HOME > 交通事故の損害賠償基準その他 > 交通事故の場合,物損事故でも,お互いの損害賠償請求権を相殺できないという話を聞いたのですが,どういうことなのでしょうか?

交通事故の場合,物損事故でも,お互いの損害賠償請求権を相殺できないという話を聞いたのですが,どういうことなのでしょうか?

2018年08月20日
このエントリーをはてなブックマークに追加

交通事故の場合,物損事故でも,お互いの損害賠償請求権を相殺できないという話を聞いたのですが,どういうことなのでしょうか?

現行の民法では,相手から自分への不法行為にもとづく損害賠償請求権を消滅させるために,一方的に相殺することは認められていません。物損事故でも互いの損害賠償請求権を相殺できないことになっています。
ただし,合意による相殺は可能です。また,改正民法が施行されると,悪意で加えた不法行為にもとづく損害賠償請求権と,生命や身体への侵害にもとづく損害賠償請求権以外は相殺の対象として良いことになるので,物損事故の場合には相殺によって解決できるようになります。





 交通事故 : 損害賠償請求権 




◆不法行為の損害賠償請求権は,相殺の対象にできない



自分と相手のお互いが相互に債権を持っており,債権債務が両立している場合には,その債権と債務を「相殺」することによって消滅させることができます。ここでいう相殺は,当事者の一方による一方的意思表示で両債務を消滅させるという制度です。


相殺する場合,現実にお金を支払う必要はありません。相殺の意思表示をした時点で債権と債務が対当額で消滅します。
お互いに実際の支払をしなくても支払をしたのと同じ結果になるので,便宜です。


ただし,不法行為にもとづく損害賠償請求権は,相殺の例外です。現行民法では,相手の自分に対する損害賠償請求権を相殺して一方的に消滅させることはできないとされています。

つまり,自分が不法行為を行って相手に損害の賠償をしなければならない場合には,必ず現実に支払をしなければなりません。たとえ相手に対して債権を持っていても,相殺によって消滅させることができないのです。

このような決まりがあるのは,不法行為を受けた被害者を救済するためです。不法行為の被害者に対し,現実の支払を受けさせることが,被害者の救済につながるという考え方です。



交通事故は,物損事故でも人身事故でも,被害者は加害者に対する「損害賠償請求権」を取得します。そして,物損事故で相手と自分がそれぞれ相手に対する損害賠償請求権を取得しても,対当な金額で一方的に相殺をすることができません。


双方が相手方に対して,賠償金を現実に支払い合わなければならないのが原則です。









◆合意によって相殺している現状




実際には,互いに損害賠償金の支払をし合うのは煩雑ですので,当事者双方の合意によって相殺をしていることが多いです。

現行民法は不法行為にもとづく損害賠償請求権の相殺を禁じていますが,合意によって相殺することまでは禁じていないからです。









◆改正民法により,物損事故の場合は相殺が可能に




また,近日中に改正民法が施行されますが,改正民法では「悪意にもとづく不法行為による損害賠償請求権」と「生命身体に対する不法行為にもとづく損害賠償金」以外の債権については,相殺を認めています。


2020年4月1日の改正民法施行後は,物損事故の場合には合意がなくとも相殺によって解決できるようになります。








▼参考記事
・交通事故に遭い,任意保険会社の説明を受け,免責証書にサインしました。しかし,あとからよく考えると納得できないところが出てきました。改めて損害賠償請求の追加をしたいです。可能ですか?
・交通事故で自宅介護を前提とした損害賠償が認められないのは,どのような場合ですか?
・損害賠償額の計算方法

▼よつば総合法律事務所 公式サイト
▼よつば総合法律事務所 公式ブログ




(よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)
プロフィール
よつば総合法律事務所
千葉県最大級の法律事務所。弁護士16名が所属しております。事務所名の「よつば」は事務所に関わる人が皆幸せになるようにとの思いから名付けました。お気軽にご相談ください。
柏事務所:千葉県柏市(柏駅徒歩3分)
千葉事務所:千葉市(千葉駅徒歩3分)

千葉で交通事故に強い弁護士の無料相談サイト

メールでのお問い合わせ
<< 2018年 08月 >>
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
最新記事