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交通事故に遭いました。労災の費目拘束と過失割合は,どんな関係がありますか?

2017年12月27日
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交通事故に遭いました。労災の費目拘束と過失割合は,どんな関係がありますか?

労災保険を利用すると,加害者から受け取る賠償金が差し引かれますが,そのとき,損害賠償金の費目ごとに,控除が行われます。


このことを費目拘束といいますが,費目拘束により,被害者に過失割合があると,労災を使った方が有利に賠償金を計算できる可能性があります。





 労災保険 : 費用拘束 



◆労災を使うと,損益相殺される




業務中や通勤途中で交通事故に遭った場合には,労災の適用を受けることができます。

この場合,労災保険から,治療費や休業補償などが支払われます。

そして,労災から先に保険金を受けとった場合,後に加害者に請求できる賠償金は,その分減額されます。賠償金の二重取りを防ぐためです。

このことを,損益相殺といいます。







◆労災の費目拘束とは




ただし,労災保険において損益相殺をするときには,それぞれの損害項目において計算を行うこととなります。
このことを,費目拘束と言います。

費目拘束されることについては,判例上確立されています(最判昭和58年4月19日)。

たとえば,治療費なら治療費の範囲内だけで差引を行い,休業損害などの他の費目からは,差引を行わないということです。同様に,休業(補償)給付が支払われたとき,休業損害以外の損害から控除を行うということも行われません。







◆被害者に過失割合がある場合




労災には費目拘束が行われると,被害者の過失割合があるときに,被害者が有利になる可能性が高いです。

それは,ある費目で過失相殺をした結果,労災から払い過ぎがあったとしても,他の費目から払い過ぎの分を差し引かれることがないためです。

過失相殺を考慮すると,全体としては,労災からの給付金が,支払われ過ぎになっていたとしても,他の費目から差し引かれないので,被害者に入ってくるお金が大きくなります。




たとえば,治療費が150万円,休業損害が80万円,慰謝料が200万円発生した事故があったとします。被害者の過失割合は,40%でした。



このとき,治療費が150万円全額労災保険から支払われて,休業損害は40万円支払われたとします。
まず,治療費を過失相殺すると,被害者の過失が4割なので,加害者に賠償請求できる治療費の金額は本来90万円です。

しかし,被害者は既に150万円の支払いを受けています。ですが,差額の60万円については,他の賠償金の項目から差し引くことができません。そのままとなります。

休業損害については,被害者の過失割合が4割なので,請求できる金額は本来48万円です。労災からすでに40万円の支払いを受けられているので,残りの8万円だけが加害者から支払われます。

慰謝料については,過失相殺により,6割の120万円を請求することができます。費目拘束があると,被害者は加害者から,合計128万円の支払いを受けることができます。それと,労災からの既払い金190万円があるので,合計すると318万円受けとっていることになります。




もし労災を適用しなかったら,損害賠償金額の合計は150万円+80万円+200万円=430万円です。
被害者の過失割合が40%なので,全体に過失相殺が適用されて,被害者が相手に請求できる金額は,258万円です。

労災保険を使うと,318万円ですから,60万円分,被害者が多く受け取れていることがわかります。


以上のように,労災を使うと,被害者に過失割合がある場合に,被害者に有利になりやすいです。
被害者に過失があり,業務中や通勤中の事故で労災を適用できるケースでは,なるべく労災を利用すると良いでしょう。




▼参考記事
・相手方任意保険,健康保険,労災保険のどれを使えばよいですか?
・労災と自賠責で後遺障害等級が異なることはありますか。
・通勤中の交通事故だった為,通勤災害として労災保険を使用して治療,過失相殺されたものの最小限の減額で抑えて解決できた事例




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤寿康)
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