交通事故に遭う前から既往症がありました。このような場合,過失相殺されるのでしょうか?

2017年07月14日
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交通事故に遭う前から既往症がありました。このような場合,過失相殺されるのでしょうか?

既往症の内容や程度によっては,過失相殺と同様の考え方によって賠償金額が減額される可能性があります。




 既往症と過失殺傷 


◆既往症とは



交通事故被害者が怪我をすると,慰謝料をはじめとした損害賠償金を加害者に請求することができます。

ただし,被害者に既往症がある場合には,その既往症が考慮されることがあります。

既往症とは,被害者がもともと持っていた症状や持病のことです。

たとえば,もともとヘルニアの症状があった人が交通事故に遭ってむちうちになった場合,既往症による影響があったのではないかが問題になります。

この場合,被害者の既往症によって症状が悪化しているのであれば,満額の賠償金を認めるのは不公平であり,賠償金額を減額すべきではないかということが問題となります。




そして,被害者に既往症があり,交通事故の怪我の症状に影響していると判断されると,賠償金が減額されることもあります。







◆過失相殺と素因減額


被害者に既往症がある場合には,過失相殺と同様の考え方によって賠償金が減額されます。

過失相殺とは,交通事故の被害者に過失がある場合に,その割合によって賠償金を減額することです。たとえば,過失割合が30%の場合には,賠償金額が3割減額されます。

被害者に既往症がある場合,被害者側の事情も加わって損害が発生したという点で過失相殺と同様ですので,過失相殺と同様の考え方により,賠償金を減額します。

このように,既往症を理由として賠償金を減額することを,素因減額といっています。







◆素因減額が認められる事例


それでは,素因減額はどのようなケースで認められるのでしょうか?
この点については,最高裁判所の判例があります。

まず,交通事故被害が発生したときに,被害者の疾患の態様や程度などにより,加害者に全部の賠償をさせることが不公平な場合には,過失相殺と同様の考え方で賠償金を減額できるとされています(最判平成4年6月25日)。

一方,被害者が平均的な体格や通常の体質とは異なる身体的な特徴を持っていても,それが疾患や一般人とかけ離れた身体的特徴(極端な肥満など)ではなく,単なる身体的特徴にとどまるときは,それを理由に賠償金を減額することはできないとも判断されています(最判平成8年10月29日)。


これらの判例や,さらに他の裁判例もまとめると,被害者に何らかの既往症があり,それが「疾患」等といえるほどのケースにおいては素因減額が行われますが,年齢相応の状態にとどまるときや,そもそも単なる身体的な特徴にとどまるときは,素因減額は行われません。




保険会社と示談交渉をしていると,何らかの身体的特徴があるとすぐに「既往症減額」を主張されることが多いですが,減額すべきではないケースもあります。

減額すべきケースではないのに適正な解決ができなかったという事態を防ぐためには,弁護士に相談してみてください。




▼参考記事
・よつばの交通事故への「想い」と「こだわり」:医師を味方につけよう!
・交通事故HP:交通事故の過失相殺とは
・交通事故HP:交通事故と弁護士費用のすべて




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)
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地域最大級の弁護士14名が所属しております。事務所名の「よつば」は事務所に関わる人が皆幸せになるようにとの思いから名付けました。お気軽にご相談ください。
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