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交通事故の物損事故です。傷の部分を塗装しましたが,ほかの部分と色むらがあるのが分かります。全塗装してもらいたいのですが,賠償してもらえますか?

2018年05月01日
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交通事故の物損事故です。傷の部分を塗装しましたが,ほかの部分と色むらがあるのが分かります。全塗装してもらいたいのですが,賠償してもらえますか?

一般的な物損事故の場合,全塗装を求めることは困難です。全塗装が認められるのは,部分塗装では明らかに美観が損なわれるケース,塗装が車体価格の大部分となっているケース,全塗装でも部分塗装でも費用があまり変わらないケースなど,例外的な場合のみです。




 交通事故 : 物損事故で全塗装が認められるケース 




◆全塗装は,基本的に認められない




交通事故の被害に遭うと,車の塗装がきずつくことが多いです。その場合,車の修理費用として,車の塗装費用を請求することができます。
このとき,部分塗装にするか,全塗装するかが問題となるケースがあります。


部分塗装とは,きずついた部分のみを塗装する方法,全塗装とは車両全体の塗装をすべてやりなおす方法です。

被害者は全塗装を望むことが多いのですが,一般的には,破損した部分の塗装費用しか賠償の対象として認められないです。


全塗装が認められないのは,以下のような理由によります。

・塗装の効用は「車の防さび効果と美観の保持」である。部分塗装と全塗装を比べたとき,多少の光沢や耐久性の差異はあるとしても,部分塗装でも上記の効用を実現することができる

・現代の塗装技術は発展しており,部分塗装の場合でも,再塗装したことがわかりにくく,車の美観を害することはない

・全塗装にすると,破損部分が小さくても車体全部を再塗装しなければならないので,費用が高額になりすぎる

・全塗装を施すと,被害車両は交通事故前より良い状態になり,被害者が過剰に利得することになる


部分塗装にとどめると多少の色むらが発生することがあるのはたしかですが,その程度であればやむを得ないというのが裁判所の一般的な考え方です。







◆全塗装が例外的に認められるケース



ただし,一部には例外的に,全塗装が認められるケースもあります。
たとえば,以下のようなケースで認められることがあるかもしれません。


・特殊な塗装技術が使われているので,部分塗装にすると,他の部分との相違が一見して明白になり,明らかに美観が害される場合

・車体が高額で,その価値の大部分が外装によるものである場合

・損傷箇所が広くなり,再塗装の範囲も大きくなるので,全塗装でも部分塗装でも費用的に大きな差が生じない場合


たとえば,高級外車であるポルシェが車体の大部分を損傷した事案において,部分塗装では破損部分とそれ以外の部分の相違がわからないように復元できないので,全塗装を認めた事例があります(岡山地裁津山支部平成7年4月25日交民集28巻2号671頁)。

近年では,キャンディ・フレークという特殊塗装が施されている車が交通事故に遭った事例において,全塗装が認められたケースもあります(東京地裁平成25年3月6日)。
しかし,その控訴審は,キャンディ・フレーク塗装であっても部分塗装で足りるとしました(東京高裁平成26年1月29日)。



以上のように,交通事故の物損事故で全塗装が認められるケースはかなり例外的です。





▼参考記事
・損害賠償額の計算方法
・賠償金額の基準に注意!
・交通事故と慰謝料のすべて

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▼よつば総合法律事務所 公式ブログ




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