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2016年04月

二事故が競合する場合の扱い

 
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時間的・場所的に離れている2つの交通事故によって同一部位を怪我して,どちらの事故が原因となっているのか不明な場合,どのような立証活動をすべきですか。
 間接事実を積み上げて因果関係と寄与度を立証しましょう。




◆共同不法行為
民法上,複数の者の不法行為によって損害が発生した場合でそのどの者の行為によって損害が生じたのかが不明な場合,不法行為者全員が連帯してその損害を賠償する責任を負うということが規定されています(民法719条1項後段)。

◆2つの交通事故に遭ってしまった場合の加害者における責任関係
2つの交通事故について,不法行為に基づいて損害賠償請求をする場合,原則として,損害がどの行為(事故)から生じたのかを特定しなければなりません。しかし,民法719条1項後段が適用されれば,時間的・場所的に別々の時点で2つの交通事故に遭って同一部位を怪我して,その怪我による損害のどの部分が各交通事故に起因するものであるのかが不明な場合であっても,各交通事故の加害者らが連帯してすべての損害について責任を負うことになります。

◆裁判例の傾向
このような事案に関する裁判例は,719条1項後段の適用について否定的に考えているものが大勢と言えます。

◆否定説に立った場合の立証活動
否定説に立った場合,被害者としては,各事故と損害との間に事実的因果関係及び相当因果関係があることを主張立証する必要があります。

事実的因果関係については,
@第1事故によって傷害を負ったこと,Aその傷害の症状が固定する前に第2事故により同一部位に傷害を負ったこと,B第2事故により同事故直前の症状を悪化させ,その回復が遅れ,また新たな症状が発生するに至ったことなどの間接事実から認定していくことになります。

また,各事故と相当因果関係のある損害の範囲を認定する中で考慮される寄与度については,@第1事故による傷害の内容・程度,Aこれに対する治療状況と回復経過,B第2事故前の症状,C第2事故直後の症状,D第2事故後の治療状況と回復経過,E各事故の衝撃の程度が考慮事情として挙げられます。第1事故と第2事故が数日から数週間以内に発生した場合には,各事故による傷害の内容・程度や事故による衝撃の程度等が重視され,第1事故と第2事故の間隔が数ヶ月以上開いている場合には,第2事故直前の症状,特にこの時点までに症状がどの程度軽減されていたか,第2事故によって症状がどの程度悪化したかなどが考慮されています。

(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 加藤貴紀)

交通事故でのシートベルト,チャイルドシートと過失相殺

 
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 交通事故の被害者が後部座席のシートベルトやチャイルドシートを装着していなかった場合,加害者に請求することができる損害賠償金にどういう影響を与えますか。
 過失相殺され,賠償額が減額される場合があります。




◆過失相殺
交通事故における損害の発生やその損害の拡大について被害者側にも過失(原因)がある場合,すべての責任を加害者に負わせることは不公平になってしまいますので,被害者側の寄与度すなわち過失の割合に応じて,被害者が加害者に請求できる損害賠償額が減額されることになります。

◆後部座席のシートベルト装着義務
平成19年に道路交通法が改正され,助手席以外の同乗者についても,運転手がシートベルトを装着させる義務が規定されることになりました。この義務は運転手を名宛人としていて,後部座席に座った人が義務を負うものではありません。

◆後部座席のシートベルト不装着の場合の判例の傾向
平成19年の道路交通法改正後からシートベルト不着用が被害者側の過失として認められるようになり,典型的なシートベルト付着用の事案においては,被害者の過失割合が5〜10%の範囲で認められることが多いです。もっとも,後部座席で横になって寝ていた事案や,両下肢麻痺の運動障害があって下肢で自分の体を支えられないのに装着しなかったような事案では,20%の過失が認められています。

◆後部座席のシートベルト不装着でも過失相殺が否定される場合
道路交通法上,疾病,負傷,障害,妊婦中などの理由からシートベルトを装着することが適当でない若しくは著しく肥満しているためにシートベルトを装着することができない者についてはシートベルトの装着義務を免除しています。このような理由で被害者がシートベルトを装着していなかった場合であれば,過失相殺を理由に賠償額を減額されない可能性があります。また,加害者居眠り運転をしていたなど,加害者に著しく大きい過失がある場合にも過失相殺が否定されることがあります。

◆チャイルドシートの装着義務
平成11年に道路交通法が改正され,運転手にチャイルドシートを装着することが義務付けられました。この義務も後部座席のシートベルトと同様運転手の義務となっています。

◆チャイルドシート不装着の場合の判例の傾向
チャイルドシート不装着の事案においては,装着するのが幼児であり,幼児自身には過失を観念することはできませんので,チャイルドシートを使用しなかった父母の過失として評価されることになります。判例の傾向としては,5〜10%の過失を認めることが多いです。

◆助手席との比較
一般的な事案では,助手席でのシートベルトの不装着の事案における被害者の過失割合は5〜20%とされていることが多く,後部座席の事案に比べて高くなっています。これは,後部座席のシートベルトの装着が助手席に比べていまだ普及していないという現状によるもので,これから後部座席のシートベルト不装着の事案における過失割合は上昇する可能性がありますので,車に乗る際は,後部座席であってもシートベルトを着用するように心がけましょう。

(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 加藤貴紀)

身内が交通事故に遭いました。交通事故での入院付添費の相場はいくらですか?

 
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 身内が交通事故に遭いました。入院付添費用はどれくらい請求することができるのですか?
 基本的に一日約6500円が基準額となります。




◆付添費の金額

原則として,1日につき約6500円が付添費として認められます。もっとも,被害者の状態が極めて重篤な場合や,被害者が少年である場合など,長時間の付添いや負担の重い濃密な介護が必要となった場合には,2000〜2500円の上乗せが認められる可能性があります。一方,被害者の身体的な制約が一部で部分的な介護しかしなかった場合や,付添時間が短かった場合,危篤状態での付添いのように肉親の情誼としての意味が強く特段医療上介護上の行為をしていない場合は,1000〜2000円ほど低くなる可能性があります。

◆期間(日数)について
入院付添費が認められる期間ないし日数については,必ずしも入院全期間というわけではなく,付添いの必要がある期間の内,実際に付き添った日数についてのみ認められます。そのため,付添費全額を得るためには付き添った日数を証拠により立証しなければなりません。その証拠としては,付添人の陳述書等の供述証拠の他,看護記録に付添いの事実が記載されている場合にはその記録,公共交通機関の利用記録,病院の駐車場の領収書などが考えられます。

◆複数の者が付き添った場合
被害者が極めて重篤な状態であるため複数の者が交代で24時間看護に当たる必要があるなど,病状の内容・程度,必要となる付添い看護の内容に鑑みて複数の者の付添いが必要かつ相当な場合には複数人分の付添費が認められる可能性があります。

◆付添いのための交通費,宿泊費
基本的には,入院付添のための通院に要した交通費や宿泊費も,相当な範囲で損害として認められる場合があります。遠方から駆けつけるなど交通費や宿泊費が高額になった場合についても,被害者の元に駆けつけることが,被害者の傷病の程度や付添人が看護にあたることの必要性など諸般の事情を考慮して社会通念上相当な場合であり,被害者がその者に交通費,宿泊費を償還すべきものであると認められた場合,通常利用される交通機関の普通運賃の限度内において損害と認められる可能性があります。

◆近親者の休業損害
有職者である近親者が被害者の付添いのために休業し,収入の減少を来すなどの損害を被った場合の取扱いについては,実務上,一般的な基準額を参考として付添費が算定されることがほとんどとなっています。入院していて看護されている状態でもなお,当該近親者が付添いをする必要性があったことを立証した場合にのみ,休業損害が認められる可能性が出てきます。もっとも,この場合であっても,付添いをした近親者が高額所得者であって,その者の休業損害が職業付添人費用を超える場合,基本的には,職業付添人の費用を超える部分については相当因果関係のある損害として認められないと考えられます。

弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 加藤貴紀)

| 治療費 |

交通事故で,近親者の入院付添費が認められる場合

 
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 入院中の交通事故被害者に近親者が付き添った場合,金銭的な賠償を求めることはできるのでしょうか。
付添いの必要性が認められれば,付添費として損害賠償請求をすることができます。




◆付添費が認められる場合
被害者が治療のために入院し,入院中に付添いの必要性があり,かつ,実際に付添いがされた場合には,相当な限度で付添いのための費用が事故と因果関係のある損害として認められます。一般的には,付添いの必要性は,医師の指示があれば原則認められますが,医師の指示がない場合でも,受傷の部位,程度,被害者の年齢等により,付添いの必要性が認められる事があります。

◆重篤な脳損傷や脊髄損傷の場合
重篤な脳損傷や脊髄損傷の事案においては,意識覚醒のための声掛けや,容態の変化の看視,食事や排泄等の日常生活動作の介助,問題行動の看視といった行為を付添人が行っている場合であれば,これらの行為が病院側の看護の補助行為として必要性が認められることが多いです。また,この様な場合であれば,近親者が医療上・介護上有益な行為をしていない場合でも,肉親の情誼の観点から社会通念上付添いが相当であるとして付添いの必要性が認められる場合もあります。

◆上肢・下肢の骨折の場合
手足の負傷やその治療によって行動が制限されていて,近親者等が食事,排泄,着替え,歩行などの介助を行っている場合には,付添いの必要性が認められる事があります。もっとも,骨折の部位や治療方法,治療の段階によって付添いの必要性の評価にも差があり,下肢を骨折したが車椅子や松葉杖を用いて自ら移動できる事案で付添いの必要性が否定された裁判例もあります。このような事案においては,付添費が損害として認められるためには,入院生活にどのような支障があり,近親者にどのような介助をしてもらったのかを具体的に裁判で主張する必要があります。

◆軽傷ではあるが,被害者が幼児・児童の場合
幼児・児童が入院の際には,両親等の近親者が付き添うことが社会通念上必要かつ相当であると考えられているため,多くの裁判例は,概ね小学生までの子供について,特段の事情がない限り,両親等による付添いの必要性を認めています。

◆軽傷ではあるが,被害者の受傷によって精神的に不安定になっている場合
被害者が精神的に不安定になっている事案においては,負傷が軽微で,日常生活動作も制約されていない場合であれば,付添いの必要性が認められない傾向にあります。被害者の精神面の不調が,単なる不安とかのレベルではなく,現実に具体的な不調を来すに至っている場合には付添いの必要性が認められる可能性があります。

◆危篤状態の場合
傷害の重篤さ,被害者の年齢,近親者の付添い行為の内容といった個別の事情にもよりますが,生命が危ぶまれる状況における肉親の情誼としての付添いを相当なものとして評価するかどうかという裁判官の価値判断が大きく影響するものと考えられます。

(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 加藤貴紀)

| 治療費 |

足・股・膝の後遺障害

 
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 足・股・膝ではどのような後遺障害の可能性が交通事故ではありますか。
 関節の可動域制限や神経症状(痛み・しびれ)など様々な後遺障害発生の可能性があります。




◆足・股・膝の後遺障害について
足・股・膝を交通事故で怪我した場合,可動域制限(動く範囲の制限)囲の制限や痛み・しびれなどの神経症状が交通事故では発生することがあります。特に,バイク事故などの場合,骨折が発生し,重大な事故となってしまうことも多いです。

◆よくある傷病名について
足・股・膝に交通事故で怪我を負った場合,よくある傷病名は例えば以下のような病名です。
坐骨骨折,恥骨骨折,骨盤骨折,膝蓋骨骨折,半月板損傷,前十字靭帯損傷,後十字靭帯損傷,内側側副靭帯損傷,外側側副靭帯損傷,複合靭帯損傷,大腿骨骨幹部骨折,大腿骨頚部骨折,大腿骨骨顆部骨折,大腿骨転子下骨折,大腿骨転子部骨折,坐骨神経麻痺,腓骨神経麻痺,距骨骨折,踵骨骨折,中足骨骨折,足指骨折,脛骨顆部骨折,脛骨骨幹部骨折,変形性股関節症,変形性膝関節症,偽関節,股関節脱臼,大腿骨頭壊死,膝蓋骨骨折,
傷病名ごとの詳細は以下のご覧ください。
http://kotsujiko-yotsubasougou.com/130-1/cat371/

◆客観的な画像所見が一番重要
自賠責調査事務所(後遺障害を認定する機関)で一番重要視しているのが画像です。画像偏重という批判もあるところですが,現時点での認定基準を前提とすると,画像所見の有無が極めて重要です。レントゲン(XP),MRIなどで異常があるということが後遺障害認定にとってまずは重要となります。

◆可動域制限や痛みの根拠の説明
医師に「痛い」「動かない」と伝えるだけでは後遺障害が認定されることはありません。痛みの根拠,動かない根拠(可動域制限の根拠)をきちんと明らかにすることが重要です。根拠には画像その他の医学的所見が重要です。

◆可動域制限
動く範囲の制限(可動域制限)の測定は重要です。5度でも後遺障害認定基準を満たさない場合には可動域制限を理由とする後遺障害認定がなされることはありません。医師に測定を依頼する場合には,他動(医師が足を動かしながらの測定)となりますので,他動値での測定値を正確に測定する必要があります。

◆14級9号(局部の神経症状)について
画像上明確でなくても,局部の神経症状があるとして後遺障害等級14級9号が認定されることはあります。これは,医学的にそのような痛みやしびれなどの神経症状が発生することはありえるということを前提とした後遺障害認定です。


◆足・股・膝の後遺障害は複雑です
足・股・膝の交通事故における後遺障害認定は複雑な分野です。必ず,詳しい弁護士に相談するなどして対応するのがよいでしょう。




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

手・肩・肘の後遺障害

 
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 手・肩・肘ではどのような後遺障害の可能性が交通事故ではありますか。
 可動域制限や痛みなどの神経症状など様々な後遺障害発生の可能性があります。


◆手・肩・肘の後遺障害について
交通事故で手・肩・肘を怪我した場合,動く範囲の制限(可動域制限)や痛みなどの神経症状が交通事故の場合よく発生します。特に,バイク事故などの場合,骨折が発生することが多いです。

◆よくある傷病名について
交通事故で手・肩・肘を怪我した場合,よくある傷病名は例えば以下のような病名です。
肩甲骨骨折,橈骨遠位端骨折,橈骨近位端骨折,橈骨骨幹部骨折,橈骨頭骨折,上腕神経叢麻痺,尺骨神経麻痺,肘関節脱臼,肘頭骨折,コーレス骨折,スミス骨折,正中神経麻痺,橈骨神経麻痺,腱板断裂,肩関節脱臼,肩鎖関節脱臼,尺骨骨幹部骨折,上腕骨近位短骨折,上腕骨遠位端骨折,上腕骨顆上骨折,上腕骨外側顆骨折,腕神経叢麻痺,手根管症候群,手根不安定症,TFCC損傷

◆客観的な証拠が重要
画像などの客観的な所見が一番重要です。レントゲン(XP),MRIなどで異常があるということが後遺障害認定にとってまずは重要となります。特に自賠責調査事務所は画像重視と言われていますので,画像に異常所見があるかどうかは重要です。

◆可動域制限
各関節ごとに,後遺障害認定がなされる基準となる可動域の基準が定められています。異常のない側(健側)と比較して,4分の1以上動かない,2分の1以上動かない,ほとんど動かないなどの症状により,後遺障害等級が変わってきます。可動域制限の数値については一度医師が後遺障害診断書に記入をした後は特段の事情がない限り変更・修正はできませんので慎重な配慮が必要です。

◆可動域制限や痛みの根拠の説明
ただ痛みや可動域制限が存在するというだけは後遺障害認定はされません。画像やその他の所見から,そのような可動域制限や痛みが発生することがありえることであるのかという観点が重要となります。

◆明確な所見がなくても14級9号(局部の神経症状)が認定されることがあります。
明確な画像所見や,明確な検査結果がなく,可動域制限の根拠や痛みの根拠が明らかではない場合であったとしても,症状が医学的に推定されるということで14級9号(局部の神経症状)の後遺障害が認定されることはあります。

◆手・肩・肘の後遺障害は複雑です
手・肩・肘の後遺障害は専門性のある分野で非常に複雑です。詳しい弁護士に相談するなどして対応するのがよいでしょう。

(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故の賠償問題で,紛争処理センター申立がよい場合はどのような場合ですか?

 
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 交通事故の賠償問題で,紛争処理センターへの申立が望ましい場合とはどのような場合ですか。
 早期かつ確実な解決が望ましい場合です。

◆紛争処理センター申立
最終的には交通事故の賠償問題の場合,交渉,裁判,紛争処理センターの3つの中で解決を方法を選ぶことが多いです。

◆紛争処理センターの回数
紛争処理センターは1回又は数回の審理であっせん案を出してくれることが多いです。かかる期間も2〜3ヶ月で解決することが多く,6ヶ月以内位にはだいたいの事案で和解案が出るところまではいきます。そのため,早期の解決をしたい場合には紛争処理センターへの申立が望ましいです。紛争処理センターが出すあっせん案に保険会社は応じることが多いですし,紛争処理センターが出す裁定には保険会社は従わなくてはいけません。なお,被害者側は裁定に同意せずに民事訴訟を提起することができます。

◆紛争処理センターでの解決基準
慰謝料などについては裁判所の標準的な金額と同水準になることが多いです。その他の項目も裁判所の基準に近い水準となります。ただし,話し合いという要素もありますので,裁判所の基準満額とはならないこともあります。
なお,弁護士費用相当額(10%),年5%の遅延損害金は紛争処理センターでは付加されません。

◆任意の話し合いとの比較
任意の話し合いと比較すると,必ず解決に向けて話が進む,裁判基準に近い金額での解決がができるなどのメリットがあります。

◆裁判との比較
裁判と比較すると,後遺障害等級自体が争われたり,カルテを元にした詳細な主張がされることはあまり多くありませんので,認定された等級を前提として,ある程度確実な解決をすることができるメリットがあります。また裁判の場合,解決までに1〜2年かかってしまうことがありますが,裁判と比較すると早期の解決を図ることができます。

◆紛争処理センターでの解決に向いている事案
以下のような事案は紛争処理センターへの申立を検討するのがよいでしょう。

  • 慰謝料の増額,逸失利益の期間の争いなど比較的争いが少ない事案で,紛争処理センターへ申立をすることによりほぼ確実に増額が見込める事案

  • 裁判をすると,後遺障害等級自体や大幅な素因減額などが争いとなる可能性がある事案について早期の解決をしたい事案

  • 解決までの手間と費用をかけずに解決したい事案

  • 多少の譲歩はしても早期解決をしたいと考えている事案

  • 相手保険会社の対応が遅く,全く進展がない事案


(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

交通事故の異議申立のこつは,ありますか?

 
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 交通事故で後遺障害認定に対する異議申立のこつを教えてください。
 今までと異なる証拠を出しましょう。





◆後遺障害認定と異議申立
後遺障害認定結果が返ってきた場合,非該当になっていたり,自らの症状に合致しない症状となっていた場合には異議申立を検討することとなります。異議申立の場合,通常は,異議を認める場合には初回認定と同じ部門が判断し,異議を認めない場合には別の部門が判断をすることになります。

◆異議申立の場合には追加の証拠が重要です。
被害者が自らの被害の状況を克明に記載したりすることが効果がないとは言いません。しかしながら,自賠責保険の異議申立において重要な事項は追加の証拠の提出です。例えば,頚椎捻挫の事案でMRI画像がないような場合には,詳細なMRI画像検査を元にした主治医の追加の診断書などがあるとよいでしょう。

◆もれている症状はありませんか?
例えば,高次脳機能障害などの場合に,頭部外傷についての記載はされているものの,味覚・嗅覚・視力・聴覚・触覚などの検査結果が不足していることがあります。耳鼻咽喉科などで自賠責調査事務所の審査基準に合致した検査を行った上で,その検査結果を主治医に示して追加の診断書を作成していただく必要があります。

◆事故状況の写真,修理費の資料を出していますか?
初回申請の際に事故状況が重大であることがわかる資料が未提出のことがあります。事故状況の写真や修理費の見積書は申立にあたって必須の資料ではありませんが,事故状況を把握するために必要な事項ですので,未提出の場合には提出を検討した方がよいでしょう。

◆症状固定後の通院
症状固定後に通院をしていたとしても,自賠責調査事務所は通院をしていること自体にそもそも気づいていない可能性が高いです。事故後も症状が残存し,通院をしている場合には領収書などの資料を追加で出すのがよいでしょう。

◆未提出の定型資料の提出
例えば,頚椎捻挫・腰椎捻挫などの症状の場合,「頚椎捻挫・腰椎捻挫の症状の推移について」,「神経学的所見の推移について」という定型の医師が作成する書面があります。この書面を追加で提出することにより症状をよりはっきりと把握することができるようになります。

◆異議申立以外の方法
1回しか利用できまんが,自賠責保険・共済紛争処理機構への申立をするという方法があります。より詳細な判断結果が返ってきます。また,例外的なこととなりますが,傷病名や治療経過によっては,民事訴訟の中で等級認定を争うという方法もあります。

(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)

傷害慰謝料の基準の変更(赤い本2016年)

 
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 2016年の赤い本で傷害慰謝料の基準はどのように変わりましたか。
 傷害慰謝料基準の別表T,別表Uの表現が変更となっています。

◆別表Tについて
従来の基準は,「通院が長期にわたり,かつ不規則である場合には実日数の3.5倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることがある」という基準でした。2016年の赤い本では「傷害慰謝料については,原則として入通院期間を基礎として別表Tを使用する。通院が長期にわたる場合は,症状,治療内容,通院頻度を踏まえて実通院日数の3.5倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることもある。」と変更されました。

◆別表Tの変更のポイント@
症状・治療内容・通院頻度という要素を実質的に考慮して判断をすることが明示されました。今までも,交渉・裁判等では症状・治療内容・通院頻度を加味した判断がなされてきていますので,その内容を明記したものとなります。

◆別表Tの変更のポイントA
「目安とすることがある」を「目安とすることもある」と変更しています。3.5倍の基準は例外的な基準であることをより明確にしたものと考えられます。

◆別表Tの変更のポイントB
「不規則」という表現を削除しています。不規則という表現の持つ意味があいまいであるために削除したものと考えられます。

◆別表Uについて
従来の基準は,「むち打ち症で他覚所見がない場合には別表Uを使用する。この場合,慰謝料算定のための通院期間は,その期間を限度として,実治療日数の3倍程度を目安とする」という基準でした。2016年の赤い本では,「むち打ち症で他覚所見がない場合等は入通院期間を基礎として別表Uを使用する。通院が長期にわたる場合は,症状,治療内容,通院頻度を踏まえ,実通院日数の3倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることもある。」と変更されました。

◆別表Uの変更のポイント@
むちうち症で他覚所見がない場合「等」という表現に変更となりました。軽度の挫傷・打撲などの場合にはむち打ち症でない場合であったとしても別表Uが使用される確率が高くなります。

◆別表Uの変更のポイントA
原則は通院期間という点がより重視されました。3倍の基準を使用するのは「通院が長期にわたる場合」との限定がされています。また,3倍という基準を「目安とすることもある」と記載して,3倍という基準が例外的であることを示しています。

◆変更についてのまとめ


  • 原則は入通院の期間があることがより強調されています。3.5倍,3倍の基準は例外的な扱いであることがより明確になっています。

  • 打撲・挫傷など,これまで「むちうちで他覚所見がない場合」に明確に当たらなかったような事案であったとしても,今後は別表Tではなく,別表Uを利用することになる機会が多くなるでしょう。



(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)
| 慰謝料 |

交通事故で,高次脳機能障害が認定される条件は何ですか?

 
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 交通事故で,高次脳機能障害が認定される条件は何ですか。
一般的には3つの条件が必要とされています。


◆高次脳機能障害認定の3要件
色々な考え方がありますが,経験上,高次脳機能障害が認められるためには@傷病名,A事故に近い時期の画像所見,B意識障害の所見の3つが必要です。

◆傷病名について
高次脳機能障害として交通事故で後遺障害認定されるためには,通常,頭部外傷が疑われる以下の病名となっていることが必要です。
脳挫傷,びまん性軸索損傷,急性硬膜外血腫,外傷性くも膜下血腫,前頭骨陥没骨折,外傷性てんかん,対側損傷,外傷性くも膜下出血,外傷性脳室内出血,慢性硬膜下血腫等

◆画像所見
事故直後に近い時期において,MRI画像,CT画像により異常があることが必要です。画像所見の有無は絶対的な条件ではないと言われていますが,経験上,交通事故で後遺障害認定を行う自賠責調査事務所は画像所見を重視しています。

◆意識障害の所見
事故直後の意識障害の有無が高次脳機能障害においては重要です。以下の条件のいずれかが必要と言われています。
@ 当初の意識障害が少なくとも6時間異常続いていること。意識障害とは半昏睡〜昏睡で開眼・応答しない状態でること,具体的には,JCSが3〜2桁,GCSが12点以下のことを指します。
A 健忘あるいは軽度意識障害が少なくとも1週間異常続いていること。健忘あるいは意識障害とはJCSが1桁,GCSが13点〜14点のことを指します。

◆上記3条件を満たさない頭部外傷について
上記3条件を満たさない頭部外傷については,後遺障害申請に際しては非常に難しい問題が多いです。被害者の症状はあるにも関わらず後遺障害認定がされないという状況も起こっています。損害保険料率算出機構では,平成23年3月4日に自賠責保険における高次脳機能障害認定システム検討委員会が「自賠責保険における高次脳機能障害認定システムの充実について」と題する報告書を出し,画像所見がない,意識障害がないなどの問題がある事案についての認定方法の改善を試みています。



(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大澤一郎)
プロフィール
弁護士法人よつば総合法律事務所
地域最大級の弁護士14名が所属しております。事務所名の「よつば」は事務所に関わる人が皆幸せになるようにとの思いから名付けました。お気軽にご相談ください。
柏事務所:千葉県柏市(柏駅徒歩3分)
千葉事務所:千葉市(千葉駅徒歩3分)

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