交通事故により,損傷した脳の壊れた細胞は一部であって,
 残りの部分の細胞は正常に活動しています。
 脳が適切に活動するためには,たくさんの酸素と血液,ブドウ糖が必要です。 
 高次脳機能障害の人はブドウ糖を含む果物や炭水化物を適切に取りましょう。


【脳の栄養】



■脳はたくさんの栄養を必要としている



脳は,細胞や神経,各器官を健全な状態に保つために栄養を必要としています。



高次脳機能障害は,交通事故など,脳の一部を損傷したために発症する病気ですが,壊れた細胞は一部であって,残りの部分の細胞は活動しています。
高次脳機能障害であっても,脳に十分な栄養がいきわたるよう工夫しましょう。


ヒトの脳の重さは平均1400gなので,体重70kgの人なら,脳の重量が体重に対して占める割合は2%に過ぎません。しかし,脳は驚くほどたくさんの栄養を必要としているのです。


たとえば,脳は,ヒトが体内に取り入れる酸素量の20%を消費します。
脳のブドウ糖の消費量は,全身で消費するブドウ糖の25%です。



脳の中には,血管が縦横無尽に走っています。
心臓は,ポンプの役割をして酸素の溶けたきれいな血液を,動脈を通じて体のすみずみまで送り,酸素が取り込まれた後の血液は,静脈を通して心臓に戻っていきます。
この血液の流れは,心拍(ドクドクという心臓の鼓動)によって作られています。
心拍出量の15%は,脳を循環しています。




空気の悪い部屋に入ると,頭がぼうっとしてきたり頭痛がするのは,脳が酸素不足で悲鳴を上げているからです。
脳の持つ機能を最大限に働かせるには,栄養がたっぷり必要だということをお分かりいただけたと思います。







■脳の血液循環が減少すると?


脳は,上述のようにたくさんの血液を必要としており,脳の組織を流れる血液が減少すると,脳の組織はたやすく損傷してしまいます。
高次脳機能障害は,脳細胞が破壊されるほか,脳内の血液が損傷されることでも発症します。

健康な脳は,脳循環自動調節機能を働かせて,脳内の血液の量を一定に保っています。







■脳が必要とする栄養素は?



脳が活動するのに必要なエネルギーは,ほぼすべてをブドウ糖(グルコース)から得ています。


しかし,脳はブドウ糖を貯蔵することができません。
つまり,脳が活発に活動できるようにするには,適切な量のブドウ糖を摂取する必要があるのです。

単糖類の一種であるブドウ糖は,名前の由来であるブドウなどの果実に含まれるほか,ご飯やパンなどの主栄養素である炭水化物は,消化酵素の働きでブドウ糖になります。
ブドウ糖が不足すると,脳の活動が低下して集中力が衰える,記憶力が低下する,疲れやすくなる,うつ,イライ,
不眠などの症状が現れます。

その他にも,下記エネルギーも脳にとっては,必要な栄養素と言えます。

必須アミノ酸、リン脂質、必須脂肪酸:脳細胞の構造や神経伝達物質の原料
ミネラル:情報伝達の質に関与
ビタミン:脳の機能が円滑にする

ブドウ糖だけでなく,これらの栄養素を取り入れた食事を心がけましょう。

参考
http://www.arakawa-yasuaki.com/course/brain-nutrient.html




(弁護士法人よつば総合法律事務所)

視床下部と下垂体の働きとは,どのようなものでしょうか?

2016年08月09日
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視床下部と下垂体の働きとは,どのようなものでしょうか?

視床下部のすぐ下にあるホルモン分泌器官は下垂体は血管でつながっています。視床下部はホルモンの放出・抑制に関するホルモンを生成して内分泌をコントロールしています。



【視床下部と下垂体の働き】



■視床下部とホルモンの密接な関係とは?


【間脳の働きとは,どのようなものでしょうか?】でお話したように,視床下部(ししょうかぶ)には,感覚に関する情報の中継と自律神経のコントロールという働きがあります。

ヒトが意識しなくても呼吸をして酸素を取り入れ,炭酸ガスを排出しているのは,自律神経のおかげで,これを「恒常性(こうじょうせい)=ホメオスタシス」と言います。


恒常性を保っているおかげで,私たちは体温を一定に保ち,眠っている間も呼吸をし,食事をすれば消化活動により栄養を取り入れて不要なものを排せつすることができるのです。




なぜ,私たちが意識していないにも関わらず,自律神経は人体を適切にコントロールして恒常性を保つことができるかというと,さまざまな種類のホルモンが関与しているからです。


各種のホルモンを分泌するのは視床下部とつながっている下垂体(かすいたい)ですが,視床下部も特別なホルモンを分泌します。視床下部が分泌するホルモンは,下垂体が分泌するホルモンの量をコントロールするためのものです。

たとえば,視床下部は,成長ホルモン放出ホルモンと,成長ホルモン抑制ホルモンの両方を分泌してヒトの体の成長をコントロールしています。成長ホルモンは,脳下垂体から分泌されますが,その量は,視床下部が支配されているのです。




この他にも,視床下部は,生殖腺刺激ホルモンの放出と抑制,副腎皮質刺激ホルモンの放出と抑制,甲状腺刺激ホルモンの放出と抑制,プロラクチン(女性の乳汁分泌に関与するホルモン)の放出と抑制などを行っています。
視床下部が分泌するホルモンは,視床下部の弓状核(きゅうじょうかく)という場所で生成されます。








■下垂体の働き


下垂体(かすいたい)は,脳の下のほうにぶらさがるような形でつきだしていて,すぐ上には視床下部の弓状核があります。弓状核はろうとのような形をしていて,下垂体門脈という血管を通して下垂体が生成したホルモンを下垂体に送っています。




下垂体は,下垂体前葉(かすいたいぜんよう)と下垂体後葉(こうよう)で構成されます。

・下垂体前葉
成長ホルモン,甲状腺刺激ホルモン,副腎皮質刺激ホルモン,性腺刺激ホルモン,プロラクチンを生成します。

・下垂体後葉
抗利尿ホルモンとオキシトシン(射乳ホルモン)を生成します。



高次脳機能障害の治療のため放射線照射をすることが視床下部や下垂体に影響を与えるかどうかについては,意見の分かれるところです。




(弁護士法人よつば総合法律事務所)

間脳の働きとは,どのようなものでしょうか?

2016年08月08日
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間脳の働きとは,どのようなものでしょうか?

間脳は、大脳と中脳の間にあり、聴覚以外のすべての感覚は、間脳を通じて情報がやりとりされます。間脳の一部である視床下部は自律神経の最高位中枢です。




【間脳の働き】



■間脳は感覚と自律神経の中枢



間脳(かんのう)は、大脳と中脳の間にある脳の一部です。
間脳は、神経細胞で大脳皮質、大脳基底核、脳幹、大脳辺縁系とつながっていて、聴覚を除く感覚に関する情報を伝達し、自律神経の働きを調節します。
間脳は、意識や神経活動のまさに中枢と言って良いでしょう。



■間脳の各部の働き



間脳は、視床(ししょう)、視床上部、視床下部、視床後部、脳下垂体(のうかすいたい)で構成されています。
間脳という名前になじみがなくても、視床下部、脳下垂体といった言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか?


・視床

間脳の容積の8割を占めるのが視床で、深い溝で2つに
区切られています。

視床には、嗅覚(きゅうかく)系以外の感覚神経がすべて集まっています。感覚に関する情報は、視床を中継して大脳皮質の感覚中枢に到達します。

交通事故に遭い,高次脳機能障害になり間脳の機能が正常に働かなくなると、感覚機能に障害が現れます。





・視床下部

視床下部(ししょうかぶ)は、間脳の下側にある直径5〜6ミリ、長さ10〜12ミリの小さな領域で、脳下垂体につながっています。この小さな領域こそが、自律神経の最も高位の司令塔として自律神経を支配しているのです。

自律神経と、内臓の活動を調整する神経で、私たちが意識していなくても24時間活動しています。
新陳代謝や体温調節、水分調節(発汗)、消化、呼吸、感情、性欲および性機能などは、すべて自律神経によってコントロールされています。


視床下部は、まさに生きる根幹に関わる脳の領域なのです。
視床下部と内分泌の関わりは、「視床下部と下垂体の働きとは,どのようなものでしょうか?」をご覧ください。

・視床上部

視床上部(ししょうじょうぶ)は視床の後ろ側にあり、手綱(たずな)と呼ばれる嗅覚神経の集まりと松果体(しょうかたい)という分泌期間で構成されています。

手綱は、溝で左右に区切られている視床の間を手綱のようにまたいでいることからその名が付きました。
松果とはマツボックリのことで、形が似ていることから付けられた名称です。

松果体は、視床の間の溝に挟み込まれるような形で位置している直径8ミリくらいの小さな内分泌器官です。

実は、松果体が分泌器官であることがわかったのは近年のことで、それまでは機能を持たない衰退した部位であると考えられていました。
松果体は、メラトニンというホルモンを生成します。
メラトニンには、昼と夜のリズムを体が感じて睡眠をコントロールする働きがあります。








(弁護士法人よつば総合法律事務所)


大脳基底核の働きとは,どのようなものでしょうか?

2016年08月05日
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大脳基底核の働きとは,どのようなものでしょうか?

大脳基底核は随意運動と深い関係があると考えられています。交通事故によって,大脳基底核を損傷して高次脳機能障害になると,自分の意思に関係なく手足が動くなどの症状が現れます。




【大脳基底核の働き】



■脳の深部にありながら灰白質でできている




大脳は,大脳基底核を通じて視床,脳幹とつながっています。
大脳基底核は,脳の一番奥にあり,脳を縦に割らなければ大脳皮質に覆われていて見ることができません。
人間は,大脳皮質を構成する神経細胞の集まりである灰白質の働きによって思考,判断,記憶などの高度な活動を行うことができます。


つまり,脳における灰白質のほとんどは大脳皮質に集中していることになりますが,大脳基底核(だいのうきていかく)も,高次脳機能をつかさどる灰白質でできているのです。

このことからも,大脳基底核が人間の知性や意思決定に関してきわめて重要な役割をになうことがおわかりでしょう。

ヒトは,大脳皮質が発達しているため高度な知能を有していますが,爬虫類や鳥類では,基底核が最高位の脳であり,生物の行動と基底核は深い結び付きがあるのです。









■大脳基底核の役割




大脳基底核を構成する部位ごとの働きは以下の通りです。



・線条体
線条体は(せんじょうたい)は,随意運動の調節,姿勢の制御,筋肉の緊張の調整,意思決定などと関係しています。随意運動とは,自分の意思で行う運動のことで,大脳基底核が大きな役割を果たしています。


随意運動に関する指示は,大脳皮質から大脳基底核へ伝達され,その後,視床から大脳皮質に伝達されます。
大脳皮質から出た指示がいったん大脳基底核を通り,視床を通じて大脳皮質に戻るという,遠回りに思えるルートを通っており,これをループ構造と言います。

運動の制御に時間がかかり過ぎるので無駄な流れだと思いませんか?
実は,このループ構造は,姿勢を制御してスムーズな動きをするためであると考えられていて,全く無駄な流れではありません。むしろ,人間の無駄のない滑らかな動作は,大脳基底核を通じたループ構造から生まれているのです。




たとえば,紅茶の入ったティーカップを載せたお盆を隣の部屋まで持って行こうと思ったとします。
容器に入った液体をこぼさず歩くには,姿勢のバランスが求められますが,思いついた瞬間に行動を移したとしたら,紅茶をこぼすかもしれません。しかし,大脳基底核を通じたループ構造があれば,紅茶をこぼさないよう,姿勢のバランスをとる動作が加わるので,紅茶をこぼす可能性は少なくなります。



大脳基底核を傷つけて高次脳機能障害を発症した人は,随意運動に障害が現れ,自分の意思とは関係なく手足が動くなどの症状が現れ,動作から滑らかさが失われます。




・淡蒼球 
淡蒼球(たんそうきゅう)は,外節(がいせつ)と内節(ないせつ)で構成され,情報の入出力を行っています。
前頭葉や前頭頂葉から線条体を通じて外節に入ってきた情報は,淡蒼球の内側や視床下核(ししょうかかく)に送られます。
外節は,手足に不随意運動が起こる症状と関係があると考えられています。







(弁護士法人よつば総合法律事務所)

連合野の働きとは,どのようなものでしょうか?

2016年08月04日
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連合野の働きとは,どのようなものでしょうか?

大脳には、運動および感覚を支配する領域のほかに、高次脳機能をつかさどる連合野があります。連合野を損傷すると高次脳機能障害になりさまざまな後遺症があらわれます。




【連合野の働き】



■大脳皮質には役割分担がある



人間の大脳皮質は、全体が一緒になって体の動きや思考、感情などをコントロールしているのではなく、厳密な役割分担があります。大脳皮質の役割をおおまかに分類すると、運動、体性感覚、視覚、聴覚、それ以外となります。それぞれの働きをつかさどる脳の部分を野(や)と言います。



・運動野・感覚野

運動野(うんどうや)と感覚野(かんかくや)は、細かい領域に分かれ、それぞれの領域が体の各部分の運動や感覚を支配しています。

運動野と感覚野は、脳のほぼ中央を左右に走る深い溝、中心溝(ちゅうしんこう)で分かれ、頭の前側に運動野、後ろ側に感覚野があります。

手の指の運動を例に挙げると、手の指というひとくくりではなく、親指、人さし指、中指、薬指、小指の運動を支配する領域がそれぞれ決まっています。感覚野も同じく、親指から小指まで感覚を支配する領域が5つに分かれています。

交通事故に遭い,高次脳機能障害で脳の一部が傷ついたことが原因で指が正常に動かなくなった場合、運動野に障害が現れた可能性があります。


・視覚野・聴覚野

視覚を支配する視覚野(しかくや)は、感覚野の斜め後ろ、大脳の一番下の部分にあります。
聴覚を支配する聴覚野(ちょくかくや)は、感覚野の真下にあります。






■人間らしさを生み出す連合野


大脳皮質のうち、運動、感覚、視覚、聴覚以外の機能を支配する領域を連合野(れんごうや)と言います。
連合野は、高次脳機能と密接な関係があり、前頭連合野(ぜんとうれんごうや)、前頭頂連合野(ぜんとうちょうれんごうや)、側頭連合野(そくとうれんごうや)の3つがあります。


・前頭連合野

前頭連合野は、大脳皮質の30%を占める大きな領域で、額の裏側にあります。
論理的な考え、予測、判断、立案などは、前頭連合野がつかさどっています。
脳のこれらの働きは高次脳機と呼ばれる種類のものであり、前頭連合野を損傷すると、高次脳機能障害を発症します。
前頭連合野には、さまざまな感覚刺激が神経を通じて集まってきます。
情報は双方向に行き来し、周囲やものごとから受けた感覚により呼び覚まされる感情は、前頭前野が支配しており、人格は前頭連合野によるものと考えられています。


・前頭頂連合野

頭頂連合野は、視覚野から情報を受け取ってものの位置関係や方向を認識します。
前頭頂連合野を損傷した高次脳機能障害の人は、四角形を描いてくださいと言うと描けるが、四角形を見せて同じ図形を描いてくださいと言っても描けないというように視覚情報が脳に入ってきても、情報に基づく認識や構成ができなくなります。


・側頭連合野

側頭連合野は、視覚情報を元に意味のあるものを認識する働きをします。
側頭連合野を傷つけた高次脳機能障害の人には、チューリップの絵を描いてくださいというと描けるがそれが何かわからないといった症状が現れます。







(弁護士法人よつば総合法律事務所)

交通事故で大脳皮質を損傷しました。どのような障害が出るのでしょうか?

2016年08月03日
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交通事故で大脳皮質を損傷しました。どのような障害が出るのでしょうか?

大脳皮質は大脳を覆い尽くすシート状の細胞で,進化した動物ほどたくさんの大脳皮質があります。大脳皮質を損傷して高次脳機能障害になると運動や感情,思考に障害が起きます。

【脳大脳皮質の働き】



■大脳皮質こそ人間の知性の源



思考する,記憶する,推理する,知覚するなど人間の脳の高度な働きは,大脳皮質によるものです。
人間の大脳皮質は,非常に発達していて,中脳や間脳,小脳などが見えなくなるほど脳全体を覆い尽くしています。



大脳皮質は,原皮質,古皮質,新皮質と分かれていて,大脳新皮質は哺乳類にのみ存在します。
大脳新皮質は,進化した動物ほど大きく,特に発達しているのは霊長類ですが,なかでもヒトの大脳新皮質はずば抜けて大きく発達しています。大脳のほとんどは,この大脳新皮質でできています。

大脳古皮質と大脳原皮質は,海馬(かいば)など大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)の周辺に存在しますが,圧倒的に数が多く,人間の脳を特徴付けているのは,なんといっても大脳新皮質です。


交通事故等で,脳を強打するなどして大脳皮質を損傷し,高次脳機能障害を発症すると,それまでできていた思考活動や感情表現ができなくなることがあります。このことからも,大脳新皮質は人間の高度な知性や感性と深く関わっていることがわかります。





■大脳皮質はどんな形?



大脳皮質は厚さ約2〜3mmのシート状をしていて,大脳を構成する前頭葉(ぜんとうよう),頭頂葉(とうちょうよう),側頭葉(そくとうよう),後頭葉(こうとうよう)を覆い尽くしています。

この大脳皮質の数を知りたくても数えるのは至難の業です。
そこでシート状の大脳皮質の一部を取り出し,その部分の数を数えて,シート全体の免責に換算して大脳皮質の数を推計する方法を取っています。
もっとも進化した動物であるヒトの大脳皮質の数は140億個,チンパンジーは80億個という結果が出ています。

大脳新皮質のシートは,直系0.5〜1oの円柱(カラム)がビッシリ並んでできています。
この円柱は6つの層でできており,それぞれの円柱が単位となって情報を処理します。
大脳原皮質と大脳古皮質には,この6層構造がありません。







■白質は神経線維の集まり



白質(はくしつ)は,大脳皮質を構成する神経細胞である灰白質(かいはくしつ)を取り巻いている組織で,灰白質よりさらに白い色をしています。白質は,神経線維が密集していて脳の情報を出力する軸索がたくさんあります。

脳は,外側に灰白質,内側の白質の順に存在しますが,脊髄はそれとは反対に外側に白質,内側に灰白質があります。
脊髄を輪切りにすると,中央部に蝶が羽を広げたような形の灰白質が見えます。

灰白質は,前角,側角,後角に別れ,前角は運動ニューロン(神経細胞),側角は感覚ニューロン,後角は自律神経が集まっています。

参考

http://web2.chubu-gu.ac.jp/web_labo/mikami/brain/10/index-10.html




(弁護士法人よつば総合法律事務所)


右脳と左脳の働きとは,どんなものでしょうか?

2016年08月02日
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脳と左脳の働きとは,どんなものでしょうか?

運動神経と感覚神経は右脳と左脳の両方に存在し、それぞれ体の反対側の動きや感覚を支配するので、高次脳機能障害になると損傷した脳と反対側に障害が起きることがあります。

【右脳と左脳】



■人間の体は左右対象ではない?


人間の体の特徴の一つに、左右対称であることが挙げられます。
目も耳も2つ、両足の長さはほぼ同じです。
でも、脳の機能は左右対称にはできていないのです。

コラム「大脳の働きとは,どんなものでしょうか?」でお話したように、大脳は大脳縦裂(だいのうじゅうれつ)で2つに分かれており、体の右側にある半球を右脳、左側にある半球を左脳と呼びます。

右脳と左脳は、葉(よう)と呼ばれる深い溝があり、前頭葉(ぜんとうよう)、頭頂葉(とうちょうよう)、
側頭葉(そくとうよう)、後頭葉(後頭葉)と呼ばれる4つの部分に分かれています。
右脳と左脳は、それぞれがこの4つの葉を持っていることになりますが、右脳と左脳ではこれらの葉の働きが異なるのです。






■右脳と左脳は,どこを支配する?


運動神経と感覚神経は、右脳と左脳の両方にあって、それぞれ体の反対側を支配しています。
これは、末梢神経が脳に到達する前に左右で交差して、右半身の末梢神経は左半球へ、左半身の末梢神経は右半球に到達する仕組みになっているからです。




運動神経
高次脳機能障害で右脳の運動神経を傷めると、
体の左側の動きに障害が現れます。

感覚神経
感覚神経は、知覚神経と呼ばれることもあり、体や内臓の感覚情報を中枢神経に送っています。
感覚神経(知覚神経)は左右どちら側の脳にもあります。

たとえば、右の視覚情報は左脳、左の視覚情報は右脳が支配しています。

「右脳は感性の脳」と言われることがありますが、感覚に関しては左右どちら側の脳も支配しているのです。









■あなたの優位半球はどちら側?


一方、言語中枢は、左右どちらか一方の脳にだけ存在します。
言語中枢は、しゃべったり、相手の言うことを理解したり計算する能力をコントロールしています。


言語中枢のある脳の半球を「優位半球」、反対側を「劣位半球」と言います。
優位半球が右と左のどちら側にあるかは、人によって違うのです。




ほとんどの右利きの人は、左半球が優位半球ですが、左利きの人の優位半球は、右半球・左半球がそれぞれ5割くらい存在します。そのため、人間全体で1割くらいの人は右半球が優位半球ということになります。



子どもの時、左利きだったのを右利きに直されても、優位半球は変わりません。
優位半球である言語中枢が左脳と右脳のどちらにあるかは、生まれつき決まっているのです。


なお、音楽を聴いている時に左脳が活動する、論理的なことを考えている時に右脳が活動するなどの現象が見られ、左脳は論理、右脳は感性を支配するとキッパリ分かれているわけではありません。




(弁護士法人よつば総合法律事務所)

大脳の働きとは,どんなものでしょうか?

2016年08月01日
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大脳の働きとは,どんなものでしょうか?

大脳は中央縦裂で右脳と左脳の2つに分かれています。
大脳皮質の1/3は前頭葉に集中しており,前頭葉を傷めて高次脳機能障害になるとさまざまな後遺症が現れます。



【大脳の働き】



■脳というと真っ先に連想するのは?


脳というとまず思い浮かべるのは,しわの寄ったかたまりではないでしょうか?
脳のイメージを代表するそのかたまりは,脳の大部分を占める大脳と言います。

大脳は、殻を割って取り出したクルミの実のようにしわが寄っています。


成人で1200gから1400gの重さがあり、表面には灰白質(かいはくしつ)と呼ばれる神経細胞が密集しています。
小説に登場する名探偵エルキュール・ポワロが良く口にする「灰色の脳細胞」とは、この灰白質が見た目に灰色であることに由来します。



大脳縦列(だいのうじゅうれつ)


中央部にある、頭の前後を縦断する深い溝が大脳縦列(だいのうじゅうれつ)と言います。

一見すると大脳が左右二つに分かれているように見えますが、深い場所でつながっています。



左脳と右脳

大脳縦裂を境に左半球を左脳、右半球を右脳と呼びます。
高次脳機能障害では、左脳と右脳のどちらを傷つけたかによって、現れる症状がまったく変わってきますが、それは、左脳と右脳は別々の働きを担っているからです。
(左脳と右脳の働きについてはコラム「脳の働きを知ろう【左脳と右脳】」で詳述します)。



大脳:各名称

大脳のほぼ中央を左右に横切っている溝は中心溝(ちゅうしんこう)で、この溝を境にして前側が前頭葉(ぜんとうよう)、後ろ側が頭頂葉(とうちょうよう)です。
頭頂葉の下には後頭葉(こうとうよう)があり、側面の下の方に側頭葉(そくとうよう)があります。




大脳は、前述のように大脳縦裂で2つに分かれていますから、前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉は、右側と左側の領域にそれぞれ存在します。






■大脳の内側はどうなっているの?


大脳を外側から観察しても、灰白質しか見えませんが、頭の前から後ろにかけて正中から半分にした断面図を見ると、大脳の働きがより良くわかります。


半分に切った脳の中にも深いしわがあり、しわとしわの間は盛り上がっています。
この大脳のしわとしわの間の盛り上がった部分を回(かい)と言います。

特に回が発達しているのは前頭葉で、大脳皮質全体の1/3は前頭葉に集中しています。



大脳の中心部には、外側から見えなかった大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)があります。
大脳辺縁系と言ってもピンと来ないかもしれませんが、海馬(かいば)のある場所です。

タツノオトシゴの形をしていることから海馬と呼ばれるこの部位は、人間の短期記憶をつかさどる場所であり、記憶を取捨選択して必要なものは長期記憶として大脳に保存されると言われており、まさに記憶の中枢ともいえる重要な場所です。

海馬のそばには、嗅覚以外の感覚を大脳に伝える視床(ししょう)、自室神経をコントロールする視床下部(ししょうかぶ)があります。




(弁護士法人よつば総合法律事務所)
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