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高次脳機能障害の家族の気持ちの整理

高次脳機能障害の家族の気持ちの整理

最終更新日:2023年6月23日

監修者:よつば総合法律事務所
代表弁護士 大澤 一郎

Q家族が高次脳機能障害になりました。気持ちの整理を付けるにはどうすればよいですか?
A高次脳機能障害で後遺症が残った人の家族は、ショックを受け、悲しみや怒りの時期を乗り越えて障害を受容していく道のりを歩むことが多いです。具体的には、①ショック②否認③悲しみと怒り④適応⑤再起の道のりを歩むことが多いです。大変な状況ですが未来はあります。
家族の苦悩

高次脳機能障害とは

高次脳機能障害とは脳損傷による認知障害全般です。様々な認知障害だけではなく、行動障害や人格変化を伴うことが多いです。症状には記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などがあります。

家族の気持ちの変化

高次脳機能障害患者は、自分が病気と自覚している人と、自覚していない人がいます。

病気を患者本人が理解していないことを「病識がない」と言います。

高次脳機能障害により様々な心身機能は変化しています。しかし、本人は年相応の変化、以前と同じなどと思い込みます。病気のせいと思いません。

一方、高次脳機能障害が家族には明らかという事案が多いです。

家族にとって、本人の病識がないのはとても辛いことです。

ドローターという学者は、障害者の家族の心理を5段階に分けました。現実を受け入れる障害の受容に至る5段階です。具体的には次の通りです。

  • ①ショック
  • ②否認
  • ③悲しみと怒り
  • ④適応
  • ⑤再起

ドローターのモデルは、先天性障害を持って生まれた子どもへの親の心理的反応を分析するモデルです。もっとも、障害全般の受け止め方のモデルとしても有名です。

家族が障害を突然負ったとき、冷静に対処できる人はほとんどいないでしょう。

むしろ、身体機能も性格も以前とは別人のような家族を支えるという重い現実を受け止めきれず混乱します。これが、最初の段階である「ショック」です。

事実を認めたくないため、現実を「否認」することもあります。事実を認めないという態度です。

次に生まれる感情が「悲しみと怒り」です。
「あの時、あの道を歩いていなければ事故にあわなかった」「もう少し早く家を出ていれば被害を負わなかった」「不運に対する絶望」「加害者への怒り」など、悲しみと怒りの感情が出てきます。

悲しみや怒りの感情を乗り越えると「適応」の時期です。

家族の治療やリハビリテーションを支えることにより、高次脳機能障害者の家族は、病気をより深く知ります。今後の道のりを模索しながら探します。

完全に治らない病気でも、家族会での交流による情報交換などは、適応の時期の支えになります。役所に相談してみるのもよいでしょう。

適応の次は「再起」の時期です。

高次脳機能障害という病気を抱えつつも、新たな生き方を探し、家族が支えることは、家族の精神的な成長さえもうながします。

悲しみと怒りの時期が長く続くと、とても再起などできないという気持ちになるでしょう。ただし、高次脳機能障害を深く知ることが、障害の受容につながるかもしれません。

高次脳機能障害の家族の気持ちの整理

高次脳機能障害で後遺症が残った人の家族は、ショックを受け、悲しみや怒りの時期を乗り越えて障害を受容していく道のりを歩むことが多いです。

具体的には、①ショック②否認③悲しみと怒り④適応⑤再起の道のりを歩むことが多いです。大変な状況ですが未来はあります。

(監修者 弁護士 大澤 一郎

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