交通事故後も収入の減少はありませんでしたが,逸失利益は認められますか?

2017年07月04日
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交通事故後も収入の減少はありませんでしたが,逸失利益は認められますか?

収入の減少がない場合,基本的には逸失利益は認められませんが,本人の努力によって収入減少が起こらないようにしているようなケースでは,逸失利益が認められることもあります。




 逸失利益 


◆逸失利益とは


逸失利益とは,交通事故で後遺障害が残った場合,労働能力の低下により減少してしまった分の収入のことです。

交通事故に遭って後遺障害が残ると,その分労働能力が失われます。


すると,その分得られる収入が減るので,その分が損害となります。そこで,その得られなくなった収入を逸失利益として,相手に支払い請求することができます。

逸失利益とは,事故によって得られなくなった収入なので,事故前に収入があった人に認められるのが基本です。逸失利益は,各後遺障害の等級に定められた労働能力喪失率を基準として計算します。







◆収入減少がないなら逸失利益は認められない


逸失利益は,失われた収入のことです。そこで,後遺障害が残ったことによって労働能力が失われて,収入が減少することが前提となっています。


実際に収入減少がない場合には,基本的に逸失利益は認められません。
過去の最高裁の判例でも,収入減少がない場合には逸失利益を認めないとするものがあります(最判小昭42.11.10)。







◆収入減少がなくても逸失利益が認められるケース


ただ,実際の収入減少がなくても,それが被害者本人の努力によって維持されているケースがあります。

この場合,本来なら労働能力が失われて収入が減少しているはずです。もし,逸失利益を認めなかったら,努力をしない方が損害賠償金を多くもらえることになって不合理です。そこで,事故後収入減少がなくても逸失利益が認められる例はあります。

たとえば,最判小昭和56.12.22では,特段の事情がある場合には,実際の収入減少がない場合にも逸失利益を認める余地があると判断しています。

具体的には,以下のような場合に収入減少がなくても逸失利益を認める余地があるとしています。

●収入が減収しないように本人が特に努力しているだけであり,本来なら減収が起こっている
●今後の昇給・昇任・転職などの際に,不利益取扱を受ける可能性がある


上記の基準を参考にして、ケースバイケースで逸失利益の有無が判断されることになります。

たとえば,バイク便勤務の男性が事務職に転職して増収になったケースで,それは本人の特別の努力と幸運によるものであるから,逸失利益を認めた事案(東京地裁平14.8.28)や,信用金庫の営業係長の事案で,減収が起こっていないのは本人の努力によるものである上,将来の昇進などに対する影響が予想される場合に逸失利益を認めたケース(東京地裁平20.3.11)などがあります。




このように,減収がない場合でも逸失利益が認められる可能性はあります。しかし,その判断はケースバイケースで、非常に難しいです。弁護士に相談することをおすすめします。




▼参考記事
・交通事故HP:逸失利益と後遺障害
・交通事故HP:交通事故の逸失利益
・交通事故HP:交通事故による後遺障害の解説




(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 佐藤 寿康)
プロフィール
弁護士法人よつば総合法律事務所
地域最大級の弁護士14名が所属しております。事務所名の「よつば」は事務所に関わる人が皆幸せになるようにとの思いから名付けました。お気軽にご相談ください。
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