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2016年07月

高次脳機能障害の神経心理学的検査【言語機能テスト】について教えてください

 
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高次脳機能障害の神経心理学的検査【言語機能テスト】について教えてください。
 高次脳機能障害における言語診断テストは,標準失語症検査(SLTA),WAB失語症検査、トークンテストなどの方法があります。

【言語機能】





■高次脳機能障害の言語機能に関する検査


高次脳機能障害は,しばしば失語症と呼ばれる言語障害を発症します。専門家が言語機能テストを行うことにより,リハビリのプログラムを組んで機能の回復に役立てることができます。

■言語機能とは?

音声に関する機能である「聞く」「話す」と,
文字に関する機能である「読む」「書く」に関するすべての機能に障害が現れた状態を失語症と呼びます。
 
ストレスなどが原因で声が出なくなるのは失語症ではなく正しくは失声症ですので,両者を混同しないようにしてください。



■言語機能のテスト方法

・標準失語症検査(SLTA)
失語症の有無および,失語症を発症している場合はその重症度と失語タイプを鑑別することができます。
検査に時間がかかりますが,検査結果を参考にリハビリテーション計画を作成できることから,医師や言語聴覚士が重要視するテストです。検査は,聴覚的理解,呼称,動作説明,漫画の説明,復唱,語想起,音読,読解,自発書字・書き取り,計算などの項目に分けて行われます。検査に時間がかかることが難点です。

・WAB失語症検査
言語症状の有無やタイプを評価する言語機能の総合的な検査です。
WAB失語症検査は,指数が得られるので,失語症がどの程度重症か判断する上で参考になります。
検査は,自発話,話し言葉の理解,復唱,呼称,読み,書字,行為,構成などの項目に分けて行われます。

・トークンテスト
トークンとは引き札のことで,2種類の形および2種類の大きさ,5種類の色の組み合わせができる合計20個のトークンを用いてテストを行います。トークンには四角や丸などはっきりした模様が描かれています。

 たとえば,質問者が,大きな赤い三角と小さな白い丸に触ってくださいと言った時,指示通りの動作が正しくできるかテストします。トークンによるテストは,聴覚による言語理解と,聞いたことを理解して行動する短期記憶の2種類を同時に検査することができます。






■発語できなくても意思の疎通はできる


高次脳機能障害により発語できなくなり会話が不可能になっても,文字を書く機能を失っていない場合は,筆談によるコミュニケーションが可能です。他者との交流は,生活の質を維持すると共に精神の安定を保つ上でも重要なので,話をする機能が失われた場合でも,意思の疎通をほかの方法ですることを考えましょう。

ノートにメモを取るほかにも,キーボード入力で意思を表示してもらうなど,さまざまな方法により失語症の人とコミュニケーションする方法があります。




(弁護士法人よつば総合法律事務所)

高次脳機能障害の神経心理学的検査【記憶力のテスト】について教えてください

 
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高次脳機能障害の神経心理学的検査【記憶力のテスト】について教えてください。
 高次脳機能障害における記憶力のテストの方法には,WMS-R(日本版ウェクスラー記憶検査),三宅式記銘力検査,などでベントン(Benton)視覚記銘検査があります。

【神経心理学的検査】





■高次脳機能障害の典型である記憶障害は、以下のようなテストを行って検査します。



・WMS-R(日本版ウェクスラー記憶検査)
ウェクスラー式の記憶検査は,高次脳機能障害をはじめとする様々な記憶障害の評価に用いられており,世界中で行われている記憶力の検査の日本版を使ってテストします。

検査は,言語を使った問題と図形を使った問題で
計13種類の項目で構成されています。
言語性記憶,視覚性記憶,注意力,遅延再生などについて評価できます。




・三宅式記銘力検査
三宅式記銘力検査は聴覚に限定した記憶検査で,日本で発案されました。
検査は「たばことマッチ」のように関係のある2つの単語10種類と,「頭と秋」のように全く関連のない2つの単語10種類を読んだ後で,片方の単語を読みもう一つの単語を想起させるテストを3回繰り返して行われます。



・ベントン(Benton)視覚記銘検査
高次脳機能障害などで脳を損傷した人を対象とする検査で,視覚性注意,視覚性記憶,視覚認知の検査の方法は、単純な幾何学モデルを被験者に見せた後で隠し,モデルの図形を同じサイズ,同じ場所に描かせます。
モデル図形の省略や追加および回転の有無や大きさ,場所の間違いなどをテストします。
次の検査に移行する時,前の検査に固執するかどうかも検査されます。






■脳と記憶力の関係


記憶には,長期記憶と短期記憶があります。
私たちは,身の回りに起きたすべてのことを記憶しているわけではなく,事象に優先順位をつけて必要なことを
記憶に留める作業を無意識に行っています。 

記憶をつかさどるのは,脳の1つの部分ではなく,脳幹(のうかん),大脳皮質,大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)が,密接に関わり合っています。脳の病変や頭部外傷によって,脳のこれらの部位のうちどこか1カ所でも損傷を受けると,記憶する能力に致命的なダメージを受ける可能性があるのです。




・脳幹(のうかん)
脳の一番奥にあり、呼吸や体温調節などをつかさどっています。
脳幹は,生命を維持する根源とも言えます。

・大脳皮質
人間の脳の一番外側にあり,言葉や記憶,思考などの機能に関係する他,視覚,聴覚,味覚,触覚,嗅覚など
感覚器との情報伝達も行っています。

・大脳辺縁系
脳の大脳半球の下部にあり,視床下部を包んでいます。
大脳辺縁系は帯状回,扁桃体,海馬などの部位で構成されており,この部分を損傷すると,短期記憶,長期記憶に障害が現れます。




(弁護士法人よつば総合法律事務所)

交通事故の症状固定時期はいつですか? 〜高次脳機能障害〜

 
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交通事故の症状固定時期はいつですか? 〜高次脳機能障害〜
 高次脳機能障害はリハビリテーションを受けることで症状が改善する可能性があるので,一般的には受傷後1〜2年経ってから症状固定をします。




【高次脳機能障害の症状固定時期】




■症状固定とは?


交通事故が原因で発症した病気の症状が治療を受けても治らない,もしくはいったん治ったようでもまた症状が現れる状態のことを症状固定と言います。

ひとことで言えば,病気がそれ以上良くも悪くもならない状態が症状固定です。視力,聴力,筋力,関節の可動域などは検査による客観的な診断ができるのに対し,高次脳機能障害は,意欲喪失など,見た目だけでは判断できない症状が現れることがあります。

高次脳機能障害の症状固定は,リハビリテーションの効果と専門家の意見を踏まえて判断するべきで,受傷後10年近く経ってから症状固定をするケースもあります。






■高次脳機能障害の一般的な症状固定時期


高次脳機能障害になったら,交通事故後1年から2年は経過を観察して症状固定をします。
言い換えれば,高次脳機能障害を発症してから症状固定までは病気が改善する可能性があるということです。

幼児が高次脳機能障害を発症した場合は,発育と後遺症の関係を慎重に判断する必要があるので,
発病後,さらに長い年月待ってから症状固定をします。

成人してから高次脳機能障害を発症した場合でも,リハビリテーションの効果が確認できるのであれば,
まだ症状固定の時期に達していないと考えて良いでしょう。

高次脳機能障害は脳の一部を損傷したことが原因で発症しますが,リハビリテーションを受けることにより
症状が改善することが認められています。




これは,訓練の結果,損傷した脳が受け持っていた仕事を別の脳細胞が代わりに行うようになるからだと考えられています。ただし,いったん損傷した脳そのものは復元できないので,高次脳機能障害が完治することはありません。

リハビリテーションによる効果の現れ方は,患者さんごとに違いがあります。
なかには,高次脳機能障害であることを認めないでリハビリテーションを受けることを拒否したり,
病気の影響で意欲を喪失してリハビリテーションを行わなくなる人もいます。
そのような患者さんは,リハビリ効果を得られないので,受傷してから年月が経っても症状の改善が見込めません。






■脳室拡大と高次脳機能障害


高次脳機能障害の原因が頭部外傷の場合,怪我が原因で脳室(頭蓋骨内のくも膜と脳の間にある空間)が拡大します。脳室は脳脊髄液で満たされており,脳室が拡大すると脳を圧迫するので,脳の損傷が進行します。

しかし,脳室の拡大は数カ月で終わるとされるので,交通事故で受傷後1年以上経って症状固定をする時,脳室拡の状態は完成しています。




(弁護士法人よつば総合法律事務所)

高次脳機能障害の神経心理学的検査【前頭葉のテスト】について教えてください

 
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高次脳機能障害の神経心理学的検査【前頭葉のテスト】について教えてください。 
 高次脳機能障害で前頭葉を損傷すると計画を立てて実行するというような一連の作業ができなくなります。かなひろいテストは、前頭葉の働きを調べる検査です。

【前頭葉のテスト】





■前頭葉を検査する理由は?


前頭葉を損傷すると、いきあたりばったりの行動を取る、同じ間違いを何度も繰り返したりします。


前頭葉を摘出すると、外界に無頓着で状況判断ができない、自分の感情を抑えられないなどの症状が出ることが明らかになって以来、前頭葉は、意欲や創造力と行動をつかさどる脳として重要な存在であることが知られました。

前頭葉が関係する分野は多岐に渡りますが、「自分が置かれた状況を認識する」「複数の行動プランの中から取るべき行動を選ぶ」「計画を立てる」「計画を実行する」「実行した計画を評価する」といった一連の作業は、すべて前頭葉が関係しています。

人間の脳の約3割は前頭葉を占めており、他の哺乳留意と比較しても突出した大きさです。
まさに、人間が人間らしく思考し行動できるのは、前頭葉の機能が発達しているからと言っても良いでしょう。






■前頭葉の検査方法


前頭葉の損傷を神経心理学的検査で確認するには次のような検査を行います。

・かなひろいテスト
文章に意味のない無意味文と、文章に意味がある物語文を使ってテストします。
テストの方法は、文章に含まれている「あ、い、う、え、お」に印を付け、後で物語分の内容を質問します。
被験者の年齢ごとに標準値があるので、年齢の違う人が同じ文章でテストを受けてもハンディはありません。

同じ問題でテストを繰り返し、正解数の変化を調べますが、高次脳機能障害を発症すると、正誤の印を付けることにこだわって文章の内容を覚えていない、またはその逆で内容は把握しているが、あいうえおの印を付けないなど、複数の作業を同時に行えないことがあります。



・WCST(ウィスコンシンカード)
前頭葉機能を検査する方法として世界中で用いられています。
テストに用いるカードには、何種類かの模様が印刷されていますが、模様の形や模様の色、模様の数が違っています。ひと山のカードを受け取った被験者は、カードをどのように分類するか決めて分類していきますが、カードを分類する要素は、模様の色、形、数と3つあります。

試験官は、被験者がカードを一枚分類するたびに、正しく分類されたかどうか告げます。
カードの模様で分類していたが、途中でカードの模様の数による分類になるなど、分類方法は途中で変更されます。
被験者は、新しいルールに柔軟に応じる能力が求められます。



ウィスコンシンカードによるテストは、前頭葉の機能障害を発見できることから、高次脳機能障害および神経疾患の患者さんに用いられています。




(弁護士法人よつば総合法律事務所)

高次脳機能障害の神経心理学的検査【知能テスト】について教えてください

 
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高次脳機能障害の神経心理学的検査【知能テスト】について教えてください。
 高次脳機能障害患者に実施する知能テストには,WAIS-R(ウェクスラー成人知能検査),MMSE(ミニメンタルステート検査)などがあります。

【神経心理学的検査】



■高次脳機能障害では神経心理学的検査も重要

高次脳機能障害はMRIやCT,レントゲン検査などの画像診断が最も重要視され,むろんそれらの画像診断が診察に役立つのですが,神経心理学的検査も同様に重要な検査項目です。

知能テストや言語機能に関する検査など,さまざまな種類の検査を総称して,
神経心理学検査と呼びます。







■神経心理学的検査の種類


【知能テスト】
・WAIS-R(ウェクスラー成人知能検査)

知識,見当識,記憶,計算などのテストにより全般的な脳機能を評価する検査で,世界中で18歳以上を対象に行われています。検査の対象が6歳から16歳の児童は,WISC-Rと呼ばれる知能検査を行います。

WAIS-Rは,言語性検査と動作系検査の2種類に大別されます。
言語性検査は,知識,数唱,単語,算数,理解,類似などの項目の検査をします。
動作性検査は,絵画完成,絵画配列,積み木模様組み合わせ,符号などの項目を検査します。

言語性検査と動作性検査を総合し,IQを算出しますが,検査に2時間ちかくかかるので,高次脳機能障害の患者さんが検査を受けるのはつらいのが難点です。




【MMSE(ミニメンタルステート検査)】
言葉を用いずに実施できる検査です。
正しい図形を選ぶ,「はい」,「いいえ」の意思表示ができるなどの行動をクリアできれば検査が可能なので,
高次脳機能障害で言語障害や行動障害を発症していても検査が可能です。




【長谷川式認知評価スケール改訂版(HDS-R)】
テストの所要時間が短いので,患者さんに負担をかけずに評価を得ることがで可能です。






■知能障害と高次脳機能障害

知能とは,目的に沿って行動し,新しい局面や問題に直面した時に解決したり順応する能力です。
交通事故で高次脳機能障害を発症した患者さんに知能障害が起こることがありますが,
後天的に高次脳機能障害を発症した場合は,知能障害は進行しません。


 つまり,高次脳機能障害が原因で知能障害の症状が現れた時が一番重篤な状態で,それ以上症状が進行することはないのです。むしろ,治療やリハビリにより症状が改善することが期待できます。 症状が進行しないということは,高次脳機能障害の患者さんや家族にとって,大きな希望と呼べるのではないでしょうか。

一定の知能があったが,病気による症状で知能を徐々に失っていく認知症に対して,
「それ以上症状が進行することはない」という点が,高次脳機能障害による知的障害と異なる点です。


なお,学習により一定の知能を獲得する前に知能障害を発症した場合(18歳未満)は,知的障害と呼ばれます。




(弁護士法人よつば総合法律事務所)

交通事故に遭って高次脳機能障害と診断される条件は何ですか?

 
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交通事故に遭って高次脳機能障害と診断される条件は何ですか?


賠責保険で高次脳機能障害かどうかを判断するには,高次脳機能障害審査会による審査に書類が回されて審議されます。




【高次脳機能障害の基準】



■高次脳機能障害と診断される基準

交通事故の被害に遭って重傷を負った場合は,加害者に損害賠償請求をすることになるので,高次脳機能障害と診断されるかどうかで,損害賠償金の額が大きく変わってきます。

人身事故に遭い,障害等級の認定を自賠責保険に申請すると,自賠責保険の審査会は,次のような症状がある事案は高次脳機能障害審査会で審査します。









■高次脳機能障害審査会で審査されるための条件


【初診時に頭部外傷の診断があり頭部外傷後に一定程度の意識障害が存在した】
事故後、次の2つのいずれかに合致する症状が現れた場合、「一定程度の意識障害」と認定されます。
・半昏睡または昏睡状態で、開眼、応答しない状態が6時間以上続いた
・軽度意識障害または健忘症が1週間以上続いた

【後遺障害診断書で、高次脳機能障害、脳挫傷(後遺症)、びまん性軸索損傷、びまん性脳損傷等の診断がなされている】

【後遺障害診断書で、高次脳機能障害であることを示唆する症状が認められる】
(記憶障害、判断力の低下、知能の低下、感情のコントロール低下など)

【後遺障害診断書で、高次脳機能障害に伴いやすい神経徴候が認められる】
(歩行困難、片麻痺など)

【神経心理学的検査を行っている】

【頭部画像で初診時の脳外傷が明らかであり、3か月以内に脳室拡大または脳萎縮が確認される】



交通事故で高次脳機能障害と診断されるには、画像診断を受ける、神経心理学的検査を受けるなどして、
その結果を資料として提出する準備が求められます。


そしてもう一つ、忘れてはならないのが、後遺障害診断書の内容です。
症状を適切に記録してもらえるよう、患者さんとそのご家族は、主治医と信頼関係を築きましょう。







■高次脳機能障害審査会で高次脳機能障害と判断される条件


高次脳機能障害審査会は、以下のような点を審査して医学的な判断をします。

【意識障害の有無】
意識障害があるか、ある場合はどの程度かを調査します。

【画像所見】
資料に添付されたCTやMRI、レントゲンなどの画像をもとに専門家が判断します。






■交通事故と高次脳機能障害の因果関係をどう判断するか?


受傷後に現れた意識障害や行動障害が、交通事故と関係あるかどうかという点も審査のポイントになります。

以下のケースでは、高次脳機能障害の原因は交通事故による外傷であると認定されます。
・事故で頭部を怪我してから具体的な症状が現れた
・事故後も症状が残った
・びまん性軸索損傷とその特徴的な様子が認められる




(弁護士法人よつば総合法律事務所)

高次脳機能障害と他の病気の違いは何になりますか?

 
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高次脳機能障害と他の病気の違いは何になりますか?
 高次脳機能障害は,発症した直後がもっとも症状が重いのに対し,認知症は症状が徐々に進行します。

【高次脳機能障害 症状の違い】



■脳を損傷した直後が最も症状が重い

高次脳機能障害を発症して,日常生活に不自由が生じると,
これからもっと症状が悪化するのではないかと不安になられるかもしれませんが,高次脳機能障害は進行的に悪化する病気ではないので,その点は心配する必要はありません。






■血管性認知症と高次脳機能障害


認知症は徐々に進行する病気です。
投薬やQOL(生活の質)の改善などで症状が良くなることもありますが,いったん認知症にかかると,長い年月をかけて症状が悪化していきます。

認知症発症数のうち2割を占める血管性認知症は,脳の血管が出血したり詰まったりして脳細胞に栄養を送ることができなくなり細胞が死んでしまうため,認知が低下します。

脳細胞の損傷という点では,高次脳機能障害と似ていますが,血管性認知症は,症状が一進一退を繰り返しながらだんだん進行していき,歩行困難,手足の麻痺,尿失禁などの症状が現れます。

高次脳機能障害は今がもっとも症状が重いが,これから快方に向かう可能性がある・・そう思うと希望が湧いてきませんか?高次脳機能障害と同じく脳細胞の壊死が原因であっても,認知症と高次脳機能障害はこれだけ違いがあるのです。






■せん妄と高次脳機能障害


なにかのきっかけで,ちぐはぐなことを言ったり,時間や今いる場所がわからなくなる症状をせん妄(せんもう)と言い,病気や服薬、環境などにより,それまでいたって健康だった人にせん妄が現れることがあります。

高次脳機能障害による意識障害も,会話がなりたたないなど,せん妄と似た症状が現れますが,薬や環境により症状が激変することはありません。






■うつ病と高次脳機能障害


高次脳機能障害を発症したあと,やる気が出なくぼうっとした状態が続くなど,うつ病の人と似た症状が現れることがあります。

うつ病を発症する原因はさまざまで,環境によるもの,遺伝的なもの,ストレス,脳神経の伝達物質の働きが悪いなどの要素が関係していると考えられていますが,うつ病発症の原因が完全に解明されているわけではありません。
しかし,これらの要素の中には,脳細胞の損傷はありません。

高次脳機能障害の患者さんにうつ病のような症状が現れるのは,器質的な損傷が脳にあるからだと考えられます。

たとえば,前頭葉を損傷すると,表情が乏しくなる,自発的に行動を起こさないなどの症状が現れ,うつ病と良く似た状態になりますが,原因である「脳細胞の損傷がある」という点が,うつ病とは異なります。




(弁護士法人よつば総合法律事務所)

交通事故のリハビリテーション・理学療法士の役割って何ですか?

 
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交通事故のリハビリテーション・高次脳機能障害における理学療法士の役割って何ですか?


理学療法士は,身体的動作の機能回復をサポートする専門家で,高次脳機能障害の急性期は基本的動作の機能訓練と筋力低下の予防のためのリハビリテーションを担当します。




【理学療法士の役割】



■理学療法士は身体機能の回復に関する専門家


立ちあがる,歩く,座るなどの基本動作に関する機能の回復をサポートするのが理学療法士です。

理学療法士のことを英語でphysical therapist(フィジカルセラピスト)と言うことから,英語の頭文字を取ってPTと呼ばれることもあります。

理学療法士は国家資格であり,大学や専門学校で学んで試験に合格しなければ理学療法士を名乗ることはできません。

交通事故に遭い高次脳機能障害を発症すると,基本的な動作が上手く出来なくなることがあります。
理学療法士は,高次脳機能障害が失った動作ができるようになるのを手伝ってくれます。






■急性期における理学療法士の仕事



事故後病気を発病してから間もない急性期は,患者さんの病状は不安定で,症状が急変することもあります。
しかし,高次脳機能障害を発病した患者さんを寝たきりにして動かないようにしていると,身体的機能はどんどん衰えてしまいます。


これを廃用症候群(はいようしょうこうぐん)と言います。
廃用症候群を発症しないためには,できるだけ早くからリハビリテーションを開始することが大事なので,理学療法士は,体に負担がかからない範囲で機能回復訓練をすることにより早期離床を促します。
高次脳機能障害を発症して間もない時期からリハビリテーションを行うことにより,筋力の低下防止と,起きている時間が増えて生活意欲が増す効果が期待できるのです。

リハビリテーションの計画は,理学療法士が一人で立てるのではなく,高次脳機能障害の患者さんを治療している主治医が立案し,医療チーム全体で情報を共有しつつ理学療法士が実際のリハビリテーションを担当します。
主治医が関知しないリハビリテーションプラグラムを理学療法士が勝手に行うことはありません。






■回復期における理学慮法士の仕事



事故後,高次機能障害を発症し急性期を脱して,症状が安定して回復期に入った高次脳機能障害の患者さんに対する理学療法士の目標は,機能回復と動作の改善です。

多くの高次脳機能障害患者は,急性期病院から回復期病院やリハビリテーション施設に転院して理学療法士による機能回復訓練を受けます。回復期の理学療法は,患者さんが帰宅した後の生活を見据えて実施計画を立てるので,急性期のプログラムと比較して,より実践的で具体的な内容になっています。

たとえば,帰宅してからの生活をヒアリングし,家の構造や家族構成,仕事,家事などを考慮し,退院した後に必要な身体的機能を得ることができるよう訓練します。







(弁護士法人よつば総合法律事務所)

交通事故のリハビリテーション・作業療法士の役割って何ですか?

 
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交通事故のリハビリテーション・作業療法士の役割って何ですか?


作業療法士は心と体の機能回復をサポートする専門家で、急性期はおもに手足や指先の動作回復訓練を担当し、回復期は退院後の生活を見据えた具体的な作業訓練を担当します。



【作業療法士の役割】




■作業療法士とは?


作業療法士は,交通事故や病気により高次脳機能障害を発症し、心身に障害を持つ人が,日常生活や社会生活を送る上で必要な機能の回復をサポートする専門家です。


理学療法士は、身体的機能に関するリハビリテーションを担当しますが、作業療法士は、時には心理的な分野まで踏み込んで心と体が健全な状態を取り戻すよう患者さんの訓練を担当します。


作業療法士は、英語「Occupational Therapist(オキュペイショナルセラピスト)」と呼ばれることから、略してOTとも呼ばれることもあります。

作業療法士は国家資格で、大学や専門学校で学んだ後に国家試験に合格しなければ作業療法士を名乗れません。






■急性期における作業療法士の仕事


交通事故で高次脳機能障害を発症した急性期から、作業療法士は治療チームの一員となってリハビリテーションに参加します。
急性期は、日常生活の具体的な作業にはまだ介入せず、手足や指先の動作訓練が主な仕事になります。
作業療法士は、主治医の指示を受け、治療チームで情報を共有しながらリハビリテーションプログラムを実行します。






■回復期における作業療法士の仕事


作業療法士が行うリハビリテーションプログラムの特徴は、理学療法士が行うリハビリテーションと違って、より日常的な動作や活動を取り入れていることです。
もう一つ大事なことは、高次脳機能障害の患者さんが退院後、自宅療養するか、社会復帰して仕事するかなど、今後直面する環境を理解して、一人一人に最適なリハビリテーションを行うことです。



例えば、片麻痺で歩行障害のある高次脳機能障害の患者さんに対して、理学療法士は歩行訓練や寝返りをうつ、椅子から立ち上がるなどの動作訓練を行いますが、作業療法士は、トイレの使い方、食事をする、服を着替える、歯を磨くなどの日常的な動作の回復訓練を担当します。
女性で家事を担当している場合は、料理をする、洗濯物を干す、洗濯物をたたむなどの家事に含まれる動作訓練も行います。

作業療法士は、趣味的な作業における動作訓練も計画に取り入れて、多彩なプログラムで患者さんが興味を維持し向上心を持ち続けることができるよう工夫します。


たとえば、高次脳機能障害の患者さんに対して、回復期に絵画や書道、囲碁、将棋など自分の趣味に合ったものを訓練に取り入れることがあります。
体操や歌唱、楽器の演奏など、集団での訓練を行うこともあります。
日常生活における動作や趣味は、応用力を問われる作業が含まれているので、手足や指先の訓練に留まらず、判断力や記憶力の訓練にもなります。







(弁護士法人よつば総合法律事務所)

交通事故のリハビリテーション・言語聴覚士の役割って何ですか?

 
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交通事故のリハビリテーション・言語聴覚士の役割って何ですか?
言語聴覚士は、高次脳機能障害で失語症を発症した患者さんに、話す、聴くといった作業のリハビリテーションを担当します。




【言語聴覚士】



■言語聴覚士とは


言語聴覚士とは、病気や交通事故,発達上の問題などが原因で話すことや聞くことに障害がある人の言語能力聴覚能力の機能回復訓練を担当します。

高次脳機能障害で発話が上手くできなくなった場合は、治療チームに言語聴覚士が参加してリハビリテーションを行い、機能回復をサポートします。

言語聴覚士は英語で「Speech therapist」(スピーチセラピスト)と言い、STという略称で呼ばれることがあります。
言語聴覚士は国家資格で、大学や専門学校で学んだ後に国家試験に合格しなければ、言語聴覚士を名乗ることはできません。






■言語聴覚士が行う機能回復訓練の内容


発語や聴覚の機能回復は、呼吸や舌の動かし方など、口腔や呼吸器に関する機能回復も関係しています。
さらに、心理的な要因によって発語ができないこともあるので、メンタルのサポートが求められることもあります。






■失語症と言語聴覚士


高次脳機能障害で大脳の言葉を支配する領域に損傷を受けると、失語症を発症します。

私たちが聴く、話す、読む、書くといった動作ができるのは、それらの領域を受け持つ目や耳、口、手などの
器官と脳が情報伝達をしているからですが、交通事故で高次脳機能障害を発症し、情報伝達が阻害されると、情報のやりとりがうまく出来なくなります。
しかし、過去に習得した読み書きや話す、聞き取るなどの能力を失ったわけではありません。


言語聴覚士は、失われた機能の回復訓練を行う一方、発語がうまくできない場合は筆談による会話をする、パソコンやタブレットのキーボードを指し示す、視線により合図をするなどの代替機能の提案も行います。






■食べることの障害と言語聴覚士


高次脳機能障害で嚥下(食べ物やつばを飲みこむこと)障害になったり、咀嚼(そしゃく・食べ物を噛むこと)がうまくできなくなる場合があります。

人間の体は、食道と気管がとても近いところにあるので、嚥下機能が衰えると、食べ物を飲み込むとき、誤って食道ではなく気管に入ると誤嚥性肺炎を起こしたり、呼吸困難を起こす可能性があります。
咀嚼がうまくできないと、食べ物をこぼす、飲み込めないなど、食事が困難になります。

言語聴覚士は、食べ物を咀嚼して飲み込む動作に必要な器官の運動訓練を行うと同時に、飲み込む反射訓練も実施します。
おいしく食事を取るということは生きる喜びにつながるので、食べることに関する言語聴覚士のサポートは、高次脳機能障害の患者さんのQOL(生活の質)の向上に大きく貢献します。




(弁護士法人よつば総合法律事務所)
プロフィール
弁護士法人よつば総合法律事務所
地域最大級の弁護士14名が所属しております。事務所名の「よつば」は事務所に関わる人が皆幸せになるようにとの思いから名付けました。お気軽にご相談ください。
柏事務所:千葉県柏市(柏駅徒歩3分)
千葉事務所:千葉市(千葉駅徒歩3分)

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