2016年06月

高次脳機能障害の診察をするポイントとは?

2016年06月30日
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高次脳機能障害の診察をするポイントとは?


 高次脳機能障害の診察は,できるだけ家族または医療・介護スタッフが同行して日常生活の問題点を医師に説明することにより診察の精度が向上します。




【高次脳機能障害の診察】




■患者を観察して高次脳機能障害の診断をする方法


高次脳機能障害の診察,診断は,MRIやCTなどの先端医療機器を使って行うだけではありません。

 もちろん,それらの画像診断は高次脳機能障害の診断に不可欠ですが,医師が患者の身体的特徴や態度,話し方などを観察したり,質問をして患者の症状を評価することが重要です。






■高次脳機能障害を診察するポイント



・家族や医療スタッフの同席
患者が交通事故が原因で病気を発症しているのに,自覚しないことがあるのが高次脳機能障害の特徴の一つです。
そのため,患者さんを問診して得られる情報には限りがあるので,同居の家族や福祉施設や療養病院で介護を担当しているスタッフが診察に同席することが望ましいのです。
可能な限り,再診でも家族やスタッフが同行して,交通事故後の日常生活において気になる症状や問題となる行動などを医師に伝えてください。


・病歴や病気を理解しているかどうかを質問する

高次脳機能障害を自覚していない患者さんは,交通事故後と事故前で変化があっても,日常生活で何も困ることはないし病気ではないと主張します。
このような患者さんは,記憶や見当識に問題が生じています。


・表情を観察する

患者さんの表情を観察します。
表情が乏しい場合は,脳の活動の低下が考えられます。
高次脳機能障害の症状のうち,注意障害、遂行機能障害の発症が疑われます。


・視線を観察する

視線が合わず,あらぬ方向ばかり見ている場合は,半側空間無視を発症していることを疑います。


・患者さんと会話を試みる

患者さんと会話をしても,会話が成立しなかったり,たびたび言葉に詰まる,適切な単語を選んで会話ができないといった症状があれば,失語症を疑います。多弁で関係のないことを反し続けるような場合は,注意障害の発症を疑います。
話し声の大きさにも注意を払います。
患者さんの話声が非常に小さい場合は,前頭葉を損傷している可能性があります。


・日常生活でできなくなったことを確認する

手づかみでものを食べるなど,高次脳機能障害になる前はできた動作ができなくなったら,失行症を発症していると考えられます。






■見えない障害を本人だけでなく家族が自覚することから治療が始まる




現代医学では,交通事故などで損傷した脳はもとに戻らないのが現実ですが,脳の一部に損傷があるため障害が現れていても,家族の対応が適切であれば,日常生活の質を向上させることが可能です。

 記憶障害により,物忘れが激しい場合は,常にメモを取る手帳を持参する,
 行動障害で作業の手順をすぐ忘れる場合は,手順を書いた紙を壁に貼るなどの対応を工夫しましょう。




(弁護士法人よつば総合法律事務所)

交通事故に遭いました。高次脳機能障害の代表的な症状は何ですか?

2016年06月29日
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交通事故に遭いました。高次脳機能障害の代表的な症状は何ですか?


高次脳機能障害の代表的な症状は、失語症、失認症、失行症、注意障害、遂行機能障害、自己認識の低下です。




【高次脳機能障害の症状】



■症状は多発的

交通事故などで高次脳機能障害を発症した人に現れる症状は多種多様ですが、この病気に特徴的なのは、症状が1つではなく多角的に現れることです。
 
 また、ある症状は重く、別の症状は比較的軽いという現象も起こります。



■主な症状は次のとおりです。


・失語症
話す、聞く、読む、書くといった活動は、いずれも大脳の働きによるものです。
大脳に病変があるため高次脳機能障害になると、これらの言語機能に障害が現れます。
ものの名前が出てこない、人の話を聞き誤る、読み書きが困難になるなどが代表的な症状です。

・失認
感覚領域の障害です。
人間は、見る、聞く、触れるなどさまざまな情報を感覚器で認知します。
高次脳機能障害になると感覚の認知がうまくできないため、風景や人物の認識を誤ったり、認識自体ができなくなります。

・失行(しっこう)
簡単な指示や動作を遂行しようとしてもできなかったり誤ってしまうことを失行と言います。
日常よく使う道具を使えなくなることもあります。

・注意障害
注意力が衰えて重要なことに意識を集中させることができなくなります。
その結果、気が散りやすい、長時間一つのことに集中できない、言われたことに興味を示さない、複数の作業を同時にこなせない、ある作業から別の作業に切り替えられないなどの症状が現れます
半側空間無視を発症すると、片側にあるものだけ無視します。

・遂行機能障害
計画を立て、推察し、行動して問題解決をするといった一連の作業ができなくなります。
遂行した行動を自分で分析したり評価することもできません。
指示をしてもらわなければ何もできない、ものごとの優先順位が付けられない、衝動的な行動を取るなどの症状が現れます。

・社会的行動障害
場面や状況に合わせて行動や感情を適切にコントロールすることができなくなります。
感情を抑えられない、お金を浪費したり暴飲暴食するなど、欲求を抑えられない、場違いな行動や発言をする、態度が子どもっぽくなるなどが主な症状です。

・自己認識の低下
高次脳機能障害を発症すると、自分が病気を発症して障害を持っていることを認識できないことがありますが、これを自己認識の低下と言います。
交通事故に遭い、病気を発症し、それが原因でこれまでできたことができなくなったのに、周囲の人間が原因と捉え、自分が病気であることを認めません。
治療やリハビリテーションを受けるのを拒否することもあります。

・身体的障害
筋肉の運動は正常なのに神経の連携ができないので目的とする運動を遂行できない運動失調などの身体的障害が現れることもあります。




参考
http://www.f-gh.jp/koujinou/koujinou2.htm




(弁護士法人よつば総合法律事務所)

高次脳機能障害における急性期とは?

2016年06月29日
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高次脳機能障害における急性期とは?
 頭部損傷や脳梗塞などで高次脳機能障害を発症した最初の数時間を超急性期,その後を急性期と言います。急性期には脳外科その他のスタッフがチームを組んで治療に当たります。

【高次脳機能障害の急性期】




■超急性期

交通事故で頭部を強打した,脳梗塞で倒れたなどの患者さんは,
救急病院に搬送され,救急治療を受けます。
ここでいう超急性期とは,病気を発症もしくは受傷した直後になります。
 
 たとえば,脳梗塞の場合は発症から4時間半が超急性期(2013年2月厚生労働省改定)で,発症後4時間半以内に治療を開始することが重要です。

 つまり,それより前に病院に到着していなくてはならないということです。
これは,血管を詰まらせているかたまり(血栓)を溶かす療法を効果的に行うのには時間的制約があるからです。

 交通事故による頭部損傷の場合も、治療の開始に一刻を争うことに変わりありません。

受傷して言葉が話せる状態であれば、自覚症状を救急隊員に伝えてください。
救急隊員は、症状によりどの救急病院で受け入れることができるか判断します。

脳の損傷が重大な場合は、超急性期の治療がその後の回復の鍵を握ると考えてください。




■急性期

脳外科や神経内科の医師が治療に当たります。
主治医が決定し、複数の診療科目の医療関係者がチームを組んで治療しますが、チームは医師と看護師だけで構成されるのではありません。高次脳機能障害の患者さんは、入院中、治療を受けながら、症状によって理学療法(PT)、作業療法(OT)、言語聴覚療法(ST)を受けます。
これらの療法は、専門教育を受けた理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が担当します。

さらに、ソーシャルワーカーがチームに加わって異なる職種のスタッフをまとめ、患者さんと医療チームのかけ橋となり悩みごとや社会復帰に向けての相談に応じます。



■急性期のリハビリテーションは重要

リハビリテーションは急性期から始まります。
リハビリテーションの開始が遅れると、機能の回復に影響が出るだけでなく、現在維持している機能が低下する恐れがあります。急性期の高次脳機能障害は、症状が不安定で急変することがあるのが特徴です。

 その一方では、障害の影響で感情面のコントロールがむずかしかったり、言語機能が低下して意思伝達ができないなどの問題が起こりやすくなります。
 
 医師は診断と治療を行う一方でリハビリテーションの指示を出し、専門スタッフが患者さん一人ひとりに合った療法を実施します。医療チームは適宜カンファレンスで治療の評価を行い、患者の回復状況やリハビリテーションプログラムについて全員が情報を共有できるようにします。

参考
http://www.ebm.jp/disease/brain/01nkosoku/guide.html




(弁護士法人よつば総合法律事務所)

医学と行政では高次脳機能障害の定義が違う!?

2016年06月28日
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学と行政では高次脳機能障害の定義が違う!?
学用語における高次脳機能障害の定義には失語症や失行症が含まれますが,厚生労働省の高次脳機能障害支援モデル事業における高次脳機能障害の定義には含まれません。

【高次脳機能障害の定義】


■行政による高次脳機能障害の支援

最近になって,高次脳機能障害という言葉が以前より頻繁に用いられるようになりました。
そのきっかけとなったのが,平成13年から平成18年3月31日まで厚生労働省が行った「高次脳機能障害支援モデル事業」です。

 ここで言う高次脳機能障害は,以下のような症状のことを指します。

・記憶障害
・注意障害
・判断障害
・遂行機能障害
・社会的行動障害


 これらの症状は,必ずしも本人が自覚しているとは限りません。
自覚していても症状が比較的軽い場合は,高次脳機能障害を発症していることに気づかないこともあります。
その為,怪我や病気が完治したと思い社会復帰したが,以前のように働けない,社会適応できないなどの問題を引き起こします。
 
 一方,医学用語では,上記の症状の他,次の症状も高次脳機能障害の定義に加えています。

・失語症
・失行症
・失認症
・認知症


 国が取り組んでいる高次脳機能障害支援モデル事業と,医療の現場における高次脳機能障害は、
症状の定義が異なるということを覚えておいてください。




■高次脳機能障害支援モデル事業と高次脳機能障害支援事業

高次脳機能障害支援モデル事業とは,高次脳機能障害を発症しているにも関わらず,本人が自覚していなかったり,適切な治療やリハビリを受けることができず苦しんでいる人が大勢いる事実を踏まえて,厚生労働省が行った事業です。
地方自治体と全国の病院やリハビリ施設が,患者さんの治療に取り組みました。


 当初から5カ年計画のモデル事業でしたが,平成18年3月31日にモデル事業が終了すると同年4月より一般施策化され,「高次脳機能障害支援事業」として活動しています。
モデル事業の期間に蓄積したノウハウにより,地方冶自体と病院のネットワークが構築され,高次脳機能障害に対する支援がより充実しました。
 
具体的な活動は,全国に設けた高次脳機能障害を対象とする支援拠点機関に支援コーディネーターを配置して,高次脳機能障害者が適切な治療や支援サービスを受けられる体制を整えることです。



■高次脳機能障害支援事業における高次脳機能障害の定義

高次脳機能障害支援事業が開始するにあたって,行政における高次脳機能障害の定義が明らかになりました。
診断基準は,主要な症状と検査の所見が重要視されます。


症状は,脳の病変の原因となる病気や怪我が確認され,かつ日常生活に記憶障害,注意障害,遂行機能障害,社会的行動障害などの認知障害による制約があることとされています。

検査所見では,MRI,CT,脳波などで脳の器質的病変の存在が確認されることとされています。

参考

http://www.rehab.go.jp/ri/brain_fukyu/handankizyun.html
http://www.rehab.go.jp/TrainingCenter/japanese/TCletter/No3/2_story.htm
http://www.f-gh.jp/koujinou/koujinou6.htm




(弁護士法人よつば総合法律事務所)

高次脳機能障害になる原因は何になりますか?

2016年06月28日
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高次脳機能障害になる原因は何になりますか?
高次脳機能障害になる原因は,頭部外傷のほか,脳腫瘍,脳出血,脳梗塞,アルツハイマー型認知症等の神経性疾患などがあります。

【高次脳機能障害の原因】



■先天性の病気だけではない高次脳機能障害の原因

以下の病気は,高次脳機能障害を発症するきっかけとなります。

・脳梗塞や脳出血など脳の血管障害
・脳腫瘍
・脳炎
・神経性疾患(アルツハイマー型認知症・パーキンソン病など)
・自己免疫疾患や代謝性疾患などによる脳症
・てんかん


 いずれも,高齢の方に多い病気もしくは先天性の病気です。
しかし,高次脳機能障害は,子どもや若者も発症リスクがあります。
それは,もう一つの発症原因である頭部外傷は,誰にでも起こり得るアクシデントだからです。

それこそ,生後1カ月の赤ん坊でも,20歳の若者でも,
脳に深刻なダメージを受けると高次脳機能障害を発症する可能性があります。
高次脳機能障害は,男女を問わず誰にでも起こり得る病気なのです。




■引き金となる病気により高次脳機能障害の症状は異なる

1.頭部外傷による症状
頭部の外傷は,損傷した部位の周辺に関する機能に異常が現れます。
頭部の外傷でもっとも多いのは交通事故ですが,車が衝突して頭部を打撲するのですから,どのような角度でどこを強打するかはひとりひとり異なるため,高次脳機能障害の症状の現れ方も人それぞれ違ってきます。

 もうひとつの特徴は,CTやMRIなどの画像診断では異常が認められないにもかかわらず,記憶障害や注意障害など高次脳機能障害に特有の症状が現れる場合があることです。
社会的行動障害と言って,脳を損傷する前とは性格や態度,言動が豹変することもあります。
交通事故に遭い頭部を打った場合は,事故の直後は自覚症状がなくても必ず専門医による精密検査を受けましょう。

2.神経性疾患
アルツハイマー型認知症は,脳の神経細胞が徐々に変形して脳の委縮が進行し,末期には何も話さず動かなくなります。パーキンソン病は,運動障害や社会認知の低下,言語障害などの症状が起こります。

3.脳出血による症状
脳出血のうち,特に高次脳機能障害を起こしやすいのは脳内出血とクモ膜下出血です。

4.脳血管障害
いずれも,脳のどこに変異が現れたかにより症状が異なります。
高次脳機能障害を発症しやすいのは,脳出血ではクモ膜下出血と脳内出血,脳梗塞では中大脳動脈(心臓から脳へ血液を送る血管)を支配する領域です。

5.脳腫瘍
良性は比較的ゆっくり症状が進行しますが,悪性の脳腫瘍は急激に大きくなり短期間に症状が現れます。
脳腫瘍ができた場所により症状が異なりますが,言語障害と記憶障害が多いのが特徴です。




(弁護士法人よつば総合法律事務所)

高次脳機能障害と認知症の違いは?

2016年06月27日
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高次脳機能障害と認知症の違いは?
高次脳機能障害は、発症した時が最も重症で、それ以降は症状が進行しないのに対して、認知症は症状が徐々に進行します。

【高次脳機能障害と認知症の違い



Q.高次脳機能障害になると、認知や思考、記憶、感情の表出や言語表現などに障害が起きるそうですが、それらは、まさに認知症の人の症状です。高次脳機能障害と認知症はどこが違うのですか?

A.高次脳機障害と認知症は、いずれも記憶、判断力、感情表出の障害、失語、失認、性格の変化など、
何らかの原因で脳が正常に働かなくなる病気であり、認知症も広義で高次脳機能障害ととらえる説もありますが、現在は、以下のような違いにより、高次脳機能障害と認知症を区別しています。

■高次脳機能障害は現れた症状が進行しないが,認知症は進行する
高次脳機能障害は、脳に損傷を受けたことが原因で障害が現れ、発症直後がもっとも重症ですが、いったん現れた症状はそれ以上進行しません。一方、認知症は症状が徐々に進行します。
軽度の認知症患者を適切なケアをせずに放置しておくと、やがて新しいできごとを記憶できなくなり、日常生活では全面的な介護が必要になります。

■高次脳機能障害は脳の連合野の障害で,認知症は他の疾患が原因で発症する病気
高次脳機能障害は、大脳のうち連合野と呼ばれる部分がうまく機能しなくなったことにより発症すると考えられているのに対し、認知症は、他の疾患が引き金となって発症する病気であることが明らかになっています。
すでに数十種類の疾患が認知症の原因となることがわかっており、アルツハイマー型認知症、脳血管認知症、パーキンソン病、前頭側頭葉変性症、レビー小体病など、原因となる疾患により病名が付けられていて、原因疾患によって認知症の症状が異なります。
もっとも発症数が多いのが脳の神経細胞が壊れていくアルツハイマー型認知症で、最初に現れる症状は記憶障害です。その次に発症数が多いのが、脳梗塞などで脳の血管が詰まって脳の神経細胞がダメージを受けたことが原因で発症する脳血管型認知症で、麻痺と言語障害が主な症状です。

■高次脳機能障害の治療はリハビリ中心
高次脳機能障害は、完治は難しくても徐々に症状が快方に向かうことが期待できる病気です。
急性期には外科的手術や薬物治療も行われますが、回復期の治療にリハビリテーションが積極的に取り入れられているのはそのためです。
認知症の治療方法は、原因疾患の外科的治療、投薬、専門家によるケアなどがあります。
認知症は、いったん発症すると完治はむずかしいとされていますが、生活習慣を改めることにより認知症の進行を遅らせることが可能であると言われています。

(弁護士法人よつば総合法律事務所)

交通事故に遭いました。高次脳機能障害とはどんな病気ですか?

2016年06月27日
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交通事故に遭いました。高次脳機能障害とはどんな病気ですか?


高次脳機能障害とは、脳のうち高次脳機能をつかさどる連合野に損傷が生じて高次脳機能に障害が現れた状態のことです。




【高次脳機能障害】


■高次脳機能障害とはどんな病気でしょう?

交通事故などで,最近良く耳にすることのある「高次脳機能障害」ですが、実際にどのような病気を意味するのか、実態があいまいなまま,病名が独り歩きしています。まず、高次脳機能障害とはどのような病気か理解しましょう。




ずいぶん長い病名ですが、漢字を分けると「高次+脳機能+障害」となります。脳は、体の各部に命令を出すと共に各部の情報を受け取る司令塔ですが、その働きは以下の4つに大別できます。
1つめは体温の維持や血圧・心拍数・呼吸の調節など「生命機能の調節」、2つめは視覚や聴覚などの「感覚」、3つめは筋肉を動かす「運動」、そして4つめが「高次脳機能」です。




さあ、ここではじめて「高次」と「脳」という単語が組み合わされて登場しました。
前述の1つめから3つめまでの脳機能は、生命を維持するのに不可欠な基本機能であり、これらの機能もしくは類似した機能を持つ生き物は人間のほかにもたくさん存在します。


では、人間とほかの生き物を分けるものは何でしょうか?
人間にできて他の動物にはできないこと、それこそが「高次脳機能」なのです。
たとえば、全身から脳へ送られてくる情報の収集および分析、判断、行動、感情の表出などは、高次脳機能のなせる業(わざ)です。

高次脳機能障害とは、脳のうち、高次脳機能をつかさどる部分に交通事故などで、損傷が生じた結果、高次脳機能に障害が現れた状態のことを言うのです。







■脳のどの部分が高次脳機能を受け持っているのでしょう?

高次脳機能を受け持っているのは、大脳皮質の「連合野(れんごうや)」です。脳の前方にあり大脳の1/3を占めているのが、連合野のうちもっとも大きい「前頭連合野(ぜんとうれんごうや)」です。
頭のてっぺんより少し後ろにあるのが「頭頂連合野(とうちょうれんごうや)」、脳の側面にある「側頭連合野(そくとうれんごうや)」で、これらの連合野に損傷を受けると高次脳機能障害になると考えられています。

自分のおでこを触ってみてください。
ほとんど皮下脂肪がなく、骨の存在が感じ取れますが、この骨が前頭骨(ぜんとうこつ)で、そのすぐ下には前頭連合野があります。頭のその他の部分に触れても、手のひらに頭蓋骨を感じると思います。頭蓋骨の下には軟膜、クモ膜、硬膜があり、軟膜は脳にくっついています。さらに軟膜とクモ膜の間には髄液が満たされていて、脳はいわば髄液の中に浮かんだ状態で、みずからの重みで変形しない仕組みになっています。


こうやって幾重にもガードされているとはいえ、脳が衝撃に弱いのは事実です。

交通事故などで、頭を強打すると高次脳機能障害を発症することがあるのはそのためです。

(弁護士法人よつば総合法律事務所)

会社役員が交通事故に遭った場合,役員報酬は賠償してもらえないって本当ですか?

2016年06月24日
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 相手方保険会社に,会社役員が交通事故に遭った場合,役員報酬は逸失利益として賠償しないと言われています。
 労務の対価としての支給部分について具体的に検討します。

【会社役員の役員報酬】


■逸失利益
後遺障害が認定された場合,将来にわたり,労働に支障を来すのものと考えられます。将来就労する際に,交通事故がなければ得られるはずであったのに,事故によって得ることができなくなった利益を逸失利益といいます。逸失利益は,基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間という計算式により求められます。
このうち基礎収入の考え方について役員報酬をどのように算定すべきかが問題となります。

■役員報酬
役員報酬は,定款に定めている場合には,定款の規定により,定めていない場合には株主総会の決議によって一定額が支給されますが(会社法第361条,387条),実際には,株主総会で支払限度額のみを決め,取締役会などに具体的な支払金額を一任することなども多く行われています。
賠償しないという保険会社の主張は,会社の形態によっては役員報酬を自由に決定できる点や,役員報酬が法人税との兼ね合いで多額であるケースがあること,実質的な利益配当部分を含むことなどを根拠としていることが多いです。
利益配当の実質を有する部分や,親族の情誼的に交付される部分,法人税の負担を軽減するための加算部分は,労務としての対価性を有しないから,将来の労務に関する逸失利益はないというものです。

■労務の対価@
当然役員報酬という名目であるからといって,これを一律に基礎収入に参入しないとすべきではありません。逸失利益の趣旨から,当該役員報酬が労務の対価としての性質を有する部分を検討すべきです。
過去の裁判例では,@会社の規模,A当該役員の地位・職務内容,B役員報酬の額,C他の役員・従業員の職務内容と報酬給料額,D事故後の当該報酬の推移などが検討されています。
 
■労務の対価A

例えば,A当該役員が実際の労務を行っていること,それが会社の利益のために必要なことは労務としての対価を有する方向に考えられます。
BC当該役員報酬の額が他の同程度の職務内容の役員従業員の報酬給料と照らして著しく高額でないことは労務としての対価を有する方向に考えられます。
D事故後に役員報酬が減額していることは労務としての対価を有する方向に考えられます。
以上のような観点から,当該役員報酬が労務としての対価としての性質を有する部分を具体的に検討すべきです。

■裁判例
実際の裁判例では,役員報酬のうち労務としての対価性がある部分をその何%としたり,賃金センサスを参照したり,同程度の職務内容の従業員の給料と同額としたものなどもあります。

■証拠となる資料
労務対価性の証拠となる資料は,確定申告書や会社の決算書類,株主総会議事録,当該役員の職務内容についての陳述書などが考えられます。

■まとめ
交通事故は,役員報酬が逸失利益として認められるか否かによって,賠償金額も大きく変わってきます。
一度は専門家に資料を検討してもらうことをお勧めします。

(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 粟津 正博)

交通事故に遭いました。弁護士に依頼するとほぼ自動的に逸失利益が増える仕組みはおかしくないですか?

2016年06月24日
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交通事故に遭いました。弁護士に依頼するとほぼ自動的に逸失利益が増える仕組みはおかしくないですか?


到底正しいとは思えません。もっとも,この点は保険会社が支払いを渋ることも問題と考えます。制度も正しくないですし,保険会社にも問題があると考えます。




【逸失利益と保険会社】


■逸失利益@裁判基準
交通事故に遭って後遺障害が認定された場合,後遺障害が認定されたことにより将来収入が減る分の保証がされます。これが逸失利益です。
例えば,むちうちで14級9号に認定された年収300万円の方の場合,逸失利益は裁判基準(弁護士基準)だと以下の計算式になります。
300万円×5%(労働能力喪失率)×4.3295(5年のライプニッツ係数)=64万9425円




■逸失利益A保険会社
しかし,保険会社が提示してくる金額は後遺障害の影響が残る期間が5年というところが3年位になっており,微妙に金額が低いことが結構あります。ちなみに3年で計算すると以下の計算となります。

300万円×5%×2.7232=40万8480円 (約25万円裁判の基準よりも少ないです)




■逸失利益B個別事案
個別の事案によって後遺障害の影響が残る期間が異なることは事実です。個別の事案に応じた評価がなされてもよいのだとは思います。ただ,保険会社の対応を見ていると,「まずは3年位で提案しておこう」「弁護士が入ったら5年にしよう」「裁判になったら5年にしよう」というような雰囲気が非常に強く見られます。
事実上,保険会社が支払を渋っているように私には感じます。
後遺障害が残るような事案の場合,体に大きな負担が発生します。現実に収入が減っていないような事案の場合であったしても,被害者ご本人の努力や周りの助けがあって何とか収入を維持しているというのが実態ではないかと思います。そのような重大事故の被害者には,怪我に応じた適切な保証がなされるべきです。




■保険会社の払い渋りと闘う
逸失利益の期間の問題は弁護士が入るだけで自動的に解消し,受領できる金額が増えることもあります。
これは,弁護士が入るだけで増えるということであれば正しい制度だとは思えません。弁護士が入っても入らなくても同様の被害には同様の保証がなされるべきだからです。
他方,保険会社が後遺障害の被害者の救済,被害回復を真剣に考えていないのではないかと思える払い渋りの事案も多々あります。今後も,「弁護士が入るだけで保険金が増える」というおかしな制度の是正を目指しつつ,保険会社の不当な払い渋りにも対抗して闘っていきます。




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

労働能力喪失率について教えてください

2016年06月23日
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労働能力喪失率について教えてください。
基本的に労働能力喪失表を参照しますが,個別具体的なケースに応じた考慮が必要です。

【労働能力喪失率】


■逸失利益
後遺障害が認定された場合,将来にわたり,労働に支障を来すのものと考えられます。将来就労する際に,事故がなければ得られるはずであったのに,事故によって得ることができなくなった利益を逸失利益といいます。逸失利益は,基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間という計算式により求められます。

■労働能力喪失率
労働能力喪失率とは,当該後遺障害によりどれだけ労働能力を喪失したか(就労が不可能となったか)を割合で示したものです。労働能力喪失率の認定に際しては,国の定める労働能力喪失立表が参照されることが多く,実務上も自賠責機関の認定した等級と同表の喪失率に基づいて解決がされることが多いです。

■後遺障害
後遺障害には1級から14級まであります。
(等級が低くなるに従いより重い症状を示します。)
各等級の労働能力喪失率は以下のとおりです。
[1〜3級 100%,4級 92%,5級 79%,6級 67%,7級 56%,
8級 45%,9級 35%, 10級 27%,11級 20%,12級 14%,
13級 9%,14級 5%]

■判例@
もっとも,具体的な障害の内容と被害者の職務内容に応じて,これらの割合を修正すべき場合があります。最高裁の判例(最高裁判所昭和48年11月16日)においても,労働能力喪失率表が有力な資料となることは否定できないとしつつ,「被害者の職業と障害の具体的状況により,同表に基づく労働能力率以上に収入の減収を生じる場合には,その収入率に照応する損害の賠償を請求できることはいうまでもない。」と判示しています。
例えば,鍼灸大学生の右前腕及び手関節の疼痛14級10号の障害(併合14級)が認定された場合,上の表によれば喪失率は5%ですが,鍼灸師には筋力低下や可動域の制限の影響が大きいとして14%の喪失率を認めた判例があります(京都地判平成14年9月26日)。

■判例A
反対に,傷害の類型によっては,労働能力を喪失しない(逸失利益がない)と争われるケースも散見されます。
例えば,醜状根,変形障害,嗅覚・味覚障害,下肢短縮,歯牙障害,圧迫骨折などは具体的に労務に影響を及ぼさないと主張される例が散見されます。(詳しくは各障害と逸失利益についての記事をご参照ください。)

■まとめ
労働能力喪失率の認定は,将来の事故による不利益を最小限に抑えるためにも適正な評価を受けるべきであることはいうまでもありません。実際よりも,低い労働能力喪失率を相手方保険会社に主張される場合には,是非,専門家に一度相談することをお勧めします。




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 粟津 正博)
プロフィール
弁護士法人よつば総合法律事務所
地域最大級の弁護士14名が所属しております。事務所名の「よつば」は事務所に関わる人が皆幸せになるようにとの思いから名付けました。お気軽にご相談ください。
柏事務所:千葉県柏市(柏駅徒歩3分)
千葉事務所:千葉市(千葉駅徒歩3分)

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