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高次脳機能障害と認知症の違い

高次脳機能障害と認知症の違い

最終更新日:2023年6月27日

監修者:よつば総合法律事務所
代表弁護士 大澤 一郎

Q高次脳機能障害と認知症の違いは何ですか?
A高次脳機能障害と認知症は次のような違いがあります。

  • ①症状
  • ②症状の進行
  • ③症状の改善
認知症との違い

高次脳機能障害とは

高次脳機能障害とは脳損傷による認知障害全般です。様々な認知障害だけではなく、行動障害や人格変化を伴うことが多いです。症状には記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などがあります。

認知症とは

認知症とは、さまざまな脳の病気により、脳の神経細胞の働きが徐々に低下し、認知機能が低下して、社会生活に支障をきたした状態です。

症状の違い

高次脳機能障害は、大脳のうち連合野の部分がうまく機能しないことが原因の確率が高いです。症状には記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などがあります。

認知症は、他の疾患が引き金となって発症する確率が高いです。数十種類の疾患が認知症の原因です。アルツハイマー型認知症、脳血管認知症、パーキンソン病、前頭側頭葉変性症、レビー小体病などがあります。原因疾患により認知症の症状が異なります。

もっとも発症数が多いのが、脳の神経細胞が壊れていくアルツハイマー型認知症です。最初の症状は記憶障害です。

次に発症数が多いのが、脳梗塞などで脳の血管が詰まって脳の神経細胞がダメージを受けたことが原因で発症する脳血管型認知症です。麻痺と言語障害が主な症状です。

症状の進行の違い

高次脳機能障害は、脳に損傷を受けたことが原因で障害が発生します。発症直後がもっとも重症ですが、いったん現れた症状はそれ以上進行しないことが多いです。

認知症は症状が徐々に進行します。

症状改善の違い

高次脳機能障害は、完治は難しくても症状改善が期待できます。
急性期には外科的手術や薬物治療が行われます。回復期にはリハビリが積極的に取り入れられています。

認知症は、いったん発症すると完治が難しいことが多いです。治療方法は、原因疾患の外科的治療や投薬、専門家によるケアなどがあります。生活習慣を改めると認知症の進行を遅らせることができると言われています。

判断が難しい事案の賠償交渉

高齢の交通事故被害の場合、高次脳機能障害と認知症の区別が難しいことがあります。

高次脳機能障害は頭部外傷による損害として賠償対象です。他方、認知症は事故とは無関係なので賠償対象ではありません。

では、「認知症部分は賠償しません」と保険会社が主張した場合、どのように対抗すればよいでしょうか?

事故前は認知症がなかったことを証拠を出して保険会社に主張しましょう。最終的には裁判所で解決するのがよいでしょう。

事故前は認知症の症状がなかったことを主張

事故前に認知症の症状がなければ、事故後の症状は高次脳機能障害の症状の可能性が高いです。まずは事故前に認知症の症状がなかったことを主張しましょう。

事故前の通院歴などを証拠提出

事故前に認知症の症状がなかったことを主張するときは証拠が必要です。事故前の通院状況などを証拠で出しましょう。事故前に仕事をしていたときは、事故前の仕事の内容などを証拠で出しましょう。

最終的には裁判で解決

交渉で決着が付かない場合、最終的には裁判で解決しましょう。裁判では「損害額の〇%」は高次脳機能障害による損害として賠償対象という判決になることもあります。

たとえば、総損害額が1憶円、認知症による影響が20%だとすると、実際の賠償額は80%分の8、000万円です。

まとめ:高次脳機能障害と認知症の違い

高次脳機能障害と認知症は①症状②症状の進行③症状の改善等の違いがあります。

(監修者 弁護士 大澤 一郎

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